人事評価に納得できない、不満があるという状況は、放置すれば、従業員のモチベーション低下や離職率の増加といったリスクを引き起こす可能性があります。
実際に、人事評価後に従業員から「評価に納得できない」「不満を感じる」という声を受ける評価者や人事担当者は多いのではないでしょうか。人事評価制度を長く運用していれば、こうした声があがることは避けられないものです。
従業員全員が納得する人事評価制度を作ることは難しいですが、対策を講じることで、上記のような状況を解消することにつながります。そこで、この記事では、人事評価に納得いかない従業員が発生する理由と、対策方法をご解説します。
本記事を参考に、従業員の不満を解消し、評価制度が適切に機能するように対策することで、従業員の満足度と自社の業務パフォーマンスを向上させるための参考にしてみてください。
人事評価に納得していない人は60%以上!
実際に、現状の人事評価制度に不満を感じている人はどれほどいるのでしょうか。
アデコ株式会社が実施した意識調査によると、「勤め先の人事評価制度に満足しているか」について、回答者のうち62.3%が「不満」と回答しました。加えて、「勤務先の人事評価制度を見直す必要があると思うか」について、77.6%が「必要がある」と回答しており、人事評価に対する不満と改善を求める声が多く挙がる結果となりました。
従業員が人事制度に不満を抱えて、モチベーションダウンしている状況を放置するのは危険であると言えるでしょう。最悪の場合、組織崩壊につながる恐れがあります。そのような課題が生じる前に、従業員の不満を解決し、人事評価制度への満足度を向上させることが必要です。
社員が人事評価に納得いかない理由
人事評価では公平性や透明性を担保することが重要です。多くの会社・企業は、一定の評価基準を設けて、公平性や透明性に配慮しているかと思います。しかし、前述の通り半数以上の従業員が勤務先の人事評価制度に不満を抱えているのが現状です。
人事評価制度への満足度を向上させるためには、社員が人事評価に不満を抱く要因を把握しておくことが求められます。
では具体的に、人事評価制度のどのような点に対して従業員は不満を感じてしまうのでしょうか。
従業員が人事評価に対して不満を感じる理由としては、下記の5つのケースが考えられます。
- 評価制度や評価基準を理解していない
- 自己評価が高い
- 適切に評価されていると感じない
- 評価者からの説明が不十分
- 評価結果が昇進・昇格などに反映されない
それぞれの具体的な内容について、以下にご説明します。
1. 評価制度や評価基準を理解していない
社員が人事評価に納得いかない理由の1つ目は「評価制度や評価基準を理解していない」ためです。
人事評価に対して社員が不満を抱く背景には、評価制度に対する理解不足がある場合があります。評価制度の目的や運用方法、評価基準が適切に伝わっておらず、その結果、納得感を得られない恐れがあります。評価を受ける社員だけでなく、評価を行う評価者、さらには経営層も含め、全社員が人事評価制度を正しく理解していなければ、その効果は十分に発揮されません。
評価制度を正確に理解し運用しないと、様々なトラブルが発生する可能性があります。
例えば、360度評価を行う際に、評価に書くべき内容や書いてはいけない内容が理解されていないと、被評価者への誤解や不満が生じ、職場の雰囲気が悪化することもあります。
全社員が人事評価制度を十分に理解していない場合、不満を持つ社員が出てくるのは避けられません。
2. 自己評価が高い
社員が人事評価に納得いかない理由の2つ目は「自己評価が高い」ためです。
被評価者の自己評価が高すぎると、会社からの評価に過度な期待を抱き、実際の評価とのずれから不満を感じやすくなります。
例えば、自分では努力していると思っていても、評価者や周囲の評価がそれに伴わないことがあります。本人は一生懸命に仕事に取り組んでいると考え、自己評価が高くなることで良い評価を期待します。しかし、評価者の視点から見ると、たとえ努力が認められても結果が伴わなかったり、努力の方向性が誤っている場合、評価が低くなることも多々あります。このように、自己評価よりも低い評価をされたとき、人事制度に対して非常に強い不満を抱くきっかけとなってしまいます。
自身の評価と会社からの評価にギャップが生じると、社員は評価に納得できなくなってしまうでしょう。
3. 適切に評価されていると感じない
