転職が一般的となっている近年、管理職に昇格した社員の中には、「自分に向いていない」「キャリアパスが見えない」「仕事への意欲がなくなった」などの理由から、転職や退職を考えながら仕事をしている社員もいるかもしれません。会社の核と言える役割を担う管理職の離職は、会社にとって大きな痛手となります。
この記事では、管理職が辞める原因や会社の特徴、管理職の離職が周りに与える影響について解説します。併せて、管理職が退職しない為に企業ができる具体的な対処法についても紹介するので、自社の離職対策に役立てば幸いです。
管理職が辞める主な原因
まず、管理職が辞める主な原因9つを解説します。
- 激務であること
- 仕事上のストレスが多い
- 部下のマネジメントが難しい
- 給与が不足している
- 社内の人間関係が悪い
- スキルが活かせない状況である
- プライベートの時間が不足している
- 会社の方針に同意できない
- キャリアに悩んでいる
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激務であること
管理職が辞める主な原因の1つ目として、激務であることが挙げられます。
管理職の仕事は多岐にわたり、責任も大きく、常にストレスや圧力にさらされる傾向があります。管理職に就くと、それまで部下として取り掛かっていた業務に加えて、管理職としての業務も担当する必要が出てくるため、大きく異なる膨大な業務内容に直面します。
具体的には、管理職としてのミーティング参加や各種のデータや情報を取りまとめる業務が増加します。さらに、会社の目標達成や部下の管理、問題解決など、管理職ならではの業務を同時にこなさなければなりません。
このような業務の増加は、長時間労働につながります。その結果、管理職の定時退勤や休暇取得が難しくなることで、仕事とプライベートのバランスがうまく取れなくなり、管理職が辞める原因となります。
仕事上のストレスが多い
管理職が辞める主な原因の2つ目として、仕事上のストレスが多いことが挙げられます。
管理職の全ての業務において、部下の業績や成果に対する責任がついてまわります。例えば、部下の業務指導と育成では、管理職は部下に業務達成に必要なスキルや知識を身につけさせるためのトレーニングや育成プログラムを提供します。その上で、もし部下に全く成長が見れない場合、真っ先に部下の指導・育成方法が疑われ、管理職の責任となってしまうことも少なくありません。
このような責任の重圧の中で業務を行うことは、管理職にとって大きなストレス要因となります。また、ストレスの蓄積は、体調不良や生活習慣病、精神病など健康に悪影響を及ぼすリスクを招き、管理職が辞める原因の一つとなります。
部下のマネジメントが難しい
管理職が辞める主な原因の3つ目として、部下のマネジメントが難しいことが挙げられます。
管理職として部下を育成する際には、ただ部下育成のマニュアルに従うだけではなく、部下それぞれの性格や背景、経験といった様々な要素を考慮することが必要になります。部下それぞれが持つ個性を深く理解しないと、部下全体に中身が薄い指導やフィードバックを提供することになり、個人に最適な方法で育成を行うことができません。
例えば、ある部下は厳格な指示を受け取ると、プレッシャーを感じてパフォーマンスが低下するかもしれませんが、別の部下はそれを挑戦と受け止めて、自らの能力を発揮しようとするかもしれません。このような部下それぞれの性格を理解することで、この部下には「具体的で詳細な指示」が必要か、または「自ら考えさせる指示」が必要なのかを見極めることができます。
これらの部下それぞれの違いを常に意識し、柔軟に対応を変えなければならない状況は、管理職に部下との信頼関係の構築を要するものになります。信頼関係は長い時間をかけて築き上げられるため、管理職は常日頃から部下と交流することが不可欠となり、これまで部下とコミュニケーションをとってこなかった管理職にとっては、大きなストレスとなるかもしれません。
給与が不足している
管理職が辞める主な原因の4つ目として、給与が不足していることが挙げられます。
会社の中で、CEOや部門マネージャー、一般社員など役職や業務内容によって負う責任の重さはそれぞれ大きく異なります。特に管理職やマネージャーは、プロジェクトの進捗や部下の成果、チームの業績など、あらゆる面で責任がついてきます。責任の重さに伴い、日々の業務においての意思決定では、より緊張感やプレッシャーが高まる傾向にあります。
