今いる社員の能力を最大限活かす施策をなさっているS級HRをお呼びして、その極意をお話いただくイベント「S級HR」
4回目の今回は『エンゲージメント向上の極意』と称し、企業の生産性を左右する重要なポイントである、エンゲージメントを向上する先進的な事例をご紹介いただきました!
※このイベントレポは2019年7月当時の内容となります。
今回のS級HR第4回では、
・株式会社アトラエwevox Evangelistの川本周様
・Unipos株式会社代表取締役(当時)の斉藤知明様
・ユニファ株式会社人事責任者(当時)の橋本祐造様
の3名をお招きし、モデレーターO:谷本の進行で、HR領域に特化したサービスを展開する各社だからこそ伝えることのできる、「従業員のエンゲージメントを向上させるための極意」を事例に基づいてお話しいただきました。
目次
エンゲージメントの高いチームの共通点は3つ。
初めにお話しいただいたのは、株式会社アトラエwevox Evangelistの川本周様による、「エンゲージメントの高いチームの共通点」でした。
株式会社アトラエ様は、2018年に社員数41名で東証一部上場した企業で、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンの元、現在3つの事業を展開しています。
▶転職を通して人と組織を元気にする求人メディア Green
▶組織の課題を発見し改善できるプラットフォーム wevox
▶ビジネスを加速させる出会い yenta
魅力的なサービス群の中で、エンゲージメントに関するサービス「wevox」です。
・2分でエンゲージメントの測定が可能
・機械学習技術を活用した分析利用可能
・SaaSモデルによる低価格での導入
といった特徴から、リリース後、わずか2年でご利用企業750社突破しているそうです!
ユニークなこのサービスを生み出した背景には、アトラエ様ならではの組織づくりのこだわりがあるとのこと。
アトラエ様の組織づくりにおいて大事にしているのが、
▶役職や肩書、出世の概念のない”フラットな組織”であること。
▶ルールよりも倫理観を重んじ、性善説に基づく運営を行うこと。
これにより、高い意欲を持ったメンバーが無駄なストレスなく生き生きと働ける組織を実現しているそうです。
具体的な施策として、
・指名した5名からの評価によって給与を決定する評価制度
・全社員で情報共有
・全社員が株主
・子連れ出社・リモートワーク
などがあるそう。
これにより、高い定着率・生産性、エンゲージメントを誇るそうです。
特にエンゲージメントについては、アジア全体で5位の働き甲斐のある会社なんだそうです!
しかし、そもそもエンゲージメントとはそこまで重要なものなのかと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、
エンゲージメントスコアは離職率と相関関係あり
エンゲージメントスコアは営業成績と因果関係あり
という分析結果があるそうです。企業経営のためには、やはりエンゲージメントにまで気を配る必要がありそうです。
エンゲージメントの高い組織づくりを行い、多くの会社をエンゲージメントという視点で見てきた川本様が考える、「エンゲージメントの高いチームの共通点」。それは、次の3つです。
①みんなが当事者である
②こまめにエンゲージメントを測定している
③WHY/強み/対 目標 に注目している
①みんなが当事者である
そもそもエンゲージメントとは仕事や組織に対して自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組めているか、という関係性の質を表す指標です。
エンゲージメントは大きく、
・ワーク・エンゲージメント(対仕事)
・エンプロイー・エンゲージメント(対組織)
の2軸に分けて考えることができ、前者は上司の影響が、後者は経営者・人事の影響が大きい領域です。
エンゲージメントを高めるにはこの2軸双方を高めなければならず、そのためには特定の誰かだけが頑張るのではなく、みんなが当事者となって高めていく必要があります。
②こまめにエンゲージメントを測定して、1on1で支援している
