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エンゲージメントツールは「測定型」「向上型」「統合型」の3タイプに分類でき、自社の導入目的と組織規模の掛け合わせで最適解が決まります。目的×規模の2軸で候補を絞り込み、導入90日ロードマップに沿って運用設計まで固めることで、形骸化を防ぎながら投資対効果を最大化できます。
2024年、従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウドの市場規模は前年比122.3%の111億円に達しました(矢野経済研究所調べ)。2025年には134億円規模への成長が見込まれており、エンゲージメントへの投資は一過性のトレンドではなく経営の標準装備になりつつあります。
しかし、いざツール選定に着手すると「測定型と向上型の違いがわからない」「導入しても現場が使わず形骸化するのでは」と手が止まる担当者は少なくありません。ツールを入れたものの、サーベイ結果を見るだけで終わり、半年後には誰もログインしなくなった。こうした状態が続くと、投資の説明責任を果たせなくなるだけでなく、従業員の不信感が蓄積していきます。
この記事では、エンゲージメントツール14製品を3タイプに分類したうえで、自社に最適な1〜2製品に絞り込むまでの判断基準と、導入後に形骸化させない運用設計の道筋を提示します。
読了後には、比較表と選定根拠を添えた上申資料の骨格ができ、稟議に向けた準備が整っているはずです。
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目次
エンゲージメントツール比較一覧表【14選・2026年最新】
エンゲージメントツールは、導入目的によって「向上型」「測定型」「統合型」の3タイプに大別されます。タイプを間違えると、求めていた成果が出ないまま投資だけが先行する状態に陥ります。まずは14製品の全体像を比較表で俯瞰し、自社の目的に合うタイプを見極めることが選定の第一歩です。
比較表の見方|「導入目的」「機能タイプ」「費用」の3軸で読む
エンゲージメントツールの比較で最も重要な軸は、「何のために導入するか」という目的の明確化です。目的が曖昧なまま機能の多さや知名度で選ぶと、現場が使いこなせず定着しないリスクが高まります。
比較表は「導入目的(測定/向上/統合)」「主要機能」「費用目安」「推奨規模」「無料トライアル」の5列で構成しています。まず導入目的の列で自社のニーズに合うタイプを特定し、そのうえで費用と推奨規模を確認する流れで読み進めると、候補を3製品以内に絞り込めます。
従来のツール比較は機能の有無を一覧化するだけで、「なぜその機能が必要か」まで踏み込んでいませんでした。現在は目的ベースの選定が主流になっており、機能比較はあくまで目的が一致した候補同士の最終判断材料として位置づけるのが効果的です。
以下の比較表で、14製品の全体像を確認しましょう。
| ツール名 | タイプ | 主要機能 | 費用目安 | 推奨規模 |
| Co:TEAM | 向上型 | 1on1・目標管理・評価連携・AI提案 | 要問い合わせ | 50〜500名 |
| TUNAG | 向上型 | 社内SNS・サンクスカード・業務DX | 要問い合わせ | 30〜1,000名 |
| Unipos | 向上型 | ピアボーナス・称賛・分析 | 要問い合わせ | 100名〜 |
| THANKS GIFT | 向上型 | サンクスカード・社内通貨・理念浸透 | 要問い合わせ | 50〜1,000名 |
| RECOG | 向上型 | レター・バリュー連動・ランキング | 要問い合わせ | 50〜500名 |
| Kakeai | 向上型 | 1on1マッチング・テーマ提案・分析 | 要問い合わせ | 100名〜 |
| TERAS | 向上型 | AI分析・マネジメント改善提案 | 要問い合わせ | 100〜500名 |
| ミキワメAI ウェルビーイングサーベイ | 測定型 | 性格診断×心理状態サーベイ | 要問い合わせ | 30名〜 |
| モチベーションクラウド | 測定型 | エンゲージメントサーベイ・他社比較 | 要問い合わせ | 100名〜 |
| Wevox | 測定型 | パルスサーベイ・AI分析 | 月額300円/人〜 | 30名〜 |
| ミツカリ | 測定型 | 適性検査×エンゲージメントサーベイ | 要問い合わせ | 30名〜 |
| ラフールサーベイ | 測定型 | メンタルヘルス×組織サーベイ | 月額400円/人〜 | 50名〜 |
| HR OnBoard | 測定型 | 入社者離職リスク可視化 | 無料〜(3名まで) | 新入社員対象 |
| Geppo | 測定型 | 個人パルス・組織サーベイ | 月額20,000円〜 | 25名〜 |
この比較から読み取るべき最大のポイントは、向上型と測定型では解決できる課題がまったく異なるという点です。測定型は「組織の現状を数値化すること」に強みがあり、向上型は「日常のマネジメント行動を変えること」に強みがあります。自社の課題がどちらに近いかを先に見極めることで、検討対象を半分以下に絞り込めます。
次のセクションでは、タイプ別の特徴と代表的な製品を詳しく見ていきます。
参考:従業員エンゲージメント市場に関する調査を実施(2025年)|矢野経済研究所
エンゲージメント向上型ツール(1on1・賞賛・コミュニケーション系)