そのため、通常、責任の重い役職の待遇は役職の無い従業員と比較して、良いことが期待されます。しかしながら、会社によっては、適切な評価制度が整備されていないがために、役職の高さと達成した成果に見合った給与やボーナスが支給されないこともあります。
例えば、製品開発プロジェクトのリーダーとして、チームのスケジュール管理やリソース配分を行い、製品の完成・納品を時間通り達成したことが、待遇に反映されていないことがあります。
このような状況下では、「自分は重い責任を負っているにも関わらず、日々の努力や成果が適切に評価されていない」と感じてしまいます。その結果、優秀な管理職の業務に対する不満やモチベーション低下につながり、離職率の上昇が危惧されます。
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社内の人間関係が悪い
管理職が辞める主な原因の5つ目として、社内の人間関係が悪いことが挙げられます。
管理職にとって、毎日のように通う職場の雰囲気を決める重要な要素である人間関係の良し悪しは、管理職の業務に対するモチベーションに大きな影響を与えます。特に管理職の立場において、上司と部下の両方を持っているため、職場の人間関係を大きく左右する要因は多種多様です。
例えば、「上司からの指揮命令が上手く伝わってこない」「部下それぞれに合った指導方法が見つからない」「同僚との意見の衝突や価値観の相違」などが原因でトラブルが生じる可能性があります。
また、上司や部下、同僚との関係性が好ましくない場合、職場においての心理的な負担となり、業務連携・進行がスムーズにいかなくなってしまうリスクが存在します。
例えば、「上司からの情報伝達ミスによる業務上の誤解」「不適切な方法での部下の指導によって、部下の業務遂行に支障が出る」などが挙げられます。
このような人間関係の悪化によるトラブルは、管理職に疲労やストレス、不安などの心理的な悪影響を与えてしまいます。これは、管理職の仕事への集中力やモチベーション低下につながり、業務の質や生産性などのパフォーマンスに直結します。
スキルが活かせない状況である
管理職が辞める主な原因の6つ目として、スキルが活かせない状況であることが挙げられます。
仕事に対する熱量やプロ意識が高い従業員ほど、自分がそれまで習得してきたスキルや経験を職場での貢献に活かしたいという欲求を持っています。これは、自分の職場での存在価値を高めるために管理職までキャリアアップしてきた従業員にとっては自然のことでしょう。
しかし、管理職に就いた途端、事務作業やリソース管理、会議への参加など、自分の持っているスキルを活かせない業務が極端に増えるケースが多くあります。このような環境は、自身のスキルを活かしたさらなるキャリアアップを望んでいる社員にとっては、自身の可能性や成長が制限されてしまっていると感じることがあります。
結果として、自身のスキルや経験を最大限に活かし、自己成長が期待できる別の職場を求める傾向が高まり、管理職の離職率が上昇するでしょう。
プライベートの時間が不足している
管理職が辞める主な原因の7つ目として、プライベートの時間が不足していることが挙げられます。
管理職には、部下の指導やプロジェクトの遂行などにおいて、臨機応変に責任を持って対応することが求められます。自分の業務だけでなく、部下の業務に対する責任を果たさなければいけないこともあるため、日々の業務量は膨大になります。
さらに、部下のミスによって、緊急の問題が発生した場合、たとえ休日であっても管理職として出勤しなければならない状況となることも考えられます。そのため、この管理職の仕事は、「家族や友人と会う約束のリスケジュール」「一人でゆっくりと休息が取れない」「趣味の時間削減」など、管理職のプライベートにまで影響を及ぼしてしまうことがあります。
このような職場環境では、健全なワークライフバランスを維持することが困難となり、管理職の精神的・身体的健康が損なわれるリスクが存在します。結果として、管理職は安心して休息や家族との時間を取るために、しばらく離職する選択を取ることが考えられます。
会社の方針に同意できない
管理職が辞める主な原因の8つ目として、会社の方針に同意できないことが挙げられます。
