リテンションとは?人材流出を防ぐ施策と成功事例をわかりやすく解説

▼ この記事の内容

リテンションとは、優秀な人材の流出を防ぎ組織に定着させる取り組みです。本記事では、従業員が離職する主な原因から、リテンション強化の5ステップと5つの戦略まで体系的に解説します。

人材の流出が止まらない組織では、採用コストと育成コストの二重負担が経営を圧迫します。ある調査では、従業員1人の入れ替えにかかるコストは年収の50〜200%に達するとも言われています。

本記事では、リテンションの基本的な意味から、従業員が離職する主な原因、そして離職を防ぐための具体的な施策とステップまでを体系的に解説します。自社のリテンション課題を特定し、実効性のある施策を設計するための指針としてお役立てください。


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リテンションとは

リテンション(retention)とは、優秀な人材を組織に定着させるための取り組み全般を指します。具体的には、報酬制度の整備やキャリア開発の支援、職場環境の改善など、従業員が「この組織で働き続けたい」と感じる仕組みづくりが含まれます。

リテンションが重要視される背景には、離職がもたらすコストの大きさがあります。採用費や研修費だけでなく、退職者が担っていた業務の引き継ぎ負荷、残ったメンバーの士気低下まで含めると、組織全体の生産性に深刻な影響を与えます。

とくに専門性の高いポジションや管理職層の離職は、ナレッジの喪失と顧客関係の断絶を招きやすく、損失額は単純な人件費の比較では測れません。リテンション施策を「コスト」ではなく「投資」として捉え、計画的に取り組むことが求められます。

離職率を総合的に改善する方法については、以下の記事もあわせてご覧ください。

離職率を下げる方法と成功事例|自社に合う施策の選び方

従業員が退職する主な理由

従業員の離職理由は多岐にわたりますが、大きく「企業がコントロールできない要因」と「企業がコントロールできる要因」の2つに分類できます。定年退職や家庭の事情による退職は前者にあたり、組織として対処が難しい領域です。

一方で、離職理由の多くは組織がコントロールできる要因に集約されます。代表的なものは以下のとおりです。

  • キャリアアップの機会が不足している
  • 報酬が市場水準に対して競争力がない
  • 上司のマネジメントに問題がある
  • 仕事内容に成長実感や達成感がない
  • 職場の人間関係やコミュニケーションに問題がある
  • 長時間労働や過重な業務負荷による燃え尽き

これらの要因の根底にあるのは、仕事への不満とエンゲージメントの低下です。つまり、リテンション施策を考えるうえでは「従業員のエンゲージメントをいかに維持・向上させるか」が核となります。

新入社員が早期に辞めてしまう原因と対策について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になります。

新人・新入社員が会社をすぐ辞める理由とは?離職防止対策・退職によるデメリット

リテンション強化の5つの方法とステップ

リテンション施策を効果的に進めるには、思いつきで制度を導入するのではなく、データに基づいて課題を特定し、戦略的に実行することが重要です。以下の5つのステップで進めると、自社に合った施策を設計しやすくなります。

離職率を測定する

リテンション改善の第一歩は、自社の離職率を正確に把握することです。とくに注目すべきは「自発的離職率」で、以下の計算式で算出します。

自発的離職率 =(一定期間の自発的離職者数 / 同期間の平均従業員数)x 100

計算する際は、分子と分母の期間・母集団を統一してください。部門別や職種別に算出すると、どの領域に問題が集中しているかが明確になります。

アンケートを取る

エンゲージメントサーベイや従業員満足度調査を定期的に実施し、給与・福利厚生・マネジメント・ワークライフバランスに関する定量的なフィードバックを匿名で収集します。回答データから組織全体の傾向と改善すべき領域を特定できます。

ただし、アンケート結果は問題の所在を示すものの、解決策までは教えてくれません。具体的な対策を検討するには、次のステップで質的なデータを収集する必要があります。

滞在・退職者へのインタビューを行う

退職者インタビューでは、既に退職した社員から率直なフィードバックを得られます。在職中は言いにくかった本音が聞けるため、組織が気づいていなかった課題の発見につながります。

あわせて、在職者インタビュー(ステイインタビュー)も実施しましょう。現在の従業員に「何がこの会社に留まる理由か」「何が改善されれば長く働きたいか」を直接聞くことで、予防的な施策を設計できます。

十分な人数のインタビューを終えたら、フィードバックのなかから繰り返し出現するテーマを抽出し、優先順位をつけて対応策を検討します。

従業員のフォーカスグループを作る

主要な改善テーマが特定できたら、部門横断の少人数グループで解決策を議論します。実際に影響を受ける従業員の声を取り入れることで、施策の精度が上がります。

フォーカスグループには、施策への賛同を事前に形成する効果もあります。新しいプログラムの展開時に現場の反発を最小限に抑えるために有効です。

戦略を実行する

調査結果と解決策の提案を経営陣に提出し、承認を得て施策を実行に移します。実行段階では、施策ごとにKPIを設定し、定期的に効果を測定して改善を続けることが重要です。

