ビジネスの基本である「報・連・相」を知らない人はいないと思います。
報連相は「ほうれんそう」と読み、新卒で採用されるとすぐに覚える仕事の基本です。新人の頃には「報連相を徹底しなさい」と口酸っぱく言われた経験のある方も少なくはないと思います。
しかし、当たり前に使われている「報連相」のほかに「おひたし」という言葉があるのをご存知でしょうか?「報連相」とは、部下がとるべき行動であり、「おひたし」とは上司に求められる行動の事をさします。
この記事では、部下からの報連相に対して上司がとるべき4つの行動である「おひたし」のほか、職場における人間関係の構築に大切な「こまつな」「ちんげんさい」についても解説します。
報連相とは
報連相とは、コミュニケーションに重要な「報告」「連絡」「相談」の3つの頭文字をまとめたビジネス用語です。
報連相はビジネスにおいて守るべき基本的なコミュニケーションであり、この3つを迅速かつ的確に行われることによって業務をスムーズに進めることができます。報連相は、例えばメールや会議、報告書など数々のシーンで求められ、情報の重要性や受け手のニーズに応じて適切な伝達方法が選択されます。
あらゆるシーンにおいて、この報連相を守ることによってコミュニケーションが円滑になることから、多くの新社会人が最初に企業から教わるのがこの報連相であり、内定者セミナーや新入社員研修では題材に盛り込まれることも少なくありません。
ここでは報連相の本当の意味について改めて解説していきます。
報告
「報告」とは、過去の情報を共有することを指します。
例えば「ミーティングで新しく〇〇を行うことが決まった」「取引先と共同で○○を進めることになった」などと、既に決定したことを他者に伝えるのが報告です。
日常の業務においては、自分のタスクが完了したタイミングで直属の上司に報告が必要となります。自分の仕事がどのような結果となったのかを共有することにより、評価とフィードバックに繋ぐことができます。
このように、報告が正確に行われることにより、その成果に対しての気づきを次の業務に活かすことができます。業務の進め方を効率的になるように工夫したり、パフォーマンスを維持したりするためにも、きちんと報告を行うことが大切です。
連絡
「連絡」とは、現在進行形で取り組んでいる業務について、関連する人たちと共有することを指します。
例えば「次の打ち合わせは〇日後です」「この案件は〇〇まで完了しています」のように、共有したい業務の進捗を相手に伝えるのが連絡です。
業務の進捗を伝えることによって、上司からのアドバイスを得ることができます。上司にとっても、依頼したタスクがきちんと進んでいるのかを確認することができ、さらに成果を上げるために必要なものもわかります。
このように、連絡が正確に行われることにより、業務の進捗がお互いに把握でき、アドバイスを引き出すことによってトラブルを回避し、プロジェクトの成果につなげることができます。
相談
「相談」とは、未来に起こり得る問題について共有することです。
例えば「〇〇の会議までに資料が完成しないかもしれない」「〇〇が原因で、商談がうまくいかない可能性がある」のように、問題をあらかじめ予測した上で助言を求めるのが相談です。
これは、予測されるトラブルについて、上司にあらかじめ相談することで対策を考え、適切に対応することが目的です。トラブルに適切に対処できないと、利益や信頼の損失を招きます。自分一人で判断するよりも多角的に問題に対処し、リカバリーに努めることができるため、問題が予測できた時点で早めに相談することが重要です。
このように、トラブルに対しては隠したり自分だけで解決しようとせず、上司に相談し判断を仰ぐことがチームでの業務においては重要となります。
報連相の時に上司が心がけるべき「おひたし」とは
では、部下からの報連相を受けた上司が心がけるべき「おひたし」とは、どういった意味を持つのでしょうか?「ほうれんそうのおひたし」とも呼ばれるほど、報連相と同じように大事な心得とも言われています。そんな「おひたし」は、次の言葉の頭文字を取ったものです。
- 「お」怒らない
- 「ひ」否定しない
- 「た」助ける
- 「し」指示する
報連相が広く知られているのに対して、「おひたし」が聞いたことがない!という人も多いかもしれません。ここでは「おひたし」の詳しい内容について解説していきます。
お:怒らない
「お」は、部下からの報連相に対して怒らない、という対応を表します。なぜなら、上司が部下に対して怒りや感情的な態度をぶつけると、部下は自分の報連相に上司の怒りの感情がぶつけられたことにより問題の解決までに混乱し、今後積極的に必要な事柄を共有しづらくなってしまうからです。
皆さんは、「怒る」と「叱る」の違いをご存知でしょうか?
