ITSS(ITスキル標準)とは?7段階のレベルと11の職種・スキルマップの活用方法を徹底解説!

ITSS(IT Skill Standard/ITスキル標準)は、高度な専門知識と技術を持つITプロフェッショナル人材の育成を促進するために作られました。

本記事では、IT業界に従事する皆様やエンジニアの方々を対象に、ITSSの概要、企業が運用していく際のポイント、注意点、スキルマップの活用方法をご紹介します。

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ITSS(ITスキル標準)とは?

ITSS(ITスキル標準)とは、日本におけるIT技術者の職種・スキルを体系的に整理し、必要とされる能力や到達すべきレベルを示した指標です。高度IT人材を育成するために作成されました。

正式には「IT Skill Standard」と呼ばれ、2002年12月、経済産業省により策定・公表され、2004年以降は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ITスキル標準センターが管理しています。

ITSSでは、IT領域の職種職種を「コンサルタント」「プロジェクトマネジメント」「ITスペシャリスト」など11の職種に分類し、各職種ごとに全部で35の専門分野に分類しています。

また、それぞれの専門分野に対応して、個人の能力や実績に基づいて7段階のレベルを設定しています。スキルとキャリアの段階が細分化されており、企業が人材育成の指標として活用するためにキャリアと対応するスキルレベルを示したキャリアフレームワークも公開されています。

ITSSのスキルマップはコチラのリンクより公開されています『ITスキル標準(ITSS)』独立行政法人情報処理推進機構公式ページ

▼スキルマップについて詳しく解説した記事はコチラ!

ITSSにおけるスキルの定義

ITSSに規定されているスキルはITスキルだけではありません。専門技術について高度な知識や技術、資格を持っている人であっても、必ずしも実務能力があるとは限らないからです。

そのため、ITSSには専門的な知識・技術に加えて、コミュニケーション能力やリーダーシップ、プロジェクトマネジメント能力、後進への教育・指導に関する能力など業務をする上で必要になる人間的なスキルや実務経験・実績など幅広く規定されています。

このように総合的な能力を育成することで、顧客やプロジェクトメンバ、パートナ及び所属する企業等に対して、高い価値を提供することができるようになるのです。


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ITSSが策定された目的と背景

ITSSが策定された目的と背景として、IT産業ではハードからソフト・サービスへの収益構造の変化に伴い、「サービス」を担う人材のスキル管理と育成が競争力の源泉となってきました。

これまではOJTによるスキル伝承が一般的でしたが、1990年代以降、顧客ニーズの多様化や業務プロセス改革への対応、さらにインターネット普及による技術のオープン化と専門分化の進行によって、一層高度な専門性を備えたIT人材が求められるようになりました。

こうした背景の下、企業が自社の競争力を高めるには、人材を戦略的かつ体系的に育成し、その過程で必要なスキルを客観的に評価する仕組みが不可欠となります。また、日本政府も国家戦略の一環としてIT産業を振興し、高度IT人材の育成を重点課題に掲げていました。

しかし、当時は実用的なスキル指標が存在せず、キャリアパスや習得すべきスキルを明確化するのは容易ではありませんでした。そこで、企業や教育機関、個人が共通に参照でき、ITサービス全体の質向上に資する指標として策定されたのがITSSです。

これにより、効果的な人材育成を進めるための客観的かつ統一された「ものさし」が提供され、多様なITサービスの現場で高度IT人材を育成・確保するための重要な基盤が整備されることとなりました。

ITSSと他のITスキル標準の違い

ITSS以外にも独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開しているITスキル標準があります。この章では、ITSSと他のITスキル標準の違いを解説していきます。

UISS(情報システムユーザースキル標準)

UISS(情報システムユーザースキル標準)は、主に情報システムを利用する企業や組織の側(ユーザ企業)のIT担当者や情報システム部門を対象とし、システム企画や導入・運用管理といった業務を行うためのスキルを定義しているもので、ITサービスを提供する側の人材のスキルを体系化したものがITSSであることが大きな違いです。

ETSS(組み込みスキル標準)

ETSS(組込みスキル標準)は、自動車や家電、産業機器などの組込みシステム開発に携わるエンジニアのスキルを定義したもので、ハードウェアとソフトウェアが密接に連携するリアルタイム処理や制御系技術を扱います。一方で、前述の通りITSSは専門技術の他にコミュニケーション能力など幅広いスキルを定義しているところが違いです。

CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)

CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)は、ITSSやUISS、ETSSなど従来の複数のスキル標準の内容を一元的・包括的に整理し、デジタル社会全体で活用できる共通指標として作られた上位のフレームワークにあたります。

これまでIT人材の育成ではITSS、UISS、ETSSといった複数のスキル標準を別々に管理していましたが、CCSFにより必要なスキル標準をカスタマイズできるようになりました。

ITSSが規定する7段階のレベル評価

ITSSにより分類された11の職種と35の専門分野(横軸)に対し、縦軸には7段階のレベルが設定されています。評価指標としては、「情報処理技術者試験」の合格などと合わせて、スキルの習熟度合や実務経験、実績などの「達成度指標」が定められています。

各レベルの概要は以下の一覧表になります。

レベル1最低限必要な基礎知識を有する
レベル2上位者の指導の下に要求された作業を担当
レベル3要求された作業を全て独力で遂行
レベル4ハイレベルのプレーヤと後進育成への貢献
レベル5企業内のハイエンドプレーヤ
レベル6国内のハイエンドプレーヤ
レベル7世界で通用するプレーヤ

レベル1:最低限必要な基礎知識を有する

情報技術に携わる者に最低限必要な基礎知識を有します。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められます。

レベル2:上位者の指導の下に要求された作業を担当

上位者の指導の下に、要求された作業を担当します。プロフェッショナルとなるために必要な基本的知識・技能を有する。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められます。

レベル3:要求された作業を全て独力で遂行

要求された作業を全て独力で遂行します。スキルの専門分野確立を目指し、プロフェッショナルとなるために必要な応用的知識・技能を有します。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められます。

レベル4:ハイレベルのプレーヤと後進育成への貢献

プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、自らのスキルを活用することによって、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル。社内において、プロフェッショナルとして求められる経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献しており、ハイレベルのプレーヤとして認められます。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められます。

レベル5:企業内のハイエンドプレーヤ

プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、社内においてテクノロジやメソドロジ、ビジネスを創造し、リードするレベル。社内において、プロフェッショナルとして自他共に経験と実績を有しており、企業内のハイエンドプレーヤとして認められます。

レベル6:国内のハイエンドプレーヤ

プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、社内外において、テクノロジやメソドロジ、ビジネスを創造し、リードするレベル。社内だけでなく市場においても、プロフェッショナルとして経験と実績を有しており、国内のハイエンドプレーヤとして認められます。

レベル7:世界で通用するプレーヤ

プロフェッショナルとし てスキルの専門分野が確立し、社内外において、テクノロジやメソドロジ、ビジネスを創造し、リードするレベル。市場全体から見ても、先進的なサービスの開拓や市場化をリードした経験と実績を有しており、世界で通用するプレーヤとして認められます。

引用:「ITスキル標準(ITSS)2.ITスキル標準とは-ものさしとしてのスキル標準」、IPA独立行政法人情報処理推進機構

ITSSが分類する11の職種

ITSSで設定された職種とは、ビジネスにおいてITエンジニアが活動する専門領域を分類したものです。IT産業における職種を次の11種類に分類しています。

  1. マーケティング
  2. セールス
  3. コンサルタント
  4. ITアーキテクト
  5. プロジェクトマネジメント
  6. ITスペシャリスト
  7. アプリケーションスペシャリスト
  8. ソフトウェアデベロップメント
  9. カスタマーサービス
  10. ITサービスマネジメント
  11. エデュケーション

職種1:マーケティング

マーケティングは、ITを駆使して市場動向の分析や予測を行い、顧客ニーズに対応するための事業戦略や販売戦略、実行計画、資金計画などのビジネス戦略を企画・立案し、実施する役割を担う職種です。

ITSSにおいて、マーケティングの専門分野を「マーケティングマネジメント」「販売チャネル戦略」「マーケットコミュニケーション」の3つに分類しており、市場調査や戦略策定を行うマーケティングマネジメント、どのチャネルで製品・サービスを展開するかを検討する販売チャネル戦略、顧客にどのようなコミュニケーションで価値を届けるかを設計するマーケットコミュニケーションがそれぞれ重要な位置づけを占めています。

職種2:セールス

セールスはITを活用して顧客とのビジネスを拡大し、顧客の課題を解決へ導く提案や新たな製品・サービスの提案を通じて、新規ビジネスの展開を担う職種です。顧客との良好な関係を築き、顧客の経営方針を把握し、課題解決策やビジネスプロセスの改善を支援するソリューション、製品・サービスを提案して成約に結び付けることが主な役割となります。

