新任管理職研修とは?目的・内容・効果を高める設計法を解説

▼ この記事の内容

新任管理職研修の目的は、意識転換・マネジメントスキル習得・リーダーシップ強化の3つに集約される。しかし約8割の企業が実施する一方、研修が現場で活かされないケースも多い。本記事では新任管理職が直面する「4つの壁」を起点に、研修内容の選定から効果を高める設計法、費用・形式の判断基準までを解説する。

新任管理職研修は約8割の企業が実施しており、新入社員研修と並んで最も重要度の高い階層別研修に位置づけられている。昇格直後の管理職に必要なマインドとスキルを短期間で習得させる仕組みとして、その需要は年々高まっている。

一方で、「研修を受けたはずの管理職が、現場に戻ると何も変わっていない」という声は根強い。年度初めの全体会議で所信表明を求められ、部下との1on1で何を話せばいいかわからず沈黙が続く。研修で学んだ理論と目の前の現実との乖離に苦しむ新任管理職は少なくないだろう。

この記事では、新任管理職研修の目的と内容を体系的に整理した上で、研修が形骸化する構造的な原因を分析し、自社に最適な研修設計ができる状態まで導く。

読了後には、自社の新任管理職が直面する課題に対応した研修テーマが明確になり、研修企画の骨子が固まっているはずだ。


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新任管理職研修の目的|約8割の企業が実施する理由

新任管理職研修の目的は、プレイヤーから管理職への役割転換を組織的に支援し、着任後の早期立ち上がりを実現することにある。個人の成果責任からチーム全体の成果責任へと求められる能力が根本的に変わるため、研修なしでの自然な適応は困難だ。

新任管理職研修の3つの目的とは

新任管理職研修の目的は、①管理職としての意識転換、②マネジメントスキルの習得、③リーダーシップの発揮基盤の構築の3つである。この3つが揃うことで、新任管理職は着任後3〜6ヶ月で組織成果に貢献できる状態に到達する。

1つ目の意識転換とは、「自分が成果を出す」から「チームで成果を出す」への思考の切り替えを指す。優秀なプレイヤーほど自分で手を動かす癖が抜けず、部下に仕事を任せられないまま業務過多に陥る傾向がある。

2つ目のマネジメントスキルは、目標設定・進捗管理・人事評価・労務管理など、管理職として日常的に行う業務の基礎知識だ。ドラッカーが提唱したマネジメントの原則に基づけば、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を最適配分する能力がここに該当する。

3つ目のリーダーシップ基盤は、ビジョンの提示・部下の動機づけ・他部署との連携調整を含む。スキルとマインドの両面から管理職の土台を築くことが、新任管理職研修の本質的な役割だ。

プレイヤーからマネージャーへの意識転換が最優先な理由

新任管理職研修においてスキル習得よりも先に取り組むべきは、プレイヤーからマネージャーへの意識転換である。スキルをいくら詰め込んでも、「自分がやったほうが速い」という意識が残っている限り、学んだ手法を現場で使うことはない。

従来の管理職研修は、コミュニケーションスキルやコーチング技法などの「手法」から教えるプログラムが主流だった。しかし現在は、まず「管理職の成果とは何か」を再定義し、意識転換を促すアプローチへとシフトしている。部下が成長し、チームの成果が上がることこそが管理職の評価指標であるという認識を最初に据えることが重要だ。

意識転換が不十分なまま現場に戻った管理職は、プレイングマネージャー化が加速する。自分で案件を抱え、部下の育成やチーム運営が後回しになり、長時間労働と部下の成長停滞が同時に発生する。厚生労働省の「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」でも、管理監督者の過重労働防止が求められている。

管理職という役割の構造を理解し、「自分の仕事の定義が変わった」と腹落ちする体験を研修の最初に設計することが、その後のスキル研修の効果を最大化する前提条件になる。組織における中間管理職の役割や求められるスキルについては、こちらの記事で詳しく解説している。

研修を実施しないと何が起きるか|新任管理職が直面する4つの壁

新任管理職が研修なしで着任した場合、着任後6ヶ月以内に4つの壁に直面する。「ビジョンの壁」「連携の壁」「育成の壁」「自己管理の壁」である。この4つの壁を事前に把握し、対応する研修テーマを紐づけることが、効果的な研修設計の出発点になる。

