営業マネジメントとは|5つの基本行動・目標達成から行動管理【成功事例・ツール付き】

営業の定義とは本来「事業を継続するための利益獲得に向けて、目標を達成すること」を指します。
また、営業活動の目的は顧客の課題を明確化した上で、自社サービスなどの「解決策(ソリューション)」を提示することです。
つまり、顧客のもつ潜在ニーズをヒアリングした上で顧客に解決策を選んでもらう必要があるため、非常にたくさんのスキルを必要とします。

例えば、個人の基本的な営業スキルとして、コミュニケーションスキル、ヒアリングスキル、論理的思考、情報収集能力、プレゼンテーション能力、案件管理能力等が求められます。
一方で、営業管理職(営業マネージャー/所長など)がマネジメントの役割を実践する場合、「各個人の目標設定〜達成までのプロセスマネジメント」「営業数字管理・KPI指標分析」「進捗/アクションプラン管理」などの営業プロセス全体の改善・営業チームの構築施策が求められるようになります。


日々の1on1から目標管理・人事評価までできるオールインワンツール「Co:TEAM(コチーム)」なら簡単に1on1をモニタリング!
・マネージャーごとに実施状況・実施内容をチェックできる分析機能!
・各アジェンダの使用率もモニタリング!
>>1on1の運用が楽々できる「コチーム」の詳細はコチラ!!

営業マネジメントとは

営業マネジメントの要は、チームメンバーそれぞれの能力を最大限に発揮させることで、チームの営業目標達成に導く「プロセスマネジメント」です。

プレイヤーであるうちは何よりまずは自分の成果を上げることに注力する傾向にありますが、営業マネージャーとして成果を出す場合、「個人ではなく、チーム全体で売上を高めていく」ほうがより高度な目標達成を見込めるので、営業チームをつくりあげることが最も重要な役割となります。

そもそもマネジメントとは「結果を出すため、チーム力を最大限引き出しながら、目標達成に向けたプロセスを日々管理・達成していくこと」を本来意味しますが、その1番のポイントは「目標達成が最大目的」という部分です。最終的な成果にマネージャーは責任を持ちます。

今回は成果を出すための営業マネジメントに必要な「5つの基本」とおすすめ施策を下記にて具体的に解説させていただきます。

営業マネジメントは「短期」「中長期」の両思考が必要

営業マネジメントで効果を出すためには「短期的に成果を出す」観点と「中長期的に安定的に結果を出し続ける」観点の両方で、特に下記5つの基本が求められます。

【短期】
1.目標管理
2.行動管理(営業分析/プロセスマネジメント)
3.案件(パイプライン)の進捗管理

【中長期】
4.エンゲージメント(一体感)/モチベーションの醸成
5.人材育成/早期戦力化

一般的には短期的な成果を追い続けることだけに注力してしまうと、チームが疲弊したり、最悪離職につながるケースが散見されます。

新しい営業マンを採用して再度チームビルディングを行う負荷や時間を考えると、なるべく安定的に成果を出し続けられるチームのほうが目標達成に到達しやすくなります。

そのうえで、まずは「短期的な観点」で重要な基本である 1.目標管理 2.行動管理(営業分析/プロセスマネジメント) 3.案件(パイプライン)の進捗管理 についてお伝えします。

目標管理

営業担当に求められる最大の役割として、各企業・チームごとの営業数字を達成するという「目標達成」が最初に挙げられます。
チーム・グループ・課・部署の各目標達成が達成されなかったり、利益を上げられない状態が続くと、どれだけその企業が素晴らしいミッションを持っていても実現されないためです。

営業マネジメントの基本となる「目標管理」とは、各企業ごとに設定されている経営目標(企業目標・ミッション)達成のために掲げられた全社の営業目標数字を、主にミドルマネージャー・現場リーダーが協議を経て、各グループごとに目標数字を細分化し、そこから個人ごとに目標設定することからスタートします。

前提として、上長から個別で任せられたり、メンバー自ら設定した目標はなるべく「期間を短く設定して達成すること」を目指したほうが達成確度が高まります。目標の期限が長期であればあるほど、その管理が難しくなることはイメージしやすいですが、どんなに長くても半期や四半期ごと、理想を言えば毎月・日ごとの目標に分解し、細かく現実的かつ具体的な目標をコツコツ達成する行動計画をメンバーが実践する方が目標達成には有用です

