ビジネスにおいて、「他者と協働し、どれだけチームとして成果を上げることができるか」は、業績を向上させるための1つの重要な鍵です。この鍵を得るためには、チーム力の向上が欠かせません。
この記事では、チーム力の定義や特徴、チーム力が重要な理由、チーム力を高める方法やメリットなどについて解説します。
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チーム力とは
チーム力とは、特定のチームの発揮可能な組織力や総合力のことです。このチーム力の大きさは、メンバー個々の能力やチームワーク、役割分担など様々な要素に影響されます。チーム力が高いチームは継続的に高い成果を出せる傾向があります。一方、チーム力が低いチームはパフォーマンスやコンディションの維持が困難なため、継続的に結果を残せなかったりします。
チーム力が高いチームの3つの特徴
チーム力が高いチームの特徴として、「メンバー個々の能力が高い」「適材適所の人材配置」「高い連携性や協働性によって相乗効果が生み出されている」の3つが挙げられます。
特徴1:メンバー個々の能力が高い
まず、メンバー個々の能力が高いことで、チーム全体として生産性を向上させることが可能です。具体的な個人能力として、コミュニケーション能力や情報収集能力、データ分析力などがあります。これらの高い能力のカテゴリーは個人によって大きく異なるため、リーダーには各個人能力を考慮した最適なチーム編成が求められます。
特徴2:適材適所の人材配置
また、チーム力が高いチームは、各メンバーの高い個人能力のカテゴリーや業務適正を見極め、適材適所の人材配置を行います。適材適所の人材配置は各メンバーの力を最大限に発揮させ、チームの生産性を上げるために不可欠です。
特徴3:高い連携性や協働性によって相乗効果が生み出されている
さらに、「メンバー間の高い連携性や協働性はチームとしての総合力が高くなる」傾向があります。
その主な要因としては、協働する中で、メンバー同士がお互いのスキルやアイディアを結集させる結果、より実効性のあるアイディアが生まれるとされています。
この高い協働性を持っているチームの具体的な特徴として、「チーム全体で明確なチームの目標が共有されている」「情報共有が支障なく行われている」「フィードバックやサポートなどが適切に行われている」などがあります。これらの特徴は、チーム全体がチーム目標の達成に向かって業務に取り組むように促し、総合力が飛躍的に向上します。
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チーム力が重視される背景とは
近年、働き方の大きな変化により、各業界・各企業において、チーム力が業績向上の鍵になると注目されています。チーム力が求められるようになった背景の要素は以下の3つです。
- IT技術の発展
- リモートワークの普及
- グローバル化
IT技術の発展
まず、IT技術の急速な発展は、より専門性の高い技術を業務で必要にさせました。しかし、課題として、個人が幅広い分野の業務についての専門的な知識や技術を習熟することには限界があります。そのため、多様なチームメンバーとお互いの弱い分野を補完しながら協働することで、効率的に専門性の高い業務を遂行することが可能です。
リモートワークの普及
また、新型コロナウイルスのパンデミックに伴い、リモートワークが浸透し働き方が大きく変わりました。リモートワークは時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現する一方で、対面コミュニケーションの場が大幅に減少し、チーム力の低下が懸念されるようになりました。そのため、遠隔で働きながらもチーム力の維持・向上を可能にするための創意工夫が求められています。
グローバル化
さらに、今後はこれまで以上にグローバル化が進むとされており、日本企業の海外市場進出も増えると考えられます。海外企業を含めた市場競争に勝つためには、多様で優秀な人材を獲得する必要があります。そのため、従来の一定のメンバーと長期間連携を図りながらチーム力を高める能力を保持しながら、定期的に更新されるメンバーと短期的なプロジェクトにおけるチーム力向上能力の必要性も増しています。
チーム力が高いことのメリット
ここでは、チーム力が高いことで業績向上に繋がる4つのメリット紹介します。
- 従業員の生産性が向上する
- チーム内の人間関係が良い
- メンバー間でのサポートが積極的に行われる
- メンバーのロイヤリティ・モチベーションが向上する
メリット1:従業員の生産性が向上する
チーム力が高いことのメリット1つ目は、「従業員の生産性が向上する」ことです。
