ビジネスの市場において競争が激化する近代では、店舗や企業が売上を確保し、リピートに繋げることが重要と言われています。そのためにも、顧客満足度を測定する”CS”(CustomerSatisfaction)の向上を目指すことは重要な第一歩です。また、顧客満足度を上げることによってはクレーム対策にも繋がるため、企業のポジティブな印象を高めることができるという関係性もあります。
本記事では、自社に合った顧客満足度の向上のための目標を設定、達成するためにまず何をするべきか、どういったKPIを設定すればよいかなど、事例をもとにステップを追って具体的に解説します。
後半では、目標設定の際に使える基本的なフレームワークであるSMARTの法則をベースとした考え方や、顧客満足度の指標となるNPS(NetPromoterScore)、CSI(CustomerSatisfactionIndex)、JC、CES、JCSI、LTVそれぞれの意味の紹介と、適切な活用方法もまとめてあります。
目次
企業にとってCS(顧客満足度)向上が重要とされる理由とは?
企業経営においては、年々CS(顧客満足度)の向上が注目されるようになってきています。
近年では、ネット社会の発達も急速に進んでおり、顧客の選択肢が増え、企業間競争がより激化しています。その最中で企業数自体も増加しており、異業種参入や多角化、グローバル化も進んでいます。そのような激しい競争の中で、自社の商品・サービスを利用してもらうためには、顧客満足度の向上が不可欠となっています。
この章では、時代の変化に伴って発生している3つの理由について解説していきます。
サブスクリプション型が主流になっている
一つ目の理由は、時代の急速な変化と共にサブスクリプション型の体験が人気となったからです。
もともと、商品やサービスは「買い切り型」つまり買ったものには使用期限かあり、再び同じ体験をするには再購入が必要であるのが当たり前でした。
しかし、インターネットの普及や発達により、「サブスクリプション」というシステムが誕生しました。サブスクリプションとは、「サブスク」とも訳されており、月額や年額といった定額料金を支払うことで一定期間、商品やサービスを利用できる仕組みのことです。
従来のように毎回購入するタイプとは異なり、サービスの利用料金のような位置づけになります。解約されるまで自動的にメンバーシップが更新されるものが多く、サブスクリプション型ではないサービスから流入した会員を継続的に顧客として確保することができます。
例えば、月額料金を支払うことで1カ月間コンテンツが見放題になる動画配信サービスのサブスクなどがあります。サブスクサービスは、動画や音楽などの配信系サービスに限らず、美容や健康サービス、さらにはコンタクトレンズや野菜などの商品購入にまで導入されています。
その環境下においては、継続契約するリピーターをいかに増やせるかが重要となります。リピート率を上げるためには、お客様が体験を通じて「またここで買いたい」と思えるかが、分かれ道となるのです。
ロイヤルカスタマーの重要性の向上
二つ目の理由は「ロイヤルカスタマー」つまり商品やサービス、企業、ブランドに対して愛着や信頼を持っている顧客がいるかどうかが、売り上げを安定させるためには重要だからです。
企業の売上は、必ずしも新規顧客ばかりでできているわけではありません。そこにはロイヤルカスタマーの存在があり、平均的に売り上げの2割はロイヤルカスタマーによって安定して支えられていると言われています。競合他社ではなく自社の商品やサービスに愛着を持ち、比較検討を行うより先に購買行動に繋げてくれるため、貴重な存在でもあります。
また、SNS時代となった今ではロイヤルカスタマーによる発信も行われるようになってきました。ブランドへの愛着・忠誠心の強いロイヤルカスタマーが、SNS等で自社の好意的な評価を広めてくれることは、企業にとっては最も効率的な宣伝ともなり、大きなメリットです。
そのため、現代の企業にとってロイヤルカスタマーを獲得し、育成することの重要度が高まっています。ロイヤルカスタマーの獲得には、顧客の期待値を超えるメリットを提供する必要があり、CS(顧客満足度)向上の取り組みは必須と言えるでしょう。
口コミが広がりやすくなった
三つ目の理由は、SNSの普及により好評も悪評も、拡散される時代となったからです。
