営業効率化とは、限られた人数・時間・予算で売上を最大化するための取り組みです。
本記事では、営業が非効率になる原因から、課題別の具体的な解決策15選、おすすめツール7選、成功事例まで徹底解説します。
商談に集中できる時間がない、属人化でノウハウが共有されないといった課題を抱える営業組織の方に向けて、すぐに実践できる方法をまとめました。
▼ この記事の内容
- 営業効率化の核心: 営業担当者が「売る活動」に割けている時間は全体の約28%に過ぎません。残りの7割を占める事務作業や移動時間をいかに削減し、商談の「質」と「量」に転換するかが成功の鍵です。
- 課題別の解決策: 属人化には「プロセスの標準化」、事務負担には「生成AIとテンプレート」、移動コストには「オンライン商談」といったように、自社のボトルネックに合わせた施策を選定することが重要です。
- 定着のステップ: いきなり全社導入せず、まずは特定のチームで「小さく検証」し、具体的な成功数字(商談数〇%増など)を持って全社へ横展開するのが失敗しない鉄則です。
目次
営業効率化とは
営業効率化とは、商談や提案といった売上につながる仕事に集中できる環境を整えることです。単に仕事を速くこなすことではなく、ムダな業務を減らしてコア業務に時間を振り向けることが本質です。
営業効率化の定義と目的
営業効率化とは、営業担当者が売上に直結する仕事に集中できるよう、ムダな業務を減らしてプロセスを整えることです。
例えば、報告書作成に毎日1時間かかっている場合、テンプレート化で15分に短縮できれば、月間で約15時間を商談準備や新規顧客へのアプローチに回せます。
営業効率化の目的は主に成果の最大化と負担の軽減の2つです。日本商工会議所の調査では、中小企業の6割超(63.0%)が人手不足と回答しており、今いるメンバーで成果を最大化する重要性は年々高まっています。
(参考)日本商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(2024年)
業務改善・生産性向上との違い
営業効率化は、業務改善や生産性向上の手法を営業部門に特化して適用したものです。
業務改善は経費精算の電子化など全部門が対象、生産性向上は1人あたり売上高など全社指標です。一方、営業効率化は商談数・成約率・受注金額を高めることに焦点を当てています。
営業部門で成果を出すには、どの活動が売上につながるかを見極め、そこに時間を集中させる視点が欠かせません。
営業効率化が求められる背景
営業効率化が必須となった理由は、企業を取り巻く環境が大きく変化しているからです。
背景には3つの変化があります。労働人口の減少では、生産年齢人口が2040年までに約1,400万人減少すると予測されています。顧客の購買行動の変化では、顧客が営業と会う前に情報収集を済ませるケースが増加しました。働き方改革・DX推進では、限られた時間で成果を出す仕組みづくりが経営課題となっています。
人を増やして売上を伸ばす戦略は難しくなりつつあり、やり方そのものを見直す必要が出てきています。
営業効率化のメリット
営業効率化に取り組むと、以下の4つのメリットが得られます。
- 売上・成約率の向上
- 営業担当者の負担軽減
- 属人化の解消
- 顧客満足度の向上
売上・成約率の向上
営業効率化の最も直接的なメリットは、売上と成約率の向上です。
事務作業を自動化すれば商談件数が増加し、SFA・CRMを活用すれば成約率が向上します。AnswerIQの調査では、CRM導入企業の29%が売上増加を実感したと報告されています。
例えば不動産営業の場合、物件資料の準備時間を短縮することで1日の案内件数を増やせる可能性があります。SaaS営業であれば、CRMで顧客の検討状況を把握することで提案精度が上がり、成約率の改善につながります。
営業担当者の負担軽減
効率化によって事務作業を自動化すれば、担当者は余裕を持って商談に取り組めます。
例えば、報告書作成をテンプレート化で1時間から10分に短縮し、日程調整ツールで候補日の提示を自動化すれば、月に数時間の余裕が生まれます。この余裕が顧客対応の質向上につながり、成約率アップという好循環を生み出します。
負担軽減は離職率の低下にもつながり、採用・育成コストの削減という副次的効果も期待できます。
属人化の解消
顧客情報と商談履歴を一元管理すれば、特定の担当者に依存しない体制を実現できます。
