1on1ミーティングと人事評価面談の違いとは?やり方や個人面談との違いを解説!
国内では1on1ミーティングの導入が進んでおり、人事施策として有名になりつつあります。しかし、その意味や目的が実施主体である現場の上司や部下に十分に共有・浸透されている企業は少ないのが実情です。そのため、従来の人事評価面談と1on1ミーティングの違いを理解できずに、効果的な1on1ミーティングを実施できていないと感じている方は多いのではないでしょうか。1on1ミーティングを効果的に行えていない状況は即刻改善すべきであり、1on1ミーティングを効果的に行うことは持続的な企業の成長には必要不可欠です。
そのため、本記事では、1on1ミーティングと面談の違いについて説明し、従来の人事評価面談から1on1ミーティングに変えるために必要な方法を紹介します。
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目次
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングとは「上司と部下の1対1で行う定期的な面談(ミーティング)」のことです。
アメリカのシリコンバレーで人材育成を目的として確立された手法で、定期的に上司と部下の1対1で行われる対話を指します。日本でもヤフー株式会社などが取り入れたことから注目を集め始め、2020年には、規模に関わらず約4割の企業が導入しています。
1on1ミーティングと面談の違い
1on1ミーティングと従来の人事評価面談の違いは認識するのは難しく、同じものだと考えてしまいがちです。しかし、1on1ミーティングは従来の人事評価面談とは大きく異なる点が3点あります。
- 目的
- 内容
- 実施頻度
目的
1on1ミーティングの目的は部下の育成、成長支援やエンゲージメント向上です。その一方で、従来の人事評価面談では人事評価や進捗管理が目的です。そのため、1on1ミーティングは部下のために行う点が人事評価面談と大きく異なります。1on1ミーティングは部下の成長を促進させることを意識しましょう
内容
1on1ミーティングでの話す内容は仕事だけではなく、キャリア支援や健康状態についてのテーマなど、話す内容は多岐にわたります。その一方で、従来の人事評価面談では、目標や評価のような仕事に関する話がメインになります。そのため、1on1ミーティングは話す内容が仕事に関する話に縛られない点が人事評価面談と大きく異なります。
実施頻度
1on1ミーティングの実施頻度は、最低でも1ヶ月に1回、基本的には1週間に1回や2週間に1回です。その一方で、従来の人事評価面談では、半年に1回の頻度で行います。そのため、1on1ミーティングはより高頻度で行った方が効果が出る点が従来の人事評価面談と大きく異なります。従来の人事評価面談のように半年に1回のような頻度で行ってしまうことは避けましょう。
1on1ミーティングが注目されている背景
このように、多くの企業から注目されている1on1ですが、注目されている背景には以下の2点が考えられます。
- 予測不能なVUCA時代
- 人材の減少と流動化
予測不能なVUCA時代
1つ目の背景は、「予測不能なVUCA時代」です。現代の社会やビジネス界は、変化のスピードが速く予測不能であるVUCAの時代だと言われています。
- V(Volatility):変動性
- U(Uncertainty):不確実性
- C(Complexity):複雑性
- A(Ambiguity):曖昧性
この頭文字をとってVUCA時代と呼びます。そんなVUCA時代の中で、企業は生き残る必要があります。そして、今後も時代は更に混迷を強くしていくと考えられ、想定外な場面に遭遇する可能性が高まっていくでしょう。そのような事業環境で、企業自体が柔軟で変化に強くなることが求められています。そして、変化に柔軟に対応するための手段として1on1ミーティングが期待されています。
人材の減少と流動化
2つ目の背景は、「人材の減少と流動化」です。日本では29歳以下の若者の人口は、昭和50年以降一貫して減少しており、働ける人材が年々減少しています。さらに、終身雇用制度に縛られず自身のキャリアに合わせて転職することも当たり前の時代になりました。これにより、企業にとって、流動的になった人材をいかに会社へ定着させるかが重要な課題となりました。そしてこの会社への定着率を高めるための手段として、1on1ミーティングが期待されています。
1on1ミーティングのメリット・デメリット
前項で、1on1ミーティングと従来の人事評価面談の違いについて説明しました。では、1on1ミーティングを実施することによって、部下と上司にどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。本項では、1on1ミーティングのメリット・デメリットについて説明します。
メリット
企業は1on1ミーティングを効果的に行うことによって、持続的な成長につながるメリットを享受することができます。この項では1on1ミーティングを行うことで、得られるメリットを3つ紹介します。
部下の成長
1on1ミーティングのメリットの1つ目は、「部下の成長」です。1on1ミーティングを効果的に行うことで、部下の成長に効率的に寄与することができます。これは1on1ミーティングで部下の課題や目標管理を行うことで、学びや改善の機会を提供する事に繋がるからです。そのため、これまでのような人事評価の面談や進捗管理をするだけの面談とは異なり、部下の成長を重視した面談を行うことが重要です。
