人事評価制度を廃止した企業事例5選|廃止条件と残す機能

▼ この記事の内容

人事評価制度の廃止は、評価機能をなくすことではなく、年次一括評価やランク付けを見直し、目標、対話、報酬判断、記録を別の形で残す取り組みです。自社で判断するには、管理職の対話力と報酬の説明責任を確認します。

人事評価制度を廃止した企業事例は、ノーレイティングや継続的フィードバックの文脈で語られることが増えています。背景には、年1回の評価だけでは仕事の変化に追いつきにくいという課題があります。

一方で、制度をなくせば評価への不満が消えるわけではありません。目標設定、フィードバック、昇給・昇格判断、記録運用を残さなければ、現場の不透明感はむしろ強まります。

この記事では、人事評価制度を廃止した企業事例5選を整理し、何を廃止し、何を残したのかを確認します。自社で廃止できる条件と、残すべき機能も人事向けに整理します。


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人事評価制度を廃止した企業事例5選

評価制度を廃止した企業は、点数や年次レビューをなくした一方で、目標、対話、報酬判断の仕組みは残しています。

企業見直したもの残した機能
Adobe年次評価とランク付けCheck-in、目標、報酬判断
Accenture従来型の年次評価継続的なフィードバック
Deloitte年次レビュー中心の運用短い確認と週次対話
Microsoftスタックランキング協働を重視した評価
GE評価中心の管理継続的な対話と育成

Adobeは年次評価とランク付けをCheck-inへ移行

Adobeは、2012年に年次評価とレーティングを見直し、Check-inと呼ばれる継続的な対話へ移行しました。目標、成長、フィードバックを期中に扱う仕組みです。

同社は、年次評価が煩雑で、ランク付けが協働を妨げる面を課題としていました。現在の説明でも、Check-inは四半期の対話や目標記録を重視しています。

人事が学べる点は、評価を消したのではなく、会話の頻度と記録の場所を変えたことです。報酬判断も、継続的な対話を材料にしています。

つまり、廃止対象は年次一括の評価プロセスです。目標、フィードバック、成長支援、報酬判断は、別の運用として残されています。

Accentureは年次評価から継続対話へ移行

Accentureは、従来型の年次評価から、Performance Achievementと呼ばれる継続的なフィードバック運用へ移行しました。期中の対話を重視する変更です。

同社の発表では、従業員が年間を通じてタイムリーなフィードバックを受けられる方向へ変えると説明されています。出典はAccentureの発表です。

この事例では、評価面談を年1回に閉じないことがポイントです。管理職が期中に期待値を伝え、本人が早く軌道修正できる状態を作っています。

人事が導入する場合は、面談回数だけを増やすのでは不十分です。誰が、いつ、何を記録し、次の支援へつなぐかを決める必要があります。

Deloitteは年次レビュー中心から短い確認と週次対話へ移行

Deloitteは、年次レビュー中心の評価制度を見直し、短い確認とマネジャーによる継続的な対話を重視する仕組みに移行しました。負担軽減と改善促進が狙いです。

Harvard Business ReviewのReinventing Performance Managementでは、従来プロセスが目的に合わなくなった背景が説明されています。

同社の示唆は、評価資料を大きく作り込むより、現場で使える短い確認を増やすことです。人事は、評価のための事務作業と育成のための対話を分けます。

ただし、短い確認にも設計が必要です。昇格、報酬、育成判断に使う情報を、どの粒度で残すかを先に決めます。

Microsoftはスタックランキングを廃止し協働を重視

Microsoftは、従業員を相対的に順位付けするスタックランキングを廃止し、協働や成長を重視する方向へ評価運用を見直しました。過度な社内競争への課題が理由です。

この事例で廃止されたのは、社内で従業員を強制的に序列化する仕組みです。評価そのものや成果確認がなくなったわけではありません。

相対評価は、報酬原資の配分を決めやすい一方で、協働を妨げることがあります。人事は、自社の評価制度がチーム成果を阻害していないかを確認します。

廃止する場合は、個人貢献とチーム貢献をどう説明するかが重要です。評価基準を曖昧にすると、相対評価より不透明に見えることがあります。

GEは評価より育成に寄せた継続対話へ見直し

GEは、評価中心のパフォーマンス管理を見直し、継続的な対話や育成を重視する方向へ移行した事例として知られています。リアルタイムの優先順位も扱います。

Deloitte Insightsは、GEがレーティングを外し、継続的な接点や即時フィードバックを取り入れた例として紹介しています。参照先はDeloitte Insightsです。

