従業員エンゲージメントとは?組織の成長に重要な理由や定義・メリット、向上施策について徹底解説!

近年、「従業員エンゲージメント」という概念が優秀な社員の離職防止、社員の生産性などの現代の企業が抱える重要課題への解決策として注目されています。

しかし、従業員エンゲージメントは日本人にとってあまり馴染みの無いことが多く、以下の様な疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。

  • そもそも従業員エンゲージメントとは何を指すのか?
  • なぜ従業員エンゲージメントを高めるといいのか?
  • どうやって高めれば良いのか?

本記事では、従業員エンゲージメントの定義や、企業・組織の成長に重要な理由や定義・メリットやエンゲージメントを向上させる施策について徹底解説いたします。


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目次

従業員エンゲージメントとは?

この項では従業員エンゲージメントの定義や重要性、従業員満足度との違いを説明します。

従業員エンゲージメントの定義

従業員エンゲージメントとは、1990年代に米国で生まれた概念で、「会社をどれだけ信頼し、共感しているか、どれだけ貢献したいと思っているかといった愛着や貢献意欲を表す指標」のことです。

エンゲージメント(engagement)の意味は約束・婚約であることから、ただの雇用といった紙上の契約ではなく、互いを信頼し貢献し合おうという姿勢とも読み取れます。

ただし、エンゲージメントという言葉は正確な定義は決まっておらず、どういう状態を「従業員エンゲージメントが高い」とするかは会社によって異なります。そのため、従業員エンゲージメントを高めるためには、まず会社が独自で定義を決める必要があるでしょう。

従業員エンゲージメントが重要な理由

従業員エンゲージメントの重要性が認識されるようになったのは、従業員エンゲージメントが企業業績や生産性の向上に寄与することが明らかとなったからです。エンゲージメントの高い状態が継続できている企業は、低い企業に比べて1年後の業績の伸びが3倍という結果もでています。

ではなぜ、従業員エンゲージメントが重要になってきたのでしょうか。従業員エンゲージメントが重要になってきたのは以下の2つの背景があるからです。

  •    予測不能なVUCA時代
  •    人材の減少と流動化

予測不能なVUCA時代

1つ目の背景は、「予測不能なVUCA時代」です。現代の社会やビジネス界は、変化のスピードが速く予測不能であるVUCAの時代だと言われています。

  • V(Volatility):変動性
  • U(Uncertainty):不確実性
  • C(Complexity):複雑性
  • A(Ambiguity):曖昧性

この頭文字をとってVUCA時代と呼びます。そんなVUCA時代の中で、企業は生き残る必要があります。そして、今後も時代は更に混迷を強くしていくと考えられ、想定外な場面に遭遇する可能性が高まっていくでしょう。そのような事業環境で、企業自体が柔軟で変化に強くなることが求められています。そして、変化に柔軟に対応するための手段として従業員エンゲージメントが期待されています。

人材の減少と流動化

2つ目の背景は、「人材の減少と流動化」です。日本では29歳以下の若者の人口は、昭和50年以降一貫して減少しており、働ける人材が年々減少しています。さらに、終身雇用制度に縛られず自身のキャリアに合わせて転職することも当たり前の時代になりました。これにより、企業にとって、流動的になった人材をいかに会社へ定着させるかが重要な課題となりました。そしてこの会社への定着率を高めるための手段として、従業員エンゲージメントが期待されています。

従業員満足度や心理的安全性、ロイヤルティとの違い

この項では従業員エンゲージメントとよく似た意味をもつ従業員満足度や心理的安全性、ロイヤルティの違いについて説明します。

従業員満足度との違い

従業員満足度とは言葉通りに「従業員が現在の職場にどの程度満足しているのか」を表す言葉です。そのため、居心地の良さを意味し、現在の仕事内容・職場環境・職場の人間関係や労働条件にどのくらい満足しているのかを表す指標と考えることができるでしょう。従業員満足度は従業員の離職率を下げる上で非常に大切な指標で、従業員満足度が上がれば、生産性が高まることがあります。

