1on1でエンゲージメントを高める方法とは?1on1のプロがコツを紹介
エンゲージメントとは「契約」や「約束」といった意味を持つ英単語engagementから派生した用語であり、ビジネスシーンでは社員の企業に対する愛着や愛社精神を指す意味で使用されています。
また、1on1ミーティングはアメリカのシリコンバレーで確立された優秀な人材マネジメント方法であり、近年はヤフーや楽天といった代表的なリーディングカンパニーで導入されたことを皮切りに日本でもメジャーになりつつありますが、この1on1はエンゲージメントを高める効果があるとされています。
こちらの記事では、1on1でエンゲージメントを高める方法や、効果的な1on1の実施方法を解説していきます。
従業員エンゲージメントとは??
そもそも、従業員エンゲージメントとはどのような用語なのでしょうか。
その意味や、似た用語との違いを解説していきます。
エンゲージメントとは
先述したようにエンゲージメントとは「契約」や「約束」といった意味を持つ英単語engagementから派生した用語ですが、さまざまな領域においてその対象を変えて使用されています。
たとえば、人事やビジネスシーンにおいては従業員の会社への愛社精神を指し、さらに会社と顧客の関係や、ブランドと消費者の関係においてもその結びつきを「エンゲージメント」と呼ぶことがあります。
従業員エンゲージメントとは
従業員とエンゲージメントを合わせた「従業員エンゲージメント」という用語もあります。
さまざまなシーンで使用されるエンゲージメントの中でも、人事領域やマネジメントにおけるもののみを指します。従業員の愛社精神や会社への忠誠度を意味するものであり、従業員エンゲージメントが向上すると会社全体に良い影響をもたらすと言われています。
そのような理由もあって、会社は従業員エージメントを高めるための取り組みを行っているのです。
従業員満足度とは何が違うの
混同されがちな用語として「従業員満足度」というものがあります。
従業員満足度は会社から提供される福利厚生や労働環境についてどれだけ満足しているかという指数であり、会社への思いや会社と従業員の絆とイコールになるものではありません。
また、従業員エンゲージメントが会社への愛社精神であるゆえに業績面や経営面で会社への貢献を期待できるのに対して、従業員満足度は従業員が待遇に満足しているかという結果のみを指すため、そのような効果が期待できるとは限りません。
従業員エンゲージメントが注目されている背景
近年従業員エンゲージメントが注目される背景として、主に以下の二つが挙げられます。一つずつ詳しく確認していきましょう。
- 労働人口の減少と転職数の増加
- 従業員が労働に求める条件の変化
労働人口の減少と転職数の増加
ます、「労働人口の減少と転職数の増加」により、会社に定着する人材の絶対数が減少してしまったことが挙げられます。
少子高齢化によってそもそもの労働人口が大幅に減少していることに加え、長期や終身での雇用体系は崩れて転職が当たり前となり、優秀な従業員であればあるほど現状よりも良い待遇やキャリアを求めて転職されてしまうのが現状です。
そもそも入ってくる人材数が少ない上に優秀な人材の流出も起こりやすくなったため、いかに人材を確保できるかに企業の経営陣は苦心しています。良い待遇を提供することももちろん大切ですが、それだけでは更に良い待遇を用意できる会社があれば転職されてしまう可能性もあります。
従業員エンゲージメントを向上させることによって、給料や福利厚生といった待遇面では替えが聞かないような愛社精神や絆を強化することができるため、人材流出に歯止めをかけることができます。
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従業員が労働に求める条件の変化
従業員が労働に求める条件が変化したことも従業員エンゲージメントが必要とされる理由の一つです。
近年、社会人が労働に求める要素として「給料」と同等以上に「やりがい」や「人間関係」といったものが挙げられ、労働環境に関する要素がより重視されるようになりました。
従業員エンゲージメントを向上させるための要素
それでは、どのようにして従業員エンゲージメントを向上させれば良いのでしょうか。
以下の三点は従業員にとって必須の要素でもあるので、一つずつ確認していきましょう。
- ミッション・ビジョン・バリューの浸透
- 心理的安全性
- 評価への満足度
ミッション・ビジョン・バリューの浸透
ミッション・ビジョン・バリューを浸透させることで、従業員エンゲージメントを向上させることができます。
「Mission(ミッション)」、「Vision(ビジョン)」、「Value(バリュー)」の頭文字をとった言葉であり、企業の存在意義や中・長期的な目標、その目標達成のための具体的な目標指針を指します。