施策の優先順位に迷う場合は、以下の記事で紹介している選定方法も参考にしてください。

離職率改善施策を解説!定着強化できない企業の特徴・おすすめコンサル会社


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リテンションを強化する5つの戦略

前章のステップで課題を特定したら、具体的な施策に落とし込みます。ここでは、多くの組織で効果が実証されている5つのリテンション戦略を紹介します。

競争力のある報酬

報酬が市場水準を下回っていると、従業員はより条件の良い企業に流れやすくなります。給与だけでなく、福利厚生・休暇制度・健康支援プログラムまで含めた総報酬パッケージで競争力を確保することが重要です。

自社の報酬水準を定期的にベンチマーク調査で確認し、同業種・同地域の企業と比較して著しく劣っている部分がないかを点検しましょう。報酬の公正さが担保されてはじめて、ほかの施策が効果を発揮します。

育成や能力開発のプログラム

キャリアアップの機会不足は、離職理由の上位に常にランクインします。とくにハイパフォーマーほど自己成長への意欲が強く、学びの機会がない環境からは早期に離脱する傾向があります。

カンファレンスへの参加支援、社内メンター制度、現在の能力を超える業務への挑戦(ストレッチアサインメント)など、多様な成長機会を整備しましょう。従業員のキャリア開発に投資することは、「あなたと一緒に成長したい」という組織の姿勢を示すことにもなります。

ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み

すべての従業員が歓迎されていると感じられる組織文化は、定着率の向上に直結します。たとえば、性別に中立な「育児休暇」の制度設計や、多様なバックグラウンドを持つ社員が活躍できる環境整備が具体的な第一歩です。

D&I の推進は一朝一夕には実現しませんが、小さな制度変更や言葉づかいの見直しから始めることで、組織全体の包摂性を段階的に高められます。

柔軟なリモートワークの制度

柔軟な勤務形態を提供することは、従業員のワークライフバランスを支え、忠誠心を高める有効な手段です。完全リモートに限らず、ハイブリッド勤務やフレックスタイムなど、自社の業務特性に合った柔軟性を検討しましょう。

従業員に「どこでも成果を出せる」という信頼を示すことが、組織への帰属意識を強化します。

社員表彰制度の設立

自分の貢献が認められていないと感じることは、離職の大きな要因になります。社内報での紹介、目標達成に対するインセンティブ、チームミーティングでの称賛など、形式を問わず定期的に従業員を表彰する仕組みをつくりましょう。

大規模な表彰制度でなくても、手書きの感謝メモや会議での一言など、小さな承認を日常的に行うだけで、従業員のエンゲージメントは大きく向上します。

従業員のエンゲージメントを組織全体で高める方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

エンゲージメントを高める5つの施策|低スコアの原因と改善ステップ

よくある質問

リテンションとは何ですか?人事領域での意味を教えてください

リテンション(retention)とは、優秀な人材を組織に定着させるための取り組み全般を指す用語です。報酬制度の見直し、キャリア開発支援、職場環境の改善などを通じて、従業員が長く働き続けたいと感じる仕組みを構築することがリテンションの目的です。

離職率を改善するためにまず取り組むべきことは何ですか

まずは自社の自発的離職率を正確に測定し、どの部門・職種で離職が集中しているかを把握することが出発点です。そのうえでエンゲージメントサーベイや退職者インタビューを実施し、離職の根本原因をデータで特定してから施策を設計してください。

リテンション施策はどのくらいの期間で効果が出ますか

施策の種類によって異なりますが、報酬制度の見直しやリモートワーク導入は比較的早期(3〜6か月)に離職率の変化として現れやすい傾向があります。一方、組織文化やマネジメント品質の改善は12か月以上かかることが一般的です。定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、中間指標の変化を追うことをおすすめします。

まとめ

リテンションとは、優秀な人材の流出を防ぎ、組織に定着させるための包括的な取り組みです。離職のコストは採用費だけにとどまらず、生産性の低下やチームの士気への影響まで含めると想像以上に大きくなります。

効果的なリテンション施策を進めるには、離職率の測定から始まり、アンケートやインタビューで課題を特定し、競争力のある報酬・育成機会・柔軟な働き方・D&I・表彰制度の5つの戦略に落とし込むことが重要です。思いつきではなく、データに基づいた改善サイクルを回すことで、従業員の定着率は着実に向上します。

離職防止の施策を体系的に進めたい方は、以下の資料もあわせてご確認ください。


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