経理の目標設定が決められない理由|具体例と評価運用のポイント

▼ この記事の内容

経理の目標設定は、業務効率化やコスト削減など日常業務の延長線上で数値化しやすい項目を起点にするのが基本です。部署目標を個人の行動レベルに分解し、処理時間の短縮やミス削減率といった測定可能な指標に落とし込むことで、定型業務中心の経理でも成長実感のある目標を立てられます。

経理部門は「目標を立てにくい」と言われがちです。営業やマーケティングのように売上で成果を測りにくく、日常の業務もルーティンが中心であるため、改善の方向性が見えづらい構造を抱えています。

しかし、目標がないまま業務を続けると、部門の貢献度が経営層から見えにくくなり、評価面談の場で具体的な成果を示せない状態に陥ります。弊社が支援する企業の人事担当者からも、「バックオフィス部門の目標設定に悩んでいる」という声は少なくありません。

経理の目標は、処理時間の短縮やミス削減率など日常業務の中から数値化できる項目を選ぶことで具体化できます。本稿では、目標設定が必要な理由から基本ステップ、カテゴリ別の具体例、注意点までを順に整理しました。


【260スライドで1on1を完全網羅】
流れ・アジェンダ・よくある失敗まで、実践に必要な知識をすべて詰め込んだ一冊!
>>『メンバーの成長・マネジメントのプロが実践する1on1パーフェクトガイド』を無料ダウンロードする

経理に目標設定が必要な3つの理由

経理部門に目標設定が必要なのは、業務効率化の起点になるだけでなく、スタッフの成長促進と部門の戦略的価値向上という3つの効果が得られるためです。定型業務が多いからこそ、目標によって改善の方向性を明示することに意味があります。

業務効率化とコスト削減の起点になる

経理の目標設定は、業務効率化とコスト削減を実現するための出発点です。目標がなければ「何を・いつまでに・どれだけ改善するか」が曖昧なまま日常業務が続き、改善のタイミングを逃しやすくなります。

たとえば「月次決算の処理日数を8営業日から5営業日に短縮する」という目標を設定すれば、どの工程に時間がかかっているかの分析が始まります。仕訳入力のチェック体制の見直しや経費精算ツールの導入検討など、具体的なアクションに落とし込めます。

経費削減・処理時間の短縮・ペーパーレス化・ミス回数の低減など、経理業務は数値化しやすい改善対象が多い部門です。目標を言語化することで改善活動に優先順位がつき、限られたリソースを効果の高い施策に集中させられます。

スタッフの成長とモチベーション向上につながる

目標設定は、経理スタッフ個人のスキルアップとモチベーション維持にも直結します。「日々のルーティンをこなすだけ」という状態が続くと、成長実感を得にくく、評価面談でも具体的なアピール材料が不足しがちです。

「四半期ごとに1つ、新しい経理業務領域を習得する」「簿記2級を年内に取得する」といった目標があれば、日常業務の中に学びの機会を意識的に組み込めます。小さな達成体験を重ねることで自己効力感が高まり、次の挑戦への意欲も生まれやすくなります。

上司の立場からも、部下に明確な目標があれば1on1や評価面談で「何が順調で、何に困っているか」を具体的に話し合えます。目標があることで対話の質が変わり、育成の方向性も定まりやすくなります。

経理部門の戦略的価値を高める

経理部門が適切な目標を設定し成果を可視化することで、「数字を処理するだけの裏方」から「経営判断を支える戦略部門」へと位置づけが変わります。経営層にとって、部門の貢献度が数値で見えるかどうかは予算やリソース配分の判断材料になります。

たとえば「月次の財務分析レポートの精度を向上させ、経営会議での意思決定スピードを上げる」という目標は、経理部門が単なるコストセンターではないことを示す根拠になります。財務予測や資金繰り管理の精度を高めることも、組織全体への貢献として評価されやすい目標です。