「あの案件はAさんしか分からない」という状態は、担当者不在時の対応や引き継ぎに支障をきたします。システムに情報が蓄積されていれば、これまで2週間かかっていた引き継ぎを数日で完了することも可能です。
新人の早期戦力化にも貢献し、人員の増減に左右されにくい営業チームを構築できます。
顧客満足度の向上
担当者が事務作業から解放されれば、顧客のための準備に時間を使えます。
十分な準備時間があれば的確な提案ができ、情報が一元管理されていれば担当者が変わっても一貫した対応が可能です。顧客は毎回同じ説明をしなくて済み、安心感につながります。
例えば人材紹介業の場合、候補者情報が共有されていれば、担当が変わっても過去の面談内容を踏まえたフォローができます。
営業が非効率になる原因
営業が非効率になる原因は主に3つあります。これらの原因を特定しないまま施策を導入しても、効果は限定的です。
- 目的やプロセスが不明確
- 情報共有ができていない
- 事務作業や移動に時間を取られている
目的やプロセスが不明確
営業活動の目的やプロセスが不明確だと、担当者ごとにやり方がバラバラになり成果にムラが生じやすくなります。
訪問件数を増やす、電話をかけるといった手段が目的化し、成約に結びつかない活動に時間を費やしてしまうケースもあります。KPIが設定されていないと、振り返りがしにくく改善点も見えづらくなります。
解決策としては、リード100件→商談30件→提案20件→成約10件のように各段階の目標を明確にする方法があります。
情報共有ができていない
顧客情報が個人のメモや頭の中に留まっていると、組織としての営業力は向上しにくくなります。
担当者不在時に適切な対応ができない、引き継ぎに時間がかかる、同じ顧客に複数担当者が別々に連絡してしまうといった問題が起きやすくなります。
CRMやSFAの導入が解決策のひとつですが、まずはスプレッドシートや共有フォルダでの管理から始めることもできます。
事務作業や移動に時間を取られている
Salesforceの調査によると、営業担当者が売る活動に費やす時間は全体の約28%に過ぎません。
残りの時間は案件管理やデータ入力、会議、移動などに消費されています。売上に直結する活動に使える時間は全体の3割程度しかありません。
例えば1日8時間勤務の場合、商談や提案に使える時間は約2時間程度ということになります。こうしたノンコア業務の比率が高い状態は、効率化によって最も改善効果が見込める領域です。
営業効率化の進め方4ステップ
営業効率化を成功させるには、現状把握、優先順位付け、小さく検証、定着という4ステップを踏むことが重要です。
- 現場の課題を把握する
- 優先順位をつけて施策を選ぶ
- 小さく初めて効果を検証する
- 効果測定とヒアリングで定着させる
現状の課題を把握する
効率化の第一歩は、自社の営業活動における課題を把握することです。
まず時間配分を可視化して商談・移動・事務作業の比率を確認し、転換率を分析してボトルネックがどこにあるかを探ります。加えて、現場へのヒアリングも有効です。
報告書作成に時間がかかる、同じ質問を何度も受けるといった声は、データ分析だけでは見えにくいことがあります。
優先順位をつけて施策を選ぶ
効果が大きく、すぐに着手でき、コストが低い施策から優先的に取り組むのが基本です。
判断基準は効果の大きさ・実現の容易さ・コストの3つです。すべての課題を一度に解決しようとすると、現場が混乱しどの施策も中途半端になります。
まずは1〜2つの施策に集中し、成果を出してから次に進むことで組織のモチベーションも維持できます。
小さく始めて効果を検証する
選定した施策は、いきなり全社展開せず特定のチームで試験的に導入するのがおすすめです。
例えば新規開拓チーム3名で1か月間トライアルを行い、商談件数や成約率の変化を測定します。パイロットチームで効果が確認できれば、全社展開時の説得材料になります。
効果が出なければ全社展開前に軌道修正でき、失敗リスクを最小限に抑えられます。
効果測定とヒアリングで定着させる
全社展開後も、定期的な効果測定と現場ヒアリングの継続が定着のポイントです。
入力項目が多すぎて面倒、操作方法がわかりにくいといった不満があれば、次第に使われなくなります。現場の意見を反映して運用を改善し、便利だから使う状態を目指していきます。
成功事例は具体的な数字とともに社内共有し、横展開を促進します。
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営業を効率化する方法15選【課題別】
