【サンプル付】人事評価の4つの項目とは?目的や3つの評価方法・面談時のポイントを解説

人事評価は、組織内での従業員の評価と成果を客観的に測るための重要なプロセスです。組織や個人の成長を促進するために欠かせない要素であり、その方法やポイントを理解することは、より公正な評価を実現する一歩となります。

この記事では、人事評価の4つの項目について詳しく解説し、その目的や評価方法、面談時のポイントについて紹介します。


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人事評価とは

人事評価とは、一定期間における従業員の貢献度や業績、仕事への姿勢、個人の能力などを査定する人事制度のことです。

一般的にこの際の評価結果が、昇格・昇進や報酬査定に反映されます。

また、人事評価の基準や項目を明確に定めることで、企業としての方向性を従業員に示すという効果もあります。

「人事考課」という言葉もありますが、ほとんどの場合「人事評価」と同じ意味で用いられています。

人事評価の目的

人事評価は、昇格や給料の査定をすることが目的だと思われがちですが、この他にも大切な目的があります。

ここでは人事評価の3つの目的について解説します。

従業員のモチベーションを高める

人事評価は、企業にとって従業員のモチベーション向上を図るための重要な手段となります。評価制度を導入することによって、従業員自ら、成果や頑張りが給与や待遇に直結することを認識し、意欲的に業務に取り組むことが期待できます。

その結果、課題を発見した場合でも主体的に改善策を見つけ出し、積極的に対処する姿勢を促すことが可能となるでしょう。

また、実効性のある人事評価を行うためには、日々の従業員の頑張りや成果、仕事に対する姿勢を適切に見極めることが不可欠です。従業員は自身の努力や成果が企業に認められ、きちんと評価されていると感じることで、モチベーションが大きく向上します。

企業にとっても、従業員にとっても、相互に信頼を築くことができる人事評価は相乗効果を生み出し、より良い職場環境と成果の向上につながるでしょう。

このように、従業員のモチベーションを高めるためには、適切な評価制度を導入することが非常に重要です。組織と従業員が共に発展し、相互にメリットを享受できる人事評価が、企業と人材双方の持続的な成長と成功につながるのです。

企業の理念に基づいたどのような行動が期待されているかの理解を深める

二つ目の人事評価の目的には、企業の理念や方針に則って評価基準を定めることにより、従業員に対して企業理念の浸透を促すことが挙げられます。従業員が企業のビジョンや方針を共有し、理解することは、経営の方向性を共有し、ブレのない業務遂行につながる重要な要素です。

評価制度は、従業員にとって企業が何を大切にしているかや、どのような行動が期待されているのかを明確に示す手段となります。単なる賃金の決定ルールではなく、企業のビジョンを具体的な行動指針に落とし込むことで、従業員が自らの役割や貢献を理解しやすくなるのです。

評価基準を通じて従業員は自らの行動を評価と結びつけ、ビジョンを具現化するために貢献することに向けた意識を高めることができるでしょう。

従業員が企業のビジョンに基づいた行動を取ることで、組織全体がより一体となり、共通の目標に向けて力強く進むことが可能となります。このように、人事評価は単なる評価手段だけでなく、企業の理念に基づいた行動の理解を深め、組織の一体性を醸成する重要な役割を果たすのです。

人材配置の最適化を図る

人事評価の三つ目の目的は、企業が従業員の能力や貢献度を客観的に評価し、最適な人材配置を実現することです。過去には年功序列型の制度が主流であったため、従業員の能力や実績は自動的な昇進や昇給によって決定されることが多く、適材適所の人材配置が難しい状況でした。

しかし、時代の変化やビジネス環境の変革により、近年では個人の能力や実績を重視する企業が増えています。

従業員の能力や成果を客観的に評価するために、人事評価制度の見直しや改善が行われています。従業員ひとりひとりの成果だけでなく、1年間に養われたスキルや経験にも目を向けることで、成長した部分を適切に評価し、パフォーマンスを最大限に発揮できる環境を整備することが重要です。

