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職能資格制度とは?メリット・デメリット・職務等級制度・役割等級制度との違い・改善法

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職能資格制度とは

職能資格制度とは、等級制度の種類の1つで、企業が従業員に求める職務遂行能力によって等級づけを行う制度です。

社員に支払う賃金を能力のレベルに応じて決定し、人材育成を主眼として日本で広く普及してきました。

特徴の一つとして職能資格制度で決定される等級は必ずしも組織内の職位と一致するわけではないという点が挙げられます。

この制度の能力基準は厚生労働省が明確に定めており、公開もされています。

参照 : 職業能力評価基準の策定業種一覧|厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04653.html)

このことから、職能資格制度が日本において広く普及していることがわかります。

職能資格制度のメリット

多くの日本企業で導入されている職能資格制度にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

本パートで3つに分けて解説していきます。

1. ジェネラリストの人材育成に役立つ

1つめはジェネラリストの人材育成に役立つということです。

職能資格制度では対象となる専門職務を定めず、人事異動を行って様々な職種・業務を経験させることができるのでジェネラリストを育成しやすいメリットがあります。

一方、他の制度では職務や役割によって業務を割り振り、それにより等級づけを行います。

様々な職種・業務を経験する職能資格制度では職務経験に偏りが生じないので、バランスのとれた社員が集まる職場を形成することができます。

2. ポスト不足への対応が柔軟にできる

2つ目はポスト不足への対応が柔軟にできるということです。

前述のように、職能資格制度では社員に様々な職種・業務を経験させることができます。

そのため、不測のポスト不足に対して経験のある社員を割り当てやすく、会社として柔軟な人事配置が可能です。

また、多くの経験を積んだジェネラリストが常に存在するので、職場全体として人事配置のバランス調整が容易なメリットもあります。

一方、他の制度では、社員に多くの職種・業務に対する経験をさせないため、ポスト不足に対しては外部から採用することとなり、比較的高いコストがかかります。

3. 長期間での人材育成に適している

3つ目は長期間での人材育成に適しているということです。

前述のように、職能資格制度は長期間を通して、様々な職種・業務を経験させる制度です。

そのため、様々なポジションで汎用性の高いスキルを獲得することができ、人材の長期在籍の見通しがある場合は有効な制度といえます。

一方、職務等級制度では比較的短期間で専門性の高いスキルを獲得することとなるため、汎用性の高いスキルを獲得することには比較的不向きといえます。

職能資格制度のデメリット・問題点

一方で、職務資格制度や役割等級制度を導入している日本企業が増加している中で、職能資格制度にはデメリットもあります。

本パートでは4つに分けて解説していきます。

1. 年功序列に陥りやすい

1つ目は年功序列に陥りやすいという点です。

職能資格制度において、職務遂行能力をどのような能力に定義するかを厳密に定義しなかった場合、経験、すなわち勤続年数によって昇級が判断されます。

他の制度では職務や役割によって等級が定義され、それにふさわしい・不足のない成果や過程であったかが判断されるため、むしろ実力主義・成果主義になりやすい傾向があります。

2. 人件費が高くなりやすい

2つ目は人件費が高くなりやすいという点です。

職能資格制度は、従業員の能力が下がらないことを前提に作られているため、退職がない限り社員の等級は上がるか維持されるかのみで、それに応じた人件費が必要となります。

そのため、高い等級の社員が増えるにつれて、全体として人件費が高くなっていく傾向があります。

他の制度は、職務や役割をまっとうできたか否かにより等級が上下するため、賃金が下がるケースが大いにあるので、比較的人件費は高くならないだけでなく、ある程度の調整も可能です。

3. 能力の評価が難しい

3つ目は能力評価が難しいという点です。

職能資格制度では一度評価された職務遂行能力は失われない前提がある上に、社員の能力がすべて業務に活かされているとは限りません。

そのため、厳密な評価が難しく、実際の成績と評価で乖離が生じる可能性があります。

他の制度では、成果やプロセスに対して会社で決めた方法で、高い客観性をもって評価することが可能なので、評価の合理性を高く保つことができます。

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4. 多様な働き方に対応できない

4つめは、多様な働き方に対応できない点です。

職能資格制度では職務内容が曖昧なため、在宅勤務の形式をとった場合、職務を詳細に分ける手間がかかってしまいます。

その結果、管理職に高いマネジメント能力が求められるケースもあります。

他の制度では、職務や役割が常に決まっている状態なので、在宅勤務のみならず、フレックスタイムのような時間的融通も利きます。

職務等級制度との違い

職能資格制度には前述のようなメリット・デメリットがあります。

では、等級制度の3種類のうちの他の1つである職務等級制度とは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

本パートでは2つ紹介します。

1. 等級分けの対象の違い

職務等級制度は、それぞれの職務ごとに仕事内容やその難易度を定義し、それに対応して等級づけを行う制度です。

すべての職務に職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)があり、遂行すべき職務が詳細に記されています。

それに対して職能資格制度は、前述のように社員の職務遂行能力に応じて等級分けを行います。

つまり、2つの制度の違いは、仕事に対して等級分けを行うか、ヒトに対して行うかなのです。

2. 日本における普及度の違い

産労総合研究所の人事制度調査によると、日本における職務等級制度の普及率は3つの制度のうち最も低いとあります。

これは、日本では複数人が境界なく協力して業務を行うことが多く、職務記述書に業務の範囲を定義できないことが原因として挙げられます。

一方で、職務等級制度はアメリカなど海外で多く導入されている制度であることから、グローバルに事業を展開している会社は導入している場合もあります。

それに対して職能資格制度は、3つの制度のうち日本における普及率の最も高い制度です。

普及の背景としては、1978年のオイルショック以降に終身雇用や年功序列の慣習に合致して大企業を中心に普及したことが挙げられます。

現在においても普及率は最も高いですが、バブル崩壊後の業績悪化・人件費削減の流れから成果主義にシフトする企業が増え、導入率は横ばい、あるいは低下しているのが現状です。

