ネガティブフィードバックの伝え方と例文・部下を伸ばす5つの手順

▼ この記事の内容

ネガティブフィードバックは、部下の人格を責める言葉ではなく、観察した事実、仕事への影響、期待する行動を分けて伝える対話です。伝える前に材料を絞り、SBIで共有し、次の行動とフォローまで合意すると改善につながります。

職場でネガティブフィードバックが必要になるのは、成果が出ていないときだけではありません。期限遅れ、報連相の不足、会議での関わり方、顧客対応の不安など、早めに伝えれば改善できる場面があります。

一方で、伝え方を誤ると部下は責められたと受け取り、改善行動より防衛反応を優先します。人事がマネージャーへ型を展開する場合も、例文だけでなく観察基準とフォロー方法をそろえる必要があります。

この記事では、ネガティブフィードバックを部下の成長につなげるために、準備、5つの手順、場面別例文、1on1でのフォローまで整理します。

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ネガティブフィードバックは部下を伸ばすために伝える

ネガティブフィードバックは、相手を責めるためではなく、期待との差分を修正して次の行動を決めるために行います。目的を間違えると、正しい指摘でも関係を傷つけます。

人格ではなく行動と期待の差分を扱う

ネガティブフィードバックは、部下の人格ではなく、観察できる行動と期待する基準との差分を扱う対話です。何が起き、仕事にどう影響し、次回どの行動を変えるかまでそろえます。