これにより、得意不得意を含めた個人の能力を理解・把握し、適切な人員配置の実現が可能となります。適材適所の人材配置により、企業はより効率的に業務を遂行し、従業員も自らの能力を最大限に発揮できる環境で働くことができるようになるでしょう。

つまり、人事評価制度は、個々の能力や経験などを考慮し、最適な部署や役職を見直すことを通じて、従業員の成長を促進し、組織全体の力を最大限に引き出すことを目指すのです。

これらの目的を達成するためには、適切な基準や方法を用いて人事評価する必要があります。

人事評価の基準となる4つの評価項目

人事評価では「成果・業績評価」、「能力・プロセス評価」、「情意評価」、「行動評価」これら4つの指標を基準として評価することが一般的です。

評価の際は4つの基準をバランス良く評価する必要があります。そして全てをバランスよく評価した上で、職務内容によってそれぞれの基準の重視ポイントを変えることで正確な評価ができます。

1. 成果・業績評価

基準となる評価項目の1つ目は、成果・業績評価です。

成果・業績評価は、一定期間中の業務の成果や結果に基づいて従業員を評価することです。

特徴として、定量的に数値化することが比較的簡単であり、明確に数値化することで客観的に把握しやすくなる点があります。

具体的な項目の例として以下が挙げられます。

  • 仕事の質(仕事の正確さ)
  • 成果達成までのスピード・効率性
  • 対応案件数
  • プロジェクト全体への貢献度
  • 最初に設定した目標の達成度

成果・業績評価のメリットは、分かりやすい基準を設けることが可能なため、従業員は昇進や給与アップを目指して、成果・業績を向上させようと努力することができるということです。

デメリットは、結果までのプロセスを重視しないため、高い能力があっても、社会情勢など自分ではどうしようもない外的要因によって業績を上げられなかった従業員の査定が低くなり、不満に繋がってしまうことです。

