二代目社長の特徴とは?必ず陥る勘違いや頭がおかしいと言われる理由を解説!

皆さんは、二代目社長と聞いて何を思い浮かべますか?
芸能界にも政治の世界にも「二代目」という名目で活躍している方々がいますが、ビジネスの世界においても創業者からの事業を引き継ぎ、「二代目社長」が経営しているパターンがよく見られます。

ただ検索欄などに「二代目社長」と入力すると、「二代目社長 ポンコツ」「二代目社長 無能」「二代目社長 辞めたい」などなど…パッと見ただけでもネガティブな印象を抱かれていることがわかります。

では、なぜ二代目社長はこのように問題を抱えることが多いのでしょうか?
本記事では、二代目社長の代表的な悩みから解決する方法までを紹介していきます。

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目次

二代目社長が直面する主な課題

二代目社長が直面すると言われている課題にはいくつかの代表的なものがあります。

経営に関するものから、人間関係のような心理的なものまで、「社長」という、社内に同じ役職がいない立場ならではの課題が多い印象です。

どんな課題が代表的なものか、見ていきましょう。

経営状況の悪化

二代目社長が就任した後の顕著な経営状況の悪化は、退任を考えるほど負担の重い課題の一つです。では、どうして経営状況が悪化するのでしょうか。その主な理由は、「売上・利益の減少」です。

先代の築き上げた安定した売り上げが減少し、それに対して支出が減らないことにより資金繰りが悪化するという流れが起きます。稀に、悪化状態の企業を責任を押し付けられるような形で引き継がなければならないケースも存在します。そういった場合のストレスはかなり強いことが想像できます。

また責任者として、業績が悪化した場合に原因を正確に特定し、改善策と企業の方針を決定させる必要があるという困難な状況に追い込まれます。しかし業績の悪化には、市場変動、競争激化、経済不況、などのコントロールの難しい変化が要因となっている場合もあります。

こういった先代社長が築いた事業からの「経営状態の悪化」に悩む二代目社長は、強いストレスとプレッシャーを感じていることが多いです。

社内外の人間関係がうまくいかない

二代目社長が直面する課題の一つに、社内外での人間関係があります。原因は、周囲から根拠のない反発心や、取引先の先輩社長とのパワーバランスの難しさです。

例えば父や親族から会社を引き継ぎ二代目となった場合、あなたの経営能力に関わらず周囲からは「きっと先代よりも劣っているだろう」という先入観でジャッジされます。すると組織の足並みがそろわなくなったり、小さなミスが大きく非難され、指示を聞いてもらえなくなることも考えられます。

また社外においては、「新米社長」という理由で取引先、顧客、競合他社との関係の中で主導権・決定権を握りにくくなります。社外からの信頼を得ることができなければ、競合他社に取引のチャンスを奪われてしまうこともあるでしょう。

周囲とのコミュニケーション能力やリーダーシップスキル、説得力は向上させる必要があるといえます。これによって、組織とビジネスの安定性が向上し、社長自身の不安が軽減され、成功に対する信頼感が高まるでしょう。

心理的な重圧

ビジネスを引き継いだ二代目社長の責任は重く、それに伴うストレスや不安に悩む経営者の話をよく耳にします。なぜなら、親が守ってきた会社の存続を担い、従業員の雇用の維持を保障しなければならないからです。

さらに、ここまでに述べたような経営や人間関係にまつわる苦労を背負うことになった結果、精神的に追い詰められるからです。

こういった重圧を抱えた中でも、自分以外の社員はみな部下であり他者の社長はある意味ライバルであるため、相談できる相手がなかなか見つかりません。弱音も愚痴も吐けない状況で孤立していき、自分だけで悩みを抱えることになる場合が多いです。

これは二代目社長に限らず、経営者やリーダーという立場なら誰でも経験するものですが、進路の選択肢がなかった二代目社長にとってはより理不尽さを感じやすいものです。このような心理的な重圧は、多くの二代目社長が抱える課題です。