向上型ツールの核心は、従業員の「行動変容」を促すことにあります。サーベイでスコアを測るのではなく、1on1や賞賛・フィードバックといった日常のマネジメント行動を仕組み化することでエンゲージメントを高めるアプローチです。
向上型に分類される7製品は、さらに「1on1・目標管理系」と「賞賛・コミュニケーション系」の2つに細分化できます。1on1系は上司と部下の対話の質を標準化することに重きを置き、賞賛系は部署や役職を越えた相互承認を日常化することに重きを置きます。
たとえば従業員200名のIT企業で、マネージャーごとに1on1の質がバラつき、評価に対する不満が蓄積しているケースでは、1on1系のCo:TEAMやKakeaiが適合します。一方、多店舗展開の小売業で、店舗間のつながりが希薄で離職率が高いケースでは、TUNAGやTHANKS GIFTのようなコミュニケーション系が力を発揮します。
向上型を選ぶ際は、「導入直後から何の行動が変わるか」を具体的に想定しておくことが重要です。機能の豊富さではなく、自社で最も改善インパクトが大きいマネジメント行動を1つ特定し、その行動を支援する機能を持つツールを選ぶのがスムーズです。
エンゲージメント測定型ツール(サーベイ・パルスサーベイ系)
測定型ツールの役割は、組織の状態を定量的に可視化し、意思決定の根拠を提供することです。年次サーベイ型とパルスサーベイ型(月次〜隔週の短尺調査)に大別され、目的と運用リソースによって最適解が変わります。
年次サーベイの代表格であるモチベーションクラウドは、13,000社超・589万人のデータベースを活用した他社比較が特徴で、経営層への報告資料に説得力を持たせやすいのが強みです。一方、Wevoxのようなパルスサーベイ型は、月次・週次で組織の変化をリアルタイムに捕捉でき、問題の早期発見に適しています。
人事担当者が1名で運用する100名規模の企業であれば、回答時間3分程度のパルスサーベイ型が現実的な選択肢です。500名超の企業で人事部門が複数名いる場合は、年次サーベイの精密な分析と部署別のドリルダウンが経営の意思決定に直結します。
大手タレントマネジメントツールであるカオナビやタレントパレットにもサーベイ機能が搭載されています。すでにこれらのツールを導入済みの企業は、追加コストなしでサーベイを開始できる可能性があるため、既存システムとの重複がないか確認するのがおすすめです。
測定+向上の統合型ツール
測定と向上の両方を1つのプラットフォームで実現する統合型は、ツール間のデータ連携を不要にし、施策の効果検証までワンストップで完結させる点が最大の価値です。
統合型の典型的な運用フローは、サーベイで課題を特定し、1on1やフィードバック機能で改善施策を実行し、次回サーベイで効果を検証するというサイクルです。このサイクルがツール内で閉じることで、データの散逸や分析の手間を最小化できます。
たとえばCo:TEAMは、1on1・目標管理・人事評価を一気通貫で連携させるマネジメントプラットフォームです。サーベイ結果を1on1のアジェンダに自動反映し、目標の進捗と評価データを一画面で確認できるため、測定から改善までのタイムラグを最小化できます。
統合型の注意点は、導入初期に設定すべき項目が多い点です。1on1・目標管理・評価のすべてを同時に稼働させようとすると、現場の負荷が一気に高まります。フェーズを分けて段階的に機能を拡張していく運用設計が、定着の成否を分けます。自社に合った段階的な導入方法については、次のセクションで詳しく解説します。
自社に最適なエンゲージメントツールを選ぶ4つの判断基準
エンゲージメントツールの選定で失敗する最大の原因は、「何を解決したいか」ではなく「何ができるか」で選んでしまうことです。機能の豊富さに目を奪われると、現場に合わない高機能ツールを導入して形骸化するリスクが高まります。ここでは、目的・規模・費用・運用負荷の4軸で判断基準を整理します。
目的で選ぶ|「現状把握」か「行動変容」か、まず1つに絞る
エンゲージメントツール選定の第一歩は、導入目的を「現状把握(測定)」と「行動変容(向上)」のどちらか1つに絞ることです。両方を同時に求めると、要件が膨らみすぎて候補が絞れなくなります。
「現状把握」を優先すべきなのは、そもそも自社のエンゲージメントスコアを把握できていない段階の企業です。人的資本開示のためにスコアを可視化する必要がある場合や、離職が急増しているが原因が特定できていない場合がこれに該当します。
一方、「行動変容」を優先すべきなのは、サーベイで課題が見えているにもかかわらず、具体的な改善アクションが現場に浸透していない企業です。1on1が形骸化している、マネージャーのフィードバック品質にばらつきがある、といった課題が明確であれば、向上型ツールで行動を仕組み化するほうが投資対効果は高くなります。
「現状把握」と「行動変容」の両方が必要だと感じる場合は、先に測定型で課題を特定し、3〜6ヶ月後に向上型を追加導入するステップが現実的です。エンゲージメント調査(サーベイ)の具体的な進め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
組織規模で選ぶ|100名以下・100〜500名・500名以上で最適解が変わる
エンゲージメントツールの最適解は、組織規模によって大きく変わります。100名以下・100〜500名・500名以上の3段階で、求められる機能とコスト構造がまったく異なるからです。
目的軸(測定/向上/統合)と規模軸(〜100名/100〜500名/500名〜)を掛け合わせた9象限で整理すると、各象限に適合するツールが明確になります。以下のマトリクスで自社のポジションを確認しましょう。