この対策として、最近はプロセスも重視する評価制度である、「パフォーマンスマネジメント」を導入する企業が増えてきています。

パフォーマンスマネジメントについて、詳しくはこちらをご覧ください。

2. 能力・プロセス評価

基準となる評価項目の2つ目は、能力・プロセス評価です。

能力・プロセス評価は、成果・業績評価と異なり、実績に関係なく従業員が業務をするために必要とされるスキルや知識の程度を評価することです。

特徴として、定量的に数値化することが難しく、数値で計測が難しい能力を評価する点があります。

具体的な項目の例として以下が挙げられます

  • 理解力
  • 企画力
  • 実行力
  • 改善能力
  • 折衝能力

能力・プロセス評価のメリットは、長期的な視点で評価するため、成果・業績評価で見落とされがちな個人のスキルや努力、成長性などを評価できることです。

また、裏方に徹したり、大きなトラブルを回避したりなど、売上には現れないが大きな貢献をしてくれた従業員を正しく評価できるメリットもあります。

デメリットは、評価基準の数値化が難しいため、評価のための手間が大きく、評価する側の評価スキルによって評価結果に差異が出やすいことです。

3. 情意評価

基準となる評価項目の3つ目は、情意評価です。

情意評価は、業務に対する姿勢や勤務態度を評価することです。

特徴として、定量的に数値化することが難しく、立派な業績があったとしても勤務態度に問題があれば評価は下がります

具体的な項目の例として以下が挙げられます。

  • 規律性
  • 協調性
  • 積極性
  • 責任感
  • 思いやり

情意評価のメリットは、能力・プロセス評価と同じく、成果・業績評価において見落とされがちな部分を評価できることです。

また職種や役職に関係なく、企業が求める人物像の基準を示せるため、企業の特色を決められることもメリットです。

デメリットは、評価者の主観が混じりやすいため、評価エラーが発生しやすいことです。

評価エラーはこの記事の後半で詳しく解説します。

4. 行動評価

基準となる評価項目の4つ目は行動評価です。

行動評価は、従業員が業務上の成果を達成するために実際にどのような行動を取ったかを評価することです。

特徴として、従業員の行動そのものを具体的に評価基準にして従業員の業績や貢献度をより実際的に測定し、評価することができます。

具体的な項目の例としては以下が挙げられます。

  • チーム内でのサポート
  • チャレンジ精神
  • 目標達成のための行動
  • 影響力

行動評価のメリットは、公平な評価と人事評価に対する納得感を提供し、従業員のモチベーション向上と組織の成長を促進できることです。

また、従業員の努力と行動が適切に評価されることは、自己成長や組織への愛着が高まり、離職率の低下や優れた人材の確保に繋がるでしょう。

デメリットは、定期的な見直しや人的リソースが必要であり、短期間では効果が出にくいことです。

人事評価に使える3つの評価方法

ここでは人事評価で実際に活用できる具体的な3つの評価方法を紹介します。

1. MBO評価(目標管理制度)

評価方法の1つ目はMBO評価(目標管理制度)です。

MBO評価は、個人またはグループで目標を設定し、その達成度によって評価します。

MBO(Management by Objectives)は、「目標による管理」「目標管理制度」と訳され、1954年に経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱しました。

個人の目標と成果がはっきりと数値で示されるため、評価に納得してもらいやすいという特徴があります。

メリットとして以下が挙げられます。

  • 各従業員の全社への貢献度がわかりやすいこと
  • 自主的な従業員の職務能力向上が期待できること
  • 従業員のモチベーション向上が期待できること

目標と成果がはっきりと数値で表せるため、各従業員の会社目標に対する貢献度を正確に測定でき、納得感や信頼性の高い評価ができます。

また、具体的でわかりやすい目標を掲げられるため、その目標達成に向けて従業員が自律的に職務能力を向上させることや、目標達成によって業務に対するモチベーションが向上することが期待できます。

デメリットは以下が挙げられます。

  • プロセスが軽視されやすいこと
  • ノルマ管理によって従業員の疲弊を招きやすいこと
  • 会社にとって生産性の低い目標設定をする可能性があること

目標に対する達成度で評価が決められるため、結果ばかり見られてしまい、その結果にたどり着くまでのプロセスが評価されづらい面があります。

また、わかりやすい目標はノルマという形で提示されることが多いですが、このノルマに縛られて心や体が疲弊してしまう従業員が現れないように注意することが大切です。

加えて、目標管理制度では、「目標をどれくらい達成できたか」が評価の基準になることが一般的です。そのため、従業員にとって達成しやすく、会社にとって生産性の低い目標が設定されてしまう可能性もあるでしょう。従業員が決めた目標に対し上司がチェックするなどの対策を行うこともおすすめです。