真剣に目標達成を目指すと、目標管理に熱が入りすぎるマネージャーがいますが、数値管理に執着してしまうことで「メンバーが疲弊して本来の目標達成能力を失う」ことにつながったり、最悪離職などでチームが分解する原因になります。
前の段落にて、本来マネジメントとは「結果を出すことが最大目標」とお伝えしましたが、目標達成が困難な状況にある場合、メンバーの自律性や能力に頼りすぎて放置したりせず、マネージャーが積極的に各メンバーをサポートして目標達成につなげていくことが重要となります。

目標を達成できなかった営業メンバーに対して、圧を掛けることで目標達成につながるケースはほとんどありません。
そういった場合、営業マネージャーとして「自分のマネジメントで目標達成できるようにサポートする」という意識をもって仕事をしていく姿勢が、営業マネジメントで成果を出すための基本となります。

※詳細は下の基本5.「育成/早期戦力化」で述べますが、成果を出せない原因の多くは「何をすればわからない」ことです。なので「どこがわからないか」をマネージャーとして把握し、支援や指導を意識的に重ねることでコンスタントに成果を上げられる可能性があります。

また、このように個人に対するアプローチに力を入れなくても、結果に着目した場合、この後に挙げる「行動管理」「案件管理」に取り組む方がチーム全体の生産性が高まります。

「少し難しめの目標設定」と「メンバーの納得感」

目標を立てたことは良いものの、実現されなければ意味がありません。「各メンバーそれぞれが目標を達成したくなる動機設計」がしっかりしている程、目標が達成しやすくなります。

そのポイントとして「少し難しめの目標設定」「メンバーの納得感」の2点についてご解説します。

「少し難しい目標設定」を実現する

多くの場合、全社やグループの営業数値目標(KPI)はそれなりに達成が難しい指標が掲げられるケースが多いですが、部署や個人にとってあまりに難易度が高すぎる目標設定をしてしまうと、やる気や実行意欲が減退します。
営業マネージャーとして、あくまで「これは頑張ればやりきれる、少し本人が難しいと感じるレベルの目標」を設定しましょう。

「普通に仕事しているだけでは達成できない」という塩梅の数値目標を設計することで、営業マンが前向きに達成を目指すようになり、結果として達成率向上につながります。

反面、容易にクリアできる目標を設定してしまうと、メンバーはその低い目標実現までの努力しか行わないことが多く、一度メンバーがそういった状態に慣れてしまうと高い目標を追いかけること自体が大きなストレスになりますので、非常に注意深くなることが求められます。

「メンバーの納得感」を生み出す

目標設定方法と目標に対してメンバーとの合意があるか、は「少し難しい目標」を達成できるか否かの大きなポイントとなります。

というのも、どのようなメンバーであっても、自分がその目標を達成することになるからには、目標設定の背景や理由を知りたいと思うのは極自然なことです。

上にも書きましたが、基本的に難しい目標が設定されるケースが多いにも関わらず、その目標を達成できたとしても、次に待っているのは更なる難しい目標であることがほとんどだからです。

目標に対するコミュニケーションの過程で発生するストレスは、きちんと大きな成果を出している人ほど高まる傾向にありますので、そういったメンバーにこそ、マネージャーとして「納得感」をもって動いてもらえるよう意識的に接することが必要です。

メンバー目線で語ると、「上から与えられた目標だから」ということで、マネージャーにも関わらず御用聞きのように上から下へ落とすだけの投げやりな対応は避けて、目標設定の意図や背景をマネージャーとして咀嚼し、ちゃんとストーリーで伝えてほしいと思っています。この根拠は明確であればあるほど良いでしょう。

その過程で部下からネガティブな発言が生まれる機会もありますが、ただの愚痴や文句なのか、それとも建設的な批判なのかは正確に峻別する必要がありますが、もし愚痴や文句であれば、その場限りのものと思っていただいて問題ありません。

目標に対して建設的な批判があった場合、納得感がないとどんなメンバーであっても目標へコミットすることが難しくなります

目標は個人のメンタリティ・スキルだけではなく外部要因(顧客の属性、地域、市場の状況)を配慮した上でストレッチゴールを設定する必要がありますが、状況把握ができておらず目標設定が難しい場合、例えば本人に個人目標を設定してもらい、話し合いながら修正し、自主的に目標設定を促すことで合意形成をしていく方法が良いでしょう。

