人事評価でやる気をなくす理由とは?やる気を高める方法や対策を解説!

社員が人事評価に納得できず、やる気をなくしてしまえば、生産性の低下や離職率の増加といったリスクを引き起こす可能性があります。

実際に、人事評価後に従業員から「評価に納得できない」「不満を感じる」という声を受ける評価者や人事担当者は多いのではないでしょうか。社員にとって、人事評価は昇給や昇格のチャンスであり、その結果は今後の仕事へのモチベーションに大きな影響を与えます。社員のモチベーションを高めるためには、人事評価の結果を明確に伝え、納得できる内容であることが重要です。これにより、社員の成長を促進することが求められます。

そこで、この記事では、社員が人事評価でやる気をなくしてしまう理由と、その対策方法をご解説します。本記事を参考に、従業員の不満を解消し、評価制度が適切に機能するように対策することで、従業員の満足度と自社の業務パフォーマンスを向上させるための参考にしてみてください。

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人事評価で従業員がやる気をなくす原因とは?

人事評価では公平性や透明性を担保することが重要です。多くの会社・企業は、一定の評価基準を設けて、公平性や透明性に配慮しているかと思います。しかし、勤務先の人事評価制度に不満を抱え、やる気をなくしてしまっている従業員も多いです。

人事評価制度への満足度を向上させるためには、社員が人事評価でやる気をなくす要因を把握しておくことが求められます。

では具体的に、人事評価制度のどのような点が原因で従業員はやる気をなくしてしまうのでしょうか。
人事評価で従業員がやる気をなくす原因としては、下記の5つのケースが考えられます。

  1. 評価基準が不明確
  2. 評価理由が説明されず不明瞭
  3. 上司との信頼関係が構築されていない
  4. 結果のみの評価への不満
  5. 自己評価が高い

それぞれの具体的な内容について、以下にご説明します。

原因1:評価基準が不明確

人事評価で従業員がやる気をなくす原因の1つ目は「評価基準が不明確」であることです。

アデコ株式会社が実施した意識調査によると、「人事評価制度に不満を感じる理由はなにか」について、回答者のうち62.8%が「評価基準が不明確」であることと回答しました。実に6割以上の従業員が評価基準の不明瞭性に対して不満を抱いていることになります。

引用)アデコ株式会社「「人事評価制度」に関する意識調査」

評価基準が不明確である場合としては、以下のような例が考えられます。

  • 評価基準が上層部の暗黙知として扱われており、明文化されていない
  • 評価基準は明文化されているが、従業員に公開されていない
  • そもそも明瞭な評価基準が存在しない

従業員側から見て評価基準が不明瞭であいまいなものであると、公平に感じられず、その評価に納得感があるものとはいえないでしょう。何を重視して評価しているのか、好き嫌いなど個人的な感情に基づいているのではないのか、と不信感を感じさせてしまっている可能性もあります。

評価基準を明文化したり、目標達成度と紐づけるなど、納得感を得られやすいものにすることが求められます。

原因2:評価理由が説明されず不明瞭

人事評価で従業員がやる気をなくす原因の2つ目は「評価理由が説明されず不明瞭」であることです。

評価の結果が伝えられても、その理由が説明されないと、従業員は自分のどの点が評価されたのか、あるいは評価が低かった理由が何なのかを理解できません。

例えば、ある営業担当者が年間の売上目標を達成したにもかかわらず、評価の際に「リーダーシップが不足している」という理由で低い評価を受けたとします。このとき、そのリーダーシップに関して具体的に何が足りなかったのかが説明されなければ、その従業員は自分のどこを改善すべきかがわからず、次のステップが見えません。

売上目標を達成したのに低評価を受けたことで、努力が報われないと感じ、モチベーションを失ってしまう危険性があります。

評価理由が不明瞭であれば、従業員は自己成長の指針を見失い、評価制度に対して不満を抱くことにつながります。評価は従業員にとって重要なフィードバックの機会であり、具体的な説明がないと、その価値が半減し、モチベーションの低下につながる可能性が高いでしょう。

