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テレワーク下で再注目を集めるGoogle発「心理的安全性」とは?

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テレワーク下で再注目を集めるGoogle発「心理的安全性」とは?

見出し

  • 心理的安全性とは
  • Google社における心理的安全性
  • チームの心理的安全性を高める方法
  • 組織やチームマネジメントのあるべき姿
  • 職場のリモートハラスメントに注意
  • まとめ

新型コロナウィルスの影響で増えるテレワーク(リモートワーク)において、コミュニケーションの問題が囁かれており、最近ではリモートハラスメントという言葉も話題となっています。

しかし、Googleの研究によればチームの効果性に関係のない因子の1つとして「チームメンバーの働き場所(同じオフィスで近くに座り働くこと)」が挙げられています。では、何が1番チームの効果性に影響を与えるのかと言うと、それが心理的安全性です。チームの効果性においてテレワーク自体に弊害があるのではなく、テレワーク下のコミュニケーションに問題があると捉えて改善していく必要がありそうです。

心理的安全性とは

心理的安全性は1999年にハーバードビジネススクール教授のエイミー・C・エドモンドソン氏によって提唱された概念で、エドモンドソン氏は心理的安全性の定義を「対人関係においてリスクのある行動をしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」としています。チームがこの概念に当てはまる状態なのかを確認するためには下の7つの質問をチームのメンバーに尋ねてみてください。(当てはまらない〜当てはまるまで数段階に分けて、どの程度当てはまらないかを確認してみてください。)

  1. チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
  2. チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
  3. チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  4. チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
  5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  6. チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  7. チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

Google社における心理的安全性

グーグル社では効果的なチームとは何かを探るためにピープルアナリティクスチームが研究を行いました。その際に最重要項目として挙がったのが心理的安全性でした。これを公表したことを契機に多くの企業が心理的安全性に興味を示すようになりました。

Google社での心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。

マネージャーがチームの心理的安全性と生産性を高める方法

Google社がエドモンドソン氏らの文献よりまとめた心理的安全性を高める方法が以下の内容となっています。

①積極的な姿勢を示す

  • 「今」を大切にし、目の前の会話に集中する(例: 会議中はノートパソコンを閉じる)
  • チームメンバーから学ぼうという意欲を持って質問をする
  • 自分の意見を述べる、対話的なコミュニケーションを心がける、傾聴の姿勢を示す
  • 積極的な姿勢を示すため、返答するときは言葉で返す(例: 「なるほど。詳しく説明してもらえますか?」)
  • 体の動きや仕草に注意する。話を聞くときは少し体を乗り出すようにするか、相手の方に顔を向ける
  • 会話の当事者として積極的に話を聞いていることを示すため、相手と目を合わせる

②理解していることを示す

  • 互いの理解が一致していることを確認するため、相手の発言内容を要約する(例: 「あなたがおっしゃったのは…ということですね?」)。その後で、同意できる点、できない点を示し、グループ内で率直に意見を交わす
  • 話の内容を理解したことを言葉で示す(例: 「なるほど」「おっしゃることはわかります」)
  • 責めを負わせるような言い方(例: 「なぜそのようなことをしたのですか?」)はせず、解決策に焦点を当てる(例: 「この作業をよりスムーズに進めるためにできることを考えましょう」「次に備えた行動計画を立てるため、皆で協力しましょう」)
  • 気づかぬうちに否定的な表情(苦い顔や不愉快そうな顔)を浮かべていないか注意する
  • 会話中や会議では、話を聞いていることを示すためにうなずく

③対人関係において相手を受け入れる姿勢を示す

  • 自分の仕事の進め方や好みをチームメンバーに伝え、チームメンバーにも同じように自身のやり方を皆に伝えるよう促す
  • チームメンバーのために時間を割く、友好的な態度を示す(例: 1 対 1 の定例外の会話、意見交換、キャリアに関するコーチングのための時間を作る)
  • 定期的な 1 対 1 の打ち合わせやチーム会議とは別に定例外の会議を開く場合は、会議の目的を明確に伝える
  • チームメンバーの貢献に対して感謝の意を示す
  • チームメンバーが他のメンバーについて否定的な言葉を口にしたときは間に入る
  • 相手に対して開かれた姿勢を取る(チームメンバー全員に顔を向ける。誰かに背中を向けることはしない)
  • チームメンバーと親密な関係を築く(例: チームメンバーと仕事以外の話をする)

