営業KPIを3つに絞ると売上が伸びる|設定手順と具体例を解説

▼ この記事の内容
営業KPIは「数を増やす」ほど現場が動かなくなります。KGIから逆算し、自社のボトルネックに直結する指標を3〜5つに絞り込むことが、売上向上の最短ルートです。設定後は週次の1on1で数字の裏にある行動の質を対話し、形骸化を防ぐ運用サイクルを回すことで、KPIが実際の成果に結びつきます。

売上目標は決まった。しかし、現場は「今日何をすればその目標に届くのか」が分からないまま月末を迎え、結局は数字を追い込むだけの繰り返しに陥っていないでしょうか。

200社超の営業組織を支援してきた経験から断言できるのは、KPIの項目数が多い組織ほど成果が出にくいという事実です。SFAに20項目の入力を課した結果、誰も入力しなくなり管理体制そのものが崩壊する。この状態が四半期続けば、マネジメントの土台が失われ、改善の糸口すら掴めなくなります。

この記事では、営業KPIをKGIから逆算して設定し、現場が迷わず動ける状態まで落とし込む方法を解説します。

読了後には、自社に最適なKPIの候補が絞られ、週次で運用を回す見通しが立っているはずです。


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KPIを設定した後に重要なのが評価制度との連動です。営業評価にKPIを連動させる設計手順と指標例を別記事で解説しています。

営業KPIとは|KGI・KFS・KDIとの違いを整理する

営業KPIとは、最終目標である売上(KGI)に到達するまでのプロセスを数値で測る中間指標です。KGI・KFS・KDIとの関係を正しく理解することが、形骸化しないKPI設定の出発点になります。

※すでに定義を理解している方は、次の「設定4ステップ」から読み進めるのが効率的です。

営業KPIの定義と4つの指標の関係

営業KPIは、売上というゴール(KGI)へ向かう途中のチェックポイントとして機能します。KGIを頂点に、KFS(重要成功要因)・KPI(重要業績評価指標)・KDI(重要行動指標)の4つの指標が連動して初めて、目標達成の道筋が構造的に可視化されます。

4つの指標の関係を以下の表で整理します。

指標意味役割具体例
KGI重要目標達成指標最終ゴール四半期売上3,000万円
KFS重要成功要因成功の鍵となる要素決裁者との早期接触
KPI重要業績評価指標プロセスの中間目標有効商談数 月20件
KDI重要行動指標行動量の計測1日30件の新規架電

KFSで「何が成功の鍵か」を見極め、KPIで進捗を測り、KDIで日々の行動に落とし込む。この順番を守ることが、指標管理を形だけに終わらせない前提条件です。

「KPIを設定したのに誰も意識していない」という組織は、KFSの特定を飛ばしてKPIを決めているケースがほとんどです。ボトルネックとの因果関係がない指標を追っても、現場には「なぜこの数字を追うのか」が伝わりません。

つまり、KFSの特定がKPI設計の起点であり、ここを省略した時点で形骸化が始まります。

目標管理の手法全般については、こちらの記事で体系的に整理しています。

KPIとKGIの違い|ゴールとプロセスを混同しない

KGIは「最終的にどこに辿り着くか」を示し、KPIは「そこへ向かう途中で順調かどうか」を測る指標です。両者の混同は、営業現場に混乱を引き起こす最大の原因になります。

年間売上1億円がKGIであれば、四半期ごとの新規商談創出数や受注率がKPIに該当します。KGIだけを月次会議で追った結果、月末に値引きで帳尻を合わせ、四半期の利益率が低下する悪循環に陥った営業組織は少なくありません。商談数や単価交渉プロセスをKPIとして可視化していれば、月の半ばで軌道修正が可能になります。

「KPIを増やせば管理が細かくなる」と考えるマネージャーは少なくありません。しかし200社超の営業組織を支援してきた経験から言えるのは、KPIの項目数が多い組織ほど成果が出にくいという事実です。追うべき数字が多すぎると、現場は何に注力すべきか判断できなくなります。

KPIはプロセスを数値化したものであり、結果が出る前に軌道修正できる点に最大の価値があります。KGIは変えられませんが、KPIは日々の行動で動かせる数字を選ぶのが鉄則です。