二代目社長ならではの悩み

就任後から多くの課題を抱えなければならない中、二代目社長が抱える共通の悩みがあります。ここでは、二代目社長が抱えやすい悩みについて挙げていきます。

社内で孤立する

例えば新規事業や事業改革を計画しても、古参社員からの反感を買い、二代目社長が社内で孤立するようなケースがあります。なぜなら、先代社長の子の代が二代目となる場合、世間知らず、甘やかされて育った、などのレッテルを貼られ、距離が生まれてしまうからです。

また先代社長がワンマンで経営を続けた結果、社員が自ら動かず常に指示待ちの姿勢になっており、自身の就任後に溝を感じてしまうことも。社員の不安や不満の矛先が二代目社長に向いてしまい、円滑なコミュニケーションが難しくなってしまうと、一層両者の溝は埋まるのが難しくなってしまうでしょう。

そのように見られていることで不安を感じてしまい、悩みを誰にも相談できなくなる二代目社長も多いです。

先代社長と比較される

取引先からも社員からも、常に先代社長との比較をされてしまうのも大きな悩みの一つです。新社長に就任したのに上手くいかなかった場合はもちろん、成功たとしても比較をされてしまいます。

例えば、上手くいかな買った場合は、「やっぱり苦労をしたことがないからだ」と言われてしまいます。しかし成功したとしても「社長の子どもだから当たり前」と言われたり、どちらに転んでも認めてもらうことが難しい状況になります。

どれだけ努力して事業を継続させても先代社長と比較され、認めてもらえないという環境で思い悩んでいる二代目社長は多いです。

相談できる人がいない

自分が社内でトップとなった二代目社長には、自分より上の立場の人、つまり上司がいません。もちろん同じ立場にある同期もいません。

例えば経営に悩んだ時や人間関係に悩んだ時、気を許して相談できる相手を探すのは至難の業です。そもそも相談相手がいるという経営者はほんの15%以下に限られ、その中でも主な相談先として挙げられるのが外部の顧問税理士や会計士だといいます。家族、知り合いの経営者、社員のような身近な相手に相談するパターンは稀です。

このように、自分が社員だった時のように何人もいる同期に相談できる気軽さが消えてしまい、パートナーを必要としている経営者は多いといえるでしょう。

倒産へのプレッシャー

新しく就任した社長は、先代から引き継いだ会社を倒産させてはいけないというプレッシャーを感じています。

それは、組織の存続が成功するかどうかを大きく決めるきっかけの一つが、まさに「社長の交代」と言われているからです。そのため、新しく就任した二代目社長は自分の代での事業の安定と発展を心配し、責任を感じます。これからは社員の生活や取引先との信頼関係、こういった会社に関わる全ての人の期待を背負うことにもなるからです。

二代目社長のモチベーションが高ければ高いほど比例して、このプレッシャーも強くなっていきます。プレッシャーによって、事業を継いだ後の最悪の結果である倒産を想像してしまうこともあるでしょう。

このように、少しでも事業が傾けば倒産がよぎり、しかしその中でも挑戦し、利益を出し続けなければならないというギリギリの状態が続き、精神的に擦り減ってしまいます

二代目社長がポンコツ、無能、おかしいと言われる理由

このように、二代目社長は簡単ではない状況で経営を続けていかなければなりません。

では、プレッシャーのある中でこんなにも努力している二代目社長が、ポンコツ、無能という言葉をかけられてしまうのは何故なのでしょうか?