現代はSNSが普及し、誰もが気軽に情報収集・発信できる時代です。SNSユーザーは、注目している商品の使用感や感想のなかでもよりリアルなものを求めているため、購入前に検索したり、また誰かのおすすめに興味を抱きます。そのため、好意的な評価の声が多く発信されれば、宣伝広告効果は絶大です。
しかしその反面、ネガティブなコメントや感想も注目されがちです。SNS上で悪評が増えれば、売上の低下はもとより企業イメージにも影響しかねません。SNSにおけるネガティブな内容の拡散性は極めて高いため、好意的な口コミを増やす施策の重要性が増しています。
CS(顧客満足度)の向上は、お客様が企業のサービスに接する一番最初のステップで決まるため、ユーザーに好感度を与えられるかどうかに直接的に影響しています。時代に合った価値提供を行う為にも、CS(顧客満足度)はより重要度を増してきているとされています。
CS(顧客満足度)向上の目標を達成するための手順
CS(顧客満足度)向上の施策を講じたとしても、いきなり目標達成に到達するわけではありません。目標達成には、適切な手順を踏みつつ メンバー個別の小さな課題をひとつひとつ解決していく必要があります。
ここでは目標達成に向けた手順を、4つのステップに分けてご紹介します。
1.顧客満足度の定義を社内で統一
CS向上の目標設定のためには、まず自社が目指す顧客満足度向上の定義を明確にし、社内で意見統一しておく必要があります。これは、組織で足並みを揃えて顧客満足向上に取り組むために重要であるだけでなく、満足度調査を行う際にも必須の条件です。
CS(顧客満足度)と一言でまとめてしまうと抽象度が高くなってしまい、メンバーそれぞれのCS(顧客満足度)の認識の違いにより目指すものがバラバラになりやすいからです。後述しますが、CS(顧客満足度)を測定するための各調査指標は、それぞれの対象が異なるため、目的に合わない指標をもとにCS向上の施策を講じても、狙った通りの効果を上げることはできません。
そのため、課題解決につながるかどうかを意識した適切な指標を選択するためにも、顧客満足度をどう捉えるかについての定義付けと、その理解・共有がとても重要です。
2.現在の課題の把握
次に、現在の状況を客観的に知り、課題を洗い出しましょう。
課題の把握には、WEBアンケート調査やインタビューなどを有効活用するのがおすすめです。顧客が抱える不満やニーズを掴むことができれば、そこから顧客の期待値や潜在的なニーズを測ることもできるでしょう。
ただし、このとき「衛生要因」と「動機付け要因」は区別して考えましょう。
「衛生要因」とは、不満に関わる要因です。これは、顧客にとっての「当たり前」が満たされない場合に悪化しますが、たとえ満たされたとて、直ちに満足度が上がるわけではありません。
例えば「何度電話しても担当者に繋がらない」「発注した商品が納期に間に合わない」などが当てはまります。
「動機付け要因」とは、満足感に関わる要因です。これは、期待していた以上のサポートや成果が得られたときに向上しますが、満たされなくても直ちに不満につながるわけではありません。
例えば「カスタマーサクセスが想像以上に親身になってくれた」「平均以上のサービスを受けられた」などが当てはまります。
満足・不満足に関わるこの2つには密接な関係性があり、不満にまつわる「衛生要因」が満たされていない状態では、満足にまつわる「動機付け要因」をいかに強化しても、大きな効果は得られません。これは、この2つが逆の場合も同じです。
そのため、課題整理のためには、自社の製品やサービスにおける「衛生要因」「動機付け要因」が何に当たるのかを分析し、正確に把握しておく必要があります。
3.具体的な指標や数値目標の設定
自社の課題が把握できたら、調査目的を検討し、目指すべき具体的な指標や数値目標を設定します。
ステップ1でも説明した通り、各調査指標の計測対象はそれぞれ異なります。そのため、課題解決を実現するために何を調査すべきかを検討し、自社の「顧客満足」の定義に照らして絞り込みましょう。調査目的が定まれば、どの指標を用いればよいのかも見えてきます。
使用する指標が決まったら、その指標の基準値を参考に、調査の数値目標を設定してください。
顧客満足度は、顧客のそのときの感情に影響を受ける、比較的曖昧なものです。そのため、数値化された具体的な目標を設定することで、次のアクションに結びつきやすくなるでしょう。
