SBIフィードバックとは?例文とNG例で伝え方を解説

▼ この記事の内容

SBIフィードバックは、状況・行動・影響の順に事実を伝え、主観的な指摘を対話に変える手法です。例文とNG例を押さえると、1on1や評価面談で部下と次の行動を合意しやすくなります。

SBIフィードバックは、Situation、Behavior、Impactの3要素に分けて伝える手法です。場面、行動、影響を切り分けることで、部下への指摘を主観ではなく事実ベースの対話に変えやすくなります。

一方で、言い方を間違えると、相手は改善点ではなく責められた印象に反応します。人事が例文だけを配っても、現場のマネージャーごとに観察粒度や伝え方がばらつく状態は残ります。

本記事では、SBIフィードバックの定義、場面別の例文、NG表現の直し方、1on1や評価面談での使い方を整理します。部下に伝わる言葉へ落とし込み、組織で再現しやすい運用条件まで確認できます。

読み終えるころには、SBIを単なる話法ではなく、次の行動合意につなげるフィードバックの型として使えるはずです。


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SBIフィードバックとは何か

SBIフィードバックとは、状況、行動、影響の順に分けて伝えるフィードバック手法です。主観的な評価を先に置かず、相手が確認できる事実から話すため、1on1や評価面談で対話を始めやすくします。

SBIは状況・行動・影響の3要素で伝える

SBIフィードバックは、Situation、Behavior、Impactを順に伝える型です。いつどこで、何が起き、その行動が何に影響したかを分けて話します。

Center for Creative Leadershipの2024年ホワイトペーパー「Models for the Development of Leadership」では、SBIは状況を明確にし、観察された行動を説明し、その行動が与えた影響を伝える手法として紹介されています。

日本語では、場面、行動、影響の3点に分けると理解しやすくなります。

【専門家の見解】

国内の1on1でSBIを使う場合、英語の略語を先に説明するより、場面、行動、影響という日本語に置き換えるほうが実務に定着します。人事がマネージャー研修で扱うなら、最初は短い日本語の型として教えるのが有効です。

3要素は、次のように切り分けます。称賛でも改善指摘でも、最初に場面をそろえると、受け手は同じ出来事を思い出しやすくなります。

要素 伝える内容 避けたい言い方
Situation いつ、どこで、どの場面か 最近、いつも、なんとなく
Behavior 観察できた発言や行動 やる気がない、雑です
Impact 業務、相手、チームへの影響 迷惑です、困ります

表の要点は、評価語を減らして確認できる事実を増やすことです。フィードバック全体の目的や基本整理は、ビジネスで使うフィードバックの基本も合わせて確認すると理解が深まります。

参考:Leadership Models for Development|Center for Creative Leadership

Situationは相手が思い出せる場面まで絞る

Situationは、相手が同じ場面を思い出せる粒度まで具体化します。最近の会議ではなく、火曜の定例会議の決裁確認の場面まで絞ります。

場面が曖昧なまま話すと、相手は自分の記憶と照合できません。その結果、指摘の内容ではなく、言われ方への反論が先に出ます。

営業マネージャーなら、先週の商談ではなく、5月20日のA社提案後の質疑応答と伝えます。人事面談なら、上期評価面談の目標進捗確認の場面と伝えると、会話の対象がそろいます。

一方で、時系列を細かく並べすぎると、責任追及の印象が強まります。Situationは出来事を特定するために使い、相手を追い込む材料として使わないことが有効です。

Behaviorは性格ではなく観察できた行動に絞る

Behaviorでは、性格や意図を断定せず、観察できた行動だけを扱います。やる気がないではなく、会議中に発言がなく、確認依頼にも返答がなかったと伝えます。

行動と解釈が混ざると、相手は改善すべき動作を理解できません。主体性がないという表現は、発言回数、準備資料、確認行動などに分解して伝える必要があります。

部下への改善指摘では、遅い、雑、消極的といった評価語を避けます。代わりに、提出期限を2営業日過ぎた、資料の数値根拠が未記載だった、質問が出なかったと話します。

意図を確認したい場合は、Behaviorの中で断定しません。事実を共有した後で、どのような事情があったかを質問として分けると、相手の説明を聞く余地が残ります。

Impactは責任追及ではなく影響の共有にする

Impactは、相手を責める言葉ではなく、行動が業務やチームに与えた影響を共有する要素です。顧客対応、納期、周囲の準備に起きた変化を短く伝えます。

ネガティブフィードバックでは、影響を強く言いすぎると脅しに聞こえます。あなたのせいで迷惑がかかったではなく、確認が翌日にずれ、提案書の修正時間が短くなったと伝えます。

