営業マネージャーを育成するには?6つの手順と必須スキルを解説

営業マネージャーを育成するには、マネージャー候補者の意識を「自分で売る」から「チームで成果を出す」に変えることが大切です。しかし、プレイヤーとして優秀だった人材ほどこの転換に苦戦します。

この記事では、営業マネージャーの役割と必須スキル、育成の6ステップ、育成を定着させる仕組み、よくある課題への対処法を解説します。本記事を読めば、自社で営業マネージャーを育成するための具体的な道筋が見えてくるはずです。


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▼ この記事の内容

  • 育成の核心: 「自分で売る」から「チームで成果を出す」への意識転換が最重要です。プレイヤー時代の成功体験を手放させ、KPI管理や部下育成といった新たな役割を明確に伝えることがスタートラインになります。
  • 必須スキル: 目標設計やデータ分析に加え、1on1での「部下育成・コーチング」が求められます。感覚ではなく数値で判断し、メンバー個々の課題を早期発見・解決する力が組織全体の生産性を高めます。
  • 定着の仕組み: 座学だけでなく、小規模チームでの実践と振り返りを繰り返すことが効果的です。評価制度を「個人の売上」から「チームの成果」へシフトさせることで、マネージャーとしての行動変容を強力に後押しします。

営業マネージャーの役割とは

営業マネージャーの役割は、チーム全体で目標を達成することです。個人の数字ではなく、メンバー全員の成果を合計した「チームとしての目標達成」に責任を持ちます。

プレイヤー時代は「自分がどれだけ売れるか」だけを考えればよかったかもしれません。しかしマネージャーになると、自分以外のメンバーを動かして成果を出すという視点が求められます。

この違いを理解しないまま昇格すると、いつまでも自分で商談をこなそうとして部下育成がおろそかになりがちです。育成担当者は、昇格前の面談で「あなたの評価指標はこう変わる」とあらかじめ伝えておくなどして、認識のズレを防ぎましょう。

営業マネージャーに求められるスキル

営業マネージャーには、プレイヤー時代とは異なる多面的なスキルが求められます。特に以下の6つが重要なスキルです。

  • 目標設計・KPI管理
  • 部下育成・コーチング
  • データ分析・数値管理
  • 社内外コミュニケーション
  • 課題特定と問題解決
  • 営業戦略の立案

目標設計・KPI管理

営業マネージャーには、適切な目標設計とKPI管理のスキルが欠かせません。

売上目標だけを追いかけていると、結果が出てからしか問題に気づけないからです。KPIを設定しておけば、途中経過を確認しながら軌道修正ができます。

たとえば、月間売上目標1,000万円のチームで、月末に「800万円で未達」と気づいても手遅れです。しかし週次で商談数と成約率をモニタリングしていれば、2週目の時点で「商談数が目標の60%しかない」と把握でき、3週目からアプローチ数を増やすといった対策が打てます。

KPI項目意味計測頻度の目安
リード数見込み顧客として獲得した件数週次
商談化率リードから商談に進んだ割合週次
商談数実施した商談の件数週次
提案数見積もりや提案書を提出した件数週次
成約率商談から受注に至った割合月次
顧客単価1件あたりの受注金額月次
リードタイム商談開始から受注までの日数月次

商談数は多いのに成約率が低い場合は提案内容やクロージングスキルに課題があり、そもそも商談数が少なければリード獲得やアプローチ方法を見直す必要があります。

部下育成・コーチング

営業マネージャーには、メンバー1人ひとりの能力を引き上げる育成スキルが必要です。マネージャー1人で達成できる売上には限界がありますが、5人のメンバーが成長すればチーム全体のパフォーマンスは何倍にも向上します。

部下育成と進捗管理を両立させるために、マネージャーが日常的に実施したいことは以下の5つです。

  • 週次の1on1面談で各メンバーと15〜30分の個別対話を行い、悩みや課題を早期に把握する
  • SFAやCRMのデータを確認し、停滞案件や失注リスクの高い商談を特定する
  • 重要な商談に同席し、メンバーの営業スキルを直接観察して改善点をフィードバックする
  • ヒアリング力、提案力、クロージング力など個別スキルの習熟度を定期的に評価する
  • 受注した案件の勝因を分析し、チーム全体でノウハウを蓄積する

