「PDCAを回しているはずなのに成果が伸びない」
「改善策が続かず、結局いつものやり方に戻ってしまう」
管理職が抱えるこうした悩みの多くは、PDCAが形だけで運用されていることに原因があります。
本来PDCAは、複雑な理論ではなく、行動を改善し成果につなげるためのシンプルな仕組みです。正しく使えばチームの生産性や再現性を大きく高められます。
この記事では、管理職として押さえておきたいPDCAの基本から、現場で定着させる具体的な方法までをわかりやすく説明します。読み終える頃には、あなたのチームで「確実に成果を生み出す改善サイクル」を回せるようになります。
目次
PDCAとは
PDCAサイクルとは、Plan(計画) → Do(実行) → Check(評価) → Action(改善)
の4つの流れを繰り返し、業務や成果を継続的に高めていくためのフレームワークです。
一度きりの改善ではなく、計画し、試し、課題を確認し、さらに良い方法にアップデートする、という循環を何度も回すことで、生産性や品質を高めていくことができます。
PDCAが日本に広まったのは戦後の品質向上活動が始まりだったと言われています。それ以降、製造業だけでなく、組織運営、人材育成、サービス業、プロジェクト管理など、幅広い場面で活用されるようになりました。
(参考)清水誠のWeb解析ストラテジー 第5回「PDCA」の意外な歴史と本質|ITmediaマーケティング
PDCAの4つの要素
PDCAの4つの要素は、仕事をより効率的に行うための順番を示してくれます。

Plan:計画
Planでは「どこがゴールなのか」「何をもって成功とするのか」を明確にしておくことが必要です。曖昧な目標のまま進めてしまうと、実行した後にうまくいったかどうかの基準が作れません。ただ目標を決めるだけでなく、現状を整理し、改善したい点を明確にしましょう。
計画で押さえるべきポイントの例を以下に紹介します。
- 目的を一文で言えるかたちにする
- 達成を数値で判断できるようにする
- 期間や使う道具を決めておく
- 進め方を細かいステップに分ける
このように、計画はPDCAの出発点であり、流れ全体の質を左右する重要な工程です。数字や期間などを具体的に決めて、進め方の見通しを立てていきます。
Do:実行
Doは計画で決めた方法をそのまま実際の行動にする段階です。途中で思いつきで方法を変えず、決めた手順を一度やってみることが求められます。
実行時に意識すべきポイントは以下です。
- 手順書やメモを必ず確認してから始める
- 時間や回数などをメモに残す
- 問題が起きたら必ず状況を書き留める
- 途中でやり方を変えず最後まで同じ条件で行う
実行段階では、記録の正確さが後の評価に大きく影響します。計画通りに実行し、正しく記録することを心がけましょう。
Check:評価
Checkの段階では、「どこがうまくいき、どこが改善対象なのか」を記録を元に明らかにします。評価の目的は責めるためではなく、次の改善を正しく選ぶためです。感覚で判断せず、数字や記録を使って事実を整理しましょう。
評価するときには以下の点を見ると客観視できます。
- 計画した数値に近づいたかどうか
- 決めた手順どおりに実行できたか
- 想定外の問題が起きたか
- 問題が起きた場合の原因になりそうな部分はどこか
こうして原因を正しく捉えることで、改善の方向性が自然と定まっていきます。
Action:改善
Actionは評価で見つかった課題をもとに次の行動を良くする段階です。改善は大きく変えすぎず、小さく試して効果を確かめることが重要です。 小さな変更であれば、効果が出たかどうかを判断しやすく、副作用の有無もチェックできます。
改善時に意識したいポイントを以下に整理します。
- いきなり大きく変えず、小さく試す
- 効果を判断する基準を先に決める
- 試した結果を必ず記録する
- 改善が成功したら範囲を広げる
改善が成功したら、次の計画(Plan)をさらに質の高いものへ更新できます。この流れを繰り返すことで、PDCAの循環が強まり、仕事の質が向上します。
PDCAサイクルの効果
PDCAサイクルは、企業でも行政でも広く活用されており、継続的に成果を出すための信頼性の高い手法として位置づけられています。
以下にPDCAのメリットをいくつかご紹介します。
- 目標達成しやすくなる行動が身につく
- 作業が標準化し業務効率が高まる
- 評価を通して課題を早期に見つけ改善できる
目標達成しやすくなる行動が身につく
PDCAを回し続けることで、行動と結果のつながりを常に確認できるようになり、目標達成につながる行動を自然と選べるようになります。