営業効率化は、自社の課題に合った施策を選ぶことが重要です。ここでは5つの課題別に具体的な効率化手法を15個紹介します。
| 課題 | 効率化手法 |
| 属人化を解消したいとき | プロセスの標準化とマニュアル整備 |
| 顧客情報・商談履歴の一元管理 | |
| ナレッジの蓄積と共有 | |
| 事務作業・準備に時間がかかるとき | 提案資料・見積書のテンプレート化 |
| 事務作業・データ入力の自動化 | |
| 生成AIを活用した情報収集・資料作成の効率化 | |
| 移動・訪問に時間を取られているとき | Web会議・オンライン商談の活用 |
| 訪問ルートの最適化 | |
| 移動中の隙間時間の有効活用 | |
| 見込み顧客へのアプローチが非効率なとき | 見込み顧客の優先順位付け |
| リードナーチャリングの仕組み化 | |
| インサイドセールスの導入 | |
| 組織全体の営業力を底上げしたいとき | 営業プロセスの可視化と分析 |
| 営業スキル育成の仕組み化 | |
| ノンコア業務のアウトソーシング |
属人化を解消したいとき
特定の担当者に依存した営業スタイルは、組織の成長を妨げる大きな要因です。誰が担当しても一定の成果を出せる体制を構築する3つの方法を紹介します。
プロセスの標準化とマニュアル整備
営業活動を段階ごとに分解し、各段階で実施すべきアクションを明文化すれば、経験の浅い担当者でも一定水準の営業が可能になります。
| プロセス段階 | 定義すべきアクション | 作成すべき資料 |
| 初回接触 | 電話・メールの内容、タイミング、回数 | トークスクリプト |
| ヒアリング | 確認すべき項目、質問の順序 | ヒアリングシート |
| 提案 | 提案資料の構成、説明の流れ | 提案資料テンプレート |
| クロージング | 見積り提示のタイミング、交渉のポイント | 想定Q&A集 |
| フォロー | 連絡頻度、提供する情報 | フォローメールテンプレート |
製造業なら技術的な質問への回答集、IT企業なら機能説明のスクリプトなど、業種に応じた資料を整備します。商品説明のトークスクリプトがあれば、新人でも入社1か月目から一定品質の説明ができるようになります。
顧客情報・商談履歴の一元管理
顧客情報をチーム全員がアクセスできるシステムで一元管理すれば、担当者不在時も適切に対応でき引き継ぎも円滑になります。
一元管理すべき情報は以下の通りです。
- 基本情報:会社名、担当者名、連絡先、役職、決裁権限
- 商談履歴:いつ、誰が、どんな内容の商談をしたか
- 提案内容:提出した提案資料、見積書、その反応
- ニーズ・課題:顧客が抱えている問題、検討の背景
例えば広告代理店の場合、過去のキャンペーン実績や顧客の好みが共有されていれば、担当変更時もスムーズに提案を継続できます。ツール導入が難しい場合は、まずスプレッドシートでの管理から始めてみてください。
ナレッジの蓄積と共有
成功した提案のポイント、反論への切り返し方、失注原因などを組織の資産として蓄積・共有します。
- 週次ミーティング:成功・失敗事例を持ち回りで発表し、リアルタイムで学びを共有
- 社内Wiki:成功パターン、FAQ、反論対応集を文書化し、いつでも参照できる知識ベースに
- 商談録画:優秀な担当者の商談を教材として共有し、具体的な話し方を学べる環境を整備
例えば人材紹介業の場合、よくある求職者の質問とベストな回答例を共有しておけば、新人でも的確な対応ができるようになります。週1回5分間だけ成功事例を共有するといった小さな取り組みから始めるのも有効です。
事務作業・準備に時間がかかるとき
報告書・見積書作成などの事務作業は、積み重なると膨大な時間を消費します。コア業務に集中できる時間を確保する3つの方法を解説します。
提案資料・見積書のテンプレート化
業種・規模・ニーズ別に複数のテンプレートを用意し、必要な部分だけカスタマイズする運用に切り替えます。
提案資料には自社紹介、サービス概要、導入事例、価格体系をあらかじめ組み込み、顧客名と課題に応じた内容だけを追加します。見積書には単価マスタと計算式を設定し、品目と数量だけを入力します。
例えばWeb制作会社の場合、サイト規模別のテンプレートを3パターン用意しておけば、提案資料作成時間を大幅に短縮できます。もし現在2時間かけている場合、30分程度まで短縮することも可能です。
事務作業・データ入力の自動化
