人事評価は、賃金・配置・人材育成などに関わる人事制度の基盤であり、企業理念やビジョンを従業員に伝える手段にもなります。公正で明確な基準がなければ不満を招き、職場全体のモチベーション低下につながる恐れがあります。
本記事では、人事評価の意味や目的、評価基準の例、導入手順、効果的な運用方法や注意点を解説します。さらに、最新の手法や企業事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
そもそも人事評価とは?
人事評価とは、従業員の一定期間の実績や能力を評価し、給与・賞与・昇格などに反映させる仕組みです。評価結果は育成方針や人材配置の決定にも活用され、人事管理の基盤となります。
一方、「人事評価制度」とは、この評価を公平かつ円滑に行うための仕組みを指します。評価基準や方法、報酬への反映、実施頻度などが定められ、内容は企業ごとに異なります。例えば、四半期や半年ごとなど、評価のタイミングも企業の方針に応じて設定されます。
人事評価は従業員の成長を促進するものであり、企業全体の発展を支える重要なプロセスです。その実施には公平性と客観性が求められ、効果的な制度設計が不可欠です。
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人事評価を行う目的
人事評価の目的は、企業の経営戦略や事業戦略を実現するための重要な基盤として機能することです。具体的には、経営戦略を支える人事戦略を推進し、従業員の育成を通じて組織全体の目標達成を目指すことが主な目的と言えます。
人事評価は単なる業績評価にとどまらず、企業全体のビジョンや方向性を実現するために欠かせない役割を担っています。そのため、評価制度は従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、経営戦略に沿った人材を育成する仕組みとして設計されるべきです。
また、人事評価を通じて従業員の成長を促進し、組織全体のパフォーマンス向上につなげることも期待されています。適切な評価基準や運用方法を整備することで、個々の目標と組織の方向性を一致させ、長期的な成果を生み出す効果が期待できます。
適切な人事評価制度の運用による効果
人事評価を行う目的を正しく理解し、適切な人事評価制度を運用することで、様々な効果が期待できます。
ここでは、適切な人事評価制度の運用による効果について、4つの観点からご説明します。
効果的な人材育成を行うことができる
適切な人事評価制度の運用による1つ目の効果は「効果的な人材育成」です。
人事評価を通じて従業員は自分の能力と企業が求めるスキルや役割とのギャップを把握し、不足分を補うためのキャリアプランを描きやすくなります。管理職にとっても育成プランを立てる重要な情報源となります。
また、評価基準に基づいた適切なフィードバックは従業員のモチベーションを高めます。評価が昇給や昇格につながると明確に示せば、従業員は意識や行動を変え、成長に向けた努力を促すことができます。
このようなプロセスを通じて従業員の能力が向上し、企業が求める人材育成の達成が期待できると同時に、従業員の仕事への意欲やエンゲージメントが高まり、キャリア形成の良いきっかけとなります。
適切な人員配置や処遇を決定できる
適切な人事評価制度の運用による2つ目の効果は、「適切な人員配置や処遇を決定できる」です。
人事評価を活用すれば、従業員の得意分野や経験、成果をデータで把握し、客観的な基準に基づいて適切に配置できます。年功序列に依存せず、能力や実績を重視する近年の傾向において、評価制度は役職や責任を公平に割り当てる重要な仕組みです。
評価結果をもとに次世代リーダーを選定し、重要なポジションで経験を積ませたり、埋もれていた優秀人材を登用して組織を活性化することも可能です。さらに、公平な処遇は従業員のモチベーションを高め、不満を減らし、定着にもつながります。
このように、人事評価は人材配置や処遇を「現状維持」ではなく「成長促進」へ導く重要な仕組みといえます。
従業員のモチベーションを高められる
適切な人事評価制度の運用による3つ目の効果は「従業員のモチベーション向上」です。
評価が適切に行われ、処遇に反映されれば従業員の意欲は高まります。特に、評価基準が明確で公平であるほど納得感が得やすく、やりがいにもつながります。
近年はキャリア形成やワークライフバランスもモチベーション要因として重要視されており、単なる処遇改善では不十分です。成長や働きがいを実感できる評価制度が求められます。
納得感のある評価を通じて従業員は主体的にスキル向上へ取り組み、その結果、組織の活性化と企業の成長につながります。
経営理念やビジョンを共有できる
