
キャリアプランを考える上で重要なポイントは、3年後・5年後・10年後の自分を具体的にイメージすることです。短期的な目標設定だけでなく、長期的なビジョンを持つことで、今の行動がより明確になり、選択肢が広がります。
この記事では、3年後・5年後・10年後の自分を考える重要性、企業がこの質問をする理由、具体的な回答例、そして効果的なキャリアプランを立てるための方法について解説します。
目次
3年後の目標設定をする重要性
キャリアを中長期的に考えていく上で、3年後の目標を設定することは非常に重要です。
この章では、3年後の目標を設定するメリットを3つに分けて解説していきます。
キャリアや人生の選択肢が広がる
1点目は、キャリアや人生における選択肢を広げることにつながるからです。3年という中期的な目標を設定することにより、短期的な視点では得られないような長期的な成長や学びの可能性を見据えることで、現在の行動に新たな意味や方向性が加わり、結果として選択肢が増えていきます。
例えば、現在は営業職として働いている人が、「3年後にデジタルマーケティングの分野でキャリアチェンジする」という目標を立てたとします。この目標を明確にした瞬間から、現職の中でも新たな視点で行動を起こせるようになります。
具体的には、営業活動で得た顧客データを分析し、マーケティング的な観点で顧客ニーズを深掘りする実験を始める、業務外でマーケティング関連の資格取得やオンライン講座を受講することで、将来必要なスキルを着実に身に付けるなど、3年後という長期的な目線を持つことで、現在の立場から離れた目標も設定できるようになります。
また、3年という期間は、長すぎて計画が曖昧になりがちな5年や10年と異なり、現実的な達成感を得られるバランスの取れた時間軸です。例えば10年先を見据えた場合、変化の早い現代では見据えた目標が10年後では現実に即さないものとなってしまっている場合も想定できます。
ただ、3年という期間であれば、1年という短期的な目標と、5年10年という長期的な目標の中間に位置するため、中間ゴールとしての役割も期待できます。
選択肢が明確になる
2点目は、選択肢が明確になるからです。目標があることで自分の行動基準が具体化し、どの選択肢が自分の立てた目標達成につながる行動なのかを判断しやすくなります。目標を設定していない状態では、仕事や人生の選択肢に対して、短期的なメリットや楽さ、待遇の良さだけで判断してしまうことがあります。
しかし、目標があれば、その場の状況に流されることなく、自分が進むべき方向を見極めることができます。
例えば先ほど例に挙げた「3年後にデジタルマーケティングの分野でキャリアチェンジする」という目標を立てた営業職の人の場合、目指すべき方向性は営業職としてのキャリアアップというよりは、デジタルマーケティングの分野に繋がっていくかが重要になります。
このように方向性が定まっていると、自分取るべき行動の軸が定まり、適切な判断ができるようになるのです。
さらに、目標があると「やらなくてもいい選択肢」も自然と見えてきます。目標がない場合、あれもこれもやってみたいと迷いがちですが、明確に目標が決まっていると、自ずと優先すべき選択肢が絞られてくるため、限られた時間を有効に使えるようになります。
使える時間は限られているため、限られた時間を効率よく使い成果に結びつけるためにも、3年後の目標を設定することは重要になります。
日々のアクションが具体的になる
3点目は、日々のアクションが具体的になるからです。
3年後の目標が明確に設定できていることにより、それを年単位、月単位のように細分化していくことで具体的な行動計画まで落とし込むことができます。
目標が漠然としていると、日々の行動が場当たり的になりやすく、目標達成に向けた積み上げが不足しがちです。しかし、目標を基に行動計画を立てることで、1日1日のタスクが目標達成に直結し、結果として効率的に日々を送ることができます。
先ほどの「3年後にデジタルマーケティングの分野でキャリアチェンジする」という例であれば、1年目は基礎固め、2年目は副業などで実務経験を積む、3年目にはキャリアチェンジの実現、それを行うためには1か月でどれくらいの学習をするひつようがある、といった具合でより細かく1日の計画に落とし込むことができます。
