日々の業務をこなす上で、目標の有無はモチベーションに大きく関わるポイントです。しかし目標があっても内容が曖昧な場合、「何をどうしたらよいのか」がわかりにくくなってしまいます。そんな時に取り入れるべきなのが、目標の数値化です。
目標の数値化は従業員のモチベーションを高め、業務の生産性を向上させるための明確な指標となります。また目標を数値化することによって、業務を公平かつ正確に評価することも可能になります。さらに目標に基づいてゴール達成のための計画や行動の指標を設定することで、必要に応じてプラン修正が必要な可能性に気づくことができます。
しかし、主にどういったプロセスで数値化していくのか、具体的なイメージが湧きにくいと感じる方も多いかもしれません。
この記事では、目標の数値化の概要から始めて、数値化のメリット、手順、コツ、成功のための事例などについて、具体例を交えながら解説していきます。
目標の数値化とは?
目標の数値化とは、達成すべき目標について数値を用いて設定することです。
例えば「売り上げをアップさせる」「顧客を獲得する」という曖昧な目標ではなく、「売り上げを前年よりも○%アップさせる」「営業先を増やし、顧客を年間で〇人獲得する」のように、具体的な数字を用いて目標を設定します。
曖昧な目標を掲げてしまうと、従業員が何をどこまで達成すればよいとされるのかが分からず、適切な施策や行動に取り掛かることが難しくなってしまいます。目標を数値を用いて定義することによって、個人の行動計画を立てやすくなり、目標の進捗状況や達成度を定量的に把握しやすくなります。また、行動の結果を評価しやすくなることで、チームや部門、企業全体の目標を具体化する手段として広く活用されています。
このように、目標を数値化することにより、従業員やチームとしても、自分たちの達成度を明確に把握でき、満足度を得られると共に新たなモチベーションにつながります。さらに、数値化した内容に基づいて客観的な判断が可能となり、業務の効果的な評価や戦略の修正が行えるようになります。
目標を数値化するメリット
目標を数値化することによって具体的にどんなメリットが得られるのでしょうか?ここでは4つのメリットとその理由をご説明します。
1.行動計画の立案がしやすくなる
1つ目は、行動計画の立案が容易になるというメリットです。
目標を数値化することによって、期日までにどのくらいのペースで数字を追うべきなのかが逆算しやすくなります。そのため、達成までに取り組むべき事柄を洗い出し、どのくらい実施すればよいのか、その具体的な回数までもを明確にすることが可能になります。
例えば、営業部門が「自社サービスを導入してくれる取引先を、1ヵ月で4か所獲得する」という数値化された目標を設定したとします。この月刊目標を達成するには、チームとして週に何か所営業をかけるべきなのか、従業員一人あたり何か所担当するべきかの個人目標も逆算できるようになります。(また、数値での明確な目標の共有により、チーム内での目標への認識が統一されます。)
このように、どの目標にする数値か明確になることによって、行動計画の内容だけでなくその数や量までが具体化され、達成までの計画が立てやすくなります。
2.進捗・達成度が分かりやすい
2つ目は、目標に対する進捗や達成度が分かりやすくなるというメリットです。数値化により達成までの中間地点で目指すべき目標も明確となり、現状との比較がしやすくなるからです。
例えば、「年間で1億円の売上を出す」という目標を設定したとします。この目標を設定した場合、半期での目標売上は単純計算で「5000万円」となります。半期の決算が終わった時点で7000万円の売上が出ている場合、この年間目標は達成できることが予測できます。また、半期で5000万円に満ちていなかった場合には、施策や個人目標の見直しが必要となり、残る半期での挽回に向けて準備を行うことも可能になります。
このように、目標を数値化することによって途中で進捗や達成度を正確に把握できるため、最終的な目標達成を見据えた対策が可能となります。
3.目標達成できなさそうな時に軌道修正しやすい
3つ目は、目標達成が難しそうな時にも軌道修正が容易になるというメリットです。目標が数値化されていることによって進捗状況が把握でき、目標達成までの難易度を予測しつつ達成までのプロセス見直すことができるからです。
例えば、途中経過から目標達成が難しいと判断された場合に、従来の施策が適切であったのか、どのように数字を改善していくかといった新たな方法を考え、達成を目指すチャンスとなります。これにより、途中で状況を判断し、必要に応じて計画を修正することができます。