「怒る」=感情に身を任せている際の行為であり、相手との信頼関係を損なう可能性があります。怒っている時、その人は感情が高ぶっている状態で、不快や不満を表現しています。怒りは声のトーンや機嫌に表れ、相手の行動や言動に対して否定的な反応を示すことがあります。
ただし、相手のためを思って注意する=「叱る」行為は、場合によっては必要です。叱るというのは、理性的に問題を指摘し、それに対処するための行動です。叱る際には冷静であり、問題の「解決」に焦点を当てたコミュニケーションが重要です。このように、叱ることは、誤った行動を修正し、一緒に成長や改善を目指すために行われます。
以上の事から、「怒る」行為は部下の行った報連相に対する反応としてふさわしくないことがわかります。上司が部下に対して理解を示し、コミュニケーションを受け入れる姿勢を示すことで、部下はよりオープンに情報を共有し、信頼関係が築かれます。
ひ:否定しない
「ひ」は、報連相に対して否定しない、という姿勢を示します。なぜなら、報連相というポジティブなアクションが否定されると、その人は情報を共有することに苦手意識感じるようになるかもしれないからです。この状態が続くと、情報の流れが滞り、チームや組織全体の効率や効果が低下する可能性があります。
仕事をする上で、上司が部下の意見を否定する場面は少なからずあるもの。しかし、そのような場合でも、まずは相手の意見や言葉を受け入れてから自分の意見を伝える姿勢を意識し、冒頭からいきなり否定することは避けましょう。これは「イエス・バット法」といい、意見や提案をする際に、まず相手の提案やアイデアを肯定し、その後で自分の考えや意見を述べるというものです。
このように、否定したい件に関しても順番を意識したコミュニケーションによって、会話の中の否定のニュアンスを和らげることができます。また、受け手側も状況をネガティブに捉えすぎず「否定された」と落ち込まないことが大切です。このような会話のマナーはお互いの心掛けが重要となります。仮に不本意だと思うことがあっても、それをポジティブに捉えることで自信や成長につながります。
た:助ける
「た」は、部下からの報連相に対して助ける、という姿勢を表します。なぜなら、部下から上司に助けを求めることはハードルが高く、気づいたときには状況が深刻になっている場合もあるからです。
部下を助けるのは上司の立場として当然の役目ですが、だからといって過剰に助けすぎると、場合によっては部下の成長の妨げになってしまうこともあります。「助けること」と「サポートすること」は別物です。部下が悩んだり困ったりしている時は、まずサポートから行います。その結果次第では、さらにサポート続けるのか、しっかり介入し助けるのかを判断するのがよいでしょう。
このように、普段からの報連相の際に、現状を把握しつつケアした方が良い点がないか気にかけ、早めに助け舟を出すことが重要です。
し:指示する
「し」は、報連相に対して指示する、という対応を表します。指示によって責任を奪う事にもなるのではないかとあまり良い印象を持たない人もいますが、実は指示はとても重要な教育過程の一つです。
なぜなら、責任を持たせることと、何も教えない・指示しないことは全く異なるからです。ビジネスの方向性や目標、社会人としてのルールなど、最低限の事柄は伝える必要がありますし、もし相手の知識やスキルが不足しているのであれば、具体的な解決策まで含めて「指示」することは教育的な観点からも重要です。
しかし、部下が何においても「指示待ち」の状態になるのはよくありません。何事も、まずは自主的に考えるという自発的な姿勢を尊重し、その上で業務への経験やスキルが不足しているのであれば、的確な指示や改善策を出しましょう。その際の注意点は「指示の根拠や理由・背景を伝えること」です。
このように、上司としては、日頃から部下が質問をしやすい雰囲気を作ってあげることが大切です。円滑なコミュニケーションはもちろんのこと、部下を気にかけた声掛けを心がけるとよいでしょう。
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部下に伝えるべき心得「こまつな」とは
ここまでは「おひたし」について紹介しましたが、「こまつな」という言葉もあるのをご存知でしょうか?「こまつな」は、部下に伝えるべき業務上の心得を指し、次の言葉の頭文字を取ったものです。
- 「こま」困ったら
- 「つ」 使える人(できる人)に
- 「な」 投げる(協力を要請する)
