1on1は公平な人事評価を実現する!評価への活用方法や評価面談との違いを解説!

1on1ミーティングは、部下の育成、成長支援やエンゲージメント向上の目的で活用されることが多いです。しかし、近年では、1on1制度を用いて公平な人事評価を実現し、実績を上げている企業が増えています。

そこでこの記事では、1on1ミーティングが人事評価に使える理由や1on1ミーティングのコツや実施ポイントについて詳しく解説します。

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1on1ミーティングとは?

1on1ミーティングとは、シリコンバレーで始まった施策で「1対1で部下と管理職などの上司が定期的に話す施策」のことを言います。実地目的としては、「部下の相談への対応」「部下のスキルアップ」「部下のキャリア支援」のような目的で実施することが多いです。

ただ、目的なく1on1を設定してしまい「1on1の効果が出ない」「1on1は意味ない」と言う企業も少なくありません。

また、1on1の最上位の目的は「会社の課題を解決すること」です。そのため、「メンバーの離職が多い」という課題が会社にあるのであれば「部下の不満や悩みを聞いて解決する機会」として1on1をするべきですし、「メンバーが成長しないため、業績が上がりにくい」という課題が会社にあるのであれば「メンバーを成長させる施策」として1on1をするべきです。

世間では「1on1は部下のための時間」と言われることが多いですが、「マネージャーから部下に指導やアドバイスができていない」という状態が会社にあるのであれば「マネージャーが部下に指導する場」として1on1をする事もあります。

以上のように1on1をする際は、「会社の解決したい課題は何か?」を整理してから実施すると成功しやすいのでおすすめです。


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1on1と人事評価面談との違い

1on1ミーティングは、上司と部下の1対1の面談であることから、人事評価面談と同じものだと考えてしまいがちです。しかし、実際は1on1と人事評価面談は大きく違います

1on1と人事評価面談の分かりやすい分け方としては、主体が上司と部下のどちらにあるかで簡単に分けることができます。人事評価では上司が主体となり、上司が適正な評価をするために部下に質問を行います。部下に対して評価を行い、目標や進捗について確認することが主な目的となります。部下が持つ悩みの解消などは面談の場で重視されません。

それに対して1on1では部下が主体です。評価や業務管理を目的とした評価面談とは異なり、1on1は部下の成長をサポートすることを目的としています。1on1を通じて、部下と人間関係を築きながら、部下がどんな将来像を描いているのか把握しそれを支援したり、部下の仕事上の課題を改善したりします。

また、実施する頻度も大きく異なります。評価面談は通常、四半期や半期に1回行うケースが多いです。
一方、1on1は週1または、月に1回は実施します。四半期や半期に一度では、なかなか部下が持つ悩みや課題をリアルタイムで把握できません。

1on1と人事評価面談の違いとしては、主体が部下と上司のどちらかにあるかを抑えるようにしましょう。

人事評価で不満が出る原因

近年仕事を辞めて転職する方が増えていますが、転職理由として「人事評価への不満」が多いです。
そこで、このセクションでは、人事評価で不満が出る原因について解説します。

評価の根拠が明確でない

従業員の人事評価への不満の中で「評価の根拠が明確でない」という原因が一番多いです。マネージャーは何人もの従業員の評価をしないといけない関係で、一人ひとりに明確な評価の根拠を示せてない事も多々あります。

特に定量で計りにくい仕事や、評価制度で定性評価の割合が大きい会社だとメンバーからの批判が多く寄せられてしまう事も多いので気をつけましょう。

人事評価の内容をメンバーが理解していない

マネージャーが評価制度や会社のルールに則り、評価の根拠を持って評価したとしてもメンバーが納得しないということは多いです。理由としては、人事評価の内容をメンバーが理解していないという事が挙げられます。

例えば、営業マンが人よりも多く売り上げを出したもののあまり評価をされなかったとします。一見、メンバーの不満が正しいようにも見えますが、会社としては売り上げも大事なものの、新しいメンバーのオンボーディングやチームへの施策を行う方を評価する評価制度だった場合、会社からの評価はあっておりメンバーの不満が間違っていることになります。

評価面談の最初と最後で内容が変わってしまっている

日本では期が始まる時と、期が終わる時に評価面談を行う事が多いです。そのため、期の始まりの評価面談では「個人の売り上げに注力してほしい」と言われていたものの、途中で社員が増えたので期の終わりの評価面談では「社員のオンボももっとして欲しかったから評価は平均くらいかな」と言われてしまい、メンバーが不満を持つことがあります。