KPIとKDIの違い|数字の責任を個人が持てる設計にする

KDIは、担当者自身の努力で100%コントロールできる行動量の指標です。KPIが「新規商談獲得数」なら、KDIは「1日30件の架電」や「失注顧客への再アプローチメール10件」のように、やるかやらないかだけの数字を指します。

KPIには相手の反応が含まれるため、個人の努力だけでは達成できない場合があります。一方でKDIは架電数やメール送信数など、行動そのものの完了をカウントする指標です。製造業の営業チーム(従業員80名)では、KPIとKDIを区別せずに目標設定した結果、「頑張っているのに数字が上がらない」という無力感がチーム全体に広がった事例もあります。

従来はKPIとKDIを分けずに管理する組織が主流でしたが、現在はSFAやダッシュボードの普及により、行動量(KDI)とプロセス成果(KPI)を分けてリアルタイムに追う管理が標準になりつつあります。

KDIとKPIの区別を曖昧にしたまま目標を設定すると、担当者は「自分の努力が報われない」と感じて離脱します。KGIを起点にKPI・KDIを正しく設計する手順を、次のセクションで解説します。

売上から逆算する営業KPIの設定4ステップ

効果的な営業KPIは、売上目標(KGI)から逆算して論理的に導き出すものです。「訪問数を追おう」といきなり指標を決めるのではなく、全体像を把握してから個人の行動レベルまで細分化する4つのステップで設計します。

ステップ1|KPIツリーで売上を因数分解する

KPIツリーとは、売上(KGI)を頂点にして、構成する要素を枝分かれさせて図解したものです。売上を「商談数×成約率×顧客単価」に分解し、さらに商談数を「リード数×アポ率」へと細分化していきます。

【200社超の支援現場から】
200名の営業パーソンに「先月の受注率を書いてください」と紙を配ったことがあります。正確に書けたのは、わずか11人でした。SFA入力率は95%を超えていたにもかかわらず、自分のデータを見る習慣がなかったのです。

ツリーを描く前に、まず現状の数値を正確に把握することが出発点です。自社の受注率やアポ率を即答できるメンバーがどれだけいるか、一度確認してみると実態が見えてきます。

KPIツリーを可視化することで、「どの数値を動かせば売上に届くのか」が組織全体で共有されます。KPIツリーの具体的な作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

ステップ2|現場がコントロールできる行動指標へ落とし込む

ツリーで分解した要素を、日々の業務で実行できる行動指標へ変換する段階です。「成約率を上げる」だけでは抽象的すぎて、担当者は何をすればいいか判断できません。

【200社超の支援現場から】
マネージャー陣に「追うべきKPIを挙げてください」と聞いたところ、全員バラバラで合計17個になりました。そこから議論を重ねて最終的に残ったのは3つ。しかもその3つは、当初の17個には含まれていなかった指標でした。

「思いつくものを全部並べる」アプローチでは、追うべき指標は見つかりません。現場がコントロールできるかどうかという軸で選別すると、本当に必要な指標は驚くほど少なくなります。営業フェーズごとの具体的な行動指標を以下の表で整理します。

営業フェーズ抽象的な目標具体的な行動指標
事前準備質の高い商談をする商談24時間前に顧客のプレスリリースを3件確認する
ヒアリング課題を深掘りするヒアリングシートの20項目を全て埋める
提案納得感を高める同業種の導入事例を最低2社提示する
追客検討を促す商談後2時間以内にお礼メールと要約資料を送る

行動指標の粒度が十分かを判定する方法として、5秒テストが有効です。設定した行動指標を新人に見せて、5秒以内に「今日やるべき行動」を答えられなければ、粒度が粗すぎるサインです。つまり、行動指標の具体化レベルが運用の成否を決定づけます。

KPIを個人レベルに落とし込む際は、営業ノルマの適正な設定手順と数値基準を押さえておくと精度が上がります。

ステップ3|SMARTの法則で「測れるKPI」に仕上げる

設定したKPIが実行可能な品質を満たしているかを、SMARTの法則で精査する段階です。5つの要素を全て満たしていないKPIは、設定しても形骸化する確率が高くなります。