会社の経営方針は、会社全体として進むべき方向性や追求するべきビジョンを示しています。その経営方針に同意できないと、自身の役割への不満を抱きやすく、企業ビジョンを達成するためのモチベーション低下や自身の業務に対する責任感の欠如につながります。
例えば、会社が製品の品質を犠牲にしてコスト削減を推し進める方針を採っている場合、製品の品質を重視する社員はその方針に同意できない可能性があります。このような場合、その社員は自身の価値観に合致しない業務を行うことに対する不満やストレスが高まり、業務に対する情熱やモチベーションが低下するかもしれません。
一方、自分の信じる方向性と会社の方針が一致している場合、自身の役割や業務に対する情熱やモチベーションが高い傾向にあり、継続的に高いパフォーマンスを発揮することが可能になります。このように、会社の方針と社員の方向性があまりにもかけ離れている場合、社員は自分の価値観に合った別会社に移ることを視野に入れる可能性があります。
キャリアに悩んでいる
管理職が辞める主な原因の9つ目として、キャリアに悩んでいることが挙げられます。
自身の将来的なビジョンや展望が不明確なまま、キャリアを歩んでしまっているケースは意外と多いものです。例えば、「明確なキャリアプランを立てたことが無い」「年々、仕事に対する興味が薄れてきている」「新しいことに挑戦し、スキル向上のために努力することが少ない」などの特徴に当てはまる社員は、進むべきキャリアの道筋や方向が明確に見えていない可能性が高いです。
このような状態でキャリアをなんとなく歩んでいると、突如とした業務に対するモチベーションの低下や他業界・職種に目移りしてしまうことが多々あります。その結果、新しい経験や機会を求めて転職を繰り返す傾向があり、長期的なキャリアの構築が困難になります。
管理職が突然辞めてしまう会社・社長の特徴
次に、管理職が突然辞めてしまう会社・社長の特徴3つを説明します。
- コミュニケーションが不足している
- 責任を管理職に全て押し付けている
- 評価や報酬が不適切である
コミュニケーションが不足している
管理職が突然辞めてしまう会社・社長の特徴1つ目として、コミュニケーションが不足していることが挙げられます。
管理職は、上層部の意思決定をそれぞれの部下に伝達する役割を担っており、会社全体として業務をスムーズに進めるための重要な要素と言えます。そのため、もし上層部と管理職間のコミュニケーションが不足している場合、上層部が考えていることが分からず、上層部と管理職間で業務に対する認識・意識に差異が生じます。
例えば、上層部間でのみ会社のビジョンが共有され、会社全体では共有されていない場合、運営側と現場側の間で方向性や思考、ニーズにおける共通認識を持つことが困難となります。このような業務に対する認識のギャップは、会社全体の混乱を招くリスクがあります。結果として、各チームの業績低下やプロジェクト遂行を妨げるトラブルが生じてしまい、その責任はチームの管理職にのしかかります。
このように、自分と経営陣の間のコミュニケーション不足が原因でチーム業績が低下したことで、経営陣との信頼関係が崩れ、さらにはプロジェクト遂行のためのやる気が失われてしまいます。
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責任を管理職に全て押し付けている
管理職が突然辞めてしまう会社・社長の特徴2つ目として、責任を管理職に全て押し付けていることが挙げられます。
会社の経営を円滑に進めるため、管理職に、ある程度の責任を与えることは効果的ですが、全ての責任を押し付けることは上層部と管理職間の信頼関係を崩す大きな要因となり得ます。
もし、新規プロジェクトが失敗に終わり、管理職がその失敗の全責任を負わされた場合、その社員は新たな取り組みへの挑戦を躊躇ってしまうでしょう。結果として、社員全体が失敗を恐れ、新しい取り組みへの挑戦を避ける風潮ができ、会社全体が退化していくことが考えられます。
一方、もし、新規プロジェクトの失敗に対して、上層部が管理職に責任を問うのではなく、「次のプロジェクトに向けた改善策の策定」「チームメンバーのメンタルサポート」などのサポートやバックアップを提供し、共に責任を取ろうとする姿勢を見せることで、管理職は安心して挑戦を続けられます。
このようなことから、全責任を管理職に押し付ける職場環境では、管理職は新しいことに挑戦する機会やモチベーションを奪われるため、自身の役割の価値を見失ってしまう傾向にあります。