4.評価と改善をする
調査結果をもとに顧客満足度向上の施策をまとめたら、速やかに実行しましょう。
施策は、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルに基づいて取り組んでください。何度もPDCAサイクルを回すなかでそれぞれの従業員のの達成度合いが明確になれば、仕事のモチベーションにもつながります。
設定された期間が完了した後には、取り組みについて評価を行います。評価を行う際にも、数値目標に対しては数値での結果算出を行い、達成度をもとに評価を行います。その達成度合いによって、賞賛やフィードバックを行うのはもちろんのこと、浮き上がった改善点について1on1ミーティングなどを活用して振り返りましょう。
このような目標管理を行い、CS(顧客満足度)向上の目標達成に向けて取り組むことで、顧客サービスの質も向上していくでしょう。
CS(顧客満足度)向上の目標となる指標
次に、CS(顧客満足度)に関連する主な指標を7種類ご紹介します。
指標が決まることによって、現状把握と品質向上のために、定量調査と定性調査によるアプローチを行うことができます。また、顧客満足度を上げて自社のファンを増やせば、売上・業績アップになるので、近年では定期的にこれを調査する企業も増えています。
ただし、顧客満足度と一口に言っても、それぞれ測定できる内容は異なるため、自社や社員個人の課題解決に適したものを選ぶようにしてください。
CSI(Customer Satisfaction Index)
世界約30ヵ国で利用されているCSIは、「Customer Satisfaction Index」の略です。CSIは、その名の通り顧客満足度を測定するための指標となります。
CSI測定では、自社商品に対する関連性が強い質問を複数行い、それらの平均を取って顧客満足度を算出します。データ数が十分にあるほど信頼性の高い結果を得やすいことから、政府機関や大企業の調査などにも用いられています。
質問では、サービスや製品に関する「顧客期待値」「知覚品質」「知覚値」「顧客不満度」「顧客忠実度」の5項目について調査します。これらの項目に対して、「新商品に対するあなたの期待はどれぐらいでしたか」などの質問を0~100点で評価してもらい、平均値を求めます。
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)
JCSIとはCSIを日本国内向けにカスタマイズしたもので、「Japanese Customer Satisfaction Index」の略です。これは、CSIの5項目に「推奨意向(商品を他人に勧めたいか)」を加えた6項目となっています。
JCSIを求める際には、サービスや商品の利用前から利用後にかけた全体を調査分析することで、最初の期待値に対する利用後の評価や、価格への納得感など、顧客の心理的背景を算出することが可能です。また、業界や業種を問わず利用できる点も特長です。
1項目ごとに質問を3~4つ行い、0~100点で評価してもらったのちに平均値を出します。最終的に「JCSI=実際に顧客が感じた価値-事前の期待値」で顧客満足度を求めます。
LTV(Life Time Value)
LTVは「Life Time Value」の3つの頭文字を取ったものです。LTVは顧客が商品・サービスの利用を開始してから終了するまでの間に得られる売上を表します。
LTVが高いほど顧客ロイヤルティが高まる傾向があるため、ロイヤルカスタマーの実数を測る指標としても活用できます。LTVの求め方は、(顧客単価)×(粗利率)×(購買頻度)×(取引期間)-(顧客の獲得・維持コスト)になります。
顧客ロイヤリティを求める目的の通り、長期にわたる消費活動をベースにした数値なので、短期的な目標設定には不向きな点に注意しましょう。
C-SAT(Customer Satisfaction)
C-SATは「Customer Satisfaction」の略で、これも顧客満足度を見る際にもっともよく利用される指標のひとつです。
まず、サービスや商品に対して「非常に満足」「満足」「普通」「不満」「非常に不満」などを、星や数字によって視覚的に評価してもらいます。その上で、(満足と回答した数÷アンケートの全回答数)×100という計算方法でパーセンテージとして算出が可能です。