3年後の目標設定をする際に大切な要素
ここまで、3年後の目標設定の重要性について説明してきました。
この章では、実際に目標設定を行う際に重要な要素について解説していきます。
最初に立てた目標にこだわりすぎない
1点目は、最初に立てた目標にこだわりすぎないことです。3年という期間は、スキルや経験が大きく成長するだけでなく、環境や状況、さらには自分自身の価値観や興味が変わる可能性もある期間です。最初に立てた目標がその時その時の自分に適しているとは限らないため、定期的に目標自体を再考していくことが重要です。
例えば、「3年後に営業職でマネージャーになる」という目標を社会人1年目に立てたとします。目標設定をすること自体は非常に重要なことですが、社会人経験を積むにつれ、「もしかしたら別分野の方が向いているかもしれない」、「マネジメントではなくプレイヤーとしてキャリアアップしていきたい」というように志向が変化していくことは少なくありません。
このとき、最初の目標に固執してしまうと、新たなチャンスや適性に気づく機会を逃してしまうかもしれません。一方で、変化を受け入れ、自分の目標をアップデートすることで、新しい目標に向かって日々のアクションを軌道修正することができます。
また、目標にこだわりすぎると、変化が必要な状況であっても「目標を達成しなければいけない」というプレッシャーに囚われ、結果的にモチベーションを失ってしまう可能性もあります。たとえば、業界全体が変化しているにもかかわらず、旧来のやり方や計画にしがみついてしまうと、自分の成長やキャリアが停滞する原因になりかねません。
柔軟性を持つためには、定期的に目標を見直し、「今の自分にとって最適な目標かどうか」を確認する習慣が重要です。例えば、半年や1年ごとに振り返りの時間を設け、自分の興味や環境の変化を踏まえて目標を再設定することで、より自分に合った選択ができるようになります。
自分一人で考えない
2点目は、自分一人で考えないことです。自分だけで考えてしまう場合、実際にその目標が達成可能なのか、という視点にズレが生じてしまい、達成不可能なプランを組んでしまったり、そもそも自分には合っていない目標だったりと結果的に自分のためにならない目標を設定してしまう可能性があります。
もし目標としている自分の姿に近い人がいるのであれば、その人の意見を聞いてみることがおすすめです。目標に近い人の意見を聞くことで、その目標が本当に達成できるのか、具体的に何をするべきかがより明確になり、自分の立てたプランがより一層ブラッシュアップされます。
また、他者の意見を取り入れることで、自分の気づいていなかった強みや弱みに気づき、よりよい目標を再設定できる可能性もあります。「ジョハリの窓」という心理学モデルによると、人には「自分も他人もわかっている部分」「自分は分かっているが他人は分かっていない部分」「他人は分かっているが自分は分かっていない部分」「自分も他人も分かっていない部分」の4つの部分があると言われています。
そのため、ほかの人の意見を取り入れることにより、自分の気づいていなかった強みや逆に強みでなかった部分などが分かり、より自分に合った目標の設定ができるようになるため、成功への近道となります。
3年後より前の目標も立てておく
3年後の目標を設定する際には、それより前の短期的な目標も立てておくことが重要です。長期的な目標だけでは進捗を実感しづらく、途中でモチベーションが下がってしまう可能性があるからです。
3年後という時間軸は比較的長いため、「本当に達成できるのか」という不安が生じたり、日々の行動が目標にどの程度つながっているのかが見えにくくなったりすることがあります。そのため、1年後、半年後、3ヶ月後といったマイルストーンを設定することで、進捗を確認しながら確実に目標へ近づくことができます。
例えば、「3年後に管理職になる」という目標を掲げたとします。漠然と「管理職になるために頑張る」と考えるよりも、1年後にはリーダー的な役割を担う、1年半後にはプロジェクトの主導を経験する、2ヶ月後には管理職に必要な特定のスキルを習得する、といった短期的な目標を設定することで、何をすべきかがより明確になります。