2. コンピテンシー評価

評価方法の2つ目は、コンピテンシー評価です。

コンピテンシー評価は、職務ごとに能力や業績が高いハイパフォーマー従業員に共通する、行動特性(コンピテンシー)をもとに基準を設定して評価します。

評価基準が明確なので客観的で納得感の高い評価が可能という特徴があります。

メリットとして以下が挙げられます。

  • 公正な評価ができること
  • 多面的な評価ができること
  • 従業員に経営ビジョンが浸透できること

コンピテンシーによって目指すべき理想像が確立されるため、上司との相性や男女差などによる評価の差を無くせ、公正な評価ができます。

また成果やプロセスの評価に加え、コンピテンシーの中に独自の基準を設けることで、多面的な評価ができるようにもなります。

さらに、理念・バリューを反映したコンピテンシーを作り上げられれば、自然に従業員へ経営ビジョンが浸透させられます。

デメリットは以下が挙げられます。

  • 時間や労力がかかること
  • 修正のコストが高いこと

コンピテンシー定義やモデル作成は1つ1つの会社に適したものが存在するため、他社を参考に作れません。

また、評価モデルの妥当性を仮説検証する必要があります。

そのため多くの時間や労力がかかってしまうので、気軽に取り組み始められないという難しさがあります。

そしてコンピテンシー評価を導入した後も、コンピテンシー評価は評価基準に柔軟性がなく、外部環境の変化によって生じる修正のコストが高いという難しさが存在します。

このようにコンピテンシー評価は導入前も導入後も、多くの労力を必要とします。

しかし、その分得られる効果も高いため、多くの企業や地方公共団体などが導入しています。

3. 360度評価(多面評価)

評価方法の3つ目は、360度評価です。

360度評価は上司だけでなく、一人に対してさまざまな階層の従業員がフィードバックを行い評価することです。

メリットとして以下が挙げられます。

  • 強み・弱みの把握に繋がること
  • 信頼性の高い課題を特定できること
  • 評価に対する不満が少なくなること

様々な階層の多くの人からフィードバックをもらえるため、評価対象の強みや弱みの把握に繋がります。

また、自己評価と他者評価を比較することや、多数からの同じ指摘があれば、信頼性の高い評価対象者の課題を特定できます。

さらに、多くの人からフィードバックをもらえるため、評価の客観性が担保され、評価に対する不満を小さくすることが期待できます。

デメリットは以下が挙げられます。

  • 実行に多大な労力が必要になること
  • 評価の偏りが発生しやすいこと
  • 社員同士で互いに評価を良くし合う可能性があること

まず、360度評価では階層の違う多くの人を巻き込んで評価してもらうため、評価プロセスが複雑になり、評価する人の選定や集計などをする必要もあるため、実行に多大な労力が必要になってしまいます。

また、選択した評価者によって評価の偏りが発生しやすかったり、自分への高評価の見返りを求め、従業員同士で互いに評価を良くし合う可能性があるなど、評価の仕組みが機能しない可能性を孕んでいます。

人事評価のプロセス

ここまでに人事評価の目的や基本の評価項目、3つの評価方法について詳しく説明しました。

本パートでは具体的な人事評価のプロセスを解説します。

1. 業務目標を設定する

評価プロセスの始まりは、全社目標や部署目標を考慮し、個人の業務目標を決定することです。従業員1人ひとりが自身の目標を考え、上司との面談で調整します。目標の設定は客観的な結果判断を重視し、数値目標を設けることが理想です。

2. 評価期間の節目で個別面談を行う

半期や四半期ごとに、個別面談を実施します。進捗確認や業務に関する相談を行い、必要なフォローを提供することが重要です。部署内での進捗確認を通じて、進捗遅れや停滞を防ぎましょう。

3. 評価シートを記入し面談を準備する

評価期間終了後、部下は自己評価を基に評価シートを記入し上司へ提出します。上司は彼らの自己評価を確認し、面談の準備を進めます。評価内容に差異がある場合に備え、根拠を準備してください。

4. 評価面談を実施する

上司と部下による評価面談を行います。部下の自己評価をもとに根拠を説明し、上司は評価を調整します。最終的な評価は上司の判断ですが、部下の納得を得ることが重要です。

5. 経営層や管理職で評価会議を行う

評価面談の結果を経営層や管理職と共有し、評価の最終調整を行います。部署間で評価の差が生じた場合には調整を行い、関連部署の意見も考慮しましょう。

6. フィードバックを提供する

評価会議の結果を本人にフィードバックします。フィードバックの際には評価内容や変化だけでなく、改善点や期待点も伝えるようにしましょう。報酬制度への反映も説明し、透明性を保ちながらフィードバックを提供することが重要です。