適切な人事評価制度の運用による4つ目の効果は、「経営理念やビジョンを共有できる」ことです。
人事評価は、従業員の業績を評価するだけでなく、企業の方向性や目標を示す重要な指標として機能します。評価基準には、企業が従業員に期待する役割や行動指針を反映させることで、従業員が「何を目指し、何をすべきか」を具体的に理解できるようになります。これにより、企業の方針やビジョンを組織全体で共有し、一体感を醸成することが可能です。
ただし、漠然としたビジョンを掲げるだけでは、従業員が日々の業務に具体的に落とし込むのは難しいでしょう。そこで重要なのが、明確で具体的な評価基準の設定です。評価基準に経営理念やビジョンを組み込むことで、ビジョンを実現するための理想的な従業員像を描きやすくなります。
さらに、評価基準を通じて従業員と経営者の認識を一致させることができます。人事評価は、経営者から従業員へのメッセージとして機能し、企業全体が同じ方向を向いて進むための土台となります。
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人事評価制度を構成する3つの要素
ここまでご説明してきたように、人事評価は適切な運用により様々な効果が期待でき、企業が従業員に対して公平な人事管理を実施するうえでは、不可欠な制度といえます。
そして、この人事評価制度には、下記の3つの重要な機能があります。
- 評価制度
- 等級制度
- 報酬制度
それぞれが、人事評価制度の構築においてどのような役割を果たしているのか、詳しく見ていきましょう。
評価制度
評価制度とは、企業の目標や方針に対して従業員がどの程度貢献しているかを測る仕組みです。成果や行動が自社の価値観や目標に合致しているかを判断します。
例えば、成約を多く獲得した営業担当が高評価を得るケースがありますが、基準は企業ごとに異なります。そのため、企業は何を重視し、どの行動や姿勢を評価するのかを明確に伝えることが重要です。従業員は指針を理解しやすくなり、仕事の方向性が定まります。
人事評価制度では、この評価が等級や報酬に直結します。制度が不十分だと成果が正しく評価されず、モチベーション低下を招きます。また、基準が曖昧だと不公平感や不満が生じ、組織の士気を損なう恐れがあります。
したがって、評価制度は公正で透明性の高い設計が不可欠です。従業員が努力を正当に評価される環境を整えることで、組織全体のパフォーマンス向上や目標達成につながります。
等級制度
「等級制度」とは、従業員をランクや役割に応じて分類するための制度です。具体的には、各従業員の職務内容、成果、能力などに基づき、等級や職種を設定し、企業内での序列を明確にします。この仕組みによって、従業員の評価や報酬が大きく左右されるため、人事制度の中で非常に重要な役割を果たしています。
等級制度のメリットは、従業員にとっての成長指標となる点にあります。等級ごとの基準が明確になることで、従業員はより高い等級を目指して自身のスキルや能力を向上させるための目標を持ちやすくなります。また、どのようなステップでキャリアを積み重ねていくのか等のイメージが見えやすくなり、長期的なキャリアプランを描く助けとなります。結果として、従業員のモチベーション向上や、企業内での成長を促進する効果が期待できます。
さらに等級制度は従業員の能力や成果に応じて適切な配置や昇進を行えるため、組織全体のパフォーマンス向上に役立ちます。また公正な評価基準があることで不満を軽減し、一体感や働きやすさを高める効果も期待できます。
報酬制度
「報酬制度」とは、等級や評価に基づいて従業員への給与や賞与などの報酬を決定するための制度です。この制度は、従業員のモチベーションに大きな影響を与える重要な役割を果たします。
報酬制度が適正でない場合、たとえ従業員が能力を発揮し、努力して等級や評価が向上したとしても、その成果が報酬に反映されなければ、不満や不公平感を抱く原因となります。そのため、報酬制度は等級制度や評価制度と密接に連携し、これらの制度で評価された内容が報酬にしっかりと反映される仕組みであることが求められます。
適切な報酬制度があれば、従業員は成果や能力が正当に評価されていると感じ、努力や成長意欲が高まります。公平で透明性のある制度は士気を向上させ、組織の安定と成長を支える要素にもなります。報酬制度は評価と報酬のバランスをとる不可欠な仕組みであり、その設計と運用が企業の成長に直結します。
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人事評価制度の導入手順
人事管理に不可欠な人事評価ですが、公正な人事評価の実現には、適切な評価制度を構築し、運用していくことが求められます。
