【完全版】1on1ミーティングとは?目的・効果・やり方・話す内容について徹底解説!

近年、日本でも1on1ミーティングの導入が進み、人事施策として広く知られるようになりました。しかし目的や効果を十分に理解した上で実施できているケースは少なく、「導入したがうまくいかない」という声も多く聞かれます。

知識が不足したままでは、1on1ミーティングの効果を最大限発揮することは困難です。そこで本記事では、目的や背景から具体的な進め方まで徹底的に解説し、効果的な1on1の実践に役立つ情報を提供します。

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1on1ミーティングとは?

1on1ミーティングとは、「1対1で部下と管理職などの上司が定期的に話す施策」のことを言います。「部下の相談への対応」「部下のスキルアップ」のような目的で実施することが多いです。

1on1と人事評価面談の違い

1on1ミーティングと従来の人事評価面談の違いを認識するのは難しく、同じものだと考えてしまいがちです。しかし、1on1は従来の人事評価面談とは大きく異なります。

1on1ミーティングは、部下の成長を目的として、週1回から月1回程度の高頻度で実施されます。内容は仕事に限らず、キャリア支援や健康状態など幅広いテーマが扱われます。

一方、人事評価面談は、人事評価の結果や説明の伝達を目的として、半期や四半期に1回など人事評価に合わせて実施され、テーマは人事評価に関することがメインです。

このように、1on1と人事評価面談は目的から実施頻度、話す内容など大きく異なります。

また、より詳細に1on1ミーティングと従来の人事評価面談の違いをより知りたい方は下記のリンクから別記事も参考にしてみてください。

1on1ミーティングの実施目的

1on1の最上位の目的は「会社の課題を解決すること」です。部下を成長させることによって会社の課題を解決していくことが1on1の目的であり、存在意義であるといえるでしょう。

このセクションでは、1on1の実施目的の主要2点を説明していきます。

部下の成長促進

1on1ミーティングの目的1つ目は「部下の成長促進」です。効果的に行えば、部下は大きく成長し、組織全体の成果向上にもつながります。

従業員は日々の業務、人間関係、将来のキャリアなど多くの悩みを抱えています。これを放置するとモチベーションや生産性が下がり、信頼関係の悪化や離職につながる恐れがあります。

そのため、1on1ミーティングでは部下の悩みや現状を正しく把握することが重要です。1on1は、悩みを打ち明けたり現状を共有したりするきっかけとなり、問題の早期発見や解決につながります。

さらに、上司と部下が現状と理想のギャップを確認し、納得感のある行動を取ることで、部下の成長が促されます。あわせて信頼関係も深まり、安心して働ける環境づくりや離職防止にも効果を発揮します。

また、悩みに対して真剣に解決方法を一緒に考え、サポートすることで「会社は自分のことを大切にしてくれる」と感じれば心理的安全性が高まり、会社に対する帰属意識や愛着も芽生えさせることも可能です。

このように、1on1ミーティングを実施することで、部下の成長促進が図られるだけでなく、信頼関係も構築できるようになるのです。

企業の組織力や目標達成力の強化

1on1ミーティングの目的2つ目は「企業の組織力や目標達成力の強化」です。実は1on1はMBOやOKRなどの目標管理と非常に相性の良い施策です。定期的に実施することで、目標の進捗を高頻度で確認でき、達成力の向上につながります。

目標達成の過程では、メンバーだけでは解決できない課題も出てきますが、上司が1on1で相談に応じることで解決を支援できます。進捗が遅れている場合も、早い段階でマネージャーが介入できるため、目標達成の確率を高めることができるでしょう。

このように1on1を継続することで、目標達成力が向上し、人材育成も進み、最終的には組織力の強化につながります。

1on1は「部下のための時間」は日本企業には合わない

一般的に「1on1は部下のための時間」とされ、目標や業務から離れて個人の話をするよう推奨されることが多いので、「目標の話をした方が良い」と聞くと違和感を覚えるかもしれません。これは多くの書籍や記事が「海外の1on1」を事例にしているためですが、実際にはそれをそのまま日本で実行してもうまくいかないケースが多いのです。

原因は「日本と海外で雇用形態の違いがある」ことです。海外では成果重視の雇用形態が一般的で、成果が出なければすぐに解雇される一方、労働者も転職しやすい環境にあります。そのため成果に関するコミュニケーションの質が高く、個人のキャリア形成も重視されます。

一方、日本はメンバーシップ型雇用が主流で、解雇が容易ではありません。その結果、成果に関するコミュニケーションが不足しがちです。したがって、日本企業では1on1の場を活用し、成果に関する対話を積極的に行う必要があります。

日本の多くのマネージャーは、自身も現場で働く「プレイングマネージャー」です。統計によれば、約90%がこの形態に該当します。

プレイング業務とマネジメント業務を両立する彼らは多忙で、1on1の時間を確保するだけでも一苦労です。さらに、多くの企業では「部下のための時間だから上司は傾聴に徹すること」「意見や指示はしないこと」といった制約があり、本来話したい目標や成果に関する議論ができないケースも少なくありません。

その結果、1on1はプレイングマネージャーに過度な負担をかけ、形骸化するリスクが高まります。

そのため、最も忙しいプレイングマネージャーに負担を強いる形ではなく、プレイングマネージャーを助けるため、楽にするために1on1を設計することが非常に重要です。
もちろん、部下のキャリアなどについては重要なので全くしないということではなく、「目標や成果」に関する話も1on1で会話することを私たちはおすすめしています。

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1on1ミーティングが注目されている4つの背景

このように、多くの企業から注目されている1on1ですが、注目されている背景には以下の4点があります。

  • 予測不能なVUCA時代
  • 人材の減少と流動化
  • 多岐にわたるロールモデルの存在
  • ヤフーの1on1

背景1:予測不能なVUCA時代

まず1つ目の背景は「予測できないビジネス環境への変化」です。現代の社会やビジネスは、変化が激しく予測困難な「VUCA時代」と呼ばれています。「VUCAの時代」とは、以下の現代のビジネス環境を表す単語の頭文字をとったものです。

  • V(Volatility):変動性
  • U(Uncertainty):不確実性
  • C(Complexity):複雑性
  • A(Ambiguity):曖昧性