週次の1on1面談は、問題が大きくなる前に察知するためのセンサーとして機能します。多忙を理由に省略すると課題の発見が遅れ、結果として対処に余計な時間がかかります。毎週月曜の午前中など、固定の時間枠をカレンダーに確保しておくと継続しやすくなります。

データ分析・数値管理

営業マネージャーには、データに基づいた意思決定を行う能力が求められます。

勘や経験だけでは、具体的な改善策を打てないからです。「なんとなくうまくいっていない」という感覚だけでは原因が特定できません。しかし「初回商談から提案までの移行率が40%と低い」と数字で把握できれば、「ヒアリングの質を高める」という明確な打ち手が見えてきます。

発見した課題(データ)考えられる原因改善アクション
商談化率が低いリードの質が悪い、初回アプローチが弱いマーケティングとリード条件を見直す、トークスクリプトを改善
提案後の成約率が低い提案内容が顧客ニーズと合っていないヒアリング項目の見直し、提案書テンプレートの改善
リードタイムが長い意思決定者への接触が遅い、フォローが不足早期に決裁者を特定する、フォロー頻度を上げる
顧客単価が下がっている値引き対応が多い、アップセルができていない価値訴求の強化、追加提案のタイミング設計
特定メンバーの成績が低迷スキル不足、モチベーション低下1on1面談で原因を特定、同行営業でOJT強化

データを見るだけでなく、定期的にチームミーティングで数字を共有し、メンバー全員が自分たちの現状を理解したうえで改善に取り組む文化を作りましょう。

データ分析は、課題を可視化し適切な打ち手を導くための基本です。毎週の営業会議の冒頭10分で先週のKPIを振り返り、「成約率が下がった原因は何か」をチームで議論する時間を設けると、データ活用が習慣化します。

社内外コミュニケーション

営業マネージャーには、社内外の多様な関係者と円滑にやり取りするコミュニケーションスキルが求められます。

自分で商談をこなすプレイヤーとは異なり、マネージャーは周囲の人々を巻き込んで成果を出す立場にあります。

現場で得た顧客の声や市場の変化を経営層に報告し、戦略立案に活かしてもらう一方、経営方針や全社目標を現場のメンバーに分かりやすく伝えて行動につなげます。

また、同じ情報でも相手によって伝え方を変える必要があります。経営層には「売上は目標比95%でした。原因は競合の価格攻勢で、対策として来月からROI訴求資料を強化します」と結論ファーストで報告します。一方、部下には「なぜROI訴求が必要なのか」という背景から丁寧に説明して、納得感を持たせましょう。

コミュニケーションスキルは、組織全体の一体感を生み出す基本です。この橋渡し機能がなければ、経営層は現場の実態を知らないまま方針を決め、現場は会社の方向性を理解しないまま動くことになり、営業活動の効率が大きく低下してしまいます。

課題特定と問題解決

営業マネージャーには、問題を素早く特定し解決策を実行する能力が。

問題を放置すると、小さな課題が大きな損失に発展してしまうからです。日々の営業活動では、成約率の低下、顧客からのクレーム、メンバー間の連携不足など、予期しない課題が次々と発生します。

問題解決のプロセスは、以下のステップで進めると効果的です。

  1. 何が問題なのかを具体的に定義する
  2. なぜその問題が起きているのかを掘り下げる
  3. 解決策を考え、実行可能性と効果を比較する
  4. 選んだ解決策を実行し、効果が出ているかを数字で確認する
  5. うまくいった解決策をチーム全体のルールやノウハウとして共有する

このプロセスで最も大切なのは、原因分析です。「商談数が少ない」という問題に対して「もっと電話しろ」と指示しても、リストがない、やり方が分からない、といった根本原因が解決しなければ状況は変わりません。