ビジョンの壁は、チームの方向性を示せないことから生じる。自分のビジョンや方針をメンバーに伝える経験がないため、全体会議での所信表明が抽象論に終わり、メンバーの納得感を得られない。連携の壁は、他部署のリーダー陣との調整に苦労するケースだ。プレイヤー時代は自部署内で完結していた業務が、管理職になると部門横断の利害調整を求められる。

育成の壁は、部下指導の方法がわからない状態を指す。「背中を見て学べ」が通用しない世代に対し、具体的なフィードバックやコーチングの技術を持たないまま育成責任を負う。自己管理の壁は、マネジメント業務と自身のプレイヤー業務の両立に追われ、セルフマネジメントが崩壊する状態だ。管理職就任直後にメンタル不調を訴えるケースは、ここに原因がある場合が多い。

「プレイングマネージャーは仕方がない」と諦める声もあるが、壁の正体を可視化すれば対処は可能だ。以下のマトリクスで、自社の新任管理職がどの壁に直面しているかを特定し、対応する研修テーマを選定してほしい。

この4つの壁は互いに独立しているわけではなく、1つの壁が崩れると連鎖的に他の壁にも影響する。研修設計では、自社の管理職が最も深刻に直面している壁を優先テーマに据えることが、限られた研修時間で最大の効果を出す鍵になる。

新任管理職研修の内容|カリキュラムに組み込むべき6テーマ

新任管理職研修のカリキュラムは、役割認識・部下育成・目標管理・評価・労務管理・リスクマネジメントの6テーマで構成するのが標準だ。重要なのは6テーマを均等に詰め込むことではなく、前述の「4つの壁」のうち自社で最も深刻な壁に対応するテーマに重点配分することである。

役割認識とマネジメントの基礎(組織・業務・ヒト)

新任管理職研修で最初に扱うべきテーマは、管理職の役割認識とマネジメントの基礎である。4つの壁のうち「ビジョンの壁」を乗り越える土台がここに該当する。管理職が「自分は何をする人なのか」を定義できなければ、その後の全スキルが宙に浮く。

マネジメントの基礎とは、組織マネジメント(チームの方針策定・体制設計)、業務マネジメント(目標設定・進捗管理・PDCAの運用)、ヒトのマネジメント(部下の動機づけ・評価・育成)の3領域を指す。インソースやリクルートマネジメントソリューションズなど大手研修会社のプログラムでも、この3領域を研修初日の冒頭で扱う構成が一般的だ。

「役割認識なんて座学で教えても意味がない」と感じる研修担当者もいるだろう。確かに、スライドを見せて終わりでは行動は変わらない。効果的なのは、受講者同士でマネジメント経験の困りごとを共有するワークショップ形式だ。「自分だけが悩んでいるわけではない」と気づくことが、役割を受け入れる心理的な転換点になる。

役割認識は研修の最初に置くからこそ意味がある。以降のスキル研修(部下育成・目標管理・労務管理など)を「なぜ自分が学ぶ必要があるのか」という動機と接続させる起点として機能させることが、カリキュラム設計のポイントだ。

部下育成・コーチング・フィードバックスキル

4つの壁のうち「育成の壁」に直接対応するのが、部下育成・コーチング・フィードバックのスキル研修である。新任管理職が最も苦戦するテーマであり、研修の効果が現場に表れやすい領域でもある。

部下育成の手法は大きく3つに分類される。ティーチングは正解を教える手法であり、業務手順や社内ルールの伝達に適している。コーチングは問いかけを通じて部下自身に答えを導かせる手法であり、判断力や自律性の育成に有効だ。フィードバックは行動の事実を伝えて改善を促す手法であり、日々の業務改善に直結する。この3つを場面に応じて使い分ける力が、新任管理職には求められる。

従来、管理職の指導スタイルは「自分が受けてきた指導の再現」に依存していた。しかし現在のマネジメント研修では、体系的なコーチング技法を学び、属人的な指導から脱却するアプローチが主流になっている。ある自動車ディーラーでは、28年間のベテラン店長がコーチング型の1on1を導入したところ、部下5名に対する週あたりの対話時間は約1時間増加した。にもかかわらず、部下の成長と成果が目に見えて変わり、店長自身の満足度も大きく向上した。長年の指導法を変えることへの抵抗は当初あったが、成果が出始めると「もっと早くやるべきだった」という感想に変わったという。

