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営業KPIはKGIから活動KPIまで4層で分解して設計し、営業タイプ(新規・ルート・インサイドセールス)に合ったテンプレートに落とし込むことで初めて機能します。設計だけで終わらせず、週次・月次のレビューサイクルに組み込んで運用することが、売上との因果を可視化し成果に繋げる唯一の方法です。
営業KPIを設定したものの「KPI達成率は高いのに売上が足りない」と四半期レビューで指摘される。こうした経験を持つ営業マネージャーは少なくありません。才流の調査でも、受注率を割合でKPIに設定した結果、商談件数の減少に気づけずKGI未達に陥るケースが典型的な失敗パターンとして報告されています。
原因の多くは、KGIとKPIの間にあるKSF(重要成功要因)の設計が抜けていることにあります。指標と売上の因果関係が見えないまま数字を追い続けると、現場は疲弊し、経営層からの信頼も失われます。放置すれば「数値管理そのものがムダ」という議論に発展しかねません。
この記事では、KGIから活動KPIまで4層で分解する設計フレームワークと、営業タイプ別のテンプレート選び、そして設計後の運用・定着までを一本の流れで整理します。
読み終えたときには、自社の営業プロセスに合ったKPIを設計し、来週のチーム会議で共有できる状態になっているはずです。
目次
営業KPIの設計手順|KGIから活動KPIまで4層で組み立てる
営業KPIは、売上目標(KGI)から逆算してKSF→主要KPI→活動KPIの4層に分解することで初めて機能します。分解が浅い組織ほど「KPIは達成したのに売上未達」という事態に陥りやすく、層の深さがKPI設計の精度を決めます。
営業KPIとは|KGI・KSFとの違いを30秒で整理する
営業KPIとは、売上や利益といった最終目標(KGI)の達成度合いを中間地点で測るための定量指標です。KGIが「どこに着くか」を示すのに対し、KPIは「今どこにいるか」を可視化する役割を担います。
混同されやすいのがKGI・KSF・KPI・活動KPIの4つの関係です。KGI(Key Goal Indicator)は年間売上高や営業利益など最終ゴールの指標を指します。KSF(Key Success Factor)はKGI達成に最も影響する成功要因で、「新規商談の創出力」や「既存顧客の深耕」など戦略の方向性を示すものです。
KPIはKSFを定量化した中間指標であり、商談数や案件化数がこれに該当します。さらにKPIを日々の行動に落とし込んだものが活動KPIで、架電数や訪問件数などがあたります。この4層構造を理解しておくと、後述する設計ステップが格段に進めやすくなります。
四半期レビューで「KPIは全部グリーンなのに売上が足りない」と指摘される場面は少なくありません。その原因の多くは、KGIとKPIの間にあるKSFの設計が抜けていることにあります。KSFなしにKPIを並べると、指標と成果の因果関係が見えなくなるためです。
営業KPI設計の4ステップ|KGI→KSF→KPI→活動KPIへの分解法
営業KPIの設計は、「営業KPI設計4層モデル」と呼ぶ4ステップで進めます。KGIを起点に、KSF→主要KPI→活動KPIへと段階的に分解する営業プロセス特化の設計フレームワークです。
STEP 1はKGIの数値化です。「年間売上3億円」「新規受注120件」のように、期間と数値をセットで定義します。KGIが曖昧だと後工程のすべてが崩れるため、経営層と営業マネージャーの間で合意を取ることが起点になります。
STEP 2はKSFの特定です。自社の営業プロセスを棚卸しし、KGIに最もインパクトがある成功要因を2〜3個に絞り込みます。たとえば新規開拓型の組織なら「ターゲット企業への初回接触率」、ルート営業なら「既存顧客の契約更新率」がKSFの候補になります。
STEP 3は主要KPIの設計、STEP 4は活動KPIへの落とし込みです。KSFを定量化したものが主要KPI(商談数・案件化数など)であり、主要KPIを日次・週次で追える行動指標に変換したものが活動KPIです。受注率のような割合指標ではなく、商談件数のような絶対数で設定するのが原則になります。