では、従業員エンゲージメントと顧客満足度の違いは何なのでしょうか。両者は似たような言葉ですが、確かに違いがあります。それは、従業員満足度は会社が従業員に一方的な関係であるのに対して、従業員エンゲージメントは会社と従業員が双方向的な関係があるところです。

なぜなら、従業員満足度が上がれば、生産性が高まる可能性はありますが、必ずしも業績と結びつくとは限らないからです。会社の業績が伸びた時に、それまで満足していた給与では満足できなくなってしまうということが起こり得るでしょう。つまり満足の基準が高くなってしまうということです。

このことから、業績向上とより深い関係があるのは、従業員満足度でなく従業員エンゲージメントと言えるでしょう。そのため、従業員エンゲージメントと顧客満足度などを適切な場面で使い分けるようにしましょう。なお、従業員満足度と従業員エンゲージメントとの違いについて詳しく知りたい場合は、下記をご覧ください。

心理的安全性との違い

心理的安全性とは、従業員が安心して自分の考えを述べたり、行動に移したりできる状態を指します。

2015年米グーグル社が「心理的安全性は成功するチーム構築において最も重要な要素である」と発言したことで注目されるようになりました。心理的安全性が高いと、従業員エンゲージメント向上といった効果が生まれることもあると言われています。

つまり、心理的安全性とは、従業員エンゲージメントを高めるために必要な組織の状態といえるでしょう。

なお、心理的安全性について詳しく知りたい場合は、下記をご覧ください。

ロイヤルティとの違い

ロイヤルティとは、従業員が会社に対して持っている忠誠心のことを指します。

エンゲージメントは従業員と会社が対等な立場であるのに対し、ロイヤルティは会社の方が上の立場であり主従関係があることを示すような言葉になります。

従業員エンゲージメントの構成要素

従業員エンゲージメントを向上・維持させるためには、従業員エンゲージメントの構成要素をしっかり抑える必要があります。

ウイリス・タワーズワトソン社の調査によると、従業員エンゲージメントを構成するのは、以下の3要素です。

  • 会社への理解度
  • 会社への帰属意識
  • 行動意欲

会社への理解度

従業員エンゲージメントの構成要素の1つ目は、「会社への理解度」です。会社への理解度が高いという状態は、組織の理念・目指す方向を正しく理解し、共感している状態のことです。

会社への理解度を高めるために重要な要素は、ただ内容を理解しているだけでなく、方向性に共感できているかどうかが重要なポイントとなります。共感を生むためには、社員自身のキャリアやビジョンと、会社が掲げるビジョンが一致する必要があります。共感度が高まるほど、従業員はより当事者意識を持って仕事に励むようになるでしょう。

会社への帰属意識

従業員エンゲージメントの構成要素の2つ目は、「会社への帰属意識」です。会社への帰属意識が高いという状態は、組織に対して帰属意識や愛着・誇りを抱いている状態のことです。

帰属意識とは、「その組織の一員であるという自覚」のことであり、これらが強いほど従業員エンゲージメントは高まるでしょう。そのため、従業員が会社への愛着を高めるためには、共に働くメンバーとの関係性が重要となってきます。互いを認め合い、支え合えるような信頼できる仲間の存在があるからこそ、会社への愛着や誇りは高まるのです。

行動意欲

従業員エンゲージメントの構成要素の3つ目は、「行動意欲」です。行動意欲が高いという状態は、組織のために、自分にできることを進んで取り組もうとする意欲がある状態のことです。

「組織から何かしてもらいたい」といった受け身の姿勢ではなく、自ら組織のためにできることを積極的に実行している状態が理想的です。そのためには、会社も従業員を大切にし、「従業員のためにできること」を積極的に行う必要があります。従業員と会社の立場が対等にあり、双方が相手のために行動している状態を目指しましょう。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