部下育成スキルは座学だけでは身につかない。研修内でロールプレイを行い、「部下役」からフィードバックを受ける体験を組み込むことで、現場での実践率が大きく高まる。部下育成の具体的な手順やフレームワークについては、こちらの記事で詳しく解説している。

目標設定・人事評価・労務管理の実務知識

4つの壁のうち「連携の壁」と「自己管理の壁」の双方に関わるのが、目標設定・人事評価・労務管理の実務知識だ。管理職に昇格した瞬間から、これらの業務は待ったなしで発生する。

目標設定はチームの方向性を数値で示す行為であり、管理職の最も重要な仕事の一つだ。MBO(目標管理制度)やOKRの運用方法、部下との目標面談の進め方を研修で扱うことで、期初の目標設定から期末の評価面談まで一貫した運用ができるようになる。

人事評価は新任管理職にとって最も心理的負荷が高い業務だ。「自分が部下を評価していいのか」という不安を抱える管理職は多い。公正な評価基準の理解、評価エラー(ハロー効果・中心化傾向など)の回避方法、建設的な評価面談の技術を研修で学ぶことが、評価への自信と部下の納得感の両立につながる。人事評価の目的や基本的な考え方については、こちらの記事で体系的に整理している。

労務管理は、勤怠管理・残業時間の把握・有給取得の促進・36協定の理解など、法的リスクに直結する領域だ。「知らなかった」では済まされないテーマであるため、研修では最低限の法的知識と、問題発生時のエスカレーション先を明確に伝えることが必要になる。

コンプライアンス・ハラスメント・メンタルヘルス対策

4つの壁のうち「自己管理の壁」に密接に関わるのが、コンプライアンス・ハラスメント・メンタルヘルスの3テーマだ。管理職は組織の法令遵守と職場環境の安全配慮義務を担う立場であり、この領域の知識不足は企業全体のリスクに直結する。

ハラスメント対策は、2022年4月に中小企業も含む全事業者にパワハラ防止措置が義務化されたことで、新任管理職研修の必須テーマとなった。指導とハラスメントの境界線、相談を受けた際の初動対応、日常的なコミュニケーションで気をつけるべきポイントを具体的なケーススタディで学ぶ形式が効果的だ。

メンタルヘルス対策では、ラインケア(管理職が部下の心身の変調に気づき、適切に対応する役割)の基本を押さえる。管理職自身のセルフケアも重要なテーマだ。就任直後の負荷集中によって管理職本人がメンタル不調に陥るケースは珍しくない。管理職の疲弊やストレスへの対処法については、こちらの記事で具体的な対策を紹介している。

6テーマすべてを1日の研修に詰め込もうとすると、どのテーマも表面をなぞるだけで終わる。自社の管理職が最も深刻に直面している壁を特定し、対応するテーマに研修時間の50%以上を配分する設計が、限られた時間で最大の効果を出す鍵だ。では、具体的にどのように研修を設計すれば効果が持続するのか。次のセクションで、失敗パターンから逆算した設計法を解説する。

新任管理職研修の効果を高める設計法|失敗パターンから逆算する

新任管理職研修の効果を左右するのは、カリキュラムの中身以上に「研修の設計思想」である。目的も内容も正しいのに成果が出ないケースの大半は、設計段階での構造的なミスに起因する。失敗パターンを先に潰すことが、効果的な研修設計の最短ルートだ。

「管理職研修は意味ない」と言われる3つの原因

管理職研修が「意味ない」と評価される原因は、①前例踏襲による課題乖離、②スキルとマインドの見極め不足、③研修後フォローの不在の3つに集約される。いずれもカリキュラムの質ではなく、研修を取り巻く設計構造の問題だ。

【専門家の視点】研修が形骸化する企業には共通のパターンがある。研修担当者が「新任管理職に求められる能力と課題は毎年同じ」と前提を置き、プログラムを見直さないまま数年が経過する。その間に外部環境は変わり、入社時の能力やマインドも変わり、管理職昇進までに経験した仕事も変わっている。結果として、研修内容と現場課題の間に乖離が生まれる。これが1つ目の「前例踏襲」パターンだ。