また、部下が成長することはチームの成果の最大化にもつながります。これは部下の成長がチームメンバーが成長すると、「メンバーの生産性・業績が上がる→メンバーに任せられる仕事が増える→マネージャーのキャパシティに余裕が生まれ、新しい仕事の開拓ができる→チームの業績が上がる→メンバーも新しい仕事でき、メンバーが成長する」といった正のスパイラルに入ることができるからです。
信頼関係の構築
1on1ミーティングのメリットの2つ目は、「信頼関係の構築」です。従来の人事評価面談と異なり、1on1ミーティングは仕事の進捗だけではなく、仕事での困り事やキャリアの話、時にはプライベートの話も行います。深い話を行うことで、上司と部下の心理的距離が近づきやすくなるといった効果を見込め、信頼関係を構築に繋がるでしょう。信頼関係の構築が上手くいくと、普段の業務でもトップダウン的に物事を判断することが可能になり、業務を効率的に行うことができるようになります。
経営理念を浸透しやすくなる
1on1ミーティングのメリットの3つ目は、「経営理念を浸透させやすくなる」ことです。1on1ミーティングの際に、経営理念を踏まえたコミュニケーションを意識しておけば、部下の行動軸に経営理念を落とし込むことができます。経営理念を浸透させると、チーム全体の方向性が定まることや従業員のエンゲージメントが向上する等のメリットが考えられるでしょう。そのため、1on1ミーティングで経営理念を浸透させることが、企業の持続的な成長に繋がります。
デメリット
1on1ミーティングはメリットもある反面、デメリットもあります。この項では1on1ミーティングのデメリットを2つ説明します。
現場の負担が大きい
1on1ミーティングのデメリットの1つ目は、「現場の負担が大きい」ことです。1on1ミーティングを効果的に実施することができれば、様々なメリットを享受することができます。しかし、1on1ミーティングのメリットを最大限発揮するためには、1on1ミーティングを高頻度で行うことが肝心です。しかし、高頻度で1on1ミーティングを行なえば行うほど、現場の負担が大きくなることに繋がります。その結果、通常の業務の進行に問題が生じてしまうといった問題がおきてしまうでしょう。
上司にスキルが求められる
1on1ミーティングのデメリットの2つ目は、「上司にスキルが求められる」ことです。1on1ミーティングを効果的に実施するために、上司は部下の本音や部下自身も気がついていないような内容にもヒアリングすることが重要です。そのため、上司は本音を引き出すような声かけや話しやすい雰囲気をつくるような1on1ミーティングスキルが求められます。
従来の人事評価面談のメリット・デメリット
では、従来の人事評価面談を続けた場合、部下と上司にどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。本項では、従来の人事評価面談のメリット・デメリットについて説明します。
メリット
面談を行う目的がはっきりしやすい
人事評価面談のメリットの1つ目は、「面談を行う目的がはっきりしやすい」ことです。人事評価面談は上司と部下が話し合い、従業員の評価を決める場です。しかし、それに対して1on1ミーティングは部下の成長が目的なため、人事評価面談と違い、扱うべきテーマが非常に多くなります。そのため、人事評価面談の目的ははっきりしやすく、時間の無駄になることは少ないでしょう。
現場の負担が少ない
人事評価面談のメリットの2つ目は、「現場の負担が少ない」ことです。人事評価面談は通常半年に1度の頻度で行うものです。それに対して、1on1ミーティングの実施頻度は、1ヶ月に1回、基本的には1週間に1回や2週間に1回のペースといった高頻度で行うものです。そのため、従来の人事評価面談は現場の負担になりにくく、通常業務に影響を与えることは非常に少ないでしょう。
デメリット
人事評価面談を実施することで、得られるデメリットを2つ紹介します。
部下が人事評価に納得しにくい
人事評価面談のデメリットの1つ目は、「部下が人事評価に納得しにくい」ことです。人事評価面談は従業員の評価を決めることが主目的です。しかし、時として部下側は人事評価に対して納得することが難しいことがあります。なぜなら、半年に1回のペースで自分の評価をされたとしても、評価の頻度としては遅いと感じてしまう部下が多いからです。そのため、自分自身の人事評価に納得できず、部下のエンゲージメントが下がってしまうこともありえるでしょう。
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上司が一方的に話しやすくなってしまう
人事評価面談のデメリットの2つ目は、「上司が一方的に話しやすくなってしまう」です。人事評価面談は上司が部下に対して評価をする面談です。そのため、1on1ミーティングと違い、上司が部下に話すことが多くなってしまいがちです。しかし、部下側の目線では一方的に話されてしまうと、義務感が強く、心情的に反発しやすくなってしまいます。そのため、一方的に話しやすくなってしまう人事評価面談にならないようにしましょう。
1on1ミーティングと人事評価面談ってどっちが良いの?