社員が人事評価に納得いかない理由の3つ目は「適切に評価されていると感じない」ためです。
評価が適切でないと感じる場合としては、評価制度や項目が業務と結びつきづらいことなどが挙げられます。評価制度としては、コンピテンシー評価や360度評価などさまざまな方法があります。しかし、それらを導入しても自社の人事評価制度の目的と合致していない場合があります。
例えば、営業部門でコンピテンシー評価のみを導入した場合、営業実績を上げた社員が正当に評価されず、実績が低い社員が評価されることがあります。これでは、高い実績を残した社員が適切に評価されていないと不満を抱き、声をあげる可能性が高まります。
また、評価者の無意識のバイアス・先入観などが影響して誤った評価が生じる「評価エラー」が起きた際も、従業員は適切に評価されていないと感じるでしょう。評価エラーが生じれば、社員は同じ成績をあげても、評価者の主観で評価が異なる恐れがあります。これでは、評価の公平性が失われ、社員の信頼を損なうことになります。
このように、業務と結びつきづらい評価体制や評価エラーによって、従業員が適切に評価されていないと感じ、人事評価に納得いかないという意見があがってしまいます。
4. 評価者からの説明が不十分
社員が人事評価に納得いかない理由の4つ目は「評価者からの説明が不十分」であるためです。
評価が適切であっても、評価者の説明が不十分だと、社員は納得できないことがあります。
具体的な事例としては以下のような場合が挙げられます。
- 評価が行われた後、昇給・降格などの結果のみの通知にとどまっている
- 評価内容について、なぜその評価なのか社員に説明できていない
- 自社の人事評価制度の目的や概要についての説明が不足している
- どうすれば良い評価になるのかフィードバックできていない
このようなケースでは、社員は「十分に評価されていない」「今後どう行動すべきかわからない」といった不満を抱く可能性があり、人事評価に納得いかないと感じる要因となってしまいます。
5. 評価結果が昇進・昇格などに反映されない
社員が人事評価に納得いかない理由の5つ目は「評価結果が昇進・昇格などに反映されない」ためです。
人事評価制度の目的の1つは、社員の能力やパフォーマンス、会社への貢献度を評価し、その結果に基づいて昇進・昇格や昇給といった待遇を決定することです。評価において、「どんな役割を担ったか」という行動プロセスが評価されない場合、従業員のモチベーションを低下させてしまう恐れがあります。
例えば、成果主義による評価の場合、成果を重視して、プロセスや能力などの評価の要件が軽視されてしまうことが考えられます。
この場合、仕事のプロセスや難易度などと人事評価が連動しなければ、「大変な仕事をやり切ったのに高い評価をしてもらえないのなら、今後はもうやりたくない」と従業員の不満を生んでしまう可能性があります。
「大変でも成果が目立たない仕事では評価が低くなる」という傾向があると、人事評価制度に対して従業員が不満を抱くことにつながってしまうため、注意が必要です。
納得度が低い人事評価の5つの特徴
では、従業員にとって納得度が低い人事評価には、どのような要素があるのでしょうか。
ここでは納得できない人事評価の特徴を以下の5つの視点からご説明します。
- 評価基準が不明確
- プロセスが評価されない
- 会社の業務と評価対象・評価基準が合っていない
- フィードバックが不十分
- 育成ではなく、査定が目的になっている
特徴1:評価基準が不明確
納得度が低い人事評価の1つ目の特徴は「評価基準が不明確」であることです。
アデコ株式会社が実施した意識調査によると、「人事評価制度に不満を感じる理由はなにか」について、回答者のうち62.8%が「評価基準が不明確」であることと回答しました。実に6割以上の従業員が評価基準の不明瞭性に対して不満を抱いていることになります。
評価基準が不明確である場合としては、以下のような例が考えられます。
- 評価基準が上層部の暗黙知として扱われており、明文化されていない
- 評価基準は明文化されているが、従業員に公開されていない
- そもそも明瞭な評価基準が存在しない
従業員側から見て評価基準が不明瞭であいまいなものであると、公平に感じられず、その評価に納得感があるものとはいえないでしょう。何を重視して評価しているのか、好き嫌いなど個人的な感情に基づいているのではないのか、と不信感を感じさせてしまっている可能性もあります。
