1on1ミーティング導入企業5社の事例|ヤフー・楽天・テモナなど
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングとは、週に1回30分や、隔週に1回30分といった短いサイクルでリーダーとメンバーが定期的に1対1で対話することです。
1on1ミーティングに関する2つのデータ
4割以上の企業が導入している1on1ミーティング
1on1ミーティングはアメリカのシリコンバレーで、人材育成を目的としたマネジメント方法として確立され、多くの企業に導入されました。
その後日本でもヤフー株式会社などが取り入れたことから注目を集め始め、現在では国内でも多くの企業が導入している非常にポピュラーなマネジメント手法の一つです。
ある調査では従業員数に関わらず、約4割の企業が1on1ミーティングを導入しているという結果が出ています。
管理職ばかり満足している1on1ミーティング?
上記の通り、多くの企業が1on1ミーティングを有効だと考え、導入しています。
しかし、実際に1on1ミーティングを受けている従業員は1on1に対してどのような印象を持っているのでしょうか?
独自のガイドブックを作成するなど、1on1ミーティングに力を注いでいる企業の社内アンケートでは、従業員の90%以上が日常的に実施している1on1ミーティングを「非常に有効」だと感じているという結果が出ました。
その一方で、ある調査では、管理職の約65%が1on1ミーティングを他の業務と比べて優先度が高いと答えているのに対し、一般社員は半分以下の約45%しか優先度が高いと答えなかったという結果が出ています。
これは、現場と管理職のギャップが生まれてしまっているといえます。
このように、1on1ミーティングはただ導入するだけでは満足いく結果が得られないことが多く、ポイントを押さえながら実施する必要があります。
1on1ミーティングのポイントは、後ほど詳しく解説します。
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1on1ミーティング導入企業5社の事例
1on1ミーティングを導入することで、どのような効果を得られるでしょうか?
次は、1on1ミーティング導入に成功した、実際の企業の事例を紹介します。
ヤフー株式会社:才能と情熱を解き放つ
ヤフー株式会社は、ポータルサイトやネットオークション事業など、幅広い事業展開をしている会社です。
ヤフーは、2012年に日本でいち早く1on1ミーティングを導入し、その後1on1ミーティングが注目されるきっかけとなった企業といえます。
現在は、約7000人の従業員のうち9割が隔週で1回以上、約30分の1on1ミーティングを実施しています。
導入当初は、上司と部下のコミュニケーション不足を解消することが目的でした。
そして現在は、次の2つを目的としています。
- 経験学習の促進
- 社員の才能と情熱を解き放つこと
ヤフーの主要領域であるIT業界は、変化がとても激しい領域です。
そのため、社員は常に新しいことを学び、環境の変化に対応しなければなりません。
この変化に対応するためには、経験学習が大切です。経験学習とは、仕事の経験や失敗、成功から学習し、次の仕事に活かすことです。
1on1ミーティングは、フィードバックをもらい改善していく性質から、経験学習に役立ちます。
また、ヤフーは会社の成長のためには個々の従業員の能力を最大化する必要があると考えています。
そのため「部下の才能と情熱を解き放つ」という人材育成コンセプトのもと1on1を実施し、アドバイスを与えたり、支援をしたりすることで部下自身が気づいていない潜在力を引き出しています。
楽天グループ株式会社:お互いが学び続ける学習する組織へ
楽天グループ株式会社は、楽天市場や楽天トラベルなど、インターネット関連サービスを中心に事業展開している会社です。
楽天では、2017年から1on1ミーティングを全社的に実施しています。
楽天もヤフーと同じく、変化の激しいIT業界が主要領域です。
そのため全従業員が自主的に学び、成長し続けることが必要です。
楽天では、管理職が直属の部下に対して、30分の1on1ミーティングを毎週や隔週で実施しています。