各種目標管理手法との連携も重要です。OKRやMBOを併用する場合は、KPIツリーの上位2層(KGI・KSF)を目標管理の枠組みと整合させると、評価制度との接続がスムーズになります。

営業タイプ別のKPI指標例|新規・ルート・インサイドセールスで何を測るか
営業タイプごとに測るべきKPIは根本的に異なります。新規開拓型は「受注に近い活動を増やす」ことが主眼であり、ルート営業は「既存顧客からの継続売上を守り拡大する」ことが軸です。同じ「商談数」でも、追うべき質と粒度がまったく変わります。
以下のテーブルに、営業タイプ別の推奨KPI指標をまとめます。
| 営業タイプ | 主要KPI(例) | 活動KPI(例) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 新規開拓型 | 商談数・案件化数・受注件数 | 架電数・初回訪問数・提案書提出数 | 受注率は割合指標のためKPIではなくモニタリング指標として扱う |
| ルート営業 | 更新率・アップセル件数・解約率 | 既存顧客訪問数・上位顧客接触率・横展開提案数 | 訪問件数だけでは更新率との因果が見えにくい。接触の質を補助指標で測る |
| インサイドセールス | 有効商談数・SQL転換数 | 架電数・メール送信数・商談化率 | MQL→SQLの定義を営業部門と事前にすり合わせないとパスの質が下がる |
このテーブルから読み取れるのは、活動量(架電数・訪問数)だけをKPIに据えると成果との因果が切れやすいという点です。新規開拓型でも「意思決定者との面談数」や「提案後の次回設定率」など、受注に近い地点の指標を組み合わせることで、行動が空回りしにくくなります。
指標の選定に迷ったときは「この数字が上がれば、受注数も連動して上がるか」を自問するのが判断基準です。連動しない指標はKPIではなく参考データとして扱います。具体的な目標の数値化の方法は関連記事で詳しく解説しています。
ここまでで、KGIから活動KPIまでの設計フレームと営業タイプ別の指標選びが整理できました。次章では、この設計プロセスで陥りやすい5つの失敗パターンと、その回避策を掘り下げます。

参考:KPIの設定・運用でよくある失敗例と解決策15選|才流 https://sairu.co.jp/method/26580/
営業KPI設計でよくある5つの失敗パターンと回避策
営業KPIの設計で最も痛いのは、「正しく設計したつもり」のKPIが売上と連動しないケースです。ここでは200社超の営業組織を支援してきた知見から、再発率の高い5つの失敗パターンを回避策とセットで解説します。
KPIを「受注率」など割合で設定してKGI未達に陥る
KPIを受注率や商談化率のような割合で設定すると、KPIは達成してもKGIが未達になる構造的な矛盾が発生します。これは営業KPI設計における最も典型的な失敗パターンです。
たとえば受注率の目標を25%に設定し、実績が40%に大幅達成したとします。しかし商談件数が前期比で半減していた場合、受注の絶対数はむしろ減少します。四半期末に「受注率は過去最高なのに売上が足りない」と経営会議で詰められる場面は、この構造が原因です。
さらに厄介なのは、割合指標が意図的にコントロールできてしまう点です。「すでに商談化率は達成しているから、日程が決まっている商談を来月にリスケしよう」という操作が可能になり、KPIの信頼性そのものが損なわれます。回避策は明確で、KPIは割合ではなく絶対数(商談件数・受注件数)で設定し、受注率はモニタリング指標として別枠で追う設計にすることです。
もうひとつ頻出するのが、定性的な目標をKPIにしてしまうパターンです。「受注企業のファン化」「顧客満足度の向上」のような定性目標は戦略の一部であっても、期中にKGIの進捗度合いを評価できません。KPIは定量的に計測できる指標に変換して初めて機能します。
KPIツリーの因数分解が浅く「何をすべきか」が見えない
通説では「KGIからKPIツリーを作れば営業は動ける」とされますが、実際にはツリーの分解が1〜2層で止まっている組織が大半です。分解が浅いと、各KPIが「誰の、どの行動を変えればよいか」まで落ちず、結局は営業マネージャーが個人の経験で指示を出す属人的な運用に戻ります。