評価基準を明文化したり、目標達成度と紐づけるなど、納得感を得られやすいものにすることが求められます。
特徴2:プロセスが評価されない
納得度が低い人事評価の2つ目の特徴は「プロセスが評価されない」ことです。
「どんな役割を担ったか」という行動プロセスが評価されない場合、従業員のモチベーションを低下させてしまう恐れがあります。例えば、成果主義による評価の場合、成果を重視して、プロセスや能力などの評価の要件が軽視されてしまうことが考えられます。
この場合、仕事のプロセスや難易度などと人事評価が連動しなければ、「大変な仕事をやり切ったのに評価してもらえないのなら、今後はもうやりたくない」と従業員の不満を生んでしまう可能性があります。
「大変でも成果が目立たない仕事では評価が低くなる」という傾向があると、人事評価制度に対して従業員が不満を抱くことにつながってしまうでしょう。
特徴3:会社の業務と評価対象・評価基準が合っていない
納得度が低い人事評価の3つ目の特徴は「会社の業務と評価対象・評価基準が合っていない」ことです。
評価対象は、会社が何を評価の中心に据えているかという部分です。しかし、評価対象が実際の業務内容や会社の目標と一致していない場合、社員は自分の仕事が正当に評価されていないと感じることがあります。例えば、業績を上げることが最優先されるべき部署で、努力やプロセスばかりが評価され、結果が重視されない場合、社員は納得しづらいでしょう。
同様に、評価基準が会社の実情に合っていない場合も問題となりやすいです。市場や業務環境の変化に伴い、評価基準が時代遅れになっている場合や、特定のスキルや成果を過剰に評価する一方で、実際に業務を支えている重要な要素が評価されていない場合などです。
このようなミスマッチがあると、社員は自分の努力が評価されないと感じ、不満を抱きやすくなります。評価制度が社員のモチベーションを支えるためには、会社の業務内容と評価対象・評価基準がしっかりと整合していることが不可欠です。
特徴4:フィードバックが不十分
納得度が低い人事評価の4つ目の特徴は「フィードバックが不十分」なことです。
フィードバックをすることで従業員は「どういったポイントを改善すれば評価が上がるのか」を理解できます。しかしフィードバックが不十分な場合、改善することは難しいでしょう。
例えば、「人事考課査定が行われた後、昇給・降格などの結果のみ通知される」というケースが考えられます。
人事評価が昇給や昇格などにつながる場合、「何が悪かったのかわからない」「来期にどのような取り組みをすれば良いのかわからない」状態のままにすると、人事評価だけでなく組織に対する不信感まで高まってしまいます。
評価結果の内容についてのフィードバックが不十分だと、従業員に「評価内容が適切なのか?」と不信感を抱かせてしまうとともに、「評価」そのものが目的となってしまう恐れがあるでしょう。
特徴5:育成ではなく、査定が目的になっている
納得度が低い人事評価の5つ目の特徴は「育成ではなく、査定が目的になっている」ことです。
評価制度の本来の意義は、人材を育成し、社員が成長できるよう支援することにあります。評価を通じて、社員が自分の現状を把握し、今後どのように成長すべきかを考えるための基準が提供されるべきです。しかし、評価が単なる査定に偏り、社員をランク付けすることが目的になってしまっている場合があります。この場合、社員は評価を成長のためのフィードバックではなく、単なる「通知表」のように受け取ってしまいます。
例えば、「A」評価や「B」評価といったランク付けだけが行われ、その背後にある努力やスキルアップの過程が無視されると、社員は「何が評価されたのか」「どこを改善すればよいのか」が分からず、モチベーションを失いがちです。こうした評価では、社員の成長を促すどころか、逆に不安や不満を増大させるリスクがあります。
人事評価が単なる査定で終わらず、社員一人ひとりの成長を支援するために機能させることで、社員の納得感を高め、会社全体の成長にも繋がります。
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納得できない人事評価がもたらす影響
ここまでご説明してきたような理由により、社員が人事評価に納得できない状況に陥ってしまいます。そして、不満の声が高まれば、さまざまな悪影響がもたらされかねません。