ビジネススキルが身についていないと思われている

二代目社長が就任すると、社員や取引先は新しい社長が先代の社長と比べてどのくらいデキる人間なのか、比べることが多いです。

なぜなら、新社長が先代の子どもの場合、楽な環境で育ってきた・努力をしたことがないと思われやすいからです。こうした場合、「ビジネスの世界で通用するのか」をチェックされている場合が多いです。

このように、先代社長の身内から人選があり就任した場合も、見ず知らずの人物が外部から来て社長に就任した場合ももちろん、社員や取引先にとっては比較、いわゆる品定めの対象になります。

既存事業を大切にしない

二代目社長は、既存事業を大切にしないと言われています。

先代が築き上げた事業の方向性を、二代目社長がガラッと変えてしまうケースが存在するからです。こういったケースにおいては、先代社長の事業に長年従事してきた社員からの反感を買いやすく、取引先も混乱してしまいます。

もちろん事業を成長させるには新しい考え方・価値観も大切ですが、社員を納得させる順序や説明をする必要があります。また、既存の事業が成功を収めている場合は、改めてその成功の秘訣を分析し、良いところは継続して活かしていくなどの冷静さも必要です。

独裁のワンマン経営をしてしまっている

二代目社長の中には、社長や幹部が最も権力を持っているため、上層部のみですべてを採択していけばよいと考えているワンマンタイプの人もいます。

なぜなら二代目の経営者は、大学の経営学部や商学部を出たものの、現場での実践をよく知らないまま家業を継ぐパターンも多いからです。たとえ一流企業に入社しても、早々にを辞めて家業を継ぐケースの方が多いと言われています。

このように、いきなり上層部の常務や専務という役職に就くことによって、社員の感覚との間にギャップが生まれ、権力を振りかざすような経営をしてしまうこともあります。

従業員を大切にしない

引き継いだ事業の従業員を大切にしない二代目社長もいます。

これは独裁経営にも続きますが、事業の利益を追求しすぎた結果、従業員一人一人への思いやりや気遣いに欠けてしまうからです。事業を引き継いだプレッシャーから「利益を出さなければ」と売り上げを追いすぎてしまう気持ちもわかります。しかし、従事してくれている従業員一人一人のケアをないがしろにしてしまうと、組織の方針に協力を仰ぐことも難しくなってしまいます。

特に中小企業においては、社長と従業員の距離感が近いため、このような態度や待遇への反映がダイレクトに伝わってしまう可能性が高いです。

独裁型の経営もそうですが、部下のことをただ単に「言うことのきく社員」と思って接してしまうと、会社全体の雰囲気が日に日に悪くなり、部下の不満も溜まってしまいます

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言うことがコロコロ変わる、一貫性がない

二代目社長は言うことがよく変わるともいわれています。

例えば、社長が決めたことの結果が芳しくなかった場合などに、記憶をすり替えたかのように判断の責任を逃れることもあるようです。

そういった場合においても、「社長」という立場であれば部下が責任を追及することもできません。
このように権力によって部下の追及から逃れ、自分がよく見えるように責任を逃れて決断や方針をコロコロと変えてしまうと、周りからの信頼が薄くなっていきます。

一貫性のなさは、社長に限らずとも人間として信頼を損なう行為であることは既知かと思います。
言っていることがコロコロと変わってしまうと、その人の発言への信憑性が下がり、ついていこう!と思ってくれる人がいなくなってしまいます。

会社を成長させる二代目社長の特徴

では、会社を成功に導いている二代目社長にはどのような特徴があるのでしょうか。

ポイントは、会社の理念とどのように向き合っているか、従業員の目にどう映っているかにあります。ここでは会社を成長させる二代目社長の特徴を詳しく見ていきます。

きちんと事業承継している

皆さんは、「事業継承」と「事業承継」の違いをご存じでしょうか?

「継承」とは文字通り「継ぐことを承る」ことで、「承継」とは「承って継ぐ」ことを指します。
2代目社長が成功するために必要なものが、後者の「承継」に当てはまります。

では、何を「承る」ことが必要なのでしょう。それはまさに会社の「理念」にあたります。創業社長の背中にばかり目を向け、後継者である二代目社長が同じものを追い続けようとすることで、二代目社長自身が比較をしてしまい、周囲もそれを感じ一緒になって比較し始めます。