原因3:上司との信頼関係が構築されていない

人事評価で従業員がやる気をなくす原因の3つ目は「上司との信頼関係が構築されていない」ことです。

人事評価において、上司との信頼関係は非常に重要な要素です。もし部下が上司を信頼していなければ、どれだけ公平な評価を受けたとしても、その内容に納得感を持つことが難しくなります。

例えば、ある社員が新しく異動してきた上司に対して、まだ信頼関係が十分に築けていない状況だとしましょう。この上司から「もっと積極的にプロジェクトをリードしてほしい」という低めの評価を受けた場合、その社員は「この上司は自分の努力をきちんと見ていない」と感じ、評価に納得できないかもしれません。

また、自己評価では高く評価していた部分が低く見積もられた場合には、「どうせ何をしても評価されない」と感じてやる気を失ってしまうこともあります。

このように、信頼関係が不十分だと、どれだけ評価自体が正当であっても、従業員がそれを受け入れることが難しく、結果的にモチベーションの低下につながります。

原因4:結果のみの評価への不満

人事評価で従業員がやる気をなくす原因の4つ目は「結果のみの評価への不満」があるためです。

評価において、結果だけが評価対象となり、過程が評価されにくいというような場合も、従業員がやる気をなくす要因になりかねません。

例えば、ある社員が目標達成に向けて多くの試行錯誤や努力を重ねたにもかかわらず、結果として目標に達しなかった場合、評価は低くなってしまいます。このようなケースで、上司が結果だけを見て評価を下した場合、その社員は「どれだけ頑張っても結果しか見てもらえない」と感じ、やる気を失ってしまうことがあります。過程での努力や工夫が評価されないと、次の挑戦に対するモチベーションが下がり、成果を出そうという意欲も薄れてしまうでしょう。

結果を重視する評価制度でも、フィードバックの際に努力やプロセスを認めることで、従業員のやる気を維持することが重要です。

原因5:自己評価が高い

人事評価で従業員がやる気をなくす原因の5つ目は「自己評価が高い」ことです。

被評価者の自己評価が高すぎると、会社からの評価に過度な期待を抱き、実際の評価とのずれから、仕事へのやる気をなくしてしまいます。

例えば、自分では努力していると思っていても、評価者や周囲の評価がそれに伴わないことがあります。本人は一生懸命に仕事に取り組んでいると考え、自己評価が高くなることで良い評価を期待します。しかし、評価者の視点から見ると、たとえ努力が認められても結果が伴わなかったり、努力の方向性が誤っている場合、評価が低くなることも多々あります。このように、自己評価よりも低い評価をされたとき、人事制度に対して非常に強い不満を抱くきっかけとなってしまいます。

自身の評価と会社からの評価にギャップが生じると、社員は評価に納得できなくなり、やる気をなくしてしまうでしょう。

従業員のやる気をなくす上司の対応

人事評価制度は、浸透させることはもちろん、上司と部下の関係を深める役割も担っています。評価制度の改善を図っていたとしても、それを運用する上司が適切な対応をできていなければ、結果的に従業員はやる気をなくしてしまうでしょう。

そこで、ここでは従業員のやる気をなくす上司の対応について、以下の3つのポイントを解説します。

結果のみを伝えて評価結果の説明をしていない

従業員のやる気をなくす上司の対応の1つ目は「結果のみを伝えて評価結果の説明をしていない」ことです。

結果を伝えるだけでは、従業員は自分の努力がどのように評価されたのかを理解できず、次に何を改善すれば良いのかが見えなくなってしまいます。これでは、従業員は上司からの評価を不服に思い、やる気を失ってしまう可能性があります。

例えば、ある従業員が難易度の高いプロジェクトに取り組み、何度も工夫を凝らして最善を尽くしたものの、最終的に目標に達しなかったとします。このとき、上司が「目標未達成」という結果だけを伝え、具体的な評価理由や努力に対するコメントを一切しない場合、従業員は「どれだけ頑張っても結果しか見てもらえないのか」と感じ、やる気を失ってしまうでしょう。

結果を重視するのは大切ですが、評価の際には、努力した過程や取り組み姿勢にも目を向け、その点をフィードバックに反映させることが必要です。これにより、従業員は次のチャレンジに対するモチベーションを維持することができます。