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1on1ミーティングが人事評価に使える理由

このセクションでは、1on1ミーティングが人事評価に使える理由について解説します。

1on1の記録で評価の根拠が明確になる

1on1の記録をとることで、期末に1on1の記録を振り返り、メンバーがどんな目標を達成を立てているのか、達成したのかどうか、目標に対してどんな創意工夫をしたのかをみることができます。

また、目標以外でも、1on1の中で「最近、会社に貢献していることってある?」と聞くことで社員から「実は後輩を育成しようと思っていて、毎日30分相談に乗っている」などの普通に業務をしていてはわからない情報も評価に組み込むことができます。

従業員の人事評価制度の理解が促進される

1on1の時間の中で、「うちの会社は個人達成も大事だが、チームや仲間のために活動する人を評価したいと考えている」と伝えることで、その会社が求めるロールモデルについて理解してもらうことができます。

また、能力評価がある場合、会社の能力評価の項目のうち、メンバーの足りない能力を伝える事で会社が求める人物像のイメージが従業員に伝わっていきます。

定期的に評価のすり合わせができる

1on1の際に、「今のペースで目標達成してくれたら部門でも上位に入るから評価を一段階上げることができると思う」と伝えたり、「今も悪くはないんだけど、君にはチームビルディングも期待しているからそっちにも力を入れてくれないとなかなか評価しにくい」と伝えたりすることで、評価の目線合わせを従業員と行うことができます。

毎週行う必要はありませんが、月ですり合わせを行うようにすると良いでしょう。評価面談の中間に3ヶ月面談を用意して、そこで、「私はこういう理由であなたの評価をこれくらいにしようと思っているけど、私が知らない会社への貢献があったら教えてね!」と伝える事で、より納得のいく評価に近づくのでおすすめです。

1on1ミーティングの注意点・デメリット

1on1は影響力のある施策である一方、デメリットも多く存在します。
このセクションでは1on1のデメリットの概要について解説します。

現場の負担が大きい

1on1ミーティングの注意点の1つ目は、「現場の負担が大きい」ことです。1on1を効果的に実施することができれば、様々な恩恵を得ることができます。

しかし、1on1のメリットを最大限発揮するためには、1on1を高頻度で行うことが重要です。忙しい業務の中で、高頻度で1on1ミーティングを行うと、現場の負担が大きくなってしまいます。その結果、通常の業務の進行に問題が生じてしまうといった問題が起きてしまう事もあります。

1on1は短期的に結果を出すためのものではなく、長期的に持続可能な形で進めていくことが最も大切なことです。そのため、組織・チームの実態に則した頻度や時間を設定しましょう。おすすめの1on1の頻度は週1で一回30分ですが、状況に合わせて月1の1時間にしたり、一回の1on1の時間を15分で運用する事も視野に入れる事がおすすめです。

また、1on1を実施する際の負担を軽減させるために、組織共通のテンプレートのアジェンダや公式ルールを設定することも効果的です。弊社が提供する「Co:TEAM(コチーム)」のような1on1のツールを導入することも負担の軽減に効果的で、1on1の準備時間が半分になっただけでなく、話す内容も3倍になったという事例もあります。

「コチーム」は、1on1の負担を軽減させる機能が充実していますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

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効果が出るまで時間がかかる

1on1ミーティングの注意点の2つ目は、「効果が出るまで時間がかかる」ことです。

上記でも述べたとおり、1on1ミーティングの成果は、すぐに結果が出るものではなく、長期的に持続可能な形で進めていくことが重要です。

人の成長にはそれなりの時間がかかりますので、すぐに成果を求めず中長期的な視点で取り組むことが大切です。1on1の成果は早くて3ヶ月ですが、数年後に実感するというケースも少なくありません。また、1on1の効果を測定することは難しいと言われています。

そのため1on1を行う前と、1on1実施後にも同じアンケートをするなどして、早めに1on1の効果測定の準備をしておくことおすすめします。

効果的な1on1を実施し続けると必ず効果は現れますので、経営・人事戦略に則った1on1を実施できているか定期的に現場マネージャーたちの1on1を振り返りを行うようにしましょう。

