組織がうまく機能しているか不安に感じたり、そもそも、組織作りという言葉が抽象的で何から手を付けたらわからない方は多いのではないでしょうか。
しかし、強い組織を作ることは会社を成果へ導く上で欠かせません。それでは、強い組織とはどのような組織でしょうか。
本記事では組織づくりの目的、強い組織とはどのようなものか、組織作りの原則、強い組織の条件、施策を解説していきます。
目次
組織作りの目的
組織づくりの目的とは何でしょうか。
結論から言えば、「その組織の目標に向かって人を動かすこと」です。
人材は、個人によって能力が違えば価値観も違います。その点に関知せず何も策を打たなければチームワークは発達せず、組織は成り立たなくなっていくでしょう。
逆に、皆が同じ方向を向いて成長できるような環境であれば、強い組織になっていくということです。
したがって、従業員全体が企業に適合していくような取り組みが必要になるのです。
強い組織とは?
強い組織とは、全員が同じ方向を向いて目標達成のために動いている組織のことを指します。
具体的にすると、同じ方向を向いているというのは、全員が目標や理念、自分の役割を理解している状態のことを表します。
ここが一致していれば、認識がずれたりメンバーが離れたりすることはありません。
また、同じ方向に動いているということはメンバー間に相互的な信頼関係が生まれているということも表します。
この関係は、組織内での円滑なコミュニケーションやメンバーがチームにとって最善の決定をすることで成り立ちます。
そして、その状態で個人のスキルが上がれば上がるほどさらに組織は強くなります。
強い組織はその規模や取り巻く環境に押されることなく大きな成果を上げられるでしょう。
組織作りの基本原則
経営戦略論に「組織設計の5原則」があることはご存じでしょうか。
組織設計の5原則とは、組織を作る上で意識すべき法則を整理したものです。
- 専門家の原則
- 権限責任一致の原則
- 統制範囲の原則
- 令統一性の原則
- 権限委譲の原則
本パートでは、組織作りの基本原則を5つ解説します。
専門家の原則
組織作りの基本原則の1つ目は、専門家の原則です。
専門化の原則とは、組織の中で仕事を分業し、決められた役割に専門特化することで、組織の生産性が上がるとする原則のことです。
専門分野に特化することで、その分野だけを習熟すればよいので、スキルの向上が容易くなるというメリットがあります。
また、個人の役割が明確になり成果が明確になりやすいため、成果に対する責任意識が高まることも期待できます。
権限責任一致の原則
組織作りの基本原則の2つ目は、権限責任一致の原則です。
権限責任一致の原則とは、役割に与えられる権限の大きさは、責任と同じ量でなくてはいけないという原則です。
責任を果たすための権限が十分に無かった場合、責任者は重すぎる期待値に押しつぶされてモチベーションが低下します。
また、責任に対して権限が大きすぎても、職権乱用や資源の無駄遣いなどの可能性が見込まれます。
このように権限と責任の不一致には多大なデメリットがあるため、権限と責任の大きさは同じにする必要があります。
統制範囲の原則
組織作りの基本原則の3つ目は、統制範囲の原則です。
統制範囲の原則とは、1人の管理者が直接的に管理できる部下の人数には限界があるという原則です。
一般的には1人が管理できる人数は5人から10人程度と言われており、これを超えると管理効率が低下します。
管理人数が多すぎるとメンバーの工数管理が困難になり、ミスしてしまった時もカバーに回りづらいため、業務に支障が出ないように組織の階層構造を調整することが大切です。
令統一性の原則
組織作りの基本原則の4つ目は、令統一性の原則です。
令統一性の原則とは、業務において、常に一人の上司から命令を発信すべきであるという原則です。
組織の中で複数の担当者から指示が出ると現場は混乱してしまい、生産性が低下してしまいます。
したがって、指示を出す担当者は1人に統一することが大切です。
権限委譲の原則
組織作りの基本原則の5つ目は、権限委譲の原則です。
権限委譲の原則とは、定型化された業務の処理は部下に委譲し、上司は非定型業務に専念すべきという原則です。
ただ任せればいいというわけではなく、権限を委譲する際には多大なる注意が必要です。
まず、業務の内容や目標に明確化することが大切です。
曖昧なまま進めてしまうと、成果が上がらないどころか反省の際も得るものが少なくなってしまうでしょう。
