若手の離職が多い会社の特徴
若手が定着しない企業には、いくつかの共通した特徴があります。
本パートでは若手の離職が多い企業の特徴を3つ紹介します。
1. 賃金が年功序列である
1つ目は若手社員が自身の給与に不満がある場合です。
給与はモチベーションに対して少なからず作用し、転職の意向に関わる指標であると言えます。
昨今では、実力主義の企業も増えており、若いという理由だけで給与が低いことに不満を覚える社員もいます。
また、長時間労働をこなし、難しい業務を達成しても、給与に反映されない場合も離職の原因につながる可能性があります。
2. 周りに相談できる人・フォローしてくれる人がいない
2つ目は職場の人間関係に問題がある場合です。
入社したばかりの若手社員は上司や先輩など、年代や価値観の違う様々な人たちと関係を構築していかなければなりません。
その中で仕事で失敗をしてしまったときや悩み事があるときに相談したりフォローを入れてくれる人間がいないと居心地が悪く感じる事でしょう。
また、自分と相手の関係が良好でも、上司同士が敵対していたりすると居心地が悪く感じることもあり、離職のリスクにつながります。
3. ワーク・ライフ・バランスを担保する取り組みがされていない
3つ目はワーク・ライフ・バランスが重視されていない場合です。
昨今ではワーク・ライフ・バランスを重視する若者が増えています。
ワーク・ライフ・バランスが崩れていると感じる要因として以下の5つが挙げられます。
- 休日出勤が多い
- 過度な時間外労働を強いられる
- 残業手当がない
- 労働に見合った給与がもらえていない
- ノルマが厳しい
特に、休日出勤や手当のない時間外労働はワーク・ライフ・バランスが大きく崩れる要因となり、若者にとっては退職を考える大きな要因となります。
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若手の離職による損失
将来を期待した若者が離職してしまうことは会社にとってとても大きな損失といえます。
本パートでは若手の離職による損失を4つを紹介します。
1. 費用の損失
1つ目は費用の損失です。
社員を採用するまでの採用活動や採用後の人材育成には膨大な費用が費やされています。
また、給与以外にも福利厚生や業務のための経費といった目には見えない費用がかけられています。
退職者1人当たりの損失は1000万円以上ともいわれています。
また、離職したのが優秀な若手社員だった場合、将来の会社への貢献も考えるとその損失は測り知れないものです。
2. ノウハウの流失
2つ目はノウハウの流出です。
社員は業務を通して様々なスキルを習得していきます。
その中にはマニュアルにないものも多数あるでしょう。
若手の中でも成果を出している社員が離職してしまい、そのノウハウなどの継承がされないと、新しい社員が習得するのは困難でしょう。
3. 企業のイメージ低下
3つ目は企業イメージの低下です。
ハローワークにて新卒採用をする場合、直近3年間における離職率の公表が必須です。
離職率が高いと入社しても長く働けないイメージを持たれる恐れがあります。
また、ネガティブな理由で退職した社員が口コミサイトに会社の悪評を書く場合もあり、会社のイメージダウンにつながるリスクがあります。
4. 周囲の社員のモチベーション低下
4つ目は社員のモチベーション低下です。
若手社員は企業人として将来を期待されるものです。
そんな若手が辞めてしまうと、他の社員のモチベーションにも影響を及ぼします。
離職した社員の業務は残された社員に割り振られることが多く、業務負担は増加するのが一般的です。
後任がすぐに入った場合でも戦力になるには相応の時間が必要となり、いずれにせよ離職後の負担は増加します。
その結果社員のモチベーションが低下してしまい、離職の連鎖が発生する恐れもあります。
離職を防ぐために知っておくべき若手社員の価値観
若手の離職を防ぐためには彼らの価値観を知っていくことが重要です。
読者の皆さんをこれまで囲ってきた価値観とは異なるかもしれませんが、若手社員の離職を防ぐ対策実施にあたって重要な要素となります。
本パートでは若者が持っている価値観を3つ紹介します。
1. 自分の時間を大切にしたい
1つ目は自分の時間を大切にしたいということです。
最近の若者はプライベートを大切にしたいと思う傾向が強いといえます。
働き方改革の拡大もあり、「時間外労働はしたくない」、「サービス残業はあり得ない」といった考えを持っている人もいます。
これは仕事に対するモチベーションが低いわけではなく、仕事とプライベートの線引きをしっかり引き、定時以降の自分の時間を大切にしたいという考えに基づいています。
その点、以前の「量を追求して質を高める」ことは通用しなくなっていることから、若手社員のケア・教育にも外部サービスの利用など工夫が必要です。
2. 承認欲求を満たしたい