自分の行動が成果に直結している感覚が育つため、長期的な目標でも途中で折れにくくなり、継続力が高まるでしょう。
作業が標準化し業務効率が高まる
また、PDCAによって作業が標準化されると、メンバー間のやり方の違いが減り、業務の再現性が向上します。
判断に使うエネルギーが節約されることで、ミスの減少や処理速度の向上が期待でき、効率化された時間をさらなる改善に投資できるようになるでしょう。
属人化が解消されることで教育コストや引き継ぎの負担も軽くなり、組織全体の負荷も下げることができるのです。
評価を通して課題を早期に見つけ改善できる
さらに、定期的な評価プロセスを持つことで、普段は気づきにくい課題を早期に発見できます。
問題を失敗ではなく改善の材料として扱う文化を育てれば、組織全体の適応力が高まり、変化の多い環境でも安定して成果を出せるチームに成長させることができます。
PDCAを効果的に回すためのポイント
PDCAを効果的に回すには、計画・実行・評価・改善の流れをただ繰り返すだけでなく、各段階で「何をどう扱うべきか」を意識することが重要です。
特に、記録を残して状況を正確に把握したり、データをもとに検証したりすることで、行動の質が大きく向上します。
明確な目標設定と計画作りを行う
行動の精度を高めるためには、最初にゴールをはっきり決めることが重要です。曖昧な目標では何を優先すべきか判断できず、改善の基準も作れません。
特に初心者ほど、目標を文章で書き起こすだけで、頭の中が整理されて行動がブレにくくなります。
【良い目標と悪い目標の例】
| 項目 | 良い目標 | 良くない目標 |
| 具体性 | 来週金曜までにA社・B社・C社へ新商品提案を行い、各社に見積もりを提出する | 新商品の提案を何社かにして、できれば数件は反応をもらう |
| 期限 | 今月末までに既存顧客のクロスセル提案で「受注件数を5件」獲得する | 今月中に売上を10%くらい上げたい |
| 判断基準 | 毎日17時までに「訪問(オンライン商談)2件」と「新規架電10件」を実施し、CRMに記録する | なるべく毎日数件は電話して、商談も入れられるときに入れる |
このような明確な目標があると、プロセス管理の質が一気に高まります。
なお、効果的な目標管理のフレームワークの1つに「SMARTの法則」があります。以下の記事では効果的な目標設定の方法について詳しくご説明していますので、ぜひご覧ください。
行動プロセスの管理をする
目標を決めても、その日の行動が正しく積み上がらなければ理想には近づけません。
行動プロセスにおいて最も重要なのは、普段の行動を記録し後で見返せる形にすることです。
【行動プロセスで記録すべきポイント】
- 何をやったか
- どれくらい時間を使ったか
- うまくいった点
- つまずいた点
- 気づいたこと
これらを記録するだけで、続けるほど行動が整理され、計画と実行のズレにも気づきやすくなります。
データに基づく評価と検証をする
行動を振り返るとき、感覚だけで判断すると良い点も悪い点も曖昧になってしまい、改善の方向がずれてしまいます。
そこで重要なのが、記録した情報を数字や事実として見える形にして確認することです。
【評価に使えるデータの種類と役割】
| データの種類 | 内容 | 判断ポイント |
| 数量データ | 回数・時間・量 | 行動量が十分かどうか |
| 結果データ | 得点・成果物 | どれくらい改善したか |
| 変化データ | 前回比・増減 | どれくらい改善したか |
こうしたデータ評価がしっかりできていると、改善アクション作りがスムーズに進みます。
改善につながるアクション設計を行う
評価で見つけた課題をそのまま放置すると、次のサイクルでも同じ失敗を繰り返してしまいます。また大きすぎる変更は続かず効果が見えにくくなるので、小さいステップから始めましょう。
【改善アクションを作るときのポイント】
- 課題を1つにしぼる
- 小さくて実行しやすい行動に分ける
- すぐ始められるステップにする
- 成果を確認する基準を決める
具体化することで、また次のサイクルで正しく判断することができるようになります。
PDCAを組織に定着させる方法
PDCAを組織に根付かせるためには、個人に任せるのではなく、チーム全体で同じ流れを使える仕組みを用意することが重要です。
記録の形式をそろえたり、振り返りの場を確保したりすると、継続的な改善ができる環境が整います。以下の順番で定着させる方法を説明します。
- 仕組みづくり
- 運用ルール
- 1on1ミーティング
- 1on1とPDCAの連動
1、PDCAを根付かせる仕組みを作る
PDCAを定着させるには、記録フォーマットの統一や、定期的なふり返り会の実施など、誰でも同じ流れで実施できる仕組みが必要です。