このように、段階的な目標を設定することで、達成感を得ながら次のステップへ進むことができ、目標を途中で諦めてしまうリスクを減らすことができます。
また、短期的な目標を設定することで、計画の修正がしやすくなるというメリットもあります。3年後の目標を達成する過程で、状況が変化したり、新しい課題が生まれたりすることはよくあります。その際に、1年ごと、半年ごとに振り返りを行い、必要に応じて目標や行動計画を調整することで、より現実的かつ柔軟に目標達成を目指せるようになります。
3年後より後の目標も立てておく
3年後の目標を設定する際には、その先の5年後、10年後の目標も立てておくことが重要です。
より長期的な目標を持つことで、3年後の目標が通過点となり、3年経った後も高いモチベーションを維持しやすくなります。3年後の目標だけを考えていると、その達成が最終ゴールになってしまい、達成後に「次はどうすればいいのか」と迷ってしまうことがあります。しかし、5年後、10年後の目標も併せて設定しておくことで、3年後の目標の意義がより明確になり、目指すべき方向性が一貫したものになります。
例えば、「3年後に管理職になる」という目標を立てた場合、さらに「5年後には部門長に昇進する」「10年後には経営層として会社の意思決定に関与する」といった目標を考えることで、3年後に何を重点的に取り組むべきかがより明確になります。先述したような目標があれば、部門長になるためにはどのような結果を残せば良いのか、経営層になるために必要なスキルは何か、ということを考えながら3年後以降も業務に臨むことができるため、日々の業務に対するモチベーションも向上します。
ただし、5年後や10年後の目標は、状況に応じて柔軟に変更することも重要です。3年後の時点でキャリアの方向性や価値観が変わる可能性は十分にあり、最初に立てた長期的な目標に固執しすぎると、逆に選択肢を狭めてしまうこともあります。そのため、「今の時点での最適な長期目標」として考え、定期的に見直すことを前提にしておくとよいでしょう。
なお、3年後の目標と5年後・10年後の目標を立てる順番については、どちらが先でも問題ありません。まずは3年後の目標を決めてから、それを基に長期目標を設定する方法もあれば、逆に「最終的にこうなりたい」という未来像を先に決めて、それに向けた3年後のステップを考えるやり方もあります。
どちらがやりやすいかは人によって異なるため、自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
目標設定で使えるSMARTの法則
SMARTの法則とは、目標を作る際に使うフレームワークとの事です。
SMARTとは、下記の英語のそれぞれの頭文字を取った言葉で、これら5つの要素が、目標を達成させて成功をするためのの5つの要因と考えられています。
S:Specific(具体的)
M:Measurable(測定可能)
A:Achievable(達成可能)
R:Related(上位目標との関連)
T:Time-bound(期限)
S:Specific(具体的)
目標設定をする際には、できるだけ具体的にすることが重要です。理由は、目標が曖昧だと振り返ったときに何が良くて、何が悪かったのかが分からず、適切な改善ができないからです。目標を達成できなかったときに、「なぜ達成できなかったのか?」が明確にならなければ、次にどう行動すればいいのか分からなくなってしまいます。
例えば、「3年後に営業部でマネジメント職になる」という目標を立て、短期目標として「営業成績を上げる」という目標を立てたとします。しかし、この目標は抽象的すぎて、具体的に何をすればよいのかが分かりません。そのため、「営業成績を上げる」という目標をより具体的に設定していく必要があります。
例としては下記のようになります。
「今月、商談数を20件に増やし、そのうち契約率を20%にする」
上記のような目標であれば、足りなかった部分が商談数だったのか、それとも契約率だったのかということが明確になるため、より具体的な改善活動を行うことができるようになります。