目標の定量化について、より具体的な方法を知りたい方は以下の記事が参考になります。経理部門の目標を数値化する具体的な手法を、ステップごとに整理しています。

経理の目標設定3つの基本ステップ

経理の目標設定は、「業務改善アイデアの洗い出し → 数値目標への変換 → 部署目標から個人目標への分解」の3段階で進めると、実行可能で測定しやすい目標に仕上がります。いきなり個人目標を考えるのではなく、全体像から段階的に落とし込むことが重要です。

業務改善アイデアを洗い出す

最初のステップは、日常業務の中から改善余地がある作業を特定することです。「毎月やっているけれど時間がかかりすぎている」「手作業が残っていてミスが発生しやすい」といった業務を棚卸しします。

具体的な洗い出し方法として、1週間分の業務内容と所要時間を記録する手法があります。請求書処理に平均何時間かかっているか、月次決算のどの工程で手戻りが多いかが数字で見えると、改善すべき領域が明確になります。

弊社が支援する企業でも、経理部門が最初に取り組むのは業務フローの棚卸しです。全体像が把握できていない段階で個別の目標を立てると、優先順位を誤る原因になります。

数値目標に落とし込む

改善対象が特定できたら、次は測定可能な数値に変換します。「業務を効率化する」という抽象的な目標では達成したかどうかの判断がつかず、進捗の把握と成果の評価が困難になります。

たとえば「月次決算の処理日数を8営業日から5営業日に短縮する」「経費精算の入力ミスを月平均5件から2件以下に減らす」といった形が一般的とされています。現状値と目標値の差分を明確にし、進捗を月次で追いかけられる状態をつくります。

すべてを数値化する必要はありませんが、主要な目標には可能な限り数字を入れることで評価の客観性が高まります。数値目標があれば上司も部下も同じ基準で進捗を確認でき、評価面談の場でも成果を示しやすくなります。

部署目標から個人目標へブレイクダウンする

部署全体の目標が決まったら、次はそれを個人レベルの行動目標に分解します。仮に部署目標が「月次決算処理日数の短縮」であれば、担当者ごとに「仕訳入力時間の削減」「チェックリスト整備によるエラー率低減」といった個別目標に展開できます。

個人目標を考えるときは、自分の担当業務の範囲内で達成可能な水準に設定することが重要です。他部門の協力が前提になる目標は、自力でコントロールできないため挫折しやすくなります。

ひとりで目標を決めるのが難しい場合は、上司との1on1で業務内容と期待値を擦り合わせながら設定するのも有効です。組織の目標と個人の成長方向を一致させることで、納得感のある目標が生まれます。

組織全体の目標設定から個人目標への落とし込み方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

目標設定と1on1を組み合わせて運用する仕組みに関心がある方は、以下の資料をご覧ください。


【260スライドで1on1を完全網羅】
流れ・アジェンダ・よくある失敗まで、実践に必要な知識をすべて詰め込んだ一冊!
>>『メンバーの成長・マネジメントのプロが実践する1on1パーフェクトガイド』を無料ダウンロードする

経理の目標設定 カテゴリ別の具体例

目標の方向性は大きく4つのカテゴリに分けられます。業務効率化・コスト削減・スキルアップ・ミス削減のそれぞれで、測定可能な具体例を整理しました。自分の担当業務に近い領域から優先的に取り組むと、無理のない目標設定ができます。

業務効率化の目標例

業務効率化は、経理目標のなかで最もイメージしやすいカテゴリです。処理スピードの向上やプロセスの簡素化を指標にします。

たとえば「月次決算の処理日数を8営業日から5営業日に短縮する」「経費精算の承認リードタイムを半減させる」といった設定が一般的です。いずれも現状の数値を起点に、期限と改善幅を明確にしています。

効率化の目標を立てる際は、作業時間だけでなく工程数の削減にも着目すると実効性が高まります。承認フローのステップ数を減らせば、処理時間の短縮と担当者の負荷軽減を同時に実現できます。

コスト削減の目標例

コスト削減は経理部門が直接コントロールしやすい領域です。消耗品費や印刷費など、部門内の支出項目から取り組みやすいテーマを選びます。

たとえば「ペーパーレス化率を段階的に引き上げる」「消耗品費を前年比で一定割合削減する」などが考えられます。外注していた月次報告書の作成を内製化し、コスト構造を見直す方向も有効です。