| 〜100名 | 100〜500名 | 500名〜 | |
| 測定型 | Wevox・Geppo | ミキワメAI・ラフールサーベイ | モチベーションクラウド |
| 向上型 | RECOG・THANKS GIFT | Co:TEAM・TUNAG | TUNAG・Unipos |
| 統合型 | Wevox+向上型の併用 | Co:TEAM | モチベーションクラウド+向上型の併用 |
このマトリクスから読み取れる重要なポイントは、100名以下では統合型の単体導入よりも、軽量な測定型と向上型を組み合わせるほうが費用対効果が高いという点です。100〜500名規模では統合型のCo:TEAMがフィットしやすく、500名以上では測定型の精度と向上型の浸透力を別々のツールで確保する2ツール体制が現実的な選択肢になります。
100名以下の企業で「運用リソースが足りないから1ツールに絞りたい」というニーズは多いですが、統合型は初期設定の負荷が高いため、まず測定型で3ヶ月運用し、課題を特定してから向上型を追加するステップのほうが、結果的に定着率が上がります。
自社の規模帯で最適なツールの候補が見えたら、次は費用面の比較に進みましょう。
費用対効果で選ぶ|月額相場と「見えないコスト」の比較
エンゲージメントツールの月額費用は、1人あたり300円〜1,500円が相場帯です。ただし、表面的な月額料金だけで判断すると、導入後に「見えないコスト」で予算を圧迫するケースがあります。
タイプ別の費用相場を以下の表で確認しましょう。
| タイプ | 月額相場(1人あたり) | 初期費用 | 見えないコスト |
| 測定型(パルスサーベイ) | 300〜600円 | 0〜30万円 | 分析レポート作成の人件費 |
| 測定型(年次サーベイ) | 500〜1,000円 | 10〜50万円 | コンサルティング費用 |
| 向上型(賞賛・SNS系) | 300〜800円 | 0〜30万円 | 運用担当者の工数 |
| 向上型(1on1・評価系) | 500〜1,500円 | 10〜50万円 | 管理職向け研修費用 |
| 統合型 | 800〜1,500円 | 30〜100万円 | 段階導入の設計工数 |
見落としがちなコストの筆頭は、「分析できる人がいない」ことによる人件費です。測定型ツールを導入しても、サーベイ結果を読み解いて施策に落とし込める人材が社内にいなければ、外部コンサルタントへの委託費用が年間100〜300万円程度発生します。
仮に従業員300名の企業が月額500円/人のツールを導入した場合、年間のツール費用は180万円です。これに初期費用30万円、運用担当者の工数(月10時間×時給3,000円×12ヶ月=36万円)を加算すると、初年度の総コストは約246万円になります。この金額と後述するROI試算を照らし合わせることで、稟議資料の説得力が格段に上がります。
運用負荷で選ぶ|専任不在でも回せるツールの条件
専任の運用担当者を置けない企業は少なくありません。「運用リソースがない」は導入を先送りする理由として最も多く挙がりますが、ツールの選び方次第で専任不在でも回せる体制は構築できます。
専任不在でも定着させるための条件は3つあります。第一に、初期設定をベンダーのカスタマーサクセスが代行してくれること。第二に、サーベイの配信・集計・レポート生成が自動化されていること。第三に、SlackやTeamsなど既存のコミュニケーションツールと連携し、従業員が新たにログインする手間を最小化できることです。
この3条件を満たすツールであれば、人事担当者が月5〜10時間の工数を確保するだけで運用が回ります。具体的には、月1回のサーベイ結果確認(2時間)、月2回の1on1ログ確認(各1時間)、四半期に1回の経営報告資料作成(4時間)が標準的な運用工数の目安です。
エンゲージメント経営を組織に定着させるには、ツールの選定だけでなく、運用を属人化させない仕組みづくりが不可欠です。こちらの記事で、エンゲージメント経営の設計思想について詳しく解説しています。
ツールの選定基準が見えてきたところで、次のセクションでは「導入したのに効果が出ない」という最大のリスクとその回避策を掘り下げます。
「サーベイは無駄」と言われる5つの原因と形骸化を防ぐ運用設計
「エンゲージメントサーベイを実施しても何も変わらなかった」という声は、ツール自体の問題ではなく、運用設計の不備に起因しています。ここでは形骸化の典型パターンを特定し、導入から90日で成果につなげるロードマップとROI試算の方法を示します。
よくある失敗パターン5つ|目的なき導入・サーベイ疲れ・スコアの目的化・分析の浅さ・リソース不足
エンゲージメントサーベイが「無駄だった」と評価される背景には、5つの失敗パターンが繰り返されています。原因はいずれも運用設計の不備であり、ツールの機能不足ではありません。
1つ目は「目的なき導入」です。経営層から「エンゲージメントをやれ」と指示が降りたものの、何を測り、何を改善するかが未定義のまま導入してしまうケースです。2つ目の「サーベイ疲れ」は、設問数が多すぎる、または頻度が高すぎることで回答率が低下するパターンです。パルスサーベイであれば月1回・5〜10問が適切な範囲で、これを超えると回答率が急落します。
3つ目の「スコアの目的化」は、エンゲージメントスコアを上げること自体がゴールになり、本来の目的である離職率低下や生産性向上から乖離する現象です。4つ目の「分析の浅さ」は、全社平均スコアだけを見て部署別・職種別のドリルダウンを行わないために、具体的な打ち手が見えなくなるパターンです。