M:Measurable(測定可能)
目標を設定する際には、測定可能なものにすることが重要です。理由としては①進捗状況や達成度を確認でき、評価基準も明確になる、②軌道修正もしやすくなるの2点です。
先ほど挙げた、「今月、商談数を20件に増やし、そのうち契約率を20%にする」という例であれば、「例月の進捗を基準に中締めまでにあと何件商談数が必要」や「1週目の契約率が15%だからもう少し契約率の改善を行う必要がある」といったように、進捗を把握しやすくなり、またもし高すぎる目標設定だった場合は軌道修正も行いやすくなります。
A:Achievable(達成可能)
SMARTの法則の3つ目は、達成可能な目標を設定することです。
例えば先月の商談数が10件、成約率が5%だったにも関わらず、「今月、商談数を20件に増やし、そのうち契約率を20%にする」という目標を立てた場合、達成可能性は著しく低くなってしまいます。このように高すぎる目標を設定してしまうと、目標自体が形骸化し、モチベーションの低下に繋がります。
しかしながら、達成が容易な目標を設定してしまうことにも注意が必要です。
あまりにも簡単な内容の目標を設定してしまうと、そもそも目標のことを意識せず業務に取り組んでしまうため、業務に対するモチベーション自体は高いとは言えなくなってしまいます。そのため、現実的に達成できるかできないかギリギリのラインの目標を設定し、努力のモチベーションにつなげていくことがコツです。
R:Related(上位目標との関連)
目標を設定する際には、個人の目標が上位目標と関連したものになるよう意識することが重要です。理由は、個人の目標達成が組織や会社の成長に貢献することにつながり、それが自分自身のやりがいにも直結するからです。会社の方向性と関係のない目標を設定してしまうと、たとえ個人として成果を出せたとしても、全体としての評価につながりにくく、達成感が得られにくくなります。
例えば、「今月、商談数を20件に増やし、そのうち契約率を20%にする」という目標は、単に商談数を増やすだけではなく、契約率を維持しながら成果につなげることを意識したものです。これが会社の「新規顧客の開拓」や「成約率向上」といった方針と合致していれば、個人の成果がそのまま会社全体の成長にもつながることとなります。
もし、会社の方向性を考えずに「とにかく商談数を増やす」「商談数は少なくとも契約率だけ上げる」といった目標を立てた場合、個人目標は達成したとしても会社の成長には紐づかない可能性があります。
会社の方向性に沿った目標を設定するためには、まず自分が所属するチームや会社の方針を理解することが大切です。
その上で、「今月、自分が何を達成すれば、それが組織全体にどう貢献するのか?」を考えながら目標を立てると、個人の成長と会社の成長を両立させることができます。
T:Time-bound(期限)
目標設定をする際には、必ず期限を設けることが重要です。理由は、期限がないと「いつかやればいい」と考えてしまい、行動に移せなくなるからです。人は締め切りがないと、つい後回しにしてしまうものです。しかし、期限が決まっていれば、そこから逆算して「何をいつまでにやるべきか」を明確にでき、具体的な行動計画へと落とし込むことができます。
例えば、「課長職に昇進する」という目標があったとしても、期限を決めなければ「そのうち努力しよう」となりがちです。しかし、「3年後の4月までに課長職に昇進する」と具体的な期限を設定すると、そこから逆算して「2年後にはリーダーポジションを経験する」「1年後には主要プロジェクトを担当する」「半年後にはマネジメント研修を受ける」といった具体的なステップを決めることができます。期限があることで、目標を達成するための道筋が明確になり、計画的に行動できるようになります。
3年後の目標設定方法
ここまで、目標設定に必要な要素やSMARTの法則について解説してきました。
これらの知識を踏まえ、実際の目標設定の手順について解説していきます。
STEP1:モチベーショングラフの作成