つまり、現代社会は「正解がなく複雑性が増す」環境だと言えます。そのようなVUCA時代において求められるのは、従来の「指示通りに行動する力」ではなく、「自律的に学び成長する力」です。社員にその力を身につけさせ、主体的な姿勢を促す手段として、1on1ミーティングが注目されています。

背景2:人材の減少と流動化

2つ目の背景は「人材の減少と流動化」です。日本では1975年以降、29歳以下の若年人口が減少し、生産年齢人口も縮小し続けています。そのため、少人数で成果を出すには、一人ひとりの生産性向上が欠かせません。

また、終身雇用にとらわれず、キャリアに合わせて転職するのが一般的となり、企業にとっては流動的な人材をどう定着させるかが重要な課題となっています。

このような背景の中で、部下の育成による生産性向上や、モチベーション・エンゲージメントの強化による定着率改善の手段として、1on1ミーティングが注目されています。

背景3:多岐にわたるロールモデルの存在

3つ目の背景は「多岐にわたるロールモデルの存在」です。変化が激しく多様性が重視される現代では、明確なロールモデルは存在せず、理想の人材像も多様化しています。必要なスキルも絶えず変化するため、人材育成も柔軟な対応が求められます。

さらに、技術の進展やコロナ禍によるリモートワークの普及、働き方改革によりマネジメントは一層難しくなりました。こうした変化に対応する手段として、1on1ミーティングを導入する企業が増えています。

背景4:ヤフーの1on1

ヤフー株式会社で導入された1on1ミーティングがビジネスの世界で注目を集めました。

ヤフーのねらいは「上司と部下が深く理解し合うことにより、部下の隠れた才能とやる気を引き出すこと」で、つまり人材の育成でした。人材不足が叫ばれる昨今、企業にとって社員の能力を伸ばすことはどの会社でも緊急の共通課題でしょう。この課題の解決に、1on1ミーティングは非常に高い効果をもたらしたことで、非常に注目を集めました。

また、ヤフーが取り組んだ1on1の手法を記した『ヤフーの1on1』という本がベストセラーとなり、一部のビジネスパーソンが注目していたところから、世間全体で注目を集めたことで、1on1ミーティングが一般に広がりました。


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1on1ミーティングを実施する効果・メリット

本項では、1on1ミーティングのメリットについて説明します。1on1を実施するメリットは以下の9点です。

  1. 会社全体の生産性や売上の向上
  2. 目標達成力が上がる
  3. 部下が成長する
  4. 従業員エンゲージメントの向上
  5. 上司と部下の信頼関係の構築
  6. 経営理念が浸透しやすくなる
  7. 離職率の低下
  8. 心理的安全性が高まる
  9. 公平な人事評価の実現と人事評価業務が楽になる

メリット1:会社全体の生産性や売上の向上

1on1ミーティングを実施するメリット1つ目は「会社全体の生産性や売上の向上」です。1on1によって社員一人ひとりのパフォーマンスやモチベーションが高まることで、組織全体の成果につながります。

さらに、1on1で日々の業務を振り返り、改善策を話し合うことで人材育成が促進されます。成長した社員が増えることで、成果を出せる人材層が厚くなり、業績向上も期待できます。

またコミュニケーション量が増加し、信頼関係が築かれることで、部下からの新しい意見が出やすくなり、会社の成長や新しい発見も生まれる可能性もあるでしょう。

メリット2:目標達成力が上がる

1on1ミーティングを実施するメリット2つ目は「目標達成力が上がる」ことです。

まず1on1を実施すると「目標の進捗管理を高頻度でできる」ことが理由です。目標達成の過程では、メンバーだけでは解決できない課題が出ることもあります。その際、上司が具体的に助言することで目標達成を支援し、成功の可能性を高められるでしょう。

さらに1on1で「目標達成に向けて今何を重視すべきか」「現状の売上や自身の状態はどうか」「どのような方法を検討・実施するか」などを問いかけることで、行動を具体化し、達成までの道筋を共有できます。

このように1on1で目標に関する対話を重ねることで、達成力は向上します。

メリット3:部下が成長する

1on1ミーティングを実施するメリットの3つ目は「部下が成長する」ことです。1on1ミーティングを効果的に行えば、部下の成長を効率的に支援できます。従業員は日々の業務で悩みや課題を抱えており、特に新入社員は経験が浅いため、さまざまな場面でつまずきやすいものです。

1on1で現状とその課題感を認識して、理想の状態とのギャップを埋めるための行動を上司と部下が納得する形で進めていくコミュニケーションを取ることで、部下の成長が促進されます。

また1on1を記録し続けることで、部下の成長過程を時系列で把握できます。これらの記録は、他の部下を育成する際にも役立ち、過去の社員が直面した悩みや課題、克服のプロセスを共有できます。さらに記録を蓄積することで共通の課題を特定でき、人事施策にも活用可能です。

メリット4:従業員エンゲージメントの向上

1on1ミーティングを実施するメリットの4つ目は「従業員エンゲージメントの向上」です。エンゲージメントとは、従業員が会社に抱く愛着や思い入れを指します。

1on1ミーティングを実施すると、上司と部下の対話が増え、相互理解が深まります。その結果、相談や発言がしやすい心理的安全性の高い環境が生まれます。

また、1on1でキャリア相談やアドバイス、能力向上のサポートを行うことで、部下の自信が高まり、エンゲージメント向上につながります。

さらに、エンゲージメントの向上は社員のモチベーションや定着率を高め、結果として企業全体の生産性向上や売上拡大にも寄与します。なぜなら、エンゲージメントが向上することによって、会社に帰属している意識が増し、企業は一つの方向に向かい、組織全体として一体感を醸成することができるからです。

メリット5:上司と部下の信頼関係の構築

1on1ミーティングを実施するメリットの5つ目は「信頼関係の構築」です。

従来の人事評価面談と異なり、1on1ミーティングでは進捗確認に加え、不安やキャリア、場合によってはプライベートの話もします。こうした深い対話により、上司と部下の心理的距離が縮まり、信頼関係の構築につながります。

信頼関係が築ければ、普段の業務でも意思決定がスムーズになり、効率的に進められるようになるでしょう。

メリット6:経営理念や行動指針が浸透しやすくなる

1on1ミーティングを実施するメリットの6つ目は「経営理念や行動指針が浸透しやすくなる」ことです。1on1ミーティングで経営理念や行動指針(バリュー)について話すことで、部下の行動軸に浸透させやすくなるでしょう。