SMARTの各要素とチェック基準を以下に整理します。

要素意味チェック基準
Specific具体的か誰が読んでも同じ行動をイメージできるか
Measurable測定可能か達成/未達を数値で判定できるか
Achievable達成可能かリソースから見て現実的か
Relevant関連性があるかKPI達成がKGIに直結するか
Time-bound期限があるかいつまでに達成すべきか明確か

「頑張って訪問する」ではなく、「今月中に新規訪問を20件行う」と設定する。この差が、チーム全体の行動精度を決定的に変えます。

「SMARTに当てはめると、どのKPIもRelevant(関連性)の判定が甘くなる」という声は少なくありません。Relevantの判定精度を上げるには、ステップ1のKPIツリーに立ち返り、KGIとの因果関係を数値で検証する手順が欠かせません。

SMARTの法則を用いた目標設定の詳細な手法は、こちらの記事で解説しています。

ステップ4|マイルストーンで10日単位の進捗を管理する

マイルストーンとは、最終ゴールまでの中間チェックポイントです。1ヶ月や四半期という長いスパンだけでなく、10日単位で小さな目標を置くことで、遅れに素早く気づけます。

具体的なマイルストーンの設計例を以下に示します。

期間確認ポイントチェック基準
10日目案件の発掘量目標金額の3倍以上がパイプラインにあるか
20日目有効商談数決裁者との商談が予定通り進んでいるか
25日目最終合意契約スケジュールが把握できているか

従来は月末に数字を振り返るだけの管理が主流でしたが、現在は10日サイクルでのリアルタイムな進捗管理が成果を出す組織の標準になりつつあります。細かい区切りを設けることでモチベーションを維持しながら、着実にゴールへ近づけるのがマイルストーン管理の本質です。

KPIツリーの作成から行動指標への落とし込みまで完了したら、次は自社の業態に合った具体的な指標を選定する段階に移ります。

営業KPIの設定ステップを自社でより深く実践したい方は、営業マネジメントの全体像を解説した資料もあわせてご確認いただけます。


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営業プロセス・業態別のKPI具体例一覧

営業の型によって追うべき指標は異なります。各プロセスの役割を理解し、自社の営業スタイルに合った指標を選定することが、KPI設計の精度を左右します。

営業プロセス別のKPI一覧|IS・FS・CS・管理の4分類

営業プロセスは大きく4つのフェーズに分かれ、それぞれ追うべきKPIが異なります。自社の停滞ポイントを以下のテーブルで特定し、最も改善インパクトの大きい指標から優先的に設定するのが効果的です。

フェーズ役割主要KPI停滞時のチェックポイント
マーケ・IS商談の質と量の確保リード数・アポ獲得率・CACターゲット層は正しいか?訴求は刺さっているか?
FS(営業)受注の最大化受注率・有効商談数・キーパーソン接触率決裁者に会えているか?課題解決を提示できているか?
CS(既存)LTVの最大化継続率・アップセル率・LTV導入支援は成功したか?定期フォローがあるか?
管理・経営組織の持続的成長売上/利益率・顧客単価・NPS属人化していないか?安易な値引きをしていないか?

この表で重要なのは、右端の「停滞時のチェックポイント」列です。KPIの数字が動かないとき、何を疑えばいいかが一目で分かります。数字だけを追っても原因にたどり着けないため、チェックポイントとセットで管理する仕組みが成果の分かれ目になります。

有効商談の判定には、BANT条件(Budget:予算、Authority:決裁権、Needs:必要性、Timeframe:導入時期)を基準にすると、パイプラインの精度が格段に上がります。200社超の支援現場では、BANTの4項目のうちAuthority(決裁権)の確認精度が最も低く、有効商談の過大カウントの主因になっています。BANT条件を満たさない商談が有効商談にカウントされていないか、定義の見直しから着手するのが改善の近道です。

KPIを営業パイプラインの各フェーズに落とし込む方法は、パイプライン管理のKPI設定手順と運用の仕組みで詳しく解説しています。

業態別に最重要KPIを選ぶ|新規開拓・SaaS・製造業・人材不動産

業態が異なれば、最も成果に直結するKPIも変わります。自社のビジネスモデルに合わない指標を設定すると、現場の工数だけが増えて成果に結びつきません。

業態ごとの最重要KPIと、その選定理由を以下に整理します。

業態最重要KPI理由
新規開拓架電数・アポ獲得率ゼロから接点を作る行動量が成果の源泉
SaaSチャーンレート(解約率)LTVがCACを上回らなければ事業が成立しない
製造業受注予測精度工場の生産計画に直結するため
人材・不動産成約スピード・内見数情報の鮮度とマッチング速度が勝敗を分ける