たとえば、主体性がないと伝える代わりに、会議前日の確認依頼に返信がなく、資料修正の時間が短くなったと伝えます。相手が変えられる行動へ落とすことが要点です。

行動に絞ると、部下は自分全体を否定されたとは感じにくくなります。上司も、次回どの状態を見れば改善したと言えるかを確認できます。

人事が共通ルールを作る場合も、性格や意欲の評価語を避けます。観察行動、影響、期待行動の3点で記録できるようにすると、現場の伝え方をそろえやすくなります。

厳しさよりも事実と次の行動をそろえる

ネガティブな内容を伝える場面では、言い方を厳しくするより、事実と次の行動をそろえる方が改善につながります。相手が何を直せばよいかを理解できる状態にします。

指摘が抽象的だと、部下は反省しているように見えても行動を変えられません。次回の会議で事前に論点を共有するなど、場面と行動を指定します。

厳しい表現が必要な場面でも、感情をぶつける必要はありません。事実、影響、期待、確認質問の順に分けると、対話として進めやすくなります。

上司は、相手の受け止めを確認しながら次の行動へ進めます。ここまでの認識に違いはありますか、と聞くことで、指摘を一方通行にせず改善条件を合わせられます。

ハラスメントや処分とは目的を分ける

ネガティブフィードバックは、日常業務の改善を支援する対話です。ハラスメント対応、重大な規律違反、懲戒処分の説明とは目的も手続きも分けます。

問題が重大な場合は、1on1の延長で抱え込まず、社内規程や人事の手続きに沿って扱います。改善対話で済ませるべき範囲を先に確認します。

通常の改善場面では、本人の尊厳を守りながら行動を修正します。人事は、マネージャーが処分の話と育成の話を混同しないよう基準を示します。

境界を分けると、現場のマネージャーも伝えやすくなります。日常改善はSBIで扱い、重大な規律違反は人事へ相談する流れを明示します。

伝える前に準備する3つの材料

伝える前には、観察した事実、仕事への影響、期待する行動を準備します。準備が曖昧なまま話すと、相手への印象や不満が混ざりやすくなります。

観察した事実を一つに絞る

最初に準備するのは、相手も確認できる事実を一つ選ぶことです。複数の不満をまとめず、いつ、どの業務で、どの行動があったかを短く言える状態にしてから対話へ入ります。

事実は、見たこと、聞いたこと、提出物、期限、返信などに限定します。やる気がない、責任感が弱いといった内面の推測は、対話の出発点にしません。

一つに絞ると、部下も記憶をたどりやすくなります。本人に確認したい点も分け、上司の見立てを断定せずに認識合わせの問いを用意します。

仕事への影響を具体的に言語化する

次に、行動が仕事へ与えた影響を具体化します。誰が、どの業務で、どの判断や準備に困ったのかを説明できるようにします。

迷惑がかかったという表現だけでは、相手は何を変えるべきか分かりません。顧客への回答が遅れた、会議の判断材料が不足したなど、影響を限定します。

影響を大きく言いすぎると、部下は責められた印象を持ちます。実際に起きた範囲に絞ることで、改善すべき理由が伝わりやすくなります。

期待する行動を次回場面で示す

最後に、期待する行動を次回場面で示します。次から気をつけてではなく、次回の顧客返信では期限と確認先を先に共有する、という形にします。

期待行動は、本人が実行できる粒度にします。大きな能力改善より、次回の会議、資料作成、顧客対応で試せる行動を一つ決めます。

次回場面まで決めると、1on1で振り返る材料が残ります。上司と部下が同じ行動を見ながら改善を確認できます。

部下を伸ばす5つの伝え方

部下を伸ばす伝え方は、目的共有、SBI、認識確認、行動合意、フォロー記録の順に進めます。途中で説教に変えず、対話として組み立てます。

1on1での伝え方を全体から見直す場合は、面談で伝える順番の設計も合わせて確認できます。

手順目的言い方の例
1目的を共有する責めたいのではなく、次回の進め方をそろしたいです
2SBIで伝える昨日の定例で、報告が締切後になり、確認時間が短くなりました
3認識を聞くここまでの事実認識に違いはありますか
4行動を決める次回は前日17時までに下書きを共有しましょう
5フォローする次の1on1で実行状況を一緒に確認します

手順1|話す目的を先に共有する

最初に、話す目的を先に共有します。部下を責めるためではなく、次回の仕事を進めやすくするために話すと伝えると、防衛反応を弱めやすくなります。

目的共有を省くと、相手は評価や叱責の場だと受け止めることがあります。特にネガティブな内容ほど、対話の目的を短く置きます。

例文は、今日は前回の進め方を振り返り、次回の動きをそろしたいです、です。主語を相手の欠点ではなく、次の仕事に置きます。

手順2|SBIで事実から伝える

次に、SBIで事実から伝えます。Situationは場面、Behaviorは観察行動、Impactは仕事への影響です。評価語を入れず、順番に分けます。

例文は、昨日の定例会議で、A社の論点確認時に発言がありませんでした。そのため、提案前に懸念点を確認する時間が取れませんでした、です。

SBIの型を詳しく確認したい場合は、状況・行動・影響で伝える型を合わせて整理できます。

手順3|本人の認識と事情を確認する

事実と影響を伝えた後は、本人の認識と事情を確認します。上司の見立てだけで結論を出すと、部下は納得より反論に意識を向けます。

質問例は、ここまでの認識に違いはありますか、そのとき何を優先していましたか、です。詰問ではなく、判断の背景を確認します。

事情を聞いても、期待行動を曖昧にしてよいわけではありません。制約を踏まえたうえで、次回に変える行動を一緒に選びます。

手順4|次の行動を一つに絞る

改善行動は一つに絞ります。複数の課題を一度に並べると、部下はどれから変えるべきか分からなくなり、次回の確認も曖昧になります。

例文は、次回の会議では、事前に論点を一つ選んでチャットで共有してください、です。期限、行動、確認方法をセットにします。

本人の言葉で言い換えてもらうと、理解のずれを確認できます。上司の期待と違う場合は、その場で行動の粒度を調整します。

手順5|1on1でフォローを記録する

最後に、1on1でフォローを記録します。ネガティブフィードバックを一度の指摘で終えると、改善したかどうかを確認しにくくなります。

記録する項目は、扱った事実、本人の認識、合意した次アクション、確認日です。評価の粗探しではなく、成長支援の履歴として残します。

記録の型を整える場合は、1on1メモの残し方も参考になります。

場面別の例文とNG表現

例文は、そのまま読み上げる台本ではなく、事実、影響、期待行動を分けるための型です。場面に合わせて、実際に起きた行動へ置き換えます。

良い行動を伸ばす伝え方と対比したい場合は、ポジティブな声かけの例文も確認できます。

期限遅れを伝える例文

期限遅れを伝える例文は、昨日の資料共有が当日朝になり、参加者が事前に確認する時間を取れませんでした、です。次回は前日17時までに下書きを共有しましょう、と続けます。

NG表現は、いつも遅い、責任感がない、です。頻度や性格をまとめて責めると、相手は今回どの行動を変えるべきかを選べません。

本人に事情がある場合は、次回の途中共有や相談タイミングを調整します。期待基準を下げるのではなく、実行できる手順に変えます。

会議で発言が少ないときの例文

会議で発言が少ないときは、今日のA社論点の場面で発言がありませんでした。事前に見ていた懸念があれば、その場で一つ共有してほしいです、と伝えます。

発言量だけを責めると、部下は無理に話すことを目的にしがちです。求めるのは発言数ではなく、判断に必要な情報共有だと説明します。

次回行動は、会議前に論点を一つメモし、発言タイミングを決めるなど小さくします。本人が準備できる形に落とします。

顧客対応の改善を促す例文

顧客対応では、昨日の問い合わせ返信で確認先が書かれておらず、顧客が次に待つ内容を判断できませんでした、と具体化します。次回は期限と確認先を明記しましょう、と続けます。