また、他者の行動を振り返ることで「会社にとって良い行動」を理解するきっかけにもなります。さらに、業務のフィードバック時に「〇〇というバリューを体現しているね」と声をかけるだけでも、理念や指針を浸透させる効果があります。

経営理念や行動指針を浸透させると、チーム全体の方向性が定まることや従業員のエンゲージメントが向上する等のメリットが考えられるでしょう。そのため、1on1ミーティングで経営理念を浸透させることが、企業の持続的な成長に繋がります。


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メリット7:離職率の低下

1on1ミーティングを実施するメリットの7つ目は「離職率の低下」です。
主な離職理由は以下の通りです。

  • 人間関係にストレスを感じる
  • 労働環境・職場環境に不満を抱えている
  • 将来(キャリア)に不安を感じる
  • 理想と現実のギャップを感じる

1on1ミーティングは、職場の人間関係や環境によるストレスを早期に把握し、離職につながる前に対策を講じる有効な手段です。

また、1on1を通じてキャリアプランを一緒に考えることで、将来への不安を解消できます。さらに「やりたいことを実現するにはどうすればよいか」といった具体的なアクションを話し合うことで、理想に向けた成長支援も可能になります。

こうした取り組みにより、従業員は「自分を大切にしてくれる会社」と感じやすくなり、エンゲージメントの向上や離職防止につながります。そのような会社を辞める人は少ないため、1on1ミーティングは離職防止に効果的です。

メリット8:心理的安全性が高まる

1on1ミーティングを実施するメリットの8つ目は、部下の「心理的安全性を高められる」ことです。

心理的安全性が高まる理由は「困っている際にすぐにフォローすることができる」からです。
周りで連携しながらやるチームであれば困っている事に気づきやすいのですが、営業チームなど個人でやる仕事やオンラインで仕事をしている場合はメンバーが困りごとを抱えたままになってしまうことがあります。

1on1で定期的に悩み事がないかチェックする事で現場の困りごとをすぐフォローし、心理的安全性の高い職場環境を構築することができます。

メリット9:公平な人事評価の実現と人事評価業務が楽になる

1on1ミーティングを実施するメリットの9つ目は「公平な人事評価の実現と人事評価業務が楽になる」です。1on1の実施目的にその考え方はなかったと言われることが多いのですが、1on1ミーティングで継続的に記録を残すことは、人事評価の効率化に大きく役立ちます。

日々の1on1で得られた行動や成果を記録しておけば、評価時にはその内容を振り返るだけで判断できます。部下の取り組みが時系列で整理されているため、直近の印象に左右されず、公平で客観的な人事評価が可能になります。

このように、1on1ミーティングを人事評価の仕組みに組み込むことで、評価制度の透明性や納得感が高まり、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

1on1ミーティングの注意点・デメリット

1on1ミーティングの注意点やデメリットは以下の4点です。

  1. 現場の負担が大きい
  2. 形骸化しやすい
  3. 効果が出るまで時間がかかる
  4. 上司にスキルが求められる

注意点1:現場の負担が大きい

1on1ミーティングの注意点の1つ目は「現場の負担が大きい」ことです。効果を最大化するには高頻度で実施する必要がありますが、頻度が高すぎると通常業務に支障をきたす恐れがあります。

1on1は短期的に成果を出すものではなく、持続可能な形で続けることが重要です。組織やチームの状況に応じて適切な頻度や時間を設定しましょう。

負担軽減のためには、共通のアジェンダやルールを設けることが有効です。また「Co:TEAM(コチーム)」のようなツールを導入すれば、準備時間が半減し、会話内容が増えるといった効果も期待できます。

「コチーム」は、1on1の負担を軽減させる機能が充実していますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

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注意点2:形骸化しやすい

1on1ミーティングの注意点の2つ目は、「形骸化しやすい」ことです。ビジネスコーチ株式会社の調査によると、約39.9%の企業が形骸化を問題視しており、50.9%の企業が習慣化・定着化をするための仕組みづくりを課題として設定しています。

1on1ミーティングは、話す内容が曖昧だったり事前準備が不足したりすると、形だけの場になりかねません。目的が理解されず周知もされていないままでは、本来の効果を発揮できません。さらに上司がわかっていても、部下が1on1の意義や活用方法を理解できていない可能性もあります。

形骸化しやすい課題と対処法をフェーズごとに解説している記事はコチラ!

注意点3:効果が出るまで時間がかかる

1on1ミーティングの注意点の3つ目は、「効果が出るまで時間がかかる」ことです。
1on1ミーティングの成果は、すぐに結果が出るものではありません。

人の成長には時間がかかるため、すぐに成果を求めず中長期的な視点で取り組むことが大切です。

1on1の効果は早くて3か月、数年後に実感することもあります。継続して実施すれば必ず成果につながるため、経営・人事戦略に沿って行われているか、現場マネージャーの1on1を定期的に振り返ることが重要です。

注意点4:上司にスキルが求められる

1on1ミーティングの注意点の4つ目は、「上司にスキルが求められる」ことです。

1on1ミーティングを効果的に行うには、上司が部下の本音や潜在的な悩みを引き出すことが重要です。そのためには、話しやすい雰囲気づくりや適切な声かけなどのスキルが求められます。

ただしマネジメント力の差によって1on1の質にばらつきが出やすいため、ルールやガイドラインを設けて標準化することが大切です。さらに必要なスキルを習得する研修を実施すれば、1on1の質を高める効果が期待できます。


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1on1ミーティングのコツや実施ポイント

ここからは効果的な1on1ミーティングを実施するためのコツや意識してほしいポイントについて解説していきます。

1on1のコツや実施ポイントは以下の8点です。

  1. 1on1のおすすめの頻度と時間
  2. 話す内容(アジェンダ)を事前に決めておく
  3. 経験学習サイクルを意識した対話
  4. 部下から上手に話を聞き出す傾聴の姿勢
  5. 意識的に部下を承認する(Good Good Good moreの法則)
  6. 1on1で話した内容をメモする
  7. フレームワークを活用する
  8. 部下に合わせたコミュニケーションをとる

1.1on1のおすすめの頻度と時間

1on1ミーティングの最適な頻度と時間は「週1回30分」です。単なる業務遂行であれば頻繁な対話は不要ですが、1on1は成長促進や生産性向上を目的としているため、週1回の実施が効果的です。