ITSSにおいて、セールスの専門分野は大きく3つに分類され、限定された顧客に継続的な販売活動を行う「訪問型コンサルティングセールス」、幅広い顧客に製品やサービスを提案する「訪問型製品セールス」、広告等を活用して不特定多数の顧客へアプローチする「メディア利用型サービス」にさらに分解されています。

職種3:コンサルタント

コンサルタントは、顧客のビジネス戦略やビジョンを踏まえた上で、IT投資やIT戦略の計画策定、経営判断に関する適切な支援、助言を提供し、顧客の課題解決を助ける職種です。

ITSSにおいて、コンサルタントの専門分野には、業界ごとの課題に対応する「インダストリ」と、業種を問わず業務に関する提案を行う「ビジネスファンクション」の2つがあり、それぞれの領域で顧客企業から信頼を得て、抱える経営・業務上の問題を解決に導くことを目指します。

職種4:ITアーキテクト

ITアーキテクトは、顧客の事業戦略を実現するために、ハードウェアやソフトウェアなどの関連技術を活用してITアーキテクチャ(基本構造)を設計する職種です。

ITSSにおいて、「アプリケーションアーキテクチャ」「インテグレーションアーキテクチャ」「インフラストラクチャアーキテクチャ」の3つの専門分野に分かれ、いずれの領域でもソリューションの構成基準を明確化し、技術リスクや実現性を事前に評価します。

設計どおりのソリューションが構築されているか、品質面での問題や技術的リスクがないかを確認・検証し、必要に応じて修正・改善することで、顧客企業に最適なIT環境を提供することに責任を負う職種です。

職種5:プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントは、ITビジネスにおける製品やサービスの提案から納品までを一貫してマネジメントする職種です。プロジェクトの提案、チームの立上げ、計画、実行、監視コントロール、終結に至るすべての工程を管掌し、品質・コスト・納期の管理責任を負います。

ITSSにおける専門分野は、「システム開発」「ITアウトソーシング」「ネットワークサービス」「ソフトウェア製品開発」の4つに分類され、スケジュールだけでなく納品物の品質や顧客満足度を確保することも重要な役割となります。

職種6: ITスペシャリスト

ITスペシャリストは、ソフトウェアとハードウェアの専門技術を活用して、顧客に最適なITシステムの設計・構築・導入・運用保守を行う職種です。設計から導入までのプロセスに加え、納品後の回復性や可用性といった非機能要件についても責任を負い、構築したシステム基盤の性能や安定稼働を確保することが求められます。

ITSSにおける専門分野は「プラットフォーム」「ネットワーク」「データベース」「アプリケーション共通基盤」「システム管理」「セキュリティ」の6つに分類されており、いずれも顧客の環境やビジネス要件に合わせた最適な構成を実現するために不可欠です。

職種7:アプリケーションスペシャリスト

アプリケーションスペシャリストは、アプリケーション開発やパッケージ導入の専門技術を活用し、業務上の課題を解決するためにアプリケーションの設計、開発、導入、テスト、保守を一貫して行う職種です。

ITSSにおける専門分野は、業務システムの設計や開発、運用・保守を担当する「業務システム」とパッケージソフトウェアの導入・カスタマイズ・機能追加を担当する「業務パッケージ」の2つに分類されています。

職種8:ソフトウェアデベロップメント

ソフトウェアデベロップメントは、ソフトウェアエンジニアリング技術を活用して、マーケティング戦略に基づいたソフトウェア製品の企画・設計・開発を担う職種です。開発したソフトウェアの実効性・機能性・信頼性などの品質に責任を持つだけでなく、上位レベルの人材はビジネス戦略の立案やコンサルティング業務なども担当します。

ITSSにおける専門分野は「基本ソフト」「ミドルソフト」「応用ソフト」の3種類に分類され、それぞれの領域で企業のマーケティング戦略を支えるソフトウェア製品を開発していきます。

職種9:カスタマーサービス

カスタマーサービスは、ハードウェア・ソフトウェアの修理や保守を中心としつつ、顧客のITシステム基盤に関するあらゆる管理やサポートを行う職種です。具体的には、ITインフラの設計・構築・導入・運用・保守・修理といった幅広い業務を担い、導入後のITサービスに関するトラブルシューティングやメンテナンスなどにも対応します。