2つ目は承認欲求を満たしたいということです。
昔のように「車がほしい」、「ブランド物がほしい」という物欲に代わり、「認められたい」、「褒められたい」といった承認欲求が強いのが最近の若者の特徴です。
経済発展に伴い多くのものが手に入るようになった結果、物欲が承認欲求に変化したものと考えられています。
具体的には、「工夫に対する試練」を与える事が必要です。
若手に仕事を任せるうえで、やらせるのではなく、工夫すべき余地を残すことで当人は「工夫に対する承認」を得ることができます。
この積み重ねによって、若手の戦力化と同時に承認を与えることが可能です。
3. 無駄なことはしたくない
3つ目は無駄なことはしたくないということです。
最近の若者はデジタルネイティブとも言われ、彼らは物事を進める際に効率を求めます。
結果が変わらないのならなるべく楽な手段で進めたい、効率が悪い昔ながらの手段は取りたくないといった考えを持っています。
その結果、慣習として残っている昔ながらの効率の悪い手法をとらなければならないことを嫌います。
若手の離職への対策
ここまで若者の離職の原因と、それにつながる若者の価値観について記述してきました。
本パートでは、若者の離職への対策を、持つべきマインドセットに加えてを4つ紹介します。
0. マインドセット:自分が育った環境とは全く異なった環境で育ったことを自覚する
まず、持つべき心構えとして、部下が育ってきた環境や常識は自分の理解を超えているということを把握しましょう。
そのうえで、理解の超えた常識を持つ部下に対してどのように接していくべきかを考えることで、行動変容を起こしやすくすることができます。
1. 職場環境の把握
1つ目の対策は労働環境の把握です。
若者が気にしている労働環境や人間関係を知るためには職場内の現状を把握することが大切です。
社員にヒアリングを実施したりアンケートを通して職場の雰囲気や内情を客観的に把握できるようにしましょう。
それらの結果をもとにして職場環境の改善や採用活動に注力し、若手が定着する職場作りを実践しましょう。
職場環境の把握には現場の声を聞くことが重要です。
特に若手に関しては、前の世代と比べて承認欲求が強いことが特徴として挙げられます。そのため、細かく声をかけ、承認のコミュニケーションを心がけることで、若手が働きやすく、また話しかけやすい空気づくりができます。
株式会社We Are The People代表(元LUSH JAPAN人事部長)安田氏が考える承認のコミュニケーションはコチラの記事をご覧ください!
2. ワーク・ライフ・バランスの改善
2つ目の対策はワーク・ライフ・バランスの改善です。
仕事とプライベートを両立させたい若者にとってワーク・ライフ・バランスは重要です。
つまり、若者の定着率を向上させるためにはワーク・ライフ・バランスの改善は欠かせないのです。
実際に若手のワーク・ライフ・バランスを担保するための取り組み例として、以下が挙げられます
- 休みをとりにくい→年休を100%消化した社員に対して金一封を付与
- プライベートの予定を立てにくい→フレックスタイム制を導入
- どうしても残業の時間が長くなってしまう→残業の事前申請制化
3. キャリアデザインの共有
3つ目はキャリアデザインの共有です。
社員にはそれぞれのキャリア構想があります。
ワークライフバランス重視の社員もいれば、バリバリ働いてキャリアアップを目指したい社員もいるでしょう。
彼らの構想に沿った研修の実施や仕事の割り振りをするとモチベーションの向上につながります。
若手のキャリアデザインを上司やメンターと共有する必要があります。
また、1on1ミーティングやメンター制度を通して直接声を聞き、キャリアをサポートすることも有効です。
4. 社内コミュニケーションの見直し
4つ目は社内コミュニケーションの見直しです。
社員同士のコミュニケーション円滑化は人間関係の改善に直結します。
人間関係が円満であれば悩み事なども相談しやすくなり、離職のリスクを下げられます。
また、いい雰囲気の中で吐露された社員の会社への不満を知ることができれば、労働環境の改善に必要な要素がわかるので会社としてもメリットがあります。
人事がとるべき社内コミュニケーションに関して、株式会社We Are The People代表(元LUSH JAPAN人事部長)の安田氏は以下のように語っています。
まとめ
今回は若手社員が辞めていく会社の特徴、若者の価値観、離職による損失と対策について記述しました。
若手社員は会社の将来を担う大切な人材です。
その若手が辞めてしまう損失は計り知れません。
本記事を通して、若者の価値観に理解を示すなど、会社としてできる対策を立てて若者の離職防止に努めてみてはいかがでしょうか。
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