基本的な計算式は上記のようになっていますが、アンケートに自由記述欄を設け、自社の商品・サービスや課題に沿った形で実施することも可能です。
CRR(Customer Retention Rate)
CRRとは「Customer Retention Rate」の略で、顧客維持率を表す指標です。CRRを算出することで既存の顧客が一定期間にどの程度取引を続けているかがわかるため、スコアが高ければ顧客満足度も高いと考えてよいでしょう。
CRRは、(期間末の顧客数-期間内の新規顧客数)÷期間開始時の顧客数によって測定が可能です。
最低でも毎月測定を続けることで、現状を把握しやすくなるでしょう。
CRRスコアが下がる大きな原因は、商品やサービス自体の品質よりも、問い合わせ時の対応が悪かったなど心理的な要素が大きいとされています。そのため、よい顧客体験を提供できるよう、改善や見直しのきっかけとして活用しましょう。
NPS(Net Promoter Score)
NPSは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤルティを示す指標です。「商品やサービスを人に勧める可能性はどのくらいあるか」などを、11段階で評価してもらう形式です。NPSは他のCS(顧客満足度)指標に比べると、意味や対象が具体化されているため、具体的な回答が得られるのが特徴です。
NPSを使った測定では、「この商品を誰かに推薦・紹介したいか」という質問に対して、11段階で評価してもらうのが基本です。そして0~6点を批判者、7~8点を中立者、9~10点を推奨者、の3つのグループに分けます。最終的に(推奨者の割合)-(批判者の割合)の計算式によってNPSを求めます。
このように、NPSは、LTVとは違う角度から自社の商品や企業自体に対する愛着や忠誠心である「顧客ロイヤリティ」を測定したいときによく用いられる指標です。
CES(Customer Effort Score)
CESとは、「Customer Effort Score」つまり日本語では「顧客努力指数」を意味します。
CESを測定すると、「欲しい商品を探し当てるのが大変だった」「商品の使い方がよくわからない」など、顧客がその商品やサービスを利用する際、どの程度の「努力(負担)」が必要であったかが分かります。CESはC-SATやNPSと同様に「アンケート」を利用してそのスコアを測ります。
質問を「オンラインショッピングで商品を購入するまでのステップで、どの程度ストレスがありましたか?」のように設定し、回答を5段階ほど用意します。(ストレスを感じなかった人の割合)-(ストレスを感じた人の割合)という数式で、スコアの算出ができます。
CESが高ければ顧客の不満が多く、低ければ少ない、つまりロイヤリティが高いと判断できます。
顧客満足度の目標設定で気をつけること・コツ
顧客満足度の目標設定は、数字で結果が評価されやすい営業職やマーケティング職の目標設定と比べて抽象的になりがちです。
そのため、目標設定の有名なフレームワークであるSMARTの法則に含まれる「Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Related(最終目標との関連)、Time-bound(期限)」の5つの中でも、特に具体的かどうか、達成可能かどうかに気を付けるのがポイントです。
また、CS(顧客満足度)という、お客様の状況によっても結果が左右するような業務においては、目標とする数値に幅を持たせることもポイントです。
この章では、お客様対応に関する目標設定において、特に気を付けて欲しい3つのポイントについて、詳しく解説していきます。
具体的で測定可能な目標にする
1つ目のポイントは、なるべく具体的な言葉を使って測定可能な目標を立てることです。これはSMARTの法則のSpecific(具体性)とMeasurable(測定可能)にあたります。
理由としては、目標の内容が抽象的だと、後で振り返った時に今回の活動が良かったのか悪かったのかが判断できなくなってしまい、結果として活動自体が非効率なものになってしまうからです。
目標を設定する際に、「一生懸命取り組む」「頑張る」「粘り強く取り組む」といった抽象的な表現で設定してしまう事があります。しかしこのような目標では、後で振り返った時に目標を達成できたのかどうかを判断する基準がわからず、改善点を見つけることも難しくなってしまいます。