このように、「困った時は分かる人に助けてもらう」ことの頭文字となっています。ここでは、「こまつな」の意味についても詳しく解説していきます。
こま:困ったら
「こま」は、困ったらアクションを、という部下の心得を表します。分からない事を分からないまま頑張り続けてしまうと、ミスが起きてしまうリスクはもちろん、結果が出ないことから時間の無駄にもなり得るからです。
例えば、取引先からのイレギュラーな要望に対して、どう対応したらよいのかわからないまま、自己判断で商談を進めてしまったとします。その後、ある程度話がまとまった段階でこの要望に応えられないことが発覚してしまうと、取引先の期待に対して信頼を損なうほか、表無に遅れが出てしまい、別案を練ったり交渉にかける時間までもが十分に確保できないという状況になってしまいます。
このことから、部下が困難な状況を見過ごさず、スピード感を持って対処できるかどうかがビジネスのコミュニケーションにおいて重要となります。上司としては、部下に困りごとがないか、常にアンテナを張っておくことが大切です。
つ:使える人(できる人)に
「つ」は、使える人・できる人を頼る、という部下の心得を表します。これは、チームで仕事を進めていく上で重要なポイントとなります。
仕事というのは、会社という環境においては個人が部署やチームに所属して進めていくものです。責任感を持って自分の業務を進めていくことはもちろんですが、周りにいる上司やメンバーの存在を頼ることも忘れてはいけません。自分だけでは思いつかなかったようなアイデアや、助言を貰えることによって、業務が円滑に行えるほか、精神的にもストレスが軽減されます。
このように、周囲を頼ってもいいことを忘れないようにしましょう。部下が上司を頼ることは、指導やサポートを受けるだけでなく、組織全体の方針や目標に沿った行動や意思決定を行うための重要な手段です。また、上司と部下の間でのコミュニケーションを促進し、協力関係を築くための機会ともなります。
な:投げる(協力を要請する)
「な」は、投げる=周囲に協力を要請しよう、という部下の心得を表します。なぜなら、自ら進んで周囲の協力を得ることが、時に問題解決の最善の方法となるからです。
部下の中には、周囲に協力してもらう事=自分の弱さを認めること、のように感じているケースもあります。しかし、部下が一人で失敗できない問題に向き合ってしまうと、本人の負担となるのはもちろんのこと、周囲に助けとなってくれるメンバーがいるのに協力が要請できないような関係性であれば、今後あらゆるシーンにおいて円滑なコミュニケーションが難しくなっていきます。
責任感が強い部下ほど、自分でなんとかしようと抱え込んでしまうこともあるでしょう。しかし、ビジネスを円滑に進めていく上で個人の力だけでは限界があるため、管理職はチームの力で最大限の結果が出せるように日々マネジメントに努めています。そのため、周囲は協力の準備ができていることを理解し、上司やメンバーを頼ることも業務のパフォーマンスを上げる方法の一つです。
部下が「ちんげんさい」になっていたら危険の合図
この他に「ちんげんさい」という言葉もあるのをご存知でしょうか?「ちんげんさい」は報連相とは対となり、部下とのコミュニケーションが危険な状況である以下の態度を表します。
- 「ちん」沈黙する
- 「げん」限界まで言わない
- 「さい」最後まで我慢
部下にこの兆候が出ていたら、退職の危機とも言われており、上司としてはすぐにアプローチを行う必要があるでしょう。ここでは「ちんげんさい」の内容について詳しく解説していきます。
ちん:沈黙する
「ちん」は部下が沈黙してしまっている状況を表し、危険です。なぜなら、これは部下が上司にきちんと報連相を行うことができなくなってしまっているという状況を表しているからです。このような沈黙による報連相の欠如は、情報の欠如やコミュニケーションの停滞を引き起こす可能性があります。
例えば、部下が沈黙していると進捗状況や問題点、提案などの伝達が行われないため、マネージャーやチームリーダーが意思決定を行う際に必要な情報が不足します。また、建設的な議論の場がなくなり、問題の解決やアイデアの発展が妨げられることがあります。すると、イノベーションや創造性が抑制され、組織全体の成長や発展が阻害される可能性があります。
部下が沈黙してしまう背景には、普段からのコミュニケーションの不足や、意見を述べることへの不安がある場合があります。このような状況が続くと、チーム全体のモラルやモチベーションが低下し、成果やパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。