2つ目の「スキルとマインドの見極め不足」は、課題の本質がマインド(意識・姿勢)にあるにもかかわらず、スキル研修(コミュニケーション技法など)で対処しようとするケースだ。部下育成の重要性を理解していない管理職に、フィードバックの手法だけ教えても行動は変わらない。逆に、マインドは十分だがスキルが不足している管理職に、意識改革プログラムを繰り返し受けさせても効果は出ない。

3つ目の「フォロー不在」は最も多い失敗パターンだ。1日の集合研修を受講して終わり、その後は上司からのサポートもなく、学んだ内容を現場で実践する機会設計もない。研修単体では行動変容は起きない。研修後に「学んだことを使う場面」を意図的に設計しなければ、知識は1週間で風化する。

「毎年やっていることだから」という理由で同じプログラムを繰り返すことが、研修を形骸化させる最大の原因である。自社の管理職が今どの壁に直面しているかを毎年棚卸しし、研修テーマを更新する仕組みを持つことが対策の第一歩だ。

自社課題から逆算する研修テーマの選び方

効果的な新任管理職研修を設計するには、「何を学ばせるか」ではなく「自社の管理職がどこで躓いているか」から逆算する。課題の特定なきテーマ選定は、的を見ずに矢を放つのと同じだ。

具体的な手順は3ステップで構成される。まず、直近1〜2年で管理職に昇格したメンバーへのヒアリングや360度フィードバックの結果から、4つの壁(ビジョン・連携・育成・自己管理)のどれに該当する課題が多いかを集計する。次に、最もスコアが低い壁に対応する研修テーマを優先テーマとして設定する。最後に、優先テーマに研修時間の50%以上を配分し、残りのテーマは概要レベルに抑える。

「流行っているテーマだから取り入れたい」という動機で研修を企画するケースも散見される。対話型マネジメントや心理的安全性など、話題のテーマは魅力的に映る。しかし、自社の管理職が直面している壁と関連しないテーマを導入しても、受講者は「自分ごと」として受け取れず、研修効果は限定的になる。

テーマ選定で迷ったら、「この研修を受けた管理職が、来週の月曜日に何を変えられるか」を問うてほしい。具体的な行動変容がイメージできないテーマは、現時点では優先度が低い。

研修後のフォローアップ設計|行動変容を定着させる3つの仕組み

研修の効果を持続させる鍵は、研修後のフォローアップにある。行動変容を定着させるには、①定期的な振り返りの場の設計、②上司によるサポート体制の構築、③実践を促すツール・仕組みの導入の3つが必要だ。

1つ目の振り返りの場とは、研修受講後に1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月のタイミングでフォローアップ研修やピアラーニング(受講者同士の学び合い)を実施することだ。「研修で学んだことを現場で試した結果」を共有し合う場を設けることで、実践のサイクルが回り始める。

2つ目の上司サポートは見落とされがちだが極めて重要だ。新任管理職の直属の上司が「研修で何を学んだか」を把握し、実践を後押しする声掛けをするだけで定着率は大きく変わる。研修内容を上司にも共有し、日常の1on1で実践状況を確認する運用が望ましい。

3つ目のツール・仕組みの導入については、研修で学んだマネジメントの「型」を日常業務の中で反復実践できる環境を整えることを指す。ある教育サービス企業では、1on1の頻度を研修前の3倍に増やしたところ、公式アジェンダの導入によって1回あたりの時間は短縮された。コミュニケーションの総時間はむしろ減少し、対話の質が向上したという結果が出ている。「1on1を増やすと管理職の負荷が増える」という直感に反し、仕組みを整えれば質と効率を両立できることを示す事例だ。

研修は「学ぶ場」であり、「変わる場」は現場にしかない。研修設計の段階からフォローアップの仕組みをセットで企画することが、「研修を受けたのに何も変わらない」という評価を防ぐ最も確実な方法だ。

新任管理職の研修設計と、研修後の行動変容を支援する仕組みづくりに役立つ資料を用意している。自社の研修企画の参考にしてほしい。


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新任管理職研修の実施時期・費用・形式の選び方

新任管理職研修の企画を社内で通すには、「何を学ばせるか」に加えて「いつ・いくらで・どの形式で」を明確にする必要がある。このセクションでは、実施タイミング・費用相場・研修形式の3つの判断基準を整理し、稟議に必要な情報を揃える。

