360度フィードバックとは?組織の垣根を超えた評価のメリット・方法

360度フィードバックのメリット

360度フィードバックが非常に重要とされる理由は、職場内の様々な立場の人間からフィードバックを受けることができるという点です。

マネージャーでは認識しえない強みや貢献を特定できる

フィードバックの中から従業員が自分の強みを知り、それを活かし、さらには本人が気づいていない盲点を見つけることができます。

フィードバックをもとに改善を重ねることで、組織全体として高いパフォーマンスを発揮するために必要な情報や課題を特定ができるでしょう。

マネージャーは、多くの場合チームメンバーのことを、自分の組織で働いている人間としてしか見ていませんが、従業員は特定のマネージャーのために生み出された仕事をする機械ではありません。

チームや部署が異なる人やチームそのものとの関係においても、マネージャーには見えない働きをしているものです。

従業員が最高のパフォーマンスを発揮するためには、マネージャーの限られた視点以外からの評価が必要です。

マネージャーは通常、従業員のパフォーマンスを限定的な視点でみています。

作業高低と成果物、そしてスキル、特にコミュニケーションやコラボレーションにおける対人スキルを重視していることでしょう。

 従業員が一定のペースを保って仕事をこなせるように、あらゆる角度からフィードバックを受け取りる必要があります。

測定可能な特定のスキルに関連するものだけでなく、総合的なパフォーマンスを向上させることが非常に重要です。

フィードバックの客観性を高める

長期間にわたって誰かを管理していると、その人との関係が率直で有益なフィードバックをする妨げになることがあります。

例えば、高い評価を得ている従業員と親密な同僚のような関係では、欠点が見えなくなってしまうことがあります。

逆に、意見の相違や争いで緊張感のある関係であれば、チームメンバーの長所や成果を的確に評価するのは難しいでしょう。

マネージャーやリーダーが定期的に変わることで、チームメンバーが次のレベルに到達するために必要な新たな視点を得ることができます。

長い付き合いのある上司や同僚と従業員の関係は、過去の出来事や相互の信頼によって形成されています。

その従業員を客観的な目で見れる人間からの行動や業績を新鮮な目で見たフィードバックを得ることは、啓発的で、より公平なものと言えるでしょう。

チーム間の連携(アラインメント)を強化する 

360度フィードバックは、チーム間のコラボレーションを促進し、チームワークが強固になることで、組織全体のパフォーマンスが高くなります。

協力して仕事をするということは、他の分野で働く人たちのフィードバックを共有するということでです。

仕事の質だけでなく、彼らがどのようにチームとコミュニケーションをとっているか、どのように関わっているかを共有することで、参加型で活気に満ちた職場環境を作り、イノベーションと成功を導くのです。

360度フィードバックを組織に取り入れる方法

これまで見てきたように360度フィードバックが、従業員の能力を最大限に発揮させるために重要な役割を果たしていることは明らかです。

本パートでは、実践へ向けたステップと、組織内で360度フィードバックを促進する方法をご紹介します。

新人の教育プログラムに取り入れる

360度フィードバックを促進する最良の方法の一つは、入社日から360度フィードバックを体験して貰うことです。

そのための最良の方法は、採用プロセスの一部として取り入れることです。

新しいポジションに人材を採用する時は、部門外の人間も選考プロセスで面談を組むのがオススメです。

他の部門の人の意見を聞くことで、新しい人材がチームだけでなく、組織全体に順応できるかを明確に把握することができます。

また、新しい人材に対して、最初から部門やチームの垣根を超えたフィードバックをしてもらうという前例を作ることができます。

メンター制度を整える

従業員に組織全体からのフィードバックを受けさせたい場合は、社内の他の場所にメンターを設定しましょう。

上司のメンターとしての仕事は、従業員を指導し、可能な限り彼らのキャリアを育成することです。

しかし、直属の上司以外のメンターを持つとことは、従業員にとって、大きなメリットがあります。

自分の業績や給与に直接的な影響がない別の部署にメンターを置くことで、従業員は気を遣わずに話をすることができるのです。

その結果、従業員は心を開き、より幅広いネットワークを築くことができ、組織における上昇志向をも高めることにつながるのです。

組織内の部署を超えてメンターシップを育成する方法は積極的に模索しましょう。

例えば、リーダーが、さまざまな分野や部門の従業員のメンターに立候補できるようにしたり、リーダーやマネージャーがメンターとして相性がよさそうな従業員に直接アプローチすることもいいでしょう。