比較するのではなく、二代目社長も社員も共に会社の理念に目を向けるようになれば、本来あるべき姿に向かって戦略を進めていくことができるようになります。

このように、理念を言語化するなど会社の方針を具体的に理解した上で「承継」している二代目社長は、事業を成功させています。

理念を大切にし、浸透させている

会社の理念をきちんと理解し、自身と社員の間に浸透させている二代目社長は成功しています。会社の理念や価値観は、その企業の魂とも言えます。

例えば理念が浸透している企業では、社員が同じ方向を向いているので自主的に動き、経営理念に沿った意思決定を行うことが可能になります。これは、組織全体のモチベーション向上にも繋がり、成長にプラスに作用します。

つまり引き継いだ事業の理念を後継者が最も理解し、従業員と一体感を持って働くことができれば、事業のさらなる成長に向かって組織が同じ目標を持って取り組むことができます。


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従業員を大切にしている

社長という立場であっても一人一人の従業員に寄り添えている二代目社長は、成功しています。

なぜなら、従業員との信頼関係があると、社長のリーダーシップに協力を得やすくなるからです。従業員が大切にされると、彼らのモチベーションが向上し、仕事に対する情熱や貢献意欲が高まります。

また、従業員を大切にしている企業は、良好な労働環境を構築する傾向があります。これには、働きやすい職場環境、適切な報酬や福利厚生、ワークライフバランスの提供などが含まれます。これらの要素は、従業員の満足度や幸福度を高め、企業への信頼も強めます。

結果として、従業員が安定してビジネスの持続的な成長に貢献し、生産性や品質が向上するため、企業の成功に繋がります。

決断力がある

決断力がある二代目社長は、事業を成功に導いています。

なぜなら、決断力があるリーダーは迅速に行動し、迅速に問題を解決することができるからです。このスピードと効率は、競争が激しいビジネス環境で重要です。迅速な決断は、市場の変化や機会を逃さずに捉えることができるため、競合他社よりも先を行くことができます。

また決断力があるリーダーは、決断の際にリスクも予測し、リスク管理を行いながら新しいアイデアやイノベーションを取り入れることができます。このような挑戦的な革新は、競合他社との差別化にも繋がります。

以上のことから、冷静で正しく、時にはスピーディに挑戦する判断ができる二代目社長は、事業を成功へと導きます。

二代目社長として成功するコツ

では、どうしたら二代目社長として成功できるのでしょう。

二代目社長が抱えやすい悩みへのアプローチも併せながら、ここでは4つのコツをお教えします!

コツ1:先代社長を意識しすぎない

二代目社長が成功するコツの一つ目は、先代社長を意識しすぎないことです。

もちろん就任の際には先代社長の経営の仕方、それまでの事業内容など参考にしていく必要があり、嫌でも意識してしまいます。しかし、意識しすぎてしまうと事業の成長を妨げる可能性があります。

例えば、先代社長の手法や考え方に過度に固執してしまうと、新しいアイデアや革新的なアプローチを採用することが難しくなります。これでは、競争が激しい市場で、必要な変革や進化を妨げてしまいます。

また既に出来上がっている幹部メンバーと仕事をしていく上では、同じ目標に向かっている意識を忘れずに、コミュニケーションを密に行っていくことが大切です。

先代社長の経営手法にも共感しつつ、意識しすぎずに新しいアイデアを導入していくことも重要です。

コツ2:自分の理想の組織構造を考える

引き継いだ事業を成功させるために、改めて理想の組織構造を考えてみましょう。

なぜなら、現状は先代社長が作った理想の組織構造であり、二代目社長が掲げる目標を達成させるには変更を加えたほうが良い可能性も高いからです。

先代から受け継いだ事業を、どのように成長させていくかは二代目社長が考えるべきテーマです。またビジネスの最良の方法は時間とともに変化します。その中で市場の競争状況や技術の進歩、顧客のニーズの変化など、様々な要因が組織に影響を与え、先代が築いた組織構造では対応が難しくなる場合も。