この「メンバーの納得感」を得ようとする行為は、マネージャーにとっても大きなストレス要因となります。

それでも、設定された目標意義や各メンバーに期待する役割や仕事のレベルを伝えて、納得してもらえて仕事してもらえるようになると、組織の成果向上に間違いなく繋がっていきます。

目標に対する達成進捗度合だけではなく、各メンバーがどのような意識・モチベーションで目標を捉えているかは定期的にフィードバックを得る機会を設けましょう。

行動管理(営業分析/プロセスマネジメント)

成果に直結しやすい営業マネジメントの基本として「行動管理(営業分析)」が挙げられます。

行動管理とは「各営業メンバーの日々の行動を定量数値・定性問わずに把握しながら仕事をしていく」ことを指し、プロセスマネジメントとも呼ばれます。

ここでの定量数値の代表行動指標として、「リード生成数、架電(コール)数、架電コンタクト数(率)、商談アポ数(率)、商談アポ数(率)、クロージング数(率)、成約数(率)」などが挙げられます。

たまに「行動管理はマイクロマネジメントである」という文脈で語られることもありますが、それは完全な誤解で、「都合の悪い結果に対して具体的な支援や対策を実施せず、各メンバーの個人の力量に依存するマネジメント」ではなく、「把握した行動関連数字を分析し、課題を解決するための施策を実施、PDCAをまわすマネジメント」を実践し、チームが「最も目標達成しやすい」環境を生み出すことが「行動管理」の本質です。

わかりやすい例を挙げますと、とあるBtoB(法人向け)企業が飛び込みで法人営業を行うケースがあったとします。
色々と工夫しているものの、商談アポが獲得出来ていない場合、マネージャーとして「アポイントが取れなかった」という結果に対して着目するのではなく、「アポイントをどのようにして取ろうとしていたのか」という「How」のプロセスを分析することが「行動管理」となります

例えば、「飛び込み先はどの地域だったのか、業種はどういう会社だったのか、会った人たちはどの部署の人だったか、そもそも決済権を持っているキーマンだったのか。また、別軸で、何社にアプローチしたのか」など「結果につながらなかった要因」がどこにあるのか、複数の要素がある中でどこが鍵となっているのかを数値をベースに分析していく過程はまさに「行動管理」で、マイクロマネジメントとは異なります

キーマン・決裁者にそもそも接触できていないのか、会えたものの後日の商談設定率が低いのかなどを分析し、課題となるポイントを予想し、その課題を解決していくイメージとなります。

キーマンへの接触率に問題がないが商談につながらない場合、ターゲットとする業種をそもそも間違えていないか、商談時に話す内容は相手に関心を持ってもらえるトークスクリプトなのか、そういった各営業活動を振り返り、なるべく粒度を細かく分けて分析するほど課題解決の精度が高まります。この細かい課題がちゃんと発見できさえすれば、解決策を考案・実施することはそこまで難しくありません。

BtoB企業であれば、一般的に営業は「リード>アポ取り>商談実施>クロージング>成約」という流れで商談が進みますので、各フェーズ間の移行率に問題点を見付けた場合、実際の行動数字から「どの営業行動が課題なのか」を検証する癖をつけて、仮説を立てて、対策していくことが営業マネージャーに求められます。

最初に取り組むべきおすすめ行動管理のアクションとしては、直近数ヶ月の各営業指標の平均値を算出し、そこからの比較で今月はどうだったかを見ていくことで課題の早期発見につながります

定量的にどうやって行動や進捗を把握するか

「各営業メンバーの日々の行動を定量数値・定性問わずに把握しながら仕事をしていく」ことが行動管理である、と述べましたが、この把握自体が行動管理にとって最も難しい部分となります。

行動量と営業目標に対する成果に対して分析し、成功事例や失敗事例に対してフィードバックをし、ケースを積み重ねることで型化し全体に共有することでボトムアップを図り、チームに情報共有をしていくことが最終的に大事ですが、最初のこの「行動把握」のコツを下記にてまとめました。

定量的に行動や進捗を把握するコツ

前提として、エクセルやスプレッドシートでは非常に運用コストが掛かるので、最近流行している「Salesforce(セールスフォース)」に代表される「営業顧客管理サービス(SFA/CRM)」を活用すると非常に管理しやすくなるので推奨します