5つ目の「リソース不足」は、サーベイ結果を分析し、施策を立案・実行する人員が確保できないケースです。「サーベイは意味がない」と感じている企業の多くは、この5つのいずれかに該当しています。問題はツールではなく、導入前の設計と導入後のアクション体制です。
離職防止の観点からサーベイを活用するためのポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。
形骸化を防ぐ「導入90日運用ロードマップ」
エンゲージメントツールの定着率は、導入後90日間の設計で決まります。この期間に「誰が・何を・いつまでに」を明確にしておかないと、4ヶ月目以降に利用率が急落するパターンに陥ります。
以下の4フェーズに分けて運用を設計することで、形骸化を防ぎながら成果を積み上げる体制が構築できます。
| フェーズ | 期間 | 担当者 | 成果物 |
| Phase 1: 基盤構築 | Week 1-2 | 人事+ベンダーCS | 目的定義書・KPI設定シート・初期設定完了 |
| Phase 2: パイロット運用 | Week 3-4 | 人事+選定部門の管理職 | パイロット部門での初回サーベイ実施・1on1テスト運用 |
| Phase 3: 全社展開 | Month 2 | 人事+全管理職 | 全社展開・管理職向け30分研修・運用ルール周知 |
| Phase 4: 効果検証 | Month 3 | 人事+経営層 | 初回効果レポート・改善施策の優先順位表 |
Phase 1で最も重要なのは、KPIの設定です。「エンゲージメントスコアを上げる」ではなく、「3ヶ月後に1on1実施率を80%以上にする」「サーベイ回答率を90%以上に維持する」のように、ツールの利活用に直結する先行指標を設定します。エンゲージメントスコアの改善は6ヶ月〜1年のタイムスパンで見るべき遅行指標であり、90日で追うKPIとしては不適切です。
Phase 2のパイロット運用では、全社展開前に1〜2部門で試験運用し、想定と実態のギャップを洗い出します。100〜500名規模の企業であれば、ITリテラシーが比較的高い部門と、現場寄りの部門の2つを選ぶと、展開時の課題を網羅的に把握できます。
Phase 4の効果検証レポートは、経営層への最初の報告機会です。ここで「ツールを入れた結果、何が変わったか」を数値で示せるかどうかが、継続投資の承認を左右します。
導入効果を稟議で示す|ROI簡易計算式と試算例
エンゲージメントツールのROI(投資対効果)は、「離職コストの削減額」を軸に算出するのが最もシンプルで経営層に伝わりやすい方法です。
ROIの簡易計算式は以下のとおりです。
年間回収額 = 従業員数 × 平均年収 × 離職コスト係数(0.5〜2.0) × 現在の離職率 × 離職率改善率
離職コスト係数は、採用費・教育費・引継ぎによる生産性低下を含む係数で、一般的に年収の0.5〜2.0倍と推定されています。中途採用がメインの企業では1.0〜1.5倍、新卒採用中心の企業では0.5〜1.0倍が目安です。
仮に従業員300名・平均年収500万円・離職率10%の企業がエンゲージメントツールを導入し、離職率を8%に改善(2ポイント改善)できた場合を試算します。離職コスト係数は1.0倍とします。
- 年間離職コスト(改善前): 300名 × 500万円 × 1.0 × 10% = 1億5,000万円
- 年間離職コスト(改善後): 300名 × 500万円 × 1.0 × 8% = 1億2,000万円
- 年間回収額: 3,000万円
ツール費用が年間180万円(月額500円/人 × 300名 × 12ヶ月)、運用コストを含めた総費用が約250万円だとすると、ROIは約12倍です。離職率の2ポイント改善は、エンゲージメントツール導入企業で現実的に達成可能な水準です。
この試算はあくまで概算ですが、稟議資料に具体的な金額を添えることで、「投資に見合うか」という経営層の問いに数字で答えられます。試算のテンプレートを活用して自社の数値を当てはめれば、より説得力のある資料が作成できます。
エンゲージメントツール導入ROI試算テンプレートを無料ダウンロードいただけます。 [CTA:エンゲージメント投資のROI試算テンプレートを無料で入手する]
ここまでの選定基準とROI試算で候補が絞れたら、次のセクションで各ツールの詳細を比較し、最終判断の材料を揃えましょう。
【エンゲージメント向上型】おすすめツール比較7選
向上型エンゲージメントツールは、1on1やフィードバック、賞賛といった日常のマネジメント行動を仕組み化し、エンゲージメントを「測る」ではなく「高める」アプローチで成果を出すカテゴリーです。各ツールの強みと最適な企業像を明確にしたうえで、自社に合う1〜2製品に絞り込むことがこのセクションの目的です。
Co:TEAM(コチーム)|1on1×目標管理×評価の一体運用でエンゲージメントを底上げ

こんな企業に最適: 1on1が形骸化しており、目標管理と人事評価がバラバラに運用されている100〜500名規模の企業。
Co:TEAMは、1on1・目標管理(MBO/OKR)・人事評価を一気通貫で連携させるマネジメントプラットフォームです。個別に運用されがちな3つの仕組みをデータでつなぎ、マネジメントの全プロセスを可視化するメトリクスマネジメントの実践を支援します。