このように、目標を数値化することによって経過に合わせた軌道修正を行い、目標達成に向けてより効果的にアプローチすることができます。
4.評価が公平になり評価の納得度が上がる
4つ目は、評価が公平に行われ、従業員の評価の納得度が上がるというメリットです。具体的な数値が設定されることで、目標までの達成度合いが把握しやすくなり、従業員は自分の成果や評価について客観的に納得ができるようにになるからです。
例えば、顧客満足度を数値化し、従業員の成績に反映させたとします。この場合、満足度を「よかった」「悪かった」のように感情で表現するよりも、5段階評シートなどで具体的に数値化することにより、どのくらいよかったのか、平均と比べて長けているのか等も把握できるようになります。またこの評価制度に目標数値を設定することによって、足りない部分に気づくことができ、自身を客観的に振り返るきっかけとなります。
このように目標を数値化することによって、評価の公平性と判断の明確化が促進され、従業員の納得度も上がります。
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目標を数値化するデメリット
目標を数値化することには、ここまでに説明したようなメリットがある一方で、次のようなデメリットが発生する恐れもあります。デメリットについても正しく理解し、適切な運用を心がける必要があります。
1.数値主義になる事がある
目標を数値化していくとメリットが多い反面、プロセスにおいて数値を優先しすぎる「数値主義」になる可能性が懸念されます。なぜなら、感情や倫理的な側面、クオリティなどの数値で測れない要素が軽視されやすくなるからです。
例えば、クリエイティブな業界や革新的な取り組みにおいては、数値以外の価値や成果が大きいことがありますが、数値のみで効果を判断していると、これが見過ごされてしまう可能性があります。また、数値主義が過度になりすぎると、達成のためなら倫理や法律を無視する傾向が出てくることがあります。そのため卑怯な手段をつかう従業員が出てくる可能性があり、組織にとってはリスクとなります。
そのため「数値だけがすべてではない」ことを周知させる必要があります。目標設定や評価の際には、あくまでも数値だけでなく、品質、顧客満足度、従業員の満足度、社会的責任など、より包括的な視点を持つことが望まれます。
2.数値化していない業務を軽視する事がある
数値を達成することで高く評価される環境においては、「数値化できない業務には意味がない」と考える人が出てくる可能性が懸念されます。なぜなら、数値化されていない業務や成果の価値や貢献度合いが認識されにくくなってしまうからです。
例えば、社内でチームのメンバーが困っていた時にサポートをしたとします。この場合の”協力”という対応は数値化することができず、目標達成に直接的に関わっているわけでもありません。このような場合に、数値で測ることのできる「目標数値の達成」を重視しすぎてしまうと、それに比べてサポートや協力が軽視され、チームの連携がおろそかになる可能性があります。
このように、数値目標を達成することに直接的な関わりがなくても必要な、様々な仕事を軽視しない組織づくりが重要です。数値化されていない業務に関しても評価の声がけなどを心がけましょう。
数値主義にさせないコツ
では、数値主義にさせないためは具体的にどのような取り組みが考えられるでしょうか?
例えば、人材評価制度をつくる際には、評価カテゴリを能力評価と成績評価に分け、その基準を透明かつ公平に設定することが重要です。こうすることで、数値目標の達成だけでなく、オンボーディング(新人教育や導入プロセス)、他部門との連携、問題解決能力、チームでの貢献など、数値以外の重要な能力や行動も評価の対象とします。
その上で、数値目標を達成できた際には成績評価としてボーナスを増やすなどの仕組みがあることにより、数値で測れるもの、測れないものの双方を大切にする方針を見せることが効果的です。
このように、数値化できる成果、数値化できない成果の両方を認め、メンバーへの評価に反映させる人材育成やマネジメント、組織のシステム作りも重要となります。
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目標を数値化する手順
ここまでは数値化のメリットやデメリットを中心に説明しましたが、具体的に、どのように目標を数値化してゆけば良いのでしょうか?
