1on1ミーティングを効果的に実践できる13個のフレームワークを紹介!
様々な企業が1on1ミーティングを導入しています。その中で効果的な1on1を実践できているのかわからない、どうすれば良いのかわからないという声も多くあります。
効果的な1on1を実施するためにフレームワークを活用することも1つの手段でしょう。
今回は、効果的な1on1に活用できるフレームワークを13個ご紹介していきます!
1on1ミーティングとは
1on1ミーティングは、「上司(マネージャー)と部下が1対1で行う、定期的に実施される面談」のことです。
アメリカのシリコンバレーで人材育成を目的として確立された手法で、日本でもヤフー株式会社などが取り入れたことから注目を集め始め、2020年には、企業規模に関わらず約4割の企業が導入しています。
このことからも、1on1ミーティングが非常に注目されていることがわかります。
1on1ミーティングで、部下の抱えている悩みやキャリアについて理解したり、業務上の課題への解決策やフィードバックを行うことによる部下の成長を促進することができます。
これまでのような人事評価の面談や進捗管理をするだけの面談とは異なり、1on1ミーティングは主に部下の成長を目的とした面談です。
1on1ミーティングを実施することで、部下の成長促進だけでなく、エンゲージメント向上や離職防止につながるため、導入する企業が増加しています。
1on1ミーティングの実施目的
1on1ミーティングの目的は「部下の成長を促進する」ことです。
部下は日常業務の中で、様々な成功と失敗を体験しています。
部下が体験したことについて、考えていることや成功要因・失敗要因などについて話し合い、部下の成長を促進し、支援することを1on1ミーティングで行います。
部下の話を聞いて、業務やキャリアの振り返りを実施し、部下が持つ悩みや課題への解決策のアクションプランを立てたり、上司からサポートすることで、納得感を持って次の行動を促すことができるでしょう。
その結果、1on1ミーティングの効果として以下のようなことが期待できます。
- 部下の成長・モチベーション向上
- 上司と部下の相互理解による信頼関係の構築
- キャリアの自律支援
- 目標達成率の向上・会社全体の生産性向上
- 離職率の低下
週1回15〜30分の時間をかけても費用対効果が期待できるため、導入する企業が増加しています。
1on1ミーティングが注目されている理由
企業は基本的に利益を追求する営利企業であるので、企業が1on1に注目するのには理由があります。
1on1の導入によって得られる効果が、費用対効果でプラスと期待されているため、導入が加速度的に進んでいます。
その理由には「社会的な背景」と「得られるメリットの大きさ」の2つがあります。
ここからは、なぜ1on1が注目されているのかについてお伝えしていきます。
社会的な背景
1on1ミーティングが注目されている背景として、ビジネス環境を取り巻く社会的な背景があります。
ここでは、以下のような3つの社会的背景に関して詳しく説明していきます。
- 予測できないビジネス環境への変化
- 生産労働人口の減少
- 従業員の労働に対する価値観や働き方の変化
予測できないビジネス環境への変化
まず1つ目の背景は、「予測できないビジネス環境への変化」です。
現代の社会やビジネス界は、変化のスピードが速く予測不能である「VUCAの時代」だと言われています。
「VUCAの時代」とは、以下の現代のビジネス環境を表す単語の頭文字をとったものです。
- V(Volatility):変動性
- U(Uncertainty):不確実性
- C(Complexity):複雑性
- A(Ambiguity):曖昧性
つまり、現代社会は「正解がなく複雑性が増す」環境だと言えます。
そのようなVUCA時代の中では、これまで重要視されてきた「言われたことをしっかりとできる力」ではなく、「自律的に学習・成長していく力」が重要になっています。
社員に「自律的に学習・成長していく力」を獲得させ、その姿勢を促進させる手段として、1on1ミーティングが注目されています。
生産労働人口の減少
2つ目の背景は、「生産労働人口の減少」です。
日本では29歳以下の若者の人口は、昭和50年以降一貫して減少しており、働ける人材(=生産年齢人口)が年々減少しています。
その結果、1人当たりの生産性を向上させる必要があり、より少ない従業員数で成果を出さないといけなくなってきました。