典型的なNG例は、KGI「売上3億円」→ KPI「受注数60件」で止まるパターンです。この場合、受注数を増やすために何をすればよいかが見えません。一方、OK例では「売上3億円」→「商談数240件」→「初回訪問120件」→「週次ターゲット架電50件」まで分解されており、営業担当者が月曜朝に何をすべきか明確です。
分解の深さの目安は、最下層のKPIが「明日の朝、何をすればいいか」に答えられるレベルまで掘り下げることです。H2-1で解説した「営業KPI設計4層モデル」のSTEP 3→STEP 4の接続が甘い場合に、この問題が発生します。
加えて、リードタイムを考慮していない分解も失敗の温床です。BtoBでは初回接触から受注まで3〜6ヶ月かかるケースが一般的ですが、年間のファネル歩留まりを四半期のKPIにそのまま適用すると、期中に数字がまったく動かない「死んだKPI」になります。リードタイムを踏まえた四半期ごとの歩留まりで目標値を設定し直すことが回避策です。

戦略とKPIがズレて現場が逆方向に動いてしまう
従来は訪問件数・架電数など活動量KPIを一律に設定する組織が多数派でした。しかし現在は、事業戦略に連動したKPI設計が不可欠になっています。戦略とKPIがズレると、現場が経営の意図と逆方向に全力で走る最悪の事態が起きます。
営業組織で戦略とKPIのズレが構造的に起きやすい理由は、KPIの設計者と戦略の策定者が別人であるケースが多いことにあります。たとえば経営層が「高付加価値戦略への転換」を打ち出しているのに、営業企画が前年踏襲で「訪問件数KPI」を据え置くと、現場は薄利多売に走ります。結果として、安価な案件ばかり積み上がり、客単価は下がり、経営が目指す方向と真逆の数字が並ぶ。この「戦略-KPI断絶」は、KPIの数字だけ見ていると発見が遅れるのが厄介です。発見のタイミングは多くの場合、四半期レビューで「KPI達成率は高いのに売上が足りない」と指摘される瞬間です。
「間違ったKPIを設定して現場が疲弊するのでは」と不安を感じるマネージャーは少なくありません。この不安を解消する方法は、KPI設計時に戦略-KPI整合チェックを組み込むことです。具体的には、設計した各KPIに対して「このKPIが達成されたとき、事業戦略が前進するか」を一問一答で検証します。
チェックの手順は3段階です。まず、事業戦略のキーワードを3つ以内で定義します(例:高付加価値・既存深耕・チーム営業化)。次に、設計した各KPIの横に「どの戦略キーワードに貢献するか」を書き込みます。最後に、いずれの戦略キーワードにも紐づかないKPIがあれば削除候補とします。
このチェックを四半期ごとのKPI見直しサイクルに入れるだけで、戦略と現場の乖離は大幅に縮まります。次章では、ここまでの設計プロセスを具体的なテンプレートに落とし込む方法を解説します。
参考:KPIの設定・運用でよくある失敗例と解決策15選|才流 https://sairu.co.jp/method/26580/
参考:KPIとは? 設定&管理方法と失敗しないためのチェックリスト|才流 https://sairu.co.jp/method/23160/
営業KPI管理の無料テンプレート厳選5選と選び方
KPI設計の手順と失敗パターンが整理できたら、次は設計結果をテンプレートに落とし込むステップです。ただし、テンプレートは「選ぶ前の前提整理」で定着率が大きく変わります。ダウンロードして満足するのではなく、自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズすることが運用の分岐点です。
テンプレートを選ぶ前に決めるべき3つの前提条件
通説では「良いテンプレートをダウンロードすれば営業KPI管理はすぐ始められる」とされますが、実際にはテンプレートを”そのまま使う”組織ほど3ヶ月以内に形骸化しています。テンプレートが定着しない原因は、テンプレート自体ではなく、選ぶ前の前提整理が不足していることにあります。
従来はテンプレートをダウンロードしてそのまま運用する企業が大半でした。しかし現在は、自社の営業プロセスに合わせた前提整理を先に行い、テンプレートをカスタマイズして使う設計が不可欠です。決めるべき前提条件は次の3つになります。
第1に「自社の営業プロセスの定義」です。リード獲得から受注までを何段階で区切るかを明文化します。たとえば「問い合わせ→初回商談→提案→見積→受注」の5段階なのか、「架電→アポ獲得→商談→受注」の4段階なのかによって、テンプレートに必要な列数と行数が変わります。