人事評価面談5つのポイント

評価する際の人事担当者1番の力の見せ所といっても過言ではない、人事評価面談で気を付けるべき5つのポイントを紹介します。

1. 事前に大まかな面談の段取りを考えておく

人事評価面談のポイント1つ目は面談の前に事前準備を行うことです。これは評価面談で従業員の成長と目標達成を促進することに大きく貢献するでしょう。

まず、毎回の評価内容を明確に整理しましょう。どのような事実や情報が評価の基になったのかを明確に理解しておくことは、面談の信頼性を高めます。

次に、その評価内容を支える根拠を整理し、部下が納得できるような説明を準備します。

また、想定される質問への回答も考えておきましょう。部下からの質問や疑問に対しても自信を持って説明できるようにすることで、信頼関係を築くことができます。

面談で最も伝えたいポイントも事前に明確にし、大まかなストーリーを描いておくことで、面談の進行がスムーズに行うことが可能となるのです。

確かな情報と準備によって、部下との対話はより有益なものになり、従業員のモチベーションと成果向上に貢献できることでしょう。

2. 従業員が話しやすい環境をつくる

人事評価面談のポイント2つ目は、従業員が話しやすい環境をつくることです。

話しやすい環境を作るためには

  • 拡大質問(オープンクエスチョン)
  • 肯定質問
  • 相槌

以上の3つが大切です。

拡大質問とは、二者択一で返答できる質問ではなく、自由に返答できる質問をすることです。

「Aですか?Bですか?」といった、選択肢を与える「限定質問」は、圧迫感を与えてしまうため人事面談ではふさわしくありません。

「どうですか?」や「なぜですか?」と質問して、選択肢に縛られずに回答できるようにすることで、多くの対話が可能になります。

肯定質問とは「うまくいった要因は何?」や「どのようにすれば成果が出たと思う?」など、肯定的な言葉を使って質問することです。

「なぜうまくいかなかったのですか?」といった否定質問は限定質問と同じく、圧迫感を与えてしまうため人事面談ではふさわしくありません。

3. 前期のフィードバックを伝えて納得感を得る

人事評価面談のポイント3つ目は、前期のフィードバックを伝えて納得感を得ることです。

人事評価面談では、従業員の前期の結果に対しての会社側の評価を伝える必要があります。

その際に、結果だけをただ伝えるのではなく、前期の結果に対するフィードバックをしましょう。

フィードバックによって、評価を受ける側はどのような評価基準でどういった評価がされたのか分かるため、納得感を得られます。

さらに、評価結果を伝える側は、結果が良いものであっても悪いものであっても気にせず、プロセスの中で何が良くて何が悪かったのか一緒に理解しようとする姿勢を持ちましょう。

また、疑問や不満があれば面談の場で話を聞き、解消することも大切です。

これによりさらに会社からの評価に納得感が得られます。

4. 来期の期待を伝えてモチベーションを向上させる

人事評価面談のポイント4つ目は、来期の期待を伝えてモチベーションを向上させることです。

上記の通り、前期の結果を伝えた後に、来期の期待も伝えるようにしましょう。

期待を伝えることで、従業員のモチベーション向上に繋がります。

期待することが有効であることは、科学的にも証明されていて、そのことを「ピグマリオン効果」と呼びます。

ピグマリオン効果とは、教育心理学における心理的行動の1つで、教師の期待によって学習者の成績が向上した実験によって確立されました。

一方で教師が期待しないことによって学習者の成績が下がる「ゴーレム効果」も存在し、期待を伝えることの大切さがわかります。

また、事前に来期に期待することを用意しておいて、面談の場でスムーズに伝えられるようにしておくと良いでしょう。

5. 面談後のフォローを忘れずに行う

人事評価面談のポイント5つ目は、面談後のフォローを忘れずに行うことです。

まず、面談で設定した目標について、日常的な会話で取り上げる意識を持ちましょう。これにより、部下は目標達成への意識を持ち続けることができます。

また、面談で部下からの提案があった場合、返答や情報共有を怠らず行うことで、部下の意欲をサポートします。

さらに、部下のスキルアップに役立つ情報を提供することも重要です。新しいトピックやトレンドを共有することで、部下の成長を支援し、モチベーションを高めることができるでしょう。