定型的な事務作業は、自動化によって大幅に効率化できます。
例えばSFA入力内容を自動で日報形式に変換する、送信元や件名でメールをフォルダに自動分類する、売上データを自動でグラフ化するといった仕組みが考えられます。コンサルティング会社の場合、商談後のSFA入力が自動で週報に反映される仕組みを作れば、週報作成の時間をゼロにできます。小さな自動化を積み重ねることで、週に3〜5時間の時間を創出できます。
生成AIを活用した情報収集・資料作成の効率化
生成AIを活用すれば、調べる、まとめる、書く作業を大幅に短縮できます。
| 業務 | AIの活用方法 | 時間短縮効果 |
| 業界・競合リサーチ | 業界動向や競合情報を要約 | 1〜2時間 → 15分 |
| 提案資料の下書き | 構成案や文章を生成 | 2時間 → 30分 |
| 議事録作成 | 録音から要点を抽出・要約 | 30分 → 5分 |
| メール文面作成 | 状況に応じた文面を生成 | 15分 → 3分 |
例えば金融業界の営業の場合、顧客企業の決算情報をAIで要約しておけば、商談前の準備時間を短縮できます。ただしAI生成情報には誤りが含まれる可能性があるため、必ず人の目で確認してから使用してください。
移動・訪問に時間を取られているとき
遠方への訪問や1日複数の商談移動は、営業活動における大きな時間ロスです。移動時間を削減する3つのアプローチを紹介します。
Web会議・オンライン商談の活用
対面でなくても成立する商談は、オンラインに切り替えることで移動時間を削減できます。
ポイントは、対面とオンラインの使い分けを「慣習」ではなく「目的」で判断することです。初回だから対面、と決めつけるのではなく、顧客側がオンラインを希望するケースも増えています。逆に、契約直前の重要な交渉や、複数の意思決定者が同席する場面では対面が効果的な場合もあります。
オンライン商談ならではの強みもあります。画面共有で資料の細部まで見せられる、録画して社内共有や振り返りに活用できる、移動の負担がないため顧客側も日程調整しやすいといった点です。「対面の代替」ではなく「オンラインの方が適している場面」を見極めることで、商談の質と量を両立できます。
訪問ルートの最適化
複数顧客を1日で訪問する場合、ルート最適化で移動時間を短縮できます。
基本的な工夫として、地図アプリで訪問順序を事前に計画する、同じエリアの顧客をまとめてアポイントを設定する、電話やメールで済む用件は訪問しないといった方法があります。
さらに一歩進めるなら、「訪問の必要性」自体を定期的に見直すことも有効です。定期訪問が形骸化していないか、顧客は本当に訪問を望んでいるか、オンラインや電話で十分な関係性を維持できないかを検討してみてください。訪問件数を減らすことに抵抗があるかもしれませんが、顧客にとって価値のある訪問に絞ることで、1件あたりの商談の質が上がることもあります。
移動中の隙間時間の有効活用
移動時間をゼロにできない場合は、「移動中にやること」と「オフィスでしかやらないこと」を明確に分けておくと効率が上がります。メール返信や顧客情報の確認は移動中に済ませ、オフィスでは集中が必要な提案資料作成に専念するといった切り分けが有効です。
移動時間を有効活用するには、適切なツールの準備もポイントです。音声入力アプリを使えば電車内でもメール作成ができ、オフライン対応のSFAアプリなら地下鉄でも顧客情報を確認できます。NotionやEvernote(後半で紹介)で商談メモをクラウド保存しておけば、移動中に次の商談準備も可能です。
たとえば出張が多い営業の場合、新幹線での移動時間を顧客情報の整理や次回商談のシナリオ検討に充てれば、オフィスに戻ってからすぐに資料作成に取りかかれます。移動時間を「準備の時間」と位置づけることで、1日の業務全体の流れがスムーズになります。
見込み顧客へのアプローチが非効率なとき
見込み顧客へのアプローチが場当たり的だと、成約確度の低い相手に時間を費やし本来優先すべき顧客を逃してしまいます。3つの方法を解説します。
見込み顧客の優先順位付け
すべての見込み顧客に同じ労力をかけるのは非効率です。成約確度や案件規模に応じて優先順位をつけていきます。
- 企業規模:大型案件が期待できる企業を高優先
- 問い合わせ内容:具体的な課題が明確な場合を高優先
- Webサイト閲覧履歴:価格ページを何度も閲覧している場合を高優先
- 決裁権限:決裁者本人または近い立場を高優先