そのため、目標を立てる際には、何を、どのように取り組みたいのかについて具体的に言及する必要があります。
例えば、顧客満足度の向上においては、このような目標設定となります。
「オンラインショッピングでの動線のわかりにくさを改善し、CES数値を10%下げスムーズな購買体験を提供する」
このような目標であれば、「ページデザインの改良について担当者を打ち合わせを行い、早めのアップデートを行う」のように必要なタスクを明確にし、改善後は新たな目標を立てることもできます。
達成可能な目標にする
2つ目のポイントは、目標を達成可能な、現実的な内容に設定することです。SMARTの法則では、Achievable(達成可能)にあたります。
目標を立てる際によくあるミスとして、達成が不可能な目標を立ててしまう事が挙げられます。しかし、達成が不可能な高すぎる数字、難しすぎる目標を設定してしまうと、目標が未達成となった場合に「何が不足していたのか」というポイントが分かりにくくなってしまいます。
例えば、「一年間顧客満足度を上げ続ける」のような目標を立てたとします。
このような目標は状況にもよりますが、「顧客満足度が一度でも下がってしまったらアウト」という制限が発生します。すると、一度でも数値が下がってしまった月が発生することによって既に「未達成」が確定してしまい、その後残された数か月間に目指すべきものを失ってしまいます。
このように、達成が現実的ではない目標を設定してしまうと、未達成で終わってしまうことが多くなります。すると、目標に対して何が足りず、何を改善すべきなのかという根本的な課題への答えがわからなくなってしまい、メンバーの成長や能力強化に繋がりません。また、無理のある数字を追うことで、業務の質が損なわれる可能性があります。
そのため、目標は達成できる範囲で設定するようにしましょう。
達成可能な目標を数字で設定するのが難しく感じる場合には、次に説明するマックス目標×ミニマム目標を設定するのもコツです!
マックス目標とミニマム目標を立てる
3つ目のポイントは、達成したい目標の範囲、つまり振れ幅を設定することです。一つ前の章で説明したように、目標には無理のない範囲であることによって達成までの見通しが立てやすくなるという特徴があります。また、未達成が早期に確定してしまうことによるモチベーションの低下を防ぐ必要があります。
例えば、先ほど掲げた「一年間顧客満足度を上げ続ける」という目標に応用させるとします。この場合はまず「一年後に顧客満足度を○%にしたい」のようなKGIの設定を行い、そのためには「顧客満足度が○%以下になる月を1~3か月の間にとどめる」のようなKPI目標を追加するのが適切です。
このように目標のマックス値を「3か月」、ミニマム値を「1ヵ月」と掲げ、幅を持たせた数値で設定しておけば、目標達成を実現する可能性が残ります。例えば、この設定値で顧客満足度が○%以下となってしまった月が1度発生してしまったとしても、未達成は確定しません。むしろミニマム目標で達成した3か月に増えてしまわいよう、対応チームはモチベーションを維持し、緊張感をもって対応に取り組むことができます。
このように、顧客満足度の数値のような、時にコントロールが難しいテーマに関する目標設定では、マックス目標とミニマム目標を立て、達成と言える結果に幅を持たせるのがよいでしょう。
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顧客満足度の目標設定の例
ここまでは、CS(顧客満足度)の向上における目標設定の重要性や、設定時に気を付けてほしいポイントについてご紹介しました。では、これらのポイントをおさえつつ、実際にどのように目標を設定すればよいのでしょうか?ここでは、目標設定を行う際の一つひとつの手順について説明していきます。
1.顧客満足度の定義を決める
まずは、CS(顧客満足度)の指標のうちどの項目を「顧客満足度」として定義し扱うかを決めます。
今回は、指標の一つであるC-SATは「Customer Satisfaction」を用いて目標設定を行うことを想定して解説します。
C-SATは、サービスや商品に対して「非常に満足」「満足」「普通」「不満」「非常に不満」などを、星や数字によって視覚的に評価してもらいます。その上で、(満足と回答した数÷アンケートの全回答数)×100という計算方法でパーセンテージとして算出する指標です。
