総務の目標設定は、業務が多岐にわたるため難しいと感じる総務担当者も多いでしょう。しかし、しっかりとした目標設定を行うことで、企業の効率化や社員のモチベーション向上に大いに貢献できます。例えば、数値化や具体例を用いた目標設定は、評価の際に客観的な指標となりやすいです。
本記事では、総務の業務内容や目標設定の具体例、評価のポイントなどを詳しく紹介し、そのメリットとデメリットについても言及します。総務の重要性と具体的な目標設定の方法を知り、業務効率を高めるための参考にしてください。
総務の業務内容
総務部門は、企業の円滑な運営を支える重要な役割を担っています。その業務内容は多岐にわたり、会社全体をサポートする要となっています。
主な業務には、備品や消耗品の管理、施設の維持管理、社内行事の企画・運営、各種契約の管理などがあります。また、安全衛生管理や文書管理、来客対応、電話応対なども総務の重要な仕事です。
大企業では専門部署が設置されていることもありますが、中小企業では人事や経理業務も総務が担当することがあります。さらに、近年ではITインフラの整備や情報セキュリティの確保など、デジタル化に関連する業務も増えています。
総務の仕事は、社員が快適に働ける環境を整えることから、企業のリスクマネジメントまで幅広く、会社の大小を問わず欠かせない存在です。多様な業務をこなすため、マルチタスク能力や柔軟な対応力が求められます。総務の役割を理解し、効率的に業務を遂行することで、会社全体の生産性向上に大きく貢献できるのが総務の業務内容です。
総務がしっかりした目標を設定するメリット
目標をしっかり設定することは、総務の業務において非常に重要です。
具体的で明確な目標設定により、業務の進捗がわかりやすくなり、担当者や上司も評価しやすくなります。さらには、デメリットも把握しつつ、メリットを最大限に活用するための仕組み作りが可能になります。
本項では、総務がしっかりした目標を設定することによる具体的なメリットを紹介します。そのため、総務担当者はしっかりと目標を設定する重要性を理解し、実践することが求められます。
社員のモチベーションが向上する
1つ目は「社員のモチベーションが向上する」です。
総務部門が明確な目標を設定することは、社員のモチベーション向上に大きく寄与します。まず、具体的な目標があることで、日々の業務に明確な方向性が生まれます。例えば、「経費削減率10%」や「社内文書の電子化率80%」といった数値目標を設定することで、社員は自分の努力が組織にどのように貢献しているかを実感できます。
また、目標達成に向けたプロセスで新しいスキルを習得したり、既存のスキルを向上させたりする機会が増えます。この自己成長の実感が、仕事への意欲を高めます。さらに、部門全体で共通の目標に取り組むことで、チームの結束力が強まり、良好な職場環境が形成されます。
目標の進捗を定期的に確認し、適切なフィードバックを受けることで、自己の強みや改善点を認識する機会も増えます。
納得のいく評価がしやすくなる
2つ目は、「納得のいく評価がしやすくなる」です。
総務部門がしっかりとした目標を設定することで、納得性の高い評価が可能になります。具体的で測定可能な目標を設定することで、評価基準が明確になり、主観的な判断に頼らない公平な評価が実現します。例えば、「経費削減率10%」や「社内文書の電子化率80%」といった数値目標は、達成度を客観的に判断できます。
また、目標設定のプロセスを通じて、上司と部下の間で期待値の擦り合わせができるため、評価時のミスマッチを防ぐことができます。定期的な進捗確認と1on1ミーティングにより、透明性の高い評価プロセスが構築されます。
さらに、数値化しづらい業務でも、工夫次第で評価指標を設定できます。例えば、「社内コミュニケーション改善」という目標に対して、「社内アンケートの満足度スコア10%向上」といった指標を用いることで、定性的な業務も適切に評価できます。
このように、総務部門の目標設定は、従業員の成長や努力を適切に評価し、公平で納得性の高い人事評価システムの構築に貢献します。結果として、モチベーション向上と組織の活性化につながります。