ITSSにおける専門分野は、「ハードウェア」「ソフトウェア」「ファシリティマネジメント」の3つに分類され、それぞれの分野における専門知識を活用し、顧客の環境に適した機器やソフトウェアの導入・カスタマイズ・保守を行うことで、システムの品質と稼働性を維持します。顧客のITに関するあらゆる課題に対し、最適な解決策を提供して満足度向上を図ることが、カスタマーサービスの大きな役割となります。

職種10:ITサービスマネジメント

ITサービスマネジメントは、ITサービス全体を統括し、システムの安定稼動やサービスレベルの維持・向上を目指す職種です。具体的には、システム運用関連技術を活用してサービスレベルを設計し、稼動状況を継続的に情報収集・分析しながら、運用の適正化やリスク管理を行います。システム基盤の管理を含む運用管理も担当します。

ITSSにおける専門分野は、「運用管理」「システム管理」「オペレーション」「サービスデスク」の4つに分類されており、それぞれが連携することでシステム全体の円滑な稼動を支える職種です。

職種11:エデュケーション

エデュケーションは、IT人材を育成する職種として、高度な専門技術や経験を活かし、研修カリキュラムの設計・運用・評価などを幅広く担います。具体的には、ユーザーのスキル開発要件を踏まえた研修プログラムの企画からカリキュラムの作成、研修の実施、参加者の学習成果の評価に至るまで、一連のプロセスを総合的にマネジメントします。

ITSSにおける専門分野は、研修カリキュラムを立案する「研修企画」と研修を運営し受講者を指導・評価する「インストラクション」の2つに分類され、IT技術者の育成やスキル向上を支援し、企業や社会のIT人材需要に応えていくことがエデュケーションの重要な役割となります。

ITSSのキャリアフレームワーク

ITSSキャリアフレームワーク

ITSSでは、これまで解説してきた7つのスキルレベルと11の職種・35の専門領域を対応させたものをキャリアフレームワークとして提供しています。

ITSSのキャリアパス

キャリアフレームワークを基に、キャリアパスを描くことが可能です。例えば、プロジェクマネジメントの職種につくためには、以下の選択肢が考えられます。

ITSSキャリアパス具体例(プロジェクトマネジメント)
出典:IPA独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 1部:概要編 」より
  • レベル3の段階ですぐにプロジェクトマネジメントになる
  • レベル5までアプリケーションスペシャリストやITスペシャリストとしてキャリアを積んでから、プロジェクトマネジメントになる
  • レベル4〜5のコンサルタントやITアーキテクトとしてキャリアを積んだ上でプロジェクトマネジメントになる

なお、この図では、表現が複雑になりすぎないために、職種転換の前後でレベルに変化をさせていません。しかし、実際には、転換後の職種では経験不足を理由にレベルが下がることが一般的です。職種転換で同じレベルを維持するには教育・訓練が改めて必要となることに注意しましょう。

キャリアフレームワークの「空白のレベル」に注意

キャリアフレームワークでは、職種や専門分野によって下位レベルや上位レベルが空白となっている箇所があります。

例えば、コンサルタントではレベル4~7が設定されており、下位レベルの1~3が空白です。一方、ITスペシャリストでは、レベル1~6までしか設定されておらず、上位のレベル7が空白となっています。

「コンサルタントの方がITスペシャリストより価値がある」「役職として上である」という考えてしまうかもしれませんが、そのような意味ではありません。コンサルタントとITスペシャリストではそもそも求められる役割が異なり、それぞれの職種で活躍するために必要なレベルが設定されているだけなのです。

また、キャリアフレームワークでは、人事制度における「役職」を示しているわけではないことに注意しましょう。


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ITSSと情報処理技術者試験の各種資格

IPA独立行政法人情報処理推進機構が主催する「情報処理技術者試験」は、ITスキル標準(ITSS)に対応した試験です。ITSSのレベルと、それに対応する試験について解説していきます。

ITSSレベル1相当:ITパスポート試験

情報処理技術者試験のうち、ITSSレベル1に相当する最も簡単で入門レベルの資格が「ITパスポート試験」です。

「情報処理の促進に関する法律」に基づいて経済産業大臣が実施する国家試験で、業種・職種を問わず、業務で必要となる基本的なIT知識を有していることを証明するための試験となっています。ITパスポートには、テクノロジ系(IT技術)、マネジメント系(IT管理)、ストラテジ系(経営全般)の3つの分野が設定されています。