そのため、このような雰囲気を作り出さないためにも、上司やリーダーは部下の声を積極的に聞き、彼らが安心して意見を述べることができる環境を整えることが重要です。
げん:限界まで言わない
「げん」は部下が限界を感じるまで本音を言えなくなっている状況を表し、危険です。なぜなら、部下が限界を感じるまで不安や心配事、分からないことを放置してしまうことによって、物事は収集がつかない程悪化している可能性が高いからです。
例えば、部下が本音を言わないようになると、課題や問題が隠蔽される可能性が高まります。部下が自分の意見や懸念を言い出せない場合、上司やチームリーダーは課題を把握できず、適切なタイミングでの対処ができなくなります。また部下が限界を感じるまで本音を漏らせない状況では、本人のキャパオーバーに気づくことも遅れてしまい、結果的にチームメンバー間や部門間の連携が損なわれ、業務の効率性や品質に影響を与える可能性があります。
このように、部下が限界まで本音を言えない状況は、報連相や組織内のコミュニケーションに様々なリスクをもたらします。上司やリーダーには、部下が限界に達する前に小さな相談事も話せるよう雰囲気を提供することが求められます。
さい:最後まで我慢
「さい」は部下が最後まで辛い状況を我慢している様子を表し、非常に危険なステップです。なぜなら、辛さやストレスを我慢し続けることは、部下の身体的・精神的健康に悪影響を与える可能性があるからです。
部下がストレスや不満を解放できないまま蓄積していくと、次第に高まったストレスレベルが心身の健康に影響を及ぼすリスクとなります。これにより、部下に疲労や不調が引き起こされ、キャリアの継続が難しくなるほか、チームや組織の方向性が不安定となる可能性があります。
このような状況に陥ってしまうと、部下の今後のキャリアや人生に大きな負担をもたらしてしまうほか、周りでこの過程を見ていたメンバーによる会社への不信感が高まります。
上司としては、このような状況を作り出さないこともマネジメント分野における一つのスキルです。部下が最後まで辛さを我慢しなくてもよい、快適なチームを維持するために、コミュニケーションでの働きかけを心がけましょう。
部下が報連相できるようになるポイント
では、部下に心がけてほしい「報連相」を、円滑に行ってもらうためにはどうしたらよいのでしょうか?ここからは、上司が取り組むべき5つのポイントについて解説していきます。
ポイント1:報連相のポイントやコツを伝える
1つ目は、部下に報連相のポイントやコツを言語化して伝えることです。なぜなら、報連相において重要なことを認識してもらうことにより、コミュニケーションがポジティブで効率的になるメリットがあります。
1.報告、連絡、相談のうち、どれを行いたいのか明確にしておく
複雑な状況では、どれを使うべきか判断が難しくなりますが、報告、連絡、相談の適切な使い分けがポイントです。
例えば、商品の納品遅延が発生したとします。この際に、関係者に行うべきは「連絡」、上司に行うべきは「報告と相談」となります。報連相を適切に行うためには、状況を整理し、各情報の優先順位や適切な伝達方法を判断する必要があります。
2.優先すべき報告、緊急性の高い報告を明確にしておく
仕事を遂行する際には、優先順位を正しく設定することが極めて重要です。報連相においても同様で、何をすぐに報告すべきか、後回しにしても問題ないことは何か、連絡の緊急性は高いか低いか、早急に相談すべきか後で良いのか、その優先順位を明確にすることが必要です。
例えば、「大きな問題が発生した」「顧客の希望する納期に間に合わないことが明らかになった」「取引先とトラブルになった」等の緊急性の高い事態が生じた場合には、最優先で上司に報告します。
上司から報連相してほしい事項を事前に伝えておくことで、お互いの前提が揃うことで、スムーズな報連相ができるようになります。
3.報連相の相手を明確にしておく
報連相は常に相手がいる行動です。報告すべき相手、連絡が必要な相手、相談すべき相手を明確にすることが重要です。
通常は、直属の上司が報連相の主な相手ですが、関係者が多い場合は他の相手にも報連相をすることがあります。ただし、報連相の相手を誤ると、効果的とは言えません。
例えば、関係者全員にグループチャットなどで一斉に連絡する場合、誰に向けられた情報なのかが明確でなく、結果的に誰も反応しないことがあります。報連相も同様で、適切な相手に絞って行わないと、情報が受け取ってもらえない可能性があります。