例えばBtoB営業の場合、問い合わせ時に予算と導入時期を確認し、条件が明確な顧客を優先してフォローすることで、限られた時間で成約率を高められます。
リードナーチャリングの仕組み化
リードナーチャリングとは、購買意欲が十分に高まっていない見込み顧客を継続的に育成する活動です。
流れは以下の5ステップです。
- 行動の追跡:Webサイト閲覧や資料ダウンロードを記録
- スコアリング:行動に応じてポイントを付与
- 自動メール配信:興味関心に合わせたコンテンツを配信
- タイミング把握:スコアが一定以上で商談タイミングと判断
- 営業へ引き継ぎ:購買意欲が高まった顧客を引き継ぐ
例えばSaaS企業の場合、資料ダウンロード後に自動でステップメールを配信し、価格ページを閲覧したタイミングで営業がフォローすることで、効率的にホットリードを獲得できます。
インサイドセールスの導入
インサイドセールスとは、社内にいながら電話やメールで顧客にアプローチする営業手法です。
インサイドセールスは初期対応、ヒアリング、アポイント獲得を担当し、1日に多くの顧客に接触できる強みがあります。一方、フィールドセールスは対面商談、提案、クロージングを担当し、信頼関係構築や複雑な交渉に強みを発揮します。
例えばインサイドセールスが1日20件の架電でアポイントを獲得し、フィールドセールスが商談に集中する体制にすれば、営業効率を大幅に向上できます。
組織全体の営業力を底上げしたいとき
個々の施策を実行しても、組織全体の仕組みが整っていなければ効果は限定的です。チーム全体の営業力を向上させる3つの方法を紹介します。
営業プロセスの可視化と分析
営業活動の各プロセスにおける件数や転換率をリアルタイムで可視化し、データに基づいた分析を行います。
- リード獲得:獲得数とチャネル別内訳
- 商談化:商談化率とリードから商談までの日数
- 提案:提案件数と提案までの日数
- 成約:成約率、成約金額、失注理由
例えば商談数は多いのに成約率が低いとわかれば、提案内容やクロージングスキルに課題があると推測できます。SFAのダッシュボードで可視化すれば、問題を早期発見して対策を打てます。
営業スキル育成の仕組み化
背中を見て学ぶOJTだけでは、成長スピードにばらつきが出ます。体系的な育成の仕組みを構築していきます。
- スキルの体系化:ヒアリング力、提案力、クロージング力をレベル別に定義
- 研修プログラム:スキルレベルに応じた研修を定期実施
- ロールプレイング:模擬商談でスキルを磨く機会を設ける
- 商談録画活用:優秀な担当者の商談を教材として共有
- 1on1ミーティング:個別にフィードバックを行い課題を明確化
例えば通信業界の営業の場合、商品説明のロールプレイングを週1回実施することで、新人の独り立ちまでの期間を短縮できます。
ノンコア業務のアウトソーシング
営業担当者が本来の役割に集中できるよう、ノンコア業務を外部に委託することも有効です。
| 業務 | 委託先の例 | メリット |
| 見込み顧客リストの作成 | BPO企業、フリーランス | 大量リストを短期間で作成 |
| アポイント取得 | テレマーケティング会社 | 専門オペレーターが効率的に実施 |
| データ入力・名刺デジタル化 | クラウドソーシング | 単純作業を低コストで外注 |
| 資料デザイン | フリーランスデザイナー | 高品質な資料を迅速に作成 |
例えば展示会後の名刺入力を外注すれば、営業担当者は翌日からフォローコールに集中できます。
営業効率化に役立つツール7選
営業効率化を推進する上で、ツールの活用は不可欠です。ここでは多くの企業で導入されている代表的なツールを7つ紹介します。
SFA(営業支援システム)
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動を支援し効率化するシステムです。営業の見える化を実現するツールと考えるとわかりやすいでしょう。
案件管理、活動管理、日報機能、売上予測、ダッシュボードといった機能を備え、営業プロセス全体を可視化できます。マネージャーは担当者ごとの活動状況をリアルタイムで把握し、適切なタイミングで指示やサポートを行えます。
【主な機能】
案件管理、活動管理、日報機能、売上予測、レポート・ダッシュボード
【代表的なツール】
Salesforce、kintone、Mazrica Sales
CRM(顧客管理システム)