部門を超えたメンターシップは、360度フィードバックの基盤となります。

ツールの活用 

直属の部下ではない人へ直接フィードバックをすることに抵抗を感じる人もいるかもしれません。

だからといって、従業員の成長をサポートするために必要な360度フィードバックを得る方法がないわけではありません。

従業員が他のチームや部門と一緒にプロジェクトに取り組んでいる場合は、そのチームや部門のリーダーをはじめとするメンバーにフィードバックのリクエストを送ってみましょう。

パフォーマンスマネジメントを導入している会社では、マネージャーがその従業員と一緒に働く人たちにリクエストを送り、直接フィードバックを提供できるようになっています。

なお、このフィードバックはツールを活用する事によって、匿名で行うことができるので、マネージャーだけがフィードバックを見ることができます。

従業員が一緒に働いているチームやリーダーから回答を得たら、そのフィードバックを確認し、チームメンバーに対処できること、すべきことを抑えましょう。

それをもとにフィードバックについて直接話し合いましょう。

直属の部下にフィードバックを伝えにくい場合は、フィードバックツールを活用するとよいでしょう。

部下の成功と成長を支援するために必要な360度フィードバックを得ることができ、同僚は部下と直接向き合うことなくフィードバックを提供することができます。

フィードバックの一貫性を調整する

フィードバックは主観的なものです。

あなたが従業員に努力が必要だと思っていることでも、組織内の別のリーダーはそれを長所と見なしているかもしれません。

例えば、性格が穏やかでのんびりしている従業員がいたとしましょう。

上司としては、その従業員がプロジェクトやタスクを管理する上で、もっと積極的になるべきだと思うかもしれません。

ところが、リーダーシップスタイルの異なる上司からすると、そののんびりした態度を慎重ととらえ、評価するかもしれません。

また、組織内の2つのチームで仕事をしていて、一方のチームからはコミュニケーションスタイルを評価されていても、もう一方のチームからは、Slackでの積極的なメッセージやメールに圧倒されてしまうということもあるでしょう。

最悪なのは、従業員に相反する情報を与え、それを消化する手助けをしないことです。

360度フィードバックを扱う際には、複数の異なる意見を持つ人から送られてくるため、矛盾が生じる可能性があります。

そのため、フィードバックを整理し、実際に取り組んでほしいことを抽出する手助けをすることが重要です。

360度フィードバックによって発生したコメントを整理することで、従業員が異なる意見や矛盾したフィードバックに対する混乱を防ぎ、自分が取り組むべきことを正確に把握させることができます。

フィードバックを役立てる計画をつくる

フィードバックを与えた後は、それを実行に移すための計画を従業員と一緒に立てることが重要です。

従業員は、フィードバックを継続的なパフォーマンス目標に組み込み、定期的な1on1や評価面談を通してフィードバックが活用されてるかを判断する必要があります。

従業員がクロスファンクショナル・フィードバックをどのように実行するか、そしてその進捗をどのように測定するかについて具体的な計画を立てましょう。

その計画はチームメンバーを成功に導くだけでなく、360度フィードバックを奨励する取り組みが、結果につながっていることを確認することができるのです

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まとめ

部下がさまざまな部門のリーダーやマネージャーからフィードバックを受けることで、従業員と組織の両方が強くなります。

部署を超えたフィードバックを日常的にチームに取り入れることで、従業員と会社が成長し、活躍するために必要なフィードバックを得ることができるでしょう。

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