また多くの目標は週単位で設定されるので、進捗確認にも週1回が最適です。短すぎると不十分になりやすく、逆に長すぎても集中力が続かないため、30分は適切な時間と言えます。

なお「月1回や15分ではどうなのか」「実施におすすめの曜日」などの詳細は、下記記事で解説していますのでご覧ください。

2.話す内容(アジェンダ)を事前に決めておく

効果的な1on1のポイント2つ目は「1on1ミーティングの話題(アジェンダ)を事前に決める」ことです。

1on1前に内容を上司と部下で共有しておけば、要点を整理でき、目的に沿った建設的な対話が可能になり、質の向上が期待できます。

またアジェンダを事前に共有し、部下に話す内容を書いてもらえば、1on1の準備時間を短縮でき、忙しいマネージャーにも有効な方法です。

3.経験学習サイクルを意識した対話

コルブの経験学習のサイクル

効果的な1on1のポイント3つ目は「経験学習サイクルを意識した対話」です。「経験学習サイクル」とは、アメリカの教育学者であるコルブが提唱した人が成長する過程を示したものです。1on1ミーティングは「部下の経験学習サイクルを回すことで人材育成を促進する」効果的な手法です。経験学習サイクルは次の4ステップで構成されます。

  1. 経験:具体的な経験をする
  2. 内省:行動を振り返り、フィードバックを受ける
  3. 概念化:学んだことを明確にする
  4. 実践:学びを次の行動に応用する

1on1を効果的にするには、特に「内省」と「概念化」を対話の中で行うことが重要です。日常業務での経験を振り返り(内省)、学びを整理・言語化し(概念化)、その後の行動(実践)に活かす流れを意識しましょう。

実践のためには、部下の思考を整理できるように以下のような順序で質問してあげると効果的です。

  1. 成功した・失敗したプロセスを聴く
  2. 成功・失敗は何に起因したのか
  3. 成功・失敗を再現・予防するために何をすべきか

4.部下から上手に話を聞き出す傾聴の姿勢

効果的な1on1のポイント4つ目は「部下から上手に話を聞き出す傾聴の姿勢」です。うまくいく1on1では、上司が部下の話を引き出す傾聴力を発揮しています。ここでは「部下から話を上手に聞き出す方法」を説明します。

まず、会話を横に展開しながら聞くことです。部下がどんな事を考えて業務をしていたかを網羅的に聞く事で、現在の状況を把握できます。例えば「他にも意識したことはある?」と問いかけると、さまざまな情報を引き出せるでしょう。

次に、広がった話の中から重要と思える点を縦に深掘りすることで、部下の考えをより明確にできます。そうすることで、悩みの原因の把握や解決のためのフィードバックが見えてきます。例えば「〜〜と言っていたけど、具体的にはどんなことしたの?」と具体的に話してもらえるように聞いていくことが重要です。

部下から意見が出にくいときは、上司が仮説を示して質問するのも有効です。

例えば「〇〇にこだわって業務しているのかなと思ったんだけど、合ってる?」と聞けば、仮説の正否にかかわらず、部下に新たな気づきを与えられます。抽象的な質問より具体的に聞くことで、「無意識に〇〇を意識していたのかも」と考えるきっかけになります。

このように話題を横に広げたり縦に深掘りしたりしながら、部下の意見を引き出すことが大切です。部下から自発的に話してくれることが理想ですが、基本的に質問をしないと部下は自らの話をしないと思っていた方が良いでしょう。そのため、上司は上記のような問いかけを意識して工夫することが必要です。

5.意識的に部下を承認する(Good Good Good moreの法則)

効果的な1on1のポイント5つ目は「意識的に部下を承認する」です。

マネージャーはメンバーの成長や目標達成を願うあまり、指摘や厳しいフィードバックが多くなりがちです。しかし、それではメンバーが心を開きにくくなります。1on1では、メンバーが話しやすくなるよう「承認の時間」を設けることが重要です。メンバーが努力した部分などを承認するようにしましょう。

一般的には日本人は、「Good Good Good moreの法則」と呼ばれる程度、3回承認して1回指摘するくらいの頻度が良いとされています。

6.1on1で話した内容をメモする

効果的な1on1のポイント6つ目は「1on1で話した内容をメモする」です。

上司は複数の部下と1on1を行うため、内容が混同したり他の部下の話と取り違えたりする恐れがあります。また1on1に限らずコミュニケーションは生ものなので、議事録を残さなければ内容を忘れてしまう可能性があります。部下としても一度話した内容を忘れられていたり、話してほしくない内容を他の人に話されると信頼関係を構築できる1on1の効果を台無しにしてしまう可能性もあります。

また双方の認識に違いがあっても、すぐに気づいて修正できます。特に行動ベースのネクストアクションを立てる時に双方の認識を揃えることで、迷いなく実行することができるようになるでしょう。

7.フレームワークを活用する

効果的な1on1のポイント7つ目は「フレームワークを活用する」です。1on1の際に会社の事業などについてフレームワークで整理することも効果的です。
効果的なフレームワーク多数を1on1と合わせて使えば、自社が獲得できるプラスの効果をさらに大きくできる可能性を秘めています。
会社の事業環境や強み・弱みなどを把握することで、部下の視座を上げることもできます。
1on1のときに使えるフレームワークについては、下記記事で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

8.部下に合わせたコミュニケーションをとる

効果的な1on1のポイント8つ目は「部下に合わせたコミュニケーションをとる」です。
部下と言っても、一人ひとり違う人間です。「行動力・野心が強い主体的な部下」や「好奇心旺盛で周りと楽しむことが好きな部下」、「論理的で分析力が強い部下」「安定志向が強めな部下」などと様々な性格や強み・弱みを持った部下がいると思います。

そこでおすすめなのが、ソーシャルスタイルに分けて、コミュニケーションを変えることです。「ソーシャルスタイル」とは、1968年に産業心理学者デビッド・メリル氏が提唱した理論で、人のコミュニケーションを4タイプに分類し、相手に応じた適切な対応を選ぶものです。タイプは「主導型・促進型・分析型・支持型」に分けられます。

例えば、支持型の方は会議などではあまり発言しなかったり、自分の意見や疑問などをあまり言わなかったりすることが特徴です。
このような人には、積極的に傾聴してあげることが非常に重要です。
また、傾向として周囲の人の気持ちに良くも悪くも敏感な方が多いので、人間関係においてのストレスを聞き出したり、共感したりすることを意識しましょう。

ソーシャルスタイルごとの接し方や判断方法などについて詳しくは下記資料をご覧ください!