そのため、一斉連絡は避け、必要最低限の関係者に絞って報連相することが重要です。
4.結論から先に述べる
報連相においては、報告すべき事項の結論を一番最初に伝えてから説明することを心がけることも重要です。
例えば、「相手に新しい提案をしたところ、OKをもらったがいくつかの条件を出されました。それでもよろしいでしょうか?」といった具体的な条件を最初に伝えることで、報連相を円滑に進めることができます。
特に相談の場合には、「例の○○の件で相談したいのですが、よろしいですか?」と最初にざっくりとした相談内容を伝え、相手に時間を取ってもらうようにします。相談にはある程度の時間を要することがあるため、「相談です」と最初に宣言することで相手に心構えをしてもらう必要があります。
5.主観と事実を分けて伝える
上司に報告する際に、自分の主観と事実をごちゃまぜにした曖昧な表現を使う人がいますが、これは悪い報連相のやり方です。上司は事実を知りたいので、「~のようだ」「~と聞いている」といったあいまいな情報は不要です。
また、自分の主観や考えを事実に混ぜると、実際に何が起きているのかがわかりにくくなります。したがって、「こちらの商品の売り上げは○○でした。しかし、私自身は違う商品の方がもっと売れると思っています。」などと、主観と事実をきちんと分けて報告することが重要です。
6.タイミングに気を付ける
仕事では、誰もがいつでも自分の話を聞いてくれるわけではなく、みんなが自分の仕事を抱えており、その合間を縫って他人の話を聞いています。そのため、相手の都合をよく見極め、報連相のタイミングを把握することが重要です。
相手の状況に合わせて、口頭やメールなどを決めるようにすることがおすすめです。
ポイント2:報連相に関するルールやガイドラインを作る
2つ目のポイントは、報連相に関してルールやガイドラインを定め、全員が同じ認識を持てるようにすることです。なぜなら、全員が同じ報連相のルールをフォローできることにより、組織内での伝達のムラがなくなり、全体的に質の高い報連相が可能となるからです。
例えば、『何を』『誰に』『いつ』『どのように』報連相するのか等のルールが明確であれば、全員がそのルールに沿って情報を伝達することができ、業務上で誤解が生じる可能性が低くなり、コミュニケーションの精度が上がります。
報連相の方法に関しては、「業務の進捗状況を、午前と午後の業務が終わったタイミングで、チャットを通じて箇条書きで報告する」といった、簡単なルールでも問題ありません。重要なのは、全員がフォローできるルールであることです。
また、テレワークが普及した環境においては報連相の手段に関しての基準を設けるのもよいでしょう。
報連相の手段としては、電話、Web会議、メール、チャットツールなどがあります。それぞれの使い分けは、以下のように行うとスムーズでしょう。
- 電話
- 当日中の見積もり依頼や変更点など、素早い対応が求められるもの
- メールやチャット
- 来週以降の話(一旦メールやチャットで文面での連絡を行い、改めてWeb会議を申請するなど)
- Web会議
- 重要な検討が必要なもの
この手段を基準とし、緊急性によって柔軟に使い分けるなど、それぞれの特徴に応じた手段を選ぶことも伝えておきましょう。
このようなルールやガイドラインがあることで、報連相に関するリスクを管理することができます。特に機密性の高い情報を扱う場合や、重要な意思決定を行う際には、伝達の際にミスが発生しないような適切なルールやガイドラインが不可欠です。
ポイント3:報連相のテンプレート文を作る
3つ目のポイントは、報連相の際のテンプレートを作成することです。これは、メールや文面での報連相の際にとても役立ちます。なぜなら、テンプレートに沿って伝達ができることで、報連相のメッセージに含まれる情報の漏れや誤りを防ぐことができるからです。
例えば、5W1Hというフレームワークを報連相のテンプレートに用いることができます。5W1Hとは、5つのW(When,Who,What,Why,How)と1つのH(How)を基本に相手に伝達する手法です。
「製品交換の件でご相談です。昨日○○の店舗から当社の製品に欠損があったとの連絡が入りました。この店舗ではすでにキャンペーンの準備を行っているため、○月○日までの返品交換を希望されています。約○○円のコストがかかる見積もりですが、早急に進めてもよろしいでしょうか?」のように、情報を5H1Wにならって報連相を行うことで、必要な情報の漏れを防ぐことができます。