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目標設定から会社の状況が把握できる
3つ目は「目標設定から会社の状況が把握できる」です。
目標設定を通じて、総務担当者は会社全体の状況を把握することができます。目標を通じて現場からのフィードバックが得られるため、課題や問題点を迅速に把握し、解決策を講じることが容易になります。目標設定は直接業務だけでなく、間接業務にも影響するため、社員全体が一体となって目標に向かうことが可能です。
さらに、これにより上司や担当者も会社の状況を把握しやすくなり、全体の方向性を統一することができます。
会社全体の効率化を図ることができる
4つ目は、「会社全体の効率化を図ることができる」です。
総務部門の目標設定は、会社全体のコスト管理と資源の最適配分を実現できるようになります。経費削減や予算管理の目標を設定することで、不要な支出の見直しや効率的な資源活用が促進されます。
例えば、オフィススペースの最適化や消耗品の一括購入といった目標は、直接的なコスト削減につながるだけでなく、各部門の予算意識を高め、全社的な経費節減文化の醸成にも寄与します。
さらに、総務部門が環境負荷低減の目標を掲げることで、エネルギー使用量の削減や廃棄物の削減など、会社全体のサステナビリティ向上にも貢献できるのです。
総務の目標設定の具体例と指標
総務部門は多岐にわたる業務を担当しており、そのため目標設定も詳細かつ具体的に行うことが重要です。本段落では、総務の目標設定に役立つ具体例と指標を紹介します。
総務担当者が明確な目標を持つことで、業務の効率化や改善が図れるため、会社全体のパフォーマンス向上に繋がります。以下に示す4つの具体例を参考に、各部署や状況に応じた適切な目標設定を行いましょう。
- 経費の削減
- 既存業務の効率化
- 福利厚生の見直し
- 社員からよくある質問や相談事項をマニュアル化する
1.経費の削減
1つ目の総務の目標設定の具体例は「経費の削減」です。具体的な目標設定例として、「消耗品費を前年比10%削減」や「電気使用量を6ヶ月で15%削減」などが挙げられます。これらの目標に対する指標としては、月次の消耗品購入額や電気使用量のモニタリングが効果的です。
目標設定の際は、単純な数値目標だけでなく、具体的な施策も併せて検討することが重要です。例えば、「ペーパーレス化を推進し、コピー用紙の使用量を20%削減」という目標を立てる場合、電子文書管理システムの導入やデジタルサイネージの活用など、具体的な取り組みを明確にしましょう。
ただし、経費削減を追求するあまり、業務効率や従業員の満足度を犠牲にしないよう注意が必要です。例えば、「出張費を50%削減」という目標を立てる場合、オンライン会議の活用を推進しつつ、対面でのコミュニケーションが必要な場面では柔軟に対応できるよう配慮しましょう。
2.既存業務の効率化
2つ目の総務の目標設定の具体例は「既存業務の効率化」です。
新しい目標だけでなく、既存の業務プロセスの効率化も総務部門にとって重要な目標です。
まずは、社内コミュニケーションの現状を分析し、どのような方法で、どれくらいの頻度でコミュニケーションが行われているかを把握しましょう。また、各コミュニケーション手段の目的や重要性も明確にすることが大切です。
例えば、週1回の全体朝礼は情報共有に重要だとしても、1時間以上かかっているなら非効率的かもしれません。一方、部門間の連絡がメールのみで行われ、返信に時間がかかっているなら、チャットツールの導入を検討する余地があります。
また、会議の効率化も重要な課題です。会議の目的、参加者、所要時間を見直し、不要な会議の削減や所要時間の短縮を図りましょう。例えば、立ち会議の導入や、会議の目的と議題を事前に明確にすることで、会議時間を30%削減できたり、残業時間の短縮化にもつながった企業もあります。
しかし、コミュニケーション方法の変更は社員の抵抗を招く可能性があります。そのため、段階的な導入や、社員からのフィードバックを積極的に取り入れることが重要です。また、新しいツールの導入時には、使用方法の研修やサポート体制の整備も忘れずに行いましょう。