3年後の目標を設定する際、最初に取り組むべきことはモチベーショングラフの作成です。なぜなら、自分自身を知ることで「本当にやりたいこと」や「向いていること」を明確にできるからです。
目標を立てる際に、「なんとなく周りに合わせて決めた」「世間的に良さそうだから」という理由だけで決めてしまうと、いざ行動に移す段階でモチベーションが続かず、達成が難しくなってしまいます。そのため、まずは自分の過去を振り返り、どんなときにモチベーションが高まったのか、逆にどんなときに落ち込んだのかを整理することが大切です。
モチベーショングラフとは、人生の中で経験した出来事と、そのときのモチベーションの変化をグラフ化したものです。横軸に時間(過去から現在まで)、縦軸にモチベーションの高さをとり、嬉しかったことや達成感を感じたことは上向きに、辛かったことや挫折を経験したことは下向きに記録します。
例えば、「学生時代に部活で大会優勝したときはモチベーションが最高潮だった」「初めての転職で環境に馴染めず落ち込んだ」といったように、自分の感情の浮き沈みを可視化してみると、過去の傾向が見えてきます。この作業を通じて、「自分はどんな環境や状況でモチベーションが上がるのか」「どんな仕事が向いているのか」「どのような目標ならワクワクできるのか」ということが分かってきます。
それらを踏まえ、自分の価値観やあり方も見えてきます。「人と協力して何かを達成したときに一番嬉しかった」という傾向があるのであれば、個人事業主のように働くのではなく、チームで成果を出すことを重視したものにするのが適切かもしれません。逆に、「新しいことに挑戦するときにモチベーションが上がる」と分かれば、変化の多い環境で成長を目指すのが向いている可能性があります。
STEP2:3年後の目標を発散で多めに記載する
モチベーショングラフを作成したら、次にやるべきことは「とりあえずなりたい姿」をできるだけ多く書き出すことです。この際、目標が実現可能かどうかを考えるのは後回しにし、まずは「こんな風になっていたらいいな」と思う理想の姿を自由に書き出してみましょう。自分の視野の中で現実的なものばかり書いてしまうと、自分の可能性を狭めてしまう可能性もあります。
この段階では、モチベーショングラフをもとに「自分がどんなときにモチベーションが上がったか」「どんな状況ならワクワクするのか」を意識しながら、自分の「あり方」から逆算して目標を発散させていきます。例えば、「チームの中心になっている」「海外で働いている」「新しいサービスを立ち上げている」「専門スキルを極めている」など、具体的な職種や環境に縛られず、なりたい姿をできるだけ多く書き出すことがポイントです。
また、一度に完璧な目標を決める必要はありません。むしろ、目標を多めに書き出しておき、そこから人と相談しながら削っていくほうが、納得感のある目標を設定しやすくなります。「この目標はやっぱり違うかも」「これとこれを組み合わせたら面白そう」といった気づきが得られることもあるため、一人で考え込まず、発散することを意識しましょう。
このステップの目的は、現実的かどうかを気にせず、自分が本当にやりたいことやワクワクすることをできるだけ多く洗い出すことです。より具体的なものは次のステップで整理していくので、まずは自由に目標を書き出してみましょう。
発散しても目標を上手く記載できない人へ
目標を自由に書き出そうと思っても、なかなか思いつかず手が止まってしまうこともあります。その場合は、いくつかの視点を変えて考えてみると、発想が広がりやすくなります。
まず、「具体的な職業やポジション」を考えようとすると難しく感じる場合があります。そういうときは、「どんな状態なら自分は充実感を得られるか?」 という視点で考えてみましょう。たとえば、「チームを引っ張っている」「自由な時間が多い」「誰かの役に立っている」といった感覚的なキーワードでも構いません。そこから、「じゃあ、それを実現するにはどんなキャリアや環境が考えられるか?」と逆算して考えると、目標が見えやすくなります。