これらの小さな行動が、部下の課題解決や目標達成、スキルアップに繋がります。面談後も継続的なコミュニケーションを保ち、信頼関係を深めながら、共に成長していくパートナーシップを築くことが大切です。

注意すべき人事評価エラーとは

人事評価は感情を持った人間が他の人間を評価する行為であるため、評価する側の人間が持つ主観や先入観、偏見などが入ってしまうことが多くあります。

これらのバイアスを人事評価エラーといいます。

特に定量的に数値化することが難しい能力・プロセス評価や情意評価で人事評価エラーは発生しやすい傾向があります。

どれだけ対策しても人間が人間を評価する以上、人事評価エラーを完全に無くすことは難しいです。

しかし、人事評価エラーの発生原因を知り、評価には先入観や偏見が入りやすいことを念頭に置いておくことで、少しでも公正な評価へ繋げられます。

1. ハロー効果:顕著な特徴に影響された評価

人事評価エラーの1つ目は、ハロー効果です。

ハロー効果とは、評価対象の顕著な特徴が他の評価を歪める現象です。

人事評価では、出身大学や実績に影響されず公平な評価を行うことが大切です。例えば、有名大学出身であることや過去の実績は現在の評価に直結するべきではありません。

ハロー効果により成果不足者を過大評価すると他の従業員からの不満が生じ、離職リスクが増えることに繋がります。公正な評価を行い、従業員満足と離職防止に努めるようにしましょう。

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2. 寛大・厳格化傾向:私情に影響された評価

人事評価エラーの2つ目は、寛大・厳格化傾向です。

寛大・厳格化傾向は、個人的感情によって評価が甘くなったり厳しくなったりすることを指します。

寛大化は部下からよく思われたい気持ちや低い評価をすることで部下から嫌われたくない気持ちによって甘い評価を行うことで、厳格化は評価者が完璧主義であったり教育熱心出会ったりするあまり、過度に厳しい評価をする傾向です。

