ドラッカーのマネジメント理論とは?重要な能力・スキルと改善方法について解説!
「マネジメント」とはなんなのか。多くのマネージャーや管理職の方はこのような疑問を感じたことはないでしょうか。これは「マネジメント」とつく言葉が、世の中には多く存在することが原因で生じてしまう問題なのではないでしょうか。
「このような悩みを持つ方」や「マネジメントって言葉は知っているが、上手く利用できていない方」に向けて、本記事ではマネジメント界で最も有名といっても過言ではない「ドラッカーのマネジメント理論」について説明します。
ドラッカーについては名前を知っている方が多いのではないでしょうか。ドラッカーはマネジメントの父と呼ばれる程有名な人で、多くの人がマネジメントの参考にしています。特に、日本では過去に『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称『もしドラ』)で、ドラッカーに注目が集まったことがあります。
しかしながら、ドラッカーについては、名前を聞いたことがある方はいても、詳細に知っている方は少ないのではないでしょうか。そのため、本記事ではドラッカーやドラッカーが提唱したマネジメント理論について紹介しますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
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目次
ピーター・ドラッカーとは?
ここではピーター・ドラッカーについてどのような人物なのか、生み出した概念や名言などの功績についてご紹介していきます!
ピーター・ドラッカーとは
ピーター・ドラッカーはマネジメントの父と呼ばれるほど有名なオーストリア人経営学者です。ドラッカーは「マネジメント」、「イノベーションと起業家精神」などの多数の著書を残しており、組織のマネジメントを取り上げたものと社会や政治などを取り上げたものにわけることができます。ドラッカーの著書は現在も多くの人々の考え方に影響を残しており、ビジネスにおける「マネジメント」の考え方を最初に提唱したのもドラッカーです。
マネジメントに関するドラッカーの名言
マネジメントの父であるドラッカーが残した名言について紹介します。
マネジメントとは、人にかかわるものである。
出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー
その機能は人が共同して成果をあげることを可能とし、
強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。これが組織の目的である。
この名言はドラッカーのマネジメントに対する考え方が色濃く反映されているものとなっています。ドラッカーはマネジメントが効果的に機能すれば、弱みの無い組織が構築でき、世の中に価値を提供できるということを表しています。
マネジメントはもともと権力をもたない。責任を持つだけである。
出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー
その責任を果たすために権限を必要とし、現実に権限を持つ。
それ以上のなにものももたない。
この名言を聞いて、ハッとした方は多いのではないでしょうか。人をマネジメントするということは、権力を持ったり、自分の思いのままにチームを動かすという意味ではないです。つまり、マネジメントとは、人の持つ強みを発揮させ、チームの成果を最大化するということです。
企業の目的は顧客の創造である。したがって、企業は二つの、ただ二つだけの企業家的な機能をもつ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす
出典:「マネジメント」 P.F.ドラッカー
この名言はドラッカーのマーケティングに対する考え方が良く表れており、ドラッカーの名言の中でも特に有名なものの1つです。ドラッカーは、企業の目標はマーケティングとイノベーションを中心に設定しなくてはいけないと述べています。これは顧客のニーズをマーケティングによって理解し、顧客が求めるものをイノベーションによって創造することを意味しており、企業は顧客がすぐにでも買いたくなるものを作り売ることを目指すべきでしょう。
ドラッカーが生み出した用語・概念
次にドラッカーが生み出した用語・概念について紹介します。
・ナレッジワーカー(知的労働者)
ナレッジワーカー(知的労働者)とは、知識により付加価値を生み出す労働者の事を表す用語です。主に、知的生産物の創造に関係する労働者に用いられます。
・事業部制
事業部制とは、企業内で自立した部門が、それぞれの担当する事業を行う経営管理方式のことです。それぞれの事業部が責任を持って、成果や決定・判断をくだすことが特徴で、ドラッカーは「連邦分権組織」と呼んでいます。
ドラッカーのマネジメント理論とは?