そのため、変化する環境に適応するために、組織構造を見直し、新しい戦略や目標に合致するように調整する必要があります。

コツ3:一緒に働きたい人をスカウトする・育てる

二代目社長には、一緒に働きたい人材をスカウトしたり、育てることも必要です。

なぜなら、組織メンバーの選出を人事部に全て任せてしまうと、結果的に選ばれた人材が、会社の目指す方針に合っていないという食い違いが発生することもあるからです。先代社長が掲げた方針を一新させた場合には特に注意が必要です。

もし会社の方針に合っていない人材ばかりが選出され、方針との差異が埋められないまま育ってしまうと、社長が求める理想の実現からはどんどん遠ざかってしまいます。経営者は自らの力だけでなく、優秀なスタッフや経営チームを組織して運用する必要があります。また、トップの右腕となる人材を誰にするかも、ビジネスパーソンにとってはとても重要です。

社長自らが人材のスカウトや育成など、理想とするチームビルディングに力を入れることで、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。


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コツ4:相談相手を見つける

孤独に悩むことの多い二代目社長には、進んで相談相手を見つけることが重要です。

「二代目社長」という立場から、同じ状況下にある相手を見つけることは容易ではありません。さらに、ただでさえ相談相手がおらず孤独になると言われている経営者として、気軽に悩みを打ち明けられる間柄の相手を見つけておくことはとても重要です。

社長が一人で悩みを抱えることによって、他人に心配事を吐露するハードルがどんどん上がっていくと、さらに重圧がのしかかるという悪循環が生まれてしまうからです。

近年では、こういった二代目社長同士が相談をし合ったり、顧問税理士・公認会計士や、弁護士・行政書士、その他専門職の方に相談することもできます。自治体の事業承継・引継ぎ支援センターという選択肢もあります。孤独にならない環境を、進んで探しに行くことが大切です。

コツ5:理念を浸透させる

経営理念を浸透させ、組織全体で同じ方向を向くことも二代目社長が成功するためのポイントです。

ここで大切な要素は3つあります。

  • まず社長が誰よりも働き、規範となる
  • 社長の言っていることとやっていることが一致している
  • 経営理念を深く思い、強く思い、そして信念にまで高めている

このように理念を浸透させることによって、社長が信頼され、組織が一丸となって行動できるようになります。組織が同じ方向を向き、社長と一緒に成長しようとすることで、事業は成功へと近づきます。

事業承継の6つの手順

二代目社長が成功するコツとして、事業承継を取り上げました。

事業承継を行う際には、創業者が経営をしている段階からどのようなプランで企業の引き渡しを行うのか、計画的に策定しておく必要があります。

それによって二代目社長になる人材の組織への認識も変わり、経営者となるための心の準備をしておくことも可能となるからです。

ここでは事業継承の細かな手順をお伝えします。

手順1:事業承継の準備

事業承継には徹底した準備が重要です。

中小企業経営者の平均引退年齢は67〜70歳と言われており、現在の経営者の年齢分布を踏まえると、今後多くの経営者が後継者の育成と、事業承継のタイミングを迎えることとなります。しかし、創業から30年後に存続している企業の割合は実に0.02%に過ぎないという、シビアなデータも存在しています。

原因として考えられるのは、事業承継の準備不足です。事業承継を行う前に、しっかりと計画を立てておきましょう。後継者の選定と育成はもちろん、財務状況の把握と整理、承継に伴うリスクの予測をしておくことが大切です。

税務コンサルタント、法律顧問、ビジネスコンサルタントなど、専門知識を持つアドバイザーの活用もおススメです。

手順2:経営者が事業承継の必要性を認識する

事業継承を実行する前に、経営者自身がその必要性を認識する必要があります。比較的若い経営者である場合にも、会社がある程度成長してきた段階で意識し始めておきましょう。

なぜなら、承継を考えることは事業全体の将来像を考えることを意味するからです。

  • 事業の将来的なビジョンは何なのか
  • 現状の経営がどうなっているのか
  • ビジョン達成に必要なのものは何か
  • 事業承継はその中でどのような役割を担うのか