さらに、終身雇用制度に縛られず自身のキャリアに合わせて転職することも当たり前の時代になりました。
これにより、企業にとって、流動的になった人材をいかに会社へ定着させるかが重要な課題となりました。
そして、部下を育成を促進して1人当たりの生産性を上げたり、モチベーションやエンゲージメントの向上により会社への定着率を高めるための手段として、1on1ミーティングが期待されています。
従業員の労働に対する価値観や働き方の変化
3つ目の背景は「従業員の労働に対する価値観や働き方の変化」です。
リクルートマネジメントソリューションズが新卒1,840名を対象に実施した『新入社員意識調査2023』で公表されている調査で、新入社員が「仕事をする上で重視したいこと」を質問した結果、新入社員が求めているものは、自分が成長できるかどうかの「成長」(28.8%)となっています。
次いで、人や社会の役に立つことである「貢献」(26.7%)が2位となっています。
一方で、人との競争に勝つ・No.1になることである「競争」(2.4%)が最下位となっています。
この結果とと上述のマネジメントの価値観から、メンバーは自分の成長や人・社会への貢献を実感でき、人とあまり比較されずに丁寧に指導してくれることを望んでいることがわかります。
1on1ミーティングは、個に応じた成長を促進するために非常に適した手法であるため、メンバーが求めているニーズと育成に非常に有用です。
また、1on1の中で自社が人や社会に対してどのように貢献しているかを改めて対話することで、メンバーの視座が上がることも期待できます。
また、技術の高度化や新型コロナウイルスの流行により、リモートワークの普及などオンラインで仕事をすることが増え、働き方改革もあり、マネジメントの難易度も高くなっています。
このような働き方の変化、多様化に対応する方法として、1on1ミーティングを導入する企業も増えています。
期待できるメリットの大きさ
1on1ミーティングが注目されている理由はそのメリットの大きさが関係しています。
1on1を実施することで様々なメリットが期待できますが、企業が1on1で期待している効果について3つ説明してきます。
- メンバーの成長促進・生産性の向上
- 離職率の低下
- マネージャーとメンバー間の信頼感が向上
メンバーの成長促進・生産性の向上
1on1ミーティングを実施することでのメリット1つ目は「メンバーの成長促進・生産性の向上」です。
従業員の方々は日常業務を行なっていく中で、様々な悩み、課題を持っています。
悩みを抱えた状態が続くと、モチベーションの低下や作業効率の低下を招き、他のメンバーとの信頼関係も構築できない状態が続く傾向があります。
そして、誰にも相談できない状況が続き、最悪のケースでは、早期離職に繋がってしまう可能性もあります。
本来1on1ミーティングは、対話を通じて経験学習のサイクル(後述するフレームワークの1つ)を回すことで、部下の成長を促進していくものです。
1on1で現状とその課題感を認識して、理想の状態とのギャップを埋めるための行動を上司と部下が納得する形で進めていくコミュニケーションを取ることで、部下の成長が促進されます。
このように1on1でメンバーが成長して、そのメンバーの生産性が上がることが期待できるため、1on1は注目されています。
離職率の低下
2つ目のメリットは「離職率の低下」です。
社会的背景でも述べたとおり、生産年齢人口は減少傾向にあるため、企業は優秀な人材を確保しておかなければなりません。
- 主な離職の要因は以下の項目です。
- 人間関係にストレスを感じる
- 労働環境・職場環境に不満を抱えている
- 将来(キャリア)に不安を感じる
- 理想と現実のギャップを感じる
人間関係や職場環境等のストレスは1on1で事前にキャッチアップすることができ、すぐに対策を講じることができます。
また、キャリアに関しても1on1で一緒にキャリアプランを考えたりすることで、不安は解消されます。
加えて、本人のやりたいことを実現するにはどうしたらよいのかなどの具体的なアクションプランを考えることで、理想に向かって成長を促進することもできます。
1on1を実施することで、離職理由を解消するコミュニケーションが取ることができ、自分自身が抱える悩みを解決してくれる会社であると認識されることができます。
そのような自分を大切にしてくれる会社を辞める人は非常に少ないため、1on1ミーティングは離職予防に役立つと言えるでしょう。
上司と部下の信頼感が向上
