
企業が成長していくためには、社員一人ひとりの成長を支える「人材育成」が欠かせません。その土台となるのが「人材育成方針」です。
これは、会社としてどのような人材を育てたいのか、そのためにどのようなステップを踏んで育成していくのかを明確にするもので、評価制度や研修、マネジメントの仕組みづくりにも深く関わってきます。
とはいえ、「具体的にどのような視点で方針を立てればよいのかわからない」「作ってみたけど社内に浸透せず、実行に失敗した」といった悩みを持つ方も少なくありません。育成方針が曖昧なままでは、経営との連動や社員のエンゲージメント向上にもつながりにくくなってしまいます。
この記事では、人材育成方針の必要性や具体的な決め方、作成や運用にあたるポイントを総合的に解説します。さらに、トヨタ自動車株式会社などの取り組み事例も紹介し、自社に合った育成方針づくりのヒントをご提供します。
人材の成長を通じて会社全体を強化したい経営者・役員の方、育成の方向性を見直したい人事担当者の方は必見です。
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人材育成方針とは?
人材育成方針とは、企業がどのような人材を育てたいのかを明確にし、そのために行う取り組みを定めた指針のことです。育成の方向性を定めることで、社員に対する育成施策や評価、研修の内容が一貫し、企業全体としての人材戦略に軸が生まれます。
例えば、「変化に柔軟に対応できる人材を育成したい」「高い専門性を備えたプロフェッショナルを増やしたい」といった人材像をまず定義し、そこに近づけるための育成ステップを設計します。仮に「主体的に学び、成長する社員を育てたい」という方向性を定めた場合は、社員の自律性を促すような選択型研修や、成長度に応じた評価制度の導入を検討するとよいでしょう。
一方で、人材育成方針を曖昧にしたままではどのような評価制度や研修が必要かを判断しにくくなり、非効率でバラつきのある施策が取られる原因になります。
つまり、人材育成方針は単なる目標ではなく、社員一人ひとりの成長を支え、企業全体の競争力を高める土台なのです。有価証券報告書で人材育成方針や具体的な施策を開示することが求められていることからも、経営における重要性がうかがえます。
少子高齢化で労働人口が減り続けている今の時代、限られた人的資本をいかに活かすかは企業の大きな課題です。また、労働力人口の減少だけでなく、社員一人あたりの労働時間の減少についても考慮しなければいけません。
2019年には「働き方改革関連法」によって、時間外労働時間の上限が原則として「月に45時間、年間で360時間」と定められました。これまでの「成果が出るまで時間をかける」という体制では、遠からず組織は破綻してしまいます。
企業は限られた人員と時間のなかで生産性を上げるため、効果的な人材育成方針を定め、十分な人的資源を得る必要があるのです。
人材育成方針を決めなければならない理由
ここまでは人材育成方針について、役割や必要性を交えてご説明しました。次は、人材育成方針作成のより具体的なメリットを、以下の4つの観点からお伝えします。
・企業が求める人材像を明確にできる
・人材育成が円滑に進む
・社員のキャリア形成への意識が高まる
・他の人事施策とも連携しやすくなる
企業が求める人材像を明確にできる
人材育成方針の策定は、企業が求める人材像を明確にする作業です。多くの企業が経営理念やビジョンを掲げている一方で、それを実現するために必要な人材像まで落とし込めている企業は多くありません。
この2つをつなげることで、社員は「会社がなぜこの育成を行うのか」「自分は今どの位置にいて、どう成長すればいいのか」といった視点を得て、企業の発展を自分事として捉えることができます。
人材育成方針を通じて経営理念に基づく理想の人材像を確立し、企業と社員の共通認識をつくっていきましょう。
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人材育成が円滑に進む
人材育成をスムーズかつ効果的に進める上でも、人材育成方針が不可欠です。方針があることで個々の育成施策の位置づけが明確になり、体系的なプロセスを構築できます。
たとえば、IT企業が「変化に柔軟に対応できる人材を育成したい」という方針を掲げた場合、下記のような育成プロセスおよび対応する位置づけが考えられます。
◆育成プロセス
