1on1は「詰められる時間」ではない!1on1のプロが対処法について解説

1on1ミーティングにネガティブな印象を持ってしまう理由として、「詰められてしまうのではないか」という不安を持つ人が少なくないようです。

実際に詰めるような態度を取ってしまっているのであれば止めれば済む話ですが、詰めている気はないのにそのような不安感を持たれてしまっては即効性のある解決がなかなか見つからないですよね。

本記事では「詰められる」と思われてしまうような要因や、そのような1on1にしないための対策やテクニックを詳しく紹介していくので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

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1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは、週に一回30分ほどで行われる「部下と上司が一対一で行う定期的な面談」のことです。

発祥はアメリカのシリコンバレーですが、近年は日本でも「企業の課題解決や業績向上に効果のある人事施策」として注目されつつあり、ヤフーを始めとして多くの日本企業でも導入されるようになってきています。

1on1の目的

1on1ミーティングを行う最終的な目的は「会社の課題を解決すること」、突き詰めて言うと会社の業績向上です。

「会社の課題を解決する」という最上位の目的を達成するためには、会社が抱えている課題を要素分解して、組織やチームが抱える課題を把握する必要があります。

例えば、「売上が上がらない」という会社の課題を分解すると、「売上をあげる営業マンがやめてしまっている」「新しく入った方が成長できていない」と言う課題が見つかることがあります。そのため、組織やチームが抱えている課題を1on1を用いて解決していく事で、会社の課題を解決し業績向上に貢献することができるのです。

ここでは、代表的な1on1の目的を4つ紹介していきます。

  • 部下の成長促進
  • 離職の防止
  • メンバーとマネージャーに信頼関係が生まれる
  • 部下の悩みや不調にすぐに気づける
  • 人事評価への納得感を高める

部下の成長促進

1つ目の1on1の目的として、「部下の成長促進」が挙げられます。

上司からの指示やアドバイスに基づいて動くことはもちろん社会人としての基本ではありますが、それだけではトップダウン型の取り組み方になりがちです。部下の主体性を伸ばして自立してもらうためにも、一方向的なインプットを部下に与えるだけでは不十分です。

1on1は部下を主軸として進む上に、部下自身に業務の達成度やパフォーマンスを分析してもらい、主体的に思考・発言してもらえる場です。部下自身で現状分析や考察などをアウトプットしてもらった上で、必要に応じてアドバイスやヒントを与えたり一緒に考えてあげるなどあくまで補助的な役割として立ち回ることで、部下の成長を促すことができます。


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1on1は「部下のための時間」は日本企業には合わない

基本的に、「1on1が部下のための時間である」という考え方は日本では合わないことが多いです。

1on1はアメリカのシリコンバレー発祥であると先述しましたが、実際に海外では1on1を業務から離れた個人的な話やアイスブレイクのための場として使うのがセオリーです。

しかし、これは海外の1on1においてベターとされるやり方であって、必ずしもそれが日本のビジネスシーンでも適合するとは限りません。むしろ、海外での1on1の導入例やノウハウを日本でそのまま適用するとうまくいかない、とすらも言われています。

その理由として、日本と海外での雇用形態の違いが挙げられます。海外では成果重視の雇用形態が一般的であり、平常時から成果に関するコミュニケーションの質が非常に高いのに対し、日本では伝統的なメンバーシップ雇用が未だ一般的で、成果に関するコミュニケーションの質は低い傾向があります。

海外ではそのような「成果主義」によっておざなりになりがちだった人間関係面でのコミュニケーションを補完するために1on1が用いられていますが、日本のビジネスシーンでは、海外の事例のように1on1でアイスブレイクに興じてばかりいる余裕はないというのが現状であり、むしろ業務や目標に関する話を深められる場として活用してこそ真価を発揮できます。

また、日本の多くのマネジメント層がプレイング業務とマネジメント業務を並行して行う「プレイングマネージャー」であり、その多忙さゆえ1on1の時間を捻出することが困難なこともあります。もちろん「部下のための1on1」という側面も大事ですが、このような状況下ではマネージャーの負担を考慮する必要があります。

マネージャーの貴重な時間を割いて設定される1on1においては、部下の個人的な相談やアイスブレイクのみならず目標管理や成果に関する対話もある程度は行い、より効果的に時間を使うことが求められています。