第2に「更新頻度と入力者の決定」です。日次で営業担当が入力するのか、週次でマネージャーがまとめるのかによって、テンプレートの粒度がまったく異なります。第3に「レビューサイクルと報告先」です。週次のチーム会議で使うのか、月次の経営報告に使うのかで、ダッシュボード型が適すか進捗管理型が適すかが分かれます。この3条件を先に決めてからテンプレートを選ぶと、カスタマイズの方向性が明確になり、「ダウンロードしたけれど結局使わなかった」事態を防げます。
営業KPI管理に使える無料テンプレート5選
営業KPIの管理に使える無料テンプレートを、用途・形式・営業組織への適合度の3軸で厳選しました。テンプレートの数は無数にありますが、営業プロセスとの親和性が高いものに絞ると、実用的な選択肢は限られます。
| 提供元 | テンプレート名 | 形式 | 主な用途 | 営業適合度 |
|---|---|---|---|---|
| 才流(SAIRU) | BtoBマーケティングKPI管理テンプレート | Excel / スプレッドシート | リード〜受注のパイプライン全体を週次・月次で管理。8シート構成 | ◎(BtoB営業に最適化。商談数・受注数の逆算設計済み) |
| Kaizen Penguin | KPIツリー作成フォーマット | Excel | KGI→KSF→KPIの階層構造を可視化。設計段階に最適 | ○(設計用。日常の進捗管理には別シートが必要) |
| Zoho | KPI進捗管理テンプレート | Excel | 担当者ごとの日次入力+自動集計。インサイドセールス向けシートも別途あり | ◎(入力項目が最小限で現場の負荷が低い) |
| Microsoft | 売上目標管理表 | Excel | 日次の売上目標達成率をグラフ化。シンプルな売上進捗の可視化向け | △(KPIツリーとの連動機能なし。売上のみの管理向き) |
| ビジアカ | KPI進捗管理テンプレート | Excel | シンプルな構成で項目を自由に変更可能。用語定義シート付き | ○(汎用性が高く、自社KPIへの書き換えが容易) |
このテーブルで注目すべきは「営業適合度」の列です。多くのKPIテンプレートは全社共通の汎用設計であり、営業プロセスの段階別に数値を追える構造にはなっていません。才流とZohoのテンプレートは、リード獲得→商談→受注のパイプラインに沿った列設計がされている点で、営業組織にそのまま適用しやすい設計です。
一方、Kaizen PenguinのKPIツリーテンプレートは設計段階では非常に有用ですが、日常の進捗管理には別途管理シートが必要です。Microsoft・ビジアカのテンプレートは汎用性が高い分、営業プロセスに合わせたカスタマイズ工数がやや大きくなります。自社に合った1つを選んだうえで、次のH3で解説するカスタマイズを施すことが運用定着の鍵です。

テンプレートを自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズする方法
テンプレートのカスタマイズは、営業タイプ(新規/ルート/インサイドセールス)ごとに変更すべき項目が異なります。全営業タイプ共通で同じシートを使い回すと、ルート営業に「架電数」が、インサイドセールスに「訪問件数」が設定されるような不整合が起きます。
以下の「営業タイプ別カスタマイズ判断マトリクス」を使うと、どの項目を変更すべきかが一目でわかります。
| カスタマイズ項目 | 新規開拓型 | ルート営業 | インサイドセールス |
|---|---|---|---|
| KPI列の構成 | 商談数・案件化数・受注件数の3列を基本に | 更新率・アップセル件数・解約率に差し替え | 架電数・有効商談数・SQL転換数に変更 |
| 更新頻度 | 週次(商談サイクルが長い場合は隔週) | 月次(更新時期に合わせた四半期単位も可) | 日次(架電・メール等の行動量を即日集計) |
| リードタイム補正 | 必須。3〜6ヶ月の商談期間を反映した歩留まり設定 | 不要(既存顧客のため予測が立てやすい) | 必須。MQL→SQL→受注の各ステージに期間を設定 |
| 削除すべき不要列 | 更新率・解約率(新規には不要) | 架電数・アポ率(ルートには不要) | 訪問件数・移動時間(非対面のため不要) |
