コンプライアンスの目標設定と目標例|個人・組織・管理職別の作り方

▼ この記事の内容

コンプライアンスを守らせる目標設定は、抽象的な意識づけではなく、守るべき行動、記録、確認頻度を測れる形にすることです。組織目標と個人目標を分け、1on1と評価で継続確認し、相談しやすい環境まで整えると運用に定着します。

内部統制や個人情報保護、ハラスメント防止など、コンプライアンスに関わるテーマは部門を問わず日常業務に入り込んでいます。目標設定で扱う場合は、単に守りましょうと伝えるだけでは行動に変わりません。

人事や管理職は、守るべき基準を個人が実行できる行動へ落とす必要があります。組織全体で追う目標と、個人が担う目標を分けると、評価や1on1で確認しやすくなります。

本記事では、コンプライアンスを守らせる目標設定を、個人目標と組織目標の具体例、運用手順、失敗回避の観点から整理します。

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コンプライアンスを守らせる目標設定とは

コンプライアンスの目標設定では、守るべきルールを業務行動に置き換えます。組織目標で方針を示し、個人目標で日々の実践と記録を明確にします。

ルール遵守を行動目標に置き換える

コンプライアンスを守らせる目標設定とは、法令や社内規程を守る意識を、日々の行動と確認手順に変えることです。研修受講、チェックリスト記録、相談ルートの活用など、本人が実行できる行動へ落とします。

たとえば、個人情報の取り扱いでは、資料送付前の宛先確認や保管場所の点検を目標にできます。ハラスメント防止では、面談記録や相談窓口の周知を行動にできます。

行動に置き換えると、上司が支援しやすくなります。未達のときも、知識不足、手順不足、業務量過多のどこに原因があるかを分けて見られます。

目標文には、対象業務と確認方法を必ず入れます。これにより、本人の努力だけでなく、組織が整えるべき手順も見えます。

組織目標と個人目標を分ける

組織目標は、会社や部門として守る水準を示します。違反ゼロだけでなく、研修受講率、相談件数の早期把握、監査指摘の是正完了などを置きます。

個人目標は、担当者が実行できる範囲に絞ります。上司なら面談記録の整備、メンバーなら申請手順の遵守など、役割に合わせて変えます。

二つを混同すると、個人では変えられない結果を背負わせることになります。組織で追う指標と個人の行動を分けることで、納得感のある評価に近づきます。

分けたうえで、両者の接続も明記します。個人の確認行動が、部門の違反予防や監査対応にどう貢献するかを説明します。

SMARTで測れる基準にする

コンプライアンス目標はSMARTで測れる基準にします。守る、意識する、徹底するだけでは、評価者も本人も達成状況を判断できません。

Specificでは対象ルールを示し、Measurableでは記録方法を決めます。AchievableとRelevantでは、本人の権限と部門方針に合っているかを確認します。

Time-boundでは、毎月、四半期、半期などの確認時期を置きます。期末だけでなく途中で確認すると、違反や運用不備を早めに修正できます。

SMART化した目標は、評価面談でそのまま確認できる粒度にします。記録場所と確認者まで決めると、運用の抜け漏れを防げます。

SMARTで目標を具体化する考え方を合わせて確認すると、抽象的な遵守目標を測定しやすい文に変えられます。

コンプライアンス目標の具体例

コンプライアンス目標は、個人、組織、職種の三つに分けて考えます。対象ルール、測定方法、確認頻度をそろえると、現場で運用しやすくなります。

区分目標例確認方法
個人目標個人情報を含む資料送付前に宛先と添付ファイルを二重確認する月次のチェック記録
組織目標対象者全員の研修受講を確認し、監査指摘を期限内に是正する受講ログと是正管理表
管理職目標ハラスメント予防の1on1を月1回実施し、相談兆候を記録する面談記録と人事共有