ミッション・ビジョン・バリューとは、すなわち会社のあるべき姿や向かうべき指針そのものであり、取り組むべき事業の選定や事業内容の決定などはミッション・ビジョン・バリューに沿って行われます。
会社の指針が明確且つ従業員に浸透していれば、従業員のすべきことややりがいが明確になり、仕事を行う意義やモチベーションを見出すことにも繋がります。従業員が他人事ではなく真摯に事業にコミットメントするためにも、企業と従業員がミッション・ビジョン・バリューを共有することは非常に大切です。
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心理的安全性
従業員の心理的安全性を確保することで、従業員エンゲージメントを向上させることができます。
先述したように、近年の社会人は就職先の選定において「人間関係」や「居心地の良さ」を求める傾向にあり、職場での信頼関係の構築や円滑なコミュニケーションは必要不可欠になってきています。
職場での人間関係が良好であればストレスを軽減し心理的安全性を確保できるだけでなく、タスクや業務目標に関する話を気軽にできるようにもなり、その効果は計り知れません。
評価への満足度
評価への満足感は、従業員エンゲージメントに直結する要素です。
いくら仕事で成果を出しても、それに相応する評価が伴わなければ仕事のモチベーションが大幅に低下してしまいます。評価というのは、それを通じて自身の能力を確認したり、昇給や昇進といった相応の対価を得ることができるための物差しというだけのものではなく、会社への貢献度を分かりやすく視認するための指標でもあります。
成果やそれに伴う評価が不透明であれば、待遇面で不満を抱えるだけでなく、仕事への意義を見失うことにも繋がってしまいます
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1on1ミーティングで従業員エンゲージメントを高める方法
それでは、そのような方法で1on1ミーティングを用いて従業員エンゲージメントを高めれば良いのでしょうか。
そもそも、どうして1on1がエンゲージメントを高めることに有効であるかを理解している必要があるので、まずはその理由について説明していきます。次いで、従業員エンゲージメントを向上させられる1on1のやり方を紹介していきます。
1on1が有効な理由
1on1ミーティングの実施はなぜ従業員エンゲージメントを高めることに効果があるのでしょうか。
主に挙げられる以下の3つの理由について、詳しく解説していきます。
- ミッション・ビジョン・バリューの浸透ができる
- 心理的安全性が高まる
- 評価への満足度を向上させることができる
ミッション・ビジョン・バリューの浸透ができる
1on1を実施することで、「ミッション・ビジョン・バリュー」を従業員に浸透させることができます。
1on1では、上司と部下との間で対話やアドバイスの機会が増えるため、部下の考えを把握したり、それに応じたサポートを行うことができます。部下の考え方や業務への取り組み方から、きちんと「ミッション・ビジョン・バリュー」の共有ができているかを確認し、必要に応じて会社の「ミッション・ビジョン・バリュー」に沿った意識や目的のすり合わせを行うことで浸透を期待することができます。
心理的安全性が高まる
1on1を実施することで、心理的安全性を高めることができます。
1on1は上司と部下の一対一であり、また話すアジェンダも自由に決めることができるため、人前では相談しにくいような内容や改まった話題についても話しやすく感じるかもしれません。
また、部下の悩みや不安があれば適宜解消してサポートしたり、定期的に対話の機会を持つことで信頼関係を構築し、部下の心理的安全性を確保することができます。
評価への満足度を向上させることができる
1on1を実施することによって、評価への満足度を向上させることができます。
そもそも人事評価というのは、主に数値やデータに基づいた客観的評価である「定量評価」と、勤務態度やコミュニケーション面での貢献度など数値として現れない部分の主観的評価である「定性評価」に大別されます。
絶対的な数値に基づかない分定性評価というのは見極めが難しく、「何を基準に判断しているの?」という疑問や、評価者と被評価者の普段からの関りが乏しい場合などは、人事評価直前のたった一度の面談で定性面が決定されてしまうことへの不安の声も上がりがちなのではないでしょうか。
その点1on1は部下の仕事への取り組み方やモチベーションといった数値には反映されにくい部分を深堀りできる上に、定期的に積み重ねられていくものなので、詳細且つ豊富な評価の材料を得ることができます。
1on1の記録自体が評価の材料であり根拠にもなるので、部下の定性評価への納得感を高め、さらに仕事へのバイタリティを示す機会として1on1を活用しようというモチベーションを向上させることにも繋がるでしょう。