評価や報酬が不適切である
管理職が突然辞めてしまう会社・社長の特徴3つ目として、評価や報酬が不適切であることが挙げられます。
チームや部門の責任者である管理職が、一般社員と比べて、会社の業績に良くも悪くも大きな影響を与えることは、管理職である本人が一番強く認識しています。そのため、彼らの努力や業績が適切に評価されない場合、業務に対するモチベーションや自尊心が低下することが考えられます。
会社において、一人ひとりの企業業績・成果への貢献度に対する個人評価は、給与や報酬の高さに反映されます。そのため、自分の貢献度から期待していた給与や報酬が得られなかった場合、自信の仕事における自信喪失や評価制度・上層部に対する不信感・不満が蓄積されていきます。さらに、管理職の自信喪失や上層部への不満は、仕事に対するモチベーション低下につながります。
その結果、部下を取りまとめるポジションである管理職のモチベーション低下は、管理職本人だけでなく、会社全体の士気を低下させる恐れがあり、企業業績の低下が危惧されます。さらに長期的には、管理職自身が会社に貢献できていないと感じ、管理職の離職や転職につながる要因となりかねません。
管理職の退職が周りに及ぼす影響
会社の核を担う管理職の退職は、会社内だけではなく、外部の取引先にも影響を与えてしまうことがあります。ここでは、管理職の退職が周りに及ぼす影響を大きく3つに分けて解説します。
- 会社への影響
- 部下への影響
- 取引先への影響
会社への影響
管理職の退職が周りに及ぼす影響の1つ目として、会社への影響が挙げられます。
管理職の退職は、「後任者への業務の引き継ぎ作業」が発生し、会社内の活動がスムーズに進まなくなる恐れがあります。考えられる問題点は大きく次の二つに分けられます。
意思決定や伝達事項の遅れ
管理職が退職すると、後任者が決まるまでの間、そのポジションに与えられた決定権は空白状態となります。その結果、部下たちの間で誰がリーダーシップを取るのかが明確にならず、進行中のプロジェクトにおける意思決定が遅れる可能性があります。
また、管理職の重要な役割である上層部や他部門との情報共有が一時的に遮断されてしまうリスクがあります。これにより、そのチームが会社内で孤立し、業務の進行が停滞することが危惧されます。
方向性が変わる可能性
さらに、後任者が変わったことで、価値観や方針の違いからチームの方向性に影響を与える可能性があります。具体的には、新しい後任者の決定から、それまでの管理職とは異なる意思決定プロセスや業務プロせスを導入するケースも少なくありません。
これにより、チームプロジェクトを進行させる際の戦略や方向性が180度変わってしまうことも考えられます。結果として、社員がそれらの変化に順応するために、新しい管理職とのコミュニケーションや人間関係の構築に時間がかかり、一時的にチーム全体のパフォーマンスが低下してしまいます。
このように、新しい管理職の判断基準や経験は、組織の混乱を招いてしまう可能性があるため、十分に注意が必要です。
部下への影響
管理職の退職は、部下にとってのこれまでのリーダーがいなくなることで、組織が機能しなくなることが多々あります。具体的に、管理職の退職が部下にどのような影響をもたらすのか見ていきましょう。
モチベーションの低下
管理職は、組織の目標達成のために部下を育成・指導し、適切な方向に引っ張る役割を果たしています。その管理職が欠けることで、部下に「チーム全体で一致団結して目標達成しようとする意識」を維持させるリーダーがいなくなり、モチベーションの低下が生じる可能性があります。
また、新しい管理職が就任すると、部下はその管理職が持つリーダーシップスタイルやコミュニケーションスタイルに適応する必要があります。もし、それらのスタイルがチームにとって不適切だった場合、部下が新しい管理職と良好な人間関係を構築することは困難となり、仕事に対するモチベーションの低下につながるでしょう。
連鎖退職リスクの増加
さらに、管理職の交代は、これまで信頼し合っていた管理職と部下の関係が崩れ、チームの結束力が著しく低下する恐れがあります。特に、前任の管理職に部下からの人望や信頼があるほど、後任者とのギャップに動揺する傾向があります。
たとえば、前任者は部下の意見を積極的にチームの意思決定に取り入れていたが、後任者は部下の意見を無視し、独断で意思決定を行うスタイルだった場合、部下は強い不満やストレスを感じることでしょう。