では、1on1ミーティングと人事評価面談のどちらが良いのでしょうか?
企業によってどっちが良いのか変わってしまうものですが、人事評価面談よりも多くの企業では1on1ミーティングの方が適しているでしょう。なぜなら、1on1ミーティングが浸透することで、予測不能なVUCA時代や人材の減少と流動化に対応することができ、企業の持続的な成長に繋がるからです。そのため、変化に強くなりたい企業や人材を定着しにくい企業では、1on1ミーティングを導入することが解決の糸口になるでしょう。
面談から1on1ミーティングにするために必要なことは?
変化に強くなりたい企業や人材を定着しにくい企業では1on1ミーティングを実施することが重要ということを紹介しました。しかし、独力で人事評価面談から1on1ミーティングに変更することは困難を極めます。そのため、人事評価面談から1on1ミーティングにするために必要なことに説明します。
目的意識
面談から1on1ミーティングにするために必要なことの1つ目は、「目的意識」です。1on1ミーティングの目的は、部下の成長であると認識することは非常に重要です。部下のためという意識が無いと本来ヒアリングすべき事柄がヒアリングできない可能性が生まれてしまいます。その結果、部下側の目線に立ったとき、悪い意味で義務感が強まってしまい、部下の成長の最大化につながらなくなってしまうでしょう。そのため、部下の成長の最大化に繋がるためにも、1on1ミーティングの「目的をはっきりさせる」ことを意識しましょう。
話すべき内容を決める
面談から1on1ミーティングにするために必要なことの2つ目は、「話すべき内容を決める」ことです。1on1ミーティングを話すべき内容をしっかりと把握することが、1on1ミーティングの効果を最大限発揮するためには必要です。いきなり1on1ミーティングで「何か困っていることはないですか?」と聞かれても即答できる人は多くないでしょう。そのため、部下側も何を話していいのかわからなくて、困ってしまいます。これの解決策は、「あらかじめ1on1ミーティングで話し合いたい内容を考えてきてもらう」ことです。その場では思いつかなくても、ゆっくりと考えてみれば思いつくということはよくあることです。
相互コミュニケーションを意識する
面談から1on1ミーティングにするために必要なことの3つ目は、「相互コミュニケーションを意識する」ことです。上司が部下に一方的に話してしまっている状況は、部下は言いたいことを上司にいう事が難しくなってしまうでしょう。このような1on1ミーティングが続くと、部下は1on1ミーティングに意味が無いと感じやすくなってしまいます。そのため、1on1ミーティングでは部下の話に対ししっかりと傾聴しましょう。
もちろん、1on1ミーティングでは上司側もアドバイスをしたり、一緒に何かについて考えるのは非常に重要です。しかし、あくまでも1on1ミーティングは部下の成長のために行うものです。部下の成長のためのアドバイスも、まず部下の話を聞かないと考えることはできません。そのため、1on1ミーティングは、一方的に話さず、部下の話をしっかりと聞き、双方向のコミュニケーションを取るようにしましょう。
1on1ミーティング実施の流れ
実際に1on1ミーティングを実施すると、思いのほか上手くできないと感じる方は多いのではないでしょうか。
この問題の解決のためには、1on1ミーティングの実施の流れを理解することが重要です。効果的な1on1ミーティングは実施の流れは下記のステップを意識しましょう。
ここからは、各STEPを詳細に説明します。
【STEP1】 事前共有
1on1ミーティングのステップの1つ目は、「事前共有」です。この事前共有は1on1ミーティングを実施する前に行うステップです。
事前共有のステップでは、1on1ミーティングの日時や目的などの実施する際に必要な内容を共有することを行うステップです。事前に1on1ミーティングで話し合う内容を決めておけば、実際に1on1ミーティングの際に雑談だけしかできないようなことは無くなります。
また、事前に話し合う内容を決めておけば、部下側、上司側も事前の準備をすることができます。そのため、1on1ミーティングの効果を最大化するためにも事前共有はしっかりとしましょう。
【STEP2】 ヒアリング
1on1ミーティングのステップの2つ目は、「ヒアリング」です。このヒアリングは1on1ミーティングの序盤に行うステップです。
ヒアリングのステップでは、事前共有の内容や部下が困っている内容について質問するステップです。このステップの目的は部下が話したい事を上司がしっかりと認識することにあります。部下の話したい事や課題を認識する事が部下の1on1ミーティングの満足度を高める上で非常に重要です。そのため、このステップでは、上司は話し上手になるよりは聞き上手になることを心がけましょう。
【STEP3】 コミュニケーション