この項では、従業員エンゲージメントを高めるメリットについて紹介します。

モチベーションの向上

エンゲージメントが向上するメリットの1つ目は、「モチベーションの向上」です。エンゲージメント調査によって、人事・経営戦略のための客観的かつ定量的なデータを得られます。このデータによって、各社員の現状を把握できるため、然るべき社員に然るべき施策を行うことができます。

このことは、従業員のやりたいことと実際の業務を合致させることや、適性のある仕事を与えることで能力を発揮することになるため、従業員のモチベーション向上に繋がります。

また、上記のように会社として良いところと悪いところの改善を一時のものではなく、不断のものにしましょう。これにより、従業員は「表面だけではなく、本当に会社は自分たちのことを大切にしている」と感じられます。このことは、返報性の原理などにより、従業員側も会社に対して貢献しようという意識が生まれ、最終的にはモチベーションに繋がります

離職率の低下

エンゲージメントが向上するメリットの2つ目は、「離職率の低下」です。従業員エンゲージメントを高めることで、退職や転職を防ぐことができます。

2019年に株式会社アスマークが従業員の離職とエンゲージメント(愛着心・思い入れ)の関係について調査しました。

エンゲージメントと離職の関係

出典)株式会社アスマーク(2019)『1万人データから探る、社員の離職要因とエンゲージメントに関する分析レポート【職種別・役職別】

その結果によると、職種によって差はあるものの企業への満足度が高くなれば離職意向も低くなるということがわかりました。

このことから、従業員エンゲージメントを向上させることで、従業員の離職を防止することができると考えられます。


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顧客満足度の向上

エンゲージメントが向上するメリットの3つ目は、「顧客満足度の向上」です。従業員が会社の方向性を理解し共感していることで、全員が認識を揃えて仕事に落とし込むことができ、アウトプットの質が向上します。会社の一体感が高まることで、結果的に顧客への価値提供をよりよくすることができるからです。従業員エンゲージメントが高まることで、一人一人の行動意欲も増すため、顧客からの信頼にもつながるでしょう。

業務・生産性が向上する

エンゲージメントが向上するメリットの4つ目は、「生産性の向上」です。従業員エンゲージメントを高めることで、業務・生産性が向上し、売上が上がるという効果が期待できます。

ESと労働生産性との相関性

引用)株式会社リンクアンドモチベーション(2018)『「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開

2018年にモチベーションエンジニアリング研究所と慶應義塾大学が共同研究した「エンゲージメントと企業業績」により、従業員エンゲージメントが高いほど労働生産性が向上することが明らかになりました。

また、同様の研究で従業員エンゲージメントが高いほど、営業利益も高くなることがわかっています。

このデータから、従業員エンゲージメントを高めることで、労働生産性が上がり、売上が上がるという効果が期待できます。

優秀な人材の確保

エンゲージメントが向上するメリットの5つ目は、「優秀な人材の確保」です。従業員エンゲージメントを高めることで、優秀な人材の人材が入社しやすくなり、辞めにくくなる効果を期待することができます。

現在は人材の流動性が高くなり、優秀な人材が自社に不満を抱えている場合、転職しやすくなっています。そのため、優秀な人材の流出を防ぐことを経営層や人事は考えなくてはなりません。この解決策として、従業員エンゲージメントが注目されています。従業員エンゲージメントを高めることで、優秀な人材がその企業で働きたいと考え、優秀な従業員が転職を考える機会がなくなることが期待できます。その結果、優秀な人材の流出を防ぐことができるでしょう。

2024卒の内定先の決め手

出典)株式会社プレシャスパートナーズ(2023)『就職活動に関する調査

また、株式会社プレシャスパートナーズが行った2024年の新卒者を対象にしたアンケート調査では、内定先の決め手が「社風や雰囲気」(28.5%)が最多となりました。また「成長できる環境である」(15.7%)、「やりたいことがやれる」(14.3%)など、エンゲージメントに関わる部分が上位になっています。