【試験概要】
・試験時間:120分
・出題形式:多肢選択式(四肢択一)
・出題数:100問(小問形式)

ITSSレベル2相当:基本情報技術者試験(FE)

ITSSレベル2に相当する資格が「基本情報技術者試験(FE)」で、「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」が対象となる資格です。「ITエンジニアの登竜門」とも呼ばれる資格で、学習をとおしてITに関する基礎知識を固めることができます。

試験内容は、ITを活用したサービス、製品、システム、および、ソフトウェアの作成に必要な基本的知識・技能、実践的な活用能力に関するものとなっており、実践経験のある技術者向けの資格ですが、実務経験が必要ではありません。

基本情報技術者試験は、主に知識面が問われる「科目A」とアルゴリズムとセキュリティについての事例をもとに出題される「科目B」の2科目設定されています。
それぞれの試験概要は以下のようになります。
科目A
試験時間:90分
出題形式:多肢選択式(四肢択一)
出題数:60問
科目B
試験時間:100分
出題形式:多肢選択式
出題数:20問

ITSSレベル3相当:応用情報技術者試験(AP)

ITSSレベル3相当する資格が「応用情報技術者試験(AP)」で、基本情報技術者試験の上位試験でもあります。より高度なスキルを保有していることが必要とされており、IT人材としての経験が数年の方が受験することが一般的です。

経験と知識を保有している証明としての資格試験ですが、一方で受験資格に実務経験が必要とされている訳ではありません。IT技術に加え、マネジメント能力や戦略立案など、幅広い分野の知識と応用力が問われます。

【試験概要】
午前
試験時間:150分
出題形式:多肢選択式(四肢択一)
出題数:80問

午後
試験時間:150分
出題形式:記述式
出題数:11問

ITSSレベル4以上に相当するその他の試験

ITSSレベル4以上に相当する高度試験として以下の7つの試験があります。

  • ITストラテジスト試験
  • システムアーキテクト試験
  • プロジェクトマネージャ試験
  • ネットワークスペシャリスト試験
  • データベーススペシャリスト試験
  • 情報セキュリティスペシャリスト試験
  • ITサービスマネージャ試験

これらの試験に合格するとITSSレベル4に認定されます。ITSSレベル4は、専門分野においてプロフェッショナルとしてのスキルが確立され、自らのスキルを活用して業務上の課題を独力で発見し解決できる能力を示します。

ITSSレベル1から3までは知識の習得状況の確認が優先されますが、レベル4より実務能力が見られるようになります。

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ITSS+(プラス)とは?

ITSS+(ITスキル標準プラス)は、第4次産業革命に向けて必要とされるIT人材の育成を目的とし、経済産業省によって策定された新たなスキル標準です。すでにITエンジニアとして活躍している人材にとって、既存のスキルの強化・学び直しのための指針となります。

ITSS+で新設された領域

ITSS+では、ITSSの領域に加えて、新たに必要となる4つのスキル領域を策定しています。

  • データサイエンス領域:データ分析やAI・機械学習を活用したビジネスインサイトの提供能力のスキル領域
  • アジャイル領域:柔軟かつ効率的にプロジェクトを進行させるためのアジャイル開発に関するスキル領域
  • IoTソリューション領域:IoTシステムの設計・実装に関するスキル領域
  • セキュリティ領域:情報システムの保護とリスク管理に関するスキル領域

ITSSを組織で運用する際のポイント

ここまで、ITSSの概要についてご紹介してきました。ここからは、ITSSを組織で効果的に運用していくためのポイントについて解説していきます。

ポイント1:導入する目的を明確にする

ITSS活用の目的は企業によって様々あると思います。しかし、多くの企業で共通する目的は、ITSSの目的でもある「IT人材の育成」だと思います。人材育成を促進させることで、組織全体の生産性を上げ、組織を成長させる(≒売上を上げる)ことが目的でしょう。

特に、IT業界を含めたエンジニアの採用難易度・コスト共に非常に高くなっているため、今組織にいる人材をいかに成長させるかが、組織の生死を分けると言っても過言ではありません。

そのため、ITSSを使用して組織内のITスキルを可視化し、不足している部分を育成させるなどの経営戦略を実現させるための人材育成戦略を立てる必要があります。

ポイント2:経営・人事と現場従業員が一緒にプロジェクトを進める

ITSSを導入する際は、社内プロジェクト化して経営・人事と現場従業員とが一緒になって進めることが理想です。あらゆる人事施策に共通することですが、現場の理解を得られない人事施策は形骸化してしまいます。