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1on1ミーティングのやり方・具体的な流れ

本項では、1on1ミーティングのやり方・流れについて説明します。効果的な1on1ミーティングの実施の流れは下記のステップを意識しましょう。

ここからは、各STEPを詳細に説明します。

  • STEP0:1on1ミーティングの目的を伝える(初回のみ)
  • STEP1:事前準備・共有、スケジュール・場所の決定
  • STEP2:1on1ミーティングの実施・記録
  • STEP3:次回の日時・場所の決定
  • STEP4:STEP1〜3を継続的に繰り返す

STEP0:1on1ミーティングの目的を伝える(初回のみ)

まず初めて1on1を行う際は、どのような時間で、何を目的としているのかを明確に伝えましょう。目的を共有することで部下は活用方法を理解し、悩みも話しやすくなります。さらに「フォローしたい」という姿勢を示せば安心感が生まれ、スムーズに実施できます。

STEP1:事前準備・共有、スケジュール・場所の決定

1on1ミーティングのステップの1つ目は、「事前準備・共有、スケジュール・場所の決定」です。
このSTEP1からSTEP3まで毎回の1on1で繰り返し実施していきます。

まず事前に話す内容(アジェンダ)を決めて共有しておくことで、雑談だけで終わることを防ぎ、上司・部下双方が準備できるため効果が高まります。

次に具体的な日時と場所を決定します。その際は上司の都合だけでなく、必ず部下の予定も考慮し、スケジュールをすり合わせることが信頼関係構築のポイントです。

1on1を実施する場所も、部下の都合を聞いてから決めてください。場所は決まりきった場所でなく、毎回同じ場所で行う必要もありません。1on1では、話す内容に応じて会議室・ラウンジ・オンラインなど適切な場所を選びましょう。

日時と場所を決めたら、必ず双方のスケジュールに組み込み、できる限り予定通りに実施することが大切です。リスケが続くと形骸化するだけでなく、「自分との時間を大事にしていない」と部下に感じさせ、信頼関係を損ねかねません。

やむを得ず日程変更が必要な場合は、必ず連絡を入れるなどルールを定めておくとよいでしょう。

1on1の日程調整のコピペで使えるテンプレート文は以下の記事をご覧ください。

STEP2:1on1ミーティングの実施・記録

1on1ミーティングのステップ2は「実施と記録」です。決定した日時に上司と部下で面談し、ステップ1で準備したアジェンダに沿って進めましょう。

実施の際は、上司はコーチングやフィードバックを用いて部下の話を聴き、困っている点を具体的に確認します。そのうえで、課題解決に向けたアクションや上司ができるサポートを提示することが大切です。

また、話し合った内容は双方がいつでも振り返られるように記録しましょう。手帳や文書ソフトに加え、クラウドツールを使えば管理や検索、異動時の引き継ぎも容易です。さらに、人事評価に役立つ材料としても活用できるため、記録を残すことを強くおすすめします。

1on1の最後には、必ず次回の1on1までに実行するアクションプランを立てることが効果的な1on1の秘訣です。

STEP3:次回の日時・場所の決定

1on1ミーティングのステップ3は「次回の日時・場所の決定」です。最後に次回の予定を決め、期間を空けすぎないようにしましょう。理想は週1回、空けても月1回の頻度が望ましいです。

また「毎週月曜13時から30分」など固定スケジュールにすると、調整の手間を省けます。固定化することで実施率が高まり、形骸化のリスクも抑えられます。

STEP4:STEP1〜3を継続的に繰り返す

そして、このSTEP1〜STEP3を継続的に繰り返し実施することが重要です。1on1が真価を発揮するのは、継続的に実施したときです。期間が空くと悩みや課題の把握が遅れ、メンバーは問題を抱え続けて生産性が低下してしまいます。無理のない範囲で、できるだけ高頻度に行いましょう。

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1on1ミーティングで話すべき9つのテーマとアジェンダ具体例

実際に部下の成長のために1on1ミーティングを導入しようと思っても実際どのようなことを話せばよいのかわからないこともあると思います。本項では、そんな方々に向けて1on1で話すべきテーマの代表例として9つのテーマを紹介します。

1on1で話すべきテーマ一覧

  • 仕事の進捗や課題、目標について
  • 体調やメンタルの健康確認
  • モチベーション
  • 部下育成
  • 経営理念・行動指針・バリュー浸透
  • 人事評価
  • キャリア支援
  • アイスブレイク・プライベート
  • 会社やチームの戦略・方針

テーマ1:仕事の進捗や課題、目標について

1on1ミーティングで話すべきテーマの1つ目は「仕事の進捗や課題・目標」についてです。
部下の成長を促進させるためには、現在部下の進捗状況や直面している課題や問題点ついて聞くべきです。

進捗状況に関しては、順調に進んでいる場合は、褒めることと同時に、その部下が持っている現場の知識や経験、業務の進め方などについて聞いてみるのもよいでしょう。

現場の知識や経験を引き出せば、ノウハウの可視化につながり、チーム全体の成果向上にも役立ちます。

また、1on1の中で目標設定を行い、その目標に対して話すことも効果的です。
特に重要となるのが「目標達成のための行動計画」を立てることです。
具体的に行動可能な目標達成のためのタスクに落とし込むことで部下が行動する確率が非常に高まります。
目標は上司から伝達される一方的なものではなく、部下も納得した目標にすることも重要です。

具体的な質問内容

  • 今の業務内容のポイントを教えてください
  • うまく進んでいると思うけど、今後の懸念点は何かありますか?
  • もう少し任せてほしいとかの要望ってありますか?
  • 今の業務で困っていることって何かありますか?
  • 今の業務について欲しいサポートとか、私へのリクエストはありますか?

テーマ2:体調やメンタルの健康確認

1on1ミーティングで話すべきテーマの2つ目は、「体調やメンタルの健康確認」です。心身の健康はモチベーションや離職に直結するため、1on1のたびに確認しておきたい重要な項目です。具体的には部下の体調やメンタルと密接に関係する業務や人間関係について確認するようにしましょう。

定期的に部下の体調のチェックをすることで、退職を未然に防ぐ効果があります。
部下の不調に気づくのが遅れてしまうといけないので、毎回の1on1の最初に確認するようにしましょう。

具体的な質問内容

  • 最近眠れていますか?体調は大丈夫ですか?
  • 今抱えている仕事量に問題はないですか?
  • 今、社内で気になることって何かありますか?
  • 部署の人とか周りの人とは特に問題なくやれていますか?

