定性目標とは
定性目標とは、数値化できない目指すべき状態を表した目標のことです。
成果達成のための必要な行動に着目した内容のため「行動目標」と呼ばれることもあります。
具体的には、
- 社内で一番仕事ができる人になる
- 信頼される人間になる
- 商談のアイスブレイクを成功させる
といったように、「どうありたいか」という状態のことを示すものになりますので、数値では表現できません。
掲げた目標が達成できたのか、できていないのかは、あくまでも個人の価値観によって判断されるのが特徴です。
定量目標とは
定量目標とは、定性とは逆に、数値や数量で表す目標のことです。
具体的には、
- 毎朝10分間新聞を読む
- テレアポで1日5件商談を獲得する
- 社員の定着率を30%向上させる
このように具体的に数値で表現ができるため、誰が見ても、目標が達成できたのか、できていないかが明確にわかります。
定性目標と定量目標の違い
ここではそれぞれの目標のメリット・デメリットについて解説します。
定性目標のメリット・デメリット
定性目標のメリットは
- 目標を立てやすい
- モチベーションが高まる
ことです。
自分が「どうありたいか」という目標ですので、「感情」が先行するため、モチベーションは高くなります。
逆にデメリットとしては
- 客観性が欠けやすい
- 達成するために何をすべきか、人によって変わる
ということが言えます。
例えば、自分自身の「電話対応が暗い」という課題感を持っているのであれば、「電話の際明るく、元気良く対応する」という定性的な目標を設定ができます。
ここで言う「明るさ」や「元気の良さ」は数値では置き換えられず、「少しでも声のトーンを上げてみる」ことや、「声を大きくする」ことも目標達成に必要な行動として立てることができます。
自分自身が考える「ありたい姿」に向けて、「明るさ」や「元気の良さ」を実現するための行動に落とし込むことで、モチベーションを高く維持することができます。
しかし、人によっては「明るさ」「元気の良さ」はトーンでは無く「お腹から声を出すこと」であったり「笑顔で電話をかけること」の可能性もあります。
達成するための具体的な行動は人によって様々でありますので、上司が評価する際は私情が入りやすいこともあります。
定量目標のメリット・デメリット
定量目標のメリットは
- 目標達成に向けた行動が明確
- 達成できたのか、できていないのか客観的に評価できる
ということです。
自らのアクションを数値化できるので、達成したのかしていないのかが明確です。
デメリットとしては
- 数字ですべてを判断されるため、プロセスは評価されない。
- モチベーションの維持が難しい
ということが上げられます。
具体例としては、「毎月300万円の売上を達成する」という定量的な目標に対して、「毎月30件の商談を実施する」、そのために「毎月100件のテレアポを行う」など目標達成に向けて細かくタスクを明確にできます。
タスクを忠実に実行し、目標達成ができれば、評価も明確に受けることができます。
しかし、すべてを数字で判断されてしまうため、例えば売上達成に向けて頑張った社員と頑張っていない社員が同等の評価を受けてしまうこともあり、モチベーションが下がるという事例も多くあります。
また、「数字だけを達成すればいい」という誤った認識が広まり、数字に関わらない人間関係や心理的なマネジメントに対しては軽視されてしまうこともあります。
定性目標と定量目標の違い
以上のように、定性目標と定量目標には明確にそれぞれの違いがあります。
まずは「どうありたいか」という定性目標を設定し、次に「何を、いつまでに、どうするか」という定量目標を設定していくことが望ましいでしょう。
定量目標に対して、達成できているかいないのかを評価しながらも、「なんのために」という定性目標を常に意識していくことが、プロセスを大切にしながらも目標達成を果たす上で重要となります。
定性目標を立てる3つのポイント
ここでは定性目標の立て方について解説します。
「どうありたいか」を言語化する
すべての目標の原点は「定性目標」からスタートします。
会社で言うところの企業理念がそれにあたります。
例えばオリエンタルランドの企業理念は
「自由でみずみずしい発想を原動力にすばらしい夢と感動ひととしての喜びそしてやすらぎを提供します。」
という定性的な目標から「いつ、何を、どうするのか」を明確に設定しています。
まずは自分自身が「どうありたいのか」という定性目標をイメージし、言語化することから目標の設定が始まります。
短期的な定性目標を立てる
「どうありたいか」という中長期的な定性目標が定まったら、さらにその目標に対して「どのような状態」であれば目標達成に近づくかを設定しましょう。
- お客様に喜んでいただく
- モチベーションを高く持って働く
など、明日から実践、達成できるような短期的な目標を設定することが重要です。
何をすべきかを明確にする
目標を達成するためには、「何をすべきか」を明確にすることが必要です。
特に定性目標においては、正解が一つではありませんので、自分自身が考えるアクションプランに落とし込む事が必要です。
「お客様に喜んでいただく」という定性的な目標のために、「『ありがとう』と言われる行動を多く行う」など、具体的な行動に落とし込むことが重要です。
定量目標の立てる5つのポイント