チームメンバーと連携して協働することは、人材育成への貢献が期待できます。メンバーと協働することで、終始個々で業務を行うよりも効率的に新しいスキルを学ぶことができます。また、他者からの客観的なフィードバックをもらうことで、自分の弱点の認識、改善を行うこともでき、生産性の向上に効果的です。
さらに、メンバーと一緒に働くことで新しいアイディアが生み出されます。多様な背景や価値観を持ったメンバーがアイディアを出し合いながら働くことで、個人では思いつくことのなかったアイディアが生まれます。結果として、チームの創造性の限界が引き上げられ、生産性向上に繋がります。
メリット2:チーム内の人間関係が良い
チーム力が高いことのメリット2つ目は、「チーム内の人間関係が良い」ことです。
良好な人間関係を築くためにはコミュニケーションが肝心です。チーム力が高いチームでは、協働を通してメンバー間のコミュニケーションが活発に行われます。会話の内容としては、業務に関することだけではなく、雑談などたわいもない会話も含みます。この一般的には非生産的だと思われがちな雑談ですが、メンバーが無意識に感じている警戒心をとき、コミュニケーションを円滑にすることができます。したがって、メンバー同士でオープンに意見を交換し合える関係を築くことにより、抱え込むストレスが軽減され、人間関係が良好になります。
メリット3:メンバー間でのサポートが積極的に行われる
チーム力が高いことのメリット3つ目は、「メンバー間でのサポートが積極的に行われる」ことです。
チームメンバー同士が連携し協働することで、他者に頼りやすい環境が形成されます。具体的には、個人では解決できないような難しい問題に直面した際に、他メンバーから助言を求めるなど、お互いを頼るハードルが低くなります。その結果、お互いの弱みをお互いの強みで相互補完することができます。
メリット4:メンバーのロイヤリティ・モチベーションが向上する
チーム力が高いことのメリット4つ目は、「メンバーのロイヤリティ・モチベーションが向上する」ことです。
一体感や信頼関係が築けているチームでは、チームの一員として働くことで、メンバーの仕事に対するロイヤリティやモチベーションが向上する傾向があります。メンバー同士の結束力が強いため、チーム内で励まし合いながら互いに切磋琢磨することで、チーム全体の士気が高まり、メンバーのモチベーションが向上します。さらにその結果、チームに対するロイヤリティも向上し、離職率の低下が期待できます。
チーム力を高めるためのポイント
ここでは、チーム力を高めるために意識するべきポイントを7つ紹介します。
- チームのビジョン・共通目的を設定する
- チームの目標を共有する
- メンバーのチーム内での役割設定を明確化する
- チームの共通課題を提示する
- メンバーの自発性を尊重する
- 意見が言いやすい風通しの良い環境を整える
- メンバー1人ひとりが異なるスキルを身に付ける
1.チームのビジョン・共通目的を設定する
チーム力を高めるためのポイント1つ目は、「チームのビジョン・共通目的を設定する」ことです。
最終目的がチーム全体で確認・共有されていると、メンバー全員でその一つの目的に向かって一致団結することができます。具体的には、各業務の方向性や意思の統一が促されるため、各メンバーの業務に対する理解度が深まり、業務遂行のための行動が最適化されます。その結果、チームの目的達成のために個々のメンバーが一丸となって、より効果的な協働を実現できます。
2.チームの目標を共有する
チーム力を高めるためのポイント2つ目は、「チームの目標を共通する」ことです。
設定されたチームの最終目的を達成するためには、その目的を達成するための指標である「目標」を共有することが重要です。例えば、企画部門において、「持続可能な成長によって、顧客から常に選ばれる商品を開発する」を最終目的として掲げる場合、「営業部門の売上目標が達成されるような新しい商品を6ヶ月ごとに1つ開発する」が目標の例として挙げられます。上記のように大きなビジョンを掲げるだけではなく、比較的小さい目標を立てることで、チームとして取り掛かるべき業務が明確化され、チーム力向上に繋がります。
3.メンバーのチーム内での役割設定を明確化する
チーム力を高めるためのポイント3つ目は、「メンバーのチーム内での役割設定を明確化する」ことです。
各メンバーの役割が明確にされていなければ、チーム目標の達成やプロジェクトの遂行が困難になります。役割設定の明確化は、各メンバー全員の担当業務に対する責任感が高まり、より効率的に他メンバーと協力し合いながらチームの共通目標を達成することを可能にさせます。
4.チームの共通課題を提示する