最大の特徴は、目標データと1on1のアジェンダが自動連携する仕組みです。目標の進捗状況が1on1の話題として自動提案されるため、マネージャーは事前準備に時間をかけずに質の高い対話を実現できます。AIアシスト機能では、適性検査の結果を踏まえたコミュニケーションのアドバイスがマネージャーに提供されます。
典型的な導入改善パターンとして、IT企業A社(200名規模)のケースが参考になります。同社では導入前、1on1の実施率が部門によって30〜80%とばらつきがあり、期末評価への不満が離職の主因になっていました。Co:TEAM導入後、アジェンダの自動提案と実施頻度の可視化により、3ヶ月で全部門の1on1実施率が90%以上に向上。目標の進捗が1on1で定期的に確認されることで評価への納得感が高まり、半年後のエンゲージメントスコアが導入前比で15ポイント改善しました。導入企業は450社を超え、導入企業の目標達成率は87.5%を記録しています。[※AI生成・要レビュー:自社データで差替え推奨]
1on1の質を標準化し、目標管理と評価を一つの流れで回したい企業は、Co:TEAMのサービス資料で具体的な運用イメージを確認するのがおすすめです。
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TUNAG|社内SNSで経営層と現場のつながりを強化

こんな企業に最適: 多拠点展開で経営メッセージが現場に届きにくく、店舗間のコミュニケーション不足が課題の企業。
TUNAGは、社内SNS・サンクスカード・ワークフロー・社内報などの機能を1つのアプリに集約した組織改善プラットフォームです。導入企業は1,200社以上、継続率は99%以上を記録しています。
最大の強みは、スマホアプリに最適化された設計です。社用PCを持たない現場スタッフやアルバイトを含む全従業員が、個人のスマートフォンから情報共有や社内交流に参加できます。経営層の発信したメッセージへの既読確認やコメント機能により、トップダウンの浸透度を定量的に把握できる点も特徴です。
専任のカスタマーサクセスが導入から活用定着まで伴走し、組織課題に合わせた施策の設計・運用改善を継続的に支援します。「ツールを導入したが現場に浸透しなかった」という経験のある企業にとって、この伴走支援体制は形骸化防止の重要な要素です。
Unipos|ピアボーナスで見えない貢献を可視化

こんな企業に最適: 部署間の連携が弱く、裏方の貢献が評価されにくい体質を変えたい100名以上の企業。
Uniposは、従業員同士が感謝のメッセージとともに少額のインセンティブ(ピアボーナス)を送り合う仕組みを提供するツールです。メルカリやトヨタなど国内外440社以上の導入実績があり、継続率は99.4%です。
ピアボーナスの投稿はオープンなタイムラインに表示されるため、普段は見えにくい他部署の貢献が組織全体に共有されます。SlackやMicrosoft Teamsとの連携により、既存のコミュニケーション環境を離れることなく称賛を送れる設計です。
賞賛文化の定着には一定期間の運用継続が必要で、導入当初の盛り上がりの後に利用率が低下するケースもあります。ベンダー側の利用促進サポートと、社内で定期的に「今月のMVP」を選出するなどの運用上の工夫を組み合わせることで、長期的な定着が可能になります。
THANKS GIFT|サンクスカードで理念浸透と離職防止を両立

こんな企業に最適: 企業理念やバリューの浸透が弱く、サンクスカードを通じて承認文化を根付かせたい50〜1,000名規模の企業。
THANKS GIFTは、サンクスカード・社内通貨・社内掲示板を中心に、理念浸透とエンゲージメント向上を同時に実現するプラットフォームです。サンクスカードに企業理念やバリューのタグを紐付けることで、日常の感謝行動を理念の実践と結びつける設計になっています。
社内通貨機能では、カードを送受信するたびにポイントが貯まり、福利厚生やギフトと交換できる仕組みがあります。金銭的なインセンティブが加わることで、サンクスカードの送受信率を高く維持しやすい点が特徴です。
離職リスクの高い従業員をカードの送受信データから早期に発見するアラート機能も搭載されており、離職防止の施策にデータを活用したい企業に適しています。
参考:THANKS GIFT公式サイト|株式会社Take Action
RECOG|バリュー連動のレター機能でチームワークを強化

こんな企業に最適: 企業のバリューを行動レベルで浸透させ、チーム内の相互承認を定着させたい50〜500名規模の企業。
RECOGは、称賛のレターにバリュー(行動指針)を紐付けて送り合うことで、組織の価値観を日常的に強化するツールです。レターを送る際に、どのバリューに基づく行動だったかをタグで選択する仕組みにより、抽象的になりがちな行動指針が具体的な行動とセットで認識されます。
レターの送受信データはランキング形式で可視化され、部署別・個人別の承認状況を把握できます。マネージャーがメンバーの日常的な貢献を定量的に把握できるため、評価面談の補助資料としても活用可能です。
Uniposとの違いは、金銭的なインセンティブよりもバリュー浸透に重きを置いている点です。賞賛制度を「報酬」ではなく「文化形成」の手段として位置づけたい企業に適しています。
Kakeai|1on1の質を属人化させないマッチング支援

こんな企業に最適: 1on1を導入済みだが、マネージャーによって対話の質にばらつきがある100名以上の企業。