学べる点は、評価制度を人材育成の文脈に戻したことです。成果を判定するだけでなく、次の行動や支援を早く更新する仕組みにしています。

人事は、自社で同じ変更ができるかを管理職の行動で確認します。日常的なフィードバックを実行できない場合、制度だけを変えても定着しません。

企業は何を廃止し、何を残したのか

廃止事例を見ると、なくしたのは評価機能そのものではありません。年次一括処理、強制順位付け、形骸化した面談が主な対象です。

廃止されたのは評価そのものではなく年次一括処理

多くの企業が廃止したのは、年1回の評価面談、点数付け、強制順位付け、膨大な評価資料です。評価の目的や報酬判断をなくしたのではなく、古い運用を別の形へ置き換えています。

年次一括処理は、期末に情報が集中しやすい運用です。仕事の変化が早い職場では、評価時点で古い情報をもとに話すことがあります。

継続的な対話へ移行すると、本人は早く期待値を知ることができます。上司も、支援や目標修正を期中に行いやすくなります。

残された機能は目標・対話・報酬判断・記録

評価制度を見直しても、目標設定、フィードバック、報酬判断、昇格判断、記録は残す必要があります。これらがないと、組織運営の説明責任を果たせません。

目標設定は期待値をそろえ、フィードバックは期中に改善する機会を作ります。報酬判断は、昇給や賞与を決める材料として残ります。

記録も重要です。口頭の対話だけでは、評価根拠や支援履歴を確認できず、異動や管理職交代の際に情報が失われます。

ノーレイティングと評価制度廃止は同じではない

ノーレイティングは、従業員に点数や等級評価を付ける運用を見直す考え方です。人事評価制度を完全になくすことではなく、評価情報の扱いを変える設計です。

ノーレイティングでも、目標、対話、報酬判断、昇格判断は残ります。違いは、点数中心ではなく、継続的な対話と総合判断に寄せる点です。

人事は、評価の目的を分解します。育成、処遇、配置、昇格を一つの評価シートで扱っている場合、廃止より前に目的別で再設計します。

自社で廃止できる条件

自社で評価制度を廃止できるかは、対話、報酬判断、記録の3条件で確認します。制度名より、代替運用の成熟度で判断します。

管理職が継続的にフィードバックできる

評価制度を廃止できる条件の一つは、管理職が継続的にフィードバックできることです。年1回の評価をなくすほど、日常の対話品質が重要になります。

管理職が忙しく、期中に部下と話す時間を確保できない場合、廃止後に情報不足が起きます。本人も、何を期待されているのか分かりにくくなります。

人事は、1on1や中間面談の実施率だけでなく、記録内容を確認します。支援内容、次回確認日、目標修正の履歴が残っているかを見ます。

報酬決定の代替基準を説明できる

評価制度を廃止するなら、報酬決定の代替基準を説明できる必要があります。点数やランクをなくしても、昇給や賞与の判断は残ります。

代替基準には、成果、役割、行動、スキル、組織貢献、難易度などがあります。どれを重視するかを明確にしないと、現場は不公平だと感じます。

人事は、報酬会議の判断材料を事前に定義します。管理職の感覚だけで決めると、制度廃止後の方が説明しにくくなります。

目標と成長課題の記録を残せる

評価制度を廃止しても、目標と成長課題の記録は残す必要があります。記録がないと、本人の成長支援や異動時の引き継ぎが難しくなります。

記録する項目は、目標、期待行動、フィードバック、支援内容、次回確認日です。長文の評価コメントより、次に使える情報を残します。

人事は、記録ツールと運用ルールを整えます。紙や表計算のままでも始められますが、部署横断で確認するならシステム化も検討します。

廃止してはいけない条件

評価制度を廃止してはいけないのは、代替運用がない状態です。基準、対話、報酬説明が弱いまま制度を消すと、不透明感が増します。

評価基準が曖昧なまま制度だけ消す

評価基準が曖昧なまま制度だけ消すと、廃止後の判断が個人の印象に寄りやすくなります。点数がなくなっても、公平性の問題は残ります。

基準がない職場では、成果を出した人と支援が必要な人を説明できません。昇格や配置の判断も、納得感を得にくくなります。

人事は、制度廃止前に評価基準を棚卸しします。残す基準、統合する基準、現場で使われていない基準を分けて見直します。

管理職の対話力に依存しすぎる

評価制度を廃止すると、管理職の対話力への依存が高まります。面談が得意な上司と苦手な上司で、部下の受け取る支援に差が出ます。

継続的フィードバックは、自然に発生するものではありません。質問例、記録項目、頻度、フィードバックの型を人事が用意します。

管理職研修だけで終わらせず、面談記録を見ながら支援します。記録が薄い部署や、次回行動が残らない部署には個別に介入します。

昇給・昇格の説明責任を残していない

昇給・昇格の説明責任を残していない場合、評価制度の廃止は危険です。処遇判断は続くため、説明材料がないと不満が集中します。