前項まででドラッカーの考え方や名言について説明してきました。そんなマネジメントの父であるドラッカーはどのようなマネジメント理論を提唱していたのでしょうか。本項では、ドラッカーのマネジメント理論について説明します。
ドラッカーはマネジメントを組織が成果を上げるための道具として考えています。成果とは利益であり、ドラッカーは企業がもつヒト・モノ・カネの資源を活用して利益を生み出すことが重要だと述べています。そして、ドラッカーは「マネジメントの役割」として3つを挙げています。
- 自らの組織のミッションを果たす
- 仕事を通じて働く人たちを生かす
- 社会問題に貢献する
そのため、適切なマネジメントを行うためには、次のマネジメント手順を理解することが大切です。
1.定義を定める
ドラッカーのマネジメント手順の1つ目は、「定義を定める」です。このステップでは自分らの事業が何であるかを定義します。自分たちの事業が何であるか、顧客は誰なのか、どんな価値を提供したらよいのかなどの、自分の立ち位置と求められているニーズを明確にしましょう。また、顧客とは一般的には消費者や取引を差しますが、ドラッカーのマネジメント理論では従業員、投資家、地域住民などの事業に関係するありとあらゆるステークホルダーのことを指すので注意が必要です。
2.目標をたてる
ドラッカーのマネジメント手順の2つ目は、「目標をたてる」です。このステップでは組織の目標をたて、目指すべき方向性を確立します。この際、目標を設定する際には、積極的に市場を開拓するための短期目標・中期目標・長期目標を設定するようにしましょう。
3.マーケティングを行う
ドラッカーのマネジメント手順の3つ目は、「マーケティングを行う」です。このステップでは顧客のニーズを深堀するためにマーケティングを行いましょう。マーケティングでは、顧客が何に価値を感じているのかを把握し、企業は顧客がすぐにでも買いたくなるものを明らかにすることを目指しましょう。
4.改善する
ドラッカーのマネジメント手順の4つ目は、「改善する」です。マーケティングの結果を受けて、設定した目標との差が生じていたら、改善を試みます。改善を行う際にはマネジメントサイクルの考え方を併せて用いると効率的に改善することができます。
5.イノベーションを起こす
ドラッカーのマネジメント手順の5つ目は、「イノベーションを起こす」です。イノベーションを起こすことで新たな価値の創造につながります。ドラッカーは経営層だけでなく現場からの声も吸い上げながら社内でイノベーションを起こしていくことこそがマネジメントであると述べており、現場を知っている従業員の意見もイノベーションには欠かせないとされています。
ドラッカーが提唱する労働に重要な5つの次元
ドラッカーの『マネジメント』では労働について、5つの次元を考える重要性が説かれています。本項では、「生理的次元」「心理的次元」「社会的次元」「経済的次元」「政治的次元」の5つの次元について説明します。
1.生理的次元
労働に関する次元の1つ目は、「生理的次元」です。労働を生理的次元で考えると、「人を機械のように扱わない」ということが言えます。当然のことではありますが、人は機械ではないです。そのため、長時間同じ労働を続けることや、働き方に選択肢がない状況では、人が満足なパフォーマンスを発揮し続けることは難しいでしょう。そのため、仕事自体は均一でも、働き方などの労働には多様性を持たせるようにしましょう。
2.心理的次元
労働に関する次元の2つ目は、「心理的次元」です。労働を心理的次元で考えると、「人にとって喜びと苦しみの両方を与えてくれ、人格の延長線上・自己実現を叶える場所」ということが言えます。労働は時に楽しく、時に辛くなど、様々な感情を経験することができます。その経験の中で、自分自身の価値を知ったり、成長することができるでしょう。
3.社会的次元
労働に関する次元の3つ目は、「社会的次元」です。労働を社会的次元で考えると、「社会とのつながりをつくる場所」ということが言えます。人は社会的な動物であるため、自然と社会的側面を求めています。そのため、人は人生の多くを労働に費やし、社会に様々な価値を提供します。その労働の中で、人は社会に属することになります。そのため、労働が持つ社会的次元は人間の根幹の欲求を満たすことにもつながります。
4.経済的次元
労働に関する次元の4つ目は、「経済的次元」です。労働を経済的次元で考えると、「金銭を得るための手段」ということが言えます。労働で得た収入は、自分自身が生きるための生活費や娯楽費などの支出に変わります。そして、それらの支出は、他の労働者の収入になり、また誰かの支出になります。これらのお金の循環をもたらすのも労働がもつ次元です。
5.政治的次元
労働に関する次元の5つ目は、「政治的次元」です。労働を政治的次元で考えると、「上下関係や権力関係がある」ということが言えます。労働を行うためには、組織に属することがほとんどです。組織の中では、上司・部下などの上下関係や権力関係が必ず存在します。これらの上下関係には必ず「命令するもの」と「命令を受けるもの」があります。この上下関係が正常に機能しなければ、組織は成果をあげることができずに衰退してしまいます。そのため、組織はこの政治的次元の配慮をおこなわなくてはなりません。
ドラッカー流のマネージャーとリーダーとは?