仕組み化することで、担当者が変わっても継続的に改善できる組織になります。
2、継続するための運用ルールを定める
仕組みを整えても、運用ルールが曖昧だとPDCAは続きません。改善が途中で止まる多くの組織では、「いつ・誰が・どこまでやるか」が曖昧という共通点があります。
PDCAは一度やって終わりではなく、続けるほど効果が出る性質があるため、以下のように運用のペースを固定することが重要です。
- 毎週決まった会議で進捗を確認する
- 月に1回改善点を提出する
- 改善案は必ずチームで共有する
- 遅れが出た場合は理由と対策を書き残す
- 半年ごとに運用ルールを見直す
特に気をつけるべき点は、重すぎるルールにしないことです。まずはリストの中から1〜2個だけ導入し、慣れたら増やすくらいにしましょう。
3、1on1ミーティングを実施する
1on1ミーティングは、上司と部下が個別で話し合い、行動の進み具合や課題を確認できる貴重な場です。個人の状況に合わせてサポートできるため、PDCAの流れが乱れにくくなります。
1on1を効果的に行うポイントは以下の通りです。
- 週1回または隔週で必ず時間を確保する
- 成果だけでなく行動プロセスも確認する
- 困りごとをその場で整理する
- 次の行動を一緒にすり合わせる
4、1on1をPDCAに組み込むメリットとは
1on1にPDCAの流れを組み込むと、ただの相談で終わらず、次の行動が明確になる点が最大のメリットです。
PDCA×1on1の効果には以下のようなものがあります。
- 行動の方向性がズレにくくなる
- 改善点が毎回明確になる
- モチベーションが維持されやすい
- 個人の成長速度が上がる
1on1にPDCAを取り入れることで、組織全体として成長につながる改善が積み重なり、成果が安定していきます。
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PDCAサイクルが失敗する理由
現代では様々な業界で採用されているPDCAサイクルですが、現場で形骸化する場合も多くあります。以下は2つの代表的な例です。
1、計画と現状のギャップを把握できないケース
PDCAが形骸化する最も典型的な例の一つとして、目標設定と現状分析の不一致が挙げられます。現状を客観的に観察し、問題点を数値化しないまま行動計画を作成すると、優先順位の判断ができず、プロセス途中で改善策が迷走します。
2、データの収集が不十分な場合の問題
もう一つの典型的な例は、根拠となるデータが不足すると意思決定の精度が低下し、改善策の検証が困難になるケースです。PDCAサイクルでも数値や記録が少ない状態では、評価段階で原因の切り分けができず、具体的な改善案が作れません。
PDCAの活用事例
PDCAサイクルは多くの大企業でも業務改善の主軸として活用されています。
ここでは、トヨタ・無印良品・ソフトバンク・スターバックス・P&G の5社が、どのように製造・営業・チーム運営などの領域でPDCAを実践しているのかを紹介します。
トヨタによる現場主導のPDCA
トヨタの強みとして知られるトヨタ生産方式(TPS)は、PDCAが日々の作業レベルまで浸透しており、現場主導で改善が回り続ける仕組みが確立されています。
計画(Plan)では標準作業書を見直し、生産ライン上のムダを洗い出して改善テーマを設定します。たとえば、部品の取りに行く導線にロスがあれば、「歩行距離を10%削減する」といった具体的な目標を掲げる形です。
次に実行(Do)では、作業台の高さを微調整したり、動線を仮設したりと、小さな改善を実際の現場で試します。
そして、評価(Check)では秒単位の作業時間や不良率の変化を細かく測定し、効果が認められた施策を即座に標準化する改善(Act)の段階へと繋ぎます。
このPDCAが機能している背景には、現場が自ら日単位で改善を回す文化があり、作業者自身が改善の主体となる自律的な運営が徹底されている点があるからです。
(参考)「決断と責任を取るのが私の仕事」豊田章男がリーダー200名に伝えたこと|トヨタイムズ
また、トヨタはTPSを実現するため、PDCAサイクルに加えてスキルマップも導入しました。トヨタが取り入れて成果を上げたスキルマップについては、以下の記事で解説しています。
無印良品の商品開発を加速させる高速PDCA
無印良品では、店舗運営から商品開発まであらゆる領域で高速PDCAが回っており、顧客満足度向上の源泉となっています。
計画(Plan)では、販売データや顧客アンケートを基に課題を設定し、改善の仮説を立てます。人気商品であっても返品が目立つ場合は、パッケージ改善を仮説として扱うこともあるそうです。