反発が起きる不安がある場合ほど、Impactは具体的な業務影響に限定します。50名規模の部署なら、顧客、上司、同僚、評価者のどこに影響したかを1つに絞ると話が散らばりません。

SBIの目的は、過去の行動を裁くことではなく、次に変える行動を合意することです。影響を共有できたら、実際の言い方や例文に移ると、面談で使える表現に落とし込めます。

SBIの使い方と例文

SBIは、称賛、改善指摘、評価面談のどれでも同じ順番で使います。場面をそろえ、観察できた行動を伝え、業務への影響を短く共有すると、次の行動確認へ進めます。

基本例文は「場面・行動・影響」の順に短く話す

SBIの基本例文は、場面、観察できた行動、業務への影響を1文ずつ分けます。前置きを長くせず、3文で話すと焦点がそろいます。

本記事では、称賛、改善指摘、評価面談に転用できる4点の型を「コチーム式SBI例文テンプレート」と呼びます。これは、場面を示す、行動を述べる、影響を共有する、次の確認を置く、という順番で発話を整理するための用語です。

用途 良い例 避けたい例 言い換え例
称賛 昨日の定例会議で、先に論点を整理してくれました。議論が早く進みました。 いつも助かります。 会議前の整理が、意思決定の時間短縮につながりました。
改善指摘 月曜の提出資料で、数値根拠が未記載でした。確認作業が翌日にずれました。 資料が雑です。 根拠欄を埋めると、確認者が判断しやすくなります。
評価面談 上期の重点案件で、顧客確認を毎週続けました。提案の修正が早まりました。 主体性がありました。 継続した確認行動を、次期も重点行動として扱います。

表の要点は、評価語を減らし、相手が再現できる行動に置き換えることです。基本形を押さえると、称賛でも改善指摘でも同じ順番で話せます。

称賛では成果ではなく再現したい行動を伝える

称賛でSBIを使う場合は、成果そのものより、再現してほしい行動を伝えます。何が良かったのかを行動で示すと、部下は次も同じ行動を選びやすくなります。

営業チームなら、受注できて良かったです、だけでは学習につながりません。水曜の商談で、顧客の懸念を先に確認したため、提案内容をその場で修正できました、と伝えます。

褒め言葉だけで終えると、受け手は何を続けるべきか判断できません。称賛では、成果、能力、人柄の順ではなく、場面、行動、影響の順で話すのが有効です。

改善指摘では人格評価を混ぜない

改善指摘では、だらしない、主体性がない、配慮が足りないなどの人格評価を混ぜません。観察できた行動と業務への影響に限定すると、相手は修正点を理解できます。

部下に厳しい内容を伝える場面では、関係悪化を避けたい不安が出ます。その場合ほど、昨日の顧客返信が翌営業日になったため、先方確認が1日遅れました、のように事実と影響を分けます。

緊急のコンプライアンス問題やハラスメントは、SBIだけで処理しません。SBIは日常の行動改善に使い、重大な規律違反は社内ルールに沿って別の手続きで扱います。

評価面談では根拠提示から次の行動合意へ進める

評価面談でSBIを使う場合は、評価理由の説明で終えず、次に改善または継続する行動まで合意します。根拠を具体化すると、評価への納得感を支えます。

人事評価では、半年分の印象をまとめて伝えると、受け手は反論しにくくなります。上期の案件レビューで、週次の進捗共有を続けたことが、関係部署の準備時間を確保しました、のように日常の行動へ戻します。

評価基準が曖昧なままSBIを使っても、納得感は生まれにくいです。評価面談の進め方や根拠提示を整理したい場合は、評価面談で根拠を伝える進め方も合わせて確認すると、次のNG例を避けやすくなります。