離職の防止

1つ目の1on1の目的として、「離職の防止」が挙げられます。

そもそも離職というのは、社員側と会社側の何かしらのミスマッチによって起きるものです。

例えば、希望する業務と割り当てられる業務の乖離、給与面でのギャップ、理想とする働き方が社内環境や業務量のせいでできないなど、社員の求めるものと会社側の求めるものにひずみが生じてしまうと、それは最終的に離職という最悪の形で顕れてしまうことになります。

1on1ミーティングは堅苦しい会議や面談に比べて、比較的フランクに落ち着いて話すことができる場であり、部下の本音や不満などを聞き出すことができる絶好の機会です。定期的に行われるため早い段階で部下の不満や改善要望を聞き出すことができるようになり、離職を決断されてしまう前に手を打つことも可能となります。

そして、離職の決め手となるレベルではないごく些細な不満であっても、蓋を開けてみれば意外なほど多くの社員が同じような感覚を共通して持っていたなんてことも少なくありません。

会社側が社内環境や働き方を整える上で非常に有益なカギとなるので、1on1において部下は不満や要望を溜めずに率直に伝えること、上司側はそれを見落としたり過小評価しないようにすることを心がけましょう。


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メンバーとマネージャーに信頼関係が生まれる

1on1を実施することにより、メンバーとマネージャーの間に信頼関係を生むことができます。

マネージャーに話を聞いてもらったりアドバイスを貰うことで親密さを向上させられるだけでなく、キャリアや業務についての的確なアドバイスを得ることによってマネージャーへの信頼やリスペクトを生む効果もあります。

しかしそうは言っても、部下に信頼やリスペクトを持ってもらうために、マネージャーは必ずしも「有益なことを話さなければならない」「秀逸なアドバイスを考えなければならない」などと強迫観念を持つ必要はありません。

どのような形や内容であれ、一対一でのコミュニケーションの機会を繰り返し持つことによって自然と好感度や信頼関係は醸成されていき、これを心理学的に「単純接触効果」と呼びます。

「単純接触効果」は、「人が対象と繰り返し接触する」「接触を繰り返すにつれ、警戒心が薄れる」「警戒心が薄れる代わりに、好意度が増していく」という流れで人と接触するほど好感度が上昇するというもので、1on1はこの単純接触効果を最大限引き出すのにうってつけの機会であると言えます。


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部下の悩みや不調にすぐに気づける

1on1を実施することで、部下の悩みや不調にすぐ気づくことができます。

1on1は人事面談や評価面談と違い、比較的ありのままでフランクに話すことができる場です。業績の落ち込みや人間関係の悩みなど、何か気にかかることがあればマネージャーに率直に相談すると、マネージャーは可能な限り真摯に対応してくれるはずです。

また、1か月に1回や半期に1回の面談とは違って1on1は毎週定期的に実施されるものなので、不調や悩みが肥大化する前に早期発見が可能になります。

人事評価への納得感を高める

1on1を実施することによって公平な人事評価を実現し、人事評価への納得感を高めるというメリットもあります。

そもそも人事評価というのは、主に数値やデータに基づいた客観的評価である「定量評価」と、勤務態度やコミュニケーション面での貢献度など数値として現れない部分の主観的評価である「定性評価」に大別されます。

絶対的な数値に基づかない分定性評価というのは見極めが難しく、「何を基準に判断しているの?」という疑問や、評価者と被評価者の普段からの関りが乏しい場合などは、人事評価直前のたった一度の面談で定性面が決定されてしまうことへの不安の声も上がりがちなのではないでしょうか。

その点1on1は部下の仕事への取り組み方やモチベーションといった数値には反映されにくい部分を深堀りできる上に、定期的に積み重ねられていくものなので、詳細且つ豊富な評価の材料を得ることができます。

1on1の記録自体が評価の材料であり根拠にもなるので、部下の定性評価への納得感を高め、さらに仕事へのバイタリティを示す機会として1on1を活用しようというモチベーションを向上させることにも繋がるでしょう。


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部下が嫌がる1on1ミーティングの特徴

部下が嫌がる1on1ミーティングのタイプを反面教師すれば、そのような1on1にすることを避けられるはずです。ただでさえ目上の存在である上司と一対一で相対すことにストレスを感じるような人もいる中で、さらに嫌がられるような行動を取ってしまうのは悪手でしかありません。

以下の3つのタイプに自分が当てはまっていないか、一つずつ確認していきましょう。

  • 1on1が「詰められる場」になっている
  • 部下の話を聞かずに自分の意見を押し付けている
  • 自分のこと(自慢、武勇伝)ばかりを話す
  • 否定だけしてアドバイスや次のアクションが不明確に終わる
  • 上司が片手間でやっている(意義を見出せていない)