テーマ3:モチベーション

1on1ミーティングで話すべきテーマ3つ目は「モチベーション」です。
部下のモチベーションを上げることで、部下自身の生産性が上がったり、会社への帰属意識が高まったりして、部下自身だけでなくチーム全体へ良い効果が期待できます。
モチベーションを上げるためには以下の2つの法則を意識することが重要です。

  • モチベーションを上げる要因を高める
  • モチベーションを下げる要因を取り除く

プラス面・マイナス面の両面からアプローチすることで、効果的に部下のモチベーションを高めることができます。

モチベーションに関してのテーマは、上司と部下の信頼関係を構築する上で非常に重要な質問となります。信頼関係が築ければ、円滑なコミュニケーションや問題の早期解決など多くのメリットが得られます。そのため、モチベーションも1on1で扱うべき重要なテーマです。

具体的な質問内容

  • どんな仕事をしている時が楽しいですか?
  • 最近の仕事の中で、やる気が上がったなと感じる業務はありますか?
  • これならやってもいいなって思う仕事はないですか?
  • 色々あると思うけど、特に気になっていることとかありますか?
  • 最近の仕事の中で、自信が無い業務ってありますか?

テーマ4:部下育成

1on1ミーティングで話すべきテーマ4つ目は「部下育成」です。
テレワークが一般的になり、昔のように部下がすぐ隣で、詰まっているところをすぐ指導する環境ではなくなりました。
1on1で、部下が日常業務で困っていることや業務内容でわからないところ、アドバイスがほしいところなどを明らかにしていき、問題なく業務ができるようにサポートすることが重要です。

また1on1の内容を蓄積すれば、従業員が共通して抱える課題を明らかにでき、新たな研修の実施など組織全体の人材育成改善にも活用できます。そのため、部下ごとの様々なケースを情報として記録しておくことも重要でしょう。

具体的な質問内容

  • 業務に取り組んでみて難しいと感じたところやほしいサポートはありますか?
  • 前回の1on1やそれ以前からの業務で一番力を入れた業務は何ですか?
  • その業務で自分が学べたことや気づいたことは何かありますか?
  • 私や他のメンバーへの要望やしてほしいサポートなどありますか?
  • 現在の業務で納得のいっていないことやモヤモヤはありますか?

テーマ5:経営理念・行動指針・バリュー浸透

1on1ミーティングで話すべきテーマ5つ目は「経営理念・行動指針・バリュー浸透」です。普段触れる機会が少ない経営理念や行動指針、バリューも、1on1で対話することで浸透させられます。その結果、日常業務でも指針やバリューに沿った行動を取りやすくなります。

すべてを一度に扱う必要はなく、毎回テーマを1つ決めて取り組むだけでも効果的です。

また一度にすべてを扱う必要はなく、行動指針やバリューの中から1つを選び、月ごとのテーマとして取り組むだけでも効果的です。

具体的な質問内容

  • コンピテンシー実現のために行ったことは何ですか?
  • 「〇〇」という行動指針・バリュー体現のために行ったことは何ですか?
  • バリューに沿って心からの賞賛を自分以外のメンバー1人に贈るとしたら誰でしょうか?

テーマ6:人事評価

1on1ミーティングで話すべきテーマ6つ目は「人事評価」です。
1on1で評価についての材料を集めることも効果的です。日々の1on1の記録が人事評価の際に活用できるようになり、評価のエビデンスも明確になります。
そのため、納得度の高い公平な評価を実現することができ、マネージャーの人事評価に関する業務の効率化にも役立ちます

具体的な質問内容

  • 次の評価期間で目標にしたいことを教えてください。
  • この目標が全体のどこにつながっているのか分かりますか?
  • この目標を達成していく上で、効率化できることは何かありますか?
  • この評価期間において自己評価をつけるとしたら10点満点で何点ですか?
  • 点数の理由は何でしょうか?
  • この評価期間で残した結果について教えてください。

テーマ7:キャリア支援

1on1ミーティングで話すべきテーマ7つ目は「キャリア支援」です。
部下の今後の成長やキャリアビジョン、身につけていきたい能力などについて、対話を通してサポートしていきます。部下が自発的にこれからのキャリアを考えるきっかけをつくることが重要です。

もし目標や夢がない部下の場合は、ロールモデルを社内に見つけるように誘導することによって、身近な目標に気づかせることができるようになるでしょう。

以下の質問内容は、あくまで一般化して書いておりますので、実際は組織のキャリアプランなどを一緒に見たりしながら、部下がどうなりたいのかを確認していくことがおすすめです。

具体的な質問内容

  • キャリアの方向性ややりたいことは変わっていませんか?
  • 将来的に関わりたい仕事やチャレンジしたいこと、キャリアの方向性があれば教えてください
  • 今後どういう能力を伸ばしていきたいですか?
  • 社内にロールモデル(模範)となる人はいますか?

テーマ8:アイスブレイク・プライベート

1on1ミーティングで話すべきテーマの8つ目は、「アイスブレイク・プライベート」です。ただし、これは万能ではありません。すでに意見交換や深い相談ができる関係性であれば不要です。

効果的なのは、上司・部下の関係がまだ浅いときや、相手が悩みを抱えていそうなとき、口下手で会話が続きにくいときなどです。

プライベートの話題は直接成長に結びつかない場合もあり、踏み込みすぎると逆効果になることもあります。しかし、信頼関係を築いたり緊張を和らげるきっかけとして有効です。節度を持ち、相手との関係性に配慮しながら取り入れるとよいでしょう。

具体的な質問内容

  • 〇〇さんが何を大事にしているか知れると一緒に仕事しやすいかなと思っていて、何に注目して会社選んでいたかとかって聞いても良い?
  • 休日は何しているの?
  • 最近はまっている趣味はある?
  • 何をしているときが一番楽しいですか?