また、担当者の自主性を尊重することも大切です。
成果が気になって余計な口をはさんでしまえば、担当者のスキルアップは望めず、責任意識も薄れてしまいます。
強い組織の条件5選
強い組織を定義づけしましたが、強い組織を作るには様々な条件があります。
それではその条件とはどのようなものでしょうか。
- ビジョンとミッションの浸透
- 組織目標の共有
- リーダーシップの育成
- 人事業務の体系化
- 適切な育成計画の実施
本パートでは、強い組織の条件を5つ解説します。
ビジョンとミッションの浸透
強い組織の条件の1つ目は、ビジョンとミッションの浸透がなされていることです。
ビジョンは企業が目指す理想の状態を意味しており、ミッションとは企業や組織が活動を行う目的・存在意義のことを意味します。
いくら個の力が強かったとしても、それぞれ行動の方向性が違っていたら組織として成果は出ません。
したがって、メンバーに組織の指針であるビジョンとミッションを浸透させることによって同じベクトルを向いて動いていく必要があります。
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組織目標の共有
強い組織の条件の2つ目は、組織の目標が共有されていることです。
前項では、ビジョンとミッションを浸透させることで大枠の方向性を固められることを述べました。
しかし、それだけでは漠然としており具体的な行動に落とし込めていないため、組織目標を共有することが大切です。
組織目標が共有されていれば、各グループ、部署、個人に至るまで組織目標から分解して自分が今すべきことが明確になり業務が進みやすくなります。
リーダーシップの育成
強い組織の条件の3つ目は、リーダシップが育まれていることです。
リーダシップとは、「主体性をもって周囲のパフォーマンスを最大化させながら目標達成を実現する能力」のことを指します。
ここで定義するリーダーシップを持つ個の集合体がチームになれば企業が成長していくのは言うまでもありません。
意識すべきことは2点あります。
1つ目は、主体性を育てるために、権限を委任してあげることです。
組織の中の小さなグループでもいいので任せてあげることで、責任感が生まれます。
また、誰にも介入されず物事を決定する権利を手にすることで主体性が育まれるでしょう。
2つ目は、1つ目の目標達成を上司がフィードバックや助言をすることです。主体性=成功ではないため、誤った判断を下すこともあるでしょう。
その時にサポートする存在がいれば、目標達成の確度は高まり、達成したときにリーダーとしての自信を得られるでしょう。
また、ピータードラッガーはリーダーシップとは才能ではなく仕事であると明言しています。
つまりは、先天的なものではないため、リーダーとして適切に育てる場があれば誰でもなれるということを念頭に置いて教育を施すことが大切です。
人事業務の体系化
強い組織の条件の4つ目は、人事業務の体系化がなされていることです。
「人事」とは企業その他の団体・組織における職員の処遇などの決定に関する業務、つまり人材に対する決定を下すのがその業務の中身となっています。
主に採用、教育、労務、評価が具体的な仕事内容となっていますが、これが仕組み化されていなければ、評価者である人事や各マネージャーの主観で人材の処遇が決まってしまうのです。
そんな会社で働きたいと思う人は少ないでしょう。したがって、人材の採用や定着を望むのであれば、
これらの人事業務を客観的な指標に基づいて構築する必要があります。
適切な育成計画の実施
強い組織の条件の5つ目は、人材育成が適切に行われていることです。
強い組織をつくるためには、個人の成長も欠かせない要素の1つです。
企業の成長に貢献するのはもちろんのこと、従業員が成長実感を得ることで退職のリスクが減ることにもつながります。
そのためには、育成の仕組みを体系化することが大切です。
ここで注意点として述べておきたいのは、人材育成は教える⇒育つの簡単な関係ではないということです。
メンバーは個々で特性や価値観、モチベーションなどがバラバラなため、その教え方や頻度が重要となってきます。
したがって、定期的にメンバーの状況を把握し、それぞれに合った育成を施す必要があるでしょう。
強い組織作りを実現する施策5選
前項の条件を把握したうえで具体的にどのような施策を打てばいいのでしょうか。
- 理念・行動規範のガイドライン化