1on1が「詰められる場」になっている

1つ目は、「1on1が”詰められる場”になっている」です。こちらは部下が1on1を嫌いになってしまう最大の要因なので、1on1を「詰め」の場にするのは絶対やめましょう。

1on1では往々にして業務進捗や目標管理などを行いますが、その過程で「なんで○○しなかったの?」や「この目標が未達な理由は?」というような問いや確認事項が発生するかもしれません。言っている上司側からすると、ただ気になったから聞いただけで「詰め」とは捉えていないかもしれませんが、しかし部下の立場となると過去の行動や判断についてマイナスな面で問われてもどうすることもできませんし、責められているような感覚になるのも仕方ありません。そのような状況は部下が口を閉ざしてしまいがちになるという点でも、非常に好ましくありません。

また、いきすぎた「詰め」や「説教」を行うと、1on1ミーティングが上司と部下という上下関係によって成立しているがゆえに、相手によっては最悪の場合「パワーハラスメント」と受け取られてしまう恐れもあります。

仕事を進めるうえで部下の不手際やミスはもちろん都度指摘して直させるべきではありますが、1on1ミーティングにおいても改めて「詰め」や「説教」のプレッシャーを与えてしまうと、部下からすると「1on1に怒られに行く」という認識になってしまいます。

とはいえ、業務進捗の振り返りや反省というのは1on1の定番且つ効果的なアジェンダであり、積極的に活用していくべきであるのは確かです。要は活用の仕方であり、反省や考察といった過去の業務に対する「答え合わせ」を部下だけに求めるのではなく、ヒントやアドバイスを与えたりと上司自ら一緒に考えてあげると良いでしょう。

部下の話を聞かずに自分の意見を押し付ける

部下が嫌がる1on1の特徴2つ目は、「部下の話を聞かずに自分の意見を押し付ける」です。

1on1は上司のマインドやビジネススタイルを伝えるためのセミナーの場ではありません。もちろん、仕事をする上で有益な方法やアドバイスなど部下にとって有益な情報は状況に即して伝えていくべきですが、あくまで部下の話を聞いた上で必要に応じてアドバイスするというような形を取るべきです。

また、アドバイスの域を超えて部下の行動を一から十まで指示することは、部下の自主的な思考や主体性を奪ってしまうことにも繋がりかねないので、上司はあくまで補佐役であることを意識しましょう。

自分のこと(自慢、武勇伝)ばかりを話す

部下が嫌がる1on1の特徴3つ目は、「自分のこと(自慢、武勇伝)ばかりを話す」です。

人とはどうしても自分のポジティブな経験やマインドを聞いてほしくなる生き物であり、上下関係によって部下は上司の話を熱心に聞いてくれるという立場的要因も相まって、つい部下を前にすると自分語りに熱が入ってしまうこともあるかもしれません。

しかし上司が一方的に話すだけの1on1は部下の自主性や創造性の成長に何ら寄与しないほか、時代の変化に合わせてビジネスの形もめまぐるしく変わっていくので、上司の逸話や成功事例が何の参考にもならない、むしろ現代においては「古い」とされるような悪手である可能性すら否定できません。

自信の体験や事例を話すときにはあくまで「そういうケースもある」というように頭の片隅に置いてもらう程度に留め、解釈や受け取り方は部下個人の考え方に委ねるようにしましょう。

否定だけしてアドバイスや次のアクションが不明確に終わる

部下が嫌がる1on1の特徴4つ目は、「否定だけしてアドバイスや次のアクションが不明確に終わる」です。

部下が勇気を出して自己開示をしても、それに対してのダメ出しや却下などの否定的な態度のみで終わってしまい、その後に代替案の提案やアドバイスといったアフターケアも無いと、部下のモチベ―ションやチャレンジ精神が低下してしまいます。

部下が伸び伸びと相談や提案を積極的に行い、且つ時には大胆なチャレンジも可能とするような環境にするためにも、否定だけで終わってしまうような態度を取らないように意識しましょう。


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上司が片手間でやっている(意義を見出せていない)

部下が嫌がる1on1の特徴5つ目は、「上司が片手間でやっている(意義を見出せていない)」です。

現代の上司は自身の業務を遂行しながら部下のマネジメントも行う「プレイングマネージャー」であることがほとんどで、業務量が膨大だったりスケジュールがタイトに設計されていたりと非常に多忙です。

そのような状況では1on1に割けるリソースが限られており、マネージャー視点では「1on1に割く時間なんてない」と感じてしまっているかもしれません。

しかし、1on1に意義を見いだせずに義務感で行うような姿勢は、部下にもなんとなく伝わってしまうものです。他の業務と並行しながら片手間で部下の話を聞くといったような「ながら」行動は、部下の1on1へのモチベーションを削いでしまうことになるので止めましょう。

「詰められる1on1」にならないようにするコツ

では、どのような対策を講じると部下の「詰められる1on1」というネガティブな印象を払拭できるのでしょうか?