アジャイル開発やデザイン思考の研修 → 部署をまたいだプロジェクトへの参加→業界動向を学ぶ外部セミナー受講や新規事業提案
◆対応する位置づけ
変化の激しい現場での思考力と対応力の養成 → 業務の多角的な視点と柔軟性を高める → 「変化を読み取って自ら動く」力を伸ばす
このように、人材育成方針をもとに施策を設定することで「単発の研修ばかりで、つながりが見えてこない」という事態を防げます。個々の施策の目的を明確にして、体系的な人材育成をしていきましょう。
社員のキャリア形成への意識が高まる
人材育成方針は、社員のキャリア形成への意識を高めて学びを効率化をするためにも有効です。
方針を通じて求める人物像とそこに至る道筋を伝えることで、現在地と目指すべき姿の差が分かりやすくなるのです。「何をすべきか」「どう成長すればよいか」が具体的に見えるようになります。これにより、社員は長期的なロードマップを持てるようになるでしょう。
また、近年は転職が身近な選択になっています。マイナビによる「転職動向調査2025年版(2024年実績)」によると、「2024年の正社員の転職率は7.2%で高水準を維持し、40-50代で増加」しているようです。
出典:マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2025年版(2024年実績)」
自社におけるキャリアの可能性を示すことは、転職による人材流出を防ぐためのコツでもあります。
人材育成方針で求める人物像と成長の方法を明らかにして、社員が自らキャリア形成を目指す風土をつくりましょう。
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他の人事施策とも連携しやすくなる
人材育成は単発の研修で完結するものではなく、他の人事施策との連携が求められます。例えば、習得した知識やスキルを実際の業務で活かすためには、適切な人材配置や実践の場の提供が必要です。また、評価制度と連携して、育成の成果を人事評価に反映させることも求められます。スキルを体得したにも関わらず人事評価が上がらなければ、不満が生まれることは明らかだからです。
明確な育成方針の策定は、こうした施策間の連携をスムーズにする上でメリットがあります。指針があることで、人材育成、評価、配置といった各施策の目的や役割が整理され、互いに補完しやすくなるのです。
人材育成方針の確立によって組織全体の意思決定のブレをなくし、施策の効果的な展開をしましょう。
人材育成方針の定め方
ここまでは、人材育成方針を作るメリットを述べてきました。
では、どのように方針を決めればよいのでしょうか。以下の4段階に分けてご紹介します。
1.求める人物像の確立
2.現状とのギャップや不足スキルの特定
3.育成目標を設定
4.育成計画を策定
1.求める人物像の確立
求める人物像の確立は、人材育成の基盤となる重要なプロセスです。これが不明確では、育成の効率や成果、さらには企業全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねません。
人物像を明らかにするにあたっては、自社や部署が直面している課題を把握することが大切です。経営方針・経営状態などを踏まえて、社員のスキルやモチベーション、年齢ピラミッド、抱えている課題などを部署単位で確認していきましょう。
「DX化が進んでいない」「海外営業をしたいが知識のある社員がいない」など、様々な課題が考えられます。そして、それらの課題を解決するためには、どのような人物が求められるのかを考えましょう。
また、求める人物像は経営戦略に基づいて確立されるべきです。「リスクに対応するためになぜその戦略が必要なのか」「戦略の具体化に必要な人物像とはどのようなものか」等を、経営層と現場の社員で背景情報から整理しましょう。これによって認識のギャップを埋められます。
なお、理想を追い求めすぎると実情とかけ離れ、社員側のモチベーションが低下するリスクが高いです。人材の不足状況や人事方針を考慮し、現実的かつ達成が想定できる範囲で人物像を設定する必要があります。
このように、自社の課題、経営戦略、実現性を踏まえて求める人物像を確立し、具体的な施策に落とし込みやすくしましょう。
2.現状とのギャップや不足スキルの特定
人材育成の方針を決定する前に行うべきなのが、社内の現状把握です。現状のスキル・パフォーマンスと一つ前のステップで確立した人物像を比較し、ギャップを明確にします。