- 理念・行動規範の浸透を狙った全社ミーティング
- 従業員の目線に立ったコミュニケーションの習慣化
- 人事評価制度の見直し
- スキルアップ支援の充実
本パートでは、強い組織作りを実現する施策を5つ解説します。
理念・行動規範のガイドライン化
強い組織作りを実現する施策の1つ目は、理念・行動規範のガイドライン化です。
企業で働く人にとって理念・行動規範はいつでも念頭に置いておくことが必要であるため、新入社員や中途で入ってきた社員など誰もが一目でわかるように明文化しておくことが大切です。
ガイドライン化するメリットは2つあります。
1つは復習可能という点です。
口頭で言われたことも書いてあればいつでも思い出すことが可能です。
もう一つは再現性があることです。
企業理念や行動規範が誤ることなく社内で伝播していくでしょう。
理念・行動規範の浸透を狙った全社ミーティング
強い組織作りを実現する施策の2つ目は、理念・行動規範の浸透を狙った全社ミーティングの実施です。
前提として、理念や行動規範というものは抽象的です。文字であらわされただけで完全に理解できるものではありません。
したがって、その企業の理念に精通している人物が企業の生い立ちや歴史を踏まえて説明することで、より明確に意味・意図を伝えられ、従業員も納得感をもって理解できます。
そこで活用できるのが全社ミーティングです。
ただ会社の全員が集合すればいいというわけではなく、ポイントは経営層が直接社員に企業理念・行動規範を伝えることです。
また、定期的に行うことで社員に刷り込みをするのもいいでしょう。
従業員の目線に立ったコミュニケーションの習慣化
強い組織作りを実現する施策の3つ目は、従業員の目線に立ったコミュニケーションを習慣化することです。
理念・行動規範の浸透や目標の共有は、伝える手段を問わないならば、理解は得られても納得感は生まれません。
したがって、常に従業員の目線に立って理解してもらえるようなコミュニケーションをとらなければなりません。
具体的な施策として、各チームの管理者がメンバーに対して定期的に1on1を行うという手段があります。
1対1で業務を振り返りながら目標数値を共有することで、メンバーに当事者意識が生まれます。
また、キャリアの相談に乗ることで、企業理念・行動規範とメンバーの価値観とのすり合わせが行えるでしょう。
人事評価制度の見直し
強い組織作りを実現する施策の4つ目は、人事評価制度の見直しをすることです。
納得感のある評価でなければ社員のエンゲージメントは下がり、最悪離職のリスクもあります。
まずは、評価理由や背景が明確であるか確認しましょう。上司の主観的な評価では社員の納得感は生み出せません。
他にも評価時期・回数は適正であるか、プロセスを評価しているか等の見直しポイントがあります。
まだ評価制度を導入していない場合は、すでに確立された手法を導入してみると良いでしょう。
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スキルアップ支援の充実
強い組織作りを実現する施策の5つ目は、スキルアップ支援を充実させることです。
メンバーのスキルが上がれば成果が高まるのは言うまでもないことで、成長できる環境制度を整えてあげることが重要となってきます。
語学教育支援・資格取得支援、研修制度、OJTなどメンバーのスキルを向上させる制度は多岐にわたり、業務に必要な制度を選択したうえで、個々の能力開発に取り組みましょう。
また、メンバーが適切なプログラムに参加できるように日々面談などで悩みや目標を聞き出し、整理することも大切です。
まとめ
本記事では、強い組織の作り方について解説しました。
強い組織をつくることで、会社の規模や取り巻く環境に関係せずビジネスを盛り上げることが可能になります。
強い組織となる条件はたくさんありますが、一つ一つ解決していくことは会社にとって必ずプラスになることであるため、ぜひこの記事を参考にして組織を運営の在り方を再考していただければ幸いです。
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強い組織になった時と同じような効果を得ることができることから、パフォーマンスマネジメントを実践する組織=強い組織なのです!
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