そもそも詰めていないにも関わらず部下が「詰められるかもしれない」と感じてしまっているのは、必要以上の怯えや不安感から来るもので、それらは部下の心理的安全性を確保することで解決できます。

「詰められるかもしれない」という意識を払拭し、心理的安全性を確保するための対策を3つ紹介していきます。

  • 1on1ミーティングの目的・メリットを共有する
  • 承認・共感を効果的に使う
  • 評価の場にしない

↓部下の心理的安全性について、詳しくはこちら!

1on1ミーティングの目的・メリットを共有する

「1on1ミーティングの目的・メリットを共有する」ことで、詰められる場ではないことを理解してもらいましょう。そもそも1on1は詰めるための場ではなく、部下の成長や目標達成をサポートするための場です。

「何のための1on1なのか」や「なぜ1on1をするのか」を予め共有しておくことによって、部下の「詰められるかも」という不安を払拭した上で「成長が見込める場」というポジティブなイメージへと好転させられるほか、1on1のメリットや有意義性を理解した上で取り組めるためより目的の達成に近づくことができます。

承認・共感を効果的に使う

承認・共感を効果的に使う」ことでは、部下に「詰められている感」を感じさせないためにも非常に重要です。

1on1での指摘や説教があまりにも多いと、部下からすると「1on1は指摘や説教をされる場」という印象を持たれてしまい、心理的安全性を大きく損なってしまいます。「1on1が詰められる場になっている」ことは、1on1にネガティブなイメージを持たれてしまう代表的な理由であるとも先述しました。

一般的に、日本人は「3回承認して1回アドバイスを行う」というやり方が一番合っていると言われています。部下が話してくれる業務の振り返りや相談内容などについて、基本的には承認して部下の心理的安全性を確保した上で一言アドバイスや意見を挟むようにしましょう。

また、アドバイスについても、「指摘ではなく提案形式で投げかける」ことで、角を立てずにすんなりと受け入れてもらうという対話のスキルがあります。

例えば、「この資料だと〇〇についての情報が不足しててダメだよね」ではなく「○○について情報をもう少し盛り込んだら分かりやすくなるんじゃないかな?」というように、命令や指示として思考停止的に受け入れさせるのではなく、あくまで提案として投げかけることで、部下が自身で考えて納得した上で決定したという認識を持ってもらうことができます。


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評価の場にしない

評価の場にしない」ことで、部下の心理的安全性を確保しましょう。

メンバーが1on1を億劫に感じてしまう理由に、「1on1の発言や振る舞いで評価が決まってしまうかもしれない」という不安感が必ず存在します。メンバーとの間に既に信頼関係や友好関係が形成されていれば目標管理や業績など踏み込んだアジェンダも扱うこともできるので、仕事への向き合い方や課題発見能力などをある程度見極めることもできるでしょう。

しかし、メンバーとの信頼関係に乏しかったり、1on1に苦手意識を持っていてひどく緊張してしまっているような場合は、その人本来の冷静な考えや受け答えができなくなる可能性があり、そのような状況の1on1を評価に組み込むべきではありません。

メンバーの心理的安全性が十分確保でき、リラックスしてその人本来のポテンシャルで1on1に向き合うことができるようになったと感じたら、1on1を業務や評価に絡めても問題ないでしょう。

評価の場にするなら細かい設計が必要

1on1を評価の場とするのであれば細かい設計が必要になってきます。

1on1の目的やねらいなど「どのような時間にしたいか」といった意識のすり合わせを行い、アジェンダを事前に用意し、上司・部下双方がいつでも振り返られるような状態で記録を作成するなど、各段階の手続きを経て実施するようにしましょう。

↓1on1を人事評価に用いるための詳しい内容はこちら

1on1を行う際のテクニック

1on1を実施する際に効果的なテクニックを4つ紹介します。
より有意義な1on1を実現するためにもぜひ実践してみましょう。

  • 問いかけを中心にコミュニケーションをとる
  • 経験学習サイクルを意識する
  • 部下に合わせたコミュニケーションをとる
  • 部下に合わせたコミュニケーションをとる

