1on1の目標設定方法|形骸化を防ぐ5ステップと運用ルール

▼ この記事の内容

1on1の目標設定は、評価のための提出作業ではなく、本人の成長課題と組織の期待をすり合わせ、次回までの行動を決める対話です。現状整理、希望と組織目標の接続、行動分解、合意、振り返りの5ステップで進めます。

1on1で目標を扱っていても、毎回の会話が進捗確認や雑談だけで終わると、目標設定は形骸化します。本人の成長や組織成果につながる行動が決まらないためです。

人事が現場に展開するときは、マネージャー任せにしすぎず、対話の目的、記録項目、月次の見直し方をそろえる必要があります。自由な対話と共通の型を両立させます。

この記事では、1on1で目標設定を行う目的、5ステップの進め方、良い目標の条件、形骸化する原因、人事が用意すべき運用ルールを整理します。

1on1の目標設定を現場でそろえたい方は、先に対話設計と記録項目の型を確認できます。


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1on1で目標設定を行う目的

1on1の目標設定は、評価のために目標を提出させる場ではありません。本人の成長課題と組織が期待する役割をすり合わせ、次の行動を決める場です。1on1全体の前提として、1on1の目的と進め方も確認しておくと、目標設定の位置づけをそろえやすくなります。

支援現場では、目標が形だけになっているかどうかを、本人の発言量ではなく、次回までの行動、支援者、確認日が残っているかで判断します。3点のうち1つでも欠ける場合は、目標の表現より先に、1on1の記録項目を見直します。

目標設定を評価でなく行動支援に使う

1on1で目標設定を行う目的は、評価点を決めることではなく、本人が次に取る行動を明確にすることです。上司は目標の妥当性だけでなく、達成に必要な支援も確認します。

評価面談と同じ調子で進めると、メンバーは正解を探す発言になりやすくなります。1on1では、現在の課題、本人の意思、次回までの行動を具体化します。

目標を行動支援に使うと、期末に結果を振り返るだけの運用を避けられます。途中で障害や優先順位を見直せるため、育成と成果の両方につなげやすくなります。

人事が確認するポイントは、目標の表現よりも、次回までの行動と支援内容が残っているかです。行動と支援が空欄なら、1on1の記録項目を先に見直します。

1on1全体の設計は、1on1ミーティングの基本設計でも確認できます。目標設定は、対話の目的と記録項目をそろえてから運用します。

上司の指示だけで目標を決めない

1on1の目標は、上司が一方的に指示して決めるものではありません。組織が期待する役割と、本人が伸ばしたい力をすり合わせて決めます。

指示だけで決めると、本人は達成責任を持ちにくくなります。本人の言葉で、なぜその目標に取り組むのかを確認します。

ただし、本人の希望だけでも不十分です。部署目標、役割期待、評価制度の観点を合わせ、実務で意味のある目標へ整えます。

合意前には、本人が自分の言葉で目標の理由を説明できるかを確認します。説明できない場合は、上司の期待と本人の課題のどちらが曖昧かを切り分けます。

形骸化する1on1の兆候を把握する

1on1が形骸化すると、毎回の話題が近況報告や雑談だけになります。目標、行動、支援事項が残らない場合は、次回の対話に接続できません。

兆候として、前回決めた行動を確認していない、目標が半年間変わらない、マネージャーが質問を準備していない状態があります。記録を見れば、対話が次回へつながっているかを判断できます。

形骸化を防ぐには、対話の自由度を残しつつ、最後に次回までの行動を必ず合意します。記録に残す項目も最小限にそろえます。

人事は、全ての1on1内容を細かく管理する必要はありません。目標、行動、支援、次回確認日の4点が残っているかを月次で見れば、形骸化の早期発見につながります。

1on1の目標設定を5ステップで進める

目標設定1on1は、現状整理、本人の希望確認、行動分解、合意、振り返りの5ステップで進めます。順序を固定すると、対話が報告だけで終わりにくくなります。

Step1 現状と期待役割を整理する

事前準備では、現在の業務、期待役割、前回の目標、評価期間の重点を整理します。ここを曖昧にすると、1on1中に話題が広がりすぎ、目標ではなく近況確認だけで終わりやすくなります。