次に、「好きなこと」や「得意なこと」を思い出してみるのも有効です。モチベーショングラフを振り返りながら、「どんなときに楽しかったか?」「どんなときに頑張れたか?」を整理すると、自然と「こういうことをしていたい」という目標につながります。「人と話すのが好き」なら営業職やマネジメント、「新しい知識を得るのが好き」なら専門職や研究開発、「自分のアイデアを形にするのが楽しい」なら企画や起業といった形で発展させることができます。
それでも目標が浮かばない場合は、「身近な人やロールモデルにしたい人」を思い浮かべてみるのも一つの方法です。「あの人みたいな働き方をしたい」「この人のような影響力を持ちたい」といった視点から、自分が目指す姿を考えてみると、目標の方向性が定まりやすくなります。
重要なのは、最初から正解を求めないことです。目標は途中で変わっても問題ないので、まずは自分の興味や価値観に基づいて、できるだけ多くの可能性を書き出してみましょう。
STEP3:人に相談しながら目標を絞っていく
書き出した目標は、一人で決めるのではなく、人と相談しながら絞っていきましょう。自分では気づかなかった見落としや、目標の実現可能性について、第三者の視点から具体的なアドバイスをもらうことができます。
特に、自分のことをよく知る人に相談すると、「こういうスキルが必要になりそうだから、今の環境で達成できるかも考えてみたら?」といった具体的なフィードバックを受けられるため、より納得感のある目標を設定しやすくなります。
また、「発散の段階で目標をあまり書き出せなかった」という場合は、先に人に相談して、一緒にアイデアを広げていくのも有効です。一人で考えていると、「これは現実的じゃないかも」と無意識に制約をかけてしまうことがありますが、他者と話すことで「そんな選択肢もあるのか」「その視点はなかった」といった新しい気づきを得られます。
相談相手は、信頼できる友人や家族、職場の上司や同僚、あるいはキャリアアドバイザーやメンターなど、自分の性格や能力を理解している人を選ぶのがポイントです。そうすることで、「この目標は本当に自分に合っているのか?」「このまま進んで大丈夫か?」といった不安を解消しやすくなり、より実現可能な目標へとブラッシュアップすることができます。
STEP4:目標に向かって行動してみる
目標を決めたら、次に大切なのは実際に行動を起こすことです。どれだけ明確な目標を設定しても、行動に移さなければ達成には近づけません。行動することにより、「目標が現実的かどうか」「どの部分に課題があるのか」「どんな調整が必要なのか」が見えてきます。
この際、小さな成功体験を積み重ねることができるように行動していくことがおすすめです。はじめはハードルが低いものからスタートし、徐々に難易度を上げていくことで、「自分はできる」という実感を得ることができます。
どんな目標であっても、達成のためには行動することが必要です。たとえ少し失敗してしまっても落ち込まず、粘り強く動き続けましょう。
STEP5:再度目標を設定する
目標を立てて行動を始めたら、その目標を都度見直し、再設定することが重要です。
実際に行動してみて初めて分かることも多くあるため、それに合わせて目標を調整することで、より精度の高い目標に近づけていきましょう。立てた目標が必ずしも最初から完璧であるとは限りません。行動の中で新しい気づきが生まれたり、想定していた難易度や環境が異なったりすることもあります。そのため、定期的に目標を振り返り、必要に応じて修正を加えることで、目標自体がより良いものになっていきます。
ここで注意しなければならないことは、「目標の方向性を大きく変えない」ということです。最初に設定した目標を短期間でコロコロ変えてしまうと、一貫性がなくなり、結局何を達成したいのかが曖昧になってしまいます。
たとえば、「3年後に管理職になりたい」と考えていたのに、半年後に「やっぱり全然違う分野に転職しよう」と大きく方向転換してしまうと、それまでの努力が無駄になりかねません。目標の軸はブレさせずに、「達成までのプロセスを微調整する」という意識を持つことが大切です。
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3年後・5年後・10年後の目標設定方法 例文
ここまで、目標設定の方法について説明してきましたが、具体的な進め方がイメージしにくい方もいるかもしれません。