放任的だったり属人的に活動する営業メンバーはこのようなツールを使って新しく管理を行うと反発されるケースが想定されますが、目標達成力に大きく貢献する部分でもあり、実際取り組むと好評であるケースが多いことから「まずはやってみる」ことをおすすめします。
※SFAがおすすめである理由は別にもあり、ページ下部の「基本4.エンゲージメント/モチベーション管理」の項目でご説明します。

ツールがあると、営業マネージャーは各メンバーの営業数値・行動内容に関するKPIを容易にチェックできるようになりますが、各メンバーごとの「問題なく、任せても良いポイント」「サポート/スキル向上が必要なポイント」がわかりますので(例:商談してもクロージングまでたどり着かない)、各メンバーに現状の課題や対策を示すことで、メンバーのセルフマネジメント(成長のための自己振り返り)や営業成果拡大につながります。

最近はこの行動管理に関連する内容で、「The Model」という「営業効率の最大化」を目指す、欧米で主流となりつつある営業手法があります。
先進的な日本企業においても導入が進みつつあり、結果を出す事例が非常に増えていますのでご紹介させていただきます。

下記にてThe Model主唱者であるセールスフォース社の公式声明を引用します。

「The model」とは
営業プロセスを「顧客候補の集客から商談・クロージング、カスタマーサクセス」に至るまでの各段階で情報を可視化・数値化し、部門を越えた連携を軸に売上の増大を図っていく考え方となります。

それぞれの段階において、「母数」「成功率」「ゴール」を数値化します。ここでポイントとなるのは、あるプロセスのゴールが次のプロセスの母数になるということです。ですから、各部門が十分な母数を確保するためには、すべての部門で確実にゴールをクリアし、次の段階にパスしていくことが必要です。これは、最終的な売上を作るために、どの段階でどれほどの成果を上げればいいかを明確にする、いわば「売上の因数分解」です。各段階の数値が明らかになれば、それぞれの部門で売上向上のカギとなる要素がはっきりしますし、それをKPIに設定すれば「自分たちが追うべき数値」が明らかになり、対策も可能になります。

https://www.salesforce.com/jp/hub/sales/the-model/ より引用

案件(パイプライン)の進捗管理

「案件(パイプライン)の進捗管理」とは、「営業メンバーが商談を実施している顧客候補に対して、現状どういうフェーズにあり、成約につなげていくためのステータスがどうなっているか」管理することを指します。

商談を受注に導くためには、様々な障害を排除することで「顧客が買わない理由」を失くすことが非常に効果的です。

一般的に成約に向けた障害は「価格、納期、機能、性能、実績、政治力」のいずれか6つに集約されるかと言われていますが、そのいずれに問題があるのか「ステータス」を把握することで、「顧客が買わない」選択をする理由をチームで1つずつ潰していき、成約に導くことが基本的な考え方となります。

顧客との商談を進める過程での障害(ボトルネック)排除

商談フェーズを次のフェーズに、チーム一丸となって進めるためのボトルネックを解消していく中で、下記項目は営業マネージャーとして適宜確認することが求められます。

  • 顧客情報が正確に入力されているか
  • 4週間以上商談が進んでいない企業はないか
  • 各メンバーが自分の担当企業に対する次のアクションプランと実施時期をイメージしているか
  • そもそもそのアクションプランの仮説や効果見込みが妥当か
  • 参考にできる似たような案件はないか
  • 提案・提出資料のクオリティコントロール
  • ボトルネックの解消方法は適正か
  • 失注分析はできているか

上記に加えて、最近はテレワーク下でのリモート商談も増えてきていますので、マネージャー自ら、もしくは別のメンバーを含めて「ペア商談」を行い、メンバー毎に「正確な情報を得られているか」「商談の進め方」に問題がないかといった「商談時のステータス」を意識的に正確に把握する施策は有効です。

マネージャーとしての商談前後のサポート

ペア商談の有用性を「ステータス管理」の観点でお伝えしましたが、受注までのプロセスをメンバーに放任すると、「案件の進捗管理」における最大のポイントである「商談のボトルネック」が正確に把握できない恐れがあります。

正しい営業情報の把握は「案件の進捗管理」の大前提となりますので、情報が入ってこなかったり、誤った情報を参照すると受注につながる確度が下がります。

顧客候補が「買わない選択をする正確な理由」を探求することが肝心なので、ペア商談やマネージャーが商談に参加できないときも、少なくともメンバーには下記の内容を商談時に確認する習慣をつけましょう。