マネージャーは、本人に期待する役割を一文で説明できる状態にします。人事は、役割期待や等級基準を確認できる資料を用意します。

本人側にも、困っていること、伸ばしたい力、次に挑戦したい仕事を考えてもらいます。双方が材料を持ち寄ると、目標が現実的になります。

Step2 本人の希望と組織目標をつなぐ

次に、本人の希望と組織目標の重なりを探します。本人が伸ばしたい力が、部署の成果やチーム課題にどう役立つかを確認します。

重なりが見えない場合は、希望を否定せず、業務内で試せる行動へ置き換えます。たとえば企画力を伸ばしたいなら、次回会議で提案をひとつ出す形にします。

接続ができると、目標は会社都合だけのものでも個人の希望だけのものでもなくなります。本人が納得して取り組める状態を作ります。

Step3 目標を行動単位に分解する

目標は、達成したい状態だけでなく行動単位へ分解します。何を、いつ、どの場面で、誰に対して行うかまで決めます。

「主体性を高める」のような抽象的な目標は、そのままでは振り返れません。会議で論点を1つ提示する、顧客課題を事前に整理するなど、観察できる行動へ変えます。

目標設定の基本観点は、目標設定の考え方も参考になります。1on1では、制度上の目標を日々の行動へ落とし込みます。

Step4 次回までの行動を合意する

1on1の最後には、次回までの行動を1つから2つに絞って合意します。多く決めすぎると、実行も振り返りも曖昧になります。

合意する内容は、本人が実行でき、マネージャーが支援できるものにします。必要な情報提供、同行、レビュー、関係者調整も合わせて決めます。

行動合意は、指示ではなく約束として残します。次回1on1の冒頭で確認できるよう、記録欄に短く残します。

Step5 振り返りで目標を更新する

次回の1on1では、前回決めた行動を振り返ります。できたかどうかだけでなく、何が進み、何が障害になったかを確認します。

状況が変わった場合は、目標を固定し続けません。優先順位、期限、行動内容を更新し、本人の成長と組織の状況に合わせます。

更新を前提にすると、目標設定は一度きりの作業ではなくなります。毎回の1on1が、目標達成に向けた調整の場になります。

良い目標と悪い目標の違い

良い目標は、本人が行動に移せ、マネージャーが支援でき、次回1on1で振り返れる状態です。悪い目標は抽象的で、評価時まで確認できません。

抽象的な目標を具体行動に変える

抽象的な目標は、行動に変換してから合意します。「コミュニケーションを改善する」ではなく、会議前に論点を共有する、相談を週1回行うなどに分けます。

具体化するときは、本人の業務場面に合わせます。同じコミュニケーション課題でも、営業、企画、管理部門では必要な行動が変わります。

目標が具体的になるほど、マネージャーは支援しやすくなります。レビュー、同行、情報提供など、支援方法を行動に合わせて選べます。

SMARTの観点で目標を確認する

目標の確認には、具体性、測定可能性、達成可能性、関連性、期限の観点が使えます。Atlassianのチーム向けプレイブックでも、目標、兆候、測定方法を分けて成功条件をそろえる考え方が示されています。AtlassianのGoals, Signals, Measuresを参考に、対話で確認します。

1on1では、SMARTをチェックリストのように機械的に当てはめません。本人が理解でき、実務で使える目標になっているかを確認します。

期限がない目標は振り返りにくくなりますが、次回1on1、月末、四半期など、確認するタイミングを先に決めます。測定可能性は、必ず数値だけを意味しません。行動の実施有無、提出物、周囲からの反応など、確認できる材料を決めれば振り返れます。