そのため、優秀な新卒社員の獲得にも従業員エンゲージメントに期待することができます。

日本の従業員エンゲージメントが世界最低レベルと言われる理由

日本企業の従業員エンゲージメントは世界的に最低基準であると言われています。

米国大手のギャラップ社が2017年に発表したエンゲージメントの国際比較調査によると、以下のような結果となりました。(State of the Global Workplace: 2017 Report, Gallup)

世界のエンゲージメント
  • 調査対象139カ国中132位
  • 熱意ある社員は全世界平均15%に対して約1/3である6%

これらの結果から、日本企業の従業員エンゲージメントが世界的に見ても、極めて低いレベルであることがわかります。

なぜ日本の従業員エンゲージメントは低水準と言われているのでしょうか。

ここでは国際比較を通じて日本の従業員エンゲージメントの現状を明らかにします。

働き方の違い

日本の従業員エンゲージメントが低い要因の1つ目は、「働き方の違い」です。

日本企業の多くは「メンバーシップ型」を採用しています。メンバーシップ型とは、雇用主の命令で、職務、労働場所、勤務場所をいくらでも変更できるシステムのことです。その一方で、欧米を中心とする多くの国では「ジョブ型」を採用しています。

ジョブ型とは仕事に対して、適切な労働者を割り当てるシステムのことです。

メンバーシップ型は、「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」が前提であり、組織に長く居続けることが重要となるため、顧客よりも上司の顔を機にするといった弊害がうまれてしまいます。

国民性の違い

日本の従業員エンゲージメントが低い要因の2つ目は、「国民性の違い」です。「空気を読む」という言葉があるように、日本人の特性として同調圧力に従う文化があります。

自分の意見や考えを持っていても、周りに合わせてしまう人が日本人には多くいます。

  • 「親や上司といった立場の強い人に反論できない」
  • 「周りの人が仕事していたら帰りにくい」
  • 「有休が取りにくい」

こういった自分の意見を言えず周りに流されがちな日本人の国民性が、従業員エンゲージメントを低下させる1つの要因となっていると言えるでしょう。

過剰なコンプライアンス

日本の従業員エンゲージメントが低い要因の3つ目は、「過剰なコンプライアンス意識」です。

日本ではリスクを恐れる姿勢から、社内外でことあるごとにルールや手続きが作られます。ルールや監視を強化していくことで、従業員のチャレンジ精神を削いでしまい、成功の喜びを味わえない組織をつくってしまいます。保守的に規則で行動を縛る姿勢が、従業員エンゲージメントを低下させているとも考えられるでしょう。

従業員エンゲージメント調査方法

組織内のエゲージメントがどのくらい高いかどうかは、エンゲージメント調査によって確かめる事ができます。

エンゲージメント調査において、フィードバックを真摯に受け止め、行動や取り組みを改善・修正するという事は非常に重要です。なぜなら、エンゲージメント調査を実施したにも関わらず、全く組織の状況が改善されない状態が続けば、従業員は期待よりも失望の感情が強くなり、さらなるエンゲージメントの低下をもたらすためです。

本記事では、従業員のプライバシーや心理的安全性を損なうことなく、エンゲージメント調査のフィードバックに対応するための方法について解説します。

人事部など適切な利害関係者を巻き込む

フィードバックの内容は極めてデリケートな内容を含むケースがあるため、マネージャーは自身の上司や人事部を巻き込んで適切なメッセージを作成する事が重要です。

特に、経験の浅い管理者やフィードバックの対象となる管理者自身が直接的にフィードバックに対して回答すべきではないと一般的に考えられています。なぜなら、否定的なフィードバックに対して、どの様な対策や対応が適切か分からなかったり、意義を唱えて守りの姿勢に入ってしまう恐れがあるからです。