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係性を管理・強化するシステムです。顧客を深く理解するためのデータベースと考えるとわかりやすいでしょう。
顧客の基本情報、購買履歴、問い合わせ履歴、コミュニケーション履歴などを一元管理できます。SFAが営業活動の管理に重点を置くのに対し、CRMは顧客との関係構築に焦点を当てています。
【主な機能】
顧客情報管理、購買履歴管理、問い合わせ履歴管理、コミュニケーション履歴管理
【代表的なツール】
Salesforce、HubSpot CRM、Zoho CRM
MA(マーケティングオートメーション)
MA(Marketing Automation)は、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。見込み顧客を育てて営業に引き継ぐリードナーチャリングを自動化できます。
行動追跡、スコアリング、自動メール配信、セグメント、営業連携といった機能を備えています。まだ商談に至らないリードを放置せず、自動で関係を維持しながら育成できます。
【主な機能】
行動追跡、スコアリング、自動メール配信、セグメント、営業連携
【代表的なツール】
SATORI、HubSpot、Marketo
名刺管理ツール
展示会や商談で交換した名刺を、スマートフォンで撮影するだけでデジタル化しデータベースとして管理できるツールです。紙の名刺を手入力する手間がなくなり、社内で名刺情報を共有できます。
この企業の担当者と過去に誰が接点を持っていたかを検索できるため、アプローチの重複を防ぎ人脈を組織の資産として活用できます。
【主な機能】
OCR読み取り、データベース化、社内共有、重複検知、人脈マップ
【代表的なツール】
Sansan、Eight、myBridge
営業リスト作成ツール
新規開拓のためのターゲットリストを効率的に作成できるツールです。手作業で企業を調べてリストを作成する時間を大幅に削減でき、営業担当者はアプローチに集中できます。
例えばリスト作成に毎回半日かかっている場合、ツールを使えば数分で完了します。月に4回リストを作成するなら、月間16時間の削減になります。
【主な機能】
企業データベース、条件検索、連絡先情報取得、自動リスト生成、SFA/CRM連携
【代表的なツール】
FORCAS、Musubu、Urizo、BtoB Lead
商談録画・分析ツール
Web会議での商談を録画し、後から振り返りや分析ができるツールです。録画データをもとに商談の改善点を特定したり、優秀な担当者の商談を教材として活用できます。
AIによる自動文字起こしや要約機能を備えたツールもあり、議事録作成の手間を削減できます。
【主な機能】
自動録画、文字起こし、要約機能、キーワード検索、話者分析、共有機能
【代表的なツール】
amptalk、JamRoll、MiiTel
日程調整ツール
顧客とのアポイント調整を効率化するツールです。自分の空き時間を公開し、相手に希望日時を選んでもらう形式で、メールでの日程調整のやりとりを大幅に削減できます。
従来は3〜5往復のメールが必要でしたが、日程調整ツールなら1回のやりとりで完了します。もし1回の日程調整に15分かけている場合、月20件のアポイントで約5時間の削減になります。
【主な機能】
空き時間の公開、カレンダー連携、自動確定メール送信、ダブルブッキング防止
【代表的なツール】
TimeRex、Spir、Calendly
営業効率化の成功事例
営業効率化の施策は、実際に多くの企業で成果を上げています。ここではツール導入や体制変更によって具体的な成果を上げた2社の事例を紹介します。
株式会社マーケティングデザイン
スポーツクラブ向けマーケティング支援を手がける株式会社マーケティングデザインは、Salesforce Sales Cloudの導入により営業効率化を実現しました。
導入前は顧客情報や商談履歴が個人管理で、情報共有に課題を抱えていました。導入後は営業プロセスの可視化と顧客情報の一元管理が進み、チーム全体での案件把握が可能になりました。
その結果、アポイント獲得からプレゼンへの移行率は2倍以上に向上、売上は前年比150%を達成しています。ポイントは個人プレーからチームプレーへの転換です。
(参考)Salesforce Sales Cloudの導入実績事例|PRONI
日本マイクロソフト
日本マイクロソフトは、インサイドセールス導入によって営業効率を大幅に向上させた代表的な事例です。