実行(Do)の段階では、新しいレイアウトやパッケージを数店舗のテスト店で小規模に導入し、売上・滞在時間・顧客コメントなどを多角的に評価(Check)します。
最後に、改善(Act)では成果のあった施策を全国へ展開し、棚の高さや動線などの基準を整えていきます。
成功の背景にあるのは、数週間単位で回るスピード感、少数店舗での検証から全国展開までの流れの速さ、そしてデータを総合的に判断する分析力です。
(参考)【著者に聞く】良品計画名誉顧問 松井オフィス社長松井忠三氏|企業家倶楽部
ソフトバンクによる数値の明確なPDCA
ソフトバンクでは、営業活動の再現性を最大化するため、PDCAをKPIと密接に結びつけて運用しています。
まず、計画(Plan)では商談数・成約率・客単価など明確な数値目標を設定し、営業担当が実行(Do)します。
そして、評価(Check)では商談数や成約率のどこにボトルネックがあるかを分析し、たとえば成約率が低ければ、提案資料の改善点を洗い出すことができます。
それによって、改善(Act)では、提案書のフォーマットやターゲットリストを迅速に改訂し、次の行動に反映させることができるのです。
成果が出ている背景には、営業の「感覚」ではなくデータを基準に改善が行われ、チーム全体で改善点が共有される仕組みがあるから、と言えるでしょう。
(参考)【図解】劇的成長を実現する「孫流PDCA」8つのステップ|NewsPicks
スターバックスの顧客体験を対象としたPDCA
スターバックスは、飲食業の枠を超えて「顧客体験(CX)」全体を改善の対象としてPDCAを回す点に特徴があります。
計画(Plan)では、レジ待ちの長さやカスタマイズ需要の増加などから改善仮説を設定します。
次に実行(Do)でモバイルオーダーの先行導入やバリスタの配置変更を特定店舗で試験的に実施します。
評価(Check)の段階で行うのは、待ち時間の変化、回転率、売上、SNSレビューなど幅広い指標を用いた効果検証です。
そして最後に改善(Act)では、成果が確認された施策を国内外へ展開し、モバイルオーダーの標準化や店舗配置の最適化につなげます。
スターバックスが強いのは、数値化が難しい顧客体験を細やかな指標で管理し、単店舗だけでなく地域単位で検証を広げる体制に加え、バリスタやマネージャーが主体的に改善提案できる文化がある点です。
(参考)事業計画のPDCAを回すプランニングこそファイナンス部門に課せられた主要な任務――北川徹・スターバックス コーヒー ジャパン戦略・ファイナンス統括オフィサー|ダイヤモンド・オンライン
P&Gによるインサイト主導のPDCA
P&Gは消費者インサイトを起点にPDCAを徹底する企業で、商品開発からマーケティング、広告運用まで一貫した改善サイクルを持っています。
計画(Plan)では、消費者の本音を深掘りし、たとえば洗剤なら「香りより時短が重要」といったインサイトを見つけ、そこから仮説を設定します。
特にP&Gでは、実行(Do)の段階で、複数の試作品をユーザーに試してもらったり、広告コピーをA/Bテストしたりと、市場に近い環境で改善案を検証することが特徴的です。
評価(Check)では、それらを基に施策の効果を判断し、製品仕様を磨き上げる改善(Act)へとサイクルを繋ぎます。
成功の鍵は、インサイト→仮説→検証というマーケティングのPDCAが体系化され、R&Dとマーケティングが密接に連携することで高速に改善できる体制にあるからでしょう。
各企業には、それぞれオリジナルのPDCAの回し方がありますが、どの企業にも共通して言えるのは、PDCAが会社の文化になっている点です。
(参照)「P&G式リーダーシップ」 控え目女性社員が開花する! 3つの戦略×5つの行動指針|日本の人事部HRカンファレンス
PDCAを使う前に知っておくべき注意点
PDCAは効果的な手法ですが、やり方次第では「形だけ回して成果が出ない」状態に陥ることがあります。特に以下の2つの点に注意しましょう。
1、形だけにならないように小さく始める
PDCAを導入する際は、最初から大きな改善を狙わず、実行可能な小さな取り組みから始めることが重要です。無理な計画は続けにくく、形だけのサイクルになりがちです。
成功体験の積み重ねが、継続的な改善の基盤になります。
2、評価と改善をつなげてやりっぱなしを防ぐ
PDCAでは、評価と改善がつながっていないと“やりっぱなし”になってしまい、成果が出にくくなります。評価で見つけた事実をもとに、次の行動をどう変えるかを明確にすることが大切です。
ふり返りと改善設計をセットで行うことで、結果につながります。
PDCAはもう古い?