チーム力を高めるためのポイント4つ目は、「チームの共通課題を提示する」ことです。
チームが成長するためには、掲げられた理想と現実のギャップを埋める取り組みが不可欠です。そのため、まずはチームにおける「課題」を明らかにし、チーム全体に提示する必要があります。組織課題の具体例として、「コミュニケーション不足」「自己主張しにくい雰囲気や環境」「人材育成の遅れ」などがあります。これらの課題をチーム全体で認識することで、メンバー同士が対立するのではなく協力し合う関係となります。例えば、作業の重複や期限の誤解といったミスがチーム内で生じた場合、あらかじめ「コミュニケーション不足」がチームの共通課題として共有されていれば、「新たな社内コミュニケーションツールの導入」など人を糾弾するのではなくシステムを改善しようと信頼関係が強化されることが期待できます。
5.メンバーの自発性を尊重する
チーム力を高めるためのポイント5つ目は、「メンバーの自発性を尊重する」ことです。
多くの企業のリーダーはチームメンバー間の結束力を高めるため、価値観を一方的にチーム全体に押し付けてきました。しかしながら、価値観はメンバー各々によって異なる上、他人から押し付けられて簡単に変化するものでもありません。そのため、この従来のやり方はメンバーの反発を招く恐れがあるため注意が必要です。
従来のやり方に代わって、最終目標のみをはっきりと設定し、メンバーに裁量を与えることで、「目標達成に必要なプロセス」がメンバー間の自発的な協力の中で見出されます。このように、メンバーの自発性を尊重し、メンバー間のサポート関係の構築を促すことで、よりスムーズにチーム力が向上します。
6.意見が言いやすい風通しの良い環境を整える
チーム力を高めるためのポイント6つ目は、「意見を言いやすい風通しの良い環境を整える」ことです。
大抵の場合、チームには多様な背景を持ったメンバーが集まります。そのため、役職や年齢が自分より上のメンバーに自己主張することを躊躇い、疎外感から一人で孤立してしまうメンバーが出るリスクは否定できません。とはいえ、上下関係に関わらずメンバー全員に、メンバーの一員としての自覚やチームに「帰属意識」を持ってもらうことがチーム力向上に繋がります。
そのためには、時と場所を選ばず、誰でも自由に意見を出せるような空気を作ることがポイントです。例えば、会議のときだけ意見を要求しても活気のある意見交換にはならないため、普段の職場での何気ない会話を積極的に取ることが重要です。その結果、チームミーティングが特定のメンバーのみによって自己主張される場ではなく、チーム全体で意見交換される場となり、チーム力向上が見込めます。
7.メンバー1人ひとりが異なるスキルを身に付ける
チーム力を高めるためのポイント7つ目は、「メンバー1人ひとりが異なるスキルを身に付ける」ことです。
一見すると、同じ経験やスキルを持つメンバーが集まった方が、より一体感があり、チーム力を高めるのに好ましく思えるかもしれません。しかし、メンバー間で得意分野が被ってしまうと、チームとして取り組めるプロジェクトの幅が狭まるリスクがあります。また、一つの業務を奪い合う形となるため、お互いを敵対視し始め、チーム内の人間関係がチームメイトではなくライバル関係になってしまいます。
一方、1人ひとりが異なるスキルを持っていた場合、チーム内の人間関係を複雑にすることなく、より幅広いプロジェクトに取り組むことができます。そのため、チームを構成する際は役職や年齢だけではなく、スキルの多様さにも注目しながら人材を集め、育成することが推奨されます。
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チーム力を向上させる4つの具体的な方法
ここでは、リーダーとして、チーム力を向上させる4つの具体的な方法を紹介します。
- 1on1ミーティングの実施
- ピアボーナス・サンクスカードの導入
- コミュニケーションツールの積極的な利用
- チーム内で積極的に挨拶をする
1.1on1ミーティングの実施
チーム力を向上させる方法の1つ目は、1on1ミーティングの実施です。
1on1ミーティングとは週に1回30分や、隔週に1回30分といった短いサイクルでリーダーとメンバーが定期的に1対1で話すことです。
1on1は、定期的に部下の業務での悩みを聞き出し、それに対してアドバイスやフィードバックを行うことで、人材育成はもちろんのこと、信頼関係の構築やモチベーションの維持・向上を目的としています。その結果、チーム力向上に繋がります。