ここでは、人事評価制度の導入手法について、順を追ってご説明していきます。
STEP1:目的を明確化する
人事評価制度の導入における1つ目のステップは、「目的を明確化する」ことです。
制度導入の目的を明確にしないまま、「他社が導入しているから」という曖昧な理由で始めてしまうと、評価基準が定まらず失敗する可能性が高まります。評価制度は、企業理念やビジョンを踏まえたうえで、「何のために評価を行うのか」を具体的に定義することが重要です。
業種や職種、求める人材像によって評価制度の目的は異なるため、自社に合った評価方法を選ぶためには、経営陣を中心に目的を社内で擦り合わせておく必要があります。他社の事例を参考にするのも有効ですが、最終的には自社の状況に合わせた目的を明確に設定することが成功の鍵となります。
このように、導入の目的を具体的に決めることが、人事評価制度を有効に機能させるための第一歩です。
STEP2:評価制度を検討する
人事評価制度の導入における2つ目のステップは、「評価制度を検討する」ことです。
導入目的が明確になったら、次に行うのは具体的な評価制度の選定です。評価制度を選ぶ際には、企業のビジョンや理念を実現するために適した内容であるかどうかを慎重に比較検討することが必要です。制度が企業の方向性や従業員の成長をサポートするものであるかを見極めましょう。
また、制度の設計には従業員の意見を取り入れることが重要です。アンケート調査を実施して、現状の課題や問題点、従業員の要望を把握することで、実際の職場環境に合った制度を構築できます。従業員が納得感を持てる制度を設計することで、運用のスムーズさや制度の継続性が高まります。
評価制度を決める際には、企業の規模や業種、職種ごとの特性を考慮し、柔軟かつ実効性のある仕組みを選ぶことが成功の鍵となります。
STEP3:評価項目を決定する
人事評価制度の導入における3つ目のステップは、「評価項目を決定する」ことです。
評価制度を検討した後は、具体的な評価項目を設定します。評価項目は、職種や役職、業務内容に応じて異なるため、各従業員の役割や責任範囲を基に適切に設定する必要があります。
評価項目を役職ごとに分けることで、業務内容や責任に見合った評価が可能となり、従業員の納得感を高めることができます。これにより、評価制度のスムーズな運用と持続的な活用が期待できます。
また、評価項目を明確にするだけでなく、評価基準(「どのように評価するか」)も設定し、評価者間での判断基準のばらつきを防ぐことが重要です。そのために、職種や部署ごとの特性に合った基準を整備し、評価マニュアルを作成することが効果的です。
評価基準や項目が曖昧なまま制度を導入すると、評価の信頼性が低下し、形骸化につながる可能性があります。そのため、導入前に十分な検討と確認を行い、実態に即した評価項目と基準を構築することが不可欠です。
STEP4:従業員へ周知する
人事評価制度の導入における4つ目のステップは、「従業員へ周知する」ことです。
評価制度の詳細が決定した後は、従業員全体に制度内容を共有することが重要です。適切な説明がないまま運用を開始すると、制度への不信感や不満が後から噴出する可能性があります。そのため、文書での通達に加え、説明会を実施して従業員との共通理解を深めることが必要です。
説明会では、評価項目や評価結果が処遇にどのように反映されるかなど、制度の目的や運用方法を丁寧に説明し、従業員からの疑問に答えましょう。また、アンケートを実施して従業員の意見を収集すれば、制度運用前に潜在的な問題点を発見し、改善に役立てることができます。
さらに、公平で客観的な評価を実現するためには、評価を行う側の研修も欠かせません。評価基準や評価方法を評価者にしっかり理解させることで、制度への信頼性を高めるとともに、適切な運用を促進できます。
従業員への周知と評価者の準備を十分に行うことで、人事評価制度のスムーズな導入と運用が可能になります。
STEP5:評価・フィードバックを行う
人事評価制度の導入における5つ目のステップは、「評価・フィードバックを行う」ことです。
従業員への制度周知が完了したら、実際の評価とフィードバックの段階に進みます。このステップでは、目標が達成されたかどうかだけでなく、「どの程度達成できたのか」や「目標達成の過程でどれだけ成長したのか」といったプロセスにも注目することが重要です。こうした視点は、従業員の努力や成長を正当に評価し、納得感を生み出します。
評価後には個別面談を実施し、上司が評価結果を基にフィードバックを提供します。この際、評価内容を単に伝えるのではなく、従業員が課題を理解し、次のステップに向けた改善や成長の方向性を見つけられるよう配慮することが求められます。フィードバックは、モチベーション向上や能力開発を促す建設的な内容を心がけましょう。