3つ目のメリットは「上司と部下の信頼感が向上」することです。
信頼関係を構築するためには、部下とのコミュニケーションの頻度が非常に重要です。
定期的に1on1を実施することで、部下との接触頻度が多くなり、自然と信頼関係を築くことができるでしょう。
しかし、ただ接触回数を増やすだけでは不十分で、部下に寄り添っていない発言や高圧的な態度をとっていると逆効果です。
部下が安心して話せる環境を作ることを心がけることで、部下も心を開き、相談してくれたり、本音を話してくれるようになるでしょう。
部下と信頼関係を築くことができると、自分では気づけなかった部署・チームの状況も教えてくれるなど、良き相棒として部下が育ってくれるようになるでしょう。
どのような頻度で1on1を実施したら良いのかわからないという方はこちらの記事をご覧ください!
1on1ミーティングで活用できるフレームワーク13選
それでは、1on1ミーティングの時に活用できるフレームワークについて、7つの目的別に全13個ご紹介していきたいと思います!
- フレームワークを活用する7つの目的は以下のとおりです。
- メンバーの成長を促進させるためのフレームワーク
- 1on1の話題を見つけるためのフレームワーク
- 目標の設定に有効なフレームワーク
- 自分の1on1のレベルを確認できるフレームワーク
- 1on1の時間を捻出するために有効なフレームワーク
- 企業の現状分析に使えるフレームワーク
- 人事施策としての1on1のPDCAを回すためのフレームワーク
メンバーの成長を促進させるためのフレームワーク
メンバーの成長を促進させるためのフレームワークである「経験学習モデル」と「70:20:10フレームワーク」について説明していきます。
1.経験学習サイクル
まず1つ目のフレームワークは「経験学習サイクル」です。
1on1では経験学習のサイクルを意識したコミュニケーションを取ることが非常に重要です。
上記の図は、アメリカの教育学者であるコルブが提唱した「経験学習サイクル」です。
- 経験:具体的な経験をする
- 内省:行動の振り返り・フィードバック
- 概念化:何を学んだかを明らかにする
- 実践:次に行うときに学びを応用する
というステップを踏み、人は学習・成長していくとされています。
1on1を効果的に実施するには、STEP2の「内省」(リフレクションとも言います)とSTEP3の「概念化」を1on1内のコミュニケーションで実施することが理想です。
経験学習サイクルに沿った1on1を実践するために、以下のような順序で質問してあげると良いでしょう。
- 成功した・失敗したプロセスを聴く
- 成功・失敗は何に起因したのか
- 成功・失敗を再現・予防するために何をすべきか
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2.70:20:10の法則(ロミンガーの法則)
フレームワークの2つ目は、「70:20:10の法則」です。別名「ロミンガーの法則」とも呼ばれています。
米国のリーダーシップ研究機関であるロミンガー社が、様々な経営者を対象に、何がリーダーとしての成長に役に立ったのかを調査して、人の成長に寄与する割合のことを指します。
その結果「経験(≒仕事)」が70%、他者からの「薫陶(くんとう)」が20%、そして、「研修」は10%であったそうです。
※薫陶とは、他者(主に上司)からの助言と捉えてもらえれば大丈夫です。
つまり、成長につながる要素の90%が人との対話が関係しているので、効果的な対話を行うことで人が成長するという風になります。
そのため、上司・部下との対話を行う1on1ミーティングは、部下の成長に非常に効果的であることがわかります。
一方で、研修は10%なので意味のないことなのかというとそうではなくて、仕事時間の中で研修の時間っていうのは非常にわずかです。
割合でいうと1%もないでしょう。
そのような短時間の中で、10%も成長に影響しているとしたら、非常に効率が良い施策といえます。
そのため、日常業務だけではなく、時には現場から離れて勉強する時間を作ることも重要になってきます。
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1on1の話題を見つけるためのフレームワーク
1on1ミーティングの時に「何を話せばいいだろう」「話すことないなあ」と感じている人におすすめの「1on1の話題を見つけるためのフレームワーク」を解説していきます!
