時に従業員の離職の急増は、組織における、大きな課題となることがあります。
従業員アンケート、インタビューなどの手段を使用することで、人事部は、従業員の離職を促す要因を特定して理解し、その解決策を探ることができます。
そうすれば、従業員の満足度を維持し、将来にわたって会社に留まってもらうことができるのです。
企業にとっては、優秀な人材が流出する前に、従業員が不満を感じている主な理由を特定し、その解決策を迅速に講じることが重要です。
- なぜリテンションが重要なのか
- 従業員が離職する主な理由は何か
- 効果的なリテンション戦略をどのように構築すればよいのか
本記事では、従業員のリテンションに投資して、現在も将来も競争力のある雇用者として組織を維持する方法を解説します。
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目次
リテンションとは
リテンションとは、人材の定着率を上げるために、組織で働く幸福度を保ち、従業員に能力開発計画などを含めた十分な投資することです。
優秀な人材を失うことによるコストは、雇用、採用、トレーニングのコストから生産性の低下まで、あっという間に膨れ上がります。
ある調査によれば、従業員の入れ替えにかかるコストは、対象者の年収の2分の1から2倍にもなり、従業員の離職率を下げることは、あらゆる組織の成功にとって重要な要素です。
新しいチームメンバーの採用とオンボーディングには、長い時間とコストがかかり、面接やトレーニングに参加するだけでなく、前任者の仕事を引き継ぐために踏み込むマネージャーや従業員にとっても、大変なプロセスです。
従業員の入れ替わりが激しい会社は、それだけ新しく入ったメンバー及び管理するマネージャーに大きな負荷をかけ、チーム全体の士気を大幅に下げる事に繋がります。
リテンションのための第一歩は、従業員が離職する理由を特定することから始まり、問題に対処し、全体的な従業員体験を向上させるための戦略を立てることが重要となります。
従業員が退職する主な理由
従業員が仕事を辞める理由はさまざまですが、中には企業側ではコントロールできないものもあります。
例えば、以下のような理由で仕事を辞める人もいるでしょう。
- 定年退職
- キャリア・チェンジのため
- 子供を産む
- 家族の介護
一方で、人々が新たな雇用機会を求める要因の中には、会社での個人的な経験に直接関係するものもあります。
これらの要因は、企業文化、価値観、職場環境、リーダーシップチームなど、企業がコントロールできる要素が影響しているかもしれません。
従業員が自分の仕事に満足できず、他の場所で仕事を探す理由としては、次のようなものがあります。
- キャリアアップの機会がない
- 会社の認知度の低さ
- 脆弱なマネジメント
- 競争力のない報酬
- 退屈な仕事
- 燃え尽き症候群
離職にはさまざまな理由がありますが、理由のほとんどは、仕事への不満や意欲の低下、あるいはその両方に集約され、多くの場合、組織がコントロールできるものです。
組織にはそれぞれ改善すべき点がありますが、前述の重要な要素を念頭に置いて従業員維持戦略を立てることが大切です。
リテンション強化の5つの方法とステップ
組織での従業員体験を向上させるためには、強力なリテンション戦略が必要です。
維持戦略を策定する前に、組織の根本的な問題をよりよく理解するために、質的・量的な調査を行う必要があります。
- 離職率を測定する
- 従業員にアンケートを取る
- 滞在・退職者へのインタビューを行う
- 従業員のフォーカスグループを作る
- 戦略を実行する
ここでは、どのようにして調査を行い、効果的かつ効率的な従業員リテンション戦略を構築する5つの方法を紹介します。
1)離職率を測定する
社員の定着率を向上させるためには、まず一定期間に何人の社員が会社を去っているかを調べる必要があります。
離職率には、自発的離職、非自発的離職、社内異動、新入社員の離職など、いくつかの種類がありますが、主に自発的離職、つまり自分の意思で組織を去った人の数に注目するとよいでしょう。
自主的離職率の計算方法は以下の通りです。
自主的離職率 = (自主的離職者数÷平均従業員数)×100
計算する際は、分子と分母の両方で期間や母集団を統一することに注意してください。
自社の離職率がどのように推移しているかによって、従業員の離職の原因をより詳細に調査する必要があると気づくかもしれません。
2)アンケートを取る
優秀な人材の離職の原因となっている組織的な問題をよりよく理解するためには、従業員に直接聞いてみるとよいでしょう。