そのため、フィードバックについては、直属の上司がフィードバックに回答する事は出来るだけ避け、HRチームによって対応すべき内容であるといえるでしょう。

多数の情報を収集する

エンゲージメント調査によってもたらされるフィードバックの中には、その趣旨や意図が不明瞭に思える場合があります。

その場合憶測や推測に頼るのではなく、匿名性を保った状態で質問を重ね、客観性や裏付けとなる根拠を明確にすることが必要です。なお、匿名性を担保するには、筆跡等で判定されないようツールを活用する事が一般的です。次の段階として、人事部門は、メンバーとの対話(1on1がベスト)やミーティングを求め、追加のフィードバック情報を集めることで、改善が必要な領域の透明化と対策の方針策定を進める必要があるでしょう。

現実的な期待値の設定

人や組織に関する問題は、複雑に絡み合っており、2〜3日で解決するケースは極めて稀です。したがって、従業員に対しては、エンゲージメント調査への回答に感謝を述べる事に加えて、問題への対策の方針と具体的に必要な期間や期限を明確化する必要があるでしょう。

特に高度で複雑なフィードバック内容について取り扱う場合には、より体系的・戦略的なアプローチが必要となるケースがあります。その様な場合には、具体的な次回アクションに関する情報を共有する事によって、従業員の納得感・安心感を醸成する事に繋がるでしょう。

全社的な対応方法を検討する

同様のフィードバックが複数の部門間で見られる場合には、個別に対応するよりも、全社会議などのより一般的なフォーラムで取り扱うという選択肢も有効です。

例えば、2020年に流行が始まった新型コロナウィルスの影響や会社の対応方針といった問題はまさにこれに該当する問題といえるでしょう。フィードバックは、時として否定的な内容を含みますが、その様な場合にも匿名性を維持しながら、管理職や経営陣によるコミットメントと説明責任を発揮し続けることが重要です。

緊急かつ重要な問題への迅速かつ誠実な対応は、職場へのエンゲージメントを高める事に強く貢献します。

従業員エンゲージメントの向上施策

では、いったいどのようにしてエンゲージメントを高めることができるのでしょうか。

エンゲージメントを向上させるためには、エンゲージメントの3要素の度合いを上げていく必要があります。

  • 経営理念とビジョンの浸透
  • コミュニケーションの活性化
  • ワークライフバランスの整備
  • 評価制度の見直し
  • マネジメントの改善

ここでは、具体的施策とともに上記の5つの方法について紹介します

経営理念やビジョンの浸透

従業員エンゲージメントを高める方法の1つ目として、「経営理念とビジョンの浸透」が挙げられます。

理念とビジョンが浸透すると、同じ方向に向かって一体感を持ち仕事に取り組むことができるため、従業員エンゲージメントが向上します。

会社の情報や考えが従業員に公開されていることで、従業員が会社へ不信感を抱くことがなくなり、会社への信頼度が上がるでしょう。

具体的施策は以下の通りです。

  • 情報共有ツールや総会で社長や幹部の考えを発信
  • ミッションやビジョンに関する勉強会の実施
  • 1on1ミーティングを導入

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管理職・マネージャーのマネジメント力の向上

従業員エンゲージメントを高める方法の2つ目として、「管理職・マネージャーのマネジメント力の向上」が挙げられます。

部下が従業員エンゲージメントを向上させるためには、上司の存在が必要不可欠です。部下が上司に対して信頼感をもっていると、部下の仕事に対してのモチベーションが向上しやすくなると考えられます。その結果、従業員エンゲージメントを向上させることに繋がるでしょう。そのため、上司からの評価や、期待感、声かけなどの日頃のコミュニケーションは信頼関係を構築する上で重要になるでしょう。

また、従業員が会社への貢献意欲を強く持っていたとしても、その方向性や認識がずれている可能性もあるでしょう。上司は、部下が注力すべき作業に取り組めるよう育成していく必要があります。

具体的施策は以下の通りです。

  • 日報を用いて部下の行動を見える化する
  • 上司が受け持つ部下の人数を見直す

ワークライフバランスの整備

従業員エンゲージメントを高める方法の3つ目として、「ワークライフバランスの整備」が挙げられます。

従業員が自身の能力を最大限発揮するためには、健康状態やプライベートとのバランスが取れていることが重要です。ストレスなく仕事に取り組む環境作りのためにも、ワークライフバランスのケアは欠かせません。