エンゲージメントは時間が経つにつれて変化していくものなので、組織のエンゲージメントをリアルタイムで把握し、適切な施策を打つ必要があります。
③WHY/強み/対 目標 に注目している
エンゲージメントを高めるための施策を打とう!と考えた時に注意したいのが、注目するポイント。次の3つに注意する必要があるそうです。
▶「HOW」より「WHY」
▶「弱み」より「強み」
▶「問題追求型」ではなく、「目標志向型」
また、エンゲージメントを高めようとすると労働環境や待遇の改善といった制度的な取り組みになりがちですが、やりがいや達成感、上司との関係のほうがエンゲージメント向上のためには重要なんだそう。
上司とのコミュニケーションの量と質がエンゲージメントに大きく影響し、1on1でプライベートな話も出来ている方がエンゲージメント上がるそうです。
エンゲージメントに課題感を持たれている方はご自分や組織のコミュニケーションの仕方を振り返ってみてはいかがでしょうか。
若手社員のエンゲージメントを向上させるためには、「○○高く、○○する」
続いてお話しいただいたのが、Unipos株式会社代表取締役の斉藤知明様による「若手社員のエンゲージメントを引き上げるには」でした。
人口減少に直面している日本において、今後各社の中で主力となっていくのは1980~1990年代生まれのミレニアル世代です。
そのため、各社ではマネージャー経験の浅いメンバーもいる中で若いメンバーのエンゲージメントをいかに上げ、戦力化できるかが鍵となります。
しかし、彼らミレニアル世代のエンゲージメントを高め、戦力化するには彼らの特徴を理解しなければなりません。
IBMのミレニアム世代研究部門が突き止めたミレニアム世代の本音がこちらです。
▶任せられる<認められる
:小さな挑戦や工夫を認められることにやりがいを感じる
▶重く稀に<薄く頻繁に
:年に一度の評価よりも、日ごろの取り組みが正しいか、リアルタイム、頻繁に知りたい
▶結果<プロセス
:結果だけでなく、プロセスが正しかったかどうか知りたい
他の世代の方からすると、彼らのこういった考え方は不思議に感じるのではないでしょうか。
こういった違いは、ミレニアル世代を取り巻く以下のような教育・環境によって生まれたそうです。
①結果ではなくプロセスが重視される
②答えがある問いに答えられることが大事
③自分の発信がリアルタイムで全世界に行われ、すぐに「いいね」がもらえる
そんなミレニアル世代のエンゲージメント向上につながること。
それは、「頻度高く感謝される」ことです。
昇給・昇進と同じくらい、「直接の感謝・賞賛」をうけることで評価を実感し、感謝された頻度が高いほど目標達成している割合が133%高いという結果も出ているそう。
Unipos様では、個々人の隠れた貢献を従業員同士が互いに賞賛しあう環境を創りたいという思いから、初めは、発見大賞・月報大賞という手作りのメッセージボックスを作ったそうです。
ある時には、インフラエンジニアの方が重大な障害になりかねないバグを修正して下さったことに、
「○○さんが人知れず会社の危機を救っていることを発見しました!」
というメッセージがあったり。
こういった感謝を伝え、認め合う取り組みをもっとリアルタイムに、自主的に、みんなに見える形でできるようにしたのが社名にもなっているサービス「Unipos」です。
Uniposは、従業員同士が少額の成果給「ピアボーナス」と感謝のメッセージを送りあうことで従業員エンゲージメントを上げることができるSaaSとなっています。
毎週会社から支給されるポイントをピアボーナスとして送ることが出来るため、普段はなかなか言えない感謝の言葉を伝えることができ、従業員はオープンに認められる喜びを感じられます。
メッセージではなくても、拍手ボタンをクリックするだけでもポイントを送ることができ、気軽かつ自発的に参加できるのも特徴です。
これにより、知る→認める→信頼するという感謝の好循環が組織内で回るようになります。
Uniposは現在240社で導入され、継続率99%という高さからもわかるようにエンゲージメント向上の効果を導入企業各社が実感しているとのことです。
エンゲージメントを従業員同士の認め合いという視点から高めたいという企業の方は導入を検討してみてはいかがでしょうか?