| 追加すべき列 | 意思決定者面談数・提案提出数 | 横展開提案数・上位顧客接触率 | ナーチャリング率・引き継ぎ情報の完成度 |
このマトリクスのポイントは「削除すべき不要列」を明確にしている点です。テンプレートをカスタマイズする際、多くの組織は「何を追加するか」ばかり考えますが、実際に運用が破綻する原因は入力項目の多さにあります。自社に関係ない列を先に削り、最小限の入力項目で回る設計にすることが定着の第一歩です。
カスタマイズの作業手順は、まずH3-1で決めた3つの前提条件(営業プロセス定義・更新頻度・レビューサイクル)をシートの設計仕様書として1枚にまとめます。次に上記マトリクスを参照して不要列を削除し、追加列を設定します。最後に1週間のパイロット運用を実施し、入力率が80%を下回る項目があれば即座に削るか統合します。
KPIの設計からテンプレートへの落とし込みまでが完了したら、次は設計したKPIを組織に定着させる運用フェーズです。設計段階でどれだけ精緻に作っても、週次・月次のレビューサイクルに組み込まなければ形骸化します。
テンプレートのカスタマイズに加えて、KPIの設計から日常の運用までを一気通貫で管理したい方は、こちらの資料もご確認いただけます。
>>【AIでハイパフォーマー育成を自動化】営業マネジメントツール「コチーム」解説資料をダウンロードする
参考:KPI管理をエクセルで行う方法【無料テンプレート付】|営業ラボ https://www.e-sales.jp/eigyo-labo/kpi-management-excel-22149
参考:BtoBマーケティングのKPI管理テンプレート|才流 https://sairu.co.jp/method/2587/
参考:Excelでできる、KPI進捗管理表【無料テンプレート】|Zoho CRM https://www.zoho.com/jp/crm/academy/learning/what-is-kpi/kpi-using-excel/
KPI設計後の運用・定着で成果を出す3つのポイント
KPIは設計した時点では「仮説」に過ぎず、週次・月次のレビューサイクルに組み込んで初めて「経営判断の材料」になります。テンプレートに数字を入れただけで放置すれば、3ヶ月後には誰も開かないファイルになります。ここでは、設計済みのKPIを組織に定着させる運用の要点を2つに絞って解説します。
KPIレビュー会議の頻度と確認すべき3つの視点
KPIレビューは「週次15分+月次60分」の2層構造で運用するのが最も定着率が高い形式です。週次で数字の変化を拾い、月次で構造的な課題を議論する設計にすれば、レビューが形骸化するリスクを大幅に下げられます。
「テンプレートを作っても結局レビューされず形骸化する」という不安は、営業マネージャーが最も多く口にする悩みです。形骸化の根本原因は、レビューの頻度ではなく「会議で何を確認するか」が定義されていないことにあります。数字を眺めるだけの会議は2回目から参加者の集中力が切れ、3回目には開催そのものが後回しになります。
確認すべき視点は3つに絞ります。第1に「KPI達成率と前週比の変化」です。達成率だけでなく、前週からの変化幅を見ることで、悪化の兆候を1週間以内に検出できます。第2に「ボトルネックの特定」です。KPIツリーの中で前週比が最も悪化している指標を1つ特定し、その原因仮説を1分で共有します。
第3に「翌週のアクション1つ」です。ボトルネックに対して「誰が・何を・いつまでに」やるかを1つだけ決めて会議を閉じます。アクションを複数出すと実行率が下がるため、1週間で確実に動ける1つに絞るのが実務上の鉄則です。この3視点を会議のアジェンダテンプレートに固定しておくと、マネージャーが交代しても運用が属人化しません。
目標管理のマネジメント手法と連携させることで、KPIレビューを評価面談の材料にも転用でき、二重管理の手間を省けます。
Excel管理の限界サインとツール移行の判断基準
Excelでの営業KPI管理には明確な限界ラインがあります。以下の3つのサインのうち2つ以上が該当したら、専用ツールへの移行を検討すべきタイミングです。