形骸化しやすい

1on1ミーティングの注意点の3つ目は、「形骸化しやすい」ことです。

株式会社ビジネスコーチ株式会社の調査によると、約39.9%の企業が形骸化を問題視しており、50.9%の企業が習慣化・定着化をするための仕組みづくりを課題として設定しています。

1on1で一番よくある失敗例は、お互いに何を話していいかわからなかったり、事前準備が行われていなかったりすることで、「なんとなく実施しているミーティング」になり、形骸化してしまう事です。何のために行っているのか理解していない、周知されていないまま実施されていると、1on1ミーティングの効力が発揮されません。

さらに上司がわかっていても、部下が1on1の意義や活用方法を理解できていない可能性もあるので一人ひとりに丁寧に伝えるようにしましょう。

形骸化しやすい課題と対処法を段階ごとに解説している記事はコチラ!

上司にスキルが求められる

1on1ミーティングの注意点の4つ目は、「上司にスキルが求められる」ことです。1on1を効果的に実施するために、上司は部下の本音や部下自身も気がついていないような内容にもヒアリングすることが重要です。

そのため、上司は本音を引き出すようなテクニックや話しやすい雰囲気をつくるような1on1スキルが求められます。マネジメントスキルに長けている方と不得意な方では、1on1の質にばらつきが生じてしまいます。

1on1のルールやコミュニケーションのガイドラインを設定することで、1on1の質を一定担保できるようになるのでおすすめです。また、1on1に必要な重要なスキルを身につけるための研修を実施することも効果的です。


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1on1ミーティングのコツや実施ポイント

ここからは効果的な1on1ミーティングを実施するためのコツや意識してほしいポイントについて解説していきます。
1on1のコツや実施ポイントは以下の5点です。

  • 1on1のおすすめの頻度と時間
  • 話す内容(アジェンダ)を事前に決めておく
  • 経験学習サイクルを意識した対話
  • 1on1で話した内容をメモする
  • フレームワークを活用する

1on1のおすすめの頻度と時間

1on1ミーティングの効果を最大限発揮させる頻度と時間は、週1回30分です。

ただ目の前の業務をこなしていくだけであれば、上司とメンバー間での密なコミュニケーションは頻繁には必要ないかもしれませんが、上述の通り1on1ミーティングはメンバーの成長促進や生産性向上のために行われるので、円滑に目的を達成するためには1週間に1度は実施することが効果的です。

また、一般的に目標は週単位や行動単位で設定していることが多いため、目標を管理する上でも週に1回は、最適な頻度と言えるでしょう。できるだけ高頻度で1on1を実施していくことが、効果的な1on1の秘訣です。30分に関しては、ただキリが良いというだけでなく、人間が集中し続けることができる時間は45分程度と言われているため、1on1にしっかりと集中できる時間になっています。

下記記事は、月に1回や1回あたり15分の短時間ではダメなのか、おすすめの曜日などについて詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。

話す内容(アジェンダ)を事前に決めておく

効果的な1on1ミーティングを実施するためには、1on1ミーティングの話題(アジェンダ)を事前に決めておく事が重要です。

1on1前にその内容を上司と部下で共有しておけば、内容のポイントを事前に整理することができます。
事前共有されている内容に沿って、1on1を進めることができるので、話すべきことを話す要点を押さえた目的に沿った建設的な1on1を実践することができ、質の向上が期待できるでしょう。

また、アジェンダを準備するだけでなく、事前に部下に共有して、部下に話すことを書いてもらうことで、1on1の準備時間を短縮することができるので、忙しいマネージャーに非常におすすめの方法の1つです。

経験学習サイクルを意識した対話

1on1に経験学習サイクルを反映できると成果が出やすくなります。

「経験学習サイクル」とは、アメリカの教育学者であるコルブが提唱した人が成長する過程を示したものです。1on1の中で、経験学習サイクルを回すように意識することで、効率的に人材育成をする事ができます。

経験学習は下記の4ステップを踏み、人は学習・成長していくとされている考え方です。

  • 経験
    • 具体的な経験をする
  • 内省
    • 行動の振り返り・フィードバック
  • 概念化
    • 何を学んだかを明らかにする
  • 実践
    • 次に行うときに学びを応用する

1on1を効果的に実施するには、STEP2の「内省」とSTEP3の「概念化」を1on1内のコミュニケーションで実施することが重要です。日常業務で得た経験を振り返り(内省)し、学びを明確にする(概念化)を実施し、1on1後の行動に応用していく(実践)ことを意識すると良いでしょう。