ここでは具体例について紹介していきます。
目標設定の例文(3年後)
3年後の目標例として、具体的なものは以下の通りです。
例①:営業職の場合
目標:「3年後の4月までに、チームリーダーとしてメンバー5名をマネジメントし、売上目標の120%を安定して達成できるようになる」
行動プランの例
1年目:商談スキルを向上させ、目標達成率を120%以上にする
2年目:後輩育成に関わり、リーダーシップを発揮する機会を増やす
3年目:マネジメント研修を受け、チームリーダーとしての役割を確立する
例②:エンジニアの場合
目標:「3年後までに、バックエンドのスペシャリストとして社内外の技術カンファレンスに登壇し、技術ブログを年間12本執筆する」
行動プランの例
1年目:社内の技術勉強会に参加し、発表経験を積む
2年目:外部カンファレンスに応募し、登壇に向けた準備を進める
3年目:技術ブログを月1回投稿し、社外にも知見を発信する
目標設定の例文(5年後)
前述した目標例に紐づく形で設定した5年後の目標設定例は以下の通りです。
例①:営業職の場合
3年後の目標:「3年後の4月までに、チームリーダーとしてメンバー5名をマネジメントし、売上目標の120%を安定して達成できるようになる」
5年後の目標:「5年後までに営業部門のマネージャーに昇進し、10名以上のチームを統括。売上目標の130%を安定して達成し、社内の営業戦略の策定にも関与する」
行動プランの例
4年目:チームの規模を拡大し、より大きな案件を扱う経験を積む
5年目:営業戦略の立案に関与し、社内で影響力を持つ立場にステップアップ
例②:エンジニアの場合
3年後の目標:「3年後までに、バックエンドのスペシャリストとして社内外の技術カンファレンスに登壇し、技術ブログを年間12本執筆する」
5年後の目標:「5年後までに、開発チームのテックリードとして技術戦略の立案に関与し、エンジニアリング組織の生産性向上に貢献する。加えて、業界のカンファレンスで登壇し、社外でも技術的な影響力を持つエンジニアになる」
行動プランの例
4年目:社内で技術リーダー的な役割を担い、チームの生産性向上に関与
5年目:正式にテックリードとして、組織の技術戦略に関わる立場へ移行
目標設定の例文(10年後)
ここまでの例を踏まえた上での10年後の目標例は以下の通りです。
例①:営業職の場合
5年後の目標:「5年後までに営業部門のマネージャーに昇進し、10名以上のチームを統括。売上目標の130%を安定して達成し、社内の営業戦略の策定にも関与する」
10年後の目標:「10年後までに、事業責任者として営業戦略の立案から実行までを統括し、会社の成長に貢献する。また、自分の経験を活かし、若手営業の育成や組織作りにも関わる」
行動プランの例
7年目:部門の売上戦略を立案し、より大きな意思決定に関与
10年目:事業責任者として経営レベルで営業戦略を統括
例②:エンジニアの場合
5年後の目標:「5年後までに、開発チームのテックリードとして技術戦略の立案に関与し、エンジニアリング組織の生産性向上に貢献する。加えて、業界のカンファレンスで登壇し、社外でも技術的な影響力を持つエンジニアになる」
10年後の目標:「10年後までに、CTO(最高技術責任者)または技術顧問として、企業の技術戦略の策定とエンジニア組織のマネジメントを担う。また、技術コミュニティにも積極的に関与し、業界全体に影響を与える存在になる」
行動プランの例
7年目:CTO補佐や技術戦略を担う役割に移行
10年目:CTOまたは技術顧問として、技術経営に関与
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まとめ
本記事では、3年後の目標設定方法を中心に、中長期における目標の立て方について解説していきました。
キャリアは自分で作ることが重要になってきている現代において、自分自身で目標を立てて動いていくことは非常に重要です。
みなさんも本記事を参考に目標設定を行い、よりよいキャリアを築いていきましょう!
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