来期へのフィードバックを実施していない

従業員のやる気をなくす上司の対応の2つ目は「来期へのフィードバックを実施していない」ことです。

評価が終わった後に、来期に向けた具体的なフィードバックが行われないと、従業員は自分の成長や改善点についての方向性を持てません。単に過去の成果を評価するだけでは、今後どのように進歩すべきかが不明確で、次に何を目指せばよいのかが見えてこないでしょう。

例えば、ある従業員が今年の成果についての評価を受けたものの、その後のフィードバックがなく、どのスキルや知識を強化するべきか、来期に向けてどう取り組むべきかが示されないとします。このような場合、従業員は「評価後に何を改善すればよいのかがわからない」と感じ、次のステップに対する意欲を失ってしまうことがあります。

来期に向けた具体的なアドバイスや目標設定を行うことで、従業員は自分の成長に対する意識を高め、モチベーションを活性化させることができます。

評価エラーが発生している

従業員のやる気をなくす上司の対応の3つ目は「評価エラーが発生している」ことです。

評価エラーとは、評価者の無意識のバイアス・先入観などが影響して誤った評価が生じることを指します。これにより、従業員は評価が公正でないと感じ、やる気を失ってしまうことがあります。評価エラーが発生すると、従業員の努力や成果が正しく評価されず、逆に不公平な結果が反映される可能性があります。

例えば、ある従業員がチームプロジェクトで重要な役割を果たし、プロジェクト成功に大きく貢献したにもかかわらず、上司がプロジェクトの貢献度を誤って低く評価してしまったとします。このような評価エラーが発生すると、従業員は「自分の貢献が正当に評価されていない」と感じ、モチベーションを失ってしまうかもしれません。

評価エラーを防ぐためには、評価基準を明確にし、評価プロセスを透明にすることが重要です。正確で公正な評価を行うことで、従業員の信頼を得て、やる気を維持することができます。

人事評価でやる気をなくす従業員を発生させない対策

ここまでご説明してきたように、人事評価によって社員がやる気をなくしてしまう要因はさまざまあり、会社にとっては大きなリスクにつながる可能性があります。そのため、人事評価制度を見直し、社員にとって納得度の高い制度にすることが求められます。

ここでは、人事評価でやる気をなくす従業員を発生させないための対処法について、6つのポイントをご説明します。いずれも評価制度の信頼性や妥当性を高めるために欠かせないポイントです。人事評価制度の見直しにあたり、意識すべき点を把握しておきましょう。


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評価基準を明確にする

人事評価でやる気をなくす従業員を発生させないための1つ目の対策は「評価基準を明確にする」ことです。

人事評価を行う上では、評価基準を明確化することが重要です。人事評価を行うのはあくまでも人間であり、評価基準が曖昧であると評価者の主観が強く反映されやすくなり、人事評価エラーが生じる原因となります。

例えば、営業成績の評価を行うとき、その基準が曖昧な場合、営業担当者AとBが同じ成績を上げても、評価者の主観で評価にバラツキが出てしまうことになります。こういった問題を防ぐために、具体的な評価項目を明確に定義し、それを評価者に徹底して周知することで、基準に基づいた客観的な評価が可能になります。

評価基準が明確であれば、不公平な人事評価の発生を抑制し、公正で納得感のある評価を浸透させることができます。

プロセスへの評価も導入する

人事評価でやる気をなくす従業員を発生させないための2つ目の対策は「プロセスへの評価も導入する」ことです。

結果だけでなく、その過程や努力も評価の対象にすることで、従業員のモチベーションアップにつながります。プロセスへの評価を導入することで、従業員の取り組みや成長を正当に評価し、成果だけでなくその過程での努力や工夫も認めることができます。

例えば、ある従業員が新しいプロジェクトに挑戦し、困難な問題に対して試行錯誤しながら解決策を見つけていったとします。プロジェクトの最終結果が期待した成果に届かなかった場合でも、その過程での努力や問題解決のアプローチが評価されることで、従業員は「自分の努力が認められた」と感じることができます。これにより、評価結果に対する納得感が得られ、次回のチャレンジに対する意欲を持ち続けることができます。