その際、上司から部下への「指導」を禁止しており、お互いが学び続けられる「学習する組織」の構築を目指しています。
また、1on1は「相手の成長のみを考えてするプレゼント」「お互いの価値観を深く知る機会」という考えがあり、1on1は人事評価には結び付けていません。
コネクティッドソリューションズ社:1on1によって企業風土を改革
コネクティッドソリューションズ社は、家電業界のトップであるパナソニック株式会社の社内カンパニーとして、BtoB事業を手掛けている会社です。
パナソニック株式会社は歴史が長く、その社内カンパニーであるコネクティッドソリューションズ社も「部下が上司に気を遣うという」という昔からの企業風土が定着していました
しかし、和を尊ぶあまりに自由な発想が出にくい状況に陥っていました。
そこで、上司と部下の関係性に変革を起こすために1on1ミーティングが導入されました。
導入にあたって重要性を納得してもらうため、係長以上の社員約1800名に事前研修をしました。
更に上司・部下それぞれに分けた1on1ミーティングのパンフレットを作成し、傾聴や部下との接し方など、気を付けるポイントを周知させました。
導入前は上層部や現場から不安の声が多くありましたが、事前研修受講者の約9割、部下の約7割が満足しているというアンケート結果が出ています。
実際に1on1ミーティング導入後は上司と部下の関係性にも変化が見え始め、部下が積極的に業務に取り組むようになり、自由に考えて意見を言うという企業風土に生まれ変わりました。
株式会社テモナ:1年で離職率が20%から0%に低下
2017年4月に東証マザーズに上場した株式会社テモナは、ソフトウェアの企画・開発などをしている会社です。
同社では、業務過多の状況や精神的ストレスの負荷などによってカスタマーサポートチームの離職率が高くなってしまいました。
そこで、離職率低下を目的として1on1ミーティングを導入しました。
1on1ミーティングは
- チームの良い点
- チームの課題
- 課題はどうやったら改善できるか
以上3つのテーマに沿って実施されました。
その結果、コミュニケーションがうまく行われていないという課題が発見され、解決策として朝・夕のコミュニケーション時間の拡大と各メンバーの考えていることを話す「ぶっちゃけ会」を定期的に開催することになりました。
その結果、たった1年で離職率を20%から0%に低下させることに成功しました。
また、副次的な効果として一人ひとりの課題解決力や生産性の向上も見られました。
株式会社ディー・エヌ・エー:新入社員の育成と配属先決定
株式会社ディー・エヌ・エーは、ソーシャルネットワーキングサービスやモバイルゲーム事業などを展開し、プロスポーツチームを保有することでも広く知られている企業です。
同社では、入社直後の研修段階から1on1ミーティング導入しており、新入社員の育成や配属先決定に1on1を活かしています。
管理職側よりも近い距離でサポートができるように、研修期間中に先輩社員がメンターとしてローテーションでつきます。
このメンターと新入社員で1on1ミーティングをします。
メンターは新入社員の強みや悩み・目標などを理解した上で研修中のサポートをし、各新入社員に最も適した配属先を決定します。
更に1on1ミーティングの記録を残しておくことで、配属先でも継続して実施する1on1でデータを継続できるという良さがあります。
配属先への納得感や、悩みを相談できる環境を提供することは、業務へのモチベーションアップや離職率の低下に繋がります。
特に新卒者は、仕事に対する不安や悩みを抱えやすく、心や体の健康を崩して早期離職してしまうことがあります。
実際に、大卒新卒者の約3人に1人が3年以内に離職しているというデータがあります。
新卒者の離職は企業にとって大きな損失となってしまうため、1on1ミーティングなどによって離職防止に努めることは大切です。
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1on1ミーティングを導入する際の注意点
ここでは1on1ミーティングを導入する際の注意点を解説します。
定期的に実施する
1on1ミーティング導入時の注意点1つ目は、定期的に実施することです。
1on1ミーティングは、頻度がとても重要です。