課題特定と問題解決は、チームの成果を安定させる基本です。例えば、1on1面談で「なぜ電話できていないのか」を5回掘り下げて聞くことで、真の原因と適切な打ち手が見えてきます。

営業戦略の立案

営業マネージャーには、戦略的な視点が欠かせません。

戦略なしに動くとリソースが分散し、成果につながりにくくなるからです。営業リソース(人員・時間・予算)には限りがあり、すべての顧客に同じように対応していては、本当に注力すべき案件に十分な時間を使えません。

検討項目具体的な問いアウトプット例
ターゲット設定どの業界・規模・課題を持つ顧客に注力するか製造業・従業員100名以上・DX推進中の企業
競合分析競合の強み・弱みは何か、どう差別化するかA社より導入実績が少ないが、サポート体制で差別化
提供価値顧客にとっての自社製品・サービスの価値は何かコスト削減ではなく売上向上に貢献する点を訴求
アプローチ方法どのチャネル・手法で接点を作るか展示会出展とWebセミナーを組み合わせる
活動計画誰が・いつ・何をするか各メンバーの担当顧客と月間活動目標を設定

営業戦略とは、どの市場や顧客セグメントに注力し、どのような手法でアプローチするかを定めた行動指針です。場当たり的に動くのではなく、「勝てる場所で戦う」という発想が大切です。

戦略を作り、チームとして同じ目標を共有しましょう。

営業マネージャー育成の6ステップ

営業マネージャーの育成は、以下の6つのステップで進めることができます。

  • Step1:育成候補を選定する
  • Step2:プレイヤーからマネージャーへの意識転換を図る
  • Step3:マネジメントの基礎知識を習得させる
  • Step4:まずは小規模チームで実践する
  • Step5:振り返りとフィードバックを行う
  • Step6:成果を評価し、次の目標を設定する

Step1:育成候補を選定する

営業マネージャー育成の第一歩は、ふさわしい人材を見極めて選定することが重要です。

トップセールスが必ずしも良いマネージャーになれるとは限らないからです。自分で売る能力と、人を育てて成果を出す能力は違う、と念頭に置いた上で選びましょう。「自分がやった方が早い」とすべて抱え込んでしまうタイプは、マネージャーになると部下を成長させられず、チーム全体の成果を伸ばせません。

育成候補を選定する際の評価項目は以下の6つです。

  • チーム貢献意識があり、自分の成績だけでなくチーム全体の成果を気にかけているか
  • 後輩指導の実績があり、新人や若手メンバーの育成に積極的に関わっているか
  • 自分の成功事例やスキルを周囲に惜しみなく教えているか
  • 他のメンバーや他部門と良好な関係を築けているか
  • 感覚ではなくデータや根拠に基づいて判断できるか
  • マネジメントへの関心やキャリア志向があるか

単に営業成績が優秀なプレイヤーを選ぶのではなく、チームへの貢献意識、後輩への指導実績、周囲との協調性といった観点を重視しましょう。

本人がマネジメントに興味を持っていない場合は慎重に検討が必要です。候補者には個別面談で「マネージャーになることに興味があるか」を直接確認し、本人の意向を把握したうえで選定を進めましょう。

Step2:プレイヤーからマネージャーへの意識転換を図る

育成候補を選定したら、最初に取り組むのは意識の転換です。

長年の成功体験があるため、この意識転換は難しい課題だからです。「自分が頑張れば成果が出る」という方程式で実績を積んできた人にとって、「部下に任せる」「自分は黒子に回る」という発想は自然には生まれません。プレイヤーとして成果を出してきた人ほど「自分で動いて数字を作る」という感覚が染みついています。

意識転換を促すために効果的な施策は以下の5つです。

  • すでにマネージャーとして活躍している先輩から、自身の意識転換の経験を聞く
  • 会社がマネージャーに何を求めているかを経営層から明確に伝え、役割の認識を揃える
  • 「7つの習慣」「1分間マネジャー」など、マネジメントの本質を学べる書籍を読む
  • マネージャー育成に成功している他社事例を紹介し、具体的なイメージを持たせる
  • マネージャーとしての判断が求められる場面を想定したロールプレイングを行う