具体的施策は以下の通りです。

  • 従業員の残業管理を徹底する
  • 従業員の日々の体調を把握する
  • 福利厚生を充実させる

コミュニケーションの活性化

従業員エンゲージメントを高める方法の4つ目として、「社内コミュニケーションの活性化」が挙げられます。

社内でコミュニケーションが活発に行われ、良好な人間関係が構築できていることは従業員エンゲージメント向上に欠かせません。例えば、上司と部下の関係が悪いとコミュニケーションが取れず、無駄な作業が増え、残業が多くなったりと労働環境にも悪影響を及ぼします。

具体的施策は以下の通りです。

  • 1on1を定期的に実施
  • 情報共有を気軽にできるツールの導入
  • 社内イベントを開催する

人事制度を見直す

従業員エンゲージメントを高める方法の5つ目は、「人事制度を見直す」です。人事制度を見直し、従業員の貢献度を評価に落とし込めるようにすることが従業員エンゲージメントを高める上では重要です。

組織の方向性に共感し、強く貢献したいと従業員が感じていたとしても、従業員の行動やパフォーマンスが正当に評価されなければ、従業員エンゲージメントは高まりません。なぜなら、適切に評価しないと、従業員が「会社から必要とされていない」と感じてしまうからです。そのため、従業員の行動を適切に評価する仕組みを作ることが重要です。また、人事制度を見直すだけではなく、社内の雰囲気も従業員の行動を称賛するような仕組みにするとより効果的になります。

具体的施策は以下の通りです。

  • 社員のキャリア支援をおこなう
  • レコグニション制度を導入する

従業員エンゲージメントの改善に成功した企業事例

従業員エンゲージメントの改善に成功した企業や、その企業の具体的な取り組みについて紹介します。

具体的に、企業の取り組みを知ることで自社ではどのような取り組みを実現できるのかイメージをつけましょう。

  • スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
  • 株式会社 LIFULL
  • サイボウズ株式会社

スターバックスコーヒージャパン株式会社

従業員エンゲージメントの改善に成功した企業の1つ目は、「スターバックスコーヒージャパン 株式会社」です。

2007年、業績が悪化するスターバックスを再生するため重要視したのは「パートナーとの間に感情的な心の絆を取り戻すこと」です。従業員をではなく「パートナー」と呼ぶのも、ともにスターバックスをつくりあげていく対等な立場だと考えているからです。

組織の一体感は「マニュアル」でなく、「エンゲージメント」から生まれると考えているため、マニュアルは一切存在しません。社員が「皆でコーヒーを通して人や地域を豊かにしたい」という価値観に基づき自発的に行動をしているのです。

スターバックスでは、6月半ば、“Starbucks College Achievement Plan”(「スターバックス大学修了計画」)という制度の導入を発表しました。パートナー(従業員)への投資を惜しまず大切にしている姿勢の表れであり、この姿勢が従業員エンゲージメント向上を後押ししていると言えるでしょう。

株式会社 LIFULL

従業員エンゲージメントの改善に成功した企業の2つ目は、「株式会社 LIFULL」です。

人事部立ち上げから約10年「日本1働きがいのある企業」を目指し、2017年にベストモチベーションカンパニーアワードで1位になりました。

具体的な取り組みはビジョンの浸透強化と、内発的動機付けによる従業員の自主性の尊重です。四半期に1度、基本的には全従業員参加でコンパを開催しています。内容は「LIFULLが世界最高のチームになるためには?」、「LIFULLらしい働き方は?」といったテーマについてのディスカッションを行います。