A.商談相手は、自社商材の価値をどう捉えたのか
B.自社商材の価値が、顧客課題の解決につながると、顧客自身が感じたか

このいずれかの内容に対する報告にマネージャーとして違和感を感じた場合、その違和感の原因を追求し、解消する施策が商談を進める際に求められます。ここは営業パーソンとして力量が求められるところですので、各担当者に任せきりにせずマネージャーの自分も、メンバーのスキルやメンタリティに応じてサポートすることをおすすめします。

なお、「Aは商談先も理解しているがBにどうしてもたどり着かない」といった場合、顧客が求める解決策と自社商材の価値がミスマッチを起こしている可能性が非常に高く、潔く次の商談先に切り替える柔軟性を持ちましょう。

エンゲージメント/モチベーションの醸成

エンゲージメントとは、上にも登場した言葉となりますが、わかりやすく言い換えると、「納得感の高さ」を表す指標だと考えれば掴みやすいかと思います。

モチベーションはメンバーの「やる気」度合を示す指標で「内発的なもの:自分のやりたいことをやれる、楽しいと感じているetc」と「外発的なもの:報酬が高いから頑張る、褒められるから頑張るetc」に分類されます。

いずれにせよ、エンゲージメントとモチベーションはそれぞれパフォーマンスに直結する指標であることがこれまでの国内外の研究で明らかになっています。


余談ですが、昨今流行りの「心理的安全性」に関して述べると、「エンゲージメントとモチベーションの両数値が低く、心理的安全性だけが高い組織」においてはパフォーマンスが下がることも多々あることが判明していることと比較すると、原理原則として、エンゲージメントとモチベーションは高いことでデメリットがない指標となります。

「長期的に結果を出し続ける営業チーム構築」が営業マネージャーの使命だとすると、エンゲージメントとモチベーションは非常に重要な指標となります。

様々な価値観や多様性、テレワークといった働き方も変化する状況の中でもチームの一体感を強化するため、各メンバーのモチベーションの源泉に対して、会社やマネージャーである自分が自己実現できる場を提供することは結果を出すという観点で良い方向に働きます。

「与える」より「奪わない」ことが効果的

「どうやってエンゲージメントを上げていけば良いですか」
「どうモチベートすれば良いですか」
といった具合に「上げ方」について語られることが非常に多いですが、エンゲージメントもモチベーションも「得る」よりも「奪われる」方がずっとたやすいという性質があります。
人はすぐにモチベーションを奪われてしまいがちなので、「与える」より「奪わない」ように気をつけることが大切です。

単純化してお伝えしますと「正直者がバカを見ない」環境をつくることがエンゲージメントとモチベーションを奪わないために最重要となります。
「正直者がバカを見る」環境とは、「頑張ったのに、頑張っていない人が評価される」ようなケースを指しますが、納得感ややる気を強烈に低下させることに繋がります。

例えば、マネージャーが各メンバーに「こういう目標を達成してほしい」と指示を出したので、そのメンバーは目標達成に向かって一生懸命頑張ったが目標達成できなかったとします。
ところが、もっと楽な目標をお願いされていた別のメンバーは目標を達成できました。
目標達成できなかったが、高度な内容に取り組んだメンバーたちが「楽な目標達成したメンバーより低い」評価を受けた場合、かなりの高確率でエンゲージメントとモチベーションを喪失します。

非常に難しいポイントですが、「自分が低評価であること以上に、自分が評価していない同僚が褒められる」方がエンゲージメントやモチベーションは下がる傾向にありますので、マネージャーとして「正直者こそ報われる」ように細心の注意が必要となります。

モチベーションやエンゲージメントを「奪わない」ために

エンゲージメントやモチベーションを損なわないように、メンバーをなるべく正確に評価するためのテクニックとして、「基本2.行動管理(営業分析/プロセスマネジメント)」でオススメしたSFAサービス・日報の活用は非常に有効です。

営業マネージャーは業務過多になることが多く、細部まで目がまわらない状況がベースにありますので、メンバーの正確な状況を把握するため、SFAや日報で日々の営業活動・目標達成度合の成果を確認することに慣れていれば、自然と公平にチーム全体を閲覧できるようになります。

