マネージャーは自らタスクに関わって直接的に成果を出すのではなく、人や道具といったリソースを操作・管理して「間接的に」成果を上げるため、優秀なマネージャーがいるチームやプロジェクトは非常に成功しやすくなります。
しかし現場レベルでの業務知識や技術と違って、マネージャーの能力やスキルはただ「覚えて実践する」だけでは伸ばしにくいことも多く、優秀なマネージャー不足に悩む企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、マネージャーや管理職のマネジメント力を高めることの重要性や、実際に活用できる育成方法についても解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
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マネジメントスキルを高める人材育成の重要性とは?
優秀なマネージャーを育成すると、チームの成果やエンゲージメントの向上など、さまざまなメリットをもたらします。
ここでは、高い能力を持ったマネージャーがなぜ重要であるかについて解説していきます。
- 人材育成の質を高め、社内人材の質を上げる
- チームや部署ごとの成果を上げる
- 会社へのエンゲージメントをも促進させる
人材育成の質を高め、社内人材の質を上げる
優秀なマネージャーは、組織全体の人材育成の質を飛躍的に向上させます。高いマネジメント力によって部下の能力を適切に評価し、個々に応じた効果的な指導を実施できるため、優秀なマネージャーの下では優秀な部下が育ちやすくなるためです。
チームや部署ごとの成果を上げる
優秀なマネージャーは、会社全体の目標達成や業績向上に大きく貢献します。
会社全体の目標達成には、個々のチームや部署が高いパフォーマンスを発揮することが不可欠であり、そのチームや部署の成功はリーダーであるマネージャーの能力に大きく左右されるためです。
マネージャーはまずチームのKPIやKGIを設定し、さらにメンバー一人ひとりがパフォーマンスを最大化させられるような采配が求められます。また、プロジェクト進行中はチームの進捗状況を常に把握して必要に応じて調整や再分配を行ったり、メンバー間のスムーズな連携を促したりしなければなりません。
これらの業務を完璧に行うことができれば、個々の業務効率の向上がチーム全体の生産性の向上に繋がり、さらにトラブルの予防や早期発見も可能となるでしょう。
逆にマネージャーの業務管理の質が低いと、メンバーの進捗を追いきれずにタスクがブラックボックス化してしまったり、適性の低い業務を振って生産性やモチベーションを落としてしまったりする事態にもなりかねません。
部下から上司へのエンゲージメント上昇によって、会社へのエンゲージメントをも促進させる
上司のマネジメント能力が高いと、部下のエンゲージメントも大きく向上することになります。
部下にきちんと向き合ったマネジメントができると、部下は自分が大切にされていると感じることができます。さらにこの感覚が上司への信頼に変わり、最終的には会社への愛着へと波及することになります。
さらに上司に信頼を置くということは、部下の上司に対する心理的安全性が確立されたことを意味します。心理的安全性が確保されると失敗を恐れずに挑戦できるようになるため、個々の創造性が発揮されやすくなったり、新たなイノベーションも生まれやすくなるでしょう。
また高いエンゲージメントは、離職率の低下や生産性の向上といった非常に大きなメリットにも繋がります。
エンゲージメントの向上については、こちらの記事も是非参考にしてみてください!
マネージャーが身に着けるべき必須スキル
優秀なマネージャーに求められる「マネジメント力」は単一の能力ではなく、目標管理や人材育成、コミュニケーションなど、多岐にわたる能力の集合体であると言えます。
これらのスキルの中でも特に重要となる能力について、詳しく解説していきます。
- 目標・業務管理能力
- 人材育成力
- フィードバック・アフターフォロースキル
- 共感力
目標・業務管理能力
目標・業務管理能力は、マネージャーにとって最も重要なスキルです。
マネージャーはプロジェクトやチームにおいて、目標達成に向けた具体的な計画を立案・実行することが必ず求められます。
優秀なマネージャーは、会社の経営方針や事業戦略を理解した上で、チームの目標を設定し、各メンバーに適切な業務を割り振ることができます。
具体的には、まず采配段階において優先順位をつけて業務を管理しリソースを効果的に配分することや、業務プロセスを可視化してボトルネックを特定するなどが挙げられます。計画全体を見据えた効率化や、トラブルの予防ができることが、マネージャーとして望ましいと言えるでしょう。
プロジェクトがスタートすると、マネージャーは業務管理の腕を大きく問われることになります。進捗状況を常にキャッチアップして、遅れやトラブルがあれば各方面で調整を行い、早期発見や解消に努める必要があります。
アフターフォロースキル
アフターフォロースキルは、部下の成長や目標達成のために非常に重要なスキルです。
優秀なマネージャーは、部下に的確なフィードバックを行ったり、時には自身での気づきを促したりすることで、部下の成長を強力にサポートすることができます。ここでのフィードバックには、良い点を評価する「ポジティブフィードバック」と改善点を指摘する「ネガティブフィードバック」の2種類があり、状況や部下の特性に応じて使い分けることも重要となるでしょう。