ここでは数値化の手順と、設定の際のコツについて紹介します。
STEP1:目標を決定する
手順の1つ目は、目標の決定です。
このとき目標が具体的ではなく、曖昧かつ抽象的なものになってしまうと、数値化するのも困難になります。目標は漠然としたものではなく、具体的に設定しましょう。具体化する手順として、まず目標を立て、「その目標に対してどうすれば良いのか」を掘り下げていくと良いでしょう。
例えば、「売上を増やす」という漠然とした目標では、どの時点の売上に対してなのか、どのくらい増やしたら達成になるのかが曖昧です。目標達成の判断をどう行うかを想定し、「年間売上を昨年より30%増加させる」という具体的な数値目標にします。
そのため、まずは達成したい項目について明らかにし、その上で目標を数値化するプロセスに取り掛かりましょう。
STEP2:ゴールまでのプロセスを数値化する
手順の2つ目は、目標達成までのプロセスの数値化です。
なぜなら、最終的なゴールに対する数値化を行うだけでなく、プロセスごとに数値化を行うことで、より達成がしやすくなるからです。目標を数値化する際には、漠然とした状態から「数値にできる状態」にまで落とし込む必要があります。目標を具体的に定義したら、目標を達成するまでにどういったプロセスの数値化が必要かを考えましょう。
例えば「昨年の売上に対し、110%を超える」が最終目標であれば、目標を達成するためにはどういったプロセスが必要かを考えます。このとき「昨年の売上÷12か月」の金額を、毎月売り上げたい目標値として設定することが前提となります。その上で、最初の3か月間に関しては「新規顧客5社を獲得する既存クライアントに対しサービスのランクアップを検討してもらう」といった目標を掲げることにより、目標数値の達成に近づけることも可能です。
このように、設定した目標達成までのプロセス上においても数値化を行うことで、達成を確実なものへと近づけることができます。
STEP3:目標の数値がメンバーのレベルに応じているかを確認
最後に、従業員のレベルに応じて最終目標の数値を確認します。なぜなら、メンバーによってレベルや得意分野に差があり、全員に同じ成果を達成してもらうとキャパシティに合わなくなる可能性があるからです。
例えば、「昨年の売上に対し110%を超える」という目標を掲げたとします。この目標を達成するには、毎月「昨年の売上÷12か月以上を達成する」というプロセスが必要になります。しかし、入社2年目の新入社員や部署異動をしたばかりの社員にとって、毎月決められた数字を達成するのは難しいかもしれません。その場合には、「四半期の売上平均額が規定の数値を超えればよい」などと定めるとよいでしょう。
このように、メンバーそれぞれの能力やキャパシティを把握し、それに見合った目標を数値化させることが必要です。
目標設定で抑えておきたいSMARTの法則
SMARTの法則とは、目標の数値化に役立つフレームワークの事です。下記の英語のそれぞれの頭文字を取った用語であり、これら5つの要素が、目標を達成させて成功するためのの5つの要因と考えられています。
- S:Specific(具体的)
- M:Measurable(測定可能)
- A:Achievable(達成可能)
- R:Related(上位目標との関連)
- T:Time-bound(期限)
SMARTの原則を活用することで、組織目標を社員全員に落とし込んでいく際に、方向性がはっきりとし目標を立てやすくなります。事業ごとに適切な組織目標を掲げることは、市場の動向を分析し、連動した計画戦略を策定していく上で重要なポイントとなります。
ここではSMARTの法則を使った目標設定の方法を解説していきます。
S:Specific(具体的)
目標を数値化する際には、「具体的であるか」が重要です。なぜなら、抽象的な目標を設定してしまうと、後で成果を振り返った際に自分の仕事が良かったのか悪かったのかが判断できないため、目標を設定した意味がなくなってしまうからです。
抽象的に「売り上げを上げる」といった抽象的な表現で目標を設定してしまうと、達成したかどうかが評価できません。この目標を数値化する際には、「売り上げを先月より10%上げる」のように「どのくらい成果を伸ばしたいのか」の項目が定量化されていると、達成の基準がわかる適切な目標設定といえます。
そのため、目標はどんな内容をどのくらい達成したいのかを具体的に数値で設定し、達成に必要な行動の判断がつくようにする必要があります。
M:Measurable(測定可能)
目標の数値化には、「測定可能であるか」を意識しましょう。なぜなら、測定可能であることにより成果が具体的に把握しやすくなり、評価も公平に行えるためです。具体的な数値や基準があれば、どれだけ進んでいるか、どれだけ残っているかが明確になります。これにより、必要な調整や追加の努力が明確になり、目標達成のための方向性が定まります。