エンゲージメントを左右する3つのポイント
最後にお話しいただいたのが、株式会社RECOMO ユニファ株式会社人事責任者の橋本祐造様です。
初めスライドに表示されたのが、このエンゲージメントに関する12個の質問(ギャラップ社)です。
Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった
橋本様がこれらの質問を分類してみたところ、「存在意義」、「興味関心」、「仲間」の3つとなり、これがエンゲージメントを左右する3つのポイントなのではないか、と話されていました。
エンゲージメントを左右する3つのポイント
①興味・関心:人は自分に興味関心を示してほしい
②存在意義:人はここにいる意義・理由を感じたい
③仲間:人は自分一人では生きていけないと知っている
3つのポイントのポイントはわかったが、そこからどうすればよいのか…?というのが気になるところだと思います。
明日からできるTipsもお話下さいました!
①興味・関心に関するTipsはこちら。
・社内散歩していますか?
・部署のMTGに飛び入り参加している
・雑談メインの1on1に誘う
・ランチに誘ってみる
・ブレイクに誘ってみる(コーヒーブレイク、アイスブレイク)
中でも、個人的にこれからの季節にピッタリだな!と感じたのが「アイスブレイク」のお話でした。
「みなさんアイスブレイク知っていますか?ミーティングの最初にやる場の雰囲気を和ませるあれじゃないですよ。
ちょうど今、外暑くなってきたじゃないですか。
メンバーとか部下の方がいたら、コンビニに誘って、どのアイスがいいかとか選ばせるんですよ。席に戻るまで開けちゃダメ、というルールを決めて、戻った時に初めて食べて、雑談をする。これが本当のアイスブレイクです。
…ここ、笑うところですよ?(笑)これ何が良いかというと、
①アイスは溶けるからその場で食べないといけない。
②パソコンは両手でしか打てないので、アイスを食べると必然的に作業をする手を止め、顔を上げることになる。すると、自然に雑談が生まれて、相手に興味関心が伝わるようになるんです。」
この記事を読んでくださっているあなたも、よろしければ是非お試しください!
次に、②存在意義を感じてもらうためのポイントは
「わかりやすい区切りのタイミング、入社半年や1年などのタイミングで第三者的に成長を言語化する。」
前職にてHRを担当していた際、退社することになった方に入社後の心境やモチベーションの変化を聞いてみたところ、一定の共通性があったそうです。
HRとしては、それぞれのタイミングで適切な質問をしてあげることが大事だそうです。
時期ごとの心境・モチベーションの変化と、すべき質問を以下にまとめてみました。
▼1か月目
「まだ雰囲気に慣れていないが、入社前にやりたいと思っていたことができる可能性を感じる」
・入社前後でイメージとのギャップはないか?
・やりたいことはできそうな雰囲気はあるか?
▼3か月目
「チームメンバーが 雰囲気に慣れ、チームメンバーともコミュニケーションが取れており、モチベーションも比較的高い」
・周りの社員との人間関係はどうか?
・やりたいことを実現する1歩目は踏み出せているか?
▼6か月目
「会社や部署全体の動きが見えるようになり、それに伴い不満・不安な点も増え、周りでも愚痴をよく耳にする。このとき転職を考え始めた。」
・周りの社員との人間関係はどうか?
・会社や組織への要望、不満、将来の不安はないか?
▼12か月目
「この環境で自分が成長するのは難しいと判断して、転職を決意した。」
・1年を振り返って自分の成長は?
・これからの半年、1年をどう過ごしていくか?
こういった取り組みにより、橋本様の前職いた会社では1.8年の平均勤続年数が4.2年に、1年間に60人採用して20人離職→1人になったそうです!
最後に、③仲間についてはとてもシンプルです。
人間、相手のことを良く知れば親近感がわくものなので、第一歩としてあなたのことをもっと知りたいという気持ちを伝えることだそうです。
まとめると、エンゲージメントを高める極意とは、
人の心の動きに正直になり、当たり前のことを当たり前にやる。やりきる。
というとてもシンプルなこと。エンゲージメント向上をやりきる熱意がHRには求められそうです。
エンゲージメント向上の極意
御三方のお話をもとに、エンゲージメント向上の極意をまとめると次のようになりそうです。
▶周りを巻き込み、何があってもやり遂げるHRの熱意があること。
▶1人が頑張るだけではなく、みんなが当事者となること。
▶変化していくエンゲージメントを可視化し、その都度手を打つこと。
▶施策を打つ際には、WHY/強み/対 目標に注目していること。
▶存在意義・興味関心・仲間の3つがエンゲージメントを左右し、頻度高く感謝されることが特にこれに作用する。
HR担当者の方は是非参考にしてみて下さい!