経験学習サイクルに沿った1on1を実践するために、部下の頭の中を整理するべく以下のような順序で質問してあげると効果的です。

  • 1.成功した・失敗したプロセスを聴く
  • 2.成功・失敗は何に起因したのか
  • 3.成功・失敗を再現・予防するために何をすべきか

1on1で話した内容をメモする

1on1で話した内容をメモする事で、1on1での失敗を未然に防ぐ事ができます。

上司は1人で複数名の部下と1on1を行なっているため、話が混同してしまったり、他の人の1on1の内容を間違えて話してしまったりする可能性もあります。また、1on1に限らず、コミュニケーションは生ものであるため、どの会議でも議事録をとっていないと話した内容を忘れてしまったりする可能性があります。部下としても一度話した内容を忘れられていたり、話してほしくない内容を他の人に話されると信頼関係を構築できる1on1の効果を台無しにしてしまう可能性もあります。

また、双方の認識が違った場合にもすぐに気づくことができ、修正することができます。特に行動ベースのネクストアクションを立てる時に双方の認識を揃えることで、迷いなく実行することができるようになるでしょう。

フレームワークを活用する

効果的な1on1を行うには、フレームワークを活用する事に注目することがおすすめです。

1on1はマネージャー個人によってやり方や成果に差が出やすい施策です。フレームワークを活用して、やり方を統一しないとマネージャー感で成果に差が出たさいに改善の難易度が上がってしまいます。

フレームワークを統一しておけば、成果が出ないマネージャーがいた際に、優秀なマネージャーとうまくいっていないマネージャーとの差分を見て業務改善を行う事で、成果を出せる可能性を向上させる事ができます。

1on1のときに使えるフレームワークについては、下記記事で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

評価を絡めた1on1ミーティングのやり方・具体的な流れ

本項では、評価を絡めた1on1ミーティングの進め方・流れについて説明します。下記のステップで実施すれば効果的な1on1を行う事ができます。

ここからは、各STEPを詳細に説明します。

  • STEP0:1on1ミーティングの目的を伝える(初回のみ)
  • STEP1:事前準備・共有、スケジュール・場所の決定
  • STEP2:1on1ミーティングの実施・記録
  • STEP3:次回の日時・場所の決定
  • STEP4:STEP1〜3を継続的に繰り返す

STEP0:1on1の目的のすり合わせ(初回のみ)

まず、1on1を初めて実施する際は、1on1が何のための時間なのか、何を目的としているのかを伝えましょう。

目的を伝えることで、部下はこの時間をどのように利用していけばよいのかが明確になり、悩みなどが話しやすくなるでしょう。また、目的を伝える際には、部下をフォローしたい姿勢について明確に示しておくことで、安心感を与えることができ、スムーズに1on1を実施することができるようになります。

会話の例としては「1on1ではあなたの抱えている課題を解決したいから、気軽に相談してほしい!自分も解決できないことはちゃんと断るから言うだけ言ってみて欲しいな!」等の言葉掛けがおすすめです。

評価を1on1と絡める場合は、「あなたの会社への貢献を全部は見れていない可能性があるから、1on1でぜひあなたの挑戦や会社への貢献を教えてほしい!」と伝えるようにしましょう。人にもよりますが、マネージャーの忙しさを気にして相談できない人も多いので、メンバーが相談しやすいようメンバーに合わせて言葉掛けをする事が重要です。

STEP1:事前準備・共有、スケジュール・場所の決定

1on1ミーティングのステップの1つ目は、「事前準備・共有、スケジュール・場所の決定」です。このSTEP1からSTEP3まで毎回の1on1で繰り返し実施していきます。

まず最初に事前準備を行います。準備内容としては、1on1で話す内容(アジェンダ)です。事前に1on1ミーティングで話し合う内容を決めておけば、実際に1on1ミーティングの際に雑談しか話さないなんて事は無くなります。

また、事前に話し合う内容を決めておけば、部下側、上司側も事前の準備をすることができ、1on1ミーティングの効果を最大化するためにも双方の事前共有はしっかりとしましょう。

次に、1on1を実施する具体的な日時と場所を決定します。

1on1の日時は上司の都合だけで決定せず、必ず部下の都合を聞きましょう。お互いのスケジュールをすり合わせた上で日時を決定することが、上司と部下の信頼関係を築くために大切なポイントです。1on1を実施する場所も、部下の都合を聞いてから決めてください。