他にも、事業の内容によって必ず伝達が必要な情報を、箇条書きのようにテンプレート化するのも効果的です。
このように、テンプレートに事前に定義された項目やポイントがあることにより、重要な情報が漏れることなく、報告や連絡が誰にでも伝わるよう適切に行われます。どの情報が確実に伝わって欲しいのかにより項目やポイントを設定することで、報連相のメッセージが一貫性を持ちます。
ポイント4:心理的安全性の高いチームを作る
4つ目のポイントは、チームの雰囲気を、心理的安全性が高いものにすることです。なぜなら、心理的安全性が高いことによってあらゆるコミュニケーションが円滑になり、認識のずれや情報漏れを格段に減らすことができるからです。
心理的安全性とは、「率直な意見、素朴な質問、違和感の指摘が、いつでも誰でも気兼ねなくできる度合い」の事を指します。
心理的安全性の高い環境では、メンバーが自分の意見や考えを自由に表明し、感情や懸念を率直に共有することができます。その際に、メンバーがストレスやプレッシャーを感じることなく、自分の意見や感情を安心して表現することができるのも特徴です。
このような環境では、報連相を行う上でのストレス値がかなり低く、メンバーのメンタルヘルスがよい状態で保たれています。この環境において健康でバランスの取れているメンバーが報連相を行うことで、生産性や効率性がさらに向上することが期待できます。
また心理的安全性の高い環境では、メンバーが協力して問題を解決しようとする傾向が高まります。誰かの相談や協力の要請に対して、お互いに受け入れ、助け合うことができる環境では、コミュニケーションがより建設的なものになり、チーム全体のパフォーマンスが向上します。報連相が円滑に行われることによって、問題があっても早期に発見され、適切に対処ることも可能になります。
このような理由から、心理的安全性の高いチームを作ることは、報連相の円滑な実施やチームのパフォーマンス向上に不可欠です。心理的安全性を重視することで、メンバーはよりオープンで建設的なコミュニケーションを行い、組織全体の成果に貢献することができます。
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ポイント5:1on1ミーティングを導入する
5つ目のポイントは、1on1ミーティングを定期的に行うことです。1on1ミーティングにより、部下の気持ちにフォーカスし開示してもらう機会が設けられ、報連相の不足による問題発生のリスクを最大限抑えることができるからです。
1on1ミーティングでは、上司と部下が個別に時間を割いて直接対話する機会が提供されます。部下がストレスや不満を抱えている場合にはその解消に向けた働きかけを行うことができ、部下が日常業務の中で抱える疑問や問題を直接上司と共有することで、適切な対策や支援を行うことができます。
1on1ミーティングの機会を定期的に設けることは、日頃の報連相を円滑にすることにも役立ちます。部下がよかったことや不安なことの両方において上司へ気持ちを開示することに慣れていると、部下が「ちんげんさい」に表される「沈黙してしまっている・限界を感じている・最後まで我慢している」といった状況を抱えるまで事態が悪化してしまうのを防ぐこともできます。
以上のように、1on1ミーティングは上司と部下の間で個別の対話とフィードバックを促進し、信頼関係の構築やストレスの解消、コミュニケーションのハードルを下げる効果など、報連相の実施に直接的に貢献します。
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まとめ
この記事では、「報連相」に始まりビジネスにおいて大切なコミュニケーション能力を代表する「おひたし」「こまつな」「ちんげんさい」についてもご紹介しました。
この4つのコミュニケーション方法の実践によって、上司と部下双方の環境がより快適になるほか、人材の育成や指導がスムーズに行えるようになります。また、部下の「報連相」「こまつな」に加え、管理職の方々が自分自身の「おひたし」に不安がある場合には、研修を実施して全員で共通の認識を持つことも効果的です。
ぜひ、今日から一つずつでもアクションに移し、コミュニケーションの円滑化と目標の達成に役立ててみてください!
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