このように、部下の功績に対する承認や的確なフィードバックといったアフターフォローを欠かさないことは、部下からのエンゲージメントを向上させるための有力な方法です。先述したように、エンゲージメントの向上は様々な恩恵をもたらすため、意識しながらマネジメントすると良いでしょう。
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マネジメント力を高めるための育成方法
マネジメント力を高めるためには、実践と学習の両方を効率的に組み合わせた教育を実施しましょう。
座学だけでは身につかないマネジメントスキルを実際の業務を通じて習得し、同時に理論的な知識を補完することで、総合的なマネジメント力が養われます。
ここでは、マネジメント力を高めるための育成方法を紹介していきます。
- OJTトレーナーやメンターに任命する
- 資格の取得を通じてマネジメント知識を付ける
- 部下への適切な裁量移譲を覚える
- 部下と1on1ミーティングをする
OJTトレーナーやメンターに任命する
新任マネージャーのマネジメント力を高めるための第一段階の方法として、まずはOJTトレーナーやメンターといった「教える側」に任命することが挙げられます。「教える側」に立つことによって、指導計画を立てたり相手の理解度を把握しながら説明するスキルを養えるためです。
また、メンターとして仕事の悩みやキャリアについての相談に乗る役割を担うことで、マネージャーに必要な、部下の話に共感し適切なアドバイスを行う能力を実践的に磨くことができます。
このような経験を通じてマネージャーは自然と部下との信頼関係を築く方法を学び、リーダーシップの基礎を固めていくことができます。
資格の取得を通じてマネジメント知識を付ける
理論や知識を座学で学ぶことは非常に重要ですが、目的やゴールが明確でないとモチベーションを維持することは困難です。
そこで資格取得という形を取ることで明確にゴールが設定され、また取得した資格は自身のスキルを客観的に証明できる武器となるため、学習のモチベーションを高く維持しながら学習を続けることができるでしょう。
ここでは、優秀なマネージャーへと育成する上で是非取得を推奨する資格を3つ紹介していきます。
- プロジェクトマネージャー
- キャリアコンサルタント
- ファシリテーター資格
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画、実行、監視、完了までの一連のプロセスを管理するスキルを証明する資格です。
国家資格であるプロジェクトマネージャ試験(PM試験)は、高度なIT知識とプロジェクト管理能力が求められる難関資格ですが、取得することで、目標設定・スケジュール管理・リソース配分・リスク管理など、マネジメントに不可欠なスキルを体系的に習得できます。
プロジェクトマネージャーの知識はIT業界だけでなくあらゆる業界のマネジメントに応用可能であり、また合格率が約15%と低く希少価値が高いため、マネージャーとして成長したい人にはうってつけの資格であると言えます。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、個人のキャリア形成を支援する専門家を認定する国家資格です。この資格を取得することで、部下のキャリアプランを一緒に考え、適切なアドバイスを提供するスキルが身につきます。
キャリアコンサルタント資格では、カウンセリング技法やコーチングスキル、キャリア理論などを学ぶことになるため、人材育成力やマネジメント能力といったマネージャーに必須の力を伸ばすのに非常に適しています。
ファシリテーター資格
ファシリテーターは、会議やワークショップを恙なく進行しつつ参加者の意見を引き出し、より納得感のある合意形成を促すための資格です。
ファシリテーションスキルは、チームミーティングやプロジェクト会議を円滑に進めるために不可欠であり、優秀なファシリテーターがいると参加者全員が発言しやすくなったり、議論が建設的になるなどのメリットを生み出します。
会議の質が向上すると業務効率の改善やチームの結束強化にも役立つため、チームリーダーやプロジェクトマネージャーは積極的に学習していきたい資格の一つです。
部下への適切な裁量移譲を覚える
部下に対して適切に裁量を移譲することは、マネージャー自身の業務負荷を分散しながら部下の成長を促すことができる重要な手法です。
裁量移譲とは、部下に意思決定の権限を与えて自律的に業務を遂行させることを指します。マネージャーがすべての業務を自分で抱え込むのではなく、部下に部分的に裁量権を拡大させることで、部下の主体性や問題解決能力が育まれます。
裁量移譲を行う際は、部下の能力や経験を考慮して適切なレベルの業務を任せることが重要です。最初は小さな業務から始めて徐々に難易度を上げていくことで、部下は自信を持って業務に取り組めるようになるでしょう。
部下と1on1ミーティングをする
1on1ミーティングは、マネージャーと部下が定期的に一対一で対話する機会であり、マネジメント力を高めるための非常に効果的な手法です。
1on1では業務の進捗確認だけでなく、部下の悩みやキャリアの相談など、個人の状況に合わせた多様なテーマを扱います。また、定期的に1on1を実施することで、課題の早期発見や適切なサポートが可能になり定期的になるだけでなく、部下との信頼関係の醸成やエンゲージメントの向上といったメリットも期待できます。
実りのある1on1ミーティングを行うためには、部下が主役であることを意識することが重要です。1on1ミーティングについて、詳しくは以下の記事をご覧ください!