3.すりあわせ9ボックス
フレームワーク3つ目は「すり合わせ9ボックス」です。
「すり合わせ9ボックス」とは、人事組織コンサルタントである世古詞一氏が提唱した1on1ミーティングで話すべき9つのテーマのことです。
1on1での対話での目的を「従業員の継続的な成果創出、モチベーション向上、成長促進、働きがい向上のために必要な業務・個人・組織に関する諸認識をすり合わせること」として定義しています。
上司と部下が話すべき軸として「組織」「個人」「業務」の3つの軸と「過去」「現在」「未来」という3つの時間軸で区切った9つのテーマを、上司と部下が対話すべき全体像としています。
9ボックスとしてそれぞれ以下の9つの項目が設定されています。
- 理念・制度・カルチャー
- 人間関係
- 組織方針
- パーソナリティ
- ライフスタイル
- 将来キャリア
- 振り返り
- 業務不安
- 業務改善
すり合わせ9ボックスについて詳しくは下記の記事も参考にしていただけると幸いです
目標の設定に有効なフレームワーク
次に目標設定の時に有効なフレームワークについて3点ご紹介していきます。
1on1は目標の進捗管理にも適していますので、ぜひ押さえておきたいフレームワークです。
4.SMARTの法則
フレームワーク4つ目は「SMARTの法則」です。
「SMARTの法則」とは目標達成を実現するための、「Specific」「Measurable」「Achievable」「Related」「Time-bound」の頭文字をとって名付けられた目標設定の理論です。
目的達成のためには5つの成功因子が必要であることに着目したフレームワークで、その使いやすさから多くの企業で採用されています。
- Specific(具体的):誰が読んでもわかるような、明確で具体性を持った目標であるのか。
- Measurable(測定可能な):目標の進捗や達成を判断するために、定量的な目標であるのか。
- Achievable(達成可能な):設定した目標を達成することはできるのか。達成不可能な目標を立てていないか。
- Related(経営目標に関連した):企業の経営戦略や方針や、部署の目標と関連しているのか。
- Time-bound(時間制約がある):いつまでに達成するのか、期限は明確な目標であるのか。
部下の目標がきちんと「SMART」に沿った内容で作成されているのかを再確認してみても良いと思います。
また、実際に1on1で目標設定を行う際には、上司と部下の2人がどちらも納得する形で設定するようにしましょう。
5.ベーシック法
フレームワーク5つ目は「ベーシック法」です。
ベーシック法とは、最も基礎的な目標設定のフレームワークであり、様々なフレームワークの根底になっています。ベーシック法は「目標項目」「達成基準」「期限設定」「達成計画」の4つのステップから構成されています。
- 目標項目:自分自身が何を達成したいのかを明確にするステップです。この目標項目は、4つのタイプに分類することができます。
- 向上・強化:現状よりも成長を目指す目標タイプ。
- 改善・解消:現状の課題を解決する目標タイプ
- 維持・継続:現状で成果を挙げているものや続けることが重要な取り組 みを継続していく目標タイプ
- 創出・開発:今までやってきたことのないことに挑戦するための目標タイプ
- 達成基準:設定した目標が達成できたかの判断基準を明確にするステップです。このステップでは、達成基準の明確化が一番重要になります。達成基準を明確にするためには、3つのコツがあるとされています。
- 数値による定量的な基準
- 状態を表す定性的な基準
- スケジュールによる基準
- 期限設定:設定した目標をいつまでに達成するかの期限を設定するステップです。自分自身の状態や、目標の難易度に応じて適切な基準を設定しましょう。