人事評価制度に納得いかない社員がいると、どのような影響があるかについて、下記の4つの事例をご紹介します。
- 退職率が増加する
- 業績が低下する
- 愛社精神やエンゲージメント・モチベーションが低下する
- 不服申し立てのリスク
退職率が増加する
納得できない人事評価がもたらす影響の1つ目は「退職率が増加する」ことです。
人事評価の結果に納得いかない社員は、自分をより評価してくれる会社に転職してしまう恐れがあります。
Job総研によると、「評価によって転職を考えたことがあるか」について、回答者のうち71.8%が「ある」と回答しました。加えて、そのうち実際に転職をしたか否かについて、48.9%が「した」と回答しており、「転職をした派」が多数を占める結果となりました。このことから、人事評価に対する不満が転職のきっかけとなっており、社員が評価に納得できなければ、離職率の増加につながることが示唆されます。
離職率が高まり優秀な人材が会社から姿を消すことで、組織の生産性はさらに低下し、悪循環につながります。また、新たな採用や新人教育に余計な費用と時間を要することにもなります。
さらに、「適切に評価してくれない企業」というイメージがつくと、求職者から敬遠される可能性も高まります。退職者がSNSや口コミサイトなどに、抱いた不満を書き込むことが考えられるためです。会社の対外的なイメージを落としてしまいかねません。
業績が低下する
納得できない人事評価がもたらす影響の2つ目は「業績が低下する」ことです。
業績低下は、社員が人事評価に納得できないことによる重大なデメリットの一つです。評価に納得していない社員は、仕事へ取り組む姿勢がおろそかになり、業務を適当にこなすようになったり、「頑張っても評価されない」と諦めたりしてしまうことがあります。結果、一人ひとりの仕事の質が低下し、最終的には業績低下に陥ります。
例えば、営業部門で高い実績を上げている社員が十分に評価されていない場合、「実績を出しても意味がない」と感じ、営業活動の質が低下する可能性があります。これにより、営業実績が伸び悩み、会社全体の業績低下に繋がることが考えられます。
納得感のある適切な評価を行わないと、社員は「頑張っても意味がない」と感じるようになり、結果として仕事の質が低下し、業績の悪化を招いてしまいます。
愛社精神やエンゲージメント・モチベーションが低下する
納得できない人事評価がもたらす影響の3つ目は「愛社精神やエンゲージメント・モチベーションが低下する」ことです。
人事評価に納得できないと、従業員のやる気が保ちにくくなります。「どれだけ実績を上げても正当に評価されないなら、もう頑張りたくない」「どうせ納得できない評価になるなら、必要最低限の業務しかやりたくない」と考えるようになった従業員のモチベーションを回復させるのは困難です。
また、会社へのエンゲージメントや仕事へのモチベーションが低下すると、「会社のために頑張ろう」「成果を出そう」という意欲が薄れていきます。社員がこのような状態になると、先ほどご説明したように、会社全体の業績低下や離職につながるリスクが高まるでしょう。
このように、適切な評価をされていないと感じると、従業員が「人事評価が公平になされていない」「納得できない」と不満を感じ、精神的なストレスを抱える要因になります。結果、企業に対する信頼やエンゲージメントが低下し、生産効率の悪化や組織に対する愛着の希薄化につながる恐れがあります。
不服申し立てのリスク
納得できない人事評価がもたらす影響の4つ目は「不服申し立てのリスク」です。
人事評価に納得いかないときに起こり得るリスクのなかでも、特に注意をしたいのがこの「不服申し立て」です。人事評価に納得できない場合、なかでも不当に低い評価が続いたり、降格や大幅な減給となった社員から不服申し立てを行うというケースが出てきています。
一般的に、人事評価は使用者の裁量にゆだねられます。しかし裁量の逸脱や濫用が認められ、損害賠償を争う裁判に発展したケースは過去にいくつもあります。実際に、過去の判例では、会社の人事評価に対して不法行為と判断されたものがありました。こういった問題は、企業にとって大きな損失であり、会社は社会的評判や対外的なイメージを大きく下げてしまうでしょう。
このような問題を防ぐために。コンプライアンスの観点から注意力を高めることが重要です。人事評価結果に法令違反がないか、人事権の濫用がないか、評価する評価者、会社側の注意が必要です。