目標設定の際に最初にCS(顧客満足度)の定義を固定することによって、その後のプロセスにおける混乱を防ぐことができます。
2.現在の課題の把握をする
まず最初に、CS(顧客満足度)業務の中でも改善したい・成長させたいものを書き出します。
例えば、いくつかのサービスを取り扱っている会社において、ある部門でのCS(顧客満足度)数値だけが低迷しているとします。この場合にはCS(顧客満足度)調査の結果などを参照に改善が必要な項目を洗い出しましょう。
数値が低迷している理由がサービスの制度の問題なのか、カスタマーサービスやアフターフォローの問題なのか、サービスに関わるデザインの問題なのか、この他にもあらゆる可能性について考えることが必要です。
課題の洗い出しには、お客様からの意見やアンケートを参考にしたり、満足度調査の項目別の数値によるリストアップがよいでしょう。リストアップ後は、全ての項目に対して取り掛かるのではなく、まずは上位3つの項目について目標設定まで繋げましょう。なぜなら、一度に全ての項目を改善しようとすると、混乱を招くほか、一つの項目の改善によって生まれる新たな問題や、反対に解決となるポイントに慎重に対応することが必要となるからです。
このように、成長幅があるものを具体的に言語化することにより、現状が把握しやすくなると同時に目標が立てやすくなります。
3.具体的な指標や数値目標の設定をする
最後に、目標を定量的に設定しましょう。定量とは、物事を数量で表すことや、数値的に分析・評価することを指します。
目標設定の際のポイントとして、「測定可能であること」が重要だと説明しました。最後のステップでは、先ほどのステップで挙げた要素をもとに、定量的な目標を掲げていきます。
例えば、C-SATの数値が低迷している部門において、お客様がサービスを契約した後の細かなアフターフォローの評価が低かったとします。アフターフォローの評価を上げるために取り組めることには、以下のような項目が挙げられます。
- ウェブサイトの情報の見やすさ改善
- 気軽に質問ができる態勢であることのお客様への周知
- お客様へのこまめな状況確認
このような課題に対して定量的に立てる目標としては、「お客様がサービスを契約した一週間後、一か月後のタイミングでこちらからコンタクトを取り、不明点が無いか確認する」のように、具体的で測定可能な目標を立てましょう。
このように、成長させたい課題の要点を絞り、それに対して定量的な目標を立てることで、達成のために取り組むべきことが何かが明確になります。また、人事評価の際にはこの目標達成率が指標となります。定量的に目標設定を行うことで、達成率が数字で算出できるため、より公平性のある評価が可能になります。
まとめ
この記事では、どうしても抽象的になりがちな、CS(顧客満足度)に関する目標設定について解説しました。顧客がサービスや商品の利用によって直接感じた印象は、やがて企業の業績を左右する要素の一つでもあります。特にコミュニケーションを用いてサービスや商品の販売によって購買体験を提供している場合においては、その体験が唯一の企業との接点となるため、力を入れて数値を追っていくことで成果に繋がります。
しかし、CS(顧客満足度)の向上は営業職やマーケティング職に比べて定量的に把握することが難しく、目標管理も難しいと感じてしまう人も多いかもしれまでん。しかし、ここに書かれているようにデータを活用することによって具体的な設定も可能になります。
特に、競合他社が増え続ける中でも、自社のロイヤルカスタマーであるリピーターをどれだけ先着的に獲得できるかは、情報社会における現代のビジネス戦略の視点でも特に注目されている課題です。そのため、厳しい競争を勝ち残るためにも、明確な目的を持った目標管理プランや、目標に見合った効果的な施策の実施ができるかが重要になってきています。
この記事で紹介したフレームワークを用いた目標設定の取り組みや、NPSやCESなどの指標の項目を使った現状の分析の導入によって、適切な目標設定ができているかを見直し、結果に繋がる組織のメンバー育成に取り組んでみてください!
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