そのため、トップダウンで行うことも可能ではありますが、運用主体である現場社員を含めた部署横断的なプロジェクトとして、ITSSの導入を進めていくことをおすすめします。

このように、導入時より施策への納得感を高めることで、組織に定着しやすくなり、成果が出やすくなります。


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ポイント3:継続的に運用し、修正する

ITSSを継続的に運用し続け、組織の状態に合ったスキルマップを構築していくこともポイントです。ITSSを提供しているIPAも、あくまでITSSは全組織共通のものさしであり、ビジネス戦略に基づき企業それぞれのスキルを設定していく必要があるとしています。

そのため、急速に変化する環境に対応するため、運用しながら、適宜会社にあった形に修正していく必要があります。

ITSSを活用した効果的な人材育成

ITSSの利用目的は人材の育成です。ここからはITSSを使ってどのように育成できるのかについて解説していきます。

1. 経営戦略に基づいた人材戦略を策定する

ITSSを活用することで、経営戦略に基づいた人材戦略を策定することができます。

具体的には、ITSSを用いて、組織のスキル状況を可視化することで、経営戦略を実現するために不足している部分を明確にすることができます。そして、その不足分をどのようにして育成していくのか、または、採用で補うのかなどの対策を考案することができるようになります。

このように、ITSSによって組織の現状や特徴を把握することができ、今後の人材戦略の方向性や取り組みを明らかにすることができます。

2. 研修ロードマップを活用して計画的に育成を行う

ITSS研修ロードマップ体系図
出典:IPA独立行政法人情報処理推進機構「研修ロードマップの構成」より

ITSSでは、職種や専門分野ごとに必要とされるスキル・知識項目が整理されており、そのスキル・知識を効率的に習得していくための「研修ロードマップ」も作成されています。

この研修ロードマップを参考に、社内のIT人材の育成計画を立てることが可能になります。

ITSSのスキルマップとしての致命的な問題点

ITSSはどの会社でも使える汎用的なスキルマップとして知られていますが、実はスキルマップとして致命的な問題点を抱えています。

その致命的な問題点とは、「スキルを獲得するためのトレーニング方法がわからない」ということです。スキルを向上させていくためには、どのようにすればスキルを獲得できるのかのプロセスが最も重要なはずです。

しかし、ITSSを含め多くのスキルマップでは、そのプロセスが欠如しているがため、スキルマップを導入しても人材育成が促進されないようになっています。

また、スキルレベルの評価基準に関しても、抽象的で人によってバラバラになってしまいますので、本来の力量を示しているかには疑問が残ります。スキルを持っていると思いアサインしても期待よりも能力を発揮できなかったということは経験したことがあるでしょう。

このように、ITSSは現場メンバーが運用するには難しいものとなり、形骸化リスクが非常に高いです。

上記の問題点を解決したスキルマップがコチームの「スキルプロセスマップ」

一般的なスキルマップとコチームのスキルプロセスマップの違い

このように、一般的に使われているスキルマップには、多くの課題を持っています。このようなスキルマップを運用してしまい「スキルマップを運用する意味がない」と感じてしまう方も少なくありません。

しかし、本来正しく設計したスキルマップであるならば、効果が出ることは間違いありません。そのため、人材育成を主たる事業としている我々コチームは、一般的なスキルマップの課題点を解決した本当に効果が出るスキルマップである『スキルプロセスマップ』を開発しました。

私たちコチームの『スキルプロセスマップ』は成果を出すスキルを最短距離で身につけるをコンセプトにしているため、組織の成長に直結するスキルマップをご提供しています。

IT業界・エンジニア向けのテンプレートも配布しておりますので、ぜひ一度下記リンクより無料の解説資料をダウンロードいただけますと幸いです。

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まとめ

本記事は、IT業界でよく知られているスキル標準であるITSSについての概要と活用方法、課題点について解説しました。

ITSSはあくまでも標準的に定められた指標であり、必ずしも全ての企業の状況に合致するものではありません。導入を検討する際には、経営戦略や人材戦略を鑑みて仕組みを整備し、計画的な運用を行っていきましょう。

また、人材育成を促進されたい方はコチームの「スキルプロセスマップ」が必ずお役に立ちすると思っていますので、ぜひ解説資料をご覧いただけますと幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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