- 達成計画:設定した目標を達成するために、具体的な行動計画を設定するステップです。
6.ベンチマーク法
フレームワーク6つ目は「ベンチマーク法」です。
「ベンチマーク」という言葉には、「指標・基準」という意味があります。ベンチマーク法は、自分が目標とすることをすでに達成している他者を指標にして、模倣する方法です。
ベンチマーキング法による目標設定の具体的な流れは、以下の通りです。
- ベンチマークの設定:ベンチマーク、つまり指標とする人を決めます。ベンチマークとなる人は、自分に実現可能な範囲で、可能な限り身近な人の中から選びます。
- 対象の人についての情報収集・分析:ベンチマークとなる人に関する情報を収集します。そして、収集した情報を分析し、その人にはあって自分に足りない点を考察します。
- 目標の設定:自分が持つ課題を把握できたら、その課題を克服するための目標を設定します。目標は、ベンチマークとなる人と自分との差を縮める目標を立てましょう。
- 検証:ベンチマークとなる人と自分の差がどの程度埋められたか、といった観点から、取り組みの結果を考察しましょう。
「ベンチマーク法」は、チーム内の他の人などモデルとなる人を特定して、目標設定する方法です。
1on1でも理想の人を共有したりして、部下のその時点のモデルを明らかにして設定していくと良いでしょう。
目標設定や達成に向けた目的別のアジェンダ(話題)集はこちらの記事をご覧ください!
自分の1on1のレベルを確認できるフレームワーク
次に自身の1on1を振り返る時に活用できるフレームワークをご紹介していきます。
自分の対話を客観的に見ることができるため、効果的な1on1の実施に近づけます!
7.対話の6つのレベル
フレームワーク7つ目は「対話の6つのレベル」です。
その名の通り、1on1での対話のレベルを6段階に分けて説明したフレームワークです。
6つのレベルは以下の通りです。
- 「コミュニケーション量の増加」によって、上司と部下の信頼関係がつくられる
- 「傾聴」を通して、部下理解が深まる。上司と部下の相互理解の深まり
- 「承認」を通して部下のモチベーションが向上する
- 「質問やフィードバック」を通して、部下が業務から「学びや気づき」を獲得する
- 「気づきや学び」をもとにして、部下が「新たな行動やチャレンジ」をする
- 「チャレンジ」を通して、部下が成果への貢献感と能力の向上を自覚する
実際に自分がどの程度のレベルにあるのかを振り返ることで、効果的な1on1を実現できるようになります。
過去の1on1の記録を見返すことで効率的に振り返りが行えるので、おすすめです!
1on1の時間を捻出するために有効なフレームワーク
1on1を実施しているビジネスパーソンの多くは「忙しくて1on1ミーティングの時間が取れない」と思っているのではないでしょうか。
1on1の時間を捻出するための非常に強力なフレームワークを紹介していきます。
8.アイゼンハワー・マトリクス
フレームワーク8つ目は「アイゼンハワーマトリクス」です。第34代アメリカ大統領ドワイト・D・アイゼンハワー(1890年~1969年)が提唱しました。
アイゼンハワーマトリクスとは、タスクを緊急度・重要度で4つの領域に分類し、優先順位を明確にするフレームワークです。タスクをアイゼンハワーマトリクスの4象限に分類し、タスクの優先順位を明確にしましょう。
- 第1領域:重要度も緊急度も高い業務
- 第2領域:重要度は高いが緊急ではない業務
- 第3領域:緊急だが重要度は低い業務
- 第4領域:重要度も緊急度も低い業務
仕事をしている中で第1象限のタスクは自然と取り組むのですが、多くの人は次に第3領域に取り組むのではないでしょうか?