従来はフィールドセールスがすべての顧客対応を担当し、移動時間が多く対応顧客数に限界がありました。インサイドセールス部門を設置し、見込み顧客の初期対応と育成を分業化しました。
インサイドセールスが購買意欲の高まった段階でフィールドセールスに引き継ぐ体制により、フィールドセールスは成約確度の高い商談に集中でき、限られた人員で効率的に売上を伸ばすことに成功しています。
(参考)日本マイクロソフトとソフトブレーンの事例に学ぶインサイドセールスの効果|ITmediaマーケティング
営業効率化が進まないときの対処法
営業効率化が進まない場合は、現場を巻き込むことと段階的に進めることの2つを意識してみてください。施策が定着しないケースの多くは、現場の理解や運用方法に原因があります。
現場を巻き込む
効率化施策が進まない最大の原因は、現場の営業担当者がやらされていると感じていることです。
現場を巻き込むポイントは以下の通りです。
- 検討段階からの参加:施策を決める前に現場から課題や改善アイデアをヒアリング
- メリットの具体的な説明:この施策で仕事がどう楽になるかを数字や事例で伝える
- 早期の成功体験共有:小さな成果でも早めに共有しやればうまくいくという実感を持ってもらう
押し付けではなく一緒に作る姿勢が、施策定着の鍵です。
段階的に進める
複数の施策を同時に導入すると、現場が混乱しどれも中途半端になりがちです。
進め方のステップは以下の通りです。
- 最初の施策を選ぶ:インパクトが大きく取り組みやすい施策を1つ選定(1週間)
- パイロット導入:特定チームで試験的に導入(1〜2か月)
- 効果検証と改善:数値で効果確認し運用改善(2週間)
- 全社展開:成功事例をもとに他チームへ展開(1〜2か月)
小さな成功体験を積み重ねることで、次の施策への抵抗感も薄れます。1年後にすべて変わっているより毎月少しずつ良くなっている方が現実的です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. ツールを導入しても現場が使ってくれません。どうすれば?
A. 「入力の手間」以上の「現場のメリット」を提示しましょう。 「ツールに入れれば日報を書かなくていい」「会議の報告資料を自動で作れる」など、担当者の負担が具体的に減る仕組みをセットで作ることが定着のポイントです。
Q2. 営業活動の「標準化」をすると、個人の強みが消えませんか?
A. 「基礎の型」を揃えることで、むしろ強みが際立ちます。 誰でも一定の成果が出る「最低限の型」をマニュアル化することで、新人の立ち上がりを早めます。その上で、余った時間を個別の工夫や深い提案に充てられるようになり、組織全体のレベルが底上げされます。
Q3. オンライン商談と対面、どちらを優先すべき?
A. 「目的」と「検討フェーズ」で使い分けましょう。 初回ヒアリングや定例報告は「オンライン」で数をこなし、重要な役員プレゼンや契約締結は「対面」で信頼を築くなど、ハイブリッドな運用が最も効率的です。
Q4. 効率化で真っ先に着手すべきことは何ですか?
A. 「時間の使い方の可視化」です。 感覚ではなく、実際に1週間「何に何時間使ったか」を全メンバーで計測してみてください。最も時間を奪っているノンコア業務(例:リスト作成、移動)を特定することが、効果的な施策選びの第一歩になります。
Q5. 生成AIを営業でどう使うのが効果的ですか?
A. 「リサーチ」と「下書き」の自動化が最も即効性があります。 商談前の企業の決算資料の要約や、業界動向の抽出、メールの文案作成などに活用することで、1社あたりの準備時間を数十分単位で短縮できます。
まとめ
営業効率化とは、限られたリソースで最大の成果を出すために、営業活動の無駄を削減しコア業務に集中できる環境を整えることです。
効率化を成功させるポイントは、自社の課題を正しく把握し、優先順位をつけて段階的に取り組むことです。属人化の解消にはプロセス標準化と情報一元管理、事務作業の削減にはテンプレート化と自動化、移動時間の短縮にはオンライン商談の活用が有効です。
まずは現状分析から始め、最も効果が見込める1〜2つの施策に着手してみてください。今日からできる第一歩として、営業担当者の1日の時間の使い方を可視化することから始めてみてはいかがでしょうか。
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