例えば、「上半期における新規顧客獲得数を前年同期比で20%増加させる。」のように数値を設定することによって、自分たちが現時点でどれだけ達成しているのか、達成の見通しがあるのかが可視化されます。自分の体感ではよく頑張ったと思っている場合でも、達成率に結果が出ていなければその施策は効果的ではなかったということになります。
このように、数値化することは運用している施策の効果を測り、自分たちの状態を客観的に把握する手段にもなります。
A:Achievable(達成可能)
目標を数値化する際によくあるミスとして、達成困難な数値を設定してしまう事が挙げられます。目標数値は、簡単ずぎず、難しすぎず、しかしある程度達成可能であることが重要です。なぜなら、非現実的な高すぎる数字は挫折感を与えてしまい、モチベーションを損なう可能性があるからです。
達成可能な目標は、挑戦的である一方で、現実的に達成可能な範囲内に設定されています。これにより、目標達成へのモチベーションが保たれやすくなります。
例えば、1ヶ月で売り上げを2倍にするという目標を立てたとします。もちろん取引先が増える見込みがあるなど、達成の予測が出来ていれば問題ありません。しかし、見込みないのに無謀な目標を立ててしまうと、メンバーはむしろやる気を無くしてしまいます。また、目標を大幅に設定し未達成となってしまうと「何が課題だったのか?」がわかりにくくなってしまうので、メンバーの成長や能力強化に繋がりません。
このように、目標数値は、挑戦的である一方で、現実的に達成可能な範囲内に設定されていると、目標達成へのモチベーション向上に繋がります。
R:Related(上位目標との関連)
目標を数値化する際には、上位目標の数値との間に関連性があるかを確認しましょう。なぜなら、関連性のない数値目標によっては一貫性のある取り組みが行われにくくなってしまうからです。
例えば、会社としての目標が「先月より売り上げを100万円アップさせる」だった場合に、営業部が関連性を考えずに「50万円の売上アップ」にしかならない目標を立て、施策を行っていたとします。この状態には組織目標との指標のズレがあります。
このように、上位目標と関連性を持たせた目標の数値化により、組織での目標を達成可能なものにします。また、組織で掲げる目標を意識しながら行動できることで、チームの生産性を向上させ、従業員のモチベーションも保たれます。
T:Time-bound(期限)
目標設定の際には、いつまでに達成を目指すかの期限を数値化することが重要です。なぜなら、期限がないと行動計画を立てることができず、仕事の効率化も難しくなってしまうからです。
目標設定の際には、年間や半年ごとに期限を設定し、そこから逆算して四半期や月間の目標、そしてできる事なら一週間や1日の目標を作っていく事がおすすめです。細かいアクションや期限が決まっていることによって、進捗の管理がしやすくなり、優先順位が明確になるほか、早めに改善すべき点を発見できます。
また、月末や期末の期限を決める際は、「3/31」という期日ではなく、「3/31 17:59まで」のように時間まで決める事をおすすめします。なぜなら、営業などでお客様それぞれが異なる時間に契約を完了させた場合などに、成果の計算基準が必要となるからです。
このように、目標に明確な期限を設けることによって必要な作業や行動を計画し、時間内に完了させるためのスケジュールを立てやすくなります。
KGI・KPI
代表的な目標設定の方法として、「KGI(Key Goal Indicator)」「KPI(Key Performance Indicator)」の2つがあります。一見よく似た制度に見えますが、それぞれ異なる目的や考え方を持った制度です。
このセクションでは、KGI、KPIの2つの目標設定の特徴を解説します。
KPIとは
KPIとは、KGIを実現するための中間目標を指します。KPIは、KGIを設定することによっておおよその目標値を算出することが可能になります。
例えば、営業部の「売り上げ600万・受注数10社」というKGIに対して、KPIは「月50社の商談・月1000回の架電」と設定できます。これをさらに細分化すると、日々のKPI目標は「毎日50回の架電」となります。KPIは細かく提示しておく方がメンバーが目標達成をするイメージが湧きやすくおすすめです。