総務部門が主導して社内コミュニケーションの効率化を図ることで、情報共有の質が向上し、業務作業の生産性向上にもつながります。外部のコンサルタントに依頼すれば、他社の成功事例や最新のコミュニケーションツールの情報も得られるので、検討してみるのも良いでしょう。
3.福利厚生の見直し
3つ目は、「福利厚生の見直し」です。
社員のモチベーション、エンゲージメントを向上させるためにも、定期的に福利厚生を見直すことをしましょう。
具体的な目標:「1年以内に従業員満足度調査における福利厚生の満足度スコアを現状から〇〇%向上させる」
この目標の主要指標は、半年ごとに実施する従業員満足度調査における福利厚生に関するスコアです。具体的な施策として、ユニークな福利厚生の導入が考えられます。例えば、サイボウズ社の「100日休暇」や大和ハウス工業の「ファミリー休暇」のような、従業員のワークライフバランスを重視した休暇制度の導入が挙げられます。また、レバレジーズ社の「社内恋愛推奨制度」のような話題性のある制度も検討するのもよいでしょう。
- 実施にあたっての注意点
- 全従業員の声を公平に聞くこと
- 世代や家族構成による需要の違いに配慮すること
- 制度変更に伴う労務管理上の課題を事前に検討すること
進捗管理には、1on1などを用いた四半期ごとの中間調査や、新制度の利用率の追跡を行うことをおすすめします。この取り組みにより、従業員のモチベーション向上や優秀な人材の確保・定着が期待できます。
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4.社員からよくある質問や相談事項をマニュアル化する
4つ目は「社員からよくある質問や相談事項をマニュアル化する」です。
社員からの問い合わせに迅速かつ正確に対応するため、よくある質問や相談事項をマニュアル化することが推奨されます。
総務部門には日々、様々な問い合わせが寄せられます。コピー用紙の補充依頼から福利厚生の申請方法まで、その内容は多岐にわたります。そのため、よくある質問や相談事項をマニュアル化することを推奨しています。
具体例として、「6ヶ月以内に頻出する質問や相談事項の80%をマニュアル化し、問い合わせ件数を30%削減する」という目標を設定します。
まず、過去6ヶ月間の問い合わせデータを分析し、頻出トピックを特定します。次に、これらのトピックについて明確で簡潔な回答を作成し、カテゴリ別にまとめたFAQを社内の掲示板や社内SNSに公開します。さらに、キーワード検索機能を実装し、社員が必要な情報に素早くアクセスできるようにします。
この取り組みにより、総務部門の業務効率化だけでなく、各部署が本来の業務に集中できる時間が増えることが期待できます。ただし、マニュアルの存在を周知し、定期的に内容を更新することが重要です。
総務が目標設定するうえで意識したいポイント
目標設定の具体例が分かったところで、目標設定する際に気を付けておきたいポイントを4つを解説します。
- できる限り数値化する
- 目標数が多くなりすぎないようにする
- 減点評価ではなく加点評価にするようにする
- 目標と評価に関連性を持たせる
できる限り数値化する
総務部門の目標設定の1つ目のポイントは「できる限り数値化する」ことです。
例えば、「経費削減」という漠然とした目標ではなく、「6ヶ月以内に消耗品費を前年比15%削減する」といった具体的な数値目標を設定しましょう。この場合、過去6ヶ月間の消耗品費データを分析し、現状を把握することから始めます。
次に、具体的な削減策(例:一括購入による単価引き下げ、再利用可能な製品への切り替え)を立案し、各施策の効果を予測して目標数字を設定します。進捗管理には、月次での消耗品費の集計と、四半期ごとの目標達成度レビューを実施します。ただし、過度な経費削減が業務効率の低下を招かないよう注意が必要です。
この数値化・定量的なアプローチにより、総務部門の貢献度が可視化され、経営陣や他部門からの理解も得やすくなります。
目標数が多くなりすぎないようにする
総務部門の目標設定の2つ目のポイントは「目標数が多くなりすぎないようにする」です。
目標数を適切に保つためには、優先順位付けを徹底的に行いましょう。まず、会社全体の戦略目標を理解し、総務部門がどのように貢献できるかを明確にします。次に、部門内で最も重要な課題や改善が必要な領域を特定します。