マネージャーの仕事は、メンバーを通じて成果を出すことです。一度の研修で意識が変わるわけではないため、月に1回、先輩マネージャーとの30分の対話セッションを3ヶ月間継続し、少しずつ視点を広げていく方法が効果的です。

Step3:マネジメントの基礎知識を習得させる

意識転換と並行して、マネジメントに必要な知識を体系的に学んでもらいます。

知識がないまま現場に出ても、場当たり的な対応しかできず成果につながらないからです。基礎知識の習得には、複数の方法を組み合わせると効果的です。座学だけでなく、実践的なトレーニングを取り入れることで理解が深まります。

習得したい知識内容効果的な学習方法
目標設定の考え方SMARTの法則、OKRなど目標の立て方座学研修 + 自チームへの適用演習
PDCAサイクル計画→実行→評価→改善の回し方ケーススタディでの擬似体験
1on1面談の技法傾聴、質問、フィードバックの方法ロールプレイングでの練習
コーチングとティーチング状況に応じた使い分け動画学習 + 実践トレーニング
データ分析の基礎KPIの設計と活用、SFA/CRMの使い方ハンズオン形式の研修
労務管理の基礎勤怠管理、ハラスメント防止などeラーニング + コンプライアンス研修

優先度が高いのは、目標設定、1on1面談、コーチングの3つです。まずはこの3つを重点的に学び、実践しながら他の知識を追加していきます。1ヶ月目に目標設定、2ヶ月目に1on1面談、3ヶ月目にコーチングと、月ごとにテーマを絞って集中的に学ぶスケジュールが効率的です。

Step4:まずは小規模チームで実践する

基礎知識を習得したら、まずは少人数のチームで実践経験を積んでもらいます。

小規模から始める理由は、失敗しても影響範囲が限定的で、上司や人事がフォローしやすいからです。

いきなり10名以上のチームを任せると、問題が発生したときの対処が困難になります。3〜5名程度のグループを担当し、目標設定から進捗管理、部下へのフィードバックまでを一通り経験してもらいます。

この期間中は、上司が週1回30分のフォロー面談を行うなど、困っていることがあれば早期に支援することが大切になります。

Step5:振り返りとフィードバックを行う

実践期間中は定期的な振り返りの機会を設け、上司や人事担当者からフィードバックを行います。

振り返りがなければ、成功体験も失敗体験も学びに変えられないからです。週次や月次で進捗を確認し、うまくいった点と改善点を具体的に共有します。

確認項目具体的な質問例期待する気づき
目標達成状況チーム目標に対して現在どの程度の進捗か数字で現状を把握する習慣
メンバーの状態各メンバーのモチベーションや課題は何か部下への関心と観察力
自身の行動マネージャーとして何に時間を使ったか時間配分の適切さ
うまくいったこと成功した施策や工夫は何か成功要因の言語化
課題と改善点次に改善したいことは何か自己認識と成長意欲
必要な支援上司や人事に求めるサポートは何か周囲を巻き込む力

特にうまくいったことを言語化すると、自信と学びにつながります。「メンバーへの声かけを増やしたら、相談されることが増えた」といった成功体験を明確にし、再現できるようにしましょう。

Step6:成果を評価し、次の目標を設定する

一定期間の実践を終えたら、成果を公正に評価し、次の成長目標を設定します。

評価と目標設定のサイクルを回し続けることで、営業マネージャーとしての成長が加速するからです。評価の際は、チームの数値目標の達成度だけを見るのではなく、多角的に判断しましょう。

  • チーム目標の達成度:売上や成約率など数値目標をどの程度達成したか
  • 部下の成長度合い:担当したメンバーのスキルや業績がどれだけ向上したか
  • 組織への貢献:他チームとの連携やノウハウ共有など組織全体への貢献があったか
  • 本人のスキル向上:マネジメントスキルがどの程度身についたか
  • 取り組み姿勢:困難な状況でも前向きに取り組んでいたか、学ぶ姿勢があったか