場所は決まりきった場所でなく、会社の会議室やラウンジ、オンラインなど、1on1で話す内容によって適切な雰囲気の場所を選ぶことがおすすめです。

1on1の日時・場所を決定した後は、上司・部下の双方がスケジュールに組み込むことを忘れないようにしましょう。できるだけ決めたスケジュールで実施するようにしてください。リスケが続いてしまうと形骸化してしまうだけでなく、部下が自分との時間を大切にしてくれないという印象にも繋がり、信頼関係が構築しづらくなってしまうからです。
後日に都合がつかなくなるケースも考えて、日程変更したい場合は必ず連絡を入れるなどのルールも決めておくと良いでしょう。

STEP2:1on1ミーティングの実施・記録

1on1ミーティングのステップの2つ目は、「1on1ミーティングの実施・記録」です。
決定した日時に上司と部下で1on1を実施します。ステップ1で準備したアジェンダに沿って話し合いを行いましょう。

1on1の実施では、上司はコーチングとフィードバックの手法を用い、部下から「話を聴く」スタイルをとることが大切です。事前共有の内容や部下が困っている内容について質問して具体的に認識を揃えていきましょう。そして場合に応じて、課題解決のためのアクションを決めたり、上司からサポートできることなどを提示しましょう。

また、1on1で話し合った内容は、上司・部下の双方がいつでも振り返ることができる場所に記録すると良いでしょう。

1on1の記録方法としては、手帳のメモや文書ソフトへの入力、クラウドツール等があります。特にクラウドツールは記録の管理や検索がしやすく、異動が生じた時の情報の引き継ぎが簡単なためおすすめな手法になります。さらに、1on1で人事評価に関する材料を集めて、記録しておくことで、今後の人事評価の業務が楽になるので、記録しておくようにしましょう。

アイスブレイク

1on1の最初にはアイスブレイクを行うようにしましょう。特に職場移動や新しい人の入社によって、上司・部下になって間もない場合は、新しい組織でうまくやれるか不安に思う方がほとんどなため、アイスブレイクは行った方が良いです。

アイスブレイクによって距離感を近づけることで、メンバーから「ミスがないかチェックしてください!」「〇〇について困っているので参考になる資料があれば欲しいです!」というような相談や「実はこんな挑戦していています!」「会社のためにこんなことに取り組んでいます!」という評価に繋げることのできる内容が上がるようになります。

上司がフォローやアドバイスをしやすくなる関係性ができないと、部下の挑戦を聞くことができず正しい評価ができなくなってしまいます。そのため、部下との信頼関係が築けるようになるまでは、アイスブレイク的な内容を1on1の序盤に入れるようにしましょう。

テーマ・アジェンダについて部下の考えを引き出す

次に、メインで話したいテーマ・相談内容について今の状況を整理します。

上司から問いかけるというよりも、部下が主体的に話せるような場をつくることを心掛け、上司は聞き役に徹しましょう。言葉に詰まる場合やもう少し深く状況を知りたいときにはコーチングを行い、部下の考えを引き出すようにしましょう。

基本的には部下の話をさえぎらないように意識する事が重要です。質問例としては「今困っていることはある?」「今挑戦していることはある?」という質問がおすすめです。また、頷きや相槌を打つことで、相手の話を聞く姿勢を見せることで部下が話しやすい環境づくりを意識しましょう。

部下と一緒に問題への対応・対策を考える

一通り状況が把握できたら、メンバーと一緒にこれからの対応・対策を考えていきましょう。

上司が正解を教えるのではなく、部下が主体的に答えや方向性を導き出す方が望ましいです。「なぜそうなったと思うか?」「どうしたらよいか?」と思考を深めるプロセスをサポートすることで、自発的な気づきや学びを促します。

それでも解決策が見つからない時は、他の先輩の工夫や成功例などを伝える事で解決策を見つけるようにしましょう。

次の1on1までの具体的なアクションを決める

大筋の方向性が見えたら、次回の1on1までにやるべきことを決めましょう。やるべき事は定量で測れるようにする事をおすすめします。

定性的な目標やアクションにしてしまうと、1on1で決めた事がうまくいっていたのかどうかがわからなくなりPDCAサイクルを回せなくなるからです。「来週までに○○を終わらせる」「次の2週間は○○の方法を3つ試してみる」と、限られた期間のなかで現実的にやりきれる行動目標を立てる事も重要です。