これまでにドラッカーが考えるマネジメントの流れや労働に関する5つの次元について説明してきました。では、組織で人を導く立場にある人をマネージャーやリーダーと言ったりします。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。本項では、ドラッカー流のマネージャーやリーダーの言葉について見ていきます。
ドラッカー流のマネージャーの定義
マネージャーとはマネジメントを行う人のことです。前述のように、ドラッカーは「マネジメントの役割」として3つを挙げています。
- 自らの組織のミッションを果たす
- 仕事を通じて働く人たちを生かす
- 社会問題に貢献する
ドラッカーは、これらのマネジメントを行うマネージャーに対して、4つの職務設計を提唱しています。
- マネージャー本来の仕事
- マネージャーならびにマネージャーの部門が責任を負うべき成果と貢献
- マネージャーと上、下、横との関係性
- マネージャーの情報の流れにおける位置
ドラッカーはこれらの4つの視点から自らの仕事を主体的に知ることは、マネージャーの責任としています。
ドラッカー流のリーダーの定義
ドラッカーは『プロフェッショナルの条件』にて、リーダーシップについてこう述べています。
「リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である」
出典:「プロフェッショナルの条件」 P.F.ドラッカー
「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」
そのため、ドラッカー曰くリーダーシップとは、才能などで決まるのではなく、仕事として見ることが重要と言っています。
ドラッカー流のマネジメントとリーダーシップの違い
ドラッカー曰くマネジャーとは、「組織の成果に責任を持つ者」です。その一方で、リーダーとは「ミッションにもとづいた正しい行動をするという「仕事」を行う人」です。そのため、ドラッカーの定義ではマネージャーとリーダーは全く異なる言葉であり、定義も違います。マネージャーは組織をマネジメントする立場のことをいい、リーダーは立場は関係なく、組織のミッションを体現する人という違いがあります。
マネジメントの具体的な仕事内容とは?