④意思決定において相手を受け入れる姿勢を示す

  • チームメンバーに意見やフィードバックを求める
  • 人の話を妨げない。妨げようとする人をたしなめる(例: 人の話を妨げようとする人がいたら間に入り、元の発言者に話を続けさせる)
  • 意思決定の背後にある根拠を説明する(対面またはメールで、その結論に達した経緯を詳しく説明する)
  • 他のチームメンバーの貢献を認める(例: チームメンバーが成功や意思決定に貢献した場合は、その事実に言及する)

⑤強情にならない範囲で自信や信念を持つ

  • チーム ディスカッションをコントロールする(例: チーム会議での雑談を認めない、意見の対立が個人間の対立に発展しないようにする)
  • チームメンバー全員が聴き取れるよう明瞭に発声する
  • チームをサポートする、チームを代表して行動する(例: チームの成果を上級役員に伝える、チームメンバーの功績を認める)
  • 自分の意見に対して、チームメンバーが別の意見がある場合、反論したり異論を唱えるようチームメンバーに促す
  • 自分の弱みを見せる。仕事や失敗に関する自分の個人的な考え方をチームメンバーに伝える
  • リスクを取るようチームメンバーに促し、自分の仕事でも実践してみせる

組織やチームマネジメント/人事のあるべき姿

心理的安全性の提唱者であるエドモンドソン氏は、「心理的安全性と責任は別の指標であり、責任感との相関関係はない」と答えており、心理的安全性と責任の量の関係について下記のように分類しました。

  • 心理的安全性も責任も少ない:無関心
  • 心理的安全性が高く責任が少ない:気持ちよい
  • 心理的安全性が低く責任が高い:不安
  • 心理的安全性が高く責任が高い:学習、ハイパフォーマンスが出せる

エドモンドソン氏のこの分類から、チームのマネジメントにおいては心理的安全性が高いだけではなく責任が高い状態も目指す必要があるとわかります。

テレワーク下の職場のリモートハラスメントに注意

リモートハラスメント(リモハラ)はリモートセクハラ・パワハラ、オンラインセクハラ・パワハラ、テレハラ(テレワークハラスメント)とも呼ばれ、テレワーク下でのセクシャルハラスメントやパワーハラスメント行為のことです。プライベートと仕事の境目がなくなることや他人の目を気にしなくなることから発生しやすくなると言われています。実際に、ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社の報告によると、テレワークを実施する会社員110名に実施したアンケート調査から79%の人が上司とのコミュニケーションにストレスや不快感を感じたことがあると回答しているようです。

具体的なリモートハラスメント例(セクハラ)

・室内の様子を写すことを要求される

・全身を写すことを要求される

・服装の指摘や着替えの要求をされる

・体型を指摘される

・化粧の有無を指摘される

・1on1飲み会を強要される

・SNSでの繋がりを要求される

具体的なリモートハラスメント例(パワハラ)

・子供や同居者の声について指摘される

・業務中にツールなどで監視される(必要以上に業務報告を要求される)

・私生活に関する指摘をされる

心理的安全性を保つためにはリモートハラスメントの発生を防止する必要があります。オンライン会議では必要時のみビデオONにしたり、録画を残すルールを作ることもできます。また、他人の目を気にすることができるようにバーチャルオフィスの利用を検討することも良いかもしれません。

まとめ(心理的安全性の作り方)

心理的安全性はチームの効果性を上げるための最重要因子です。心理的安全性が保たれていれば、チーム内の発言をマイナスに受け取られることなく否定されない状態かつチームメンバーと信頼関係がある状態となります。チームで成果を出すためには心理的安全性を担保しつつ責任を与える必要があります。また、テレワークにおいてはリモートハラスメントが心理的安全性の阻害要素となるため、課題解決にむけた対策が必要です。

参照:Google re:Work『「効果的なチームとは何か」を知る』より