例えば、「福利厚生の見直し」「福利厚生制度の刷新」「既存業務の効率化」などが挙げられます。これらの中から、最も影響力が大きく、かつ実現可能性の高いものを選択します。目標数を制限することで、各目標に十分なリソースを割り当てることができ、達成の可能性が高まります。
注意すべき点として、目標数を絞ることで重要な業務領域が見落とされないよう、定期的に目標の妥当性を見直すことが大切です。また、目標達成後は速やかに次の重要課題に取り組むなど、柔軟な目標管理を心がけることで、少数の目標でも総務部門の幅広い責任を果たすことができます。
減点評価ではなく加点評価にするようにする
総務部門の目標設定の3つ目のポイントは「減点評価ではなく加点評価にするようにする」です。
総務部門の目標設定で加点評価を活用する効果的な例として、「業務改善提案」が挙げられます。従来の「遅延やミスに対する減点」ではなく、「業務改善案の提出や実施に対する加点」という形式に変更します。
例えば、「実現可能な改善案の提出で30点、実際に導入して効果が出た場合は追加で50点」といった評価基準を設けます。この方法により、社員は日常業務の中で常に改善の機会を探すようになり、部門全体の効率化につながります。さらに、ミスや問題が発生した際も、「再発防止策の提案と実施」に対して加点評価を行うことで、ミスを隠さず、積極的に改善に取り組む姿勢を育てることができます。
注意点として、提案の質を担保するため、「コスト削減効果」や「時間短縮効果」など、具体的な効果を数値化して提出することを条件にするのも良いでしょう。また、小さな改善案でも積極的に評価し、社員全員が参加しやすい雰囲気を作ることが重要です。
目標と評価に関連性を持たせる
総務部門の目標設定の4つ目のポイントは「目標と評価に関連性を持たせる」です。
例えば、「業務プロセスの効率化」という目標を設定する際、具体的な指標と評価基準を設けます。「特定の業務プロセスの所要時間を20%短縮で評価B、30%以上短縮で評価A」といった形式です。さらに、業務改善提案や実施に対しても加点評価を行います。
「実現可能な改善案の提出で15点、実際に導入して効果が出た場合は追加で25点」などの評価基準を設定します。これにより、社員は日常業務の中で常に改善の機会を探すようになり、その努力が直接評価につながることを実感できます。
営業部門のように売上に直結した評価は難しいですが、このような明確な目標と評価の関連付けにより、総務部門の社員のモチベーション向上と、組織全体の業務効率化が期待できます。ただし、評価基準の設定には注意が必要です。短期的な効率化だけでなく、長期的な視点での改善も評価対象とすることで、持続可能な業務改善を期待できます。
まとめ
総務の目標設定は、会社全体の業務効率化や社員のモチベーションアップにおいて非常に重要です。経理や人事といった各部門と連携しながら、具体的かつ達成可能な目標を設定することで、総務の役割を最大限に活用できます。本記事では、総務の目標設定の方法や重要なポイント、具体例と指標について紹介してきました。
記事の冒頭でも述べたように、総務部は営業部などのように明確な数字が出ないため、効果的な目標設定や改善策を打ち出すことは難しく感じるでしょう。
しかし、会社全体の状況を俯瞰して把握できる総務部だからこそ、社員への配慮やさまざまな部分での削減・節約を実行することが重要になるのです。
目標設定をするだけでなく改善策を実施してからどのように反省し、次に活かすか考えましょう。
本記事の通り、目標を数値化することや評価方法の見直し、具体的な課題の解決策を講じることで、総務部門が提供するサービスの質も向上します。例えば、オフィス環境の整備や福利厚生の見直し、社員からの相談対応のマニュアル化など、実際の業務に即した具体的な目標設定が有効です。これらの施策を効果的に運用するためには、無料の診断ツールやセミナーの活用、定期的なイベントの開催など、さまざまな方法が考えられます。
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