このように、プロセスへの評価を取り入れることで、従業員の努力や成長を適切に評価し、やる気を維持する環境を整えることができます。

普段から評価者と被評価者のコミュニケーションを促進する

人事評価でやる気をなくす従業員を発生させないための3つ目の対策は「普段から評価者と被評価者のコミュニケーションを促進する」ことです。

人事評価を行う際には、評価者と被評価者との積極的なコミュニケーションが重要です。日頃からコミュニケーションをとることで、より適切なフィードバックも可能になります。

評価項目に含まれる従業員の目標や価値観、仕事のプロセスなどは、従業員から直接聞き取らなければ十分には把握できません。また、従業員が評価に納得しない場合も、コミュニケーションを通じて評価理由や双方の考えを明確にすることが必要です。

査定の時期に限らず、頻繁にコミュニケーションをとり、期初に設定した目標に対する進捗状況や期末に向けて取り組むべき課題についてフィードバックやサポートを行いましょう。これにより、評価者と被評価者の間の信頼関係を築き、評価に対する認識のズレを調整することができます。

評価後のフィードバックを実施する

人事評価でやる気をなくす従業員を発生させないための4つ目の対策は「評価後のフィードバックを実施する」ことです。

従業員が人事評価に不満を感じている場合は、やる気をなくすのを防ぐために、評価後のフィードバックを充実させることが効果的です。
一般的なフィードバックの例としては、以下のような観点が挙げられます。

  • 評価基準の説明
  • 改善すべき点
  • 次回までの目標
  • 具体的なアドバイス
  • 期待していること

各従業員に個別の面談を設け、上記のようなポイントを伝えましょう。評価に必要な情報を効率的に把握することはもちろん、より適切なフィードバックを実践することができます。人事評価の目的は、評価を通じて仕事のやり方を見直し、従業員の成長を促すことであり、納得感のある評価を実現するためにも、適切なフィードバックが欠かせないと言えるでしょう。


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1on1ミーティングを実施する

人事評価でやる気をなくす従業員を発生させないための5つ目の対策は「1on1ミーティングを実施する」ことです。

1on1ミーティングでは、1on1シートなどを活用し、ミーティングの記録をとります。そして期末に1on1の記録を振り返ることで、社員がどんな目標を達成を立てているのか、達成したのかどうか、目標に対してどんな創意工夫をしたのかなどの進捗をチェックすることができます。また、評価期間中でも、現在のままで進んだ場合に、どういう評価になるのかを社員に伝えることができるため、納得感の低下原因である「自己評価とのずれ」が起こりづらくなります。

また、目標以外でも「最近、会社に貢献していることはある?」と聞くことで、社員から「実は後輩を育成しようと思っていて、毎日30分相談に乗っている」などというように、普段の業務ではわからない情報も評価に組み込むことができます。

このように、1on1ミーティングを導入し、記録を残すことで社員の評価の根拠が明確になり、納得感のある評価を行ったうえで、被評価者への説明も簡単にできるようになります。


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評価者教育・評価者研修を実施する

人事評価でやる気をなくす従業員を発生させないための6つ目の対策は「評価者教育・評価者研修を実施する」ことです。

社内での評価基準を一定にするために、評価者教育や評価者研修を実施することが効果的です。評価者の中には、不確かな方法で評価している評価者がいる場合があり、その影響で評価にばらつきが生じ、公平性が保たれなくなる恐れがあります。

公正な人事評価を実施するには、評価基準や評価方法などの知識を評価者が正確に理解し、共通認識を持てている状態が望ましいです。

そのために、社内の有識者や外部のサービスを活用して評価者研修を行うことを検討してみてはいかがでしょうか。人事評価の目的や注意すべき点、正しい考え方について学び、評価スキルを総合的に向上させることで、より公正かつ納得度の高い評価を遂行できます。

部下のやる気を高めるフィードバックのポイント

また、部下のやる気を高めるためには、フィードバックを工夫することも重要です。
ここでは、部下のやる気を高めるフィードバックについて、3つのポイントをご説明します。

評価期間中も定期的にフィードバックを実施する

部下のやる気を高めるフィードバックの1つ目のポイントは「評価期間中も定期的にフィードバックを実施する」ことです。

評価期間中に定期的なフィードバックを行うことで、部下は自分の現在の評価位置を把握し、必要な改善点やアクションプランを明確にすることができます。評価の進捗状況を共有し、より良い評価を得るための具体的なアドバイスを提供することで、部下は自己評価と実際の評価とのずれを少なくすることができます。