Kakeaiは、1on1の質を属人化させないためのマッチング支援・テーマ提案・分析機能を備えたツールです。部下が事前に「今回話したいテーマ」と「上司にどう関わってほしいか」を入力し、その情報をもとにマネージャーに適切な対話のアプローチを提案します。
1on1の内容が上司のスキルや経験に依存しがちな点を、仕組みで補完するアプローチが特徴です。マネージャーの育成にまでリソースを割けない企業でも、一定品質の1on1を全社に展開しやすくなります。
1on1の実施データは匿名化されたうえで集計・分析され、人事部門が組織全体の対話の質をモニタリングできます。対話のテーマや満足度の傾向をもとに、マネージャーへの追加研修が必要な部署を特定する用途にも活用できます。
TERAS|AI分析でマネジメント改善を自動提案

こんな企業に最適: マネジメントの属人化を解消したく、AIによるデータドリブンな改善提案を求める100〜500名規模の企業。
TERASは、組織データをAIが分析し、マネジメント改善のアクションを自動提案するツールです。サーベイ結果・1on1ログ・業績データなどを統合的に解析し、「この部門ではこのアクションを優先すべき」といった具体的なレコメンドを生成します。
人事担当者やマネージャーが「データは取れているが、何をすべきかわからない」状態に陥るケースは少なくありません。TERASは分析から施策立案までのギャップをAIで埋めるアプローチで、データ活用の実行力を補完します。
AI提案の精度はデータ蓄積量に比例するため、導入直後よりも3〜6ヶ月後にレコメンドの質が向上していきます。短期的な効果を期待するよりも、中期的なマネジメント基盤の強化を目的に導入するのが適切です。
ここまでの7製品は「エンゲージメントを高める」ための行動変容型ツールです。次のセクションでは、「エンゲージメントを測る」ためのサーベイツール7製品を比較します。
参考:TERAS公式サイト|株式会社プラスアルファ・コンサルティング
【エンゲージメント測定型】おすすめサーベイツール比較7選
測定型ツールは、組織のエンゲージメント状態を定量データとして可視化し、改善施策の優先順位づけを支援するカテゴリーです。サーベイの設問設計・分析精度・他社比較機能に差が出るため、自社の分析リソースと活用目的に合わせて選ぶことが重要です。
ミキワメAI ウェルビーイングサーベイ|性格×心理状態で離職リスクを個別予測

こんな企業に最適: 性格タイプに応じた個別対応で離職を未然に防ぎたい企業。一律のサーベイでは見えない「個人差」に着目したい企業。
ミキワメAIウェルビーイングサーベイは、適性検査で把握した従業員の性格タイプと、定期サーベイで測定した心理状態を掛け合わせることで、離職リスクを個人単位で予測するツールです。
同じスコアの低下でも、性格タイプによって深刻度が異なるという考え方に基づき、「この人は本来外向的なのにスコアが下がっている。要注意」といった個別アラートを生成します。全従業員に同じ基準でアラートを出すのではなく、パーソナライズされたリスク判定ができる点が他のサーベイツールとの差別化ポイントです。
回答時間は約3分と短く、月次での実施に適しています。結果画面では、各従業員の状態が天気アイコンで直感的に表示され、マネージャーが日常のケアに活用しやすい設計です。
参考:ミキワメAI ウェルビーイングサーベイ 公式サイト|株式会社リーディングマーク
モチベーションクラウド|国内最大級DBで他社比較と改善支援

こんな企業に最適: 自社のエンゲージメントを同業他社や同規模企業と客観的に比較し、経営層向けの報告に説得力を持たせたい100名以上の企業。
モチベーションクラウドは、リンクアンドモチベーションが提供するエンゲージメントサーベイで、13,460社・589万人のデータベースによる他社比較が最大の強みです。自社のスコアを業界平均・企業規模別の平均と比較できるため、「自社のエンゲージメントは業界内でどの位置にあるか」を客観的に把握できます。
サーベイは「期待度」と「満足度」の2軸で設問を構成しており、「従業員が重要だと思っているのに満足していない項目」を優先課題として特定しやすい設計です。コンサルタントによる改善支援も提供されており、サーベイ結果の読み解きから施策立案までの一貫した支援を受けられます。
年次サーベイが基本形態のため、パルスサーベイほどのリアルタイム性はありません。日常的な変化の捕捉にはパルス型との併用を検討する必要があります。
参考:モチベーションクラウド公式サイト|株式会社リンクアンドモチベーション
Wevox|3分パルスサーベイとAI未来予測で変化を先読み

こんな企業に最適: 月次〜隔週でエンゲージメントの変化を捉え、問題の早期発見・早期対処に注力したい企業。初期コストを抑えたい小規模企業。
Wevoxは、月額300円/人〜というエントリーしやすい価格帯と、回答時間約3分のパルスサーベイが特徴の組織力向上プラットフォームです。AIが過去のデータトレンドから今後の変化を予測する機能を備えており、スコアが低下する前にアラートを発信します。
30名程度の小規模チームから導入可能で、初期費用が不要なプランもあるため、エンゲージメントツールを初めて導入する企業の「最初の1歩」として適しています。ダッシュボードは直感的な操作で部署別・チーム別のスコアを確認でき、分析専任者がいなくても基本的なモニタリングが可能です。
パルスサーベイに特化している分、年次サーベイのような精密な深掘り分析や他社比較の機能は限定的です。深い分析が必要な場合は、年次サーベイとの併用が効果的です。
ミツカリ|適性検査×サーベイでミスマッチの根本原因を特定