次の1on1で結果を共有する

2回目以降の1on1では、前回決めた行動目標がどれだけ達成できたのかを必ず確認するようにしましょう。

この際、定量的な目標であれば振り返ることが容易になります。しかし、仮に前回1on1で決めた内容を達成できていなかったり、チャレンジしたものの成果につながっていなくても責めないようにしましょう。

特に部下がチャレンジしていた際は、「チャレンジしたことは素晴らしい!」と承認するようにしましょう。大事なことは、1on1を用いてPDCAサイクルを回す事です。

そうやって、1on1の振り返りを繰り返すことがより大きな成長・成果につなげていきましょう。

STEP3:次回の日時・場所の決定

1on1ミーティングのステップの3つ目は、「次回の日時・場所の決定」です。

1on1の最後には、次回の1on1を行う日時・場所を決定します。1on1は部下を成長させるためだけでなく、上司と部下の信頼関係を構築する目的もあるため、次回の日時は期間をあけすぎないようにしましょう。理想は週1回、間隔を空けても月に1回の頻度でスケジュールを組むことがおすすめです。

また、毎週月曜の13時から30分間など、1on1のスケジュールを固定化することで、毎回の1on1でスケジュールのすり合わせをする手間を省くのもおすすめの方法になります。毎週固定の時間を1on1の時間として確保することで、確実に毎週1on1を実施することができ、形骸化のリスクを低くすることができます。

STEP4:STEP1〜3を継続的に繰り返す

そして、このSTEP1〜STEP3を継続的に繰り返し実施するようにしましょう。1on1が価値を発揮するのは、繰り返し1on1を実施してPDCAサイクルを回すことにあります。

1on1の期間が空いてしまうと、メンバーが抱えている悩みや課題のキャッチアップが遅くなってしまいます。その間、メンバーは同じ悩みなどを抱え続けることとなり、生産性が低下してしまうでしょう。

そのため、無理のない範囲内で1on1をできるだけ高頻度で行うことが重要です。また、月1や3ヶ月に一度部下がやってきた事とそれに対する現状の評価について話す事で、評価の納得度を上げることができます。


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1on1ミーティングで部下の心を開くコツ

ここまでは理論について話しましたが、1on1で部下の心を開けないと、1on1での効果は期待しづらいです。

そのため、このセクションでは1on1ミーティングで部下の心を開くコツについて解説します。

部下の話を最後まで聞く

1on1ミーティングで部下の心を開くコツの一つ目は「部下の話を最後まで聞く」事です。

弊社で支援している中でも「部下のためにアドバイスをしているのに部下の気持ちが離れている」といったような事例が多いです。10年ほど前は上司が部下にアドバイスを伝え、部下がそれを忠実に守ると言うことが主流でしたが、これからの管理職に必須なのは「聴く力」です。

「聴く力」が必要とされる背景としては、現代がVUCA時代と呼ばれる「先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代」な事が挙げられます。VUCA時代の環境では管理職の言うことだけを聞いていても、環境の変化についていけず結果が伴いません。

そのため、部下側が仮に間違っている事を話したとしても途中で遮るのではなく、質問をしながら自己を対話してもらい部下自身に答えを出してもらう事で部下の考える力を育成するようにしましょう。

問いかけを中心にコミュニケーションをとる

1on1ミーティングで部下の心を開くコツの二つ目は「問いかけを中心にコミュニケーションをとる」事です。

問いかけ方法としては、会話を横に展開しながら聞くと良いでしょう。メンバーがどんな事を考えて業務をしていたかを網羅的に聞く事で、メンバーの状況を把握できます。質問例としては、「他にも意識したことはある??」という質問が有効的です。

次は会話を横に展開していく中で、もっと深ぼって聞くと良さそうと思った話を、マネージャーが縦に深ぼって聞くことでメンバーの考えをより明確にし教訓にできるようにします。質問例としては、「具体的にはどんなことしたの??」という質問が有効です。

それでも、なかなかメンバーから意見が出てこない場合は、マネージャーが仮説を持って問いかけをすると良いでしょう。質問例としては、「〇〇にこだわって業務しているのかなと思ったんだけど、合ってたりする??」という質問がおすすめです。