サイン1は「入力率の低下」です。テンプレートの週次入力率が80%を下回り、マネージャーが未入力者にリマインドする工数が発生し始めた段階です。サイン2は「ファイルの肥大化・破損リスク」で、シートが10枚を超える、あるいは複数人が同時編集してファイルが壊れた経験がある場合が該当します。サイン3は「KPIと売上の因果が追えない」状態で、レビュー会議で「この活動KPIが上がったから受注が増えた」と即答できない構造になっていれば、データの可視化が限界に達しています。
経済産業省の「DX推進指標」でも、KPIとKGI(最終財務成果指標)の連携が実際に財務成果をあげているかを問う設問が設けられています。KPIが売上に繋がっているか否かを説明できる仕組みは、社内説得の場面だけでなく、企業のDX成熟度を測るうえでも重要な指標です。
参考:「DX推進指標」とそのガイダンス|経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
「KPI達成率は高いのに売上が足りないと詰められる」場面を想像してみます。四半期レビューで経営層から「で、このKPIは結局いくらの売上に繋がったのか」と問われたとき、Excelのシートを切り替えながら説明する時間が10分を超えていたら、因果の可視化が破綻しているサインです。
KPIと売上の因果関係を即座に説明できない状態が半期以上続くと、経営層のKPIへの信頼が失われ、「数字を追うこと自体がムダではないか」という議論に発展します。そうなると、設計に費やした時間も、現場が入力してきた労力も無に帰します。
この問題を根本から解消するには、KPIの設計・入力・レビュー・因果分析を一気通貫で管理できるツールへの移行が最も確実な打ち手です。
Excel管理の限界を感じたら。3分でわかるコチーム解説資料をご覧ください。
>>【AIでハイパフォーマー育成を自動化】営業マネジメントツール「コチーム」解説資料をダウンロードする
よくある質問
KPIは何個設定するのが適切か?
営業チームが日常的に追うKPIは主要KPI 1〜2個+活動KPI 2〜3個の合計3〜5個が適切です。KPIが7個を超えると、どの指標を優先すべきか判断できず営業担当者の行動が分散します。コントロールしやすく、KGIへの影響度が大きい指標に絞り込み、それ以外はモニタリング指標として別枠で管理するのが実務上の定石です。
KPIの目標値はどうやって決めればよいか?
目標値の設定はKGIからの逆算と過去実績の掛け合わせで行います。まずKGI(売上目標)から必要な受注件数を算出し、自社の過去6〜12ヶ月の歩留まり(商談化率・受注率)を適用して各KPIの目標値を割り出します。過去データが不十分な場合は、業界平均値を暫定で使い、3ヶ月後に自社データで補正する方法が現実的です。目標値には10%程度のバッファを持たせておくと、未達リスクを吸収しやすくなります。
KPI達成率を人事評価に連動させるべきか?
KPI達成率を人事評価に直結させるのは推奨しません。KPIはあくまで「KGI達成に向けたプロセスの進捗指標」であり、KPI達成=成果ではないためです。KPI達成率を評価に直結させると、達成しやすい低い目標を設定するインセンティブが働き、KPIの信頼性が崩れます。評価に組み込む場合は「KPI達成率」単体ではなく「KGI貢献度」や「改善行動の質」と組み合わせた複合評価にすることで、数字の操作を防ぎつつプロセス改善の意欲を維持できます。
まとめ
営業KPIの設計は、KGI→KSF→主要KPI→活動KPIの4層に分解し、営業タイプごとに測るべき指標を選ぶことから始まります。設計後はテンプレートに落とし込み、週次15分+月次60分のレビューサイクルで運用することが、形骸化を防ぐ最も確実な方法です。
KPIを割合ではなく絶対数で設定すること、KPIツリーの分解を「明日の朝、何をすればいいか」まで掘り下げること、戦略とKPIの整合を四半期ごとにチェックすること。この3点を守るだけで、「KPI達成なのに売上未達」という事態は大幅に減らせます。
KPI設計を組織に定着させた次のステップは、目標管理の仕組み全体を整えることです。目標管理のマネジメント手法の記事で、KPIと評価制度の接続方法を詳しく解説しています。
KPIの設計から運用までを一気通貫で管理したい方は、まず営業マネジメントツール「コチーム」の資料で詳細を確認してみてください。
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