1on1ミーティングのステップの3つ目は、「コミュニケーション」です。このヒアリングは1on1ミーティングのヒアリングの後に行うステップです。
コミュニケーションのステップでは、ヒアリングの内容を受けて、上司が質問に答えたり、相談にのったりするステップです。また、このステップでも上司が一方的に話すのではなく、相互的なコミュニケーションを意識しましょう。そのため、部下に改善策や具体案などを自主的に考えられるような質問をして、部下が自分で考えられるように促しましょう。
また、部下が話したい事に対して、上司が真摯に対応することも重要です。時として、部下の話したい事や課題に上司が力になれないこともあるでしょう。このような状況になっても、誤魔化したりせずに真摯に自分のできる限りのことを行いましょう。なぜなら、適切なアドバイスができなくても、部下も上司が真摯に対応してくれると、心情的にも1on1ミーティングに満足できるからです。
【STEP4】 まとめ
1on1ミーティングのステップの4つ目は、「まとめ」です。このまとめは1on1ミーティングのヒアリングの最後に行うステップです。
まとめのステップでは、1on1ミーティングの内容を総括します。このステップの目的は、1on1ミーティングを総括し、部下に現状を理解させることです。1on1ミーティングの最後にまとめを行うことで、1on1ミーティングで話し合っていたことを振り返ることができるでしょう。そのため、1on1ミーティングでまとめのステップをしっかりと行うことが重要です。
1on1ミーティングの浸透事例
次に実際に1on1ミーティングを導入した企業の事例を見て、企業にどのような影響があるのかを紹介します。
株式会社Merone
Merone 株式会社は女性の自立支援を行っているベンチャー企業です。1on1ミーティングを導入したことで、MVVを全く知らない社員たちにMVVを浸透させることに成功しました。具体的には、1on1コミュニケーションで高頻度で認識のすり合わせを行い、「組織としてやるべきこと」と「個人の成長」が両立するようになり、従業員エンゲージメントや売上の向上につながりました。
また、Meroneでの1on1ミーティングの導入事例の詳細は、下記のリンクでインタビュー記事を読むことができますので、ぜひお読みください。
株式会社ジョン
株式会社 ジョンは、ご自宅で病気を抱えながら生活されている方に看護を提供するというサービスを提供している在宅医療や、訪問看護の分野の企業です。株式会社 ジョンでは、1on1ミーティングでの定期的な振り返りを行うことによって、業務における行動レベルの解像度UPと目標整理や行動計画作成が可能になり、毎月500-1000万円の売上が上昇しました。
また、株式会社 ジョンでの1on1ミーティングの導入事例の詳細は、下記のリンクでインタビュー記事を読むことができますので、ぜひお読みください。
効果的な1on1ミーティングを株式会社O:(オー)と実現しませんか?
株式会社オーでは、1on1ミーティングを効果的に行うための研修・コンサルティングやクラウドサービスを用いたサービスを提供させていただいております。
弊社で実施している1on1ミーティングを浸透させるための研修・コンサルティング内容は、会社の課題により異なり、個別最適化した内容を提供させていただきます。
また、弊社が提供するコンサルティング・研修は1on1ミーティングが浸透させるまでご支援させていただくことも特徴の1つです。1on1ミーティングを浸透させるために長い期間が必要です。そのため、弊社が提供する研修は、期間が半年以上と長く、1on1ミーティングを浸透させるまで併走させていただいております。
また、弊社は1on1ミーティング以外の研修も行なっており、以下に提供している研修例を紹介します。
- 1on1ミーティング研修
- マネジメント研修
- 評価者研修
- 目標管理研修
また、弊社では併走するだけではなく、それぞれの企業が自走しやすい環境づくりもご支援させていただくため、クラウドサービスであるCo:TEAM(コチーム)を提供しています。
このコチームは1on1ミーティングやフィードバック面談、目標管理、人事評価を繋ぐ、「個人の目標達成力を上げる」人材育成サービスです。そのため、それぞれの従業員が経営理念を浸透させるために重要な1on1コミュニケーションを効果的・効率的に行うことができ、様々な企業・団体で1on1ミーティングを浸透させてきた実績があります。
まとめ
本記事では、1on1ミーティングと従来の人事評価面談の違いについて説明しました。1on1ミーティングと人事評価面談は全く違うもので、企業の持続的な成長のためには1on1ミーティングが浸透することが重要です。ここまでお読みいただきありがとうございました!
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