この際はスキルマップという、業務で必要なスキルを洗い出し、社員全員がどのスキルをどの程度習熟しているか(スキルレベル)を表に可視データ化したツールを活用すると良いでしょう。代表的な無料テンプレートとしては、厚生労働省が用意している「職業能力評価シート」があります。
(厚生労働省「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル」はこちら)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/0000093584.html
加えて、現場の声や外部環境の変化を踏まえた課題の抽出も不可欠です。
例えば、パフォーマンスが低下している部署において業務上の課題・ニーズを丁寧にヒアリングすることで、育成すべきスキルや知識が見えてきます。
また、入社して間もない若手社員はビジネスの基礎スキル、一定の経験を積んだ中堅社員はマネジメントスキルといったように、階層によっても不足スキルが異なるはずです。育成対象の視点から不足スキルを洗い出しましょう。
このように、スキルマップなどの評価ツールを活用しながら、個々の社員や部署に存在するスキルギャップを明らかにすることが重要です。
なお、ここでは詳しく扱いませんでしたが、弊社はスキルマップ関する記事を多数執筆しております。さらに知りたい方は、まずはこちらの記事をご覧ください。
3.育成目標を設定
現状のスキルギャップや課題が明確になったら、育成目標の設定に移ります。これは、最終的にどのような人物を育成したいのかというゴールを定める作業です。
目標設定の粒度は、課題や求める人物像などに応じて異なります。
たとえば、DXを専門に担う人材を育成し、社内で推進体制を整えたいと考える場合は、数年単位の長期的な育成計画が求められます。この場合、目標は大きなビジョンだけでなく、半年や1年単位での中間目標を設定し、定期的に成果を評価できるようにするのが効果的でしょう。
個々の社員に対する目標設定も、一律ではなく専門スキルや業務レベルに応じて個別に対応するのが望ましいです。
目標設定には「ベーシック法」や「SMARTの法則」、「カッツモデル」などの手法を用いると良いでしょう。
ベーシック法とは、人材育成において必須の目標設定フレームワークです。「目標項目の設定→達成基準の設定→期限の設定→達成計画の設定」という、4つの流れで成り立っています。
SMARTの法則は、設定した目標を5つの視点で評価するフレームワークです。「Specific(具体性)」「Measurable(計量可能)」「Achievable(達成可能)」「Realistic(関連性)」「Time-bound(期限)」で構成されます。これにより、設定した目標が客観的に評価可能かつ無理のない内容になっているかをチェックし、目標そのものの質を高めることができます。
カッツモデルは、「技術的スキル」「人間関係スキル」「概念的スキル」の3つのスキルを、役職別にどの程度重視するかを示したフレームワークです。これにより、育成対象に応じてどのスキルを重点的に育成すべきかが把握できます。
これら「ベーシック法」「SMARTの法則」「カッツモデル」などのフレームワークを用いながら、課題や求める人物像に合った粒度で、効果的な目標設定をしていきましょう。
4.育成計画を策定
育成目標が定まったら育成計画書を立案し、具体的な育成施策、評価方法、運用体制を整理します。ここでは、1on1ミーティングや360度フィードバックなど、社員個人に対するサポートも考慮しましょう。これによって、実効性のある計画を立てることができます。
また、育成計画の策定時には、自社での内製か外部支援の活用かといった判断も必要になります。自社にノウハウが不足している場合は、外部専門家や他社事例を活用することで、より現実的で実行可能な計画づくりが可能になります。
人材育成の目的は、社員のスキルレベルを高め、長期的な人材の成長と企業価値の向上を実現することです。そのためにも、育成計画は経営戦略を軸としつつ、環境の変化に応じて柔軟に見直す姿勢が求められます。状況に応じた適切な対応ができる体制づくりが鍵となるでしょう。
人材育成の方針を定める際の3つのポイント
ここからは、人材育成方針を効果的に策定・運用していくうえで欠かせない、以下の3つのポイントを解説していきます。育成方針を成功させる上で何が必要なのか、ぜひ自社の状況と照らし合わせながらご覧ください。