全社員が参加することで、帰属意識(その組織の一員である意識)が高まり、従業員エンゲージメントの向上に繋がったのではないでしょうか。

サイボウズ 株式会社

従業員エンゲージメントの改善に成功した企業の3つ目は、「サイボウズ 株式会社」です。

サイボウズでは、人事制度の改革に力を入れたことにより、離職率を28%から4%まで減少させました。サイボウズでは、「100人100通りの働き方」の実現を目指し、「選択型人事制度」という9通りの働き方から自分に合ったものを選ぶ制度を採用しています。

働く場所や時間を選択できるようになったことで、社員のワークライフバランスが改善しました。さらに、サイボウズでは取締役を社内公募によって選出しました。社員の「貢献意欲」が存分に発揮できる環境があることで、従業員エンゲージメント向上に繋がったと言えるでしょう。

従業員エンゲージメントが高い企業の特徴

最後に従業員エンゲージメントが高い企業の特徴について紹介します。

1on1ミーティングが定着している

従業員エンゲージメントが高い企業の特徴の1つ目は、「1on1ミーティングが定着している」です。1on1ミーティングは従業員エンゲージメントを向上させる施策の1つです。

1on1ミーティングを実施することで、上司と部下の相互的なコミュニケーションをする機会が増えます。その結果、相互理解が進むことで、相談しやすい環境・発言しやすい空気を形成することが可能になり、従業員エンゲージメントの向上につながります。エンゲージメント向上は、企業全体の売り上げや収益性・生産性の向上の実現に繋がります。そのため、1on1ミーティングが定着していると、従業員エンゲージメントが向上しやすくなると考えられます。

以上より、1on1ミーティングが定着している企業は評価制度が整っている従業員エンゲージメントが高くなりやすくなります。

評価制度が整っている

従業員エンゲージメントが高い企業の特徴の2つ目は、「評価制度が整っている」です。評価制度が整っていると従業員エンゲージメントが向上しやすくなります。

なぜなら、組織の方向性に共感し、強く貢献したいと従業員が感じていたとしても、従業員の行動やパフォーマンスが正当に評価されなければ、従業員エンゲージメントの維持は難しいからです。適切に評価しないと、従業員が「会社から必要とされていない」と感じてしまうこともあります。

そのため、「会社に合った評価方法を取り入れる(MBO評価、360℃評価など)」や「上司からのフィードバックを定期的に実行している」と従業員が評価に納得しやすくなり、従業員エンゲージメントが高くなりやすくなります。

従業員エンゲージメントを学ぶためにオススメな本

「従業員エンゲージメントを高めたい」「従業員エンゲージメントをより詳しく知りたい」といった方に向けてオススメな本を紹介します。

組織の未来はエンゲージメントで決まる

組織の未来はエンゲージメントで決まる

 組織の未来はエンゲージメントで決まる

新居佳英(著)松林博文(著)英治出版(出版社)2018/11

https://eijipress.co.jp/products/2266

本書では、HRテック企業アトラエ代表取締役と、グロービス経営大学院の人気講師が組織・チームづくりの新常識について詳しく解説します。

エンゲージメントを高めるメリットや方法について、老舗の製造業から新興IT企業まで、さまざまな企業の取り組み事例とともに知ることができます。

エンゲージメント・マネジメント戦略

エンゲージメント・マネジメント戦略

 エンゲージメント・マネジメント戦略

稲垣公雄(著)伊東正行(著)英治出版(出版社)2010/4

https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/2010/9784532316082/

本書では、優良企業に共通する従業員満足→顧客満足→高業績のプロセスを徹底解明します。

エンゲージマネジメント成功の条件やその流れについて事例とともに知ることができます。

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まとめ

業績向上・顧客満足度上昇・離職率の低下など、従業員エンゲージメントを高めることは組織にとって非常に多くのメリットがあります。

終身雇用といった従来の日本型の雇用が変化する今、従業員エンゲージメントを高める取り組みはより重要になっていくでしょう。

従業員エンゲージメントを高める方法に絶対的な正解はありません。

成功事例を参考にし、自社に合った方法を探して従業員エンゲージメントを向上させましょう。

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