さらに、評価者自身が公平性を保ち、従業員の成長を支援する姿勢を持つことが、評価制度の信頼性と運用の成功につながります。
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人事評価を効果的に運用するためのポイント
ここまでご説明してきたように、人事評価制度には適切な手順があり、目的を正確に理解したうえで制度を構築することが重要です。さらに、人事評価制度をより効果的に運用するうえでは、意識すべきポイントがあります。
ここでは、人事評価を効果的に運用するためのポイントについて、5つの観点からご説明します。いずれも評価制度の信頼性や妥当性を高めるために欠かせないポイントです。人事評価の効果を高めるために、意識すべき点を把握しておきましょう。
評価基準を明確にする
人事評価を効果的に運用するための1つ目のポイントは、「評価基準を明確にする」ことです。
人事評価を行う上では、評価基準を明確化することが重要です。人事評価を行うのはあくまでも人間であり、評価基準が曖昧であると評価者の主観が強く反映されやすくなり、人事評価エラーが生じる原因となります。
例えば、営業成績の評価基準が曖昧だと、同じ成果でも評価者の主観でばらつきが生じます。これを防ぐには、具体的な評価項目を明確に定め、評価者に徹底して周知することが重要です。基準が明確であれば、不公平を抑え、公正で納得感のある評価を実現できます。
評価後のフィードバックを充実させる
人事評価を効果的に運用するための2つ目のポイントは、「評価後のフィードバックを充実させる」ことです。
従業員が人事評価に不満を抱く場合は、評価後のフィードバックを充実させることが有効です。フィードバックの例としては、以下のような観点が挙げられます。
- 評価基準の説明
- 改善すべき点
- 次回までの目標
- 具体的なアドバイス
- 期待していること
各従業員に個別の面談を設け、上記のようなポイントを伝えましょう。評価に必要な情報を効率的に把握することはもちろん、より適切なフィードバックを実践することができます。人事評価の目的は、評価を通じて仕事のやり方を見直し、従業員の成長を促すことであり、納得感のある評価を実現するためにも、適切なフィードバックが欠かせないと言えるでしょう。
1on1ミーティングを導入する
人事評価を効果的に運用するための3つ目のポイントは、「1on1ミーティングを導入する」ことです。
1on1ミーティングでは、シートを活用して記録を取り、期末に振り返ることで目標の達成度や工夫の内容を確認できます。また、進行状況から現時点での評価を伝えられるため、自己評価とのずれによる不満を防げます。さらに「最近会社に貢献していることはある?」と尋ねることで、日常業務では見えにくい取り組みも評価に反映できます。
このように、1on1ミーティングを導入し、記録を残すことで社員の評価の根拠が明確になり、納得感のある評価を行ったうえで、被評価者への説明も簡単にできるようになります。
評価者教育・評価者研修を実施する
人事評価を効果的に運用するための4つ目のポイントは、「評価者教育・評価者研修を実施する」ことです。
評価者によって基準の理解が不十分だと、評価にばらつきが生じて公平性が損なわれる恐れがあります。公正な評価には、評価基準や方法を正しく理解し、共通認識を持つことが不可欠です。そのため、社内の有識者や外部サービスを活用した研修で、人事評価の目的や注意点を学び、評価スキルを高めることが有効です。
定期的に評価制度を見直す
人事評価を効果的に運用するための5つ目のポイントは、「定期的に評価制度を見直す」ことです。
評価制度は定期的に見直すことが重要です。制度は導入して終わりではなく、理念や目標との整合性、市場変化への対応、社員の納得度を踏まえて改善を重ねてこそ効果を発揮します。変更には時間がかかるため、必要な場合は少なくとも3〜4ヵ月前に内容を固め、社員へ周知しましょう。定期的な見直しにより社員の声が反映され、不満が減少し、モチベーションや組織全体のパフォーマンス向上につながります。
人事評価制度の種類
ここでは、最新の人事評価制度についてご紹介します。主な人事評価制度は下記の5種類です。
- コンピテンシー評価
- MBO(目標管理制度)
- OKR
- 360度評価
- ノーレイティング
それぞれの評価方法と特徴について、以下にご説明します。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは、優れた成果を出す従業員の行動特性(コンピテンシー)を基準に行う人事評価です。成果を上げている人材の行動特性を評価項目として設定し、同様に優秀な人材を育成することを目的としています。