メンバーがどこにこだわっているかを予想する能力が必要なので、テクニックが必要ですが、仮説が外れることをそこまで恐れなくても問題ありません。メンバーとしては、抽象度の高い質問ばかりをされるよりも「〇〇にこだわって業務しているのかなと思ったんだけど」と聞かれる方が、「意識はしてなかったけどマネージャーにはそう見えていたのか」「無意識の中で自分は〇〇にこだわっていたのかも」と考える視点を与えることができるからです。

上記のように「横への網羅的に問いかけ」「縦に深ぼる問いかけ」「仮説を入れた問いかけ」を意識して、メンバーの心を開いていきましょう。

承認・共感を効果的に使う

1on1ミーティングで部下の心を開くコツの三つ目は「承認・共感を効果的に使う」事です。

1on1で指摘があまりにも多いと、メンバー側に「1on1は指摘される場」という嫌な印象を持ってしまい1on1での心理的安全性がなくなってしまいます。そのため、1on1に承認の時間を設けて1on1に良い印象を持ってもらう事が大事です。一般的には日本人は、3回承認して1回アドバイスをするくらいの頻度で承認をすると良いとされています。

例としては「休日もセミナーでシステムの勉強してるなんて偉いね」「ナレッジを毎週、部署に情報共有してると聞いたよ!えらいね!」「ミスがないようダブルチェックを徹底しているね」と具体的な承認をした後に、「お客様が納得できるようなシンプルな資料を作ってみるのはいかがでしょう?」とアドバイスをするとよい印象を持ってもらうことができます。

また、アドバイスをする際も「資料作らないとダメですよね。」と否定的に言うのではなく、「資料を作るとより良いと思ったんだけどどう思う?」を疑問形で相手に合意を取らせる形の方が良いでしょう。


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相手の性格に合わせた質問をする

1on1ミーティングで部下の心を開くコツの四つ目は、「相手に合わせた質問をする」ということが挙げられます。

例としてはソーシャルスタイルごとにメンバーを場合分けする事をおすすめします。ソーシャルスタイルとは、4つに分類される人のコミュニケーションのパターンを活用し、適切なコミュニケーションを選択するものです。

種類としては、主導型、促進型、分析型、指示型があり、それぞれの性格のタイプに分けて適切なコミュニケーションを選択します。

例えば、主導型の方は特徴として合理的に物事を達成していく傾向にあり、プロセスよりも結果を重視するビジネスライクな性格な方が多いです。主導型の方と1on1をする際は、1on1の最中の雑談等は少なめにして、「いかに目標達成していくか?」と言う内容を軸に質問していくと話が進みやすいです。


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クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける

1on1ミーティングで部下の心を開くコツの五つ目として「クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける」ということをおすすめします。

クローズドクエスチョンは「Yes/No」などの択一で答えてもらう質問なので、相手が答えやすくなるというの事が特徴として挙げられます。対してオープンクエスチョンは相手に自由に回答してもらう質問の仕方で、会話の幅が広がりやすいのが特徴といえるでしょう。

基本的にはオープンクエスチョンで「Aさんの解決したい課題は何ですか??」と答える範囲の広い質問をしましょう。ただ、メンバーが言葉に詰まってしまうなど会話が止まった時は、「Aさんは現在の営業資料に課題を感じていますか?」とクローズドクエスチョンで「Yes/No」で答えれる質問をする事で、部下の考えを探っていく事をおすすめします。

1on1ミーティングを形骸化させないための工夫

1on1ミーティングを導入し始めている企業が多い中「なかなか定着しない」「社員が実施してくれない」など1on1の定着・浸透に悩む方が多いように思われます。また、1on1は効果を感じるのに時間を要するので、人事施策の中でも形骸化しやすいものです。

そこで、ここからは1on1を形骸化させないためにできる工夫について解説していきます。

1on1の目的・導入背景・導入後の理想の状態を明確にして周知する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の1つ目は「1on1の目的・導入背景・導入後の理想の状態を明確にして周知する」ことです。

1on1ミーティングの導⼊背景・目的・導⼊後の理想の状態の定義が曖昧である会社は思ったより多いです。そこで、「なぜ1on1を導入するのか」についてきちんと社内で議論し、決定しておくことが重要です。
1on1が実施された後の理想の状態を決めておくと、導入後の効果検証となる定量指標や定性指標も明確になるでしょう。

次に、1on1の目的・導入背景・導入後の理想の状態を明確にした後は、その内容を全社に周知させ「共通合意」を得ることが重要です。社員の方々が合意できていないと、「また何か新しいことを始めたぞ、忙しいのに」と思わぬ反発が生まれてしまいます。