点数をなくす場合でも、判断の根拠は必要です。成果、役割、能力、行動、組織貢献をどのように見たのかを説明できる状態にします。

人事は、報酬や昇格の会議体を設計します。管理職だけでなく、人事が横断的に妥当性を確認する仕組みを残します。

廃止より先に見直すべき機能

評価制度を廃止する前に、目的、基準、面談、記録を見直します。制度をなくす判断より、残す機能の設計が成果を左右します。

評価目的と制度範囲を分けて定義する

まず、評価目的と制度範囲を分けて定義します。育成、処遇、配置、昇格を同じ評価制度で扱うと、廃止時に何を残すべきか見えにくくなります。

育成目的なら、頻繁なフィードバックと成長課題の記録が重要です。処遇目的なら、報酬判断の基準と会議体が重要になります。

人事は、自社の評価制度が何を担っているかを一覧化します。廃止する前に、機能ごとの代替運用を決めます。

1on1と評価面談を接続する

1on1と評価面談を接続すると、評価制度を見直しても期中の情報が残ります。日常の対話と期末判断が分断されると、認識差が出ます。

1on1では、目標に対する進捗、障害、支援を扱います。評価面談では、その記録をもとに成果と次の成長課題を整理します。

人事は、面談記録の項目をそろえます。上司の自由記述だけに頼らず、支援内容や次回確認日を残す形式にします。

関連情報と資料で制度見直しを補完する

評価制度の廃止判断は、ノーレイティング、MBO、評価基準、1on1、運用改善とつながります。関連情報を確認し、自社の制度範囲に合わせて見直します。

人事は、廃止を目的にせず、評価への納得感と成長支援を高めるために何を変えるかを決めます。制度名より、現場で使える運用へ絞ります。

以下の関連情報も確認すると、制度廃止の判断を評価基準、面談、目標管理の実務へ接続しやすくなります。

関連情報1として、1on1で目標設定を扱う方法も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

関連情報2として、MBO制度の基本と運用も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

関連情報3として、人事評価制度の運用改善も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

関連情報4として、評価基準の作り方も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

関連情報5として、人事評価制度の問題点も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

関連情報6として、人事評価の目的と種類も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

関連情報7として、人事評価制度を見直す観点も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

関連情報8として、ノーレイティングの基本も確認すると、人事評価制度を廃止する前に残すべき機能を整理しやすくなります。確認した内容は、制度見直しや管理職向け説明の材料にできます。

よくある質問

人事評価制度の廃止について、人事や管理職から出やすい質問を整理します。廃止判断と代替運用の両方から確認します。

人事評価制度を廃止すると評価は不要になりますか?

評価そのものは不要ではなく、廃止されるのは年次一括評価や点数付けなどの運用です。目標、対話、報酬判断、昇格判断、記録は別の形で残し、説明責任も維持します。人事も確認します。

ノーレイティングと評価制度廃止は同じですか?

同じではありません。ノーレイティングは点数やランク付けを見直す考え方です。評価制度廃止はより広い表現で、目標設定、報酬判断、記録などをどう残すかまで設計します。

評価制度を廃止する前に何を確認すべきですか?

管理職が継続的に対話できるか、報酬決定の代替基準を説明できるか、目標と成長課題の記録を残せるかを確認します。3点が弱い場合は、廃止より制度改善を優先します。人事が運用実態も見ます。

まとめ

人事評価制度を廃止した企業事例では、年次一括評価、ランク付け、形骸化した評価面談が主に見直されています。評価機能そのものは残っています。

廃止後も、目標設定、継続的フィードバック、報酬判断、昇格判断、記録は必要です。これらを残さないと、評価の不透明感が強まります。

自社で廃止を検討する場合は、管理職の対話力、報酬判断の代替基準、記録運用を確認します。条件が整わない場合は、廃止より評価基準と面談運用の見直しを優先します。

評価制度を廃止すべきか、見直すべきかを現場運用まで含めて整理したい場合は、以下の資料をご確認ください。


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