問いかけを中心にコミュニケーションをとる

1on1では「問いかけを中心にコミュニケーションを取る」ことを意識してみましょう。

ここでの問いかけ方法としては、まず横方向に質問を展開して情報を引き出したうえで、目ぼしい箇所に関しては縦方向に深堀りすることで、対話を充実したものにすることができます。

具体的には、まずは話している事柄に関連して「他にも○○についての改善点思いつく?」や「他に似たようなケースってあった?」というふうに、新たな所感や類似ケースを聞き出して話を横方向に展開してみましょう。

その上で特に詳しく聞きたい話やテーマが出てきた際には、詳細な背景や具体例を求めるなど、今度はそれにフォーカスして話を深堀りしてみましょう。

経験学習サイクルを意識する

1on1では「経験学習サイクルを意識した対話」を実践してみましょう。

経験学習サイクルとは、コルブが提唱した人が成長する過程を示したものです。
簡単にまとめると、以下のような4ステップを踏んで人が学習・成長すると言われています。

  • 経験フェーズ:具体的な経験をする
  • 内省フェーズ:行動の振り返り・フィードバックを行う
  • 概念化フェーズ:何を学んだかを明らかにする
  • 実践フェーズ:次に行うときに学びを応用する

このような経験学習サイクルは、1on1で業務進捗や目標達成について整理した上で目標の設計や微調整を行うためのアウトラインとして応用できます。

「過去の業務や行動をピックアップする(経験)」→「成功or失敗要因や他の諸要素などを分析する(内省)」→「分析を踏まえて何をすべきかを問う(概念化)」→「今後の行動や目標の調整に実際に反映させる(実践)」という順序で振り返りから今後への対策を一貫して考えることで、部下自身の頭の整理にも非常に有効になります。

部下に合わせたコミュニケーションをとる

1on1では「部下に合わせたコミュケーションを取る」ことを意識してみましょう。

部下と一口に言っても、「行動力・野心が強い主体的な部下」や「好奇心旺盛で周りと楽しむことが好きな部下」、「論理的で分析力が強い部下」など、それぞれ異なる性格や強みを持っています。
このような異なるタイプにそれぞれ対応したコミュニケーションを取るために、ソーシャルスタイルという理論を活用することをおすすめします。

ソーシャルスタイルは、1968年にデビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論であり、人のコミュニケーションのタイプを「主導タイプ」「促進タイプ」「分析タイプ」「指示タイプ」という4つにカテゴライズし、最適なタイプを選択するというものです。

例えば、主導タイプは文字通りリーダーとして周囲を主導するような立場に立つことが多く、主体的な性格を持つ場合が多いです。このようなタイプはリーダーシップがある反面、意思が強く頑固な面もあるので、上司という立場から様々な意見や視野に触れさせて凝り固まらないようにサポートしてあげることが有効です。

また、この主導タイプとほぼ対極に位置するタイプとして支持タイプがあります。支持タイプは発言や主張が控えめで、そのため比較的パーソナリティを把握しづらい傾向にあります。このような部下には積極的に傾聴する側に回ることで、普段はなかなか聞くことができない相談や不満などを引き出してあげることが重要です。


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フレームワークを活用する

フレームワークを活用する」ことも1on1のテクニックの一つです。

マネジメントや目標管理に効果的なフレームワークは数多く存在し、1on1においても業務状況や目標管理をフレームワークを用いて整理することは非常に効果的です。

さまざまなフレームワークを1on1に組み合わせて使用することで、個人の業務や目標の範囲のみならず会社の事業や強み・弱み、社内の環境などを体系的に整理して把握しやすくなるため、部下の視座を上げられたり、1on1ミーティングを通して得られる効果をさらに増大させることができます。

↓1on1で使用できるフレームワークについて詳しくはこちらから

まとめ

本記事では、本記事では部下に「詰められる」と思われてしまうような要因や、そのような1on1にしないための対策やテクニックを詳しく紹介してきました。

1on1は比較的新しい施策ゆえに部下の不安感も必要以上に発生してしまうことも多く、実際に詰めていないとしても部下に不安が残る以上は積極的に対策やケアを行って解決しなければなりません。最終的には1on1を業務や目標管理のマネジメントに活用するためにも、最初は部下の心理的安全性を確保して前向きに取り組んでもらうところから始めてみましょう。

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