目次
大企業病とは
大企業病とは、一例として組織が大きくなるにつれ経営層と従業員の間で意思疎通を図るのが難しくなり、結果として社内の風通しが悪く意思決定に時間がかかってしまうなどの状態のことを指します。
具体的には、判断を下すために必要なハンコが多いなど形式的な手続きが多いことが挙げられます。
しかし、上記の大企業病の定義は一様ではなく、一般的には組織が大きくなるにつれて発生する様々な特徴(症状)を総称して大企業病と呼ばれています。
大企業病によくある4つの症状
大企業病の定義については以上の通りですが、大企業病とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。
本パートでは、大企業病によくある症状を4つに分けて解説していきます。
従来の方法に固執し、チャレンジを生まない雰囲気
1つめの症状は、従来の方法に固執し、チャレンジを生まない雰囲気があるという状態です。
これは、ルールやマニュアルが蓄積していくなかで、それらに固執してしまい、そのような状態が続くことで、次第にリスクをわざわざ負ってチャレンジしようとする人がいなくなってしまうために生じます。
この雰囲気により、さらにチャレンジを生まない悪循環が生まれてしまいます。
社員の意識が顧客や会社全体に向けられていない
2つめの症状は、社員の意識が顧客や会社全体に向けられていない状態です。
1と関連してきますが、ルールやマニュアルに固執することで上司の顔色や社内の評価項目に沿って意思決定する従業員が多くなるためです。
すると本来大切にすべき顧客のニーズや会社の提供価値ではなく、目の前の仕事だけしか意識を向けなくなり一人一人の視野が狭まってしまうのです。
能力不足・不適当な人が出世している
3つめの症状は、能力や実績において不適切な人が出世している状態です。
年功序列で在籍期間の長い人から昇格・昇給のチャンスが与えられることで若手の成長意欲が削がれてしまいます。
頑張りが適切に評価されない状態が続くことが、結果としてイノベーションの起きにくい社内風土につながってしまうのです。
責任の所在が曖昧
4つめの症状は責任の所在が曖昧であるという状態です。
日本企業によく見受けられるのがこの特徴です。責任の所在が曖昧であることで、問題が起きた際に本来「どのように解決すべきか」に焦点を当てるべきところが、「誰の責任なのか」にまず焦点が当てられてしまいます。
いわば犯人探しのようになってしまうことで、誰もリスクを負いたがらない・ミスが許されないような組織風土になってしまいます。
大企業病に陥る原因
大企業病の症状・状態は以上の通りですが、どのようなことが原因となって大企業病に陥ってしまうのでしょうか。
本パートでは、大企業病に陥る原因について解説していきます。
組織が拡大した
1つめは、組織が拡大した場合です。
企業規模の拡大によって組織のサイロ化や縦割りが加速してしまい、オープンなコミュニケーション機会が妨げられてしまいます。
また、従業員数が増えることで必要なルールが増えていったことも原因の一つに挙げられます。
組織が拡大したときに、いかに風通しの良い組織を保てるかが重要です。
チャレンジを評価する仕組みがない
2つめは、チャレンジを評価する仕組みが不足している点です。
組織の中で新しい取り組みや意見を支援する仕組みがないことで、「出る杭は打たれる」ような社内風土が出来上がってしまいます。
組織や業績が安定しても、常に新しい取り組みを支援する仕組みを作っておくことが重要です。
社員に会社のビジョンが浸透していない
3つめは、会社のビジョンが社員に浸透していないことです。
経営層がどれだけ素晴らしい企業理念やビジョンを掲げていたとしても現場の社員に浸透していなければ、それらを実現することは難しくなってしまいます。
現場の社員が目の前の業務をこなすだけで仕事の意義や目的を考えなくなってしまうと、結果として全体の提供価値や生産性にも影響を及ぼします。
大企業病がもたらす弊害
これまで大企業病の症状とその原因について見てきました。これらの症状を放置してしまうことで以下のような弊害が生じてきます。
生産性の低下
1つめは、生産性の低下です。
チャレンジする仕組みがなかったり、社員のモチベーションが上がらないと、全体の生産性が低下してしまいます。
生産性の低下は企業の利益追求において致命的であり、生産性の低下は必ず防がなくてはなりません。
意思決定のスピードが遅くなる
2つめは、意思決定のスピードが遅くなるという点です。
責任の所在が曖昧であったり、会社全体に意識が向いていないと、企業としての意思決定のスピードが遅くなってしまい、時代の経過によるアップデートに追いつけなくなってしまいます。
「VUCAの時代」と呼ばれる現代において意思決定のスピードが遅いということは、企業が生き残っていくうえで非常に重要です。
優秀な人材が離職してしまう
3つめは、優秀な人材が離職してしまうという点です。
能力に応じて待遇が与えられなければ、優秀な人材は良い待遇を求めて別の企業へ転職してしまいます。
そうなってしまうと、企業としてさらに生産性が低下してしまうとともに、周りの社員のモチベーションも下がってしまうのです。
大企業病を脱却するための解決策
それでは最後に、大企業病を脱却する方法を見ていきましょう。
社内コミュニケーションの活性化を促す
組織内の風通しの悪い雰囲気をまず見直すために、まずは他部署と関わる機会を設けるなどオープンなコミュニケーションを社内で促進させましょう。
例えば、メンター制度を導入し他部署と関わる機会を設けることや、上司との1on1を通じて若手社員の意見を言える場を設けることが有効的です。
社内コミュニケーションの活性化を促すことで、社員の視野を広げることやサイロ化の緩和を見込むことができます。
人事評価制度の革新を行う
拡大した組織においていきなり年功序列を辞め、成果主義を目指すことはなかなか難しいかもしれません。
しかし、人事評価制度を革新し、チャレンジすることを支援・賞賛する仕組みづくりを取り入れることで社員の意識を少しずつ変えていくことが出来ます。
例えばチャレンジ目標を設定し、定性面での評価の重要度を高めることや、ピアボーナスなど取り入れることで他者の働きかけに目を向けることを促すことが有効的です。
試行錯誤することが評価されていくことでチャレンジ精神を育て、既存のルールに固執せず新たなものに目を向け活気ある組織を目指すことが出来るでしょう。
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企業の求めるビジョンを発信する
経営層は社内報などを利用し企業の理念やビジョンを積極的に発信していきましょう。
例えどれだけ組織が拡大していても、現場の社員までビジョンを理解し企業の目指すべき方向を向いていれば大企業病に陥ることはないでしょう。
ビジョンは浸透することで「我々」が主語となるような社員の視座を高めることが期待できます。
業務内容の見直し
無駄なルールや承認ルートを減らし、スピード感をもって意思決定を出来るようにしましょう。
例えば書類のペーパーレス化や形式的な会議を辞めるなど業務の効率化への取り組みを全社的に行うといったことが挙げられます。
また、それぞれの部署や社員に仕事における権限範囲を明確にすることが有効的です。
今後益々加速していく情報社会に取り残されないためにも、既存のルールやマニュアルに固執せず業務の効率化を推進していきましょう。
まとめ
以上のように、本記事では大企業病について解説してきました。
大企業病は組織の風通しは悪くなり円滑なコミュニケーションが滞ることで誘発されます。環境やマーケットが著しく変化する現代において、大企業病は大きな足枷になるでしょう。
本記事で解説したことを踏まえ、組織の今後の在り方に目を向けてみてはいかがでしょうか。
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