ノーレイティング事例8選|国内外の導入企業や導入ポイントを解説

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ノーレイティング事例8選|国内外の導入企業や導入ポイントを解説

従来の評価制度であるレイティングは社員一人ひとりを適切に評価することが難しいとされています。評価への不満感は従業員が離職する大きな原因の一つと言えるでしょう。
このような問題点を解決する新たな評価制度が「ノーレイティング」です。本記事ではノーレイティングを導入している企業を紹介するとともに、導入で難しいポイント、導入前にするべきことなども紹介していきます。

ノーレイティングとは?

ノーレイティングとは従来のランク付けでの評価制度とは異なり、日常的なフィードバックをもとに評価する評価制度です。

レイティングは、画一的な評価基準を用いているので企業として評価はしやすい反面、個人の能力を適切に測ることが難しく、十分ではありませんでした。

また、評価は半期または1年ごとのため古く、現在の事柄が評価されないのも従業員が不満を持つ要因となっています。

しかしノーレイティングを導入すると、個人に合わせた評価ができるようになり、従業員のモチベーションが上がります

リアルタイムで評価することにより、企業にとっても、外部の環境の変化にいち早く対応できたり、働き方の多様化に対応できたりとメリットは十分にあります。

現在ではアメリカの多くの企業がレイティングを廃止し、ノーレイティングへと評価制度を移行しています。近年では、徐々に日本でも取り入れられており、これから先注目すべき評価制度と言えるでしょう。

ノーレイティングの導入で難しいポイント

ビジネス環境が変化していく中で、従来の評価制度では対応が追い付かなくなってきています。ノーレイティングのメリットは分かっていても、自社で取り入れるにはなかなか難しいという方も多いでしょう。

ここでは導入が難しいポイントを3つに分けて解説します。

1on1ミーティングの継続と定着

これまで半期・1年ごとだった上司と部下の面談を、定期的な1on1ミーティングに置き換える必要があります。ノーレイティングは定期的な対話によるフィードバックの中から評価します。したがって、1on1の実施は欠かせません

1on1は1人あたり月1回、約30分を推奨されています。これに加えて、1on1の内容を事前に準備する必要もあります。これだけ新たに時間がかかるとなると、従業員全体に負担がかかってしまい、業務が滞ってしまう可能性があります。

近年では、1on1を導入するにあたって、効果的かつ効率的に行うためのサポートしてくれるツールが増えてきました。多くのツールにはトライアル期間があるので、試してみることもおすすめです。

1on1のツールに関しては、こちらをご覧ください。

評価を任せられる人材がいない

ノーレイティングでは、一人ひとりの目標達成度や業務に対する姿勢、1on1での対話などをもとに、上司が部下を直接評価します。
つまり、部下が納得感のある評価を得ることができるかどうかは上司の力量次第といっても過言ではありません。

そのため、上司には高度なマネジメントスキルやコーチングスキルが必要となるのです。

上司と部下の間に信頼関係がない

上記項目で触れましたが、ノーレイティングによる評価は上司に委ねられます。信頼関係がない場合には、上司がつけた評価に納得できず、離職につながってしまうかもしれません。

日頃から積極的にコミュニケーションをとり、信頼関係を構築していく必要があります。

ノーレイティングを導入している日本企業4選

スターバックスジャパン

2016年からパフォーマンス&ディベロップメントカンバセーションを導入しました。

評価の基準は以下の3つです。

  • 「結果を出せたか」
  • 「ミッション&バリューズを体現することができたか」
  • 「ほかの人が成功するのを助けたか」

上司との対話の中で上記の基準に基づいて自分の行動を振り返り、考え、それに対して上司がフィードバックします。

そして、マネージャーは報酬を決める権限を持っています。ミッション&バリューズをチームで共有し体現していくことによって、信頼感が生まれ、より良いフィードバックができるようになります。

日本マイクロソフト

ビジネスモデルの転換により、従来の評価制度では機能しなくなったことから、2014年にそれまでの人事考課制度を廃止し、「パフォーマンス・ディベロップメント」へ刷新しました。

そこで、新しく以下の制度を導入しました。

  • 「インパクト」
    個人の成果、他者の成功への貢献、他者の知見の活用という3つが合わさって最大化されるパフォーマンスのこと。自分ひとりだけではなく、多くの人と協力して業務を行い、その結果が重要となる。
  • 第三者からのフィードバック
    上司だけでなく第三者もフィードバックすることで、多角度からの資料をもとに評価が可能。
  • 「コネクト」の開催
    年3回のフィードバックをするための面談。時期は各上司が判断できる。