評価されて終わりではなく、次の成長に向けた道筋を示すことで、候補者のモチベーションを維持できます。評価面談では「次の3ヶ月で5名のチームを担当する」「コーチング研修を受講する」など、具体的なアクションプランを提示しましょう。

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営業マネージャー育成を定着させる仕組み

育成は一度きりのイベントではなく、継続的に支援する体制を構築してこそ効果を発揮します。以下の4つの仕組みを充実させ、育成を定着させましょう。

  • 1on1面談による定期フォロー
  • コーチングとティーチングの使い分け
  • 外部研修・マネージャー間の学び合い
  • 育成ツール・制度の整備

1on1面談による定期フォロー

育成を定着させる最も効果的な方法の一つが、上司と部下による1on1面談の定期実施です。

マネージャー候補が抱える課題を早期に把握し、問題が深刻化する前に対処できるからです。週次の報告会やチームミーティングでは話しにくいことも、1対1なら本音を引き出しやすくなります。

1on1面談は、育成を定着させる最も効果的な方法です。頻度を固定することと、傾聴中心の姿勢が継続のポイントです。例えば、毎週月曜の10時から30分をカレンダーに固定し、上司は質問に徹して部下に8割話してもらうといったルールを設けると、形骸化を防げます。


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コーチングとティーチングの使い分け

部下の育成では、状況に応じてコーチングとティーチングを使い分けることが大切です。

相手の経験レベルによって効果的なアプローチが異なるからです。新人に対して「自分で考えろ」とだけ言っても、考えるための知識がなければ答えは出ません。

観点ティーチングコーチング
基本的なやり方答えを直接教える質問を通じて本人に考えてもらう
適した対象新人、経験の浅いメンバー経験を積んだメンバー
適した場面基本的な知識やルールを伝えるとき応用力や自律性を高めたいとき
メリット短時間で正確な情報を伝えられる本人の気づきと成長を促せる
デメリット依存心を生みやすい時間がかかる、本人にある程度の経験が必要
使用例「見積書はこのフォーマットで作成してね」「この提案でお客様が迷っている理由は何だと思う?」

コーチングとティーチングを使い分けることで、育成の効率と効果を高めます。入社1年目はティーチングを7割とし、2年目以降は徐々にコーチングの比率を高め、3年目にはコーチング7割・ティーチング3割を目安にすると、段階的に自律性を育てられます。

外部研修・マネージャー間の学び合い

社内だけでなく、外部の研修プログラムや他のマネージャーとの交流も育成に効果的です。

社内だけの育成では、どうしても「自社流」のやり方に偏ってしまうからです。他社の事例や外部講師の知見に触れることで、新しいアイデアやより効果的な方法を取り入れられます。

外部の学びを活用する方法は以下の5つです。

  • 外部の研修会社が主催する公開型マネジメント研修に参加する
  • 動画講座やeラーニングで、時間や場所を選ばず学べる環境を提供する
  • 同業他社のマネージャーが集まる業界団体のセミナーで、業界特有の課題や解決策を共有する
  • 月1回などの頻度で、マネージャー同士が課題を持ち寄り議論する社内勉強会を設ける
  • 経験豊富なマネージャーが新任マネージャーのメンターとなり、定期的に相談に乗る

外部研修やマネージャー間の学び合いは、視野を広げる効果的な方法です。予算の制約がある場合は、まず社内マネージャー勉強会から始めると費用をかけずに相互学習の文化を根づかせられます。

育成ツール・制度の整備

育成を属人的な取り組みに終わらせず、組織として仕組み化するためにはツールや制度の整備が求められます。

誰が担当しても一定の品質で育成を進められる環境を作ることで、育成のノウハウが組織に蓄積されるからです。

ツール・制度内容期待できる効果
育成計画テンプレート育成目標・スケジュール・担当者を記載するフォーマット育成の抜け漏れを防ぎ、進捗を可視化できる
スキルマップ各スキルの習熟度を段階的に評価する一覧表成長度合いを客観的に把握できる
マネジメント評価基準マネージャーとしての評価項目と基準を明文化した資料公正な評価と期待値の共有ができる
育成マニュアル育成の進め方やポイントをまとめた手引書担当者が変わっても質を維持できる
SFA/CRMの育成活用育成状況をシステム上で記録・共有する仕組みデータに基づく育成状況の可視化ができる