ここまでドラッカー流のマネジメントについて説明してきました。しかし、マネジメントの具体的な仕事について説明してはいません。そのため、本項では、マネジメントの具体的な定義について説明します。
部下の管理
マネジメントの仕事の1つ目は、「部下の管理」です。部下の管理を行うことはマネジメントの仕事です。部下に仕事を割り振ったり、進捗状況を管理します。その際に、マネージャーは与えられた仕事を公平に分配するのではなく、チームメンバーそれぞれに応じて適切なマネジメントをすることが重要です。緊急性の高いプロジェクトやプロジェクトの立ち上げ期、仕事に慣れていない新人や中途採用の方といった条件下では、こまめなマネジメントを心がけましょう。その一方で、部下が育ってきたらある程度仕事を自由にやらせてみたり、考える時間を増やすなどの中・長期的なマネジメントを行いましょう。
目標の管理・社員の育成
マネジメントの仕事の2つ目は、「目標の管理・社員の育成」です。部下の目標管理を通して、マネージャーは企業の経営目標の達成や業績向上に貢献できる人材に育てましょう。部下の目標をマネジメントする上で重要なことは、企業の目標(ミッション)を達成することを目的として実施することです。つまり人材育成は、各社員の成長を通して、企業を成長させ、企業の経営目標を達成するということを意図して行うということです。そのため、マネージャーは目標の管理を行い、社員を育成するマネジメントも行いましょう。
人事評価
マネジメントの仕事の3つ目は、「人事評価」です。人事評価を適切に行い、社員の貢献度を評価に落とし込みましょう。組織の方向性に共感し、強く貢献したいと従業員が感じていたとしても、従業員の行動やパフォーマンスが正当に評価されなければ、社員の意欲は高まりません。なぜなら、適切に評価しないと、従業員が「会社から必要とされていない」と感じてしまうからです。そのため、従業員の行動を適切に評価することも、立派なマネジメントになります。
マネジメント力を向上させる方法
ここまででドラッカー流のマネジメントについて説明してきました。最後に自身のマネジメント力を向上させる方法について説明します。
1on1ミーティングを導入する
マネジメント力を向上させる方法の1つ目は、「1on1ミーティングを導入する」です。1on1ミーティングとは「上司と部下の1対1で行う定期的な面談(ミーティング)」のことです。アメリカのシリコンバレーで人材育成を目的として確立された手法で、定期的に上司と部下の1対1で行われる対話を指します。
1on1ミーティングはマネジメント力を向上させることにおいてとても有効な手段です。なぜなら、1on1ミーティングを行うことで、部下にフィードバックやコーチングを行い、部下に気づきを与え、改善につなげたりとマネジメントを自然と行うことができるからです。マネジメント力は自然に向上することはなく、実践経験を積むことで向上します。そのため、1on1ミーティングを定期的に行うことがマネジメント力向上につながります。また、1on1ミーティングを人事施策として導入すれば、マネジメントを継続的に行うことができ、マネジメントを部下に均等におこなうことができます。そのため、1on1ミーティングはマネジメントにおいて非常に重要な施策です。
研修サービスを利用する
マネジメント力を向上させる方法の2つ目は、「研修サービスを利用する」ことです。マネジメントに関しては、あまり知識がなく、なんとなくでやっている方が多いのではないでしょうか。マネジメントも知識があれば効果的に行うことができます。マネジメントに関する知識の獲得方法は様々ありますが、その中でも外部の研修サービスを導入することをオススメしたいです。読書等でもマネジメントの知識は獲得できますが、読書と違い研修サービスでは、読書を通じて得た知識を実践に活かすことや、フィードバックを受けることなどのアウトプットをすることも可能です。マネジメントは経験を積むことが非常に重要なので、研修サービスは特にオススメします。
コミュニケーションスキルを活性化させる
マネジメント力を向上させる方法の3つ目は、「コミュニケーションスキルを活性化させる」です。効果的なマネジメントには、コミュニケーションスキルを活性化させることも有効な手段と言えます。
マネジメントはコミュニケーションスキルの連続です。部下と適切なコミュニケーションをとることで、目標を管理したり、仕事の進捗状況を確認します。そのため、効果的なマネジメントにはコミュニケーションスキルが必要不可欠です。このコミュニケーションスキルを活性化させるためには、コミュニケーションスキル研修がオススメです。コミュニケーションスキル研修では、自分自身が今まで知らなかった、優秀なマネージャーになるためのコミュニケーションスキルを身に付けることができます。そして、研修プログラムの中では、読書を通じて得た知識を実践に活かすことや、フィードバックを受けることなどのアウトプットをすることも可能です。
1on1ミーティングの導入には「Co:TEAM(コチーム)」
コチームは、マネジメントの最先端「パフォーマンスマネジメント」を支援する国内初のマネジメントツールです。
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パフォーマンスマネジメントを実践することにより、マネジメント業務の負担が軽減されるだけでなく、目的達成による成果の創出にも貢献します!
まとめ
本記事ではドラッカーのマネジメントについて説明しました。ドラッカーのマネジメント理論は現代のビジネス環境にも通ずるものがあり、マネジメントを成功させることができれば、企業の持続的な成長にもつながると考えられます。ここまでお読みいただきありがとうございました!
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