納得度が高い人事評価を実現するための方法
ここまでご説明してきたように、人事評価制度に納得いかない社員がいると、さまざまな弊害がもたらされる可能性があります。そのため、人事評価制度を見直し、社員にとって納得度の高い制度にすることが求められます。
ここでは、人事評価の納得感を高めるためのポイントについて、8つの観点からご説明します。いずれも評価制度の信頼性や妥当性を高めるために欠かせないポイントです。人事評価制度の見直しにあたり、意識すべき点を把握しておきましょう。
評価基準を明確にする
納得度が高い人事評価を実現する1つ目の方法は「評価基準を明確にする」ことです。
人事評価を行う上では、評価基準を明確化することが重要です。人事評価を行うのはあくまでも人間であり、評価基準が曖昧であると評価者の主観が強く反映されやすくなり、人事評価エラーが生じる原因となります。
例えば、営業成績の評価を行うとき、その基準が曖昧な場合、営業担当者AとBが同じ成績を上げても、評価者の主観で評価にバラツキが出てしまうことになります。こういった問題を防ぐために、具体的な評価項目を明確に定義し、それを評価者に徹底して周知することで、基準に基づいた客観的な評価が可能になります。
評価基準が明確であれば、不公平な人事評価の発生を抑制し、公正で納得感のある評価を浸透させることができます。
評価後のフィードバックを充実させる
納得度が高い人事評価を実現する2つ目の方法は「評価後のフィードバックを充実させる」ことです。
従業員が人事評価に不満を感じている場合は、評価後のフィードバックを充実させることが効果的です。フィードバックの例としては、以下のような観点が挙げられます。
- 評価基準の説明
- 改善すべき点
- 次回までの目標
- 具体的なアドバイス
- 期待していること
各従業員に個別の面談を設け、上記のようなポイントを伝えましょう。評価に必要な情報を効率的に把握することはもちろん、より適切なフィードバックを実践することができます。人事評価の目的は、評価を通じて仕事のやり方を見直し、従業員の成長を促すことであり、納得感のある評価を実現するためにも、適切なフィードバックが欠かせないと言えるでしょう。
1on1ミーティングを導入する
納得度が高い人事評価を実現する3つ目の方法は「1on1ミーティングを導入する」ことです。
1on1ミーティングでは、1on1シートなどを活用し、ミーティングの記録をとります。そして期末に1on1の記録を振り返ることで、社員がどんな目標を達成を立てているのか、達成したのかどうか、目標に対してどんな創意工夫をしたのかなどの進捗をチェックすることができます。また、評価期間中でも、現在のままで進んだ場合に、どういう評価になるのかを社員に伝えることができるため、納得感の低下原因である「自己評価とのずれ」が起こりづらくなります。
また、目標以外でも「最近、会社に貢献していることはある?」と聞くことで、社員から「実は後輩を育成しようと思っていて、毎日30分相談に乗っている」などというように、普段の業務ではわからない情報も評価に組み込むことができます。
このように、1on1ミーティングを導入し、記録を残すことで社員の評価の根拠が明確になり、納得感のある評価を行ったうえで、被評価者への説明も簡単にできるようになります。
評価者教育・評価者研修を実施する
納得度が高い人事評価を実現する4つ目の方法は「評価者教育・評価者研修を実施する」ことです。
社内での評価基準を一定にするために、評価者教育や評価者研修を実施することが効果的です。評価者の中には、不確かな方法で評価している評価者がいる場合があり、その影響で評価にばらつきが生じ、公平性が保たれなくなる恐れがあります。
公正な人事評価を実施するには、評価基準や評価方法などの知識を評価者が正確に理解し、共通認識を持てている状態が望ましいです。
そのために、社内の有識者や外部のサービスを活用して評価者研修を行うことを検討してみてはいかがでしょうか。人事評価の目的や注意すべき点、正しい考え方について学び、評価スキルを総合的に向上させることで、より公正かつ納得度の高い評価を遂行できます。
定期的に評価制度を見直す
納得度が高い人事評価を実現する5つ目の方法は「定期的に評価制度を見直す」ことです。