コスト削減目標は、削減額だけでなく業務品質への影響も考慮して設定する必要があります。過度なコストカットが他部門の業務に支障をきたすケースもあるため、関係部門との事前調整を含めた計画にしておくのが現実的です。

スキルアップの目標例

スキルアップ目標は、経理担当者個人のキャリア形成と部門の対応力向上を両立させるカテゴリです。資格取得や新業務の習得を中心に設定します。

具体例として「年内に日商簿記2級を取得する」「半年以内に連結決算の基本プロセスを習得し、補助業務を担当できるようにする」「四半期に1回、財務分析に関する社内勉強会を企画・実施する」などがあります。

スキルアップの目標は数値化しにくい場合もありますが、「いつまでに・どの業務を・どのレベルまで」という形で期限と到達基準を明示すれば、評価時の客観性を確保できます。

ミス削減・品質改善の目標例

ミス削減は、経理業務の信頼性を高めるうえで欠かせないテーマです。エラー率やチェック体制の整備を指標にします。

目標例として「仕訳入力のエラー率を月平均5件から1件以下に減らす」「ダブルチェック体制を3か月以内に構築する」などが挙げられます。業務マニュアルの整備によって担当者間の品質差を解消する方向性も効果的です。

ミス削減は「ミスをゼロにする」ではなく「ミスが発生しにくい仕組みを構築する」という観点で目標を立てると、前向きな取り組みとして評価されやすくなります。

参考:経理の目標設定の立て方とポイント|MS-Japan

経理の目標設定に活用できるSMART法則の実践的な使い方については、こちらの記事で解説しています。

経理の目標設定で押さえるべき4つの注意点

数値化しにくい目標の扱い方は、コンプライアンス目標の個人・組織での例文も参考になります。

目標の内容だけでなく、設定のプロセスや運用方法にも気を配ることで、形骸化を防ぎ実行力のある目標に仕上げられます。以下の4つの注意点は、経理部門に限らずバックオフィス全般に共通する視点です。

会社の事業戦略と整合させる

経理部門の目標が事業戦略と結びついていないと、いくら達成しても「部門だけの自己満足」に終わるリスクがあります。経営計画や中期目標を確認し、自部門がどの方向で貢献できるかを明確にしてから個別の目標を設定します。

たとえば会社の方針が「新規事業への投資拡大」であれば、経理部門の目標は「投資判断に必要な財務シミュレーションの精度を向上させる」といった方向が適切です。部門内で完結する目標であっても、全社戦略との接点を示せると経営層からの理解を得やすくなります。

目標設定の前に、経営会議の資料や期初の方針発表を読み返しておくだけでも整合性は高められます。目標と事業方針のつながりを意識する習慣が、経理部門の提案力を底上げする土台になります。

無理に数値化しすぎない

数値化は目標の客観性を高める有効な手段ですが、すべてを無理に数字に変換する必要はありません。数値化できない質的な改善も、経理部門の成長には欠かせません。

「財務分析スキルを高め、経営陣への提言力を強化する」のような定性的な目標であっても、「四半期ごとに財務分析レポートを1本作成する」という行動指標を組み合わせれば進捗は把握できます。

数字に縛られすぎると短期的に測定しやすい項目だけを追いかける傾向が生まれ、長期的な能力開発がおろそかになるリスクがあります。定量と定性の両面から目標を組み立てることで、短期成果と中長期の成長を両立できます。

減点評価ではなく加点評価を心がける

目標設定の際に「ミスを減らす」「遅延をなくす」といった減点方式の表現が多いと、消極的な行動を助長しやすくなります。ミスを恐れるあまり新しい提案を避けたり、安全な業務だけを選ぶ傾向が生まれます。

同じ改善目標でも「ミス防止のための新しいチェック体制を提案・実施する」と表現すれば、前向きな行動を促す加点型の目標に変わります。「どんな工夫をしたか」を評価する仕組みにすると、改善アイデアが出やすい組織風土につながります。

弊社が支援する企業でも、目標設定を加点評価型に切り替えたことでバックオフィス部門の業務改善提案件数が増えた事例があります。評価の仕組みが変わるだけで、メンバーの行動パターンも変化します。