3. 中心化傾向:全員が平均に集まる評価

人事評価エラーの3つ目は、中心化傾向です。

中心化傾向とは、評価が平均値に偏ってしまうことです。

中心化傾向が発生する理由として、すべての評価対象者に嫌われたくないという思いから、無難な評価をしてしまい、評価が中間値に集まりすぎてしまうことが挙げられます。

評価が中心に集まりすぎると、従業員1人1人の特徴が把握できなくなり、適切な人事配置や昇格・昇給ができなくなってしまいます。

4. 論理誤差:推測による評価

人事評価エラーの4つ目は、論理誤差です。

論理誤差とは、根拠のない思い込みや推測で評価してしまうことです。

例として、成績や業績が良いから情意も積極的なはずだと勝手に推測し、評価基準を無視して全体的に高い評価を下してしまうことが挙げられます。

評価に至った基準が曖昧なため、評価される人々の評価に対する納得感が低下してしまうことが考えられます。

5. 対比誤差:評価者が基準の評価

人事評価エラーの5つ目は、対比誤差です。

対比誤差とは、自分の基準と比較して評価してしまうことです。

例として、評価基準を無視して、評価者自身の能力と評価対象者との能力を比較して評価を下してしまうことが挙げられます。

評価者の能力と、評価基準が離れている場合、適切な評価がくだせなくなってしまいます。

6. 近隣誤差:短期的すぎる評価

人事評価エラーの6つ目は、近接誤差です。

近接誤差は、評価対象者の直近の状態だけに基づいて評価する誤りを指します。

たとえば、評価期間全体を見るべき時に、期末の業績や能力だけに注目して評価することがありますが、これは心理学のピーク・エンドの法則と関連しているのです。

この法則によれば、人々は経験した出来事の絶頂期と最終段階の記憶を強く持ち、それに影響を受けるとされています。

近接誤差を避けるためには、定期的な評価とその結果の記録を行い、期末に全体を振り返り平均を考慮するような仕組みを構築する必要があるでしょう。

人事評価項目のサンプルを職種別に見る

これまでに人事評価の概要や人事評価に使える評価方法、人事面談で気をつけるべきポイントなどに焦点を当てて説明しました。

では、最後に人事評価項目を職種別に確認しましょう。

営業職の人事評価項目

評価基準評価項目評価内容
成果評価売上目標達成度年間売上目標をどれだけ達成したか
能力評価コミュニケーションスキル顧客との円滑なコミュニケーション能力
提案力・交渉力顧客に適切な提案を行い、交渉を進める能力
情意評価チームワークチーム内外での協力や協力者としての態度
行動評価自己成長意欲新たな知識やスキルを積極的に学ぶ姿勢
顧客へのサービス態度顧客のニーズを理解し、適切な対応をする姿勢
  • 成果や業績が数値化されるため、業績評価が重要
  • 能力評価には営業に関連するスキルやコミュニケーション性を考慮
  • 情意評価では他部署との連携や責任感を評価対象に

事務職の人事評価項目

評価基準評価項目評価内容
成果評価業務目標達成度目標を達成できたか
課題目標達成度目標達成のために定めた課題を達成できたか
能力評価コミュニケーションスキル同僚や上司と円滑なコミュニケーション能力
問題解決能力問題が生じた際に適切な対応をする能力
情意評価チームサポートチームメンバーや同僚をサポートする姿勢
行動評価プロフェッショナリズム職務に対する誠実さや専門性を示す姿勢
自己管理能力仕事の優先順位を適切に設定し、効果的に進める能力
  • タスク遂行能力やコミュニケーションが重要
  • 正確な情報の処理と円滑なコミュニケーションが業務の質を左右する
  • 情意評価では協調性を重視

技術職の人事評価項目

評価基準評価項目評価内容
成果評価業務目標達成度目標を達成できたか
課題目標達成度目標達成のために定めた課題を達成できたか
能力評価専門知識・スキル技術分野における深い知識と高いスキル
問題解決能力複雑な問題に対して創造的かつ効果的な解決策を見つける能力
情意評価協力・貢献チームメンバーやプロジェクトに対する協力的な態度
行動評価開発意欲新たな技術やツールの習得への意欲
品質意識仕事の成果物に対する高い品質意識
  • 仕事の品質や技術スキルが評価される
  • 能力評価には問題解決力や協力性などを考慮
  • 情意評価では専門知識の継続的な向上や提案行動を重要視

管理職の人事評価項目

評価基準評価項目評価内容
成果評価業務目標達成度目標を達成できたか
課題目標達成度目標達成のために定めた課題を達成できたか
能力評価リーダーシップ・指導力部下を効果的に指導し、組織をリードする能力
コミュニケーションスキル部下や上司との効果的なコミュニケーション能力
情意評価チームへのサポート部下や同僚への支援と協力を示す態度
行動評価意思決定能力難しい局面での的確な判断と意志決定能力
ビジョンと戦略の提唱長期的なビジョンと戦略の提案と推進
  • チームや部門の業績やリーダーシップが評価対象
  • 能力評価にはリーダーシップや専門知識を含む
  • 情意評価では経営理念への理解や業務改善への貢献を重視

上記はあくまでサンプルですので、実際の組織の特性や文化に合わせてカスタマイズすることが重要です。

まとめ

人事評価は一見簡単そうに見えますが、様々な項目や人事評価エラーが存在し、奥が深く難しい仕事です。

しかし、組織の成長と個人の発展を促進するためには、人事評価の重要性を軽視せず、適切な方法で取り組むことが欠かせません。

本記事を通じて、人事評価の基本を理解し、それを組織に最適化する手助けができれば幸いです。

お手伝いが必要な際には、株式会社O:のコンサルティングを通じて、より効果的な人事評価の実現を目指しましょう。

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