▼ この記事の内容
チームビルディング研修は、関係構築だけでなく、目標共有、役割理解、対話、振り返りを業務行動へ戻すための研修です。目的、対象者、研修内容、実施後の確認指標を先に決めると、単発イベントで終わりにくくなります。
チームビルディング研修を企画するとき、ゲームやワークの候補から選び始めると、実施後に何が変わったのかを説明しにくくなります。人事や管理職が最初に決めるべきなのは、研修で変えたい職場の行動です。
たとえば、相談が遅い、会議で発言が出ない、部門間の協力が進まない、役割の境界で仕事が止まるなど、チームの状態によって必要な研修内容は変わります。目的が違えば、扱う具体例や振り返り方法も変わります。
チーム全体の成果課題から整理したい場合は、チームパフォーマンスを高める方法もあわせて確認できます。研修は、成果課題を日常行動へ戻す手段として設計します。
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チームビルディング研修の目的と対象
チームビルディング研修の目的は、参加者同士を仲良くすることだけではありません。業務上の相談、目標の理解、役割分担、フィードバック、振り返りを増やし、チームが自律的に協働できる状態を作ることです。
厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」では、令和5年度中にOFF-JTを受講した正社員の割合は44.6%でした。研修を実施する企業は多い一方で、実施後の行動変化まで追わなければ、現場への定着は判断しにくくなります。
参考:令和6年度「能力開発基本調査」の結果を公表します|厚生労働省
研修で変える行動を決める
研修の目的は、抽象的な一体感ではなく、研修後に増やしたい行動で表します。相談の早期化、会議での発言、役割確認、相互フィードバックなど、観察できる行動に置き換えます。
行動を決めておくと、研修内容を選びやすくなります。相互理解が課題なら自己紹介ワーク、目標のずれが課題なら目標共有ワーク、役割の曖昧さが課題なら役割整理ワークを選びます。
対象者とチーム状態を分ける
新任チーム、既存チーム、部門横断プロジェクト、リモート混在チームでは、研修の焦点が異なります。対象者を一括りにせず、どの関係性を改善したいのかを分けます。
管理職だけでなくメンバーも参加する場合は、発言しやすい場づくりが必要です。心理的安全性に不安がある職場では、競争型のゲームよりも対話型のワークから始めます。
対話の不足が主な課題なら、チーム内コミュニケーションを改善する方法を先に確認すると、研修後に残す行動を決めやすくなります。
具体的な対話施策を見たい場合は、チームビルディングに使えるコミュニケーション施策も確認できます。研修内のワークを日常会話へ戻しやすくなります。
チームビルディング研修の内容例
研修内容は、相互理解、目標共有、役割整理、振り返りの4種類に分けると設計しやすくなります。すべてを一度に扱わず、現在のチーム課題に近いものから選びます。
| 研修内容 | 向いている課題 | 実施後に見る行動 |
|---|---|---|
| 相互理解ワーク | 相談が少ない、相手の強みが見えない | 相談回数、協力依頼の発生 |
| 目標共有ワーク | 部門や個人の優先順位がずれる | 会議での目標確認、判断基準の共有 |
| 役割整理ワーク | 責任範囲が曖昧で仕事が止まる | 担当者、期限、確認方法の明確化 |
| 振り返りワーク | 施策や会議がやりっぱなしになる | 次回行動、学び、改善点の記録 |
相互理解ワークの具体例
相互理解ワークでは、経歴や趣味だけでなく、仕事で大事にしている判断基準、得意な支援、困ったときの相談方法を共有します。業務に戻った後の協力行動へつながる情報を扱います。
具体例として、各自が「得意な仕事」「支援してほしい場面」「避けたい進め方」を3分で書き、ペアで確認します。最後にチーム全体で、明日から使う相談ルールを一つ決めます。
目標共有ワークの具体例