・社内周知、共有を徹底する
・年度ごとに見直し、調整する
・人事評価制度とリンクして運用する
社内周知・共有を徹底する
策定した育成施策の効果を高めるためには、企業全体への周知・共有を推進することが重要です。
仮に、研修や能力開発の場面で「なぜこの研修を受けるのか」といった目的が明確でない場合、参加メンバーの意識やモチベーションに差が生まれることが想像に難くないでしょう。
ところが、人事部門や管理職の間で人材育成の目的や内容が共有されていても、育成の対象となる社員までは十分に伝わっていない企業が少なくありません。
実際に『日本の人事部』の調査によれば、「『人材育成方針』が共通言語化されていますか」という問いに対し、「されていない」が57.0%、「わからない」が4.9%という回答結果が出ています。
出典:HRビジョン「人事白書調査レポート2023 人材育成方針が共通言語化されている企業は約4割。うち約6割は、直近3年で方針を改定」
この問題の解決策としては、全社向け説明会や社内SNS、社内報などの複数の媒体を使って、定期的に情報発信を行うことが挙げられます。さらに、1on1ミーティングやチーム単位での勉強会を通じて、管理職が育成方針を説明する機会を設けることも有効です。こうした取り組みを継続することで、人材育成方針が組織内での共通言語として定着しやすくなります。
現場の管理職や従業員一人ひとりが人材育成の意義を理解し、主体的に取り組む体制が整ってこそ、組織全体での人材育成が機能するでしょう。育成方針の社内浸透は、その第一歩となる極めて重要なステップなのです。
年度ごとに見直し、調整する
人材育成方針は一度決めて終わりではありません。定期的な見直し・調整が不可欠です。
実際に、前述の「人事白書調査レポート2023」によれば、人材育成方針を直近3年(2020年~2022年)の間に改定した企業が58.0%に上っており、改定していない(今後も予定はない)企業は11.9%にすぎません。
近年、社会情勢やデジタル技術、ビジネス環境が目まぐるしく変化しています。こうした環境では、「変化の激しい社会で高い専門性を発揮できる人材の育成」といった長期的ビジョンを掲げつつ、短期的には研修や資格取得支援など、施策の柔軟な実施が求められるのです。
特に、IT・テクノロジーやサイバーセキュリティの分野は技術の変化が早いため、短期の育成目標であっても随時修正する必要があります。
また、外部環境の変化が大きくはない場合であっても、アンケートやフォローアップを通じた効果測定を行い、結果を踏まえて更新を図る必要があるでしょう。毎年社員のスキルや業務課題を研究し、育成方針を調整することが大切です。
人材育成は一過性でなく継続的な活動です。数十年先を見据えた長期的ビジョンとのバランスを取りながら、環境変化や現場の声に応じた柔軟なアップデートをしていきましょう。
人事評価制度とリンクして運用する
人材育成を効果的に進めるためには、育成方針に連動した人事評価制度の構築と運用が欠かせません。これらが不十分だと従業員の努力が正しく認識されず、意欲やエンゲージメントの低下を招きます。
人材育成に注力する企業であれば、人材育成に関する項目を評価項目に取り入れることも効果的です。例えば、製造業において「現場で改善提案ができる自律型人材の育成」を掲げる場合、人事評価項目に「改善提案の提出数」や「提案の実行数」など設定すると良いでしょう。
企業が求める人材像に近づく事で評価されると、社員が「何を期待されているのか」を具体的に理解できるようになります。結果、行動の方向性が定まり、さらなる活躍が促されるのです。
注意すべきポイントは、評価基準を曖昧にせず、具体的かつ明確に設定すること。評価制度の運用にあたっては、社内で説明する機会をきちんと設けましょう。
このように、人材育成方針を策定したら、それに合わせて人事評価制度の見直しを行う必要があります。評価と育成を切り離して運用するのではなく、あくまで一体的に設計・運用するという視点を持つことが、育成施策の効果を最大限に引き出します。
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特徴的な人材育成の例
人材育成は、企業や自治体が成長していくうえで欠かせない取り組みです。近年では、従来の研修制度やOJTに加え、対話や自律的な学びを重視したユニークな制度も増えています。