定期的に、エンゲージメントサーベイや従業員満足度調査を実施することで、給与、福利厚生、マネジメント、ワークライフバランスなど、従業員の体験に関するあらゆる分野のフィードバックを匿名で収集することができます。
これにより、組織の中で改善すべき点を特定することができます。
従業員満足度調査とエンゲージメント調査を定期的に実施することは、従業員の維持に不可欠です。
これらの調査は、組織が従業員の満足度とエンゲージメントを測定し、それに応じて対応するために行われます。
調査が適切に行われれば、従業員がなぜ不満や意欲を失っているのかを正確に把握し、それを改善するために組織が何をすべきかを理解するのに役立ちます。
従業員が退職したいと思う主な理由は、会社や個人によって異なるため、データに基づいて行動することが重要です。
注意点としては、エンゲージメント調査の結果は、組織、部門、または経営上の問題を特定するのに役立ちますが、それらの問題を解決する方法を教えてくれるわけではありません。
これらの改善点をどう解決するかを判断するためには、補足的な調査で調査結果をより深く掘り下げる必要があります。
3)滞在・退職者へのインタビューを行う
退職者インタビューと滞在者インタビューを行うことで、従業員からより詳細な質的データを収集することができます。
退社インタビューとは、すでに退社した社員にインタビューすることです。
その時点で社員の考えを変えることはできませんが、このような会話は、社員がなぜ退職するのか、また、社員の経験の中でどのような要素を改善することができると考えているのかを理解するのに有効な方法です。
通常、退職する従業員は、率直なフィードバックをすることによるマイナスの影響を恐れていないこともあり、このような会話では率直なフィードバックを話してくれます。
このように、退社時のインタビューは、従業員の体験を改善するための効果的な方法なのです。
また、まだ会社に残っているチームメンバーにも話を聞きましょう。
つまり、現在の従業員ができるだけ長く会社に満足し、従事し、幸せであるかどうかを調査するのです。
退社時のインタビューと同様に、組織で何が改善できるのか、何が彼らを引き留めているのかを尋ねるとよいでしょう。
十分な数の従業員にインタビューしたら、彼らのフィードバックから傾向や繰り返し起こるテーマを見つけましょうう。
このデータが、人事チームとしての次の行動を決定します。
例えば、退職者インタビューで大多数の社員が給与や福利厚生への不満を表明したとします。
その場合、人事チームは業界のベンチマークを参考にして、それに応じて給与や福利厚生を調整し、競争力を維持して従業員を引き留める努力をすべきでしょう。
4)従業員のフォーカスグループを作る
ビジネスの主要な改善点を特定したら、組織全体の従業員を集めて、提案した解決策について議論します。
小規模なフォーカスグループでは、アイデアを実際に影響を与える従業員に聞いてもらうことで、彼らのフィードバックや意見を聞き、戦略をさらに洗練させることができます。
また、社員の賛同を得ることで、新しいプログラムや施策を展開する際に、社員の反発を最小限に抑えることができます。
5) 戦略を実行する
あとは、調査結果と解決策の提案を経営陣に提出するだけです。
経営陣の賛同が得られれば、従業員の体験にプラスの影響を与え、より多くの優秀な人材を確保するための施策に着手することができます。
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リテンションを強化する5つの戦略
アンケートやインタビューの結果は、自社で何がうまくいっているかを示す有力な指標となりますが、他の組織でどのような取り組みが人材の維持に役立っているかを知ることも有益です。
本パートでは、優秀な人材を維持するための5つの戦略をご紹介します。
競争力のある報酬
もしあなたの会社が市場価格より低い報酬を支払っていたら、従業員はより高い報酬によるオファーを受け入れたくなるかもしれません。
従業員が会社に忠誠を誓うためには、競争力のある給与や福利厚生を提供することが大切です。
競争力のある給与、福利厚生制度、ワークライフバランス、休暇、在宅勤務、健康手当などは、仕事への満足度と従業員のモラルを向上させ、企業が優秀な従業員を引き付けるだけでなく、維持することにも役立ちます。
現在提供しているものは何か、そしてそれは同じ業界や地域の他の企業が提供しているものと比べてどうなのか、再検討しましょう。