例えば、あるプロジェクトに取り組んでいる部下が、定期的なフィードバックを受けることで、自分の進捗や成果がどのように評価されているかを把握できるとします。この場合、上司と共に改善点や次に取るべきアクションを議論することで、部下は評価結果に対する不安を減らし、次の目標に向けた具体的な取り組みが可能になります。

評価期間中に定期的なフィードバックを行うことで、部下のモチベーションを維持し、より効果的なパフォーマンス向上に繋がるのです。

根拠があるフィードバックをする

部下のやる気を高めるフィードバックの2つ目のポイントは「根拠があるフィードバックをする」ことです。

根拠に基づいたフィードバックを行うことで、部下は自分の評価や改善点が具体的で役立つものであると感じることができます。これにより、フィードバックが単なる主観的な意見ではなく、明確な理由に基づいていることを理解しフィードバックが受け入れやすくなります。

例えば、ある部下がプロジェクトの進捗について評価を受けたとき、上司が「あなたの報告は不十分だった」と伝えるだけでは、部下は何が不十分なのか具体的にわからず、改善の方向性を見失う可能性があります。しかし、具体的な根拠を示しながら「報告書の〇〇の部分のデータ分析が不足していたため、プロジェクトの進捗が正確に把握できなかった」と説明することで、部下はどの部分を改善すべきかを理解しやすくなります。

根拠に基づいたフィードバックは、部下が自分のパフォーマンスを客観的に評価し、実行可能な改善策を見つけるための手助けとなり、やる気を高める効果があります。

ポジティブな内容を伝える

部下のやる気を高めるフィードバックの3つ目のポイントは「ポジティブな内容を伝える」ことです。

フィードバックが単なる指摘ばかりになると、部下は「フィードバックはネガティブな指摘を受ける場」という印象を持ち、次回のフィードバックに対する抵抗感や不安を抱くことがあります。このため、ポジティブな内容も取り入れてフィードバックを行うことが重要です。

例えば、1on1ミーティングなどで部下の努力を認めることから始めると良いでしょう。「休日にもセミナーに参加してサービスの勉強をしているなんて、素晴らしいですね」「競合資料を問い合わせて一覧表を作ったのは、さすがです」といった具体的なフィードバックを伝えることで、部下は自分の努力や成果が認められていると感じ、モチベーションが向上します。これにより、フィードバックが指摘だけでなく、成長を促すものだと受け入れやすくなります。

ポジティブな内容を交えたフィードバックは、部下に安心感を与え、より効果的なコミュニケーションを実現できるでしょう。


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やる気を高める人事評価制度の種類

最後に、社員のやる気を高める具体的な人事評価制度についてご紹介します。
主な人事評価制度は下記の6種類です。

  1. バリュー効果
  2. 360度評価
  3. コンピテンシー評価
  4. MBO(目標管理制度)
  5. OKR

それぞれの評価方法と特徴について、以下にご説明します。

1. バリュー評価

バリュー評価とは、企業が大切にする価値観(バリュー)に基づいて行動規範を定め、それを従業員がどれだけ実践できたかを評価する制度のことを指します。これは、仕事の成果だけでなく、従業員の姿勢や価値観に基づいた仕事への取り組み方も重視する点で、他の評価制度とは異なります。

バリュー評価のプロセスは、まず企業の価値観を明確にし、その価値観に基づいた評価項目を設定します。次に、これらの項目を数値化し、フィードバック方法を決めて運用します。これにより、企業が求める人物像や価値観を組織内に浸透させることが期待できるのが大きなメリットです。
さらに、バリューに沿った行動が評価されるため、従業員の意識が高まり、企業の成長に寄与する行動が促されます。単に業績だけでなく、業務に取り組む姿勢やプロセスも評価されるため、従業員の納得感を得やすいでしょう。逆に、数字で結果を出している従業員であっても、企業の価値観に沿っていない場合、評価が下がることもあります。