ここでは、企業や自治体が実践している特徴的な事例をご紹介します。
パナソニック株式会社
パナソニック株式会社では、グループ全社員を対象に体系的な人材育成を推進しています。
中でも注目されている取り組みが、2019年度から採用された「A Better Dialogue(よりよい対話)」です。これは、上司と部下の定期的な対話を通じて、パフォーマンスの確認やキャリア開発を行うもの。社員一人ひとりの成長を支援する狙いがあります。
さらに、同社では「仕事・役割等級制度」も導入されています。社員の担う仕事や役割の大きさに応じて処遇を決定する仕組みです。これにより透明性と納得性が向上し、社員のチャレンジ意欲や自発性の向上につながります。
このように、社員一人ひとりのモチベーションアップや成長を促す施策が取られているのです。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車では、「モノづくりは人づくり」という考え方が、教育・人材育成の理念とされています。従業員一人ひとりの能力・考える力・想像力を最も重要な経営資源としてとらえており、「人間性尊重」が会社理念です。
より具体的には、「仕事を通じた自己成長の促進」「従業員個々の人の能力向上」「中長期的な視点からの人材育成」「OJTの重視」を要点として、計画的な人事異動、中長期的な研修制度、OJTを実施し、社員一人ひとりの成長を支援しています。
なかでも優秀で意欲の高い人材は、本人の意思・意欲を確認した上で、将来のリーダー候補として中長期的・計画的に育成されています。
このようにトヨタは、個々に寄り添った能力開発を重視し、持続的に学び続ける組織風土の醸成を図っています。企業の競争力を支える人材育成の好例といえるでしょう。
参考:トヨタ自動車75年史「人事の変遷 詳細解説(トヨタの人材育成)」
自治体(渋谷区)
人材育成方針は企業だけでなく自治体においても重要視されています。
総務省が「地方自治体が社会情勢の変化に対応するには職員の育成が不可欠である」と明示しているほどです。具体的には、人材育成の目的や方策を明確にした「人材育成に関する基本方針」の策定が、すべての地方公共団体に求められています。
自治体の人材育成においても、そのビジョンや戦略、外部環境によって育成方針は異なります。したがって、まずは地域の実情や行政課題といった環境分析を行い、中長期で実現したいビジョンや戦略を明確化することが重要です。その上で、それを支えるために必要な人材像を定義し、対応する育成プログラムを構築していきましょう。
ここでは自治体における人材育成の事例として、渋谷区を取り上げます。
東京都渋谷区では、「ちがいをちからに変える街。渋谷区」という未来像を実現するため、職員一人ひとりが地域社会に貢献できるよう、体系的な人材育成方針を打ち出しています。その核となるのが「渋谷区人財育成基本方針」です。
この方針では、「渋谷区に住む人・集う人の笑顔のために邁進する職員」という理想の人材像を掲げ、職員が持つべき視点やスキルを5つの観点から明示。また、「部長」「課長」など職層ごとに求められる能力を具体的に定義しているのが特徴で、段階的なキャリア形成が支援される仕組みとなっています。
育成で重視しているのは、トレーナー制度の導入、ワークショップの実施、ジョブローテーションの活用など、実践を通じた学びです。
職員が自らの役割やキャリアパスを再認識しながら、主体的に成長していける環境が整えられています。
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まとめ
この記事では、人材育成方針を立てるメリットや具体的な決め方、作成や運用にあたるポイント、さらには、取り組み事例をご紹介しました。
人材育成方針は、企業の業績成長と社員のキャリア形成を両立させる土台です。職種や職場、事業規模を問わず、大きな意味を持ちます。求める人物像を明確にし、現状把握から育成計画まで一貫して設計することで、育成の効果を最大化しましょう。
ぜひ本記事を、自社に合った方針づくりにお役立ててください。
最後までお読みいただきありがとうございました。弊社は他にも多数、人材育成をテーマとした記事を公開しております。人材育成やマネジメントにお悩みの方はご覧いただければ幸いです。
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