定量目標を設定する上では、1981年にジョージ・T・ドラン氏提唱の「SMARTの法則」に沿うことが有効とされています。
SMARTとは、MBOやOKRでも用いられる、目標達成を実現するための5つの成功因子で
- Specific:具体的であること
- Measurable:計測可能であること
- Achievable:達成可能であること
- Related:関連性があること
- Time-bound:期限があること
の頭文字をとって名付けられています。
Specific:具体的であること
定量目的はその名の通り計測できることが要素なので、具体的に設定する必要があります。
「仕事ができる人になる」という定性的なものではなく、「売上を○○万円達成する」といったように、明確な目標を設定します。
Measurable:計測可能であること
企業理念や自らのありたい姿である定性目標に対して、定量的に目標を立てる必要があります。
自分が達成をできたのか、できていないのかが明確にできる目標を設定しましょう。
Achievable:達成可能であること
目標設定の際に、あまりにも現在地から高すぎる目標を設定するとうまくはいきません。
設定した目標に取り組むことを途中で挫折してしまう傾向が多いタイプのは、この要素が欠けています。
毎日ランニングする習慣がない人が「毎日10kmランニングをする」という目標を掲げてしまうと、始めて数日は達成ができたとしても、継続していくことは難しいでしょう。
立てた目標に対して、挫折を繰り返してしまうと、「ダメだった」という自己評価へ悪影響を及ぼしていきますので自信を失い、さらに目標を達成できなくなるという悪循環が発生してしまいます。
現在地を見つめ、段階的な目標を設定するようにしましょう。
Related:関連性があること
「どうありたいか」という定性目標と、関連している定量目標であるかが重要な要素です。
その目標を達成することが、何につながっているかを意識すると、モチベーションが高まります。
Time-bound:期限があること
定量目標は、期限を定めることで日々の「すべきこと」がより明確になります。
「本を10冊読む」という目標に対して、「1ヶ月」という期限を設けることで、「3日で1冊を読まなければならない」という具体的なタスクが明確になっていきます。
目標を立てる上での注意点
目標を設定する上で、定性目標と定量目標をバランス良く立てることが大切です。
定性目標のみでは客観性がなく評価しづらい
定性目標は個々人の価値観にも左右されるため、定性目標のみでは客観性に欠け、評価が難しくなります。
「社内を明るい雰囲気にする」という目標だけでは、何をもって達成したのか、具体的にどんなことをすれば良いのか、第三者からみて目標が達成したのかどうかの判断が付きづらくなります。
「社内を明るい雰囲気にする」ために「週に1回ランチミーティングを行う」「毎朝の朝礼でGood&Newを1人1つ発表する」など、定量目標とセットで考えましょう。
定量目標のみでは目的を見失う
逆に定量目標のみを設定した場合、短期的な数値結果ばかりを追い求めてしまい、「どうありたいか」という視点が欠けてしまいます。特にこれがチーム目標となると、すべては数字で表され、いかに数字を達成するかがすべてとなります。
すべては数字で表され、効率化され、短期的に成果は上がります。しかし、「なんのために」という定性的な視点がないと、モチベーションの維持や人間関係にも悪影響を及ぼします。
「そもそもなぜこの数字を達成する必要があるのか」という定性的な要素を入れることが目標を立てる上で非常に重要となります。
職種別目標の具体例
最後に、職種別の定性目標と定量目標の例を紹介します。
営業職の目標の具体例
【定性目標】
- お客様へのレスポンスを早くする
- チームリーダーへの昇進
【定量目標】
- 月の売上を○○万円達成する
- 月の新規顧客を○件増やす
営業職は会社の売上に直結する部署のため、定量目標のみが設定されていることがほとんどです。
チームとして定量目標を達成すると、どうなっているのか、ビジョンやゴールを共有し、定性的な要素を評価していくことも大切です。
事務職の目標の具体例
【定性目標】
- 業務効率を上げる
- 業務改善をする
- 生産性を上げる
【定量目標】
- 業務ミスを○%減らす
- 書類作成スピードを○%上げる
事務職は業務効率化など、「変化」を数値として示すことが求められる仕事なので、現在値を定量的に測っておくことが大切です。
SE(システムエンジニア)の目標の具体例
【定性目標】
- 新しい言語を習得する
- 品質の維持
【定量目標】
- 工数○%削減
- 遅延を○%減少
- 残業を月○時間以内に抑える
SEはスケジュールや工数など数値化しやすい部分はあるものの、外的要因も多く定量目標の継続的な達成は困難な職種とも言えます。
言語習得など、新しい分野への挑戦などの定性目標を設定することが大切です。
まとめ
目標には定性、定量の種類があり、それぞれを設定していくことが自分、チームのあるべき姿へ近づく上で重要であることを解説いたしました。
正解のない社会になりつつある今、それぞれが目標に向かい、成長をしていくことがこれからの日本社会で働く上で重要なことなのかもしれません。
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