実は、次に優先すべきは第2象限に分類したタスクだとアイゼンハワー氏は主張しています。
おそらく1on1ミーティングは第2領域に分類される場合が多いため、多くの場合優先度が下げられていることから「時間がないからできない」という方が多いのだと考えます。
そのため、第2領域の前に第3・4領域のタスクに取り組んでいないのかを見直して、1on1の時間をしっかりと取れるように整理することをおすすめします。
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企業の現状分析に使えるフレームワーク
1on1ミーティングで、自社の現状について対話することも非常に重要です。
自社の現状や外部の動向などを部下が把握することで、上司の指示に納得していなかった部分や不思議に思っていた部分が、明らかになり、自分の業務や目標に納得することができるようになります。
そのため、フレームワークを使って、1on1で一緒に分析するのも一つの方法でしょう。
それでは、「企業の現状分析に使えるフレームワーク」を紹介していきます。
9.3C分析
フレームワーク9つ目は「3C分析」です。
マッキンゼーの元日本支社長で、現在は経営コンサルタントとして活躍している大前研一氏が著書「The Mind of the Strategist」で提唱し、世界的にも有名なフレームワークです。
3Cとは「Customer(市場や顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)」の3要素の頭文字のCをとって3Cと呼ばれています。
これらの3つの要素を分析することで、自社の戦略を導き出すフレームワークです。
Customer(市場や顧客)のニーズを把握し、Competitor(競合)の動向を分析、Company(自社)との関係性をはっきりとさせます。
分析の順序としては、
- Customer(市場や顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
の順で分析していくと良いでしょう。
10.PEST分析
フレームワーク10つ目は「PEST分析」です。
3C分析において、Customer(市場や顧客)をマクロな視点で分析するときに非常に役立つフレームワークです。
自社を取り巻く環境を、「Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)」という4つの要素の頭文字を取りPEST分析と呼ばれています。
各要素の具体例は、以下のとおりです。
- Politics(政治的環境要因):法規制・規制緩和、国の政策、税制の見直し、政府の動向、最高裁の判断変更、外交関係の動向など
- Economy(経済的環境要因):景気、インフレ・デフレの進行、為替、金利、経済成長率、日銀短観、失業率、鉱工業指数など
- Society(社会的環境要因):人口動態、世帯数、世論・社会の意識、教育、犯罪、環境、健康、文化に関する情報など
- Technology(技術的環境要因):AI、ブロックチェーン、特許、情報提供企業の投資動向など
このような社会の動向や流行を分析する際に非常に有効です。
時代によって環境は目まぐるしく変化しており、近年では特に「Technology(技術)」の項目の変化が著しいので、ビジネスモデルの変革等が求められています。
11.SWOT分析
フレームワーク11つ目は「SWOT分析」です。
SWOT分析とは、自社の外部環境と内部環境を「Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)」の4つの要素で要因分析することで、既存事業の改善点や伸ばすべきポイント、新規事業の将来的なリスクなどを見つけることができるフレームワークです。
また、分析の際には「外部環境(Opportunity(機会)・Threat(脅威))」を分析し、「内部環境(Strength(強み)・Weakness(弱み)」を分析すると良いでしょう。
それぞれの項目の具体例は以下の通りです。
- Strength(強み)・Weakness(弱み):認知度やブランド力、インフラ、価格や品質、資源、立地、サービス、技術力など他社と比較しての強み・弱みを分類すると良いでしょう。