参考:Goals, Signals, Measures|Atlassian Team Playbook

評価項目と育成テーマを分ける

1on1では、評価項目と育成テーマを分けて扱います。評価項目は制度上の成果確認で、育成テーマは本人が伸ばす行動やスキルです。

両者を混ぜると、本人は評価されるための発言を選びやすくなります。育成テーマでは、課題や不安も話せる状態を作ります。

分けて扱うことで、評価制度を無視せず、1on1の心理的な話しやすさも保てます。目標設定の場面では、どちらの話題かを明確にします。

目標設定1on1が形骸化する原因

形骸化の原因は、進捗確認だけで終わること、目標が多すぎること、マネージャーごとの運用差です。人事は、最低限の型を用意してばらつきを抑えます。

進捗確認だけで対話を終えない

進捗確認だけで終わる1on1は、報告会になりやすいです。数字やタスクの確認だけでは、本人の悩みや支援が必要な点が残りません。

進捗を聞いた後は、次に何を変えるかを確認します。続ける行動、やめる行動、支援が必要な行動を分けると、次回に接続できます。

マネージャーは、進捗が遅れている理由を責めるのではなく、障害を一緒に特定します。対話が支援につながると、本人も目標を話しやすくなります。

目標を絞り優先順位を明確にする

目標が多すぎると、1on1で何を振り返るべきか分からなくなります。重要な目標を1つから3つに絞り、優先順位を決めます。

目標を減らすことは、期待を下げることではありません。重点を絞ることで、本人の行動とマネージャーの支援を集中できます。

優先順位が曖昧な場合は、組織目標、本人の役割、期限の近さで並べます。次回1on1で最初に振り返る項目を決め、同じ重みで扱わないようにします。

マネージャーごとの運用差をなくす

マネージャーごとに質問や記録項目が違うと、1on1の品質がばらつきます。人事は、最低限確認する項目と記録形式をそろえます。

ただし、台本を細かくしすぎると対話が硬くなります。共通項目は、目標、行動、支援、次回確認の4点程度に絞ります。

ばらつきを減らすには、マネージャー向けに良い記録例を共有します。実例があると、現場は運用イメージを持ちやすくなります。

人事が現場へ展開する運用ルール

人事は、1on1の目的、記録項目、月次確認、制度との接続を現場へ展開します。自由な対話を残しながら、目標設定の型を共通化します。

1on1シートで記録項目をそろえる

1on1シートを使うと、目標、現状、次回までの行動、支援事項を同じ形式で残せます。記録項目がそろうと、次回の振り返りがしやすくなります。

記録項目の作り方は、1on1の進め方も参考になります。シートは細かくしすぎず、現場が毎回使える量に絞ります。

記録は、人事が監視するためではなく、本人とマネージャーが約束を忘れないために使います。閲覧範囲も先に決めておきます。

月次で目標と支援事項を見直す

1on1の目標設定は、月次で見直すと運用しやすくなります。毎週大きく変える必要はありませんが、月に一度は目標と支援事項を確認します。

月次レビューでは、達成度だけでなく、行動の実行状況と障害を見ます。支援が足りなければ、マネージャー側の行動も更新します。

人事は、月次で確認する項目をテンプレート化します。現場の負担を増やさず、継続的に目標を見直せる状態を作ります。

ツールと制度で継続できる状態を作る

1on1を継続するには、記録、通知、権限、評価制度との接続を整えます。個人の努力だけに任せると、繁忙期に運用が止まりやすくなります。

目標管理システムを使う場合は、目標管理システムの運用設計のように目標と進捗を一元管理する観点も確認できます。1on1の記録と評価情報を分断しないことが重要です。

制度とツールを整えても、対話の質は自動では上がりません。マネージャーへの支援、質問例、振り返り例を合わせて用意します。

関連する1on1と組織づくりの論点

1on1の目標設定は、時間設計、話題、記録、効果測定、組織づくりの論点とつながります。必要な論点を分けて確認すると、現場展開の優先順位を決めやすくなります。

効果を測る段階では、1on1の効果測定1on1の時間設計を確認します。測定指標と時間配分を同時に見ると、目標設定1on1の負担と成果を調整しやすくなります。

対話内容を整える段階では、1on1の話題設計部下側の準備1on1運用のコツを使い分けます。目標設定だけでなく話題と準備もそろえると、次回までの行動合意が残りやすくなります。

制度や組織設計まで見直す場合は、キャリアパス設計OKRの運用方法メンバーの自律性組織設計組織力の記事へ接続します。1on1で決めた行動が制度や役割期待とずれる場合は、この段階で上位設計を見直します。

よくある質問

1on1の目標設定は何から話すか

最初は、本人の現状と期待役割を確認します。いきなり目標を決めず、困っていること、伸ばしたい力、部署目標との接点を整理してから、次回までの具体行動へ落とし込みます。

1on1の目標は何個に絞るべきか

最初は1つから3つに絞ると運用しやすくなります。多すぎると振り返りが曖昧になるため、組織目標、本人の役割、期限の近さで優先順位を決め、次回確認する行動も少数にします。

人事は目標設定にどこまで関わるか

人事は全ての対話に入るのではなく、目的、記録項目、月次確認、閲覧範囲、マネージャー向けの質問例を整えます。現場が自走できる型を作り、運用状況を定期的に確認します。

まとめ

1on1の目標設定は、評価提出のためではなく、本人の成長課題と組織の期待をすり合わせ、次回までの行動を決めるために行います。

進め方は、現状整理、本人の希望と組織目標の接続、行動分解、次回までの合意、振り返りによる更新の5ステップです。

形骸化を防ぐには、進捗確認だけで終えず、目標を少数に絞り、マネージャーごとの運用差を減らします。人事は最低限の型と記録項目を整えます。

1on1を目標達成と育成につなげたい場合は、以下のガイドで対話設計と運用テンプレートを確認できます。


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