他には下記項目が、メンバーのエンゲージメントやモチベーションを下げない施策として考えられます。

・会社のミッション/ビジョン/バリューはもちろん、今動いている仕事の背景や意図を正確に言語化して伝える。
→働く意味を感じない状態を防ぐ

・各メンバーが会社にとっていかに必要な存在であるかを1on1などを通じて言語化して定期的に伝える。
・あるメンバーが孤立しないようにメンター制度を導入する
→自分がその企業/チームにいなくても良いと思わせない

・ストレングスファインダーやSPIで識別された良い相性同士によるチーム構築対策
→社員間で業務問題につながる原因第1位である「人間関係による不毛な争い」による悪影響を防ぐ

・エンゲージメントサーベイツールを導入することでメンバーのエンゲージメントを見える化
→エンゲージメントサーベイは状態が遅れて判明する「遅行指標」になるので、業務日報や週報などの定期的なテキストでの業務報告で現状確認をよりオススメします

人材育成/早期戦力化

「人材育成/早期戦力化」は営業マネージャーとして抑える最後の基本となりますが、これは成果の最大化という観点以上に、「マネージャー自身にも周囲のサポートが必要」という観点で記載しました。

リクルートMS様の調査結果を参照すると、「マネージャーがプレイングに時間を割く1番の理由」且つ「マネージャーとしての課題ランキング1位」だったのは「高度な仕事を任せられる部下がいない」ことでした。

一方、再度原点に立ち返り、成果を最大化させるためにはチームが必要となりますので「人材育成/早期戦力化」は成果を出したいマネージャーにとって必須スキルです。「チームで目標にむかって一体的に動ける」状態になると、そもそもメンバーに重要な仕事を少ない負荷で任せられるので、マネジメントが容易になります。

これまでお話したマネジメントの基本を抑えるだけでもなかなか難易度が高いので、マネージャーは自身の負荷をどう削減して、本来重要なマネジメントに集中できるかという意識を持つことで安定的な成果創出につながるでしょう。

成果を出せる営業像を言語化、その営業像に近づくプロセスをわかりやすく

人材開発にあたっては、中長期的な観点での育成の仕組みづくりで、各メンバーのスキル・ナレッジ(知識)・マインド・メンタリティを引き上げることが重要となります。

営業活動は非常に属人的な部分があり、営業メンバーの性格・商談相手との相性が結果に大きく影響を与えますが、「基本」となる営業マインド・テクニックは言語化や習得することができます。


その基本が押さえられれば、ほとんどの営業メンバーがある程度の成果は出せるようになりますので、まずはその基本の習得に努めましょう。

定期的なフィードバックと評価を実践する

そのためには下記の流れで、理想的な成功モデルを構築しましょう。

一人前の営業像を言語化する

その営業像の持つ要素を分解

各要素を達成するための方法論を確立

OJTマニュアルの作成やOJT担当研修など、育成担当者向けのOJT体系の再構築

営業勉強会など、新人・若手向けの研修

目指す「一人前像」が、育成関係者の共通認識になったら良い傾向です。

細分化された「営業に必要なマインド・スキル」を育てる文化が職場に定着し、計画的なOJTが行われるようになったら、マネジメントにおける「育成」に関しては問題ないと言えるでしょう。
若手営業が、受け身ではなくお客様に能動的に働きかけるように変化し、安定的に成果を生み出せるようになります。

営業マネジメントの成功事例

最後にここまでご紹介した「5つの基本」で成功した企業の成功事例をご紹介します。

トヨタ自動車株式会社のケース

常に営業業務やプロセスの見直しを行っている企業の代表が、トヨタ自動車株式会社だと言われています。カイゼン(改善)という業務管理プロセスは非常に有名で、国内外の多くの企業が今でも導入され続けています。

トヨタ社は営業活動や業務開始の前に、「本当に必要な作業かどうか」「それだけの労力と時間を使ってまで行うべきかどうか」を追求するマネジメントを実践していますが、これはまさに「行動管理」と言えます。

また、自社だけでなく顧客含めた関係者など多くの人との連携が必要になる際は、顧客や関係者での確認で業務が止まってしまうことがあります。

顧客に催促をするハードルは高いですが、できる限り先方に迷惑をかけないよう顧客も巻き込んで、案件のボトルネックを可視化しその対策をなるべくスピーディーに実現する「案件の進捗管理」を実践しました。世界を代表する企業になった一因はこのような営業プロセスを追求する姿勢にあったと言えます。