他部門と定期的に目線合わせをする

経理部門の目標が他部門の業務に影響を与える場合、設定段階での事前調整が不可欠です。経費削減目標を経理部門だけで決めた結果、営業部門の活動を過度に制約してしまうケースは珍しくありません。

「営業部門と協議のうえ、接待費を前年比で一定割合削減する方法を共同で策定する」のように、関係部門を巻き込んだ目標にすると実現可能性が高まります。部門間の信頼関係も深まり、組織全体の改善活動が加速します。

弊社の支援現場でも、目標設定の段階で関連部門との定期的な擦り合わせを推奨しています。四半期に一度の目線合わせミーティングを設けるだけでも、目標の実効性は大きく変わります。

よくある質問

経理の目標設定で「数値化」が難しいときはどうすればよいですか

すべてを数値化する必要はありません。「四半期に1回、財務分析レポートを作成する」のように行動指標で代替する方法があります。定性目標に行動基準を組み合わせれば、進捗と達成度の判断は可能です。

目標設定がマンネリ化しないためのコツはありますか

四半期ごとに目標の進捗を振り返り、達成度合いに応じて次の期の目標を更新するサイクルが有効です。他部門との目線合わせを通じて新しい改善テーマを発見し、前期と異なる切り口で目標を設定すると停滞を防げます。

経理未経験者でも効果的な目標を立てられますか

未経験者の場合は、上司との1on1で業務内容と期待される役割を確認しながら設定するのが効果的です。まずは基礎的な業務の習得スピードや正確性を目標にし、半年後に業務範囲の拡大を次の目標として段階的に設定する形が現実的です。

まとめ

経理部門の目標設定は、業務効率化・コスト削減の起点であると同時に、スタッフの成長と部門価値の向上につながる取り組みです。「数値化しにくいから目標が立てられない」と思い込まず、処理時間の短縮やミス削減率など日常業務の中から測定可能な項目を選ぶことで、実行可能な目標に仕上げられます。

部署目標を個人レベルに分解し、定量と定性のバランスを保ちながら設計することが形骸化しない目標づくりの鍵です。事業戦略との整合や他部門との目線合わせを意識すれば、経営層からの評価にもつながりやすくなります。

目標管理の仕組みを整え、経理部門の成果を可視化する方法について詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。


【260スライドで1on1を完全網羅】
流れ・アジェンダ・よくある失敗まで、実践に必要な知識をすべて詰め込んだ一冊!
>>『メンバーの成長・マネジメントのプロが実践する1on1パーフェクトガイド』を無料ダウンロードする

※具体的な数値は導入企業の許可を得た範囲で一部加工しています

お役立ち情報

  • 全170P超の目標マネジメントパーフェクトガイド
    全170P超の目標マネジメントパーフェクトガイド
    近年増えている目標マネジメントへの不安を解消するあらゆる手法やマインドなど目標管理の全てが詰まっている資料になっています。
  • 【170P超のマネージャー研修資料を大公開!】マネジメントと1on1って何ですか?
    【170P超のマネージャー研修資料を大公開!】マネジメントと1on1って何ですか?
    「これさえ実践すれば間違いないという具体的なHOW」に焦点をあてて、マネジメントや1on1を実践できる内容となっています。
  • 【全260スライド超】メンバーの成長・マネジメントを最適化させるプロが実践する1on1パーフェクトガイド
    【全260スライド超】メンバーの成長・マネジメントを最適化させるプロが実践する1on1パーフェクトガイド
    組織開発・1on1 ・評価の設計運用で 100 社以上の企業に伴走してきた弊社の知見をもとに作成したガイド資料になります。

コチームの導入に関して

  • お問い合わせ
    お問い合わせ
    コチームについて不明点などございましたらご気軽にお問い合わせください。
  • お見積もり
    お見積もり
    コチームを導入するために必要な費用感を見積もれます。
  • トライアル
    トライアル
    ご気軽にトライアルでコチームを利用できます。
【無料】
満足度98.2%!超実践型のマネジメント研修資料3点セット!