コネクトとは別に月1回の1on1ミーティングも推奨されています。これは部下の成長を促すためのものです。

カルビー

2009年からノーレイティングを導入しました。

従業員が「トップの言うことを聞いて頑張っていけば目標は達成できる」と受け身の姿勢になってしまっていたことから、導入前1年は会社としての成長が止まっていました。

そこで新たに、「Commitment & Accountability(約束と結果責任)」という成果主義を取り入れました。これにより一人ひとりが目標を明確化し、目標達成に向かって成果を上げることが可能となっています。
上司と部下の間でC&A契約を結び、その達成度に応じて賞与の受給額が決まる制度です。

また、年俸者のC&Aを指針にしたり、社員のC&A設定能力を上げたりすることを目的として、年俸者のC&Aが公開されています。

2020年には「Calbee 5values」(「自発」「利他」「対話」「好奇心」「挑戦」)を導入しました。この5つの評価基準は従業員の声をもとに作成され、これをベースに基本給が決まる形に変わりました。

サッポロビール

2020年からノーレイティングを導入しました。

新しいことにチャレンジする姿勢や、世の中の変化への対応力を強化することが目的です。

従来の評価制度を廃止し、新たな評価基準を設けました。具体的な内容は以下です。

  • 「ストレッチゴール」
    挑戦的な目標の設定とそれに対する取り組む姿勢が評価につながる。
  • 「パフォーマンスレビュー」
    個人ではなく組織の目標への貢献度で評価。
  • 「スキルレビュー」
    項目は同じで、役割ごとに求められるスキルレベルを設定。求められる威容または以下のスキル発揮を見る。昇格や降格の基準となる。

また、年間考課ランクづけも廃止し、以下を新たに取り入れています。

  • 「人材育成会議」
    上長会議。従業員の評価が目的ではなく、直属の上司や他の上長とともにメンバー1人ひとりの育成について話し合う。
  • 1on1ミーティングの推進
    上長とメンバーのコミュニケーションを深めるために、月1回の1on1を推進。

ノーレイティングを導入している海外企業4選

Adobe

Adobeは2012年に年次業績評価制度を廃止し、新たに「チェックイン」を導入しました。

  • 「チェックイン」
    マネージャーと従業員が1対1で行うコミュニケーション。四半期に1回行われ、双方向のコミュニケーションが生まれる。このコミュニケーションに台本や書類などはなく、期待・フィードバック・成長と発展という3つのトピックをもとに話す。

従来の評価制度ではマネージャーが評価業務に費やしていた時間は約8万時間と言われていますが、この時間をチェックインに充てることで、従業員が納得する評価につなげるようにしました。

また、情報はデジタル化かつ一元化され、いつでも見られるようになりました。

チェックインの導入後、離職率は30%減少しました。

GE

GEは2016年に従来の評価制度である「ランクアンドヤンク」を廃止し、「Fastworks」を導入しました。

ランクアンドヤンクでは、業績不振の下位10%は解雇されてきました。そのため、本来従業員同士は協力して業務をこなさなければいけないのにもかかわらず、不必要な争いが生まれていました。

しかし新たに「PD@GE」を導入することにより、上司・部下間のコミュニケーションだけではなく、会社全体のコミュニケーションを活性化させることに成功しました。

  • PD@GE:各従業員が設定している目標の進捗状況について頻繁に話し合うことや、フィードバックの要求などができる

※2021年に最終評点を復活させました。

https://www.aldoni-hr.com/ge-and-adobe

デロイト

2015年に年1回の360度フィードバックを廃止し、ノーレイティングを導入しました。

これまで年間200万時間を消費していましたが、従業員のエンゲージメントにはつながっていませんでした。

新たに「チェックイン」と「パフォーマンス スナップショット」を導入しました。従来は過去の評価に時間を使っていましたが、これらを導入したことにより、リアルタイムで評価することが可能となりました。

  • チェックイン:
    推奨されている頻度は毎週。部下側から開始する。 
  • パフォーマンス スナップショット:
    各プロジェクトまたは四半期ごとに従業員に向けて4つの質問をし、最終的に出てきた結果のこと。チームリーダーが重要な決定を下すときの情報として使われる。

アクセンチュア

2015年に年次業績評価制度を廃止し、ノーレイティングを導入しました。

マネージャーはこれまで年間200時間以上を業績評価に費やしていましたが、その時間をリアルタイムでフィードバックする時間としました。

新たに導入した制度が「パフォーマンス アチーブメント」です。

  • 優先順位の明確化:
    上司と部下が頻繁に話し合い、優先順位を明確化。方向性が正しいかを確認する。
  • 継続的なフィードバック:
    部下を評価するのではなく、コーチングすることによって部下の成長を促す。
  • 将来に向けての議論:
    部下の成長やキャリアアップを支援するための議論
  • ランクをつけない