その結果、管理職の退職に伴った、部下の人材流出が引き起こされるリスクが存在します。
取引先への影響
管理職の退職は、会社内だけでなく、取引先にも影響を与える可能性があります。管理職が辞めることで、取引先では「社内トラブル」「人間関係の悪化」「労働環境が悪い」など管理職が辞めた原因についての憶測が出回り、取引先を不安にさせてしまうかもしれません。
これは、会社経営に対するイメージダウンにつながり、今後の業務提携にネガティヴな影響を与えることが考えられます。
管理職が退職しない為に企業ができる対処法
それでは、管理職が退職しない為に企業ができる対処法としてどのようなものが挙げらるのでしょうか。ここでは、具体的な対策を6つ紹介します。
- ヒアリング・面談を実施する
- 信頼関係を構築・コミュニケーションの機会を増やす
- 労働環境を改善する
- 予算や人員配置を見直す
- 管理職・リーダー研修制度を充実させる
- 適切な評価制度を構築・運用する
ヒアリング・面談を実施する
管理職が退職しない為に企業ができる対処法の1つ目として、ヒアリング・面談を実施することが挙げられます。
まず、ヒアリング・面談を通じて、管理職の「管理職を通して経験したいこと」「管理職の経験を将来的にどのように活かしたいか」などの項目を含んだキャリアパスを把握することができます。これを通して、それぞれのキャリアプランに沿った成長機会を提供することが可能となり、管理職の満足度や忠誠心の向上が期待されます。
また、管理職の「現場で働いているからこそ生じる業務に対する思いや不満、ストレス」を聞き出し、解消するための適切なサポートを提供することで、管理職が退職するリスクを減らすことができます。様々な効用のある面談は定期的に、また適切に実施される必要があります。それを実現するために、効果的なツールを活用した1on1面談の導入がおすすめされます。
1on1面談とは
1on1面談とは週に1回30分や、隔週に1回30分といった短いサイクルでリーダーとメンバーが定期的に1対1で話すことです。1on1は、定期的に部下の業務での悩みを聞き出し、それに対してアドバイスやフィードバックを行うことで、効果的かつ効率的に人材育成を行うことができます。
1on1面談は簡単に始められるという良さがあります。実施する際には、リーダーは何を話すべきか事前に決めておきましょう。また、メンバーには事前に聞きたいことを整理しておいてもらいましょう。この準備によって1on1ミーティングを有意義な時間にできます。
また、1on1の管理にはITツールを用いるとよいでしょう。1on1の振り返りや、評価制度の活用が容易になります。
信頼関係を構築・コミュニケーションの機会を増やす
管理職が退職しない為に企業ができる対処法の2つ目として、信頼関係を構築・コミュニケーションの機会を増やすことが挙げられます。
上層部と管理職間の信頼関係は積極的にコミュニケーションをとることで構築されます。具体的には、メールやチャット、定例ミーティング、社内SNSなどのツールを活用して、意見交換や情報共有が円滑に行われる環境を整備することが挙げられます。このようなオープンなコミュニケーションチャンネルを導入することで、上層部が管理職とコミュニケーションを取る機会が増加し、管理職は上層部と率直に議論することが可能となります。
その結果、管理職が業務に対する不満やストレスをひとりで抱え込むケースが少なくなり、上層部や同僚が彼らの悩みを理解することで、解決に向けたサポートを提供しやすくなるでしょう。
労働環境を改善する
管理職が退職しない為に企業ができる対処法の3つ目として、労働環境を改善することが挙げられます。
働きやすく、居心地の良い労働環境を整えることは、管理職の業務に対するストレスや不満を軽減することにつながります。
具体的には、管理職に適切な業務負荷を与えるために、タスクの優先順位付けや締切日の管理を行います。これにより、過多になる傾向がある管理職の業務量を調整することで、管理職は日々の業務をストレス無く遂行することができます。
さらに、フレックスタイム制やリモートワークの導入により、柔軟な労働時間制度を提供することが可能になります。その結果、管理職はストレスフリーなワークライフバランスを保ちやすくなり、前向きな気持ちで業務に取り掛かれるでしょう。