このように事業が目指したい未来と現状の比較を行い、事業承継の必要性を認識することは、経営者にとって会社の未来を真剣に考えるきっかけになります。

手順3:現状分析

次に未来の経営方針を決め、その実現に向けた現状分析を行います。

ここで10年後の会社像を想像し、現在とのギャップを3つの観点から可視化します。これによって二代目社長が陥りがちな「現在の経営状態が想像していたよりも悪かった」という悩みを解消することができるからです。

  • 事業の可視化
    • これからの市場の変化を予測し、それに対応できるか、競合と比べた時の会社の強みや弱みの再認識などを分析し、課題を洗い出します。
  • 資産の可視化
    • 経営者の個人資産や会社の貸借関係などを確認し、後継者に残せる経営資源を明確にします。
  • 財務の可視化
    • 適切な会計処理を通じて、企業の財務状況を把握しましょう。

このように、全ての項目において可視化・数値化を行い、現状を正確に分析しましょう。

手順4:組織体制の再構築

事業承継後、さらなる飛躍を遂げられるかどうかは、組織体制の再構築にかかっていると言っても過言ではありません。

なぜなら、事業承継を行うということは、会社が新たなフェーズに移行することを意味するからです。新たなフェーズで成功するためには、それに合った組織体制に作り直すことが必要となります。

例えば、部署の再編、役割と責任の再定義、リーダーシップの配置などを行います。その際編成に合わせて、組織の成長と発展に必要なスキルや能力を持つ人材を育成する計画も立てましょう。また、新組織体制に合わせた業務プロセスの最適化、情報の流れの改善、技術の導入などにも取り組みましょう。

このように、社員にも社会にも企業価値の高い魅力的な会社にするために、まずは事業と組織体制から魅力あるものにしていきます。

自社の圧倒的強みを確立し、業務の効率化、組織体制の再構築を通じて社員のモチベーション・生産性を向上させましょう。


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手順5:事業承継計画の策定

事業承継を着実に進めるために、経営承継を円滑に進めるための具体的なアクションプランとなる事業承継計画を策定します。まずはステップ2で行った現状分析から、会社の中長期的な経営方針や目標を設定し、その中に事業承継の行動計画を盛り込んでいきます。

ここで最も重要となるのが、承継作業スケジュールとは別に、先ほどの会社の経営理念や経営者の思いをはっきりと盛り込むことです。なぜ創業したのか、どんなビジョンやミッションを持っているのか、経営者の人生にとって会社はどんな位置付けなのかといったことを言語化していきます。

会社は経営者の魂とも呼べるものです。これまでの成長は創業者の情熱あってこそのものなので、これまでの自分と会社の歩みも後継者や従業員にしっかりと理解してもらうことに十分な時間を割いてください。

手順6:事業承継の実施

事業承継の準備が整えば、次はとうとう実施の段階です。手順1~5で準備した入念な計画に沿って、承継を進めていきます。

また事業承継前の会社の信頼構築や納税、承継後の安定した経営のためには、ある程度の資金が必要です。ある意味では資金調達ができるか否かが成功を大きく左右させるとも言えます。

調達方法としては、金融機関からの借入が一般的ですが、ベンチャーキャピタルやファンドから出資を得るケースも増えてきています。このような実行段階では、税務や法務などの専門知識が必要になります。できるだけ専門家にコンサルタントを依頼し、協力して行うほうが良いでしょう。

あくまでも事業継承ではなく、承継ができるように事前の準備をしっかりと行い、事業承継を成功させましょう。

二代目社長の事業承継、3つの成功事例

このように、二代目社長による事業の承継にはそれなりの準備と実行力が必要であることがわかります。

実際に二代目社長が就任してからの成功事例を紹介していきます!