そのため1回あたりの時間は15分など短くてもよいので、定期的に行うことを心がけましょう。
週に1回、時間と曜日を決めて実施することが理想ですが、最低でも月1回を目安に実施しましょう。
また、完璧な1on1を求めてはいけません。
1on1に正解は存在しません。完璧な1on1を目指す必要はなく、うまくいかなかった場合は「うまくいかなかった」と認識して、とにかく継続することを心がけましょう。
心理的安全性を確保する
1on1ミーティング導入時の注意点2つ目は、心理的安全性を確保することです。
1on1ミーティングは、上司が話すよりも部下に話してもらうことが重要です。
そのため、部下が話やすい雰囲気を作らなくてはいけません。
相槌を打ったり、共感を示したりすることで部下が話やすい雰囲気づくりを心がけましょう。
また、部下に話してもらう中で、部下が本音で自分自身の悩みや考えと向き合うことも重要です。
本音で忌憚なくお互いに話をするためには、心理的安全性が欠かせません。
心理的安全性とは、気兼ねなく発言ができたり、本来の自分を安心してさらけ出したりできる環境のことです。
心理的安全性が高い環境は1on1ミーティング実施の目的として挙げられることが多い、離職率の低下や生産性向上に繋がります。
自主性を重んじる
1on1ミーティング導入時の注意点3つ目は、自主性を重んじることです。
1on1ミーティングで課題を発見したり、相談された時は、すぐに答えを教えてはいけません。
答えを教えるのではなく、部下が自分なりに解決策を考えられるように質問や問いかけによってアシストするという姿勢で1on1を実施しましょう。
そうすることでビジネス環境の変化が激しい現代で求められる、自律的に考え行動できる人材育成に繋がります。
1on1ミーティングにおすすめのツール
1on1ミーティングは簡単に始められるという良さがあります。
しかし、上記のように定期的な実施や、リーダーはなにを話すべきか事前に決めておき、メンバーも事前に聞きたいことを整理しておくといった事前準備をしなければ、1on1ミーティングを有意義な時間にできません。
このように、簡単に始められる一方で、予定の調整や話す内容を毎回決めるための労力が必要なため、なかなか継続できないというケースが多くあります。
これらの問題を解決する、1on1支援ツールとして「Co:TEAM(コチーム)」というサービスがあります。
Co:TEAM(コチーム)はスケジュール管理やアジェンダ提案など、1on1ミーティング支援機能に加え、目標管理や称賛・フィードバックをそれらと有機的につなぐパフォーマンスマネジメントツールです。
Co:TEAM(コチーム)について詳しく知りたい方は、以下よりご覧ください。
- 目標管理や評価の課題を解決する「パフォーマンスマネジメント」とは?
- なぜ今「パフォーマンスマネジメント」が注目されているか?
- Co:TEAMの機能・できる事
- 導入時のメリットと事例
また、1on1ミーティングの目的は部下の育成、成長支援にあります。
そのため、これまでのような人事評価の面談や進捗管理のための面談とは異なり、事前準備や効果を出すためにスキルが求められます。
一方で、単なる業務上の報連相の場になってしまう事や、上司からの一方的なフィードバックになってしまうケースも少なくありません。
1on1においては、課題解決のために上司が部下に伴走していくような姿勢が求められ、積極的に聞き役に徹することができるようなコミュニケーションスキルが必要となります。
1on1ミーティングをしっかりと継続し、有意義な時間にするためには、1on1管理・支援ツールを活用しましょう。
下記の記事ではCo:TEAM(コチーム)を含めた、おすすめの1on1管理・支援ツールを8個比較して紹介しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
まとめ
1on1ミーティングは、わかりやすい仕組みで、実施し始めることも簡単です。
しかし、実施して高い効果を得るためには、多くの注意すべきことや、活用できるツールがあります。
この記事が少しでも、1on1ミーティングを実施するための助けになれば幸いです。
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