テーマ9:会社やチームの戦略・方針

1on1ミーティングで話すべきテーマの9つ目は、「会社やチームの戦略・方針」です。
このテーマでは、経営や戦略について考えるきっかけとなることについて話します。マネージャーの役割の一つは、組織の上層部と現場をつなぐことです。上層部で決定された戦略や方針を、タイミングよく分かりやすく伝えることが重要です。

この場では質問よりも、部下への情報共有や報告が中心となります。普段耳にできない戦略を知ることで、部下は戦略に基づいた行動や組織目線での思考を意識するようになります。

具体的な内容

以下のような流れで、情報を報告・連絡・相談すると良いでしょう。

  • 今回の会議で、〇〇ということが決まりました。
  • この決定があった背景としては〜〜ということです。
  • そのため、〇〇さんにはこういうことを行なってほしいと思っています。

1on1ミーティングを形骸化させないための工夫

1on1ミーティングを導入し始めている企業が多い中「なかなか定着しない」「社員が実施してくれない」など1on1の定着・浸透に悩む方が多いように思われます。また1on1は効果が出るまで時間がかかるため、人事施策の中でも形骸化しやすい施策です。ここからは、それを防ぐための工夫について解説します。


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人事の方に読んでほしい!1on1などの人事施策を組織に定着させるために必要な「プロジェクトマネジメント力」とは?

工夫1:1on1の目的・導入背景・導入後の理想の状態を明確にして周知する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の1つ目は「1on1の目的・導入背景・導入後の理想の状態を明確にして周知する」ことです。1on1ミーティングは、導入の背景・目的・導入後の理想像が曖昧なまま進められることが少なくありません。そのため、まず「なぜ導入するのか」を社内で議論し、導入後の理想像を定めておくことが重要です。これにより、効果検証のための定量・定性指標も明確になります。

次に、その目的や理想像を全社に周知し、共通認識を得ることが不可欠です。合意がないままでは「また新しい取り組みか」と反発を招きかねません。

導入目的は経営層や人事だけで決めがちですが、現場の主要マネージャー(6人以下がおすすめ)も交えて一緒に定めることを強くおすすめします。

工夫2:1on1の公式ルールを作成する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の2つ目は「1on1の公式ルールを作成する」です。

実施回数や頻度といった基本ルールを定めることで、現場マネージャーも進め方を理解しやすくなり、効果的な1on1を実践しやすくなります。さらに、1on1の目的が浸透し、人事施策としての役割も果たしやすくなります。

1on1の実施をマネージャー等の人事評価の項目として設定するのも非常に効果が出ます。

工夫3:コミュニケーションのガイドラインを策定する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の3つ目は「コミュニケーションのガイドラインを策定する」です。

コミュニケーションのガイドラインを策定すれば、1on1の指針となり、実施者が迷わず進められます。

例えば「悩みを聞く」「一方的に指導しない」といった傾聴姿勢や、「内省を促す」「気づきを与える」といったコーチング姿勢など、基本的な内容を設定しておくと効果的です。さらに具体例を示すことで、従業員はコツを掴み、より質の高い1on1を実施できるようになります。

工夫4:組織の公式アジェンダを作成する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の4つ目は「組織の公式アジェンダを作成する」です。1on1では、上司・部下ともに何を話せばよいか分からず、雑談に終始してしまうことがよくあります。特に会話の引き出しが少ない上司だと、「最近どう?」「あれどうなった?」といった形だけの1on1になりがちです。

これを防ぐには、組織として話してほしい内容や、マネージャー・メンバー双方の要望を踏まえた「公式アジェンダ」を作成するのがおすすめです。これにより、理念浸透や目標達成力、モチベーション向上につながる有意義な1on1を実施できます。

工夫5:記録フォーマットと管理する場所を用意する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の5つ目は「記録フォーマットと管理する場所を用意する」です。

フォーマットがなければ記録方法がバラつき、記録自体を取らない人も出てきます。さらに、管理場所が決まっていないと、現場の声を集めた貴重なデータを活用できなくなってしまいます。

1on1の記録は、マネージャー自身の振り返りに役立ちます。継続的に管理すれば、メンバーに共通する課題を特定でき、解決に必要な研修を導入するなど、人材育成にも活用できます。

1on1を記録するための「1on1ミーティングシート」のテンプレートを下記記事で無料公開していますので、ぜひご覧ください。

工夫6:実施状況や内容などを把握できる仕組みを導入する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の6つ目は「実施状況や内容などを把握できる仕組みを導入する」です。

1on1を導入しても、実際に実施されているか可視化できていない企業は少なくありません。記録フォーマットの提出で確認する方法もありますが、運用コストが高いため、分析ツールや専用サービスを活用するのも有効です。

また公式アジェンダの利用状況を把握できれば、見直しの指針となり対話の質向上につながります。モニタリングの仕組みがなければ、実施状況の確認やマネージャーの課題把握ができず、PDCAを回せません。効果的な1on1のためにも、定期的なモニタリング環境を早急に整備することをおすすめします。


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1on1ミーティングが嫌いや苦痛と感じる人がいる原因

1on1ミーティングを導入している企業の従業員の中に、1on1に良いイメージを持っていない方や苦手意識を持つ方もいます。
そこで、ここからは1on1にネガティブなイメージを持つ方の原因をお伝えしていきます。

原因1:話すことがない、何を話せばいいのかわからないと感じている

原因の1つ目は「話すことがない・何を話せば良いのかわからないと感じている」です。
話すことが決まっていない1on1では、上司・部下ともに何話すのかという状況に陥る場合が多く、せっかくの機会を無駄にしてしまうことが多いです。
また1on1導入時は話題に困らなくても、回数を重ねるうちに会話が途切れることがあります。会話が弾まないと、部下は上司の期待に応えられなかったと感じ、仕事へのモチベーションを失う恐れがあります。

事前に話す内容やテーマを決めてから1on1に臨めるように、組織の公式アジェンダやおすすめのアジェンダテンプレートを用意すると良いでしょう。

原因2:時間がないと感じている

原因の2つ目は「時間がないと感じている」です。
国内に専業マネージャーは全体の10%しか存在せず、90%が「プレイングマネージャー」ということがわかっています。前述のとおりマネージャーはプレイング業務とマネジメントを兼任するため多忙で、部下も業務に追われ1on1より目先の仕事を優先しがちです。繁忙期には特に時間が取れず、スケジュール変更を繰り返すうちに立ち消えとなり、形骸化する恐れがあります。