しかし、KPIを評価にどれくらい組み込むかは会社の状況と相談する必要があります。例えば、「評価の50%を月の売り上げ、評価の50%を月1000回の架電」に設定したとします。その場合、架電は500回で売り上げが2倍の人と、架電は2000回なものの売り上げが0.5倍の人の評価が同じになってしまい、これでは本末転倒です。KGI・KPIをどれくらい評価に組み込むかは、会社の状況やビジネスモデルによって納得できる形に調整するのがおススメです。
このように、KGIと同時にKPIも具体的な数値で設定し、目標の達成を目指しましょう。
KGIとは
KGIとは、最終目標のことを指します。目標を数値化させる上では、「売上高」など数字で測れるものを指標に設定するのがおすすめです。営業部であれば、 「売上高を前年比120%上昇させる」のようにシンプルなKGIを設定する事がおすすめです。
また、カスタマーサポートなど売り上げの数字が出せない部署の場合は、「顧客満足度を前年比10%上昇させる」のようにお客様にアンケートをとって定量化をすることがおすすめです。総務なども同様に、「コストを前年比10%削減する」と定量化をする事ができます。
このように数字で目標設定をする方が達成率が測りやすく、達成までのプロセスにおいても部署や個人の細かな目標の設定に役立ちます。
営業部の目標設定例
目標の数値化を適切に行う事ができると、売り上げの向上ができるだけでなく、従業員のモチベーションの向上が期待できます。適切な数値目標によって、メンバーのスキルも上がります。
ここでは営業部における目標設定の考え方の例をいくつかご紹介します。
KPIツリーを作る
目標設定には、KPIツリーというフレームワークがおススメです。
まずは営業目標のKGIを決めます。次に、KGIを達成する際に中間指標とするKPIを決めましょう。この時、KPIを追っていけばKGIが達成されるようにKPIを設定する必要があります。また、KPIの達成率が曖昧になってはいけないので、各KPIにおいては数値目標を決めるようにしましょう。
このKPIを考える際に、KPIツリー(ロジックツリー)を作っていきます。KGIをTOPに置き、階層構造を持たせながらKPI、サブKPI、サブサブKPIという順に設定していくと良いでしょう。例えば、KGIが「月の売り上げ600万」の場合下記のようなKPIツリーになります。この図から、より注力するべきKPIを設定して、場合によっては評価と絡める事でメンバーのアクションを誘導します。
数字をもとに細かい目標を設定する
もう一つが、目標数値から細かい目標を算出していく方法です。
例として、新規開拓の営業部で「月の売り上げ600万」を目指す営業マンの目標について解説します。
この「売り上げ600万」という目標のままだとKPIを設定しにくいので、契約したい社数に変換します。商材の値段が決まっていれば、「600万÷商材の値段」で出ますが、プランによって値段が変わる商材も多いので、その場合は今までのデータから商材の平均単価を出します。
計算式としては「今までの売り上げ÷今まで契約した社数」になります。目標が600万なので、平均単価を割ることで、今回契約しないといけない社数を出す事ができます。
例えば商材の平均単価が60万だとすると、今回追うべき社数は600万÷60=月10社になります。
仮に電話で商談機会を獲得し、商談する営業スタイルの場合は、ここから1日で何社に電話をかけないといけないかを計算します。
例として、電話をして商談機会を獲得できる確率が5%(電話獲得率5%)、商談から受注する可能性が20%(受注率20%)だとします。この場合は、10社契約するためには、10社×5=50社の商談アポイント)が必要です。さらに、50社の商談をするには、50社×20回=1000回の架電が必要です。さらに営業日を20日とすると1000回÷20日=50回で、毎日50回の架電が必要です。
営業時間が8時間で、うち2時間を商談時間に費やす、業務時間や会議が1時間あるとすると8時間(業務時間)-2時間(商談時間)-1時間(業務時間や会議)=5時間(架電時間)の計算になり、5時間で50回の架電が必要です。
そのため、1時間で10回の架電をすれば目標達成することになります。
最初は上記のような細かい数字を上司が全て算出してしまっても良いですが、時間が経つにつれて部下自身に任せるようにすることで、部下の思考力を向上させる事ができます。
まとめ
このように、目標を数値化して設定することには進捗が明確に確認できたり、人事評価の透明性が高まったり、人材育成の活性化が期待できます。
しかし、数値を重視しすぎてしまうと悪影響を及ぼす恐れもあるため、活用には十分な注意が必要です。適切な目標の数値化で、従業員の意欲向上や成長のサポートを図ってみてはいかがでしょうか。
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