参考:第8回 人事制度等に関する総合調査 | 人事制度等に関する総合調査 | 人事制度 | 産労総合研究所(https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/jinjiseido/jinjiseidonado/pr2102.html) 2021年2月19日

役割等級制度との違い

次に、等級制度の具体的に役割等級制度との違いです。

本パートでは2つ紹介します。

1. 等級分けの対象の違い

役割等級制度はミッショングレード制とも呼ばれます。

職務区分の中で役職に準じた「役割」を設定し、それに応じた等級分けを行います。

それに対して、職能資格制度は前述のように、職務遂行能力を等級分けの基準としているので、役割等級制度とは対象が異なるのです。

職能等級制度が「ヒトに仕事をつける」制度である一方で、役割等級制度は「役割にヒトをつける」制度なのです。

2. 評価・報酬の合理性の違い

役割等級制度では、全社的な目標から逆算して与えられ、細かく定義されるミッションに応じて給与基準が設定されます。

そのため、給与の基準が比較的明瞭かつ合理的です。

それに対して職能資格制度は、「職務遂行能力」というあいまいな対象により給与が決定されるために給与基準の合理性が比較的低いという点が挙げられます。

職能資格制度の具体例

多くの企業で導入されている職能資格制度はその規模や企業風土によって様々です。

本パートではその中でも共通する、あるいは一般的な事項として4点紹介します。

1. 等級数

1つ目は等級数についてです。

一般的に、新入社員は第1等級から始まります。

100人未満の企業では6~7等級、数百名規模の企業で7~9等級、1000名以上の企業で8~10等級が標準的とされています。

注意点として、等級数は多すぎると等級間の差がわかりにくくなり、少なすぎると同じ等級の社員で大きな差ができるケースがあります。

会社の規模に応じて適切な等級数を設定しましょう。

2. 資格要件

2つ目は資格要件についてです。

各等級には、「指示を受けた通りに業務に取り組める」、「後輩に対して指導ができる」、「経営目標の達成のための適切な戦略を立てることができる」といった資格要件が設定されています。

注意点として、資格要件を具体的に設定しないと、解釈の幅が広がってしまう点が挙げられます。

その結果、上司にとっては判断のしづらい、部下にとっては納得感の低い要件になってしまいます。

資格要件は具体的かつ明瞭な納得感の強い内容で構成しましょう。

3. 対応職位

3つめは対応職位についてです。

ある程度の等級の間隔で、部長や主任といった「対応職位」が設定されます。

「対応職位」は、その職位に必ず就くというわけではなく、その職位のための能力の目安です。

また、職能資格制度の設計の上では対応職位を設定し、そこからその職位までにどのくらいの等級数が必要かということを逆算して等級数を決定するというやり方もあます。

職能資格制度の改善法

職能資格制度に課題を抱えつつも、上長の意向やコストの関係で制度を大きく変えることが難しい場合もあります。

その場合、評価手法を変えたり制度を導入することで解決する場合があります。

本パートでは数ある改善法の中から3つ紹介します。

1. 360度評価

1つ目は360度評価の導入です。

360度評価は、多面評価とも呼ばれ、上司のみでなく同僚や部下、異なる部署の社員など、様々な視点から評価を行う評価手法です。

評価手法を新たに加える、もしくは変更するだけなので制度の大枠は変更せずに制度を改善することができます。

360度評価の結果を重視することで、「年齢を重ねているから」といった一視点的な評価にならず、「業務において能力が発揮できているか」、「要件に足りるような能力を備えているか」のような多視点の評価が必要な項目について適切に評価することができます。

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2. コンピテンシー評価

2つ目はコンピテンシ―評価の導入です。

コンピテンシー評価とは、高い成果を上げている社員の行動特性をモデルとし、それを基準に評価を行う手法です。

評価の基準サンプルがすでに出来上がっている状態なので、評価体系が作りやすいというメリットがあります。

また、コンピテンシーを基準とした相対的な評価をすることで、上司と部下の間の評価に関する認識が明確になり、職能資格制度の弱点である等級と実際の能力の乖離を小さくすることができます。

3. MBO

3つ目はMBOの導入です。

MBOは、”Management By Objectives”の略で、全社的な目標から逆算して社員が自分で設定した目標を共有し、管理する手法です。

MBOでは目標を自主的に設定し、達成度やそのプロセスを評価するため、年功序列的になってしまう制度の中で社員の自主性をはぐくみ、全体として生産性を向上させることができます。

自主性の増長という意味では、MBOの管理・共有の場として1on1ミーティング等を設けることも有効です。

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まとめ

本記事では職能資格制度の定義、メリット・デメリット、他の制度との違い、改善法について解説してきました。

等級制度は、人事制度の中では基幹ともいえる制度です。

制度の内容をしっかり理解し、適切な導入を実施すれば会社の生産性向上などに対して大きな恩恵をもたらします。

もし既存の職能資格制度の課題がある場合、解説した点をふまえつつ制度改革や部分改善を試みてはいかがでしょうか。

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