本来、1on1の目的は「部下の成長」であり、それを果たさなければマネージャーの負担も減りません。実施目的と現場が得られるメリットをしっかり説明し、理解を得ることが重要です。

原因3:1on1を実施する意義を感じていない

原因の3つ目は「1on1の意義を感じていないこと」です。これは「単に知らない場合」と「実施に抵抗がある場合」に分けられます。

「単に知らない場合」は説明会の開催やオンボーディング時に1on1を組み込むことで解決できます。中途入社者に多いケースです。

「実施に抵抗がある場合」は感情的な要因が絡み、やり方を伝えても実施しないのが特徴です。この場合は社内で1on1の効果を実証し、ポジティブに捉えている現場マネージャーから働きかけてもらうのが有効。主体的に推進する人を増やすことが、定着の鍵となります。

原因4:上司のコミュニケーション

原因の4つ目は「上司のコミュニケーション」です。
上司のコミュニケーションが悪いものであるため、部下が1on1に参加することすら苦痛に感じているケースもあります。
例えば、部下の話を聞かずに自分の意見を押し付けていたり、自分のことばかりを話していたり、否定ばかりするなど良くないコミュニケーションは様々です。
中には、1on1が詰められる・説教の場になっているケースも見受けられます。

この場合は、コミュニケーションガイドラインを策定したり、上司向けの1on1研修を実施することが効果的です。

1on1ミーティングを話すこと1on1ミーティングに重要なスキル

1on1ミーティングで重要なスキル

1on1ミーティングの効果を最大化するためには、上司はスキルを磨く必要があると前項で説明しました。しかし、1on1ミーティングのスキルについて知識がある人は少ないです。では、1on1ミーティングで必要なスキルは何でしょうか?

1on1ミーティングで重要なスキルは次の3つです。

  • コーチングスキル
  • フィードバックスキル
  • ティーチングスキル

次項からは、この3つのスキルについて説明します。

コーチングスキル

1on1ミーティングで必要なスキルの1つ目は、「コーチングスキル」です。コーチングスキルとは、部下の主体的な行動を引き出すスキルのことを指します。このスキルが高まると、部下の自発性が向上することに繋がり、部下が自身で業務の課題を解決できるようになるでしょう。

フィードバックスキル

1on1ミーティングで必要なスキルの2つ目は、「フィードバックスキル」です。フィードバックスキルとは、部下の行動について、上司が部下に客観的な評価を伝え、より良い行動に導いていくスキルのことを指します。このスキルが高まると、部下の行動に対して適切にアドバイスができることに繋がり、業務の効率化と改善が期待できるでしょう。

ティーチングスキル

1on1ミーティングで必要なスキルの3つ目は、「ティーチングスキル」です。ティーチングスキルとは、上司がこれまで培ってきた経験やスキルや課題の解決策を部下に教えるスキルのことを指します。このスキルでは部下の自主性の成長は見込めないですが、スピード感を持って部下は知識や答えを直接的に学ぶことができます。そのため部下が1人で仕事をこなせるようになるまでは、ティーチングスキルを優先して活用し、成長を促すことが大切です。

また、より詳細に1on1ミーティングのスキルについて知りたい方は下記のリンクから別記事も参考にしてみてください。

1on1ミーティングに関係するスキルを磨くためには?

本項では、1on1ミーティングに関するスキルを磨くために有効な手段を2つ説明します。

書籍を利用する

1on1ミーティングに関係するスキルを磨く方法の1つ目は、「書籍を利用する」ことです。1on1ミーティングスキルを身につける方法として、自己啓発本やビジネス書を読むのも有効です。新たな知識やテクニックを得ることで視野が広がり、より多くの人と効果的にコミュニケーションできるようになります。しかし、読書だけではインプットで終ってしまいます。そのため、読書を通じて得た知識を実践に活かす意識を持つことが重要です。

研修サービスを利用する

1on1ミーティングに関係するスキルを磨く方法の2つ目は、「研修サービスを利用する」ことです。研修やコンサルティングを受けることで、本から得られる知識に加え、実践的なアウトプットやフィードバックを通じてスキルを習得できます。


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1on1ミーティング導入・浸透に成功した企業事例

ここからは1on1ミーティングを導入して成果を上げた成功事例を紹介していきます。
実際に弊社ツールの「Co:TEAM(コチーム)」を使って売上が向上した事例もありますので、ぜひご覧ください。

株式会社Merone

Merone 株式会社は女性の自立支援を行っているベンチャー企業です。1on1ミーティングを導入したことで、MVVを全く知らない社員たちにMVVを浸透させることに成功しました。具体的には、1on1コミュニケーションで高頻度で認識のすり合わせを行い、「組織としてやるべきこと」と「個人の成長」が両立するようになり、従業員エンゲージメント売上の向上につながりました。

また、Meroneでの1on1ミーティングの導入事例の詳細は、下記のリンクでインタビュー記事を読むことができますので、ぜひお読みください。

株式会社ジョン

株式会社 ジョンは、ご自宅で病気を抱えながら生活されている方に看護を提供するというサービスを提供している在宅医療や、訪問看護の分野の企業です。株式会社 ジョンでは、1on1ミーティングでの定期的な振り返りを行うことによって、業務における行動レベルの解像度UP目標整理行動計画作成が可能になり、毎月500-1000万円の売上が上昇しました。

また、株式会社 ジョンでの1on1ミーティングの導入事例の詳細は、下記のリンクでインタビュー記事を読むことができますので、ぜひお読みください。

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5分でわかるコチーム紹介資料

コチームは、マネジメントの最先端「パフォーマンスマネジメント」を支援する国内初のマネジメントツールです。

コチームは、MBOやOKR等の目標管理賞賛・承認や1on1等を通じたフィードバック360度評価にも対応する人事評価を一元管理できます。

パフォーマンスマネジメントとは、米国TOP500の世界的企業約30%が採用する、メンバーのパフォーマンスを高めるため、一人ひとりの持つ能力やスキル、モチベーションを引き出すと同時に、上司が効果的なフィードバックを行い、目標達成を目指すマネジメント手法です。

パフォーマンスマネジメントの平均的な効果

1on1を通じたパフォーマンスマネジメントを実践することにより、上記のような効果が期待できます。

まとめ

本記事では、1on1ミーティングについて総合的に説明しました。1on1ミーティングに関する知識は、1on1ミーティングの効果を最大化し、企業の持続的な成長のために非常に重要です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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