一方で、バリュー評価は明確な基準がないため、主観的な判断が入りやすいというデメリットがあります。そのため、評価対象となる行動や価値観を具体的に設定し、従業員にしっかりと伝えることが重要です。

2. 360度評価

360度評価とは、関係する複数の従業員が評価者となり、評価対象者を多面的に評価する制度のことを指します。上司や人事担当者など上の立場の人からだけでなく、部下や同僚なども評価者に含まれます。

公正な評価のためには、多面的な視点を取り入れ、偏りを防止することが重要です。1人の評価者による評価の場合、評価者の主観やバイアスが評価に影響を与えることで、公平性が保たれなく恐れがあります。
それに対して、360度評価では、多くの人が評価に関わるため、客観性が担保されて公正な評価になりやすい仕組みであると言えます。評価対象者にとっても納得しやすい評価となるのでモチベーションの維持向上にもつながるでしょう。

ただし、「従業員数が少ないと誰が評価者かわかってしまう」「全評価者の情報を集約しなければならない」「評価者間で馴れ合いが生じる場合もある」などのリスクが考えられるため、注意が必要です。

3. コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、仕事において優れたパフォーマンスを発揮する従業員の行動特性(コンピテンシー)を基準とした人事評価です。コンピテンシーをもとに、評価項目を設定して評価を行います。成果を出している人材の行動特性をもとに評価を行なうことで、同じように優秀な人材を育成することを目的としています。

下記は、コンピテンシー評価の基本的な評価要素の一覧です。

  • タイムマネジメント
  • リスクテイクの判断
  • 対人交渉能力
  • 説明責任を果たす能力
  • ストレス管理

上記の評価要素を踏まえ、優秀な人の態度や行動、価値観などの共通点を抽出し、それをもとに判断するという流れのため、評価の公平性を担保しやすいメリットがあります。

また、コンピテンシー評価の導入は、社員のパフォーマンス向上や適切なキャリアパスなどに効果的です。納得感のある人事評価制度の設計にもつながるため、社員がやる気をなくすのを防ぎ、効率的な人材育成を実現させることにも役立ちます。

4. MBO(目標管理制度)

MBO(目標管理制度)とは、「Management(管理)by Objectives(目的)」の頭文字をとったものであり、従業員自身が組織目標とリンクした個人目標を決め、その進捗状況や達成状況に応じて評価する制度のことを指します。

MBO(目標管理制度)のメリットとしては、自己管理によるマネジメントが可能になることや、従業員のモチベーションが向上することが挙げられます。従業員は自分で自分の仕事を管理するため、決定した目標を達成するために強い責任感のもと、自主的かつ自律的に行動することが期待されます。

また評価に対する納得度が高いという点もMBO(目標管理制度)の特徴です。従業員の目標達成は、同時に企業側の目標達成にも通ずるため、両者がともに成長していける評価制度と言えます。

5. OKR

OKRとは、「Objectives(目標)and Key Results(主要な結果)」の頭文字をとったものであり、大きな目標とその達成を測るための具体的な指標を設定し、評価する手法です。企業が目指すべき目標と社員個人の目標をリンクさせ、すべての社員が一丸となって同じ方向を向き重要課題に取り組むことを目的としています。

特徴は、個人と企業の目標をリンクさせて、目標設定・進捗確認・評価という一連の流れを高い頻度で行う点にあります。OKRは、社員および企業全体がモチベーションをアップさせるために、「容易には達成できない高い目標」を掲げ、達成率が60〜70%程度となるのが理想とされています。

組織と従業員の目標に関連性を持たせ、進捗確認や成果に対する評価を頻繁に実施することで、一体感をもって計画的に業務を推進できるというメリットがあります。

まとめ

この記事では、人事評価で社員がやる気をなくす理由について、その原因と対策方法を解説してきました。

社員が評価に納得できず、やる気をなくしている状況が続くと、さまざまな弊害が生じる恐れがあります。やる気をなくすのを防ぐためには、その原因を把握したうえで、自社の現状や時代背景に即した人事評価制度を整えることが重要です。

本記事を参考に、社員の評価に対する不満を解消し、「人事評価に納得できない」「モチベーションが低下している」という声があがらないように、適切な評価制度の構築に努めましょう。

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