1on1ミーティングは簡単に始められるという良さがあります。実施する際には、リーダーは何を話すべきか事前に決めておきましょう。また、メンバーには事前に聞きたいことを整理しておいてもらいましょう。この準備によって1on1ミーティングを有意義な時間にできます。
そもそも1on1ミーティングとは?について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2.ピアボーナス・サンクスカードの導入
チーム力を向上させる方法の2つ目は、「ピアボーナス・サンクスカードの導入」です。ピアボーナスとは、従業員同士が、お互いに業務の成果や貢献に対して賞賛の意味を込めた少額の報酬を送り合う仕組みのことです。また、サンクスカードとは、従業員同士が、お互いに感謝の気持ちをカードで伝え合う仕組みのことです。
サンクスカード導入の具体例として、チームの共通目標を達成した際に、「資料作成をサポートしていただきありがとうございました!おかげで顧客からお褒めの言葉をいただきました!」というような感謝の言葉を送り合うことで、チーム内のコミュニケーションを活性化させ、チームの一員としての達成感を増大させます。その結果、チームの団結力向上や生産性向上などの効果が見込めます。
3.コミュニケーションツールの積極的な利用
チーム力を向上させる方法の3つ目は、「コミュニケーションツールの積極的な利用」です。
働き方の多様化を背景に、気軽にやり取りができるといった理由から、多くの企業でコミュニケーションツールの普及が進んでいます。
コミュニケーションツール導入のメリットは「チーム内の情報伝達がスピーディーかつ正確になる」ことです。近年のオフィスワークからリモートワークへの働き方改革により、オフィス内での対面コミュニケーションが難しくなり、情報共有が滞るという問題が発生しています。これらの問題は、チームでのプロジェクト遂行を妨げる要因になり得ます。
その対策として、コミュニケーションツール内のグループチャット機能を活用することで、リアルタイムでチーム全体に情報をアップデートできます。また、メッセージの検索機能が搭載されているため、受け手の対応漏れを防ぐことも可能です。
これらの理由から、チームの効率的な情報伝達を促進し、チーム力を高めるために、社内コミュニケーションツールの活用をおすすめします。
4.チーム内で積極的に挨拶をする
チーム力を向上させる方法の4つ目は、「チーム内で積極的に挨拶をする」ことです。
基本的なことかもしれませんが、挨拶を行うことでコミュニケーションのきっかけとなり、コミュニケーションの円滑化を図ることができます。コミュニケーションのきっかけが増えることにより、メンバー間の親密さや結束力が高まり、信頼関係や協力関係が構築されます。さらに、信頼関係のあるチーム環境においては、メンバーが自由にアイディアや解決策を出し合いやすくなり、チーム業績の向上に繋がります。その結果、チーム全体としてさらなる成果達成のモチベーションが高まり、チーム力向上が見込めます。
まとめ
チーム力を高めるには、チーム内での「目的・目標の共有」「役割分担の明確化」「共通課題の提示」「メンバーの自発性の尊重」「多様な専門スキル」「居心地の良い職場環境」などを意識したチームマネジメントが必要不可欠です。リーダーにとってはチームの状況を把握し、適切に対応する責任が大きくなるため、労働負荷が重くなることもあるでしょう。しかしながら、チーム力の高いチームは会社にとって業績向上に繋がる多くの利点をもたらします。
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チーム力に関するよくある質問(Q&A)
ここでは、チーム力に関するよくある2つの質問に回答します。
チーム力とチームワークの違いは?
チーム力を高めるためにリーダーが行うべきこととは?
チーム力とチームワークの違いは?
チーム力は、チームとしての総合力を指します。一方、チームワークは、チームの連帯性や協働性を指します。
チーム力を高めるためにリーダーが行うべきこととは?
チーム力を高めるためには、リーダーが積極的にリーダーシップを発揮し、課題の解決に取り組むと同時に、必要に応じて各メンバーの心身のケアを行うことが重要です。具体例として、以下のようなことが挙げられます。
- 1on1などを通して、定期的に各メンバーの成果をフィードバックと共に賞賛する
- メンバーの精神や健康に気をかけ、不調そうであればケアを行う
- チーム全体の稼働状況や進捗状況を把握し、必要に応じてリソースを調整する
などのように、各メンバーの状況に応じてサポートしていくことがリーダーとして求められます。
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