あまりにも差がある場合は、調整を検討してください。
ただ、もし従業員に公平な報酬を支払っていないのであれば、他にどんな特典や便益を提供しても、意味がありません。
従業員に競争力のある公正な報酬を与えることは、会社への忠誠心を高め、従業員が他の会社で新しい仕事を探さないようにするのに役立ちます。
育成や能力開発のプログラム
当然のことですが、会社で学び成長できると思えなかったり、会社が自分のキャリアパスに投資してくれていると思えなかったりした場合、ハイパフォーマーは自分の才能を他の場所に移してしまうことでしょう。
優れた従業員は、たいてい自分を高めようと努力するからこそ、優れているのであり、彼らは、自分のスキルを学び、発展させる機会を求めています。
キャリアアップの機会が少ない中小企業では、専門的な開発の機会を提供することで、従業員が定着するために必要な成長を得ることができます。
従業員の成長するのに役立つ社内プロジェクトや機会を見つけられるよう、どのように支援できるかを人事チームとして考えてみましょう。
昇給や昇進は優秀な人材を確保するための効果的な方法ですが、学習や能力開発の機会を提供することも、従業員をより長く維持するのに役立ちます。
例えば、本を買ったり、カンファレンスや業界内の交流イベントにに参加したり、新しいスキルを身につけるためのクラスを受講したりするためのプログラムを提供することも考えられるでしょう。
また、メンター制度や現在の実力以上の仕事(ストレッチアサインメント)、部署の垣根を超えた仕事(クロスアサインメント)など、社内の成長機会を提供することで、従業員がビジネスの新しい分野を学び、スキルを磨くことができます。
従業員のキャリア開発に投資することは、従業員に対して、会社とともに成長してほしいという気持ちと、それをサポートするという姿勢を示すことにつながります。
ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み
多様性のある組織を構築するには時間がかかりますが、すべての従業員が会社に歓迎されていると感じられるような文化の構築を始めるには、今が絶好の機会です。
例えば、性別を表す言葉ではなく、「育児休暇」のようなより包括的な言葉を使うことで、すべての従業員が自分の子供との絆を深めるための時間を会社からサポートされていると感じることができます。
柔軟なリモートワークの制度
新型コロナウィルス流行の影響で、在宅勤務が有効であることがわかり、多くの社員がリモートワークによる柔軟さに慣れてきました。
ある調査によると、80%の従業員が、現在の雇用主が柔軟な勤務形態を提供していれば、高い忠誠心を感じられると答えています。
従業員が、どこででも仕事をすることを信頼し、許可することは、会社により大きな競争力をもたらすでしょう。
社員表彰制度の設立
多くの従業員は、自分の役割が過小評価されていると感じて会社を去ります。
従業員一人ひとりが自分の存在を認められていると感じることができれば、エンゲージメントの向上、ひいては定着率の向上につながります。
仕事がうまくいったときには、従業員を褒めることが重要です。
従業員の表彰は、称賛内容を掲載した社内報、毎月の目標達成に対する賞与など、さまざまな形で行うことができます。
社員表彰制度は、従業員の満足度とエンゲージメントを向上させ、離職率を下げるのに役立ちます。
また、必ずしも大掛かりな表彰制度ではなかったとしても、手書きのメモを社員に渡したり、勝利を認めて会議でエールを送ったりと、一見小さなジェスチャーでも、定期的に行うことで、認められている、感謝されていると感じることができるでしょう。
まとめ
人事チームは従業員の定着に最も大きな影響を与えることができるポイントを発見するために、定性的および定量的なデータを収集する必要があります。
従業員が退職する原因となっている根本的な組織的問題を特定したら、それを解決するための迅速な行動を起こし、すべての従業員にとってより働きやすい職場にすることができます。
もちろん、組織には常に人の出入りがありますが、適切な分野に投資することで、従業員が入社から退社まで素晴らしい体験をすることができるのです。
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パフォーマンスマネジメントを実践することにより、離職防止以外にも上記のような効果が期待できます。
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