目標共有ワークでは、会社目標、部門目標、個人目標のつながりを確認します。目標の言葉が同じでも、優先順位や判断基準がずれていると、日常の協力が生まれにくくなります。
具体例として、今期の目標を一文で書き、各自が「自分の業務で貢献する行動」を一つ出します。全員で重複や抜けを見直し、会議で確認する共通指標を決めます。
役割整理ワークの具体例
役割整理ワークでは、誰が決めるのか、誰が実行するのか、誰に相談するのかを見える化します。責任範囲を明確にすると、仕事の受け渡しで起きる停滞を減らせます。
具体例として、直近のプロジェクトを一つ選び、担当者、協力者、確認者、意思決定者を表にします。曖昧な欄があれば、研修内で仮決めし、次回会議で正式に確認します。
振り返りワークの具体例
振り返りワークでは、できたこと、困ったこと、次に変えることを短く残します。感想共有で終わらせず、次の会議や1on1で確認する行動まで決めます。
具体例として、研修の最後に「次の一週間で試す協力行動」を一つ書きます。管理職は次回の1on1や定例会で実行状況を確認し、チームのルールへ反映します。
タックマンモデル別の研修設計
タックマンモデルは、チームの形成期、混乱期、統一期、機能期を分けて見る考え方です。研修内容をチーム状態に合わせると、場当たり的な施策を避けやすくなります。
形成期は安心して話せる接点を作る
形成期は、メンバー同士が互いの仕事や判断基準を十分に知らない段階です。最初から厳しい議論を促すより、相互理解と相談しやすい接点を作ります。
研修では、自己紹介を業務文脈に寄せます。得意領域、相談してほしいテーマ、情報共有の好みを出し合うと、研修後の協力行動へつながります。
混乱期は論点と役割を整理する
混乱期は、意見の違いや役割の曖昧さが表に出やすい段階です。対立を避けるのではなく、論点、判断基準、決める人を分ける研修が向いています。
この段階では、ゲームで盛り上げるよりも、実際の業務テーマを使ったケース討議が有効です。事実、解釈、要望を分けて話す練習を行います。
統一期以降は成果指標へ接続する
統一期以降は、関係づくりだけでなく成果創出へ研修を接続します。会議の進め方、目標レビュー、役割分担、1on1の問いをそろえ、業務の中で続く形にします。
研修後は、合意した行動を次回会議で確認します。成果指標へ接続すると、参加者の納得感だけでなく、実際の協働行動まで見直せます。
チーム状態に応じた研修設計を広く確認したい場合は、組織開発研修プログラムの設計方法も参考になります。
研修後に定着させる運用
チームビルディング研修は、研修当日よりも実施後の運用で成果が分かれます。1on1、定例会、目標レビューに研修内容を戻し、行動変化を確認します。
1on1で次回行動を確認する
研修後は、各メンバーが試す行動を1on1で確認します。相談する相手、会議で発言するテーマ、共有する情報など、具体的な行動にします。
管理職は、行動できたかだけでなく、実行しにくかった理由を聞きます。研修内容を個人の努力に任せず、業務ルールや会議設計の改善につなげます。
会議で協力行動を見直す
定例会では、研修で決めたチームルールを短く確認します。毎回長く扱う必要はありませんが、相談、共有、役割確認が実際に増えたかを見ます。
会議で扱う項目は、研修で決めた行動に絞ります。項目を増やしすぎると確認が形骸化するため、一つの行動を数週間追うほうが続きます。
心理的安全性に課題がある場合は、発言量だけを追うと逆効果になることがあります。心理的安全性研修の設計方法も確認し、発言しやすさと業務成果を分けて見ます。
効果測定は満足度以外も見る
研修アンケートの満足度だけでは、チームビルディングの効果は判断できません。相談件数、会議での発言、役割確認、1on1実施率、振り返り記録などを見ます。
測定項目は多くしすぎず、目的に合わせて二つ程度に絞ります。相互理解が目的なら相談行動、目標共有が目的なら目標確認の頻度を見ると、現場で運用しやすくなります。
研修効果の見方を整理したい場合は、研修効果を測定する方法も確認できます。満足度と行動変化を分けて見ると、次回研修の改善点も明確になります。