エンゲージメントを高めて、1on1やフィードバック、称賛でチームの生産性向上につなげる「Co:TEAM」
チームの情報共有を円滑化し、コミュニケーションの質を高めて結果的に労働負荷削減につなげたい企業様にご紹介したいのが、「モチベーション」「エンゲージメント」をカンタンに毎日取得して把握できるCo:TEAMです。
Co:TEAMは上記取得したデータを基にチーム間のコミュニケーションから「タイムリーなフィードバック」を増やし、「1on1」で困っているメンバーを支援しながら、最終的には「目標管理」「評価支援」機能が連携してエンゲージメントを育成するパフォーマンス・マネジメントプラットフォームです。
導入によりエンゲージメントが向上されることで、休退職リスクやメンタルリスクの低下、生産性の向上などが期待できます。
ご興味がございましたら、こちらをご覧ください。
登壇者情報(敬称略)
■川本 周
株式会社アトラエ wevox Evangelist
<経歴>
・高校中退
・大阪大学体育会アメフト
・新卒でアトラエ
・組織改善プラットフォーム「wevox」を担当
<自己紹介>
新卒で当時未上場の株式会社アトラエ入社。
入社後はIT系に特化をした転職サイト『Green』のコンサルティング営業を担当。
経営者や採用担当者に対して採用支援を実施。
その後、新規事業の組織改善プラットフォーム『wevox』へ異動。
現在は、年間1000名を超える経営者や人事担当者とお会いをしながら、 エンゲージメントを軸にした組織改善を支援している。 wevox「キリコミ隊長」として数々のイベントに登壇。
社内のカルチャー推進や新卒採用担当も兼任。
■斉藤 知明
Fringe81株式会社 執行役員
Unipos株式会社 代表取締役
<経歴>
・東京大学機械情報工学専攻
・学生時代に株式会社mikanにてCTO
・Fringe81にエンジニアとして入社
・2017年12月Unipos株式会社の代表取締役社長に就任
・2019年4月にFringe81株式会社の執行役員に就任
<自己紹介>
東京大学機械情報工学専攻。
学業の傍ら、株式会社mikanにてCTOとしてスマートフォンアプリ開発に従事。
その後、Fringe81株式会社に入社。
一年間エンジニアとしてアプリ開発等を行った後、Unipos事業責任者となる。
2017年12月Unipos株式会社の代表取締役社長に就任。
2019年4月にFringe81株式会社の執行役員に就任。
株式会社Unipos
■橋本 祐造
ユニファ株式会社 人事責任者
株式会社RECOMO CEO/CHRO
<経歴>
・早稲田大学卒業
・NHK 営業職
・GMOインターネット 人事担当
・人事コンサルタント 独立
・一部上場企業 人事責任者
・ユニファ株式会社 人事責任者
・2019年4月 株式会社RECOMO創業 CEO兼CHRO
<自己紹介>
1978年生まれ。
早稲田大学卒業後、NHKに入局。営業職として約3年間従事。
その後、GMOインターネットでグループ人事部にて採用担当やフォロー担当として活躍。
以来、いくつかの会社で人材採用の戦略や方針、実行および人材育成プログラムの策定に携わる。
2019年4月に株式会社RECOMOを創業。
働くモットーは「人が最大限の力を発揮することができる組織づくり、社会システムづくりに一生を通じて携わること」
■谷本 潤哉
株式会社O: Founder/CEO
広告代理店でリーダーとして採用、中間層の定着に従事しながら「社員のモチベーションデザイン」を実現するためスタートアップ経営者と伴走。 HR/業務データを活用し「楽しく持続的にハイパフォーマンスを発揮できる」組織の一般化を目指して、2016年にO:を創業。 「社員間のフィードバック」「OKR」「1on1支援」を組み合わせたパフォーマンス・マネジメントサービス「Co:TEAM」(https://coteam.jp/)を運営。
経済産業省J-startup採択|週刊ダイヤモンド「日米ヘルステックスタートアップ20選」選出。
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