PDCAは多くの企業で使用されています。ただし、変化のスピードが速い現代では、課題の種類や求められる対応速度によっては、PDCAよりも他のフレームワークが適している場合もあります。
重要なのはPDCAを否定することではなく、その特性を理解した上で状況に応じて最適な手法を選び使い分けることです。
OODA(Observe–Orient–Decide–Act)
OODAは「観察 → 状況判断 → 意思決定 → 行動」という流れで、状況を先に見て判断し、すぐに行動へ移すことを重視したサイクルです。元々は軍事分野で使われ、変化や不確実性が大きい環境で素早く意思決定を行うための方法として広まりました。
PDCAとの違い
OODAは計画を立ててから動くのではなく、まず観察し、それに基づいてすぐに意思決定して行動します。
一方でPDCAは計画に時間をかけるため、急変する状況には向きにくい傾向があります。
そのため、OODAはスピードが求められる場面に適しています。
PDR(Plan–Do–Review)
PDRは「計画 → 実行 → 振り返り」の3ステップで進むシンプルな改善サイクルです。振り返り(Review)の中に次への改善を含めるため、短い周期で素早く回すことができます。日常業務の微調整や小規模改善に向いています。
PDCAとの違い
PDRはCheck(評価)とAct(改善)をまとめてReviewとして扱うため、PDCAより工程が少なく、軽快に回せます。
細かい分析や改善プロセスが必要な場面ではPDCAが有利ですが、スピード重視の改善にはPDRの方が扱いやすいことが多いです。
STPD(See–Think–Plan–Do)
STPDは「観察 → 考察 → 計画 → 実行」で進むサイクルで、行動に入る前の状況把握(See)と原因の考察(Think)を重視します。問題の全体像を理解し、思い込みによる誤った計画を避けるために使われます。
PDCAとの違い
PDCAではCheckの段階で評価して改善に進みますが、問題の原因を最初から深く掘り下げる設計にはなっていません。
STPDでは実行前に原因を十分に考えるため、そもそもの課題設定や方向性の誤りを防ぎやすい点が異なります。
DMAIC(Define–Measure–Analyze–Improve–Control)
DMAICは「定義 → 測定 → 分析 → 改善 → 管理」で進む、品質改善に特化したデータ駆動型の手法です。問題を数値で把握し、分析結果に基づいて改善を行い、その後の管理で効果を維持します。特に製造業や品質管理の現場で用いられています。
PDCAとの違い
DMAICは「測定」や「分析」など、原因を数値で特定する工程が明確に組み込まれており、精密な改善に向いています。
一方、PDCAは汎用的で柔軟に使えますが、分析の深さやデータ活用についての規定は緩めです。
まとめ
PDCAは、計画・実行・評価・改善を繰り返すことで、仕事や行動を継続的に向上させる最も基本的な手法です。
本記事で紹介したポイントを踏まえれば、個人だけでなく、チームや組織全体でも安定した成果を生み出す改善サイクルを実践できます。
目的を明確にし、記録とデータにもとづいて検証を行うことで改善の質が高まり、1on1やチーム内のコミュニケーションを通じて改善内容を共有すれば、メンバー同士の理解が深まり再現性も向上します。
さらに、マネジメントにPDCAを組み込むことで、組織としての意思決定がぶれにくくなり、継続的に成果を伸ばせる基盤が整います。
まずは小さく始め、対話と振り返りを重ねながら継続して回し続けることが、PDCAを組織文化として根づかせる最も確かな方法です。
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