- Opportunity(機会)・Threat(脅威):市場規模や成長性など、競合の状況、景気や経済状況、政治の状況、法律などを「Opportunity(機会)」はプラス要因、「Threat(脅威)」はマイナス要因を記述すると良いでしょう。
12.5F分析
フレームワーク12つ目は「5F分析」です。ファイブフォース分析と呼び、アメリカの経営学者マイケル・ポーター氏が提唱しました。
Fとは「Force(影響力・強い効果)」の頭文字で、自社を取り巻く5つの「脅威」、つまり競争要因のことを指します。
5つの脅威とは「業界内での競争・業界への新規参入者・代替品の存在・買い手(顧客)の交渉力・売り手(サプライヤー)の交渉力」です。
それぞれの具体的な説明は以下の通りです。
- 業界内での競争:競合他社との直接的な競争のことで、自社も含めた競合各社の数と各社の知名度やブランド力、資金力、業界全体の規模や成長率などを分析します
- 業界への新規参入者:業界へ新しく進出した企業の分析です。進出ハードルが低い製品・サービスを扱っている場合、特に重要です。市場の規模、参入者の技術レベルやブランド力、自社への影響などを明らかにします。
- 代替品の存在:自社の製品・サービスに代わる価値を持つものについてですが、同業他社の競合製品とは異なります。書籍や雑誌に対する電子書籍、家庭用ゲーム機に対するスマホゲームアプリのように、業界の外からやって来る代替品の脅威を指します。代替品と自社製品との質的な違いやコストの差、代替品へ乗り換える際の手間やコストなどを分析します。
- 買い手(顧客)の交渉力:消費者や顧客といった買い手と、自社とのあいだにある力関係を指します。市場規模や競合他社の状況とともに、自社製品の値下げ幅も含めた価格設定状況、売り手と買い手の力関係は適切か、無理な値引き競争に陥っていないかなどを分析します。
- 売り手(サプライヤー)の交渉力:売り手(サプライヤー)と自社との力関係を指します。市場規模、売り手の数や力関係、供給元を乗り換える際のコストなどを分析します。
人事施策としての1on1のPDCAを回すためのフレームワーク
1on1ミーティングは人事施策の1つです。人事施策はその効果が検証されなければ意味をなしません。
ここからは人事としてどのように1on1を実施していくのかの方向を定義する時に役立つフレームワークを紹介します。
13.HPI(Human Performance improvement)
HPI(ヒューマンパフォーマンスインプルーブメント)とは人材の現状から組織の課題を見つけ、改善に向かって進める方法のこと。本来あるべき人材の姿と現状とのギャップを洗い出し、根本となっている原因分析を行います。
HPIは
- ビジネスの分析:現状分かっている人材のパフォーマンスがゴールにおいてどう関係するのかを分析します
- パフォーマンスの分析:理想の把握と現状の把握の2つの面からパフォーマンスを分析します
- 原因の分析:理想と現実のギャップを生み出しているものは何か、プロセス、マネジメント、資源、コンプライアンスなどを分析します
- 手法の選択:コーチング、ナレッジマネジメントなどの手法から何にするかを選ぶことです
- 手法の実施:適切な手法が選択されたら、その手法を実施する段階です
- 結果や成果を評価:効果測定を行い、実施によって得られた結果や成果を評価する段階です
- 現状の把握:結果や成果の評価からパフォーマンスの分析に戻って、現状を把握します。
の7つのステップで行います。
きちんと1on1という人事施策が組織としての理想を叶えるために実行できているのかを、振り返るようにしましょう。
まとめ
1on1ミーティングで使える13個のフレームワークは
- 経験学習サイクル
- 70:20:10の法則(ロミンガーの法則)
- すりあわせ9ボックス
- SMARTの法則
- ベーシック法
- ベンチマーク法
- 対話の6つのレベル
- アイゼンハワー・マトリクス
- 3C分析
- PEST分析
- SWOT分析
- 5F分析
- HPI(Human Performance improvement)
です。
これらのフレームワークを活用して、効果的な1on1ミーティングを実践しましょう!
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