下記は、コンピテンシー評価の基本的な評価要素の一覧です。
- タイムマネジメント
- リスクテイクの判断
- 対人交渉能力
- 説明責任を果たす能力
- ストレス管理
上記の評価要素を踏まえ、優秀な人の態度や行動、価値観などの共通点を抽出し、それをもとに判断するという流れのため、評価の公平性を担保しやすいメリットがあります。またコンピテンシー評価の導入は、社員のパフォーマンス向上やキャリア形成に効果的です。納得感のある評価制度を設計できるため、社員のモチベーション低下を防ぎ、効率的な人材育成にも役立ちます。
MBO(目標管理制度)
MBO(目標管理制度)とは、従業員が組織目標と連動した個人目標を設定し、その進捗や達成度で評価する制度です。自己管理を通じて責任感や自律性が高まり、モチベーション向上につながります。さらに、個人の目標達成が企業の成長にも直結するため、双方が納得しやすい評価制度といえます。
OKR
OKRとは、大きな目標(Objectives)とその達成度を測る具体的な指標(Key Results)を設定し、評価する手法です。企業と個人の目標を結びつけ、高頻度で進捗確認や評価を行う点が特徴です。達成率60〜70%を理想とする高い目標を掲げることで、モチベーション向上と一体感のある業務推進を実現できます。
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360度評価
360度評価とは、上司や人事担当者だけでなく、部下や同僚など複数の立場から多面的に評価を行う制度です。多様な視点を取り入れることで偏りを防ぎ、公平性や客観性を高められます。そのため評価対象者も納得しやすく、モチベーションの維持・向上にもつながります。
ノーレイティング
ノーレイティングとは、等級やランクを付けずに、頻繁なフィードバックを通じて評価を積み重ね、目標を軌道修正していく人事評価制度です。評価者と被評価者の対話を重視するため、相互理解が深まり納得感のある評価が可能になります。さらに、評価項目が固定されていないため、環境の変化にも柔軟に対応できる制度です。
人事評価制度の導入事例
最後に、人事評価制度の導入事例をご紹介します。
今回は、下記の3社の人事評価制度についてご説明します。
- サッポロビール
- ディー・エヌ・エー
- Amazon
サッポロビール
サッポロビールは2020年に人事評価制度を大幅に改革し、「ノーレイティング」と呼ばれる新しい評価方法を導入しました。この制度では考課ランク付けを廃止し、従業員が自発的に目標を設定できる仕組みを採用しています。従来の管理型評価から育成支援型の評価制度へと転換を図りました。
さらに、1on1ミーティングを通じて従業員との対話を重視し、個々の成長を支援するマネジメントスタイルを実践しています。このアプローチにより、従業員の主体性を引き出し、成長を促す環境づくりを目指しています。
ディー・エヌ・エー
ディー・エヌ・エーでは、「シェイクハンズ制度」を導入し、本人と異動先の合意があれば、人事部や現上司の承認を経ずに異動が可能な仕組みを整えています。
さらに、従業員のやりがいを把握するアンケートや、マネージャーに対する360度フィードバックを実施することで、組織内のコミュニケーションの活性化と職場環境の改善に取り組んでいます。
Amazon
Amazonでは、相対評価を用いてローパフォーマーを特定し、その社員を「コーチングプラン」や「PIP(業務改善プログラム)」といった研修プログラムの対象にしています。これらのプログラムは、業績が主要な評価基準である外資系企業を中心に導入されており、最近では多くの企業が注目し、実際に採用し始めています。
相対評価によってパフォーマンスの低い人材を特定し、特別な支援を行うことで、業績の向上と組織全体のパフォーマンス改善を図ることができます。
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まとめ
この記事では、人事評価の目的について、評価の基準や種類に加えて、実際の事例のご紹介を踏まえて解説してきました。
人事評価は、企業と従業員の信頼関係を築き、成長を促進するための重要な仕組みです。人事評価の目的を理解し、評価制度を正しく運用することで、公正な評価を実現し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。
本記事で紹介した評価基準や導入手順、運用のポイントを参考に、効果的な人事評価制度を構築しましょう。
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