評価制度は定期的に見直すことがおすすめです。人事評価制度は、一度導入して終わりではなく、継続的な運用と改善があってこそ効果を発揮します。現在の評価制度が会社の理念や目標と一致しているか、市場の変化に対応できているか、社員が納得しているかといった観点で、定期的に見直すことが重要です。
理想的には、制度を常に見直すことが望ましいですが、評価制度の変更や事前の社員への周知には時間がかかります。制度を見直した結果、変更が必要な場合は、少なくとも3〜4ヵ月前には新しい制度の内容を固め、社員への説明を行うようにしましょう。
評価制度を定期的に見直すことで、社員は「自分たちの声が反映されている」と感じ、仕事へのモチベーションが向上します。不満を解消することで、評価に納得できない社員が減少し、組織全体のパフォーマンスも向上するでしょう。
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コンピテンシー評価を導入する
納得度が高い人事評価を実現する6つ目の方法は「コンピテンシー評価を導入する」ことです。
コンピテンシー評価とは、仕事において優れたパフォーマンスを発揮する従業員の行動特性(コンピテンシー)を基準とした人事評価です。コンピテンシーをもとに、評価項目を設定して評価を行います。成果を出している人材の行動特性をもとに評価を行なうことで、同じように優秀な人材を育成することを目的としています。
下記は、コンピテンシー評価の基本的な評価要素の一覧です。
- タイムマネジメント
- リスクテイクの判断
- 対人交渉能力
- 説明責任を果たす能力
- ストレス管理
上記の評価要素を踏まえ、優秀な人の態度や行動、価値観などの共通点を抽出し、それをもとに判断するという流れのため、評価の公平性を担保しやすいメリットがあります。
また、コンピテンシー評価の導入は、社員のパフォーマンス向上や適切なキャリアパスなどに効果的です。納得感のある人事評価制度づくりにもつながるため、人事評価に納得できない社員が辞めるのを防ぎ、効率的な人材育成を実現させることにも役立ちます。
360度評価を導入する
納得度が高い人事評価を実現する7つ目の方法は「360度評価を導入する」ことです。
360度評価とは、関係する複数の従業員が評価者となり、評価対象者を多面的に評価する制度のことを指します。上司や人事担当者など上の立場の人からだけでなく、部下や同僚なども評価者に含まれます。
公正な評価のためには、多面的な視点を取り入れ、偏りを防止することが重要です。1人の評価者による評価の場合、評価者の主観やバイアスが評価に影響を与えることで、公平性が保たれなく恐れがあります。
それに対して、360度評価では、多くの人が評価に関わるため、客観性が担保されて公正な評価になりやすい仕組みであると言えます。評価対象者にとっても納得しやすい評価となるのでモチベーションの維持向上にもつながるでしょう。
ただし、「従業員数が少ないと誰が評価者かわかってしまう」「全評価者の情報を集約しなければならない」「評価者間で馴れ合いが生じる場合もある」などのリスクが考えられるため、注意が必要です。
ノーレイティングを導入する
納得度が高い人事評価を実現する8つ目の方法は「ノーレイティングを導入する」ことです。
ノーレイティングとは、等級や階級による評価(レイティング)を行わない人事評価制度のことを指します。この制度では、従業員に「A」評価、「B」評価といったランクを付ける代わりに、頻繁にフィードバックを行い、その都度評価を積み上げていくことで目標の軌道修正を行います。
ノーレイティングは、評価者と被評価者の対話を重視しており、相互のコミュニケーションが活発化する特徴があります。常に認識をすり合わせているため、双方が納得できる評価が可能となります。また、細かい評価項目が固定されていないため、環境の変化に柔軟に対応できる評価制度とされています。
まとめ
この記事では、人事評価に納得いかない従業員が発生する理由について、その不満の原因と対策を解説してきました。
社員が評価に納得できない状況が続くと、さまざまな弊害が生じる恐れがあります。人事評価に対する不満を解消するには、その原因を把握したうえで、自社の現状や時代背景に即した人事評価制度を整えることが重要です。
本記事を参考に、社員の評価に対する不満を解消し、「人事評価に納得できない」という声があがらないように、適切な評価制度の構築に努めましょう。
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