研修はいつ実施すべきか|昇格前・直後・半年後の最適タイミング

新任管理職研修の最適な実施タイミングは、昇格直後(着任1ヶ月以内)である。ただし昇格前の予備研修と、着任半年後のフォローアップ研修を組み合わせた3段階設計が最も効果が高い。

昇格前の予備研修は、管理職に昇格する見込みのある候補者に対して基礎知識を事前にインプットするものだ。着任後の戸惑いや不安を軽減し、昇格直後から自信を持って動き出せる状態を作る。4月昇格の場合は2〜3月、10月昇格の場合は8〜9月が実施目安になる。

昇格直後の研修は、管理職としての役割認識とマネジメントの全体像を集中的に学ぶ場だ。着任1ヶ月以内に実施することで、「管理職として最初に何をすべきか」が明確になり、初動の質が上がる。多くの大手企業では、4月の人事異動後2週間以内に集合研修を実施する運用が定着している。

着任半年後のフォローアップ研修は、現場で実際にマネジメントを経験した上での課題を持ち寄り、解決策を学ぶ場だ。半年間の実務経験があることで、座学の理解度が着任直後とは比較にならないほど深まる。小規模の企業では、数年分の昇格者をまとめてフォローアップ研修を実施するケースもあり、これは一定期間の実務経験を経てからの学びという点で理にかなっている。

研修費用の相場と外部委託・内製の判断基準

新任管理職研修の費用は、外部委託の場合で1人あたり3〜10万円/日が一般的な相場だ。講師の知名度や研修会社のカスタマイズ対応の有無によって幅がある。内製の場合は直接コストを抑えられるが、研修設計の工数と社内講師の育成コストを考慮する必要がある。

項目外部委託内製
費用1人3〜10万円/日社内講師の人件費+教材作成工数
カスタマイズ研修会社により対応可完全に自社仕様で設計可能
講師の専門性外部の豊富な知見自社の業務・文化に精通
スケジュール柔軟性研修会社の空き状況に依存自社都合で調整可能
適するケース初回導入・体系的な知識習得継続的な研修・自社事例活用

「外部研修は高い」と感じる研修担当者は多いが、判断基準は費用の絶対額ではなくROI(投資対効果)で考えるべきだ。管理職1人が着任後半年で離職した場合の採用・育成コストは、年収の1.5〜2倍とされる。仮に年収700万円の管理職が離職すれば、1,000万円以上のコストが発生する計算だ。10万円の研修投資で離職リスクを下げられるなら、ROIは極めて高い。

外部委託か内製かの判断は、自社の研修運営体制と目的で決まる。初めて新任管理職研修を導入する場合や、体系的なプログラムが必要な場合は外部委託が適している。既に研修の型ができており、自社事例を中心に実践的な内容にしたい場合は内製が効果的だ。両方を組み合わせ、基礎知識は外部研修、自社固有の課題対応は内製ワークショップという設計も有力な選択肢になる。

オンライン・集合・ハイブリッド研修の使い分け

新任管理職研修の形式は、オンライン・集合(対面)・ハイブリッドの3つに大別される。どの形式が優れているかではなく、研修の目的と受講者の状況に応じて使い分けることが重要だ。

オンライン研修は、知識インプット型のテーマ(労務管理・コンプライアンス・人事評価制度の理解など)に適している。移動時間がなく、忙しい新任管理職でも参加しやすい。eラーニングとの組み合わせで、事前学習→オンラインワーク→振り返りという反転学習の設計も可能だ。リスキルなどの研修会社では、全プログラムをオンラインで提供し、研修会場費を削減することで受講料を抑えるモデルも広がっている。

集合研修は、ロールプレイやグループディスカッションなど、受講者同士のインタラクションが効果に直結するテーマ(コーチング・フィードバック・チームビルディングなど)に適している。異なる部署の新任管理職が直接対話する機会は、研修後のネットワーキング資産にもなる。

ハイブリッド型は、知識インプットはオンラインで事前に済ませ、集合日はワークショップとディスカッションに集中する設計だ。研修時間を最大限に活用でき、受講者の満足度も高い傾向がある。従来はオンラインか集合かの二択だったが、現在はテーマごとに最適な形式を組み合わせるハイブリッド設計が主流になりつつある。