マネジメント力を高めるための育成事例3選
マネジメント力向上のための様々な要素を学んだところで、実際に企業でどのような施策が行われているのかを見ていきましょう。これらの事例から、自社の人材育成に活かせるポイントを見つけてください!。
- 株式会社ファーストリテイリング
- 東京電設サービス株式会社
- 株式会社サイボウズ
株式会社ファーストリテイリング
株式会社ファーストリテイリングは、「店長は2年で作る」というコンセプトのもと人材育成を実施しています。
まず挙げられる同社の人材育成の特徴として、集合研修への注力があります。同社は新入社員に対し、一般的な研修や教育プログラムに加えて半年に4回もの合宿を実施し、さらに並行して管理職教育も行っています。
同社の新卒社員は入社してわずか半年の間に、店舗経営に必要な損益管理や売上計画、人材マネジメント、部下教育といったスキルを徹底的に学ぶことができるのです。
さらに店舗経営に必要なヒト・モノ・カネに関する能力のチェック項目が設定され、本人・店長・上長の三段階で評価を行い、できていない項目はトレーニングガイドで学び直すという徹底したフォロー体制を構築しています。
さらに店舗を持つことができるようになる店長試験には受験資格があり、一定以上の評価スコアを獲得しなければなりません。
このように株式会社ファーストリテイリングには非常に体系的な教育システムが整備されており、約2年で店長を育てるという超スピード育成を可能としているのです。
東京電設サービス株式会社
東京電設サービス株式会社では、管理職のマネジメント力強化を目的とした研修プログラムを導入し、大きな成果を上げています。
同社は東京電力パワーグリッド株式会社の子会社であり、親会社の事業計画やマネジメントに依存した内販事業が多くなっており、外販事業におけるプロジェクトマネージャーの不在を実感していました。今後の外販事業においてこれが大きな障壁になってくることは自明であり、そこで同社は「初めてのマネジメント研修」を開始しました。
とはいえ、社内にマネジメント教育に関するノウハウやナレッジが不足していたため、外部の専門家を活用して研修を設計しました。まずは「地域センター所長向け」のマネジメント研修を実施し、続いて「本社課長向け」のマネジメント研修、さらに「現場課長向け」のマネジメント研修と順次展開していきました。
マネジメント業務が必要となる全てに研修を実施することで、社内に共通のマネジメント理論が構築され、誰もが語り合えるようになったのです。
このように、東京電設サービス株式会社は外部リソースを活用することで教育のノウハウ不足を補い、全社的なマネジメント力の向上を達成しました。
出典: 【導入事例】東京電設サービス株式会社|人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ
株式会社サイボウズ
株式会社サイボウズは、マネージャーがより働きやすくなるためにさまざまな制度や環境を整えています。
マネージャーが円滑に業務を行うために、マネージャーの業務量や職場運営等を最適化するための会議を人事部で定期的に開いたり、マネージャーフォローアプリを導入してコミュニケーションや業務管理を効率化するなど、様々なサポート体制を取っています。
さらに、マネージャーの個々の能力を向上させるための教育プログラムも導入しています。
「個別業務スキル」「プロジェクト・マネジメントスキル」「人 材マネジメントスキル」の3つの指標について自陣の強み/弱みを把握してもらい、得意なところを活かしてもらうための指導を行っています。
出典: 社内におけるワーク・ライフ・バランス推進のための職場マネジメント事例集|内閣府仕事と生活の調和推進室
まとめ
優秀なマネージャーを保有していることは、強固な組織づくりやプロジェクトの成功に直結する必須要件です。人材育成は長期的な視点と継続的な取り組みを要する気の長い領域ではありますが、そこで育った優秀な人材は自社の成長に大きく貢献することとなるでしょう。
ぜひ、本記事で紹介した方法や事例を参考にし、優秀なマネージャーの育成にお役立てください!
お役立ち情報
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