成功事例1. スノーピーク

ファッション性・デザイン性を兼ね備えたアウトドア用品大手ブランドのスノーピーク(新潟県三条市)の、二代目社長である山井梨沙氏。

父の太氏は、自身が創業者の急逝によって突如経営者になった経験から、梨沙氏への事業承継に早くから取り組んでいました。

事業を承継した梨沙氏は、スノーピークの理念である「ゼロから何かを立ち上げること」に則って、新たにアパレル事業を立ち上げました。社長の立場でありながら自らデザイナーとして商品のデザインに関わり、事業を推進。たき火も囲める防水ジャケットなど、難燃素材を使った機能的なアウトドアアパレルを開発し、ブランドは一躍人気となり、企業の新たなイメージの実現へと導きました。

創業者の幸雄氏がオリジナルの登山用品を開発し、2代目の太氏がキャンプ事業の立ち上げへ、そして3代目の梨沙氏はアパレル事業を展開させたりと、ゼロから何かを立ち上げることが、スノーピークの重要な理念として承継されています。

また、スノーピークの創業者から一貫しているユーザーのニーズを大切にする姿勢により、信頼関係も築かれ、時代ごとの変化と影響を受けやすいキャンプ用品という業界においても成功を収め続けています。

成功事例2. 石坂産業

産業廃棄物処理会社「石坂産業株式会社」に20歳で入社した、創業者の娘である石坂典子氏。

ニュース番組による大気汚染の報道によって、産廃企業である石坂産業に社会の注目が集まっている状態の中で、父から会社を引き継ぎ二代目社長に就任しました。

石坂産業が生き残るためには、地域に愛される会社にならなければと考えた典子氏は、環境と経済の両者へのメリットを考えた大きな事業改革を実施。それは、売上の7割を占めていた焼却事業をやめて、廃棄物の減量化とリサイクルに注力するという革新的な改革でした。

しかし典子氏は、現状の維持よりも、挑戦しながらの成長を目指しました。なんと当時の社員の約4割がこの改革に反発し、退社してしまいましたが、典子氏が自身の理念を曲げることはありませんでした。むしろさらに社員教育に力を注ぎ、組織が同じ方針を持って事業に取り組めるようにリーダーシップと決断力を発揮しました。

結果として石坂産業の事業は成長。典子氏の「産業廃棄物は資源であり、再生して次につなげるべきものである」という強い信念により、減量化・再資源化率は業界トップの98%を誇っています。

成功事例3:ファーストリテイリング

ユニクロでおなじみ、ファーストリテイリングの柳井正社長は年商2兆円を超える事業を創り上げた経営者として有名ですが、柳井氏も二代目社長なのをご存知でしょうか?

柳井氏には、二代目として社長に就任するものの新たな経営理念が浸透せず、ほとんどすべての従業員に会社を去られてしまうという経験があります。まさにここまでに説明したような、二代目社長ならではの悩みを抱えることとなりました。

しかし柳井氏は、残った社員と共に商品の仕入れ・経理・販売・広告までを担当し、やがて業界のノウハウを理解していきます。その後大きく事業方針を革新。これまでの紳士服店からカジュアル衣料店へと大きく業態転換し、この挑戦が今日のユニクロの成功を作り上げました。

柳井社長が失敗を経験し、経営理念や事業計画を的確に見直したこと、挑戦ともいえる業態転換を行ったことが、ユニクロを大きく発展させてきました。改革の際にリスク予測、リスクマネジメントも的確に行われたことがわかります。

まとめ

このように、二代目社長が抱える悩みというのは共通しており、責任、孤独、プレッシャー、周囲からの目によってさらに精神的に追い詰められるパターンが多いです。

しかし、全ての二代目社長がビジネスに関して批判されている訳ではなく、最後に紹介したように社長交代がエンジンとなり事業が高成長できたケースも沢山あることを忘れてはいけません。

現在ではこういった経営に関する悩みを相談できるサービスもたくさんあります。二代目社長が気持ちに余裕を持って挑戦していけるよう、会社全体で信頼関係を築き、連帯感を作っていくことも大切です。

会社の理念をあらためて言語化し、事業承継ができているかを自問自答しながら、包括的にビジネスについて取り組んでいきましょう。

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