育成ツール・制度の整備は、育成を組織の仕組みとして定着させる土台です。まずは育成計画テンプレートとスキルチェックシートから始めると、短期間で効果を実感できます。

例えば、育成計画テンプレートには「3ヶ月後のゴール」「月ごとの学習テーマ」「週次の実践項目」を記載し、スキルチェックシートは5段階評価で月末に更新する運用にすると、進捗が可視化されます。

営業マネージャー育成でよくある課題と対処法

育成を進める中で、多くの企業が共通して直面する課題があります。これらの課題を放置すると、せっかくの育成施策が機能しなくなってしまいます。

プレイヤー思考から抜け出せない

営業で高い成果を出してきた人ほど、マネージャーになっても自分で商談をこなそうとする傾向があります。

「自分がやった方が早い」という感覚が抜けず、部下に仕事を任せられないからです。この状態が続くと、マネージャー本人が疲弊し、部下は成長の機会を奪われてしまいます。

プレイヤー思考から抜け出せない主な原因は以下の5つです。

  • 自分で動けば成果が出るという過去の成功体験が染みついている
  • 部下に任せて失敗したら自分の評価が下がると恐れている
  • 任せたいが、部下の能力に不安があり任せられない
  • マネージャーとして何をすべきか明確に理解していない
  • 個人の売上も評価対象になっており、自分で売るインセンティブがある

最も効果が大きいのは、評価制度の見直しです。マネージャーに個人の売上目標を持たせ続けている限り、本人は自分で売ることを優先してしまいます。マネージャーの評価項目を「チーム目標達成率」「部下の成長度」「育成活動の実施状況」に変更し、個人売上のウェイトをゼロにすることで、行動が変わります。

育成に割く時間を確保できない

マネージャーは日々の業務に追われ、部下育成に十分な時間を割けないという悩みを抱えがちです。

育成を後回しにすると、部下が成長せず、長期的にはチーム全体の生産性が下がるという悪循環に陥るからです。会議、報告書作成、顧客対応などに時間を取られ、1on1面談や指導が後回しになってしまいます。

施策具体的な進め方期待できる効果
育成時間のブロック週次の1on1面談をカレンダーに固定で入れ、動かさない育成が「予定」として確保され、後回しにならない
会議の効率化会議の目的・時間・参加者を絞り、不要な会議を削減マネージャーの会議時間を週3〜5時間削減できる
権限委譲判断・承認を部下に任せられる範囲を拡大するマネージャーの意思決定負担が減る
ツールの活用報告書作成や進捗管理をSFA/CRMで自動化する事務作業にかかる時間を短縮できる
組織的な支援育成専任の担当者を置く、または人事がサポートするマネージャー一人で抱え込まない体制ができる

育成を「時間があったらやること」ではなく、「優先度の高い必須業務」として位置づけることが大切です。

すぐに始められるのは「育成時間のブロック」と「会議の効率化」です。例えば、毎週月曜の10時〜12時を「育成タイム」としてカレンダーに固定し、この時間帯は会議を入れないルールを設けましょう。同時に、参加者が5名以上の会議をリストアップし、本当に必要かを見直すと、週3〜5時間の削減が可能です。