個人目標の例

個人目標では、本人の行動で達成できる内容にします。たとえば、顧客情報の取り扱い、経費申請、契約書確認、勤怠入力など、業務に直結する行動を選びます。

例として、顧客情報を外部送信する前に宛先、添付、権限を確認し、月次で自己点検を提出するという目標があります。行動と記録をセットにします。

違反ゼロだけを個人目標にすると、問題を隠す動機が生まれる場合があります。相談や報告を早める行動も評価対象に入れます。

組織目標の例

組織目標では、部門全体で守る状態を定義します。研修受講率、内部監査の指摘対応、相談窓口の周知、再発防止策の完了率などを扱います。

たとえば、四半期内に対象者全員の研修受講を確認し、未受講者には翌月の1on1で受講計画を確認するという目標が考えられます。

組織目標は、人事、法務、現場管理職の連携が必要です。責任部門と確認頻度を決めておくと、目標が掲げっぱなしになりにくくなります。

職種別に調整する例

職種ごとにリスクが異なるため、同じコンプライアンス目標を一律に置く必要はありません。営業、管理部門、開発部門では、守るべき場面が変わります。

営業では顧客情報の管理や契約前説明、管理部門では個人情報と労務管理、開発部門ではアクセス権限や情報持ち出しを目標にしやすい領域です。

職種別に調整すると、現場が自分ごととして捉えやすくなります。共通ルールを保ちながら、行動例は業務に合わせて変えます。

目標設定を運用に落とす手順

目標設定を運用に落とすには、ルールの棚卸し、行動基準の設定、1on1での確認を順に行います。作成後の確認サイクルまで決めることが定着の条件です。

守るべきルールを棚卸しする

最初に、法令、社内規程、顧客契約、業界基準など、守るべきルールを棚卸しします。対象が広すぎる場合は、直近でリスクが高い業務から優先します。

棚卸しでは、誰が、どの場面で、何を守る必要があるかを整理します。業務フローに沿って見ると、抜け漏れを見つけやすくなります。

人事は、管理職や現場責任者と一緒に確認します。現場の実態を反映しない目標は、評価では使えても行動改善につながりにくくなります。

行動と記録の基準を決める

次に、守るべきルールを行動と記録に分けます。行動は本人が実施する内容、記録は上司や組織が確認する証跡です。

たとえば、契約書確認では、チェック項目、承認者、保存場所を決めます。個人情報管理では、アクセス権限の確認頻度を決めます。

記録を重くしすぎると運用が続きません。必要な証跡を絞り、1on1や月次会議で確認できる形にします。

1on1で改善行動を確認する

1on1では、コンプライアンス目標の達成状況だけでなく、迷った場面や相談しにくかった場面を確認します。違反の有無だけを聞くと、早期相談が出にくくなります。

上司は、本人が守れなかった理由を責める前に、手順、知識、業務量、権限の問題に分けて聞きます。支援内容を決めると改善につながります。

1on1記録を残すと、評価期間の最後に行動改善の過程を確認できます。日常の支援と評価を切り離さず、同じ記録で確認します。

1on1を目標管理に接続したい場合は、以下の資料で面談設計を確認できます。


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コンプライアンス目標で避けるべき失敗

避けるべき失敗は、抽象的な心がけにすること、罰則だけで守らせること、現場の裁量と矛盾させることです。運用できる目標にするには、支援と確認をセットにします。

抽象的な心がけにする

コンプライアンス意識を高める、法令遵守を徹底する、といった表現だけでは目標になりません。本人が何をすれば達成かを判断できないためです。

抽象表現は、対象ルール、行動、頻度、記録方法に分解します。たとえば、月1回のチェック、期限内の研修受講、相談記録の作成などに置き換えます。

分解すると、上司もフィードバックしやすくなります。目標は評価のためだけでなく、日々の行動改善に使える必要があります。

罰則だけで守らせる

罰則だけを強調すると、違反やヒヤリハットが報告されにくくなります。コンプライアンスの目標では、早期相談や再発防止も評価に入れます。

違反ゼロを掲げる場合でも、相談件数や是正対応の早さを一緒に見ます。問題を隠さず共有する行動を評価するためです。

管理職には、相談しやすい環境を作る目標も必要です。面談の頻度、相談窓口の周知、記録の扱いを明確にします。

現場の裁量と矛盾させる

現場の裁量と矛盾する目標は、守られにくくなります。たとえば、迅速な顧客対応を求めながら承認手順が多すぎると、現場は迷います。

目標を作る際は、リスクの高い場面と現場判断が必要な場面を分けます。承認が必要な条件と、担当者が判断できる範囲を明確にします。

矛盾を減らすには、現場管理職の意見を取り入れます。運用上の負荷を確認し、守れる手順に調整します。

目標管理と評価へつなげる

コンプライアンス目標は、評価基準、研修、1on1、記録管理とつながって初めて機能します。制度と現場運用を分断せず、同じ基準で確認します。

評価基準と研修をそろえる

評価基準と研修内容がずれていると、学んだことが評価に反映されません。研修で扱うリスクと、目標で確認する行動をそろえます。

たとえば、個人情報保護研修を実施するなら、送信前確認やアクセス権限の点検を目標に入れます。研修受講後の実践状況まで確認します。

評価では、知識の有無だけでなく実践状況を確認します。記録と1on1の内容を合わせて見ると、行動改善を評価しやすくなります。

管理職の面談品質を高める

管理職の面談品質は、コンプライアンス目標の定着に直結します。部下が迷った場面を話せるかどうかで、早期発見の精度が変わります。

面談では、違反の有無だけでなく、相談しづらい状況、手順で迷う箇所、業務量の偏りを確認します。質問を固定すると確認漏れを減らせます。

管理職にも、1on1実施率や記録品質を目標に置けます。部下に守らせるだけでなく、管理職が支援する責任を明確にします。

部下の行動を引き出す関わり方も、コンプライアンスを一方的な指示で終わらせないための参考になります。

ツールで進捗と証跡を残す

目標管理ツールを使うと、目標、進捗、1on1記録、評価コメントを同じ場所で確認できます。コンプライアンス目標では、証跡も残します。

雇用管理や労働条件に関する基本情報は、厚生労働省の雇用・労働関連情報も確認できます。社内ルールだけでなく公的情報も参照します。

入力項目を増やしすぎると、現場が更新しなくなります。確認頻度と記録項目を絞り、評価と1on1で使う情報に限定します。

よくある質問

コンプライアンス目標は違反ゼロだけでよいですか?

違反ゼロは重要ですが、単独では問題を隠す動機が生まれる場合があります。研修受講、早期相談、チェック記録、是正対応など、行動と報告を促す目標も合わせて置くと運用しやすくなります。

個人目標と組織目標はどう分ければよいですか?

組織目標は研修受講率や監査指摘の是正完了など部門全体で追う状態にします。個人目標は、本人が実行できる確認、記録、相談、改善行動に絞ると評価の納得感が高まります。

管理職にはどのような目標を置くべきですか?

管理職には、面談実施、相談しやすい環境づくり、手順確認、部下の記録確認などの目標を置きます。部下に守らせるだけでなく、支援と早期発見の役割まで明確にし、面談記録で確認します。

まとめ

コンプライアンスを守らせる目標設定では、抽象的な意識づけではなく、守るべき行動、記録、確認頻度を測れる形に落とします。

組織目標では部門全体で守る状態を示し、個人目標では本人が実行できる行動に絞ります。1on1で迷いを確認し、支援内容まで決めることが定着につながります。

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