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エンゲージメントを向上させる1on1のやり方
1on1によるエンゲージメントの向上効果を十分引き出すためにも、1on1をより実りのある実施にすることを心がけましょう。1on1をより効果的に実施するための方法をいくつか紹介していくので参考にしてみてください。
- 1on1のおすすめの頻度と時間
- 話す内容(アジェンダ)を事前に決めておく
- 経験学習サイクルを意識した対話
- フレームワークを活用する
- 1on1で話した内容をメモする
1on1のおすすめの頻度と時間
最も効果的とされる1on1の頻度と時間は、「週1回30分」です。
週1回30分の面談は決して軽いものではなく、スケジュールの面で負担に感じてしまうかもしれません。しかし1on1は定期的に実施することこそが肝であり、頻度を落としたり間隔を空けてまうと得られるはずのメリットが半減したり目標達成が遠のいてしまう等のリスクがあるため、週1回のペースは保つようにしましょう。
また、人間が集中できる時間は45分が限界であると言われており、よって30分という時間が設定されることが多くなっています。
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話す内容(アジェンダ)を事前に決めておく
1on1をスムーズに実施するためにも、話題は事前に決めておきましょう。
先述したように部下・上司共に準備不足な状態で1on1に臨むのは避けるべきであり、そのためにも部下が1on1の準備を進めやすいような情報を教えてあげましょう。アジェンダが思い浮かばない、話すことがないと感じてしまうようであれば、公式のアジェンダリストを作成してその中から選んでもらうようにすると時間や手間を削減できます。
経験学習サイクルを意識した対話
1on1では「経験学習サイクルを意識した対話」を実践してみましょう。
経験学習サイクルとは、コルブが提唱した人が成長する過程を示したものです。簡単にまとめると、以下のような4ステップを踏んで人が学習・成長すると言われています。
- 経験フェーズ
- 具体的な経験をする
- 内省フェーズ
- 行動の振り返り・フィードバックを行う
- 概念化フェーズ
- 何を学んだかを明らかにする
- 実践フェーズ
- 次に行うときに学びを応用する
このような経験学習サイクルは、1on1で業務進捗や目標達成について整理した上で目標の設計や微調整を行うためのアウトラインとして応用できます。
「過去の業務や行動をピックアップする(経験)」→「成功or失敗要因や他の諸要素などを分析する(内省)」→「分析を踏まえて何をすべきかを問う(概念化)」→「今後の行動や目標の調整に実際に反映させる(実践)」という順序で振り返りから今後への対策を一貫して考えることで、部下自身の頭の整理にも非常に有効になります。
フレームワークを活用する
「フレームワークを活用する」ことも1on1のテクニックの一つです。
マネジメントや目標管理に効果的なフレームワークは数多く存在し、1on1においても業務状況や目標管理をフレームワークを用いて整理することは非常に効果的です。
さまざまなフレームワークを1on1に組み合わせて使用することで、個人の業務や目標の範囲のみならず会社の事業や強み・弱み、社内の環境などを体系的に整理して把握しやすくなるため、部下の視座を上げられたり、1on1ミーティングを通して得られる効果をさらに増大させることができます。
1on1で話した内容をメモする
1on1で話した内容を記録しておくことによって、その効果を最大限引き出すことができます。
特に一人で複数の部下の1on1を担当するマネージャーなどは、話した内容が混在してしまったり忘れてしまわないように記録を残しておく必要があります。また、記録を見返すことで部下の成長を見出したり、部下の業務への姿勢や考え方などが記録されるため評価の参考にするといった使い方も可能になります。
エンゲージメントを向上させる1on1のコツ
最後に、1on1を実施する上でよりエンゲージメントの向上を期待できるようなコツを紹介していきます。
- 部下から上手に話を聞き出す傾聴の姿勢
- 意識的に部下を承認する(Good Good Good moreの法則)
- 部下に合わせたコミュニケーションをとる
- クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける
部下から上手に話を聞き出す傾聴の姿勢
1on1では、「部下の話を傾聴する姿勢」を見せるようにしましょう。
1on1で上司に求められる力は、部下の話に真摯に向き合いながらしっかりと「聴く力」、すなわち「傾聴力」です。