SBIで避けたいNG例

SBIは型どおりに話しても、場面が曖昧なままでは相手の納得につながりません。行動に解釈が混じり、影響が責める言葉になると、部下は改善点より防衛を優先します。

「最近いつも」はSituationが曖昧なNG例

最近いつも、という言い方はSituationを特定できず、相手の記憶と照合できません。継続傾向を伝える場合も、代表場面を先に示します。

NG例は、最近いつも会議で発言が少ないです、という伝え方です。修正版は、今週火曜の定例会議で、A社の論点確認時に発言がありませんでした、と場面を絞ります。

本記事では、NG表現をSituation、Behavior、Impactに分けて直す方法を、コチーム式SBI修正表として整理します。どこが曖昧かを見分けると、次のBehaviorの修正にも進めます。

要素 NG例 修正版
Situation 最近いつも 今週火曜の定例会議で
Behavior やる気がない 確認依頼への返信が翌営業日になった
Impact 迷惑がかかる 顧客への回答が1日遅れた

「やる気がない」はBehaviorに解釈が混じる

やる気がない、という言い方はBehaviorではなく、相手の内面への解釈です。SBIでは、観察できた発言、提出物、返信、行動だけを扱います。

NG例は、今回の資料はやる気がないように見えました、という伝え方です。修正版は、月曜提出の資料で、数値根拠の欄が3か所空欄でした、と確認できる行動に変えます。

意図を確認したい場合は、Behaviorの中で断定しません。資料作成で迷った点はありましたか、と質問に分けると、相手の説明を聞いたうえで改善行動を決められます。

「迷惑がかかる」はImpactが責めに聞こえる

迷惑がかかる、というImpactは抽象的で、相手には責める言葉として届きます。顧客対応、チーム連携、納期など、具体的な業務影響に言い換えます。

NG例は、あなたのせいで周りに迷惑がかかっています、という伝え方です。修正版は、確認が翌日になり、提案書の修正時間が半日短くなりました、と影響を限定します。

影響を大きく言いすぎると、相手の尊厳を傷つけます。部署内で伝えるなら、顧客、上司、同僚、納期のうち、実際に起きた影響を1つに絞るのが有効です。

SBIだけで終えず相手の認識を確認する

ネガティブフィードバックでは、SBIの後に相手の認識確認を入れます。事実と影響を共有したうえで、本人の受け止めと事情を確認します。

NG例は、今後は気をつけてください、で終える伝え方です。修正版は、ここまでの事実認識に違いはありますか、次回はどの行動を変えますか、と確認を分けます。

SBIIではIntent、つまり意図の確認を加える考え方があります。反論を封じる質問ではなく、1on1で相手の認識を聞く問いにすると、次の行動合意へ進めます。

1on1でSBIを運用する方法

1on1でSBIを使うには、面談中の言い方だけでなく、事前メモ、認識確認、次アクション記録まで設計します。単発の指摘で終えず、目標や次回面談に接続すると、行動改善を継続できます。

1on1前にSBIメモを作る

1on1前のSBIメモは、状況、行動、影響を短く分けて書く準備です。面談前に論点を整理すると、指摘が感情的な言い方に寄りにくくなります。

本記事では、1on1前に使う整理項目を、コチーム式SBIメモと呼びます。項目は、場面、観察行動、業務影響、確認したい事情、次に合意したい行動の5つです。

  • 場面: いつ、どの会議や業務で起きたか
  • 観察行動: 実際に見聞きした発言、提出物、返信、行動
  • 業務影響: 顧客、チーム、納期、目標進捗への影響
  • 確認質問: 本人の認識や事情を聞く問い
  • 次アクション: 次回までに変える行動

メモは読み上げる台本ではなく、対話の焦点をそろえる補助として使います。1on1の記録設計を見直したい場合は、面談メモを育成に活かす考え方も合わせて確認すると、次の面談中の確認に進めます。