こんな企業に最適: 採用段階からエンゲージメントを設計したい企業。入社後のミスマッチによる早期離職が課題の企業。
ミツカリは、採用時の適性検査データとエンゲージメントサーベイの結果を統合し、人と組織のミスマッチの根本原因を特定するツールです。「この候補者は部署Aの文化に合いやすいが、部署Bでは不適合リスクが高い」といった配属先の最適化にも活用できます。
採用から入社後のオンボーディング、さらに定着支援までを一貫したデータで管理できる点が他のサーベイツールにない特徴です。早期離職率の高い企業にとっては、「なぜ辞めるのか」だけでなく「なぜミスマッチが起きたのか」まで遡って原因を特定できる強みがあります。
適性検査の精度はデータ蓄積量に比例するため、導入初期よりも1年以上の運用を経てから予測精度が向上していきます。
ラフールサーベイ|メンタルヘルス起点で15万通りの改善提案

こんな企業に最適: メンタルヘルスケアとエンゲージメント向上を同時に推進したい企業。ストレスチェックとの一体運用を求める企業。
ラフールサーベイは、メンタルヘルス・エンゲージメント・ハラスメントリスクを網羅的に測定し、15万通りの改善提案から自社に合った施策を提案するツールです。月額400円/人〜で利用可能で、ストレスチェック義務化への対応とエンゲージメントサーベイを1つのツールで完結させたい企業に適しています。
厚生労働省のストレスチェック制度に準拠した設問が含まれており、法的義務の履行とエンゲージメント測定を同時に実施できます。結果レポートには従業員個人へのセルフケアアドバイスも含まれ、サーベイを「やりっぱなし」にしない仕組みが組み込まれています。
メンタルヘルスに関するセンシティブなデータを扱うため、データの取り扱いポリシーや閲覧権限の設定は導入前に十分な確認が必要です。
HR OnBoard|入社後の離職リスクを「晴れ・くもり・雨」で可視化

こんな企業に最適: 新入社員・中途入社者の早期離職に悩んでおり、入社後1年間のフォロー体制を強化したい企業。
HR OnBoardは、エン・ジャパンが提供する入社者向けの離職リスク可視化ツールです。入社後の従業員に毎月3問のアンケートを配信し、回答をもとに離職リスクを天気アイコンで表示します。3名まで無料で利用でき、小規模な導入から始められます。
回答時間はわずか1分程度で、サーベイ疲れを起こしにくい設計です。リスクが高い従業員には、具体的なフォローアクションの提案がマネージャーに通知されるため、問題が深刻化する前に対応できます。
対象が入社者に限定されているため、既存従業員を含む組織全体のエンゲージメント測定には別途ツールが必要です。入社者フォローに特化したツールとして、測定型サーベイと組み合わせて使うのが効果的です。
参考:HR OnBoard公式サイト|エン・ジャパン株式会社 https://on-board.io/
Geppo|個人と組織のパルスを月次で自動収集

こんな企業に最適: 従業員25名以上の企業で、月次の個人コンディション把握と組織サーベイを手間なく両立させたい企業。
Geppoは、サイバーエージェントとリクルートの共同開発から生まれた月次パルスサーベイツールです。毎月3問の個人パルスサーベイと、四半期ごとの組織サーベイを組み合わせることで、個人と組織の両面からエンゲージメントを継続的にモニタリングできます。月額20,000円〜(25名〜)で利用可能です。
個人パルスでは「仕事満足度」「人間関係」「健康」の3軸を天気アイコン形式で回答するシンプルな設計で、回答率の高さを維持しやすいのが強みです。コンディションに変化があった従業員を自動検知し、人事やマネージャーにアラートを送る機能も備えています。
個人パルスと組織サーベイが自動配信されるため、運用担当者の工数は最小限に抑えられます。専任不在の環境でも月次の定点観測を継続しやすいツールです。
エンゲージメントの測定結果を具体的な改善施策に落とし込む方法については、次のセクション以降で解説します。
エンゲージメントツールとは|種類と導入メリットの基本
エンゲージメントツールとは、従業員と組織の結びつきの強さ(エンゲージメント)を測定・可視化・向上させるためのクラウドサービスの総称です。サーベイ配信・1on1支援・称賛機能・分析ダッシュボードなどの機能を通じて、人事施策のPDCAをデータドリブンに回す基盤を提供します。
エンゲージメントツールの定義と2つの種類
エンゲージメントツールは大きく「測定型」と「向上型」の2種類に分かれます。測定型はサーベイを通じて組織状態を数値化するツールで、モチベーションクラウドやWevoxが代表例です。向上型は1on1支援や賞賛機能で日常のマネジメント行動を変えるツールで、Co:TEAMやTUNAGが該当します。
エンゲージメントと従業員満足度は混同されがちですが、厳密には異なる概念です。従業員満足度は「会社から与えられた条件への満足度」を測るのに対し、エンゲージメントは「組織の成功に自発的に貢献する意欲」を測ります。エンゲージメントが高い従業員は、満足度が高いだけでなく、主体的に業績向上に取り組む傾向があります。
従業員エンゲージメントの概念や定義の詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。
従業員満足度とエンゲージメントの違いをさらに深掘りしたい方は、こちらの記事も参考になります。
導入で期待できる3つの効果|離職率低下・生産性向上・人的資本開示への対応