顧客に失礼だ、対応が雑だ、という言い方は抽象的です。実際の文面、顧客が困った点、次回入れる情報を分けると改善しやすくなります。

顧客対応の改善は緊急度が高い場合があります。その場合も、感情ではなく最低基準を示し、次回の確認フローを具体化します。

感情的に聞こえるNG表現

感情的に聞こえるNG表現は、なぜできないの、前にも言ったよね、やる気がないの、です。相手の内面や過去の不満をまとめて責める形になります。

修正版は、今回扱う事実を一つ選び、次回行動へつなげます。前回も同じ課題があった場合は、記録を確認しながら改善条件を話します。

言い換えに迷う場合は、主語をあなたの性格から、今回の行動と次回の基準へ移します。これだけで対話の焦点が変わります。

人事がマネージャーへ展開するときの注意点

人事がネガティブフィードバックを組織へ展開する場合、例文配布だけでは不十分です。観察基準、記録、評価との接続、対話の前提をそろえます。

評価面談でのフィードバック運用まで整える場合は、評価後の面談で納得感を作る進め方も委ね先になります。

記録や運用をツールで支えたい場合は、フィードバック支援ツールの比較観点を先に確認すると、要件を整理しやすくなります。

例文だけ配らず観察基準をそろえる

例文だけを配ると、マネージャーごとの観察粒度はそろいません。同じ期限遅れでも、何を事実として扱うかが人によって変わるためです。

人事は、場面、行動、影響、期待行動の記録欄をそろえます。例文はその欄を埋めるための補助として使うと、現場で応用しやすくなります。

フィードバックの基本整理は、ビジネスにおけるフィードバックの意味と合わせて確認できます。

記録と評価基準をつなげる

日常のネガティブフィードバックは、評価のための粗探しではなく、成長支援の記録として扱います。ただし、評価基準と完全に切り離すと改善の意味が曖昧になります。

記録には、評価点ではなく、合意した行動とその後の変化を残します。評価面談では、期間中の行動変化を根拠として説明できます。

評価面談での伝え方を分けたい場合は、フィードバック面談の目的と手順を委ね先にします。

心理的安全性が低い職場では対話の前提を整える

心理的安全性が低い職場では、型だけを導入しても部下は指摘を評価や処罰として受け止めやすくなります。反論や事情説明を聞く前提を整えます。

マネージャーには、本人の認識を確認する質問を必ず入れるようにします。職場での人材育成を設計する際は、厚生労働省の人材開発情報も参照し、育成施策として位置づけます。

1on1の心理的安全性を整えたい場合は、1on1と心理的安全性の関係を確認できます。

参考:厚生労働省 人材開発では、職業能力開発に関する政策情報が公開されています。職場での育成施策を設計する際の外部情報として確認できます。

よくある質問

ネガティブフィードバックはパワハラになりませんか?

人格を否定せず、観察した事実、業務への影響、期待する行動を分けて伝えることが前提です。威圧や侮辱ではなく、次の行動を合意する対話として記録します。重大事案は人事手続きに分けます。

部下が落ち込んだ場合はどう対応しますか?

まず受け止めを確認し、事実と期待行動を短く整理し直します。その場で結論を急がず、次回までに試す小さな行動を一つに絞ると、改善への負担を下げられます。必要に応じて1on1で再確認します。

ネガティブフィードバックはメールで伝えてもよいですか?

軽微な確認ならメールでも可能ですが、感情的に受け取られやすい内容は対話で扱う方が安全です。メールでは事実と依頼だけを短く書き、背景や次の行動は1on1で確認します。記録は合意内容に絞ります。

まとめ|ネガティブフィードバックは次の行動を合意する対話

ネガティブフィードバックは、部下を責めるためではなく、期待との差分を修正して次の行動を合意する対話です。事実、影響、期待行動を分けると、相手が変えるべき行動を理解しやすくなります。

伝える前には、観察した事実、仕事への影響、期待する行動を準備します。伝える場面では、目的共有、SBI、認識確認、行動合意、1on1フォローの順に進めます。

ネガティブな内容を1on1で継続的に扱いたい場合は、以下の実践ガイドもあわせてご確認ください。


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