面談中はSBIの後に相手の意図を確認する

面談中は、SBIで事実と影響を共有した後に、相手の受け止めと事情を確認します。上司の見立てだけで終えると、部下は改善点より反論を優先します。

よくある言い方は、ここまでの認識に違いはありますか、という確認です。続けて、そのとき何を優先していましたか、と聞くと、意図と行動のずれを分けて扱えます。

ただし、意図確認を詰問調にすると、SBIの効果は下がります。人事がマネージャーへ展開する場合は、質問を責任追及ではなく、次の行動合意のために使うと明示します。

次アクションは部下の言葉で合意する

SBIの最後は、上司の指示だけで終えず、部下自身が次に変える行動を言語化します。本人の言葉で合意すると、次回1on1で振り返る対象が明確になります。

たとえば、次回の顧客返信では期限と確認先を先に共有します、という形にします。上司は、その行動が業務基準を満たすかを確認し、曖昧な表現を具体化します。

緊急性が高い業務では、部下の言葉だけに任せません。顧客対応や法令に関わる場面では、上司が最低基準を示したうえで、本人が実行手順を言語化します。

継続フォローは記録と目標に接続する

SBIを単発の指摘で終えないためには、1on1記録、目標、評価材料を接続します。前回の合意行動を次回面談で確認できる状態にすると、改善が継続します。

1on1が記憶頼みになると、マネージャーごとに確認の粒度がばらつきます。前回のSBI、合意した次アクション、目標への影響を残すと、人事も運用状況を確認できます。

記録が監視に見えると、部下は本音を話しにくくなります。1on1の質を組織として安定させたい方は、記録と目標をつなぐ運用資料もご確認いただけます。


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人事が組織に展開する条件

人事がSBIを組織に展開する場合、例文配布だけでは不十分です。評価基準、1on1記録、マネージャー育成、心理的安全性を合わせて設計すると、現場で使われる型になります。

例文配布だけではマネージャーの癖はそろわない

例文を配るだけでは、マネージャーごとの観察粒度や伝え方の癖まではそろいません。SBIの3要素を知っていても、実際の面談では場面の絞り方や影響の伝え方に差が出ます。

人事が確認すべき項目を、本記事では「FAZOM式SBI運用チェック」と呼びます。チェック対象は、Situationの具体性、Behaviorの観察可能性、Impactの業務接続、認識確認の有無です。

小規模組織では、共通テンプレートの配布から始める方法も有効です。ただし、研修や1on1レビューで実際の発話を確認しなければ、マネージャーごとの癖は残ります。

評価基準と1on1記録をつなげる

SBIを評価面談に活かすには、日常の1on1記録と評価基準をつなげます。評価時だけ根拠を探すのではなく、日常の行動と目標への影響を後から確認できる状態にします。

記録が評価の粗探しに見える運用は避けます。1on1の内容を評価へどうつなげるか整理したい場合は、1on1と公平な人事評価の関係も参考になります。

評価基準と記録がつながると、上司の印象だけで評価を語る場面を減らせます。人事は、SBIの記録を評価のためだけでなく、育成の継続材料として扱う設計が必要です。

心理的安全性が低い組織では先に対話の前提を整える

心理的安全性が低い組織では、SBIの型を入れる前に、反論や相談を受け止める対話の前提を整えます。型だけを導入すると、部下は事実確認ではなく評価への防衛として受け取ります。

ハラスメントや重大な規律違反は、SBIとは別のプロセスで扱います。1on1で対話を続ける前提を整えたい場合は、1on1と心理的安全性の関係も参考になります。

マネージャーごとの対話品質のばらつきが残ると、SBIの運用も個人の経験に依存します。ばらつきを減らし、1on1と評価をつなげたい方は、以下の関連資料をご確認いただけます。

関連論点まで合わせて整理すると、次の判断に移りやすくなります。 ネガティブフィードバック 伝え方も参考になります。

よくある質問

SBIフィードバックとサンドイッチ型の違いは何ですか

SBIフィードバックは、状況・行動・影響を事実ベースで伝える型です。サンドイッチ型は肯定的な言葉で指摘を挟む構成で、焦点は伝える順番にあります。具体的な進め方は組織の現状に応じて調整します。

SBIはネガティブフィードバックだけに使う手法ですか

SBIはネガティブフィードバックだけでなく、称賛にも使えます。成果だけを褒めるのではなく、再現してほしい行動と影響を伝えると学習につながります。まずは現状の課題を整理することから始めます。

SBIを使っても部下が反発する場合はどうしますか

まず事実認識にずれがないか確認します。SBIで伝えた後に本人の受け止めや事情を聞き、次に変える行動を一緒に具体化することが重要です。定着には週次での振り返りが効果的です。

まとめ

SBIフィードバックは、部下を責めるための話法ではなく、事実を共有して次の行動を合意するための型です。場面、行動、影響を分けると、称賛でも改善指摘でも相手が受け止めやすい言葉に変えられます。

ただし、例文を覚えるだけでは、1on1や評価面談での運用は安定しません。マネージャーごとのばらつきを放置しないために、記録、目標、評価基準までつなげて設計することが重要です。

フィードバックを1on1の運用に落とし込みたい方は、実践ガイドをご活用ください。


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