研修形式の選定と合わせて、研修後の実践をどう支援するかまで一体で設計することが、投資対効果を最大化する鍵になる。研修で学んだマネジメントの型を日常業務で反復実践するためのツール活用に興味がある方は、以下の資料で詳細を確認してほしい。


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新任管理職研修の効果を持続させるマネジメント支援

研修は管理職育成の起点にすぎない。研修で学んだスキルを現場で継続的に実践し、組織の成果に結びつけるには、研修後のマネジメント支援体制が不可欠だ。研修単発で終わらせず、日常業務の中に学びを組み込む仕組みを設計することが、研修投資のリターンを最大化する。

研修とOJTを接続する仕組みの重要性

研修で学んだ目標管理やフィードバックの手法は、OJT(現場での実践)と接続して初めて定着する。研修はインプット、OJTはアウトプットであり、両輪が噛み合わなければ行動変容は起きない。

具体的な接続方法は、研修終了時に受講者が「翌週から実践するアクション」を3つ宣言し、直属の上司と共有するシンプルな仕組みが効果的だ。上司が1on1の場でアクションの進捗を定期確認することで、研修の学びがOJTに自然に組み込まれる。

目標管理とマネジメントを連動させた具体的な運用方法については、こちらの記事で詳しく解説している。研修後の実践設計を検討する際に参考にしてほしい。

AIツールを活用した研修後の実践支援

研修後の実践を加速する手段として、AIを活用したマネジメント支援ツールが注目されている。従来は研修後のフォローが属人的な上司のサポートに依存していたが、現在はテクノロジーによって仕組み化できる領域が広がっている。

コチーム(Co:TEAM)を導入した企業では、マネージャーの前向き度が73.3%から81.8%に改善した。サービスのオンボーディングは1回で完了し、研修を実施した企業ではプログラム内にツール習熟が組み込まれているため、追加の学習コストは発生しない。日常の1on1でボタン1つを押すだけで音声入力が完了する運用設計により、管理職の負荷を最小限に抑えながら、マネジメントの型を定着させている。

AIツールの活用は「研修の代替」ではなく「研修の延長線」として位置づけることが重要だ。研修で学んだコーチングの型やフィードバックの手法を、日常業務の中で繰り返し実践する環境を整えることが、行動変容の定着を支える。部下のやる気を引き出す具体的なマネジメント手法については、こちらの記事も参考になるだろう。

よくある質問

新任管理職と次世代管理職の違いは?

新任管理職は管理職に昇格したばかりの社員を指し、次世代管理職は2〜3年後に管理職への昇格が見込まれる候補者を指す。新任管理職研修は着任後の即戦力化が目的であるのに対し、次世代管理職研修は昇格前の準備期間として基礎力を養う位置づけだ。

新任管理職研修の費用相場はどれくらいか?

外部研修会社に委託する場合、1人あたり3〜10万円/日が一般的な相場だ。講師1人あたりの派遣費用は15〜50万円/日と幅があり、講師の専門性やカスタマイズの度合いによって変動する。オンライン研修は会場費が不要な分、対面型より2〜3割安くなる傾向がある。

まとめ

新任管理職研修の目的は、意識転換・マネジメントスキル習得・リーダーシップ基盤の構築の3つに集約される。研修の効果を最大化するには、新任管理職が直面する4つの壁(ビジョン・連携・育成・自己管理)を起点に自社課題を特定し、対応するテーマに研修時間を重点配分する設計が欠かせない。

研修が形骸化する原因は、前例踏襲・スキルとマインドの見極め不足・フォロー不在の3つだ。カリキュラムの中身を充実させるだけでは不十分であり、研修後のフォローアップまでを一体で設計することが、行動変容を定着させる条件になる。

研修設計が固まったら、次は管理職が現場で実践する目標管理の運用設計に進むことで、研修の学びと日常業務がつながる。具体的な目標管理のマネジメント手法は、こちらの記事で解説している。

自社の新任管理職が直面している壁の特定から、研修テーマの選定、研修後のフォローアップ体制まで、一気通貫で設計を進めたい方は、まず以下の資料で全体像を把握してほしい。


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