新規開拓では行動量が全てですが、SaaSでは解約を1件防ぐほうが新規を1件獲得するよりLTVへの貢献が大きいケースが多いのが実態です。自社の売上構成比のうち、新規顧客が6割以上なら新規開拓型、既存顧客のリピート・アップセルが6割以上ならSaaS/CS型のKPIを優先するのが判断基準になります。

「うちは複数業態にまたがるから、全部追わないと不安だ」という声は少なくありません。しかし200社超の営業組織を支援してきた経験から断言できるのは、指標を絞った組織のほうが結果的にKGIへの到達率が高いという事実です。全部追おうとする組織は、どの指標も中途半端に終わります。

どの業態にも共通して起こるのが、設定したKPIが形骸化する問題です。次のセクションでは、200社超の支援現場で繰り返し見てきた3つの形骸化パターンと、具体的な防ぎ方を解説します。

自社のボトルネックからKPIを1つだけ特定する方法

KPIを「全部追う」のではなく、自社の営業プロセスで最も詰まっているポイントを1つだけ特定し、集中する方法があります。この課題を整理するために、メトリクス起点のボトルネック発見シートというアプローチを提案します。

手順は3ステップです。まず営業プロセスの各段階(リード→アポ→商談→受注)の転換率を書き出します。次に、転換率が最も低い段階を特定します。最後に、その段階に直結する行動指標を1つだけKPIに設定します。

たとえばリード→アポの転換率が3%、アポ→商談が60%、商談→受注が25%であれば、ボトルネックはリード→アポの段階です。この場合、「アポ獲得率」をKPIに設定し、架電トークの改善やリストの精度向上にリソースを集中させます。

つまり、転換率の最低点が最優先KPIです。PDCAサイクルのように全工程を同時に回すのではなく、最も弱い1点を先に特定して集中改善する点がこのアプローチの特徴であり、従来の網羅的な管理とは発想が異なります。

KPI設定後に必ず起きる3つの形骸化パターンと防ぎ方

KPIは「設定して終わり」ではなく、設定直後から形骸化のリスクが始まります。200社超の営業組織を支援する中で繰り返し見てきた、3つの典型的なパターンとその対策を解説します。

項目を詰め込みすぎて現場がSFAに入力しなくなる

KPIの項目数が多すぎると、現場は何に集中すべきか分からなくなり、結果としてSFAへの入力そのものが止まります。管理体制の土台が崩れる最も多い原因がこのパターンです。

【200社超の支援現場から】
マネージャー陣に「追うべきKPIを挙げてください」と聞いたら合計17個。議論を重ねて最終的に残した3つは、当初のリストには入っていませんでした。3つに絞った後、SFAの入力率は翌月から回復し始めました。

「多いほど管理が細かくできる」という直感に反して、指標を絞るほど現場の意識が研ぎ澄まされます。入力項目が増えるたびに、営業担当者にとっては「本来の営業活動以外の作業」が増えているという認識になるからです。

つまり、KPI項目の削減そのものが、SFA定着率を回復させる最も即効性の高い施策です。

SFA導入後の形骸化を防ぐ具体的な運用ルールは、こちらの記事で詳しく解説しています。

行動KPIの達成が目的化して売上に結びつかない

行動KPIの数字は達成しているのに、最終的な売上が上がらない。このパターンは、KPIとKGIの因果関係が弱いことを示す最も危険なサインです。

【200社超の支援現場から】
あるSaaS企業のエース営業がSlackに「ヒアリングファースト」と書いていました。ところが実際の商談録画を分析すると、冒頭10分で自社の導入事例を語っていた。しかもそれが成約に効いていたのです。本人の言語化と実際の行動は、ここまでズレることがあります。

行動量管理が成約率を高めるという通説に反し、200社超の支援データでは商談の質を管理したチームのほうが成約率が高い結果が繰り返し観察されています。数字だけを追っていると、本人すら気づかない「成果につながる行動」と「KPIとして追っている行動」のギャップを見逃します。