1on1の導入目的等は経営層や人事部のメンバーのみで決定しがちですが、現場の主要マネージャー数人(6人以下がおすすめ)も交えて、特に目的の部分を一緒に定めることを強くおすすめしています。

1on1の公式ルールを作成する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の2つ目は「1on1の公式ルールを作成する」です。

1on1ミーティングの定着には公式のルールを設定することが非常に重要です。月当たりの実施回数や頻度などある程度の形式的なルールがあることによって、現場マネージャーたちも1on1のやり方を理解し、効果的な1on1を実施できるようになります。また、1on1の目的の浸透にも役に立ち、人事施策としての1on1の目的も達成できるようになるでしょう。

1on1の実施をマネージャー等の人事評価の項目として設定するのも非常に効果が出るのでおすすめです。

コミュニケーションのガイドラインを策定する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の3つ目は「コミュニケーションのガイドラインを策定する」です。コミュニケーションのガイドラインを策定することで、1on1の指針となり、1on1を実施する人たちが迷いなく1on1を行うことができるようになります。

例えば、「メンバーの悩みを聞く」「耳を傾ける」「一方的な意見や指導をしない」などの傾聴の姿勢や、「内省の促す」「気付きを与える」「解決策を導き出させる」などのコーチングの姿勢など、様々な1on1の場面に対応できるようなコミュニケーションにおける基本的な内容を設定しておくと良いでしょう。

また、それぞれにおいて具体例を示してあげることで、従業員がコツを掴んで効果的な1on1を実施できるようになるでしょう。

組織の公式アジェンダを作成する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の4つ目は「組織の公式アジェンダを作成する」です。

1on1を実施しているときによく起こることは、上司・部下それぞれが何を話していいか分からず、雑談に終始してしまうということです。特に会話パターンが少ない上司だと「最近どう?」「あれどうなった?」などのあまり意味のない質問をしてしまったり、プライベートの話だけをしてしまい成長につながらない可能性が高いです。

そこで、組織として1on1で何を話して欲しいのか、現場マネージャーが話したいこと、現場メンバーが話したいことを基に「公式アジェンダ」を作成することがおすすめです。そうすることで、組織の理念浸透や目標達成力の向上、メンバーのモチベーションの向上などの効果が期待できる有意義な1on1が着実に実行されるようになります。

記録フォーマットと管理する場所を用意する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の5つ目は「記録フォーマットと管理する場所を用意する」です。

記録フォーマットが決まっていないと、記録の取り方がバラバラだったり、そもそも記録を取らない人も出てきます。また、管理場所が決まっていないと、現場の声が集約されている貴重なデータが活用できなくなってしまいます。

1on1の記録を残すことで、マネージャー自身が自分の1on1を振り返ることに使ったり、経営層がマネージャーを評価することに使ったりできます。また、記録を継続的に管理することで、現場メンバーが共通して課題になっている部分を特定することができ、解決するためのスキル習得のための研修を導入するなど、社内の人材育成にも活用することができます。

1on1を記録するための「1on1ミーティングシート」のテンプレートを下記記事で無料公開していますので、ぜひご覧ください。

実施状況や内容などを把握できる仕組みを導入する

1on1ミーティングを形骸化させない工夫の6つ目は「実施状況や内容などを把握できる仕組みを導入する」です。

1on1を組織全体で導入したは良いものの本当に実施されているのかが可視化できないという状況になっている企業様はよく見受けられます。先ほど紹介した記録フォーマットの提出などを基に実施したという判断をしても良いでしょう。

しかし、この方法では運用コストが非常になってしまうため、分析できるツールやサービスを利用するという手段もあります。また、公式アジェンダの利用状況も確認できると、公式アジェンダの見直しの指針となり、対話の質向上につながるでしょう。

このようにモニタリングの仕組みがないと、実施状況の確認だけでなく、どのマネージャーのマネジメント能力に課題があるのかもわからず、1on1を効果的に実施するためのPDCAサイクルを回すことができません。

そのため、定期的なモニタリングの仕組みがない場合は、早急に環境を構築することをおすすめします

まとめ

本記事では、1on1ミーティングが人事評価に使える理由や1on1ミーティングのコツや実施ポイントについて解説しました。1on1ミーティングに関する知識は、1on1ミーティングの効果を最大化し、企業の持続的な成長のために非常に重要です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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