スキルの高度化に対応できない

デジタル技術の進展やビジネス環境の変化により、営業マネージャーに求められるスキルは年々高度化しています。

従来のやり方だけでは通用しなくなっているからです。データ分析、デジタルツールの活用、複雑な顧客ニーズへの対応など、新しいスキルが求められています。

高度化するスキル要求に対応するためには、継続的な学習機会を提供することが基本です。

  • データ分析、デジタルマーケティング、最新のマネジメント手法など専門分野の外部セミナー・研修へ参加する
  • Udemy、LinkedIn Learningなどのオンライン学習サービスで、自分のペースで新しいスキルを学べる環境を整える
  • 最新の営業手法やツールの使い方を、詳しいメンバーが他のメンバーに共有する社内勉強会を開催する
  • 業界カンファレンスへの参加で最新トレンドや先進企業の事例に触れ、自社の取り組みを相対化する
  • 中小企業診断士、営業士などの資格取得を奨励し、体系的な知識習得を促す

学習機会を提供するだけでなく、学んだことを実務に活かす仕組みを作ると効果が高まります。外部研修を受講したら、翌週の営業会議で15分間の共有時間を設け、学んだ内容と自チームでの実践計画を発表してもらいましょう。3ヶ月後に実践結果を報告してもらうことで、学びが定着します。

育成方法を標準化できない

育成の進め方が担当者や部署によってバラバラで、成果にばらつきが出るという課題もあります。

このような状態を解決するには、次の6ステップを進めることが効果的です。

ステップ内容成果物
1. 現状把握各部署でどのような育成が行われているかを調査する育成実態レポート
2. 成功事例の抽出うまくいっている育成方法を特定し、要因を分析するベストプラクティス集
3. 標準プロセスの設計全社共通の育成ステップ・必須項目を定義する育成フレームワーク
4. ツールの整備テンプレート、チェックシート、マニュアルを作成する育成ツールキット
5. 担当者の育成育成を担当する上司・人事へのトレーニングを実施する育成担当者研修
6. 運用と改善標準プロセスを運用し、定期的に見直す育成PDCAサイクル

最も大切なのはステップ2の「成功事例の抽出」です。すでに社内でうまくいっている育成方法があれば、それを標準として横展開できます。各部署のマネージャーにヒアリングを行い、「過去3年で最も成長したメンバーは誰か」「その人の育成で何を工夫したか」を聞き出すと、現場で実績のあるやり方が見つかります。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. トップセールスをマネージャーにすると失敗するのはなぜですか?

A: 求められるスキルが全く異なるからです。 プレイヤーは「個人の突破力」で成果を出せますが、マネージャーには「他人を動かす力」や「数値管理」が必要です。適性を見極めず、営業成績だけで昇格させると、組織崩壊のリスクがあります。

Q2. プレイングマネージャーが育成に時間を使うコツは?

A: 育成時間のブロックと会議の削減から始めましょう。 週次1on1をカレンダーに固定し、他の予定を入れないようにします。また、個人の売上目標を下げて評価軸を「チーム成果」に移すなど、制度面での後押しも不可欠です。

Q3. 部下に仕事を任せられない時の対処法は?

A: 任せ方の基準を作り、小さな成功体験を積ませることです。 いきなり丸投げするのではなく、難易度の低い案件から渡し、定期的なチェックポイントを設けます。「失敗してもフォローできる範囲」で任せることで、マネージャー自身の不安も解消されます。

Q4. 1on1面談がただの雑談や進捗確認になってしまいます。

A: アジェンダを事前に決め、コーチング主体に切り替えましょう。 「数字の報告」はSFA等のツールで済ませ、面談では「課題の深掘り」や「キャリアの話」に集中します。上司が質問し、部下が話す時間を8割にすることで、自律的な思考が育ちます。

Q5. マネージャー育成の効果をどうやって測定すればいいですか?

A: チーム目標の達成率に加え、部下の成長度や離職率を指標にします。 単なる売上だけでなく、部下のスキル習得状況(スキルマップの向上)や、チームのエンゲージメントスコアの変化を追うことで、マネジメントの質を客観的に評価できます。

まとめ

営業マネージャーの育成は、企業の持続的な成長を支える投資です。

育成のポイントは、プレイヤーからマネージャーへの意識転換を体系的に支援することです。候補者選定から小規模チームでの実践、振り返りまでを6つのステップで進め、1on1面談や育成ツールの整備によって定着させます。

まずは候補となりそうなメンバーをリストアップしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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