この問題の根本は、KPIが「行動の量」しか測っていないことにあります。商談数という量のKPIに固執するのをやめ、「決裁者との接触率」や「比較資料の提示数」といった質の指標へ切り替える判断力が、マネージャーには求められます。

KPIの数字が順調なのに売上が伸びないなら、追っている指標そのものを疑うべきタイミングです。

マネージャーが数字を詰めるだけの「報告会1on1」になる

週次の1on1がKPIの進捗確認だけの場になると、部下にとっては「詰められる時間」でしかなくなります。数字の背後にある行動の質に踏み込まなければ、1on1はむしろモチベーションを下げる逆効果の場に変わります。

【200社超の支援現場から】
アパレル企業15名のチームで、キックオフの時点で12人がPCで別の仕事をしていました。1ヶ月目は研修を一切やらず、全員に15分ずつ「何が嫌か」を聞いて回りました。12年目の女性はこう言いました。「研修で教わったことを現場でやると、お客さんに『今日なんか違うね』って言われる。それが恥ずかしくて元に戻るんです」。そこから方針を変え、「教えない。数字だけ見る」設計にしたところ、6ヶ月で売上130%に達しました。

ただし、この成果にはトレードオフがあります。1商談あたりの時間が30分から50分に延長しました。商談の質を重視した分、件数は微減しています。成果の裏には必ずこうした代償があり、代償を事前に見積もった上でKPIの優先順位を決めることが重要です。

「教えるのではなく、数字を見せて本人に気づかせる」。この発想の転換が、詰め会議型の1on1から脱却する鍵になります。KPIを実際の売上に直結させるための運用のコツを、次のセクションで解説します。

営業KPIを売上に直結させる運用のコツ

KPIは設定するだけでは売上に結びつきません。日々の運用を通じて、数字の裏にある行動の質を改善し続けることで初めて成果につながります。

週次1on1でKPIの数字の「裏にある行動」を対話する

KPI管理を売上に直結させる最も効果的な手段は、週次の1on1で「なぜその数字なのか」を対話することです。数字の確認だけなら報告メールで済みます。1on1の価値は、数字の背後にある行動の質を掘り下げる点にあります。

KPIが未達の際に「なぜできないのか」と詰めるのではなく、「商談のどのフェーズで苦戦しているか」「ロールプレイングで改善できる箇所はどこか」といった、スキル開発に直結する対話を行います。SaaS企業(従業員60名)の営業マネージャーが週次1on1でこのアプローチに切り替えたところ、チーム全体の受注率が四半期で改善に向かった事例もあります。

従来の1on1は「進捗報告→指示」の一方通行が主流でしたが、現在は「数値共有→仮説検証→行動改善」の双方向対話型へとシフトしています。結果だけでなくプロセスを評価する仕組みがあることで、メンバーは安心して正しい努力を続けられます。

週次30分の1on1を確保する余裕がないという声は少なくありません。しかし属人的な相談対応や突発的な退職面談に費やす時間と比較すると、定例1on1のほうが総工数は削減されるケースが多く報告されています。

つまり、1on1の対話品質がKPIの実効性を決定づけます。

1on1の具体的な進め方や質問テンプレートは、こちらの記事で詳しく解説しています。

KPI未達時の見直しフロー|時間・スキル・環境の3軸で特定する

KPIが達成できない場合、原因は「時間・スキル・環境」のいずれかに分類できます。気合いで巻き返そうとする前に、どの軸に問題があるかを冷静に切り分けることが再設定の第一歩です。

まず確認すべきは「十分な時間を費やしているか」です。突発業務の割り込みや会議過多で、そもそもKPI達成のための時間が確保できていないケースは少なくありません。時間を確保しているにもかかわらず結果が出ないなら、次にスキルの問題を疑います。

スキルにも問題がない場合は、環境要因を検証します。ターゲットリストの質が低い、競合の価格攻勢が激しい、社内の承認プロセスが遅いなど、個人の努力では解決できない構造的な障壁が原因である可能性が見えてきます。