テレワーク下での営業マネジメントで成果を出すおすすめツール3選

最後に、営業マネジメントの成果最大化や効率化を実現するサービスをご紹介します。

Co:TEAM(マネジメントDX)

5分でわかるコチーム紹介資料

Co:TEAM(コチーム)とは、プレイングとマネジメントを両立させるため、マネージャー業務を効率化しその負荷削減や質改善につなげる「マネジメントDX」サービスです。


日報/週報などの業務データを基に、組織に発生する「仕事への認識」のズレや「メンバーのモチベーション/体調」を可視化、注力すべきポイントを明確にすることで各メンバーの「今やるべき/やらなくても良い」タスクをマネージャーが簡単にコントロールできる「プレイングマネジメント支援」サービスです。

【他社ご利用事例】
モバオク様(DeNAグループ)の事例

ソニー・デジタルエンタテインメント様の事例

Slack(ビジネスチャット)

Slackは、2013年に公開された全世界で利用されているコミュニケーションツールです。チャット機能だけではなく、ファイル共有や通話など業務上のコミュニケーションに必要な機能が網羅されており、リモートワークを導入した際には、まずはSlackを導入すれば良いといっても過言ではありません。また、豊富な絵文字が用意されており、通常はテキストでは伝え辛い非言語的なコミュニケーションが取れる点も特徴です。さらに、ツール連携も豊富であり、Slackという単一のプラットフォーム上であらゆる業務を完結する事が可能です。以下に紹介するZoomとAsanaもSlack連携が実装されています。

公式HPはこちら

Asana(タスク管理)

Asanaは、2008年に公開された全世界で利用されているタスクマネジメントツールです。タスクに締切日や担当者を設定する事が可能なため、マネージャーは、各メンバーが持っている業務の内容や締切に対する進捗率を簡単に確認する事が出来ます。また、一度設定したタスクの担当者の変更が可能なため、納期やメンバーの稼働状況に応じて、工数配分を簡単に調整する事が出来ます。Slackと連携を行う事で、Slack上からタスクを設定したり、完了したタスクについてSlack上に通知させる事が可能です。

公式HPはこちら

営業マネジメントの5つの基本まとめ

営業マネジメントの5つの基本を解説させていただきました。

ここまで読んでいただけたら理解できるかと思いますが、営業目標を達成できるか左右するのはずばりマネジメントによるところが大きいです。

その5つの基本をまとめますと、

■目標管理:営業マネジメントの基本
「少し難しい目標設定」と「納得感」醸成が重要


■行動管理(営業分析/プロセスマネジメント)
マイクロマネジメントとは異なり、商談を各フェーズ・行動アクションに細分化し、課題を抽出し、解決につなげる

■案件(パイプライン)の進捗管理
失注につながる要因を早期に掴み、買わない理由を無くしていく

■エンゲージメント/モチベーションの醸成
「与える」より「奪わない」ことに注力

■人材育成/早期戦力化
成果を出せる営業像を言語化し、その営業像に近づくプロセスをわかりやすくする


営業成果が最大化されて、各企業様の社会的ミッション達成につながれば幸いです。

お役立ち情報

  • 全170P超の目標マネジメントパーフェクトガイド
    全170P超の目標マネジメントパーフェクトガイド
    近年増えている目標マネジメントへの不安を解消するあらゆる手法やマインドなど目標管理の全てが詰まっている資料になっています。
  • 【100P超のマネージャー研修資料を大公開!】マネジメントと1on1って何ですか?
    【100P超のマネージャー研修資料を大公開!】マネジメントと1on1って何ですか?
    「これさえ実践すれば間違いないという具体的なHOW」に焦点をあてて、マネジメントや1on1を実践できる内容となっています。
  • 【全260スライド超】メンバーの成長・マネジメントを最適化させるプロが実践する1on1パーフェクトガイド
    【全260スライド超】メンバーの成長・マネジメントを最適化させるプロが実践する1on1パーフェクトガイド
    組織開発・1on1 ・評価の設計運用で 100 社以上の企業に伴走してきた弊社の知見をもとに作成したガイド資料になります。

コチームの導入に関して

  • お問い合わせ
    お問い合わせ
    コチームについて不明点などございましたらご気軽にお問い合わせください。
  • お見積もり
    お見積もり
    コチームを導入するために必要な費用感を見積もれます。
  • トライアル
    トライアル
    ご気軽にトライアルでコチームを利用できます。