何から何まで部下に指示やアドバイスを与えるのではなく、部下の話を遮らずに十分に自身の言葉で話させて、部下が自分自身で課題への答えや仕事に関する見通しを確立できるようになることが大切です。上司や管理職といった上の立場に立つマネージャー職の人は、あくまで聞き役や補助として「傾聴」を十分に行えるようになりましょう。
意識的に部下を承認する(Good Good Good moreの法則)
「承認・共感を効果的に使う」ことで、1on1で部下の心理的安全性を確保できます。
一般的に、日本人は「3回承認して1回アドバイスを行う」というやり方が一番合っていると言われており、これを「Good Good Good moreの法則」と言います。
この「3回承認して1回意見やアドバイス」を実践するために、部下が話してくれる業務の振り返りや相談内容などについて、基本的には承認して部下の心理的安全性を確保した上で一言アドバイスや意見を挟むようにしましょう。
また、アドバイスについても、「指摘ではなく提案形式で投げかける」ことで、角を立てずにすんなりと受け入れてもらうという対話のスキルがあります。
例えば、「この資料だと〇〇についての情報が不足しててダメだよね」ではなく「○○について情報をもう少し盛り込んだら分かりやすくなるんじゃないかな?」というように、命令や指示として思考停止的に受け入れさせるのではなく、あくまで提案として投げかけることで、部下が自身で考えて納得した上で決定したという認識を持ってもらうことができます。
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部下に合わせたコミュニケーションをとる
1on1では「部下に合わせたコミュケーションを取る」ことを意識してみましょう。
部下と一口に言っても、「行動力・野心が強い主体的な部下」や「好奇心旺盛で周りと楽しむことが好きな部下」、「論理的で分析力が強い部下」など、それぞれ異なる性格や強みを持っています。
このような異なるタイプにそれぞれ対応したコミュニケーションを取るために、ソーシャルスタイルという理論を活用することをおすすめします。
ソーシャルスタイルは、1968年にデビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論であり、人のコミュニケーションのタイプを「主導タイプ」「促進タイプ」「分析タイプ」「指示タイプ」という4つにカテゴライズし、最適なタイプを選択するというものです。
例えば、主導タイプは文字通りリーダーとして周囲を主導するような立場に立つことが多く、主体的な性格を持つ場合が多いです。このようなタイプはリーダーシップがある反面、意思が強く頑固な面もあるので、上司という立場から様々な意見や視野に触れさせて凝り固まらないようにサポートしてあげることが有効です。
また、この主導タイプとほぼ対極に位置するタイプとして支持タイプがあります。支持タイプは発言や主張が控えめで、そのため比較的パーソナリティを把握しづらい傾向にあります。このような部下には積極的に傾聴する側に回ることで、普段はなかなか聞くことができない相談や不満などを引き出してあげることが重要です。
クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける
「クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける」ことは、相手が話しやすくなる会話テクニックの一つです。
クローズドクエスチョンは選択肢がある質問形式で相手が気楽に回答できるという特徴があり、オープンクエスチョンは自由に内容を考えて回答してもらうため内容の幅が広がりやすいという特徴があります。
最初に話題や深堀りしたいポイントを模索する際にはオープンクエスチョンで相手の大きい範囲でおおよその関心を特定し、その後はクローズドクエスチョンも織り交ぜながら行うべきアドバイスや支援を絞っていきましょう。
まとめ
このように、1on1ミーティングは従業員のエンゲージメントを高めることで会社全体での目標達成をアシストすることが可能です。1on1をうまく利用して、個人の成績や職能の強化だけでなく、会社としての成長をも目指していきましょう。
効果的な1on1を実施するなら「Co:TEAM(コチーム)」
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- 1on1のスケジュールを何度も設定する
- 毎回1on1のアジェンダを決めるのに時間がかかってしまう
- 1on1の記録の管理が面倒くさい
- 従業員がどんな1on1を実施しているのか把握できない
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