時間→スキル→環境」の順に検証するフローを週次の1on1に組み込むことで、未達の根本原因を短時間で特定し、翌週のアクションに反映できます。目標設定は一度決めて終わりではなく、再設定のサイクルを回し続けることで精度が上がっていくものです。

KPIの数字に現れない「商談の質」をどう測るか

KPIの数字はプロセスの「量」を可視化しますが、商談の「質」までは測れません。訪問数が目標を達成していても、提案内容が的外れであれば成約には至りません。量と質のギャップを埋めることが、KPI管理の最終課題です。

【200社超の支援現場から】
ある企業のトップ営業がSlackに「ヒアリングファースト」と書いていたのに、実際の商談では冒頭から自社事例を語っていた。しかもそれが成約に効いていた。言語化された「型」と、実際に成果を生む行動は、ここまで乖離するものです。

言語化された営業手法と実際の成功行動の乖離を放置したまま、行動KPIだけを追っても売上は頭打ちになります。従来は上司が同行して初めて把握できたこの問題に、テクノロジーでアプローチする手段が登場しています。商談中のAIリアルタイム解析で、言語化されていない「勝ちパターン」を抽出し、チーム全体に展開する方法です。

AIによる商談分析と行動KPIの改善を組み合わせた企業では、6ヶ月で売上226%の向上を達成しています。ただし、1商談あたり約15分の延長というトレードオフも生じました。商談の質を上げるには一定の時間投資が必要であり、件数を追うKPIとのバランス調整が求められます。

KPIの数字管理に加え、商談そのものの質を改善する仕組みに関心がある方は、FAZOMの解説資料で具体的なアプローチをご確認いただけます。商談中にAIがリアルタイムで次の質問や切り返しを表示する機能により、マネージャーの同行なしでも商談品質を底上げできます。

KPIの設計と並行して見直すべきなのが、営業評価の不公平を解消する改善策と評価基準の再設計手順です。評価基準とKPI設計を連動させることで、制度全体の整合性が高まります。


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よくある質問

営業KPIの項目数はいくつに絞るのが効果的か?

1人あたり3〜5つが最適です。人間の脳が同時に意識できる範囲には限界があり、項目が多すぎると注意力が分散して全てが中途半端になります。売上に最も影響を与えるボトルネック指標を見極め、リソースを集中させることが成果への最短距離です。

定性的な行動目標を定量的なKPIに変換するには?

「信頼構築」のような抽象的な目標も、具体的な行動に置き換えれば数値化できます。「月1回の定期連絡を実施する」「ヒアリングシートの活用率100%」「お礼メールを24時間以内に送付」といったルールを定め、実行率を計測します。やったか・やっていないかが誰でも判定できる状態にするのがポイントです。

KPIが未達の場合の具体的な対策や見直し方は?

まず未達の原因を「時間・スキル・環境」の3軸で特定します。行動量が不足しているなら時間の使い方を改善し、転換率が低いならスキルアップ施策を実施します。市場変化などの外部要因が大きい場合は、速やかに目標数値自体を見直すことも必要です。未達を責めるのではなく、データに基づいて次の一手を打つ姿勢が重要です。

絞ったKPIを日々の営業活動で追うには、営業日報とKPIを連動させる設計手順が欠かせません。

まとめ

営業KPIは、売上目標を現場の行動に変換するための仕組みです。KGIから逆算してKPIツリーを作り、自社のボトルネックに直結する3〜5つの指標に絞り込む。設定後は週次の1on1で数字の裏にある行動の質を対話し、時間・スキル・環境の3軸で未達原因を特定して改善し続ける。この運用サイクルを回すことで、KPIは形骸化せず、実際の売上向上につながります。

KPIの設定方法が決まったら、次は商談管理の仕組み化が重要なテーマになります。KPIで進捗を追いながら、商談の質を組織的に改善する方法は、こちらの記事で解説しています。

KPIの数字管理だけでなく、商談そのものの質を改善する仕組みを同時に検討したい方は、FAZOMの解説資料をご活用いただけます。KPI管理が形骸化したまま放置すると、マネージャーの管理工数だけが膨らみ、営業チーム全体の生産性が低下し続けます。リアルタイムの商談支援AIとKPI管理を連動させることで、マネージャーの工数を増やさずにチーム全体の営業力を底上げする方法を解説しています。


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