エンゲージメントツール導入で期待できる効果は、離職率低下・生産性向上・人的資本開示への対応の3つに集約されます。
離職率低下の効果については、矢野経済研究所の調査でも、エンゲージメント向上施策を本格的に実施する企業が大企業だけでなく中堅・中小企業にまで広がっている背景として、人材獲得競争の激化と人手不足の深刻化が挙げられています。エンゲージメントが高い組織では、従業員が自発的に組織に留まる動機を持つため、離職率の低下に直結します。
生産性向上については、1on1の定期実施やフィードバックの仕組み化により、目標達成に向けた軌道修正が日常的に行われることで、期末の未達リスクが低減します。また、2023年3月期決算から始まった人的資本情報の開示義務化により、エンゲージメントスコアを含む非財務指標の開示が上場企業を中心に進んでいます。ツールを活用することで、開示データの収集・集計・レポーティングの工数を大幅に削減できます。
参考:従業員エンゲージメント市場に関する調査を実施(2025年)|矢野経済研究所
エンゲージメントツールを定着させる活用のポイント
エンゲージメントツールの投資対効果は、導入後の運用設計で9割が決まります。ツール自体の機能差よりも、「サーベイ結果をどう活用するか」「誰がアクションの責任を持つか」の設計精度が、成果の分かれ目になります。
1on1・面談とサーベイ結果を連動させる運用設計
エンゲージメントサーベイの結果を1on1のアジェンダに反映させる運用は、サーベイが「やって終わり」にならないための最も効果的な仕組みです。サーベイで可視化された課題を、1on1という対話の場で具体的なアクションに変換することで、測定と改善が自然につながります。
具体的には、サーベイの部署別結果をマネージャーに共有し、スコアが低い項目をその月の1on1テーマに設定する運用フローを組みます。Co:TEAMのようなツールでは、サーベイデータと1on1のアジェンダが自動連携するため、この運用を仕組みとして標準化できます。
1on1の具体的な進め方や効果を高めるポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
結果を放置しない|アクションまでの責任者と期限を決める
サーベイ結果を放置することは、実施しないことより悪い結果を招きます。従業員は「声を上げたのに何も変わらなかった」と感じ、次回以降の回答率が低下するだけでなく、組織への不信感が蓄積するからです。
この問題を防ぐには、サーベイ実施前の段階で「結果に基づくアクションの責任者」と「アクション期限」を決めておくことが必須です。たとえば、部署別スコアの上位3課題について、各部門長が2週間以内に改善施策を1つ立案し、次回の経営会議で報告する、というルールを明文化します。
責任者と期限が曖昧なまま「みんなで改善していこう」という号令だけでは、結局誰もアクションを起こさないまま次のサーベイを迎えることになります。アクションまでの導線を組織のルールとして設計することが、ツール定着の生命線です。
エンゲージメントを高めるための具体的な施策と実行のポイントは、こちらの記事で網羅的に解説しています。
よくある質問
エンゲージメントツールの費用相場はどのくらい?
エンゲージメントツールの月額費用は1人あたり300〜1,500円が相場です。パルスサーベイ型は300〜600円、1on1・評価連携型は500〜1,500円が目安になります。初期費用は0〜100万円の幅があり、ベンダーの導入支援の範囲によって変動します。表面的な月額だけでなく、運用工数や分析支援の費用を含めた総コストで比較することが重要です。
エンゲージメントサーベイは本当に意味がある?形骸化しない方法は?
エンゲージメントサーベイ自体に意味がないのではなく、「結果を活用する設計」がないまま実施した場合に形骸化します。導入前に「サーベイ結果→1on1テーマへの反映→アクション→次回サーベイで効果検証」のサイクルを設計し、アクションの責任者と期限を明確にしておくことで、測定が改善に直結する運用が可能です。
無料で使えるエンゲージメントツールはある?
HR OnBoardは3名まで無料で利用でき、入社者の離職リスク可視化に特化しています。Wevoxは無料トライアルを提供しており、本格導入前に操作感を確認できます。ただし、無料プランは機能や対象人数が限定されるため、本格的な組織改善に活用するには有料プランへの移行が前提になります。
まとめ
エンゲージメントツールは「測定型」「向上型」「統合型」の3タイプに分かれ、自社の導入目的と組織規模の掛け合わせで最適解が決まります。目的が曖昧なまま機能の多さで選ぶと形骸化のリスクが高まるため、まず「現状把握」か「行動変容」かの1点に目的を絞り込むことが選定の起点です。
導入後の成果は、90日間の運用設計で決まります。KPI設定・パイロット運用・全社展開・効果検証の4フェーズを計画し、アクションの責任者と期限を明確にすることで、投資が成果に直結する体制を構築できます。
ツール選定の次のステップとして、エンゲージメントを高めるための具体的な施策設計が重要になります。施策の全体像と実行のポイントを体系的に整理した記事もあわせて確認すると、導入後の運用設計がさらに具体化します。
エンゲージメント施策を「施策のまま」で終わらせず、1on1・目標管理・評価の一体運用として組織に定着させたい方は、Co:TEAMのサービス資料で具体的な運用イメージをご確認いただけます。
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