ノーレイティングの土台となるパフォーマンスマネジメントについて

ノーレイティングはパフォーマンスマネジメントの1カテゴリーです。

パフォーマンスマネジメントとは、従業員に対して効果的なフィードバックをし、目標の達成を目指すとともにパフォーマンスの向上を促す取り組みです。

ビジネス環境において、変化のスピードはとても速く、これに対応していくためには従来のマネジメント法では間に合わなくなり、パフォーマンスマネジメントが注目されるようになりました。

パフォーマンスマネジメントを支援するコチームで、支援してきた企業事例2選

Merone

株式会社Meroneは女性の自立支援をしている会社です。組織体制は代表の森川さん、役員の清水さん、業務委託の講師(結果を出している生徒たち)という3段構成になっています。

Meroneでは、講師のマネジメント能力の向上・講師の業務の広範囲化という課題があったため、評価制度の見直しをすることにしました。

評価制度設計の流れ

  1. Merone内部でMVVを作成
  2. 森川さんと清水さんが成果を出すために必要なコンピテンシーを言語化
  3. 元々あった行動・成果指標に加えて、MVVとコンピテンシーも評価指標として設ける
  4. 1on1を3カ月に1回から2週間~1カ月に1回に変更

Co:TEAMの活用法は以下の通りです。

  • これまでエクセルで管理していたOKRをCo:TEAMの目標管理として落とし込み、進捗を1on1の際に確認
  • 新規導入項目の「バリュー評価」を自動アジェンダ設定にし、1on1で必ず確認できる

上記の結果として、1on1を効率的に行えるようになり、メンバーの成約率も大幅に上がりました。

Merone様の成果

テトラcoco

一般社団法人テトラcocoは生きにくさを感じている子供を支援する団体です。

テトラcocoではある時、離職が多くなり原因がわからなくて困っていました。考えた結果、代表の藤井さんはその原因は評価制度にあるのではないかと思い、評価制度を改善することにしました。改善したものの、上手く評価が回らずに悩んでいたところにCo:TEAMと出会いました。

その後導入した内容は以下です。

  • 等級表の定義の見直し
  • バリュー評価の導入
  • 上記2つをコチームに格納し、1on1や評価の時に確認できるようにした

また、藤井さんはエビデンスを集めた人事評価をしたかったため、以下の点を改善しました。

  • 1on1のアジェンダを評価に関する自動設定にすることで情報を簡単に集められるようにした
  • 具体的な行動や思考プロセスを言語化してもらうことで、客観に近づけて評価できるようにした

上記の結果として、上司と部下のコミュニケーションが増え、さらに、1on1の中で目標やバリューの話をすることが自然に増え、問題を解決できるようになりました。

ノーレイティングを導入する前にするべきこと

導入する目的の周知

年に1回の年次評価から定期的な1on1が必要なノーレイティングに移行すると、管理職だけでなく一般社員の負担も増えます。1on1をする時間、準備する時間はもちろん、人によっては上司との面談による精神的負担などもあるかもしれません。

目的を周知させなければ何のために負担が増えるのかがわからず、現場の混乱を招くだけで終わってしまう可能性もあります。

管理職のマネジメントスキルの強化

ノーレイティングは一般的に管理職の力量次第の評価となるため、負担が特に大きくなります。フィードバックの中から評価が行われるので、部下の悩みに対する適切な回答など高度なマネジメントスキルが必須です。

スキルがなければ信頼関係を構築することはできず、ノーレイティングは失敗となってしまうでしょう。成功させるためにもコーチングスキルの強化やマネジメント研修は必要です。

管理職への権限委託

ノーレイティングを導入した場合、1on1の相手をしたり部下を評価したりするのは上司です。

その上司に、ある程度給料や賞与の決定権を渡しておく必要があります。日頃関わるのは上司なのに実際評価をするのが異なる人では、評価に納得感を得られません。

まとめ|目標管理を評価につなげられるCo:TEAM(コチーム)

「ノーレイティング」とは数値やランク付けを用いずに評価する新しい評価方法のことです。よく誤解されますが、評価しないということではありません

従来の評価制度は莫大な時間がかかっていた上に、従業員はその評価に納得していませんでした。納得していなかっただけではなく、不要な争いまで引き起こしていました。

ノーレイティングを取り入れることによって、これまでより頻繁なフィードバックがもらえるようになりました。また、過去のことではなく現在のことを評価できるようになりました。

ノーレイティングは離職率の低下に繋がる良い評価方法ではありますが、全ての企業に合うわけではありません。導入前にはよく検討し、受け入れ体制が整ってから導入するようにしましょう。

Co:TEAMにはノーレイティングを導入する際に必要な1on1を支援する様々な機能が搭載されています。1on1実施画面では目標の確認ができるため、ひとりひとりに合った1on1の実施が可能です。さらに、ログを残すこともできるので評価する際の資料としても活用できます。

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