チームビルディング研修の失敗原因
失敗は、研修内容そのものよりも設計不足で起きます。目的が曖昧なままゲームを選ぶ、管理職が関与しない、研修後の確認がない状態を避けます。
ゲームだけで終わらせる
ゲームは場を動かす手段として有効ですが、ゲームの勝敗だけでは業務行動は変わりません。研修後に何を相談し、どの会議で確認するかまで決めます。
ゲームを使う場合は、終了後の振り返りを設計します。なぜ協力できたのか、どこで情報共有が止まったのかを業務場面へ置き換えます。
管理職が研修後に関与しない
管理職が研修後の行動確認に関与しないと、参加者は研修を一時的なイベントとして扱いやすくなります。上司が会議や1on1で同じ観点を使う必要があります。
人事は、研修資料だけでなく管理職向けの確認項目も用意します。研修後一週間、三週間、一カ月の確認タイミングを決めると、定着状況を追いやすくなります。
対象範囲を広げすぎる
最初から全社で同じ研修を行うと、チームごとの課題に合わない内容になりやすくなります。対象部署、対象者、変えたい行動を絞って試します。
試行範囲を絞ると、研修内容と効果測定を修正しやすくなります。最初の部署で得た学びを次の対象へ移すと、全社展開時の負担も抑えられます。
小さく始める場合は、チーム状態に合わせた施策の選び方を確認すると、実施範囲を判断しやすくなります。
内製と外部研修の選び方
チームビルディング研修は、自社で内製する方法と外部に依頼する方法があります。どちらがよいかは、課題の複雑さ、ファシリテーションの難しさ、管理職の関与度で判断します。
内製が向いている場合
相互理解や目標共有など、課題が明確で進行役を社内に置ける場合は内製しやすくなります。日常業務との接続を社内で設計できる点も利点です。
ただし、内製では進行役の準備不足が成果に影響します。事前に問い、時間配分、記録方法を決め、管理職が研修後に確認できる形へ整えます。
内製では、進行台本、問い、振り返りシート、実施後の確認方法をそろえます。チーム施策のテンプレートを参考にすると、運用に残す項目を整理できます。
外部研修が向いている場合
対立が強い、経営層を巻き込む、管理職の関係性に課題がある場合は、外部の進行役を入れる選択があります。中立的な場づくりが必要なときに有効です。
外部研修を選ぶ場合も、目的と研修後の確認方法は自社で決めます。依頼前に、対象チーム、課題、期待する行動、測定指標を一枚にまとめます。
研修後の継続運用まで考える場合は、チームビルディングを継続する方法も確認できます。
組織課題の見える化から研修後の運用までまとめて設計したい場合は、コチームのサービス情報も確認できます。
よくある質問
チームビルディング研修は何から始めるべきですか?
最初に、研修で変えたい職場の行動を一つ決めます。相談を増やす、目標をそろえる、役割を明確にするなど、目的を行動で表すと内容と効果測定を選びやすくなります。研修後に誰が確認するかも同時に決めます。
チームビルディング研修の具体例は何ですか?
相互理解ワーク、目標共有ワーク、役割整理ワーク、振り返りワークが代表例です。現在の課題に合わせて一つ選び、研修後に会議や1on1で確認する行動まで決めます。複数のワークを詰め込みすぎないことも大切です。
ゲーム形式の研修は効果がありますか?
目的が合えば有効ですが、ゲームで盛り上がるだけでは定着しません。終了後に、協力できた理由や情報共有が止まった場面を業務に置き換える振り返りが必要です。次の会議で使う行動まで決めます。
まとめ
チームビルディング研修は、相互理解、目標共有、役割整理、振り返りを通じて、チームの協働行動を増やすための研修です。ゲームやワークの種類から選ぶのではなく、研修後に変えたい行動から設計します。
成果につなげるには、対象者、チーム状態、研修内容、確認指標をそろえます。研修後は1on1や定例会で次回行動を確認し、満足度だけでなく相談、発言、役割確認、振り返り記録を見ます。
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