予算や人員配置を見直す
管理職が退職しない為に企業ができる対処法の4つ目として、予算や人員配置を見直すことが挙げられます。
組織の成長や変化に応じて、定期的な人事予算や人員配置の見直しが必要になります。例えば、会社内でリーダーシップを取れる優秀な人材が不足してきた場合、人事予算を「管理職の採用」「業務スキルトレーニングプログラム」などの人材補填・人材育成に割り当てることで、管理職の他に優秀な人材を保持し、激務な管理職にかかる負担を軽減することが可能です。また、管理職が退職した場合、すぐに代わりを務められる人材を確保することは困難なため、前もって後任者の人材育成に力を入れていくことが必要です。
さらに、組織のニーズに応じて、柔軟に労働力を配置します。具体的には、プロジェクトベースの雇用やフリーランス契約の活用、外部リソースの活用などを通じて、組織の人員配置を効率化し、管理職の負担を軽減します。
管理職・リーダー研修制度を充実させる
管理職が退職しない為に企業ができる対処法の5つ目として、管理職・リーダー研修制度を充実させることが挙げられます。
管理職には、部下の育成や最終的な意思決定など多くの場面でリーダーシップが求められます。具体的な管理職・リーダー研修の内容としては、コミュニケーション能力、チームビルディング、問題解決能力、ディレクション能力などのトレーニングが考えられます。
また、必ずしも個人業績が優秀な社員が管理職としての素質を持っているとは限らないため、管理職・リーダー研修制度を「本当に管理職に向いている人材かどうかを見極める」という用途で活用する場合もあります。
その結果、管理職として成果を出せないが為に業務に対するモチベーションが損なわれ、退職するリスクを減らすことが可能です。
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適切な評価制度を構築・運用する
管理職が退職しない為に企業ができる対処法の6つ目として、適切な評価制度を構築・運用することが挙げられます。
会社にとって適切な評価制度を運用することは、個々の管理職に納得してもらえる評価を与えることができます。
具体的には、「管理職に納得してもらえる評価制度」として、360度フィードバックが挙げられます。同僚や上司、部下など複数人の視点からフィードバックをもらう評価手法である360度フィードバックを定期的に1on1面談にて提供することで、上司の管理職に対する評価が適切であるかが明確になり、信頼関係を築くことができます。
その結果、より内容の濃いコミュニケーションが取れるようになるでしょう。
まとめ
会社の中核となる管理職の退職は、会社・部下・取引先に大きな影響を与え、組織崩壊に繋がってしまうリスクがあります。対策として、「定期的な1on1面談の実施」「コミュニケーションの機会を増やす」「労働環境の改善」「予算・人員配置の見直し」「管理職・リーダー研修制度の導入」「適切な評価制度の運用」などが挙げられます。この記事が、自社の管理職の離職対策に役立てば幸いです。
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パフォーマンス支援ツールの「コチーム」では、MBOやOKR等の目標管理、賞賛・承認や1on1等を通じたフィードバック360度評価にも対応する人事評価を一元管理できます。
パフォーマンスマネジメントを実践することにより、上記のような効果が期待でき、管理職やマネージャーの業務負担も非常に軽減されることがわかっています!
管理職の退職に関するよくある質問
ここでは、管理職の退職に関するよくある質問について回答します。
管理職が退職する時期で多いのは?
管理職の退職が多い時期は年度末の3月です。年度末で1年の区切りがつくタイミングであり、同時に他社の新しいプロジェクトが立ち上がるタイミングでもあるため、管理職にとって転職しやすい時期と言えます。
管理職が退職意向を告げるタイミングは?
一般的な会社員は、退職希望日の2週間前に申し出れば法律上問題はありません。しかし、管理職という責任ある立場の人であれば、1ヶ月〜3ヶ月前に余裕を持って申し出ることで、後任者への引き継ぎが円滑に進み、人事部署への負担を最小限に抑えることが可能です。
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